説明

電子カメラのホワイトバランス調整装置

【目的】 画素信号の劣化を防止し、しかもホワイトバランス調整を容易かつ高精度に行う。
【構成】 入射光線をダイクロイックプリズム11によりG成分、R成分およびB成分に分解し、第1、第2および第3のCCD12〜14に導く。測光センサ46による測光結果に基づいて、第1のCCD12によるG成分の信号電荷の蓄積期間を定める。測色センサ47による測色結果に基づいて、第2および第3のCCD13、14によるR成分およびB成分の信号電荷の蓄積時間を定める。例えば色温度が高い時、R成分に信号電荷を蓄積する第2のCCD13の電荷蓄積期間を相対的に長くし、B成分に信号電荷を蓄積する第3のCCD14の電荷蓄積期間を相対的に短くする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子カメラに関し、特にホワイトバランス調整を行う装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来電子カメラでは、照明光の色温度にかかわらず、白い被写体が白く撮影されるように、ホワイトバランス調整が行われている。例えば照明光の色温度が高い場合には、プロセス回路においてB(ブルー)信号を増幅するアンプのゲインが相対的に小さく定められ、これによりブルーの光に対する感度が抑えられて、被写体像が青みがかることが防止される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところがプロセス回路におけるホワイトバランス調整は、演算処理される信号がアナログであるため、撮像素子から出力された画素信号が劣化しやすく、ホワイトバランス調整を高精度に行うことができないという問題があった。
【0004】本発明は、画素信号の劣化を防止し、信号をゲイン調整することなく、ホワイトバランス調整を容易かつ高精度に行うことができるホワイトバランス調整装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電子カメラのホワイトバランス調整装置は、被写界の色温度を検出する測色センサと、フォトダイオードに発生した電荷を蓄積することにより、三原色の画素信号を生成する撮像素子と、測色センサの測色結果に基づいて、撮像素子における三原色の各色成分毎の電荷蓄積期間を制御する蓄積期間制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0006】
【実施例】以下図示実施例により本発明を説明する。図1は、本発明の第1実施例であるホワイトバランス調整装置を備えた電子カメラの概略構成を示すブロック図である。
【0007】図示しない撮影レンズを通過した入射光線はダイクロイックプリズム11により、G(グリーン)成分、R(レッド)成分およびB(ブルー)成分に分解され、第1、第2および第3の撮像素子(CCD)12、13、14により検出される。これらのCCD12〜14の受光面は光学的に等価な位置にある。したがって、CCD12〜14の各受光面には同じ大きさの被写体像が結像され、またCCD12〜14からは、CCD駆動回路15〜17の制御に基づいて、それぞれG信号、R信号およびB信号が出力される。これらのG信号、R信号およびB信号は、それぞれサンプルホールド回路24〜26においてサンプルホールドされる。CCD駆動回路15〜17とサンプルホールド回路24〜26の動作は、CCDクロック発生器21〜23から出力されるクロック信号に基づいて制御される。
【0008】サンプルホールド回路24〜26から出力されたG信号、R信号およびB信号は、ニー・クリップ回路27〜29においてニー・クリップ特性を付与され、それぞれガンマ補正回路31〜33においてガンマ補正等の処理を施される。そしてこれらのG信号、R信号およびB信号は、マトリクス回路34において所定の演算処理を施され、これにより輝度信号と色差信号(R−Y,B−Y)が求められる。ニー・クリップ回路27〜29およびマトリクス回路34は、同期信号発生器38から出力されるクロック信号に基づいて作動する。
【0009】マトリクス回路34から出力された輝度信号は、加算器35において、同期信号発生器38から出力される複合同期信号を付加された後、増幅器41において増幅され、所定の方式に従った輝度信号に変換される。輝度信号と色差信号は、図示しないモニタ装置等に出力される。
【0010】同期信号発生器38の動作はシステム制御回路44により制御され、CCDクロック発生器21〜23の動作は同期信号発生器38またはシステム制御回路44により制御される。
【0011】システム制御回路44には、操作部45と測光センサ46と測色センサ47が接続されている。操作部45には、この電子カメラを作動させるための種々のスイッチ類が設けられている。この操作部45のシャッタボタンを半押ししたとき、測光センサ46により測光データが検出され、また測色センサ47によりB成分とG成分の比(B/G)とR成分とG成分の比(R/G)とが検出される。
【0012】図2は測色センサ47の構成の一例を示している。Rフィルタ47a、Gフィルタ47bおよびBフィルタ47cを通過した光線(R成分、G成分およびB成分)は、それぞれフォトダイオード47d〜47fにより検出され、フォトダイオード47d〜47fでは、受光した光量に応じた電流IR 、IG 、IB が発生する。この電流値は対数圧縮回路47g〜47iにおいて対数圧縮され、引算回路47j、47kに入力される。引算回路47jでは、R成分に対応した電流の対数値とG成分に対応した電流の対数値とが引算され、この演算結果は逆対数変換回路47mにおいて逆対数変換される。すなわち逆対数変換回路47mからは、R/Gに対応した信号が出力される。同様に、引算回路47kでは、B成分に対応した電流の対数値とG成分に対応した電流の対数値とが引算され、逆対数変換回路47nからは、B/Gに対応した信号が出力される。
【0013】図3は、色温度と白色中のR/GおよびB/Gの割合との関係を示す図である。この図に示されるように、R/Gは色温度の上昇とともに減少し、B/Gは色温度の上昇とともに増加する。後述するように本実施例では、第2および第3のCCD13、14の電荷蓄積期間と第1のCCD12の電荷蓄積期間との比を、色温度に応じて変化させることにより、ホワイトバランス調整を行っている。
【0014】次に図4を参照し、CCD12〜14の概略構成と、CCDからの画素信号の読出動作を説明する。
【0015】各CCDは、水平方向(図の横方向)および垂直方向(図の縦方向)にそれぞれ所定間隔毎に配置された多数のフォトダイオード51を有する受光部52と、受光部52に隣接して設けられた蓄積部53とを有しており、蓄積部53は受光部52に発生した1フィールド分の画素信号を蓄積するだけの容量を有している。垂直方向に並ぶ各列のフォトダイオード51の横には、垂直転送CCD54が形成されている。垂直転送CCD54の一方の端部はスミアドレイン55に接続し、また他方の端部は蓄積部53に接続している。蓄積部53の受光部52とは反対側には、水平転送CCD56が設けられている。
【0016】フォトダイオードに発生した電荷を蓄積することにより、第1のCCD12ではG成分の画素信号が生成され、第2のCCD13ではR成分の画素信号が生成され、第3のCCD14ではB成分の画素信号が生成される。
【0017】タイミングT1 では、それまでにフォトダイオード51に蓄積されていた不要電荷が垂直転送CCD54に移され、これにより各フォトダイオード51は空となって有効電荷(画素信号)の蓄積が開始される。タイミングT2 では、垂直転送CCD54にある不要電荷がスミアドレイン55に転送され、このスミアドレイン55から外部に掃き出される。なお、この間、フォトダイオード51には有効電荷が蓄積される。
【0018】フォトダイオード51に蓄積された有効電荷は、タイミングT3 においてフォトダイオード51から垂直転送CCD54に転送される。これによりフォトダイオード51における有効電荷の蓄積が終了する。すなわち、タイミングT1 とT3 の間は電子シャッタに対応する。
【0019】タイミングT4 では、有効電荷の垂直転送が開始され、有効電荷は垂直転送CCD54から蓄積部53内へ転送される。この間、フォトダイオード51と垂直転送CCD54では、不要電荷が蓄積され始める。1フィールド分の画素信号がが全て蓄積部83に転送されると、その後、所定のタイミングで信号読出しが行われる。すなわち、有効電荷は蓄積部53から水平転送CCD56を通って外部に出力される。
【0020】図5は、この電子カメラによる静止画像の記録動作のプログラムのフローチャートである。
【0021】このプログラムは、操作部45のシャッタボタンを半押しすることにより起動される。まずステップ101では、絞りが開放された状態で、測光センサ46により測光が行われ、この測光結果に基づいて電子シャッタの値と絞り値が決定される。なお、この電子シャッタの値は概略的なものであり、最終的な値はステップ106において決定される。
【0022】ステップ102では、CCD12〜14のひとつの出力信号に基づいて測距が行われ、合焦状態が得られるように撮影レンズの位置が調整される。次いでステップ103において、シャッタボタンが全押しされたことが検出されると、ステップ104において絞りが駆動され、ステップ101の測光結果に応じた状態に定められる。
【0023】ステップ105では、測色センサ47の出力信号に基づいて色温度が検出されるとともに、この色温度に基づいて、第2および第3のCCD13、14の電子シャッタスピード(電荷蓄積期間)がそれぞれ決定される。このようにCCD13、14において電荷蓄積時間を相対的に変化させることにより、R信号とB信号のアンプのゲイン調整(すなわちホワイトバランス調整)を行ったのと同じ効果が得られる。すなわち、電荷蓄積時間を相対的に長くすることはアンプのゲインを上げることと等しい効果を奏する。
【0024】ステップ106では、CCD12〜14のひとつの出力信号に基づいて測光が行われ、電子シャッタの最終的な値が決定される。ステップ107では、この電子シャッタにより、電荷蓄積が行われ、静止画の画像信号が記録される。
【0025】図6は、各CCD12〜14の電子シャッタのタイミングの一例を示している。図6を参照して、図5のステップ105〜107の動作を説明する。なお、図6では、測色センサ47によるB/GとR/Gの検出結果(ステップ105)に基づいて、色温度が相対的に高い(青みが強い)と判断された場合が示され、B成分の電荷蓄積時間が短く、かつR成分の電荷蓄積時間が長くなるように制御されている。すなわちホワイトバランス調整のためにアンプを用いた従来の構成において、R成分に対するゲインを小さくし、かつR成分に対するゲインを大きくする調整と同じ制御が行われている。
【0026】第1のCCD12(G成分)の電荷蓄積期間は、測光センサ46による測光結果(ステップ106)に基づいて定められ、例えば7H(Hは1水平走査期間を示す)に定められている。第2のCCD13(R成分)の電荷蓄積期間はG成分のそれよりも長く、8Hに定められ、また第3のCCD14(B成分)の電荷蓄積期間はG成分のそれよりも短く、6Hに定められている。
【0027】まずタイミングTR1において、第2のCCD13のフォトダイオード51の不要電荷が垂直転送CCD54に転送され、R信号の電荷蓄積が開始される。これから1Hが経過したタイミングTG1において、第1のCCD12のフォトダイオード51の不要電荷が垂直転送CCD54に転送され、G信号の電荷蓄積が開始される。さらに1Hが経過したタイミングTB1において、第3のCCD14のフォトダイオード51の不要電荷が垂直転送CCD54に転送され、B信号の電荷蓄積が開始される。すなわち、電荷蓄積期間の長いCCDから電荷蓄積が開始される。
【0028】B信号の電荷蓄積が開始されてから3Hが経過したタイミングT2 において、各CCD12〜14の垂直転送CCD54に残留していた不要電荷が同時にスミアドレイン55に転送され、このスミアドレイン55から外部に掃き出される。この不要電荷の掃き出し動作は2Hの間行われ、この掃き出し動作の終了から1Hが経過したタイミングT3 において、各CCD12〜14では、フォトダイオード51から垂直転送CCD54へ信号電荷が転送され、これにより電荷蓄積は同時に終了する。
【0029】電荷蓄積期間の終了の直後、タイミングT4 において、信号電荷は垂直転送CCD54から蓄積部53へ転送される。1フィールド分の画素信号が全て蓄積部83に転送されると、その後、所定のタイミングで信号読出しが行われ、信号電荷は蓄積部53から水平転送CCD56を通って外部に出力される。
【0030】なお、垂直ブランキング期間は20H程度であり、信号電荷の蓄積部83への転送は垂直ブランキング期間内に終了する。
【0031】以上のように本実施例は、CCD12〜14における電荷蓄積期間を制御することにより、R、G、Bの三原色の各色成分に対するゲインを調整するよう構成されている。すなわちホワイトバランス調整は、CCD12〜14から画素信号が読み出されたとき既に行われており、アナログ回路における演算処理により行われるものではない。したがって本実施例によれば、ホワイトバランス調整において信号劣化による誤差が発生するおそれがなく、ホワイトバランス調整を高精度に実施することができる。
【0032】図7は、第2実施例であるホワイトバランス調整装置を備えた電子カメラの概略構成を示すブロック図である。
【0033】本実施例では、CCD71は1個設けられ、このCCD71の受光面の前に回転色フィルタ72が配設されている。この回転色フィルタ72は、図8に示すようにRフィルタ要素、Gフィルタ要素およびBフィルタ要素を有している。回転色フィルタ72は、その軸心回りに回転自在に設けられ、ステッピングモータ73により回転駆動される。原点検出センサ74は回転色フィルタ72の縁部に近接した部位に設けられており、回転色フィルタ72の突起95(図8参照)が接近することにより、原点検出センサ74から原点信号が出力される。
【0034】CCD71はCCD駆動回路75によって制御され、これにより、回転色フィルタ72の位置に応じてR信号、G信号またはB信号が出力される。これらのG信号、R信号およびB信号は、サンプルホールド回路76においてサンプルホールドされる。CCD駆動回路75とサンプルホールド回路76の動作は、CCDクロック発生器77から出力されるクロック信号に基づいて制御される。
【0035】サンプルホールド回路76から出力されたG信号、R信号およびB信号は、ニー・クリップ回路78においてニー・クリップ特性を付与され、ガンマ補正回路79においてガンマ補正等の処理を施される。そしてG信号、R信号およびB信号は、A/D変換器81においてデジタル信号に変換される。デジタルのG信号、R信号およびB信号は、それぞれGメモリ82、Rメモリ83およびBメモリ84に一旦格納され、これらのメモリから読み出されてD/A変換器85〜87によりアナログ信号に変換される。A/D変換器81とD/A変換器85〜87の動作および各メモリ82〜84の書き込みおよび読み出し動作は、タイミングパルス発生器88から出力されるクロック信号に基づいて制御される。タイミングパルス発生器88は、同期信号発生器38とシステム制御回路44の出力信号に基づいて動作する。
【0036】アナログのG信号、R信号およびB信号は、マトリクス回路34において所定の演算処理を施され、これにより輝度信号と色差信号(R−Y,B−Y)が求められる。輝度信号は加算器35において、同期信号発生器38から出力される複合同期信号を付加された後、増幅器41において増幅され、所定の方式に従った輝度信号に変換される。輝度信号と色差信号は、図示しないモニタ装置等に出力される。
【0037】ニー・クリップ回路78およびマトリクス回路34は、同期信号発生器38から出力されるクロック信号に基づいて作動する。同期信号発生器38の動作はシステム制御回路44により制御され、CCDクロック発生器77の動作は同期信号発生器38またはシステム制御回路44により制御される。
【0038】システム制御回路44には、第1実施例と同様に、操作部45と測光センサ46と測色センサ47が接続されている。
【0039】ステッピングモータ73の回転は、システム制御回路44に設けられたモータ制御回路(図示せず)によって制御される。このモータ制御回路には、原点検出センサ74から出力される原点信号と、同期信号発生器38から出力される垂直同期信号(V−SYNC)およびフィールド信号(FLD)が、それぞれ供給される。これらの信号に基づいて、モータ制御回路ではステッピングモータ71を回転駆動するための駆動パルスが出力される。この駆動パルスに応じて回転色フィルタ72の回転位相と回転速度が制御される。また、原点信号、垂直同期信号(V−SYNC)およびフィールド信号(FLD)は、システム制御回路44において、回転色フィルタ72のフェーズの識別、CCD駆動制御およびメモリ制御等に利用される。
【0040】図8は回転色フィルタ72とその近傍の構成を示すものである。回転色フィルタ72は円板状を呈し、回転中心を通る分割線D1、D2、D3により均等に6分割されたRフィルタ要素72b、72cとGフィルタ要素72d、72eとBフィルタ要素72f、72gとを有する。回転色フィルタ72は、図示しない固定枠に回転自在に支持された回転軸91に一体的に取り付けられている。回転軸91には、ギア92が嵌着され、このギア92は、ステッピングモータ73の出力軸93に固定されたギア94に噛合している。したがってステッピングモータ73が回転すると、ギア94、92を介して回転色フィルタ72が回転し、Rフィルタ要素72b、Gフィルタ要素72d、Bフィルタ要素72f、Rフィルタ要素72c、Gフィルタ要素72e、Bフィルタ要素72gが交互にCCD71上に位置される。
【0041】図9は回転色フィルタ72の回転位相を示すものである。回転色フィルタ72は、図において時計方向に回転している。
【0042】フェーズ1は、回転色フィルタ72の第1の分割線D1がCCD71上を通過し終わって、Rフィルタ要素72bがCCD71に対向した状態である。フェーズ2は、回転色フィルタ72がフェーズ1からさらに回転して第2の分割線D2がCCD71に接近した状態である。フェーズ3は、フェーズ2の後、第2の分割線D2がCCD71上を通過してGフィルタ要素72dがCCD71に対向した状態である。フェーズ4は、フェーズ3の後、第3の分割線D3がCCD71に接近した状態である。フェーズ5は、フェーズ4の後、第3の分割線D3がCCD71上を通過してBフィルタ要素72fがCCD71に対向した状態である。フェーズ6は、フェーズ5の後、第1の分割線D1がCCD71に接近した状態である。
【0043】すなわちフェーズ1からフェーズ2までの間、Rフィルタ要素72bがCCD71の受光面を覆い、フェーズ3からフェーズ4までの間、Gフィルタ要素72dがCCD71の受光面を覆い、フェーズ5からフェーズ6までの間、Bフィルタ要素72fがCCD71の受光面を覆う。
【0044】次に、図4、図9および図10を参照して、CCD71からの画素信号の読出動作と回転色フィルタ72の回転動作との関係を説明する。なお第2実施例において、CCD71からの画素信号の読出動作は、図4に示す第1実施例の動作と基本的に同じであり、また静止画像の記録動作のプログラムも、図5に示す第1実施例のプログラムと基本的に同じである。
【0045】図10は画素信号をCCD71から読み出す動作を示しており、ここでは第1実施例と同様に、色温度が相対的に高いため、B成分に対する電荷蓄積時間を短くするとともに、R成分に対する電荷蓄積時間を長くするような制御が示されている。
【0046】回転色フィルタ72はCCD71による撮像時、モータ制御回路の制御により常に一定の回転速度で回転する。この例において、回転色フィルタ72は 1/10秒の間に1回転する。
【0047】フェーズ1からフェーズ2の間、Rフィルタ要素72bがCCD71に対向している(符号P1)。この間、タイミングTR1においてフォトダイオード51の不要電荷が垂直転送CCD54に転送され、次いでFLD信号がL(ロー)からH(ハイ)に変化する(符号P2)と同時に、垂直ブランキング信号がHからLとなる(符号P3)。
【0048】垂直ブランキング信号がLである間、まずタイミングT2 において垂直転送CCD54の不要電荷がスミアドレイン55に掃き出され、タイミングT3 においてフォトダイオード51に蓄積された有効電荷(R信号)が垂直転送CCD54に転送される。フェーズ2において、分割線D2がCCD71上を通過し始める。そしてタイミングT4 において垂直転送CCD54のR信号が蓄積部53に転送される。この転送動作は垂直ブランキング信号がLからHに変化する(符号P4)までに終了する。蓄積部53に転送されたR信号は、垂直ブランキング信号がHである間に蓄積部53から読み出される。
【0049】フェーズ3では、CCD71はGフィルタ要素72dによって覆われるようになり(符号P5)、タイミングTG1においてフォトダイオード51の不要電荷(分割線D2がCCD71上を通過している間に蓄積される不要電荷)が垂直転送CCD54に転送される。その後、R信号の読み出しが完了し、FLD信号がHからLに変化するとともに(符号P6)、垂直ブランキング信号がHからLに変化する(符号P7)。そしてタイミングT2 において垂直転送CCD54の不要電荷がスミアドレイン55に掃き出され、タイミングT3 においてフォトダイオード51に蓄積された有効電荷(G信号)が垂直転送CCD54に転送される。次いでフェーズ4では、分割線D3がCCD71上を通過し始める。
【0050】タイミングT4 では、垂直転送CCD54のG信号が蓄積部53に転送される。このG信号は、垂直ブランキング信号がLからHに変化した後(符号P8)、この信号がHである間に蓄積部53から読み出される。
【0051】以下同様にして、B信号が検出される。すなわちフェーズ5においてCCD71はBフィルタ要素72fによって覆われるようになり(符号P9)、タイミングTB1においてフォトダイオード51の不要電荷が垂直転送CCD54に転送される。そしてタイミングT2 において垂直転送CCD54の不要電荷がスミアドレイン55に掃き出され、タイミングT3 においてフォトダイオード51に蓄積された有効電荷(B信号)が垂直転送CCD54に転送される。次いでフェーズ6では、分割線D1がCCD71上を通過し始め、その後、垂直ブランキング信号がHである間にB信号は蓄積部53から読み出される。
【0052】図10の例では、R信号、G信号およびB信号を生成するためのCCD71の電荷蓄積時間は、測色結果に従って、R信号の場合が最も長く、B信号の場合が最も短い。そして電荷蓄積の開始時点は、例えば垂直ブランキング期間の始まりの時点を基準にすると、R信号の場合相対的に早く、B信号の場合相対的に遅く、また各信号において電荷蓄積は同時に終了している。
【0053】以上のように第2実施例は、各フィルタ要素72b〜72gが対向している間におけるCCD71の電荷蓄積期間を制御することにより、R、G、Bの三原色の各色成分に対するゲインを調整するよう構成されている。したがって本実施例によっても、第1実施例と同様に、ホワイトバランス調整において信号劣化による誤差が発生するおそれがなく、ホワイトバランス調整を高精度に実施することができる。
【0054】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、画素信号が劣化するのを防止し、しかもホワイトバランス調整を容易かつ高精度に行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例であるホワイトバランス調整装置を備えた電子カメラの概略構成を示すブロック図である。
【図2】測色センサの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】色温度と白色中のR/GおよびB/Gの割合との関係を示す図である。
【図4】CCDからの画素信号の読出動作を示す図である。
【図5】静止画像の記録動作を示すフローチャートである。
【図6】各CCDの電子シャッタのタイミングの一例を示す図である。
【図7】第2実施例であるホワイトバランス調整装置を備えた電子カメラの概略構成を示すブロック図である。
【図8】回転色フィルタとその近傍の構成を示す断面図である。
【図9】回転色フィルタの回転位相を示す図である。
【図10】画素信号をCCDから読み出す動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
12、13、14、71 CCD
51 フォトダイオード
72 回転色フィルタ
72b、72c Rフィルタ要素
72d、72e Gフィルタ要素
72f、72g Bフィルタ要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】 被写界の色温度を検出する測色センサと、フォトダイオードに発生した電荷を蓄積することにより、三原色の画素信号を生成する撮像素子と、前記測色センサの測色結果に基づいて、前記撮像素子における三原色の各色成分毎の電荷蓄積期間を制御する蓄積期間制御手段とを備えたことを特徴とする電子カメラのホワイトバランス調整装置。
【請求項2】 前記撮像素子は3個設けられ、第1の撮像素子はG成分を検出し、第2の撮像素子はR成分を検出し、第3の撮像素子はB成分を検出することを特徴とする電子カメラのホワイトバランス調整装置。
【請求項3】 前記蓄積期間制御手段は、電荷蓄積期間の長い撮像素子から電荷蓄積を開始し、各撮像素子の電荷蓄積を同時に終了することを特徴とする請求項2に記載の電子カメラのホワイトバランス調整装置。
【請求項4】 前記撮像素子は1個設けられ、この撮像素子の受光面の前に、Rフィルタ要素、Gフィルタ要素およびBフィルタ要素を有する回転色フィルタが配設され、この回転色フィルタは、軸回りに回転自在に設けられることを特徴とする請求項1に記載の電子カメラのホワイトバランス調整装置。

【図4】
image rotate


【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図10】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【公開番号】特開平7−250341
【公開日】平成7年(1995)9月26日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−67682
【出願日】平成6年(1994)3月11日
【出願人】(000000527)旭光学工業株式会社 (1,878)