説明

電動調理器

【課題】容器を離脱防止状態で本体に装着する操作を簡略化し得る電動調理器を提供する。
【解決手段】回転駆動部5が装備された本体1と、本体1に載置状態で取り付けられ且つ着脱自在な容器Yと、容器Y内に装備され、容器Yが本体1に取り付けられた状態で回転駆動部5に伝動連結される調理用回転体6とを備えた電動調理器であって、本体1に対する相対回転を許容し且つ本体1に対する上下方向及び横方向への相対移動を阻止する状態で、容器Yを本体1に対する任意の回転位相で本体1に装着可能な装着機構Fが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動部が装備された本体と、前記本体に載置状態で取り付けられ且つ着脱自在な容器と、前記容器内に装備され、前記容器が前記本体に取り付けられた状態で前記回転駆動部に伝動連結される調理用回転体とを備えた電動調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる電動調理器は、容器を本体上に載置状態で取り付けて、容器内に装備された調理用回転体を回転駆動部により回転させることにより、容器内の被調理物を粉砕したり攪拌したりするものである。
【0003】
このような電動調理器において、容器を離脱防止状態で本体に装着する容器装着構成として、従来、以下に説明する構成が提案されている。
即ち、本体の上部に、円形凸部が設けられ、容器の底部に、本体の上部の円形凸部に嵌め込み可能な円形凹部が設けられ、並びに、本体の円形凸部の周方向の一部に、径方向外方に張り出す本体側抜け止め片が備えられ、容器の円形凹部の内面における周方向の一部に、径方向内方に向けて張り出す容器側抜け止め片が備えられた構成が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
つまり、この容器装着構成では、容器の底部の円形凹部を本体の上部の円形凸部に嵌め込んだ状態で、容器を回転させて、容器側抜け止め片を本体側抜け止め片の下方に潜り込ませることにより、容器が離脱防止状態で本体に装着されることなる。
【0004】
又、別の容器装着構成として、本体の上部に、一対のフック部材が回転駆動部の回転軸心に直交する方向である径方向に移動自在で且つその径方向外方に付勢された状態で、回転軸心に対して反対側に振り分けて設けられ、容器の下部に、一対の受け部が一対のフック部材に各別に係止可能なように回転軸心に対して反対側に振り分けて設けられた構成が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
つまり、この容器装着構成では、容器の一対の受け部夫々が本体の一対のフック部材夫々の上方に位置するように、本体に対する容器の回転方向での位置を合わせた状態で、容器を下げると、一対の受け部が一対のフック部材に各別に係止されて、容器が本体に離脱防止状態で装着されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−336139号公報
【特許文献2】特許第4015967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の容器装着構成では、容器を任意の回転位相で本体に載置しても、容器の円形凹部が本体の円形凸部に嵌め込まれるので、見かけ上は、容器が離脱防止状態で本体に装着されているように見える。しかしながら、容器を回転させて、容器側抜け止め片を本体側抜け止め片の下方に潜り込ませないと、容器が離脱防止状態で本体に装着されないので、容器側抜け止め片が本体側抜け止め片の下方に潜り込むことなく、容器が本体上に載置されただけの状態で、本体を動かしたり容器に触れたりすると、容器が本体から離脱する虞があった。
【0007】
又、特許文献2の容器装着構成では、容器の一対の受け部夫々が本体の一対のフック部材夫々の上方に位置するように、容器をその回転方向で位置合わせして本体に載置しないと、容器を本体に離脱防止状態で装着することができないので、容器を本体に装着する操作が面倒であった。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、容器を離脱防止状態で本体に装着する操作を簡略化し得る電動調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る電動調理器は、回転駆動部が装備された本体と、前記本体に載置状態で取り付けられ且つ着脱自在な容器と、前記容器内に装備され、前記容器が前記本体に取り付けられた状態で前記回転駆動部に伝動連結される調理用回転体とを備えた電動調理器であって、その特徴構成は、
前記本体に対する相対回転を許容し且つ前記本体に対する上下方向及び横方向への相対移動を阻止する状態で、前記容器を前記本体に対する任意の回転位相で前記本体に装着可能な装着機構が設けられている点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、装着機構により、容器を任意の回転位相で本体に装着することができるので、容器を本体に装着するときに、本体に対して容器の回転方向での位置を合わす必要がなく、容器を容易に本体に装着することができる。
そして、そのように装着機構により容器を本体に装着すると、装着完了姿勢において容器を本体に対して相対回転させることができるが、容器を本体に対して上下方向及び横方向へ相対移動させることができないので、容器を装着した本体を動かしても容器に触れても、容器が本体から離脱することがない。
尚、容器を本体に対して上下方向へ相対移動させることができないということは、容器を本体に対して接近離間方向に相対移動させることができないことに相当する。又、容器を本体に対して横方向へ相対移動させることができないということは、容器と本体との同心関係が維持されることに相当する。
ちなみに、装着機構により本体に装着された容器は、本体に対して相対回転させることができるので、例えば、容器に取り付けられているハンドル部が調理作業の邪魔にならないように、容器を回転させることができ、使い勝手が良い。
従って、容器を離脱防止状態で本体に装着する操作を簡略化し得る電動調理器を提供することができるようになった。
【0011】
本発明に係る電動調理器の更なる特徴構成は、前記装着機構が、前記本体の上部に設けられたフック部材と、前記容器の底部に設けられて、前記フック部材が係止される係止部とを備えて構成され、
前記フック部材が、前記回転駆動部の回転軸心に直交する方向である径方向に前後進自在で且つ前進方向に付勢された状態で設けられ、並びに、前進方向に向けて張り出し且つ前端側ほど下方に位置する前下がり傾斜状の上面を有する鉤部を備えるように構成され、
前記係止部が、前記フック部材の鉤部が被さる状態で係止可能なように前記径方向における前記鉤部の張り出し方向とは反対側に突出する状態で、環状に設けられている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、容器の底部の環状の係止部がフック部材の鉤部の上面に載るように、容器を本体の上部に位置させ、その状態で容器を押し下げると、フック部材がその前進方向に向く付勢力に抗して後退しつつ係止部の前端を乗り越えて、係止部に被さる形態で係止される。
ちなみに、径方向での前後進とは、径方向外方側が前進方向である前後進、及び、径方向内方側が前進方向である前後進の両方を含むものである。
そして、係止部が容器の底部に環状に設けられているので、容器を任意の回転位相で本体の上部に位置させて押し下げても、フック部材が係止部に係止される。
従って、容器を本体の上部に位置させて押し下げるだけの簡単な操作で、容器を離脱防止状態で本体に装着することができるので、容器を離脱防止状態で本体に装着する操作をより一層簡略化することができるようになった。
【0013】
本発明に係る電動調理器の更なる特徴構成は、前記容器が前記本体に設定回転位相位置で装着されている容器装着状態を検知する第1検知手段が設けられている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、第1検知手段により、容器が本体に設定回転位相位置で装着されている容器装着状態が検知される。ちなみに、設定回転位相位置は、例えば、容器を本体に装着して調理作業を行うに際に、操作性や使い勝手等が良くなるような本体に対する容器の回転方向の位置に設定される。例えば、本体に電動調理器の運転を操作するスイッチ類が備えられ、容器にハンドル部が備えられる場合は、スイッチ類が操作し易くしかもハンドル部が握り易くなるようなスイッチ類とハンドル部との相対位置関係になるように、設定回転位相位置が設定される。
そして、例えば、第1検知手段により容器装着状態が検知されないと、回転駆動部が作動されないように構成したり、そのように構成するのに加えて、回転駆動部が作動している状態で第1検知手段が容器装着状態を検知しなくなると、回転駆動部を停止するように構成することができる。
そのように構成すると、容器が本体に適正に装着されていないと、回転駆動部が作動されないようになり、又、容器が本体に適正に装着されて回転駆動部が作動している状態で容器が本体から取り外されると、回転駆動部が停止されるようになる。つまり、容器が本体に装着されていない、あるいは、容器が本体に載置されているものの適性に装着されていないにも拘らず、回転駆動部が作動されるといった事態が現出するのを防止することが可能となる。
従って、容器の装着操作の簡略化に加えて、安全性を向上することができるようになった。
【0015】
本発明に係る電動調理器の更なる特徴構成は、前記容器の開口部に着脱自在に被せられる蓋が備えられ、
前記設定回転位相位置で前記本体に装着されている前記容器に前記蓋が装着されている蓋装着状態を検知する第2検知手段が設けられている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、第2検知手段により、設定回転位相位置で本体に装着されている容器に蓋が装着されている蓋装着状態が検知される。
そして、例えば、第2検知手段により蓋装着状態が検知されないと、回転駆動部が作動されないように構成したり、そのように構成するのに加えて、回転駆動部が作動している状態で第2検知手段が蓋装着状態を検知しなくなると、回転駆動部を停止するように構成することができる。
そのように構成すると、容器が適正に本体に装着されているもののその容器に蓋が装着されていないと、回転駆動部が作動されないようになり、又、容器が本体に適正に装着されると共にその容器に蓋が装着されて回転駆動部が作動している状態で、蓋が容器から取り外されると、回転駆動部が停止されるようになる。つまり、本体に装着された容器に蓋が装着されていないにも拘らず、回転駆動部が作動されるといった事態が現出するのを防止することが可能となる。
従って、容器の装着操作の簡略化に加えて、安全性を向上することができるようになった。
【0017】
本発明に係る電動調理器の更なる特徴構成は、前記容器が、前記調理用回転体が装備され且つ前記装着機構により前記本体に装着される容器台と、前記容器台に着脱自在に取り付けられる容器体とを備えて構成され、
前記第1検知手段が、前記容器が前記設定回転位相位置で前記本体に装着される容器装着動作を前記容器台の外側を通して前記本体に備えられた第1検知部に伝達自在な第1伝達部材を備えて、前記容器装着動作が前記第1検知部に伝達されると前記容器装着状態を検知するように構成され、
前記第2検知手段が、前記設定回転位相位置で前記本体に装着された前記容器に前記蓋が装着される蓋装着動作を前記容器台の外側を通して前記本体に備えられた第2検知部に伝達自在な第2伝達部材を備えて、前記蓋装着動作が前記第2検知部に伝達されると前記蓋装着状態を検知するように構成されている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、容器を容器台と容器体とに分離して、分離した各部材を各別に洗浄することができるので、容器の洗浄を容易化することができる。
そして、一体的に組み付けられた容器台と容器体とからなる容器を設定回転位相位置で本体に装着すると、その容器装着動作が第1伝達部材により容器台の外側を通して第1検知部に伝達されて、容器装着状態が検知される。
そのように第1検知手段により容器装着状態が検知されている状態で、容器を本体から取り外すと、第1伝達部材により容器装着動作が第1検知部に伝達されなくなって、容器装着状態が検知されなくなる。
又、設定回転位相位置で本体に装着された容器に蓋を装着すると、その蓋装着動作が第2伝達部材により容器台の外側を通して第2検知部に伝達されて、蓋装着状態が検知される。
そのように第2検知手段により蓋装着状態が検知されている状態で、蓋を容器から取り外すと、第2伝達部材により蓋装着動作が第2検知部に伝達されなくなって、蓋装着状態が検知されなくなる。
つまり、容器を互いに分離自在な容器台と容器体とにより構成して容器の洗浄を容易化しながら、容器装着状態及び蓋装着状態を的確に検知することができるようになった。
【0019】
ところで、上述のように、容器を互いに分離自在な容器台と容器体とにより構成すると、容器台と容器体とを組み付ける際に、両者の相対回転位置関係がずれる場合がある。
一方、上述のように、第1検知手段及び第2検知手段を構成した場合に、容器を設定回転位相位置で本体に装着するに当たって、本体に対する容器体の回転位置を設定回転位相位置に位置合わせした状態で、容器を本体に装着する場合がある。
これらの場合でも、本特徴構成によれば、装着機構により、容器台を任意の回転位相で本体に装着することができることから、容器台と容器体との相対回転位置関係がずれていても、本体に対する容器体の回転位置を設定回転位相位置に位置合わせした状態で、容器台を本体に装着することができるので、容器を離脱防止状態で本体に装着する操作を容易化することができる。
【0020】
本発明に係る電動調理器の更なる特徴構成は、前記本体に対する前記容器の回転方向での位置を前記設定回転位相位置に位置決めする位置決め手段が設けられている点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、容器を任意の回転位相で本体に装着して回転させると、位置決め手段によって、容器を設定回転位相位置に位置決めすることができる。又、本体に対する回転方向での位置を設定回転位相位置に合わせた状態で、容器を本体に装着しても、位置決め手段によって、容器を設定回転位相位置に位置決めすることができる。
つまり、容器を任意の回転位相で本体に離脱防止状態で装着することができながらも、容器の回転方向での位置を容易に設定回転位相位置に位置決めすることができるのである。
従って、本体を適切な回転位相位置で本体に装着するための操作をより一層簡略化することができるようになった。
【0022】
本発明に係る電動調理器の更なる特徴構成は、前記容器が前記位置決め手段により位置決めされた状態で、前記容器の前記本体に対する回転及び上下方向での移動を阻止する固定手段が設けられている点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、位置決め手段により位置決めされた容器が本体に対して回転したり上下方向に移動するのを、固定手段によって阻止することができるので、容器が本体に装着されて回転駆動手段が作動しているときに、容器が回転されたり本体から取り外されたりするのを確実に防止することができる。
従って、容器の装着操作の簡略化に加えて、安全性をより一層向上することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係る電動調理器の分解斜視図
【図2】第1実施形態に係る電動調理器のミキサー用容器を装着した状態での斜視図
【図3】第1実施形態に係る電動調理器のミル用容器を装着した状態での斜視図
【図4】第1実施形態に係る電動調理器の本体の上部切り欠き斜視図
【図5】第1実施形態に係る電動調理器の本体と容器とを分離した状態での斜視図
【図6】第1実施形態に係る電動調理器の縦断側面図
【図7】第1実施形態に係る電動調理器の縦断側面図
【図8】第1実施形態に係る電動調理器の縦断側面図
【図9】第2実施形態に係る電動調理器の本体第2部位及びハンドル部周辺の平面図
【図10】第2実施形態に係る電動調理器の本体第2部位の平面図
【図11】第2実施形態に係る電動調理器のミキサー用容器を装着した状態での斜視図
【図12】第2実施形態に係る電動調理器のミル用容器を装着した状態での斜視図
【図13】別実施形態に係る電動調理器の本体第2部位及びハンドル部周辺の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
〔第1実施形態〕
先ず、第1実施形態を説明する。
図1〜図3に示すように、電動調理器は、回転駆動部としての電動式のモータ5(図6参照)が装備された本体1と、その本体1に載置状態で取り付けられ且つ着脱自在な容器Yと、その容器Y内に装備されてその容器Yが本体1に取り付けられた状態でモータ5に伝動連結される調理用回転体としてのブレード6を備えて構成されている。
容器Yは、ブレード6が装備され且つ本発明に係る後述する装着機構F(図4及び図5参照)により本体1に装着される容器台2と、その容器台2に着脱自在に取り付けられ且つ周方向の一部に容器台2よりも外方に突出するハンドル部23を有する容器体3とを備えて構成されている。
【0026】
この実施形態では、容器Yとして、被調理物を粉砕並びに攪拌するためのミキサー用容器Yxと、被調理物を粉砕するためのミル用容器Yzとが備えられている。
ミキサー用容器Yxは、上部が開口した形状であり、そのミキサー用容器Yxの開口部に着脱自在に被せられる蓋4が備えられている。
ミキサー用容器Yxは、ミキサー用容器台2xと、ハンドル部23を備えたミキサー用容器体3xとを備えて構成され、ミル用容器Yzも、ミル用容器台2zと、ハンドル部23を備えたミル用容器体3zとを備えて構成されている。
【0027】
そして、ミキサー用容器Yxを用いて被調理物を攪拌調理するときは、図1及び図2に示すように、ミキサー用容器台2xとミキサー用容器体3xとを一体的に組み付けたミキサー用容器Yxを本体1に装着する。そして、装着したミキサー用容器Yx内に被調理物を投入し、ミキサー用容器Yxの上部開口部に蓋4を装着して開口部を閉塞したのち、本体1に備えられたスイッチボタン7をON操作(押し込み操作)することで、モータ5を駆動させてブレード6を回転駆動させ、ミキサー用容器Yx内の被調理物を攪拌調理する。
ミル用容器Yzを用いて被調理物を粉砕調理するときは、図1及び図3に示すように、内部に被調理物を入れたミル用容器体3zにミル用容器台2zを装着してミル用容器Yzを組み立て、そのミル用容器Yzを本体1に装着する。そして、スイッチボタン7をON操作することで、モータ5を駆動させてブレード6を回転駆動させ、ミル用容器Yz内の被調理物を粉砕調理する。
【0028】
被調理物の調理が終了すると、ミキサー用容器Yxやミル用容器Yzを本体1から取り外す。ミキサー用容器Yxから蓋4を分離できるのは勿論のこと、本体1から取り外したミキサー用容器Yxは、ミキサー用容器台2xとミキサー用容器体3xとに分離でき、本体1から取り外したミル用容器Yzは、ミル用容器台2zとミル用容器体3zとに分離できるようになっている。そして、このようにミキサー用容器Yxやミル用容器Yzの各容器Yは、容器台2と容器体3の各部材に分離できることから、各部材を各別に容易に洗浄することができるので、ミキサー用容器Yxやミル用容器Yzの各容器Yの洗浄を容易化することができる。
【0029】
図4〜図8に示すように、本発明では、本体1に対する相対回転を許容し且つ本体1に対する上下方向及び横方向への相対移動を阻止する状態で、容器Yを本体1に対する任意の回転位相で本体に装着可能な装着機構Fが設けられている。
この実施形態では、装着機構Fが、本体の上部に設けられたフック部材16と、容器Yの底部に設けられて、フック部材16が係止される係止部15とを備えて構成されている。
そして、フック部材16が、モータ5の回転軸心に直交する方向である径方向(以下、本体径方向と記載する場合がある)に前後進自在で且つ前進方向に付勢された状態で設けられ、並びに、前進方向に向けて張り出し且つ前端側ほど下方に位置する前下がり傾斜状の上面17sを有する鉤部17を備えるように構成されている。
係止部15が、フック部材16の鉤部17が被さる状態で係止可能なように本体径方向における鉤部17の張り出し方向とは反対側に突出する状態で、環状に設けられている。
【0030】
又、ミキサー用容器Yx及びミル用容器Yz夫々が本体1に設定回転位相位置で装着されている容器装着状態を検知する第1検知手段24が設けられている。
更に、設定回転位相位置で本体1に装着されているミキサー用容器Yxに蓋4が装着されている蓋装着状態を検知する第2検知手段25が設けられている。
【0031】
次に、電動調理器の各部について、説明を加える。
尚、以下では、ミキサー用を示す添え字x及びミル用を示す添え字zを記載せずに、容器Y、容器台2、容器体3と夫々記載して、ミキサー用とミル用との共通の構成を夫々について説明する。又、ミキサー用、ミル用夫々の個別の構成を説明する場合は、ミキサー用を示す添え字x及びミル用を示す添え字zを記載して説明する。
【0032】
(本体)
図1〜図3、図5及び図6に示すように、本体1は、容器台2を着脱させる本体第1部位8とその本体第1部位8の外側に張り出した本体第2部位9を備えて構成されている。
本体第1部位8は、その上方側部位8aが概略円柱状に形成され、その下方側部位8bが、概略、円錐台形状に形成されており、その上方側部位8aの上面の中央部に上方側に膨出する円盤状の基台部10が備えられている。そして、基台部10が容器台2の内部に入り込むように、本体第1部位8の上部に容器台2が装着自在に構成されている。本体第1部位8の内部には、モータ5が配設されており、そのモータ5の回転軸5aの下部には、冷却用のファン11が固定接続されており、回転軸5aの上部には、モータ5の回転駆動力をブレード6に伝達してブレード6を回転駆動させるためのクラッチ12の駆動側部材12aが固定接続されている。駆動側部材12aは、基台部10の中央側に周方向で均等に配置された複数の係合ブレードから構成されている。
【0033】
本体第2部位9は、本体第1部位8の周方向の一部から本体第1部位8の外側(本体第1部位8の径方向外側)に張り出し且つ容器台2を載置する載置面(本体第1部位8の上面)よりも上方に突出するように延設して形成されており、概略、四角錘台形状に形成されている。そして、本体第2部位9の側壁部位9bには、モータ5の駆動開始や駆動停止等のときに操作するための複数のスイッチボタン7が配設されている。ちなみに、この実施形態では、スイッチボタン7が4つ設けられており、上方側から、食材を調製するときにON操作(押し込み操作)している間だけモータ5を駆動させるための第1スイッチボタン7a、ブレード6の清掃等を行うときにモータ5を駆動させるための第2スイッチボタン7b、食材を調製するときにモータ5を駆動させるための第3スイッチボタン7c、モータ5の駆動を停止させるための第4スイッチボタン7dが設けられている。
【0034】
また、本体第2部位9は、その上部に容器体3のハンドル部23の下端部23aが装着自在に構成されている。つまり、ミキサー用容器体3x及びミル用容器体3zの各ハンドル部23の下端部23aは、下方側に突出する幅狭の筒状の凸部に形成されており、本体第2部位9の上方側部位9aは、ハンドル部23の下端部23aが嵌まり込むように、起立壁部33で囲まれた凹状に形成されており、更に、起立壁部33の内部には、その起立壁33よりも高さが低い嵌め込み壁34が立設されている。本体第2部位9の凹状の上方側部位9aを形成する起立壁部33、及び、嵌め込み壁34は、本体第1部位8に対向する側を除く3方向を囲むものである。
ハンドル部23の下端部23aが嵌め込み壁34を内部に入れ込んだ形態で本体第2部位9の上方側部位9aに嵌まり込むことで、本体第2部位9の上部にハンドル部23が装着される。このようにハンドル部23の筒状の下端部23aが本体第2部位9の上方側部位9aに嵌まり込んだ状態で、容器Yが本体1に設定回転位相位置で装着されることになる。又、このようにハンドル部23の下端部23aが本体第2部位9の上方側部位9aに嵌まり込んだ状態で、ハンドル部23の下端部23aが本体第2部位9の上方側部位9aに装着されることになる。
つまり、この第1実施形態では、本体第2部位9の上方側部位9aの起立壁部33が、本体1に対する容器Yの回転方向での位置を設定回転位相位置に位置決めする位置決め手段として機能するように構成されている。
【0035】
図4、図6〜図8に示すように、フック部材16としては、操作側フック部材16mとその操作側フック部材16mの前後進に連動して前後進する連動側フック部材16nとの一対が、本体1の上部に、その軸心(モータ5の回転軸5a)に対して互いに反対側に振り分けて設けられている。
操作側フック部材16mは、本体径方向外方側を前進方向として本体径方向に前後進自在で且つ前進方向に第1付勢部材(例えばコイルバネ)B1により付勢された状態で、本体1の上方側部位8aの上部に設けられている。連動側フック部材16nも同様に、本体径方向外方側を前進方向として本体径方向に前後進自在で且つ前進方向に第2付勢部材B2により付勢された状態で、本体1の上方側部位8aの上部に設けられている。
操作用フック部材16m及び連動用フック部材16n夫々の鉤部17は、いずれも、本体径方向外方に向けて張り出す形状であり、上方に突出するように操作用フック部材16m及び連動用フック部材16n夫々に備えられている。
操作側フック部材16mにおける鉤部17を支持する本体部分は、本体1の本体第1部位8に形成された凹部内に入り込んだ状態で配設されて、その操作側フック部材16mの本体部分の外周部により本体1の外周部の一部が形成される。
そして、操作側フック部材16mにおける本体1の外周部に露出する部分を押圧することにより、操作側フック部材16mを第1付勢手段B1の付勢力に抗して後退させることになる。
【0036】
図4に示すように、操作用フック部材16mが前後進されると、その前後進に連動して連動用フック部材16nを前後進させる連動機構40が設けられている。
この連動機構40は、第3付勢部材B3(例えばコイルバネ)により本体径方向外方に向けて付勢された状態で設けられて、操作用フック部材16mの前後進に追従して本体径方向に前後進する押圧部材41と、その押圧部材41の前後進に追従して上下方向の軸心周りに揺動すると共に、その揺動により連動用フック部材16nを前後進させる揺動アーム42等を備えて構成されている。
【0037】
押圧部材41は、操作用フック部材16mよりも本体径方向内方側の位置に、操作用フック部材16mの後端部に当接する状態で、本体径方向に移動自在に設けられ、上述したように、第3付勢部材B3により本体径方向外方に向けて付勢されている。
揺動アーム42は、概ね「く」の字状であり、その中央部が上下方向の軸心回りに揺動自在に支持され、その一端部が押圧部材41に当接し、その他端部が連動用フック部材16nに連結されている。
そして、操作用フック部材16mの前後進に追従して押圧部材41が前後進すると、それに追従して揺動アーム42が揺動して、連動用フック部材16nが前後進するように構成されている。
【0038】
(容器台)
図1、図5〜図8に示すように、容器台2は、円筒状の容器台第1部位13とその容器台第1部位13の径方向内側に延設されてブレード6を回転自在に支持する容器台第2部位14を備えて構成されている。
容器台第1部位13は、その内部に本体第1部位8の基台部10が入り込む状態で本体第1部位8の上部に装着自在に構成されている。そして、容器台第1部位13は、その中心と本体第1部位8の中心とが合致する状態で本体第1部位8の上部に装着される。
【0039】
係止部15は、フック部材16の鉤部17の張り出し方向(本体径方向外方側)とは反対側の本体径方向内方側に突出する状態で、容器台2の容器台第1部位13の下端部に、周方向の全周にわたって環状に設けられている。
尚、図5には、係止部15が、ミキサー用容器台2xの下端部に周方向の全周にわたって環状に設けられている状態を示している。図示を省略するが、ミル用容器台2zの下端部にも、同様に、係止部15が周方向の全周にわたって環状に設けられている
【0040】
容器台第2部位14は、容器台第1部位13の上端部から折り返して下方側に延びて容器台2の内壁部を形成するとともに、その内壁部の下端部から容器台第1部位13の中央部に向けて延びる容器台2の底部を形成する概略凹状に形成されている。そして、容器台第2部位14にて形成される容器台2の底部には、その中央部に回転軸18が回転自在に支持されており、回転軸18の上部にはブレード6が固定連結され、回転軸18の下部にはクラッチ12の従動側部材12bが固定連結されている。従動側部材12bは、周方向で均等に配置された複数の係合ブレードから構成されており、上述の駆動側部材12aと従動側部材12bとが係合することで、モータ5の回転駆動力が回転軸18に伝達されてブレード6が回転駆動される。容器台第2部位14にて形成される容器台2の底部には、その径方向の外端部に容器体3の下端部がパッキン19を介して嵌め込み自在に構成されている。そして、容器台第2部位14にて形成される容器台2の内壁部には、容器体3の下部に形成された容器体側ネジ部20に螺合する容器台側ネジ部21が形成されている。これにより、容器体側ネジ部20を容器台側ネジ部21に螺合することで、容器台2に容器体3を装着して容器Yを組み付けることできるように構成されている。
【0041】
(容器体)
図1、図2、図5〜図8に示すように、ミキサー用容器体3xは、上端部及び下端部の夫々が開口された透明ガラス製又は透明樹脂製の概略円筒状に形成されており、ミキサー用容器体3xの下方側部位には容器体側ネジ部20が形成されている。そして、上述の如く、ミキサー用容器体3xに形成された容器体側ネジ部20をミキサー用容器台2xの容器台第2部位14に形成された容器台側ネジ部21に螺合させて、ミキサー用容器体3xがミキサー用容器台2xに装着される。
ミキサー用容器体3xのハンドル部23は、ミキサー用容器体3xの上方側部位からミキサー用容器体3xの外側(ミキサー用容器体3xの径方向外側)に張り出してミキサー用容器体3xの上方側部位と下方側部位とを接続するコ字状に形成されている。
そして、このミキサー用容器体3xのコ字状のハンドル部23の下端部23aが、上述の如く、本体第2部位9の上方側部位9aに嵌まり込むことになる。
【0042】
図1及び図3に示すように、ミル用容器体3zは、一端側ほど小径となり且つ小径側の端部が閉じられた概ね有底円錐台筒状に構成され、その開口部の周縁部に、容器体側ネジ部20が形成されている。そして、上述の如く、ミル用容器体3zに形成された容器体側ネジ部20をミル用容器台2zの容器台第2部位14に形成された容器台側ネジ部21に螺合させることにより、ミル用容器体3zがミル用容器台2zに装着され、閉塞空間を有するミル用容器Yzが組み立てられることになる。
ミル用容器体3zのハンドル部23は、ミル用容器Yzがそのミル用容器体3zが上方になる正立姿勢で配置された状態で、ミル用容器体3zの上方側部位からミル用容器体3zの外側(ミル用容器体3zの径方向外側)に張り出して下方側に延びる概ね逆L字状に形成されている。
そして、このミル用容器体3zのL字状のハンドル部23の下端部23aが、上述の如く、本体第2部位9の上方側部位9aに嵌まり込むことになる。
【0043】
(蓋)
図1、図2、及び、図6〜図8に示すように、蓋4は、ミキサー用容器Yの上端部の開口を開閉自在な蓋第1部位4aとその蓋第1部位4aの外側に張り出してミキサー用容器Yのハンドル部23の上部を覆う蓋第2部位4bとを備えて構成されている。
【0044】
(容器を設定回転位相位置で本体に装着する手順)
ハンドル部23の下端部23aが本体第2部位9の上方側部位9aの上方に重なる回転位相位置で容器Yを本体1の本体第1部位8上に載置する。
このように容器Yを載置した状態では、容器Yの底部の環状の係止部15が一対のフック部材16m、16nの鉤部17の上面17sに載った状態となり、その状態で容器Yを押し下げる。すると、一対のフック部材16m、16nがその前進方向に向く付勢力に抗して後退しつつ係止部17の前端を乗り越えて、係止部17に被さる形態で係止されると共に、ハンドル部23の下端部23aが本体第2部位9の上方側部位9aに嵌まり込んで装着されることになり、容器Aが起立壁部33により設定回転位相位置に位置決めされた状態で本体1に装着されることになる。
【0045】
このように、容器Yを本体1に装着するときには、容器台2を任意の回転位相で本体1に装着することができるので、容器台2と容器体3との相対回転位置関係がずれていても、本体1に対する容器体3の回転位置を設定回転位相位置に位置合わせした状態で、容器Yを本体1に装着することができる。従って、容器Yを離脱防止状態で本体1に装着する操作を容易化することができる。
容器Yを本体1から取り外すときは、操作側フック部材16mを付勢力に抗して押して後退させると、その後退に連動して、連動側フック部材16nも後退して、各フック部材16m、16nの鉤部17と係止部15との係合が解除されるので、容器Yを本体1から容易に取り外すことができる。
【0046】
(第1検知手段)
図6〜図8に基づいて、第1検知手段24について、説明する。
尚、図6は、本体1、ミキサー用容器Yx及び蓋4の全てが分離した状態を示す図であり、図7は、本体1にミキサー用容器Yxが装着され、蓋4がミキサー用容器Yxから分離した状態を示す図であり、図8は、本体1にミキサー用容器Yxが装着され、そのミキサー用容器Yxに蓋4が装着された状態を示す図である。
【0047】
第1検知手段24は、容器Yが設定回転位相位置で本体1に装着される容器装着動作を検知する第1検知部27が本体1に備えられており、容器装着動作を容器台2の外側を通して第1検知部27に伝達自在な第1伝達部材28を備えている。ここで、容器台2と容器体3とを一体結合した容器Yを本体1に装着する動作に伴う動作を容器装着動作としている。
【0048】
第1伝達部材28は、ハンドル部23を本体第2部位9に装着した状態で容器装着動作をハンドル部23の内部及び本体第2部位9の内部を介して第1検知部27に伝達自在に構成されている。つまり、第1伝達部材28は、ハンドル部23の内部に備えられて容器装着動作を伝達自在な容器側第1伝達部材28aと、本体第2部位9の内部に備えられてハンドル部23を本体第2部位9に装着したときに容器側第1伝達部材28aに接触されて容器側第1伝達部材28aからの伝達を受ける本体側第1伝達部材28bとから構成されている。
【0049】
容器側第1伝達部材28aは、ハンドル部23の下端側に、下方向きに第4付勢部材B4(例えばコイルバネ)により下向きに付勢された状態で上下方向に移動自在に支持されている。この容器側第1伝達部材28aは、その先端側の部分がハンドル部23の筒状の下端部23a内に位置するように設けられている。
本体側第1伝達部材28bは、本体第2部位9の上端部9cを貫通する状態で上下方向に延びるレバー状に形成されており、付勢部材(図示省略)により上向きに付勢された状態で、上下方向に移動自在に設けられている。そして、本体側第1伝達部材28bは、付勢部材(図示省略)により、その上端側部位が本体第2部位9の上端部9cから上方側に突出する位置に復帰付勢されている。ここで、この本体側第1伝達部材28bを付勢する付勢部材の付勢力は、容器側第1伝達部材28aを付勢する第4付勢部材B4の付勢力よりも弱くなるように設定されている。
【0050】
上述の容器側第1伝達部材28aは、ミキサー用容器体3xのハンドル部23及びミル用容器体3zのハンドル部23のいずれにも同様に設けられているが、ミル用容器体3zのハンドル部23の容器側第1伝達部材28aについては、図示を省略する。
【0051】
そして、上述の如く、容器装着動作が行われると、ハンドル部23が本体第2部位9に装着されるので、このときに、ハンドル部23の下端部23aに備えられた容器側第1伝達部材28aが、本体第2部材9に備えられた本体側第1伝達部材28bに接触して本体側第1伝達部材28bを下方側に押圧する。この押圧によって、本体側第1伝達部材28bが付勢部材の付勢力に抗して下方側に移動され、本体側第1伝達部材28bの下方側への移動が容器装着動作として第1検知部27に伝達されている。
【0052】
第1検知部27は、図示を省略するが、スイッチボタン7a〜7cのON操作(押し込み操作)を禁止するロック位置とスイッチボタン7a〜7cのON操作(押し込み操作)を許容するロック解除位置とに上下方向に移動自在な移動部材にて構成されている。この第1検知部27には、水平方向に突出する突起部を上下方向に間隔を隔てて複数備えられており、ロック位置に位置するときには、その突起部がスイッチボタン7a〜7cに当接してスイッチボタン7a〜7cの押し込み移動を規制しており、この当接によってスイッチボタン7a〜7cのON操作を禁止している。一方、第1検知部27がロック解除位置に位置するときには、突起部がスイッチボタン7a〜7cとは上下方向で異なる位置に位置しており、突起部がスイッチボタン7a〜7cに当接することなく、スイッチボタン7a〜7cのON操作を許容している。そして、第1検知部27は、付勢部材(図示省略)によりロック位置に復帰付勢されており、本体側第1伝達部材28bの下方側への移動が伝達されて容器装着動作が伝達されると、その伝達に伴ってロック位置からロック解除位置に移動自在に設けられており、このロック位置からロック解除位置に移動することで容器装着状態を検知する機械式の検知部として構成されている。
【0053】
(第2検知手段)
図6〜図8に示すように、第2検知手段25は、設定回転位相位置で本体1に装着された容器Yに蓋4が装着される蓋装着動作を伝達されると蓋装着状態を検知する第2検知部30が本体1に備えられており、蓋装着動作を容器台2の外側を通して第2検知部30に伝達自在な第2伝達部材31を備えている。ここで、容器台2と容器体3とを一体結合した容器Yを本体1に装着した状態で、その容器Yに蓋4を装着するので、その容器Yに蓋4を装着する動作を蓋装着動作としている。
【0054】
第2伝達部材31は、ハンドル部23を本体第2部位9に装着した状態で蓋装着動作をハンドル部23の内部及び本体第2部位9の内部を介して第2検知部30に伝達自在に構成されている。つまり、第2伝達部材31は、ハンドル部23の内部に備えられて蓋装着動作を伝達自在な容器側第2伝達部材31aと、本体第2部位9の内部に備えられてハンドル部23を本体第2部位9に装着したときに容器側第2伝達部材31aに接触されて容器側第2伝達部材31aからの伝達を受ける本体側第2伝達部材31bとから構成されている。
尚、本実施形態では、蓋4は、ミキサー用容器Yxに装着されるものであり、ミル用容器Yzには装着されないので、図6〜図8では、第2伝達部材31の容器側第2伝達部材31aをミキサー用容器体3xに設けた場合について図示している。
【0055】
容器側第2伝達部材31aは、ミキサー用容器体3xのハンドル部23の上端部及び下端部を貫通する状態でハンドル部23の上下方向の全長に亘って延びるレバー状に形成されており、上下方向に移動自在に設けられている。この容器側第2伝達部材31aは、その先端側の部分がハンドル部23の筒状の下端部23a内に位置する状態で、その上端部がハンドル部23の上端部と略面一となる上方位置とその上方位置よりも下方側の下方位置との間で移動自在に設けられており、第5付勢部材B5(例えばコイルバネ)により上方位置に復帰付勢されている。
本体側第2伝達部材31bは、本体第2部位9の上端部9cを貫通する状態で上下方向に延びるレバー状に形成されており、上下方向に移動自在に設けられている。そして、本体側第2伝達部材31bは、付勢部材(図示省略)によりその上端側部位が本体第2部位9の上端部9cから上方側に突出する位置に復帰付勢されている。
【0056】
上述の如く、蓋4は、ミキサー用容器体3xの上端部の開口を開閉自在な蓋第1部位4aだけでなく、ハンドル部23の上部を覆う蓋第2部位4bも備えられており、この蓋第2部位4bの下面部には、下方側に突出する蓋側凸部32が備えられている。そして、ミキサー用容器体3xに蓋4を装着する蓋装着動作を行うと、蓋第2部位4bがハンドル部23の上部を覆うが、このとき、蓋側凸部32が容器側第2伝達部材31aに接触して下方側に押圧する。この押圧によって容器側第2伝達部材31aが上方位置から下方位置に移動される。これにより、容器側第2伝達部材31aが下方位置に移動すると、容器側第2伝達部材31aの下端部が本体側第2伝達部材31bに接触して本体側第2伝達部材31bを下方側に押圧する。この押圧によって、本体側第2伝達部材31bが付勢部材の付勢力に抗して下方側に移動され、本体側第2伝達部材31bの下方側への移動が蓋装着動作として第2検知部30に伝達されている。
【0057】
第2検知部30は、本体側第2伝達部材31bの下方側への移動が伝達されるとON操作されるスイッチ部にて構成されている。
【0058】
上述したように、本体第2部位9は、本体第1部位8における容器台2を載置する載置面よりも上方に突出するように設けられているので、容器Yから被調理物がこぼれても、こぼれた被調理物が本体側第1伝達部材28bや本体側第2伝達部材31bにかかったり、本体1の内部に侵入するのを抑制することができる。
しかも、本体第2部位9の上部の起立壁部33及び嵌め込み壁34は、本体第1部位8に対向する側のみが水平方向に開口されていることから、本体側第1伝達部材28b及び本体側第2伝達部材31bの周囲に液体が滞留したり、本体1の内部に侵入するのを防止することができる。
従って、容器1から被調理物がこぼれても、第1検知手段24や第2検知手段25の検知作動に悪影響を与えたり、本体1内の部材の作動に悪影響を与えるのを抑制することができるようになった。
【0059】
尚、図示を省略するが、ミル用容器体3zのハンドル部23には、本体側第2伝達部材31bを下方側に押圧する押圧部材が設けられている。この押圧部材は、ミル用容器Yzが設定回転位相位置で本体1に装着されてハンドル部23の下端部23aが本体第2部位9の上方側部位9aに装着されると、本体側第2伝達部材31bを下方側に押圧するように設けられ、この本体側第2伝達部材31bの下方側への移動により第2検知部30をオン操作されることになる。
【0060】
又、図示を省略するが、この電動調理器の運転を制御する制御部が設けられ、この制御部は、スイッチ部で構成される第2検知部30がオン操作されない限りは、第1〜第3スイッチボタン7a〜7cのいずれがオン操作されても、モータ5を駆動させないように構成されている。
【0061】
〔第2実施形態〕
以下、図9〜図12に基づいて、本発明の第2実施形態を説明するが、この第2実施形態は容器Yを設定回転位相位置で本体1に装着するための構成の別の実施形態を説明するものであり、主として、本体1の本体第2部位9における上端部、容器側第1伝達部材28a、容器側第2伝達部材31aの構成が上記の実施形態と異なり、その他の構成は上記の第1実施形態と同様である。従って、重複説明を避けるために、第1実施形態と同じ構成要素や同じ作用を有する構成要素については、同じ符号を付すことにより説明を省略して、主として、上記の第1実施形態と異なる構成について説明する。
尚、図11は、容器Yとしてミキサー用容器Yxを用いた場合の図であり、(a)は、本体1とミキサー用容器Yxとを分離した状態を示し、(b)は、本体1に任意の回転位相でミキサー用容器Yxを装着した状態を示す。又、図12は、容器Yとしてミル用容器Yzを用いた場合の図であり、(a)は、本体1とミル用容器Yzとを分離した状態を示し、(b)は、本体1に任意の回転位相でミル用容器Yzを装着した状態を示す。
【0062】
この第2実施形態では、容器側第1伝達部材28aは、第4付勢部材B4の付勢力により下限位置に位置する状態では、容器体3のハンドル部23の下端部23aから下方に突出するように設けられている。
容器側第2伝達部材31aは、上限位置に位置するとき(容器3に蓋4が装着されていないとき)は容器体3のハンドル部23の下端部23aから引っ込み、且つ、下限位置に位置するとき(容器3に蓋4が装着されているとき)は容器体3のハンドル部23の下端部23aから下方に突出するように設けられている。
又、ハンドル部23の下端部23aには、一対の下向き突起部23cが下向きに突出する状態で、容器側第1伝達部材28a及び容器側第2伝達部材31aの両側に振り分けて設けられている。
【0063】
容器側第1伝達部材28aの下端部において、本体1に装着された容器Yを時計回り方向に回転させるときに時計回り方向の先方側の部分28sは、上方側ほど時計回り方向の先方に位置する前上がり傾斜状に形成されている。
容器側第2伝達部材31aの下端部において、本体1に装着された容器Yを時計回り方向に回転させるときに時計回り方向の先方側の部分31sも、同様に、上方側ほど時計回り方向の先方に位置する前上がり傾斜状に形成されている。
【0064】
本体第2部位9には、本体側第1伝達部材28b及び本体側第2伝達部材31bが、本体第2部位9の上端部9cから突出するように設けられている。
本体第2部位9の上端部9cには、平面視で、上端部外周縁のうちの径方向外方側の部分から時計回り方向で下手側の部分にわたる位置決め壁35が立設されている。
【0065】
次に、容器Yを設定回転位相位置で本体1に装着する場合の手順を説明する。尚、この装着手順は、ミキサー用容器Yx及びミル用容器Yzのいずれでも同様であるので、以下では、ミキサー用を示す添え字x及びミル用を示す添え字zを記載せずに説明する。
容器Yの底部の環状の係止部15が一対のフック部材16m、16nの鉤部17の上面17sに載るように、容器Yを任意の回転位相で本体の上部に位置させ、その状態で容器Yを押し下げる。すると、一対のフック部材16m、16nがその前進方向に向く付勢力に抗して後退しつつ係止部17の前端を乗り越えて、係止部17に被さる形態で係止されて、容器Yが本体1に対する相対回転を許容し且つ本体1に対する上下方向及び横方向への相対移動を阻止する状態で装着される。
このように、容器Yが本体1に装着された状態では、一対のフック部材16m、16nと係止部15との係合を維持しながら、本体1に対して容器Yを回転させることができる。
【0066】
そして、本体1に装着された容器Yを時計回り方向に回転させると、容器側第1伝達部材28aの前上がり傾斜状の下端部28sが本体側第1伝達部材28bの上端角部に当接することになり、その状態から更に容器Yを時計回りに回転させると、容器側第1伝達部材28aの前上がり傾斜状の下端部28sが本体側第1伝達部材28bの上端角部に当接しながら、容器側第1伝達部材28aの下端部が本体側第1伝達部材28bに乗り上がって、本体側第1伝達部材28bを下方側に押圧すると共に、ハンドル部23の一対の下向き突起部23cが位置決め壁35に当接して、容器Yが設定回転位相位置に位置決めされる。この押圧によって、本体側第1伝達部材28bが付勢部材の付勢力に抗して下方側に移動され、本体側第1伝達部材28bの下方側への移動が容器装着動作として第1検知部27に伝達される。
つまり、この第2実施形態では、容器Yが設定回転位相位置で本体1に装着された状態では、ハンドル部23の下端部が本体第2部位9の上端部に近接して対向する状態となるように構成されている。
又、本体1の本体第2部位9の上端部9cにおける位置決め壁35が、本体1に対する容器Yの回転方向での位置を設定回転位相位置に位置決めする位置決め手段として機能するように構成されている。そして、この位置決め壁35により構成される位置決め手段は、本体1に装着された容器Yを一方側(即ち時計回り方向)に回転させたときに、その一方側への回転を阻止することにより、本体1に対する容器Yの回転方向での位置を設定回転位相位置に位置決めするように構成されている。
【0067】
次に設定回転位相位置で本体1に装着されたミキサー用容器Yxの開口部に蓋4を装着すると、蓋側凸部32が容器側第2伝達部材31aに接触して下方側に押圧する。この押圧によって容器側第2伝達部材31aが上方位置から下方位置に移動して、容器側第2伝達部材31aの下端部が本体側第2伝達部材31bに接触し、本体側第2伝達部材31bを下方側に押圧する。この押圧によって、本体側第2伝達部材31bが付勢部材の付勢力に抗して下方側に移動され、スイッチ部で構成される第2検知部30がオン操作される。
尚、容器Yを本体1から取り外すときの操作は、上記の第1実施形態で説明した操作と同様であるので、説明を省略する。
【0068】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(A)装着機構Fの具体的構成は、上記の実施形態において例示した構成に限定されるものではない。
例えば、上記の実施形態では、フック部材16を本体1の上部に設け、係止部15を容器Yの底部に設けたが、逆に、フック部材16を容器Yの底部に設け、係止部15を本体1の上部に設けても良い。
又、上記の実施形態では、フック部材16を、本体径方向外方側が前進方向となるように設けたが、本体径方向内方側が前進方向となるように設けても良い。
この場合、鉤部17を本体径方向内方側に向けて張り出すように、フック部材16に設ける。又、係止部15は、鉤部17の張り出し方向とは反対側である本体径方向外方側に突出する状態で、容器Yの底部に設ける。
【0069】
(B)図13に示すように、上記の第2実施形態において、ハンドル部23の下端部23aが位置決め壁35に受け止められることにより、容器Yが位置決めされた状態で、容器Yの本体1に対する回転及び上下方向での移動を阻止する固定手段としての容器固定体37を設けても良い。
この容器固定体37は、本体第2部位9の上端部に上下方向の軸心周りに揺動自在に支持され、その揺動操作により、位置決め壁35で位置決めされた容器Yのハンドル部23における平面視で時計回り方向上手側の側面に当接することができ、その内面側に、突起部37aが設けられている。
ハンドル部23の下端側の側面のうち、平面視で時計回り方向の上手側の側面には、揺動扉37の突起部37aを嵌め込み可能な凹部23bが形成されている。
そして、図13の(b)に示すように、ハンドル部23の下端部23aが位置決め壁35に受け止められることにより、容器Yが位置決めされた状態で、図13の(a)に示すように、揺動扉37を揺動させて、その突起部37aをハンドル部23の凹部23bに嵌めこむと、容器Yの本体1に対する回転及び上下方向での移動が阻止されることになる。
【0070】
(C)第1検知手段24及び第2検知手段25夫々の具体構成は、上記の実施形態において例示した構成に限定されるものではない。例えば、反射式等の光センサにて構成することができる。又、第1検知手段24及び第2検知手段25を省略しても良い。
【0071】
(D)上記の実施形態では、容器Yを容器台2と容器体3とに分離自在なように構成したが、分離できない一体ものに構成しても良い。
ミル用容器Yzを、ミキサー用容器Yxと同様に上部が開口した形状に構成して、そのミル用容器Yzの開口部に着脱自在に被せられる蓋4を備えさせても良い。この場合、ミル用容器Yzのミル用容器体3zにも、ミキサー用容器体3xと同様に容器側第2伝達部材31aを設けて、第2検知手段25がミル用容器Yzにも設けられるように構成しても良い。
【0072】
(E)本発明を適用可能な電動調理器は、上記の実施形態において例示した電動調理器、即ち、ミキサー機能及びミル機能を備えたものに限定されるものではない。例えば、これらミキサー機能及びミル機能に加えて、容器Yに野菜、果実等を入れてブレード6により切削、攪拌して調理するジューサー機能等を備えた電動調理器に適用することができる。
あるいは、ミキサー機能、ミル機能及びジューサー機能のうちのいずれか一つを備えた単一機能の電動調理器にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上説明したように、容器を離脱防止状態で本体に装着する操作を簡略化し得る電動調理器を提供することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 本体
2 容器台
3 容器体
4 蓋
5 モータ(回転駆動部)
6 ブレード(調理用回転体)
15 係止部
16 フック部材
17 鉤部
17s 上面
24 第1検知手段
25 第2検知手段
27 第1検知部
28 第1伝達部材
30 第2検知部
31 第2伝達部材
33 起立壁部(位置決め手段)
35 位置決め壁(位置決め手段)
37 容器固定体(固定手段)
F 装着機構
Y 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動部が装備された本体と、前記本体に載置状態で取り付けられ且つ着脱自在な容器と、前記容器内に装備され、前記容器が前記本体に取り付けられた状態で前記回転駆動部に伝動連結される調理用回転体とを備えた電動調理器であって、
前記本体に対する相対回転を許容し且つ前記本体に対する上下方向及び横方向への相対移動を阻止する状態で、前記容器を前記本体に対する任意の回転位相で前記本体に装着可能な装着機構が設けられている電動調理器。
【請求項2】
前記装着機構が、前記本体の上部に設けられたフック部材と、前記容器の底部に設けられて、前記フック部材が係止される係止部とを備えて構成され、
前記フック部材が、前記回転駆動部の回転軸心に直交する方向である径方向に前後進自在で且つ前進方向に付勢された状態で設けられ、並びに、前進方向に向けて張り出し且つ前端側ほど下方に位置する前下がり傾斜状の上面を有する鉤部を備えるように構成され、
前記係止部が、前記フック部材の鉤部が被さる状態で係止可能なように前記径方向における前記鉤部の張り出し方向とは反対側に突出する状態で、環状に設けられている請求項1に記載の電動調理器。
【請求項3】
前記容器が前記本体に設定回転位相位置で装着されている容器装着状態を検知する第1検知手段が設けられている請求項1又は2に記載の電動調理器。
【請求項4】
前記容器の開口部に着脱自在に被せられる蓋が備えられ、
前記設定回転位相位置で前記本体に装着されている前記容器に前記蓋が装着されている蓋装着状態を検知する第2検知手段が設けられている請求項3に記載の電動調理器。
【請求項5】
前記容器が、前記調理用回転体が装備され且つ前記装着機構により前記本体に装着される容器台と、前記容器台に着脱自在に取り付けられる容器体とを備えて構成され、
前記第1検知手段が、前記容器が前記設定回転位相位置で前記本体に装着される容器装着動作を前記容器台の外側を通して前記本体に備えられた第1検知部に伝達自在な第1伝達部材を備えて、前記容器装着動作が前記第1検知部に伝達されると前記容器装着状態を検知するように構成され、
前記第2検知手段が、前記設定回転位相位置で前記本体に装着された前記容器に前記蓋が装着される蓋装着動作を前記容器台の外側を通して前記本体に備えられた第2検知部に伝達自在な第2伝達部材を備えて、前記蓋装着動作が前記第2検知部に伝達されると前記蓋装着状態を検知するように構成されている請求項4に記載の電動調理器。
【請求項6】
前記本体に対する前記容器の回転方向での位置を前記設定回転位相位置に位置決めする位置決め手段が設けられている請求項3〜5のいずれか1項に記載の電動調理器。
【請求項7】
前記容器が前記位置決め手段により位置決めされた状態で、前記容器の前記本体に対する回転及び上下方向での移動を阻止する固定手段が設けられている請求項6に記載の電動調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−244911(P2011−244911A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118985(P2010−118985)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】