説明

電子チューナの打振検査治具

【課題】 チューナ端子との接続部分の部品の固有振動周波数を上げるとともに、固定部の鋼性を変えることなく、密着性を良くすることで、接触不良による雑音の発生を防止する。
【解決手段】 打振検査治具は、電子チューナ11のチューナ端子13に着脱可能に接続されてチューナ端子13と一体に振動する端子台3と、この端子台3をチューナ端子13に接続するときには、固定された電子チューナ11のチューナ端子13側に端子台3を押し上げて支持固定するとともに、打振検査時には、端子台3から離れるように下方に可動する可動部4とからなり、かつ、端子台3を小型かつ軽量化することで、固有振動周波数を上げることにより、打振時にはチューナ端子13と一体に振動するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子チューナに振動を加えて電子チューナの性能評価を行うための電子チューナの打振検査治具に関する。
【0002】
【従来の技術】電子チューナの打振検査治具において、従来、電子チューナのチューナ端子と治具との接続方式(構造)は、コンタクトプローブ方式とバネ方式とが採用されていた。
【0003】コンタクトプローブ方式としては、図7(a),(b)に示す構造のものが代表的なものである。
【0004】すなわち、この方式の打振検査治具は、電子チューナ71の左右両下端部をそれぞれ受け止める左右一対の支持台81,81と、この支持台81,81にその両外側から水平方向に対向して配置され、各支持台81,81の外側面に対して近接、離間可能に設けられた固定部82,82と、支持台81,81間の下部に設けられた端子台85とを備えている。固定部82は、図示しないシリンダによって左右方向に移動可能に設けられており、端子台85は、図示しない別のシリンダによって上下動可能に設けられている。
【0005】また、端子台85には、支持台81,81上に載置される電子チューナ71の各チューナ端子73,73・・・に対向して個別に接触するコンタクトピン86,86・・・が設けられており、このコンタクトピン86は、同図(b)に示すように、端子台85に取り付けられたホルダー部87内を上下動可能に設けられている。
【0006】すなわち、ホルダー部87内にはコイルバネ88が装填されており、コンタクトピン86の下端部86aがこのコイルバネ88によって受け止められる構造になっている。これにより、コンタクトピン86は、コイルバネ88の弾発力によって、通常は上方に押し上げられており、後述する電子チューナ71のチューナ端子73に接触すると、チューナ端子73によって内部に押し込まれるようになっている。
【0007】また、ホルダー部87の下部87aには、信号引き出し線89の芯線89aがハンダ等によって電気的に接続されている。コンタクトピン86は、導電性のホルダー部87を介して、信号引き出し線89に電気信号を伝達するようになっている。
【0008】このような構造(コンタクトプローブ方式)の打振検査治具は、次のようにして用いられる。
【0009】すなわち、作業者は、電子チューナ71を支持台81,81上に載置する。この際、電子チューナ71の左右両下端部に形成された爪部(アース部)74,74が支持台81,81の外側面側に出るように載置する。この後、固定部82,82を支持台81,81に近接させ、支持台81と固定部82とで電子チューナ71の爪部74を挟持固定する。すなわち、爪部74と鉄鋼製の固定部82との接触でアースをとっている。
【0010】次に、この状態で端子台85を上昇させ、電子チューナ71のチューナ端子73と端子台85のコンタクトピン86とを接触させ、電気的に導通させる。このとき、コンタクトピン86は、チューナ端子73によってホルダー部87内に押し込まれ、圧縮されたコイルバネ88の弾発力によってチューナ端子73に圧接されている。
【0011】次に、この状態で、図示しないアンテナ端子(ANT端子)にRF信号を供給し、電子チューナ71に所定のコンタクトピン86を通じてチューナ駆動電圧とCH信号とを与えると、別の所定のコンタクトピン86から、選局された中間映像信号が取り出せる。
【0012】作業者は、この状態において、電子チューナ71自体または端子台85に、叩く等して適当な衝撃振動を加えることにより、中間映像信号の乱れ程度を図示しない計測器で計測する。
【0013】図8は、上記のコンタクトプローブ方式の代わりに、バネ方式を採用した例を示したものである。
【0014】すなわち、図8は、図7(a)に示した端子台85の断面図であり、端子台85に形成された円筒形状の貫通穴85aに、板バネ91を装着したものである。この板バネ91は、全体が略U字状に形成されており、その上端部を内部側に山型に屈曲形成してバネ部92を形成したものである。また、貫通穴85aから下方に突出した板バネ91の下端部93に、図示しない信号引き出し線の芯線がハンダ等によって電気的に接続されている。その他の構造は、図7(a)に示した打振検査治具の構造と同じである。
【0015】このような構造(バネ方式)の打振検査治具は、次のようにして用いられる。
【0016】すなわち、作業者は、電子チューナ71を支持台81,81上に載置する。この際、電子チューナ71の左右両下端部に形成された爪部74,74が支持台81,81の外側面側に出るように載置する。この後、固定部82,82を支持台81,81に近接させ、支持台81と固定部82とで電子チューナ71の爪部74を挟持固定する。すなわち、爪部74と固定部82との接触でアースをとっている。
【0017】次に、この状態で端子台85を上昇させ、電子チューナ71のチューナ端子73を端子台85に設けられた貫通穴85aに挿入し、内部の板バネ91によってコンタクトピン86を挟持させて、電気的に導通させる。
【0018】次に、この状態で、図示しないアンテナ端子(ANT端子)にRF信号を供給し、電子チューナ71に所定の板バネ91を通じてチューナ駆動電圧とCH信号とを与えると、別の所定の板バネ91から、選局された中間映像信号が取り出せる。
【0019】作業者は、この状態において、電子チューナ71自体または端子台85に、叩く等して適当な衝撃振動を加えることにより、中間映像信号の乱れ程度を図示しない計測器で計測する。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】電子チューナの打振検査では、上記したように、電子チューナ71自体または端子台85に衝撃振動を与えるため、チューナ端子73とコンタクトピン86または板バネ91との固有振動数の違いにより、チューナ端子73とコンタクトピン86または板バネ91との電気的接触が瞬間的に非接触の状態となる場合が起こり、これが計測雑音となる。つまり、計測される雑音には、回路素子自体の発する雑音、外部信号の影響による雑音の他に、このような電気的接続部分の接触不良等による雑音が含まれることになる。そのため、電子チューナ自体の信号の乱れを計測すべき打振検査治具において、電気的接続部分の接触不良等による雑音が発生すると、電子チューナ自体の良否が正確に判定できないといった問題があった。
【0021】この雑音は、上記したように、接触している部品に振動が加わったときに、それぞれが個別に違う振動モードとなるために発生する。
【0022】ここで、打振検査時に電子チューナ71に与える振動周波数は約3kHzである。従って、接触部の部品(ここでは、コンタクトピン86や板バネ91)の固有振動数は、この振動周波数(3kHz)より大きければよいことになる。
【0023】ここで、下記(1)の計算式より、チューナ端子73の固有振動周波数(共振周波数)は27.5kHzとなり、問題はない。ただし、ここでは、チューナ端子を直径0.6mm、長さ6mmの方持ち丸棒として算定している。
【0024】
【数1】


一方、コンタクトピン86の固有振動周波数は、バネの先端に重りが付いた単一振動モードを想定して計算すると、下記(2)の計算式より、約270Hzと小さいため、雑音が発生する。
【0025】
【数2】


また、板バネ91の固有振動周波数は、板厚:0.3mm、長さ12mm、幅2mmの方持ち板で算定すると、下記(3)の計算式により、約2660Hzとなり、これは加振周波数である3kHzに近いため、雑音が発生する。
【0026】
【数3】


以上のことから、接触部の部品の固有振動数を上げる工夫が必要であることが分かる。
【0027】一方、電子チューナ71の爪部74であるアース部も、雑音を発生する要因となる。すなわち、従来は図7(a)に示すように、電子チューナ71の爪部74を、鋼製の固定部82で強く挟み込む構造としていたが、固定部82が硬い材質のために密着性が悪く、この密着性の悪さが振動を与えたときの接触不良による雑音発生の要因となっていた。
【0028】本発明は係る問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、チューナ端子との接続部分の部品の固有振動周波数を上げるとともに、固定部の鋼性を変えることなく、密着性を良くすることで、接触不良による雑音の発生を防止した電子チューナの打振検査治具を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明の電子チューナの打振検査治具は、電子チューナに振動を加えて電子チューナの性能評価を行うための打振検査治具において、電子チューナのチューナ端子に着脱可能に接続されてチューナ端子と一体に振動する電気的接続部と、この電気的接続部をチューナ端子に接続するときには、固定された電子チューナのチューナ端子側に前記電気的接続部を押し付けて支持固定するとともに、打振検査時には、前記電気的接続部から離れるように可動する可動部とを備えていることを特徴とする。この場合、電気的接続部の外径寸法を、幅2.5mm以下、高さ5mm以下と小型化し、かつ、電気的接続部の重量を、電子チューナの重量の1/10以下に軽量化する。
【0030】このような特徴を有する本発明によれば、打振検査時には、可動部が電気的接続部から離れる結果、電気的接続部が自由な状態となる。また、電気的接続部の外径寸法を、幅2.5mm以下、高さ5mm以下と小型化し、その重量も、電子チューナの重量の1/10以下(例えば、5グラム(g)以下)に軽量化することで、電気的接続部の固有振動周波数が上がることになる。これにより、電子チューナを打振したとき、電気的接続部もチューナ端子と一体となって振動するため、接触不良による雑音は発生しない。
【0031】また、電気的接続部を、チューナ端子を挿入保持する接続ソケット構造に形成することで、チューナ端子を確実に挿入保持することができる。この場合、チューナ端子を挿入保持する保持手段として、接続ソケットの内部に板バネを設けるとともに、その板バネの固有振動周波数が5kHz以上となるように、板バネの厚みを0.4mm以上、バネ部の長さを5mm以下に形成する。
【0032】これにより、板バネの固有振動周波数が上がり、加振周波数である3kHzを大幅に超えるため、電子チューナを打振したとき、電気的接続部もチューナ端子と一体となって振動し、接触不良による雑音は発生しない。
【0033】また、板バネを、厚み0.4mm以上、バネ部の長さ5mm以下に形成すると、板バネが短いため、バネとしての作用範囲が小さくなり、十分な圧接力が得られない可能性もあるので、このような場合には、電気的接続部に、板バネをチューナ端子に押し付けるための押圧部材を設けてもよい。これにより、チューナ端子をより確実かつ強固に固定することが可能となり、打振検査治具としての信頼性を高めることができる。
【0034】また、本発明の電子チューナの打振検査治具は、電子チューナの左右両下端部をそれぞれ受け止める左右一対の支持台と、この支持台にその両外側から水平方向に対向して配置され、各支持台の外側面に対して近接、離間可能に設けられた固定部とを備えており、打振検査時には、電子チューナの左右両下端部に形成されたアース端子が支持台の外側面側に出るように載置された状態で、前記固定部を前記支持台に近接させることにより、支持台と固定部とで電子チューナのアース端子を挟持固定する構造の打振検査治具において、前記固定部の表面が銅板で被覆されるとともに、この銅板にアース線が接続されていることを特徴とする。この場合、固定部の外径寸法が十分大きく、電子チューナのアース端子を固定するに十分な強度を持っているときには、固定部自体を銅で形成してもよい。
【0035】このような特徴を有する本発明によれば、アース端子と固定部との接触部分においても、接触不良による雑音の発生を防止することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0037】図1は、電子チューナを含む本発明の打振検査治具の概略正面図、図2及び図3は、電子チューナを含む本発明の打振検査治具の概略斜視図、図4は、端子台部分の断面図である。
【0038】本実施の形態の打振検査治具は、電子チューナ11の左右両下端部をそれぞれ受け止める左右一対の支持台21,21と、この支持台21,21にその両外側から水平方向に対向して配置され、各支持台21,21の外側面に対して近接、離間可能に設けられた固定部22,22と、支持台21,21間の下部に設けられた端子受け部2とを備えており、固定部22は、図示しないシリンダによって左右方向に移動可能に設けられている。
【0039】端子受け部2は、電子チューナ11のチューナ端子13に着脱可能に接続されてチューナ端子13と一体に振動する電気的接続部である端子台3と、この端子台3をチューナ端子13に接続するときには、電子チューナ11のチューナ端子13側に端子台3を押し付けて支持固定するとともに、打振検査時には、端子台3から離れるように上下動する可動部4とからなる。
【0040】端子台3は、支持台21,21間の下部に設けられるが、その形状は、支持台21,21の間に余裕を持って嵌まり込むように、小型化されている。すなわち、端子台3は、横長に形成された直方体形状であって、本実施の形態では、その外径寸法が、幅2.5mm以下、高さ5mm以下に形成されている。これにより、端子台3の重量を、電子チューナ11の重量の1/10以下としている。具体的には、電子チューナ11の重量が50グラム(g)以上あるため、本実施の形態では、5グラム(g)以下となるように、その外径寸法が決定されている。
【0041】また、端子台3には、支持台21,21上に載置された電子チューナ11の各チューナ端子13,13・・・に対向する位置に、円筒形状の貫通穴31,31・・・がそれぞれ形成されており、この貫通穴31に、円筒形状に加工された導電性を有するバネ体32が装着されている。
【0042】このバネ体32は、上端部33が鍔状に形成されており、バネ体下部34が半割り状態で貫通穴31より下方に突出した形状となっている。そして、この半割り形状のバネ体下部34に、信号引き出し線51の芯線52がハンダ等によって電気的に接続されている。また、バネ体32の上部内側面が内側に若干膨出した形状となっており、この膨出部35の弾性力によって、挿入されるチューナ端子13を弾性保持するようになっている。つまり、バネ体32は、小型のソケット構造となっている。
【0043】一方、可動部4は、可動部本体41と、この可動部本体41の左右両側に形成された上向きコ字状の端子台支持部42,42と、可動部本体41を上下動可能に支持するシリンダ49とによって構成されている。
【0044】端子台3は、通常は、可動部4の端子台支持部42,42に支持されて可動部4と一体となっている(図3参照)。
【0045】このような構造の打振検査治具は、次のようにして用いられる。
【0046】すなわち、作業者は、電子チューナ11を支持台21,21上に載置する。この際、電子チューナ11の左右両下端部に形成された爪部(アース部)14,14が支持台21,21の外側面側に出るように載置する。この後、固定部22,22を支持台21,21に近接させ、支持台21と固定部22とで電子チューナ11の爪部14を挟持固定する。すなわち、爪部14と固定部22との接触でアースをとっている。
【0047】次に、この状態で端子台3を支持した可動部4の可動部本体41を上昇させ、電子チューナ11のチューナ端子13を端子台3の貫通穴31に装着されたバネ体32内に挿入し、膨出部35の弾性力によってチューナ端子13を弾性保持するとともに、電気的に導通させる。この後、可動部4の可動部本体41を降下させると、端子台3はチューナ端子13に保持される形でその場に残り、可動部本体41だけが降下して、端子台3から離れることになる(図1及び図2に示す状態)。
【0048】次に、この状態で、図示しないアンテナ端子(ANT端子)にRF信号を供給し、電子チューナ11に所定のバネ体32を通じてチューナ駆動電圧とCH信号とを与えると、別の所定のバネ体32から、選局された中間映像信号が取り出せる。
【0049】作業者は、この状態において、電子チューナ11に、叩く等して適当な衝撃振動(約3kHz)を加えることにより、中間映像信号の乱れ程度を図示しない計測器で計測する。
【0050】このように、本実施の形態の打振検査治具によれば、打振検査時には、可動部4が端子台3から離れる結果、端子台3が自由な状態となる。また、端子台3の外径寸法を、幅2.5mm以下、高さ5mm以下と小型化し、その重量も、電子チューナの重量の1/10以下に軽量化することで、端子台3の固有振動周波数が上がることになる。これにより、電子チューナ11を打振したとき、端子台3もチューナ端子13と一体となって振動するため、接触不良による雑音は発生せず、精度の高い打振検査を行うことができる。
【0051】図5は、端子台3の他の実施の形態を示しており、(a)はチューナ端子13を挿入していない状態、(b)はチューナ端子13を挿入している状態を示している。
【0052】本実施の形態では、端子台3は、上部端子台36と下部端子台37とからなり、上部端子台36に、電子チューナ11のチューナ端子13を挿入する貫通穴361が形成されている。そして、この貫通穴361内に、短冊形状の板バネ38が配置されている。
【0053】この板バネ38は、上部端子台36と下部端子台37との間に挿入挟持される挟持部381と、信号引き出し線51の芯線52との接続を行う接続部382と、貫通穴361内に突出してチューナ端子13を弾性保持する保持部383とからなる。そして、この保持部383の固有振動周波数が5kHz以上となるように、保持部383はその厚みが0.4mm以上、長さが5mm以下に形成されている。
【0054】これにより、板バネ38の保持部383の固有振動周波数が上がり(5kHz以上)、加振周波数である3kHzを大幅に超えるため、電子チューナ11を打振したとき、端子台3もチューナ端子13と一体となって振動することになる。
【0055】一方、板バネ38の保持部383を、厚み0.4mm以上、長さ5mm以下に形成すると、保持部383が短いため、バネとしての作用範囲が小さくなり、十分な保持力が得られない可能性がある。そこで、本実施の形態では、保持部383をチューナ端子13に押し付けるための押圧部材39を、上部端子台37に設けている。
【0056】すなわち、上部端子部36の貫通穴361の内側面に開口するように、水平状態で有底の部材保持穴362が形成されており、この部材保持部362に、押圧部材39が摺動可能に挿入されている。また、押圧部材39の挿入後端部391と部材保持穴362の底部363との間にコイルバネ61が介装されている。押圧部材39は、このコイルバネ61によって、図5中矢符X方向に常に付勢されるようになっている。その結果、貫通穴361内に突出した押圧部材39の突出先端部392が、バネ体38の保持部383に当接し、保持部383を矢符X方向に押圧するようになっている。
【0057】これにより、チューナ端子13を貫通穴361に挿入したとき(図5(b)参照)、チューナ端子13は、保持部383自体の弾性力と、押圧部材39による付勢力とによって、より確実かつ強固に固定されることになり、打振検査治具としての信頼性を高めることができる。
【0058】図6は、固定部22の他の実施の形態を示している。
【0059】固定部22は、上記したように、電子チューナ11のアース端子14を挟持固定する他に、アースをとるための部材でもあるが、鋼製の硬い材質であるため、アース端子14との密着性が悪く、接触不良による雑音発生の要因となっている。そこで、本実施の形態では、この鋼製の固定部22の表面に銅板23を被覆し、この銅板23にアースのための信号引き出し線24の芯線(銅線)25をハンダ等により接続した構成としている。このように、固定部22の表面に鋼鉄より導電性の良い銅板23を被覆することで、電子チューナ11のアース端子14との密着性(導電性)が向上するため、接触不良による雑音の発生を防止することができる。
【0060】なお、固定部22の外径寸法が十分大きく、電子チューナ11のアース端子14を固定するに十分な強度を持っているときには、固定部22自体を銅で形成してもよい。
【0061】
【発明の効果】本発明の電子チューナの打振検査治具によれば、打振検査時には、可動部が電気的接続部から離れる結果、電気的接続部のみがチューナ端子と一体となった状態となり、また、この電気的接続部を小型化し、その重量も電子チューナの重量の1/10以下に軽量化することで、電気的接続部の固有振動周波数を上げることができる。これにより、電子チューナを打振したとき、電気的接続部もチューナ端子と一体となって振動し、接触不良による雑音の発生を防止することができるため、打振検査の信頼性を向上することができる。
【0062】また、電気的接続部を、チューナ端子を挿入保持する接続ソケット構造に形成することで、チューナ端子を確実に挿入保持することができる。この場合、チューナ端子を挿入保持する保持手段として、接続ソケットの内部に板バネを設けるとともに、その板バネの厚みを0.4mm以上、バネ部の長さを5mm以下に形成することで、板バネの固有振動周波数を上げることができる。これにより、電子チューナを打振したとき、電気的接続部もチューナ端子と一体となって振動し、接触不良による雑音の発生を防止することができるため、打振検査の信頼性を向上することができる。
【0063】また、電気的接続部に、板バネをチューナ端子に押し付けるための押圧部材を設けた構成としたので、チューナ端子をより確実かつ強固に固定することが可能となり、打振検査治具としての信頼性を高めることができる。
【0064】また、本発明の電子チューナの打振検査治具によれば、固定部の表面を銅板で被覆するとともに、この銅板にアース線を接続した構成としたので、電子チューナのアース端子と固定部との接触部分においても、接触不良による雑音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子チューナを含む本発明の打振検査治具の概略正面図である。
【図2】図1に示す打振検査治具の概略斜視図である。
【図3】図1に示す打振検査治具の概略斜視図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】端子台の他の実施の形態を示す断面図であり、(a)はチューナ端子を挿入していない状態、(b)はチューナ端子を挿入している状態を示している。
【図6】固定部の他の実施の形態を示す説明図である。
【図7】(a)は、従来の電子チューナの打振検査治具において、コンタクトプローブ方式の構造を示す正面図、(b)はコンタクトピン部分の断面図である。
【図8】従来の電子チューナの打振検査治具において、バネ方式を採用した場合の端子台の断面図である。
【符号の説明】
2 端子受け部
3 端子台
4 可動部
11 電子チューナ
13 チューナ端子
14 爪部(アース部)
21 支持台
22 固定部
31 貫通穴
32 バネ体
33 上端部
34 バネ体下部
35 膨出部
36 上部端子台
37 下部端子台
38 板バネ
39 押圧部材
41 可動部本体
42 端子台支持部
49 シリンダ
61 コイルバネ
361 貫通穴
362 部材保持穴
363 底部
381挟持部
382 接続部
383 保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子チューナに振動を加えて電子チューナの性能評価を行うための打振検査治具において、電子チューナのチューナ端子に着脱可能に接続されてチューナ端子と一体に振動する電気的接続部と、この電気的接続部をチューナ端子に接続するときには、固定された電子チューナのチューナ端子側に前記電気的接続部を押し付けて支持固定するとともに、打振検査時には、前記電気的接続部から離れるように可動する可動部とを備えていることを特徴とする電子チューナの打振検査治具。
【請求項2】 前記電気的接続部の重量が、前記電子チューナの重量の1/10以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子チューナの打振検査治具。
【請求項3】 前記電気的接続部が、前記チューナ端子を挿入保持する接続ソケット構造に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子チューナの打振検査治具。
【請求項4】 前記電気的接続部の外径寸法が、幅2.5mm以下、高さ5mm以下に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子チューナの打振検査治具。
【請求項5】 前記チューナ端子を挿入保持する保持手段として、前記接続ソケットの内部に板バネを設けるとともに、その板バネの固有振動数が5kHz以上となるように形成されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の電子チューナの打振検査治具。
【請求項6】 前記板バネが、厚み0.4mm以上、バネ部の長さ5mm以下に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電子チューナの打振検査治具。
【請求項7】 前記電気的接続部に、前記板バネを前記チューナ端子に押し付けるための押圧部材が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の電子チューナの打振検査治具。
【請求項8】 電子チューナに振動を加えて電子チューナの性能評価を行うための打振検査治具であって、電子チューナの左右両下端部をそれぞれ受け止める左右一対の支持台と、この支持台にその両外側から水平方向に対向して配置され、各支持台の外側面に対して近接、離間可能に設けられた固定部とを備えており、打振検査時には、電子チューナの左右両下端部に形成されたアース端子が支持台の外側面側に出るように載置された状態で、前記固定部を前記支持台に近接させることにより、支持台と固定部とで電子チューナのアース端子を挟持固定する構造の打振検査治具において、前記固定部の表面が銅板で被覆されるとともに、この銅板にアース線が接続されていることを特徴とする電子チューナの打振検査治具。
【請求項9】 前記固定部全体が銅板で形成されていることを特徴とする請求項8に記載の電子チューナの打振検査治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2003−218810(P2003−218810A)
【公開日】平成15年7月31日(2003.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−14653(P2002−14653)
【出願日】平成14年1月23日(2002.1.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】