電子レンジ加熱用食品
【課題】 一つの食品で温かい食感と冷たい食感の両方が同時に得られるようにする。
【解決手段】 上下のパン生地1の間に、二枚のマイクロ波不透過性フィルム2で挟まれたアイスクリーム3を介在させ、これを急速冷凍させて冷凍物とし、食べる場合には、電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、パン生地1だけが解凍加熱され、二枚のマイクロ波不透過性フィルム2で挟まれたアイスクリーム3は加熱されないようにする。そして、マイクロ波不透過性フィルム2を除去して食べれば、外側のパン生地1によって温かくて柔らかい食感が得られ、中のアイスクリーム3によって冷たい食感が得られる。
【解決手段】 上下のパン生地1の間に、二枚のマイクロ波不透過性フィルム2で挟まれたアイスクリーム3を介在させ、これを急速冷凍させて冷凍物とし、食べる場合には、電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、パン生地1だけが解凍加熱され、二枚のマイクロ波不透過性フィルム2で挟まれたアイスクリーム3は加熱されないようにする。そして、マイクロ波不透過性フィルム2を除去して食べれば、外側のパン生地1によって温かくて柔らかい食感が得られ、中のアイスクリーム3によって冷たい食感が得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジで加熱調理するための電子レンジ加熱用冷凍食品およびこれを解凍加熱した食品に関する。
【背景技術】
【0002】
(従来例1)
【0003】
アイスクリーム容器としては、アイスクリームを収容したアイスクリーム容器部分と、アイスクリーム容器部分の上側に設けられ、氷結状態のアイスクリーム用ソースを収容したソース類容器部分とからなり、アイスクリーム容器部分が電子レンジのマイクロ波を透過させない材料で構成され、ソース類容器部分は電子レンジのマイクロ波を透過する材料で構成されたものが知られている。
【0004】
そして、前記アイスクリーム容器は、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、ソース類容器部分に入れられたアイスクリーム用ソースだけが融解し、その後、ソース類容器部分の底部を破ることによりソース類がアイスクリーム容器部分に収容されたアイスクリーム上に流下するものであった。
【0005】
(従来例2)
【0006】
フロート飲料容器としては、冷凍状態のコーラやコーヒー等の飲料とその上側に載せられたアイスクリーム等の氷結状フロートを収容した有底筒状の容器本体と、容器本体の上部開口を閉止し、かつ前記フロートを覆う蓋とからなり、容器本体が電子レンジのマイクロ波を透過する材料で構成され、蓋が電子レンジのマイクロ波を透過させない材料で構成されたものが知られている。
【0007】
そして、前記フロート飲料容器は、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、蓋で覆われた氷結状フロートは融解せず、冷凍状態の飲料だけが融解するものであった。
【特許文献1】実開昭64−22283号公報
【特許文献2】特開2003−24021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来例1記載のアイスクリーム容器の場合、電子レンジ加熱によってアイスクリームの上側に、融解したソース類が流下することにより、通常のソースがかけられたアイスクリームが得られるだけであり、これを食べても何ら新しい食感が得られるわけでなかった。
【0009】
また、従来例2記載のフロート飲料容器の場合も、電子レンジ加熱によって冷凍状態のコーラやコーヒーが融解してその上部に氷結状態のアイスクリームが浮いたコーラフロートやコーヒーフロートが得られるだけであり、何ら新しい食感が得られるものではなかった。
【0010】
本発明の目的は、電子レンジによる加熱によって新しく美味な食感が得られる電子レンジ加熱用食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の本発明は、人が食べることができる可食性外側部と、可食性外側部によって包まれ、人が食べることができる可食性内側部と、可食性内側部の外面を被覆するマイクロ波不透過性フィルムとで構成され、電子レンジ加熱後に前記フィルムを除去するようになされている電子レンジ加熱用冷凍食品である。
【0012】
請求項2記載の本発明は、人が食べることができる可食性外側部と、可食性外側部によって挟まれ、人が食べることができる可食性内側部と、可食性内側部の外面を被覆するマイクロ波不透過性フィルムとで構成され、電子レンジ加熱後に前記フィルムを除去するようになされている電子レンジ加熱用冷凍食品である。
【0013】
請求項3記載の本発明は、人が食べることができる可食性ベース部と、可食性ベース部上に載置され、人が食べることができる可食性上部と、可食性上部の外面を被覆するマイクロ波不透過性フィルムとで構成され、電子レンジ加熱後に前記フィルムを除去するようになされている電子レンジ加熱用冷凍食品である。
【0014】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載の電子レンジ加熱用冷凍食品について、その可食性外側部が、パン生地、パイ生地、シュー生地、ケーキスポンジ、クレープ生地、ピザ生地、餅またはまんじゅう生地のうちのいずれかであり、可食性内側部が、アイスクリーム、生クリームその他のクリーム類、チョコレート、あん、ジャムおよびフルーツのうちの一以上のもので構成されたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項5記載の本発明は、前記請求項3記載の電子レンジ加熱用冷凍食品について、可食性ベース部が、パン生地、パイ生地、シュー生地、ケーキスポンジ、クレープ生地、ピザ生地、餅またはまんじゅう生地のうちのいずれかであり、可食性上部が、アイスクリーム、生クリームその他のクリーム類、チョコレート、あん、ジャムおよびフルーツのうちの一以上のもので構成されたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項6記載の本発明は、前記請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品について、包装されたことを特徴とするものである。包装材料としては、紙やプラスチックフィルム等の絶縁性材料を用いるのが好ましい。
【0017】
請求項7記載の本発明は、前記請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品が急速冷凍されたものであることを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の本発明は、前記請求項1、請求項2、請求項4、請求項6および請求項7のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品における可食性外側部だけを電子レンジで解凍加熱した後、マイクロ波不透過性フィルムを除去することにより得られる食品である。
【0019】
請求項9記載の本発明は、請求項3、請求項5〜請求項7のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品における可食性上部だけを電子レンジで解凍加熱した後、マイクロ波不透過性フィルムを除去することにより得られる食品である。
【0020】
なお、マイクロ波不透過性フィルムとしては、すでに公知のあらゆるものを用いることができ、例えばアルミニウム箔やカーボン紙にポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムをラミネートしたものが挙げられる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1および請求項2記載の電子レンジ加熱用冷凍食品によれば、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、マイクロ波不透過性フィルムで被覆された可食性内側部は解凍加熱されず、可食性外側部だけが解凍加熱されるため、可食性外側部は温かい状態となるのに対し、可食性内側部は解凍されていない冷たい状態となっている。したがって、当該食品(請求項7記載の食品)を食べた場合、外側部が温かく、内側部が冷たい食感が得られ、「温」と「冷」のコラボレーションによる斬新な味わいが楽しめる。
【0022】
請求項3記載の電子レンジ加熱用冷凍食品によれば、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、マイクロ波不透過性フィルムで被覆された可食性上部は解凍加熱されず、可食性ベース部だけが解凍加熱されるため、可食性ベース部は温かい状態となるのに対し、可食性上部は解凍されていない冷たい状態となっている。したがって、当該食品(請求項8記載の食品)を食べた場合、ベース部が温かく、その上部が冷たい食感が得られ、これまた「温」と「冷」のコラボレーションによる斬新な味わいが楽しめる。
【0023】
請求項4記載の電子レンジ加熱用冷凍食品によれば、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、可食性外側部であるパン生地、パイ生地、シュー生地、ケーキスポンジ、クレープ生地、ピザ生地、餅またはまんじゅう生地が解凍加熱され、可食性内側部であるアイスクリーム、生クリームその他のクリーム類、チョコレート、あん、ジャムおよびフルーツ等は解凍されていない冷たい状態となっている。したがって、当該食品を(請求項7記載の食品)食べた場合、外側部はやわらかくて温かい食感であるのに対し、内側部は冷たくて硬い食感となるため、これら対照的な食感によって従来なかった斬新な味わいが楽しめる。
【0024】
請求項5記載の電子レンジ加熱用冷凍食品によれば、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、可食性ベース部であるパン生地、パイ生地、シュー生地、ケーキスポンジ、クレープ生地、ピザ生地、餅またはまんじゅう生地が解凍加熱され、可食性上であるアイスクリーム、生クリームその他のクリーム類、チョコレート、あん、ジャムおよびフルーツ等は解凍されていない冷たい状態となっている。したがって、当該食品を(請求項8記載の食品)食べた場合、ベース部はやわらかくて温かい食感であるのに対し、上部は冷たくて硬い食感となるため、これら対照的な食感によって従来なかった斬新な味わいが楽しめる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。
【0026】
(実施形態1)
【0027】
本実施形態は、本発明をアイスクリームパンに適用したものであって、図1に示すように、上下のパン生地1の間に二枚のマイクロ波不透過性フィルム2を配し、これらフィルム2間にはアイスクリーム3、あるいは更にカスタードクリーム等を加えたものを配し、図2に示すように、上下のパン生地1およびアイスクリーム3等並びにマイクロ波不透過性フィルム2を一体化して多層構造物4とする。次に、この多層構造物4を−10℃前後にまで急速冷凍して電子レンジ加熱用冷凍食品とする。そして、この電子レンジ加熱用冷凍食品を食べる場合には、該食品を電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、外側のパン生地1だけが加熱され、二枚のマイクロ波不透過性フィルム2で挟まれたアイスクリーム3等は加熱されないこととなる。その後、該食品を電子レンジから取り出して、図2に示すように、二枚のマイクロ波不透過性フィルム2の各一縁に形成された摘み部2aを矢印方向に引っ張ることにより、図3に示すように、二枚のマイクロ波不透過性フィルム2が抜き取られると共に上下の加熱されたパン生地1にアイスクリーム3等が挟まれたアイスクリームパン5が得られる。そして、このアイスクリームパン5を食べた場合、外側のパン生地1によって温かく且つふんわりとした食感が得られると共に、中のアイスクリーム3等によって冷たい食感が得られる。
【0028】
なお、本実施形態および後述する実施形態において、マイクロ波不透過性フィルムは、アルミニウム箔にポリエチレン等のプラスチックフィルムをラミネートしたものである。
【0029】
(実施形態2)
【0030】
本実施形態は、本発明をアイスクリームコルネに適用したものであって、図4に示すように、中空状のコルネパン生地21と、二枚のマイクロ波不透過性フィルム22と、これらフィルム22間に挟まれた円柱状のチョレートアイス23とを有し、二枚のマイクロ波不透過性フィルム22で円柱状のチョレートアイス23を挟んだ後、これを中空状のコルネパン生地21内に挿入することにより、図5に示すような状態とし、その後、これを−10℃前後にまで急速冷凍して電子レンジ加熱用冷凍食品とする。そして、この電子レンジ加熱用冷凍食品を食べる場合には、該食品を電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、外側のコルネパン生地21だけが加熱され、二枚のマイクロ波不透過性フィルム22で挟まれたチョレートアイス23は加熱されないこととなる。その後、該食品を電子レンジから取り出して、図5に示すように、マイクロ波不透過性フィルム22の一縁に形成された摘み部22aを矢印方向に引っ張ることにより、図6に示すように、二枚のマイクロ波不透過性フィルム22が抜き取られると共に加熱されたコルネパン生地1にチョコレートアイス23が入ったアイスクリームコルネ24が得られる。そして、このアイスクリームコルネ24を食べた場合、外側のコルネパン生地21によって温かく且つふんわりとした食感が得られると共に、中のチョコレートアイス23によって冷たい食感が得られる。
【0031】
(実施形態3)
【0032】
本実施形態は、本発明をアイスクレープに適用したものであって、先ずその製造方法について説明すると、図7(a)に示すように、三角形のクレープ生地31を用意し、図7(b)に示すように、クレープ生地31上にクレープ生地31より若干小さい三角形のマイクロ波不透過性フィルム32を敷設し、図8(a)に示すように、マイクロ波不透過性フィルム32上にアイスクリーム33を載せ、更に図8(b)に示すように、アイスクリーム33上にイチゴ34やキーウィ35等をトッピングし、次に、その上に図9(a)に示すように、チョコレートシロップ36をかける。そして、最後に図9(b)に示すように、クレープ生地31で前記中味を巻いて略円錐状のアイスクレープ37とする。この際、前記マイクロ波不透過性フィルム32の一端に形成された摘み部32aが略円錐状のアイスクレープ37の下端から突出した状態となる。そして、アイスクレープ37を−10℃前後にまで急速冷凍して電子レンジ加熱用冷凍食品とする。
【0033】
次に、図10(a)に示すように、冷凍されたアイスクレープ37を厚手の包装紙39で包装した後、更に、図10(b)に示すように、レンジ対応の包装袋38に入れる。その後、この冷凍食品を食べる場合、これを包装袋38ごと電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、クレープ生地31だけが加熱され、マイクロ波不透過性フィルム32で覆われたアイスクリーム33、イチゴ34やキーウィ35等のトッピングおよびチョコレートシロップ36は加熱されないこととなる。その後、図11(a)に示すように、包装袋38を開けて中の包装紙39に包まれたアイスクレープ37を取り出し、図11(b)に示すように、マイクロ波不透過性フィルム32一端の摘み部32aを摘んでマイクロ波不透過性フィルム32を引き抜くことにより、図12に示すように、包装紙39に包まれ、外側のクレープ生地31だけが温かく、中のアイスクリーム33、イチゴ34やキーウィ35等のトッピングおよびチョコレートシロップ36が冷たいアイスクレープ37が得られる。そして、これを食べた場合、外側のクレープ生地31によって温かく且つふんわりとした食感が得られると共に、中のアイスクリーム33、イチゴ34やキーウィ35等のトッピングおよびチョコレートシロップ36によって冷たい食感が得られる。また、前記アイスクリーム33は外側のクレープ生地31の加熱に伴う熱伝導によって若干溶けた状態となるため、前記「温」と「冷」の対照的な食感に加えて更に美味な食感が味わえる。
【0034】
(実施形態4)
【0035】
本実施形態は、本発明をアップルパイアイスに適用したものであって、図13(a)に示すように、ベース部となるパイ生地41と、パイ生地41の中央上部に敷設された複数のリンゴ片42と、リンゴ片42上に載せられたアイスクリーム43と、アイスクリーム43を覆うマイクロ波不透過性フィルム44とで構成されている。そして、このアップルパイアイスを−10℃前後にまで急速冷凍して電子レンジ加熱用冷凍食品とする。その後、
該冷凍食品を食べる場合、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、ベース部となるパイ生地41だけが加熱され、マイクロ波不透過性フィルム44で覆われたリンゴ片42およびアイスクリーム43は加熱されない。
次に、図13(b)に示すように、マイクロ波不透過性フィルム44の一端の摘み部44aを摘んで該フィルム44を除去した後、アップルパイアイスを食べれば、上部の冷たいアイスクリーム43とベース部の柔らかくて温かいパイ生地41との対照的な食感が得られ、またパイ生地41上のリンゴ片42はアイスクリーム43の冷たさとパイ生地41からの熱伝導に伴う温かさが混ざった状態となるため、リンゴの風味がより強調され、絶妙な味わいとなる。
【0036】
(実施形態5)
【0037】
本実施形態は、本発明をイチゴ大福に適用したものであって、図14に示すように、中心にあるイチゴ51と、該イチゴ51をくるむ餡52と、餡52を被覆する二枚のマイクロ波不透過性フィルム53と、マイクロ波不透過性フィルム53の外側層を形成する餅生地54とで構成されており、マイクロ波不透過性フィルム53の上端に形成された摘み部53aは餅生地54を貫通して上方に突出している。
【0038】
次に、前記イチゴ大福を−10℃前後にまで急速冷凍して電子レンジ加熱用冷凍食品とする。その後、該冷凍食品を食べる場合、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、餅生地54だけが加熱され、マイクロ波不透過性フィルム53で覆われたイチゴ51および餡52は加熱されない。
【0039】
そして、図14に示すように、マイクロ波不透過性フィルム53の摘み部53aを上方(矢印方向)に引っ張って、図15に示すように、該フィルム53をイチゴ大福から引き抜くことにより、外側の温かい餅生地54とその内側の餡52とが直接接触する。そして、このイチゴ大福を食べた場合、外側の柔らかくて温かい餅生地54とその内側における冷たいイチゴ51の対照的な食感が得られ、しかも両者の中間に位置する餡52はその外側の温かい餅生地54からの熱伝導によって、半解凍の状態となっており、これが前述した温かい餅生地54と冷たいイチゴ51の対照的な食感と相俟って当該イチゴ大福の味が一層引き立てられる。
【0040】
(実施形態6)
【0041】
本実施形態は、本発明をアイスクリームサンドウィッチに適用したものであって、図16(a)に示すように、中層のアイスクリーム61とその上下両面に展着されたマイクロ波不透過性フィルム62と両マイクロ波不透過性フィルム62の外側にそれぞれ形成されたケーキスポンジ生地63とで構成されている。また、前記アイスクリーム61はチョコレートアイスとバニラアイスとイチゴアイスの三層構造となされている。
【0042】
そして、前述したアイスクリームサンドウィッチを−10℃前後にまで急速冷凍して電子レンジ加熱用冷凍食品とする。その後、該冷凍食品を食べる場合、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、外側のケーキスポンジ生地63だけが加熱され、中のアイスクリーム61は加熱されない。次に、図16(a)に示すように、両マイクロ波不透過性フィルム62の一端の摘み部62aを矢印方向に引っ張って図16(b)に示すように、これらフィルム62を除去することにより、図17に示すように、外側のケーキスポンジ生地63と中のアイスクリーム61が直接接触したアイスクリームサンドウィッチが得られる。
【0043】
そして、このアイスクリームサンドウィッチを食べた場合、外側のケーキスポンジ生地63によって温かくて柔らかい食感が得られると同時に中のアイスクリーム61によって冷たくて歯ごたえのある食感が得られ、これら対照的な食感によって従来になかったアイスクリームサンドウィッチを味わうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、温かい食感と冷たい食感の両方を備えた食品が得られるため、従来になかった斬新な食品とすることができ、幅広い需要が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施形態1に係るアイスクリームパンの冷凍前の分解斜視図である。
【図2】同じくアイスクリームパンの斜視図である。
【図3】同実施形態において、マイクロ波不透過性フィルムを抜き取った状態を示す斜視図である。
【図4】実施形態2に係るアイスリームコルネの冷凍前の分解斜視図である。
【図5】同じくアイスクリームコルネの斜視図である。
【図6】同実施形態において、マイクロ波不透過性フィルムを抜き取った状態を示す斜視図である。
【図7】実施形態3に係るアイスクレープの製造過程を示す正面図であって、(a)がクレープ生地の図、(b)がクレープ生地上にマイクロ波不透過性フィルムを敷設した状態の図である。
【図8】同じく実施形態3に係るアイスクレープの製造過程を示す正面図であって、(a)がマイクロ波不透過性フィルム上にアイスクリームを載せた図、(b)がアイスクリーム上にトッピングを行った図である。
【図9】同じく実施形態3に係るアイスクレープの製造過程を示す正面図であって、(a)がトッピング後にチョコレートシロップをかけた図、(b)がクレープ生地を巻いた図である。
【図10】同じく実施形態3に係るアイスクレープの製造過程を示す正面図であって、(a)が冷凍後のアイスクレープを包装紙で巻いた図、(b)が更に包装袋に入れた図である。
【図11】同じく実施形態3に係るアイスクレープの斜視図であって、(a)が包装袋からアイスクレープを取り出す図、(b)がアイスクレープからマイクロ波不透過性フィルムを抜き取った図である。
【図12】同じく実施形態3に係るアイスクレープの斜視図である。
【図13】実施形態4に係るアップルパイアイスの正面図であって、(a)がマイクロ波不透過性フィルムを被せた状態の図、(b)がマイクロ波不透過性フィルムを外した状態の図である。
【図14】実施形態5に係るイチゴ大福の断面図である。
【図15】同じく実施形態5のイチゴ大福において、マイクロ波不透過性フィルムを抜き取った状態の断面図である。
【図16】実施形態6に係るアイスクリームサンドウィッチの正面図であって、(a)はマイクロ波不透過性フィルムが介在された状態の図、(b)はマイクロ波不透過性フィルムを抜き取った状態の図である。
【図17】同実施形態に係るアイスクリームサンドウィッチの斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 パン生地
2 マイクロ波不透過性フィルム
3 アイスクリーム
4 多層構造物
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジで加熱調理するための電子レンジ加熱用冷凍食品およびこれを解凍加熱した食品に関する。
【背景技術】
【0002】
(従来例1)
【0003】
アイスクリーム容器としては、アイスクリームを収容したアイスクリーム容器部分と、アイスクリーム容器部分の上側に設けられ、氷結状態のアイスクリーム用ソースを収容したソース類容器部分とからなり、アイスクリーム容器部分が電子レンジのマイクロ波を透過させない材料で構成され、ソース類容器部分は電子レンジのマイクロ波を透過する材料で構成されたものが知られている。
【0004】
そして、前記アイスクリーム容器は、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、ソース類容器部分に入れられたアイスクリーム用ソースだけが融解し、その後、ソース類容器部分の底部を破ることによりソース類がアイスクリーム容器部分に収容されたアイスクリーム上に流下するものであった。
【0005】
(従来例2)
【0006】
フロート飲料容器としては、冷凍状態のコーラやコーヒー等の飲料とその上側に載せられたアイスクリーム等の氷結状フロートを収容した有底筒状の容器本体と、容器本体の上部開口を閉止し、かつ前記フロートを覆う蓋とからなり、容器本体が電子レンジのマイクロ波を透過する材料で構成され、蓋が電子レンジのマイクロ波を透過させない材料で構成されたものが知られている。
【0007】
そして、前記フロート飲料容器は、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、蓋で覆われた氷結状フロートは融解せず、冷凍状態の飲料だけが融解するものであった。
【特許文献1】実開昭64−22283号公報
【特許文献2】特開2003−24021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来例1記載のアイスクリーム容器の場合、電子レンジ加熱によってアイスクリームの上側に、融解したソース類が流下することにより、通常のソースがかけられたアイスクリームが得られるだけであり、これを食べても何ら新しい食感が得られるわけでなかった。
【0009】
また、従来例2記載のフロート飲料容器の場合も、電子レンジ加熱によって冷凍状態のコーラやコーヒーが融解してその上部に氷結状態のアイスクリームが浮いたコーラフロートやコーヒーフロートが得られるだけであり、何ら新しい食感が得られるものではなかった。
【0010】
本発明の目的は、電子レンジによる加熱によって新しく美味な食感が得られる電子レンジ加熱用食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の本発明は、人が食べることができる可食性外側部と、可食性外側部によって包まれ、人が食べることができる可食性内側部と、可食性内側部の外面を被覆するマイクロ波不透過性フィルムとで構成され、電子レンジ加熱後に前記フィルムを除去するようになされている電子レンジ加熱用冷凍食品である。
【0012】
請求項2記載の本発明は、人が食べることができる可食性外側部と、可食性外側部によって挟まれ、人が食べることができる可食性内側部と、可食性内側部の外面を被覆するマイクロ波不透過性フィルムとで構成され、電子レンジ加熱後に前記フィルムを除去するようになされている電子レンジ加熱用冷凍食品である。
【0013】
請求項3記載の本発明は、人が食べることができる可食性ベース部と、可食性ベース部上に載置され、人が食べることができる可食性上部と、可食性上部の外面を被覆するマイクロ波不透過性フィルムとで構成され、電子レンジ加熱後に前記フィルムを除去するようになされている電子レンジ加熱用冷凍食品である。
【0014】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載の電子レンジ加熱用冷凍食品について、その可食性外側部が、パン生地、パイ生地、シュー生地、ケーキスポンジ、クレープ生地、ピザ生地、餅またはまんじゅう生地のうちのいずれかであり、可食性内側部が、アイスクリーム、生クリームその他のクリーム類、チョコレート、あん、ジャムおよびフルーツのうちの一以上のもので構成されたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項5記載の本発明は、前記請求項3記載の電子レンジ加熱用冷凍食品について、可食性ベース部が、パン生地、パイ生地、シュー生地、ケーキスポンジ、クレープ生地、ピザ生地、餅またはまんじゅう生地のうちのいずれかであり、可食性上部が、アイスクリーム、生クリームその他のクリーム類、チョコレート、あん、ジャムおよびフルーツのうちの一以上のもので構成されたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項6記載の本発明は、前記請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品について、包装されたことを特徴とするものである。包装材料としては、紙やプラスチックフィルム等の絶縁性材料を用いるのが好ましい。
【0017】
請求項7記載の本発明は、前記請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品が急速冷凍されたものであることを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の本発明は、前記請求項1、請求項2、請求項4、請求項6および請求項7のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品における可食性外側部だけを電子レンジで解凍加熱した後、マイクロ波不透過性フィルムを除去することにより得られる食品である。
【0019】
請求項9記載の本発明は、請求項3、請求項5〜請求項7のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品における可食性上部だけを電子レンジで解凍加熱した後、マイクロ波不透過性フィルムを除去することにより得られる食品である。
【0020】
なお、マイクロ波不透過性フィルムとしては、すでに公知のあらゆるものを用いることができ、例えばアルミニウム箔やカーボン紙にポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムをラミネートしたものが挙げられる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1および請求項2記載の電子レンジ加熱用冷凍食品によれば、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、マイクロ波不透過性フィルムで被覆された可食性内側部は解凍加熱されず、可食性外側部だけが解凍加熱されるため、可食性外側部は温かい状態となるのに対し、可食性内側部は解凍されていない冷たい状態となっている。したがって、当該食品(請求項7記載の食品)を食べた場合、外側部が温かく、内側部が冷たい食感が得られ、「温」と「冷」のコラボレーションによる斬新な味わいが楽しめる。
【0022】
請求項3記載の電子レンジ加熱用冷凍食品によれば、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、マイクロ波不透過性フィルムで被覆された可食性上部は解凍加熱されず、可食性ベース部だけが解凍加熱されるため、可食性ベース部は温かい状態となるのに対し、可食性上部は解凍されていない冷たい状態となっている。したがって、当該食品(請求項8記載の食品)を食べた場合、ベース部が温かく、その上部が冷たい食感が得られ、これまた「温」と「冷」のコラボレーションによる斬新な味わいが楽しめる。
【0023】
請求項4記載の電子レンジ加熱用冷凍食品によれば、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、可食性外側部であるパン生地、パイ生地、シュー生地、ケーキスポンジ、クレープ生地、ピザ生地、餅またはまんじゅう生地が解凍加熱され、可食性内側部であるアイスクリーム、生クリームその他のクリーム類、チョコレート、あん、ジャムおよびフルーツ等は解凍されていない冷たい状態となっている。したがって、当該食品を(請求項7記載の食品)食べた場合、外側部はやわらかくて温かい食感であるのに対し、内側部は冷たくて硬い食感となるため、これら対照的な食感によって従来なかった斬新な味わいが楽しめる。
【0024】
請求項5記載の電子レンジ加熱用冷凍食品によれば、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、可食性ベース部であるパン生地、パイ生地、シュー生地、ケーキスポンジ、クレープ生地、ピザ生地、餅またはまんじゅう生地が解凍加熱され、可食性上であるアイスクリーム、生クリームその他のクリーム類、チョコレート、あん、ジャムおよびフルーツ等は解凍されていない冷たい状態となっている。したがって、当該食品を(請求項8記載の食品)食べた場合、ベース部はやわらかくて温かい食感であるのに対し、上部は冷たくて硬い食感となるため、これら対照的な食感によって従来なかった斬新な味わいが楽しめる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。
【0026】
(実施形態1)
【0027】
本実施形態は、本発明をアイスクリームパンに適用したものであって、図1に示すように、上下のパン生地1の間に二枚のマイクロ波不透過性フィルム2を配し、これらフィルム2間にはアイスクリーム3、あるいは更にカスタードクリーム等を加えたものを配し、図2に示すように、上下のパン生地1およびアイスクリーム3等並びにマイクロ波不透過性フィルム2を一体化して多層構造物4とする。次に、この多層構造物4を−10℃前後にまで急速冷凍して電子レンジ加熱用冷凍食品とする。そして、この電子レンジ加熱用冷凍食品を食べる場合には、該食品を電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、外側のパン生地1だけが加熱され、二枚のマイクロ波不透過性フィルム2で挟まれたアイスクリーム3等は加熱されないこととなる。その後、該食品を電子レンジから取り出して、図2に示すように、二枚のマイクロ波不透過性フィルム2の各一縁に形成された摘み部2aを矢印方向に引っ張ることにより、図3に示すように、二枚のマイクロ波不透過性フィルム2が抜き取られると共に上下の加熱されたパン生地1にアイスクリーム3等が挟まれたアイスクリームパン5が得られる。そして、このアイスクリームパン5を食べた場合、外側のパン生地1によって温かく且つふんわりとした食感が得られると共に、中のアイスクリーム3等によって冷たい食感が得られる。
【0028】
なお、本実施形態および後述する実施形態において、マイクロ波不透過性フィルムは、アルミニウム箔にポリエチレン等のプラスチックフィルムをラミネートしたものである。
【0029】
(実施形態2)
【0030】
本実施形態は、本発明をアイスクリームコルネに適用したものであって、図4に示すように、中空状のコルネパン生地21と、二枚のマイクロ波不透過性フィルム22と、これらフィルム22間に挟まれた円柱状のチョレートアイス23とを有し、二枚のマイクロ波不透過性フィルム22で円柱状のチョレートアイス23を挟んだ後、これを中空状のコルネパン生地21内に挿入することにより、図5に示すような状態とし、その後、これを−10℃前後にまで急速冷凍して電子レンジ加熱用冷凍食品とする。そして、この電子レンジ加熱用冷凍食品を食べる場合には、該食品を電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、外側のコルネパン生地21だけが加熱され、二枚のマイクロ波不透過性フィルム22で挟まれたチョレートアイス23は加熱されないこととなる。その後、該食品を電子レンジから取り出して、図5に示すように、マイクロ波不透過性フィルム22の一縁に形成された摘み部22aを矢印方向に引っ張ることにより、図6に示すように、二枚のマイクロ波不透過性フィルム22が抜き取られると共に加熱されたコルネパン生地1にチョコレートアイス23が入ったアイスクリームコルネ24が得られる。そして、このアイスクリームコルネ24を食べた場合、外側のコルネパン生地21によって温かく且つふんわりとした食感が得られると共に、中のチョコレートアイス23によって冷たい食感が得られる。
【0031】
(実施形態3)
【0032】
本実施形態は、本発明をアイスクレープに適用したものであって、先ずその製造方法について説明すると、図7(a)に示すように、三角形のクレープ生地31を用意し、図7(b)に示すように、クレープ生地31上にクレープ生地31より若干小さい三角形のマイクロ波不透過性フィルム32を敷設し、図8(a)に示すように、マイクロ波不透過性フィルム32上にアイスクリーム33を載せ、更に図8(b)に示すように、アイスクリーム33上にイチゴ34やキーウィ35等をトッピングし、次に、その上に図9(a)に示すように、チョコレートシロップ36をかける。そして、最後に図9(b)に示すように、クレープ生地31で前記中味を巻いて略円錐状のアイスクレープ37とする。この際、前記マイクロ波不透過性フィルム32の一端に形成された摘み部32aが略円錐状のアイスクレープ37の下端から突出した状態となる。そして、アイスクレープ37を−10℃前後にまで急速冷凍して電子レンジ加熱用冷凍食品とする。
【0033】
次に、図10(a)に示すように、冷凍されたアイスクレープ37を厚手の包装紙39で包装した後、更に、図10(b)に示すように、レンジ対応の包装袋38に入れる。その後、この冷凍食品を食べる場合、これを包装袋38ごと電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、クレープ生地31だけが加熱され、マイクロ波不透過性フィルム32で覆われたアイスクリーム33、イチゴ34やキーウィ35等のトッピングおよびチョコレートシロップ36は加熱されないこととなる。その後、図11(a)に示すように、包装袋38を開けて中の包装紙39に包まれたアイスクレープ37を取り出し、図11(b)に示すように、マイクロ波不透過性フィルム32一端の摘み部32aを摘んでマイクロ波不透過性フィルム32を引き抜くことにより、図12に示すように、包装紙39に包まれ、外側のクレープ生地31だけが温かく、中のアイスクリーム33、イチゴ34やキーウィ35等のトッピングおよびチョコレートシロップ36が冷たいアイスクレープ37が得られる。そして、これを食べた場合、外側のクレープ生地31によって温かく且つふんわりとした食感が得られると共に、中のアイスクリーム33、イチゴ34やキーウィ35等のトッピングおよびチョコレートシロップ36によって冷たい食感が得られる。また、前記アイスクリーム33は外側のクレープ生地31の加熱に伴う熱伝導によって若干溶けた状態となるため、前記「温」と「冷」の対照的な食感に加えて更に美味な食感が味わえる。
【0034】
(実施形態4)
【0035】
本実施形態は、本発明をアップルパイアイスに適用したものであって、図13(a)に示すように、ベース部となるパイ生地41と、パイ生地41の中央上部に敷設された複数のリンゴ片42と、リンゴ片42上に載せられたアイスクリーム43と、アイスクリーム43を覆うマイクロ波不透過性フィルム44とで構成されている。そして、このアップルパイアイスを−10℃前後にまで急速冷凍して電子レンジ加熱用冷凍食品とする。その後、
該冷凍食品を食べる場合、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、ベース部となるパイ生地41だけが加熱され、マイクロ波不透過性フィルム44で覆われたリンゴ片42およびアイスクリーム43は加熱されない。
次に、図13(b)に示すように、マイクロ波不透過性フィルム44の一端の摘み部44aを摘んで該フィルム44を除去した後、アップルパイアイスを食べれば、上部の冷たいアイスクリーム43とベース部の柔らかくて温かいパイ生地41との対照的な食感が得られ、またパイ生地41上のリンゴ片42はアイスクリーム43の冷たさとパイ生地41からの熱伝導に伴う温かさが混ざった状態となるため、リンゴの風味がより強調され、絶妙な味わいとなる。
【0036】
(実施形態5)
【0037】
本実施形態は、本発明をイチゴ大福に適用したものであって、図14に示すように、中心にあるイチゴ51と、該イチゴ51をくるむ餡52と、餡52を被覆する二枚のマイクロ波不透過性フィルム53と、マイクロ波不透過性フィルム53の外側層を形成する餅生地54とで構成されており、マイクロ波不透過性フィルム53の上端に形成された摘み部53aは餅生地54を貫通して上方に突出している。
【0038】
次に、前記イチゴ大福を−10℃前後にまで急速冷凍して電子レンジ加熱用冷凍食品とする。その後、該冷凍食品を食べる場合、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、餅生地54だけが加熱され、マイクロ波不透過性フィルム53で覆われたイチゴ51および餡52は加熱されない。
【0039】
そして、図14に示すように、マイクロ波不透過性フィルム53の摘み部53aを上方(矢印方向)に引っ張って、図15に示すように、該フィルム53をイチゴ大福から引き抜くことにより、外側の温かい餅生地54とその内側の餡52とが直接接触する。そして、このイチゴ大福を食べた場合、外側の柔らかくて温かい餅生地54とその内側における冷たいイチゴ51の対照的な食感が得られ、しかも両者の中間に位置する餡52はその外側の温かい餅生地54からの熱伝導によって、半解凍の状態となっており、これが前述した温かい餅生地54と冷たいイチゴ51の対照的な食感と相俟って当該イチゴ大福の味が一層引き立てられる。
【0040】
(実施形態6)
【0041】
本実施形態は、本発明をアイスクリームサンドウィッチに適用したものであって、図16(a)に示すように、中層のアイスクリーム61とその上下両面に展着されたマイクロ波不透過性フィルム62と両マイクロ波不透過性フィルム62の外側にそれぞれ形成されたケーキスポンジ生地63とで構成されている。また、前記アイスクリーム61はチョコレートアイスとバニラアイスとイチゴアイスの三層構造となされている。
【0042】
そして、前述したアイスクリームサンドウィッチを−10℃前後にまで急速冷凍して電子レンジ加熱用冷凍食品とする。その後、該冷凍食品を食べる場合、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、外側のケーキスポンジ生地63だけが加熱され、中のアイスクリーム61は加熱されない。次に、図16(a)に示すように、両マイクロ波不透過性フィルム62の一端の摘み部62aを矢印方向に引っ張って図16(b)に示すように、これらフィルム62を除去することにより、図17に示すように、外側のケーキスポンジ生地63と中のアイスクリーム61が直接接触したアイスクリームサンドウィッチが得られる。
【0043】
そして、このアイスクリームサンドウィッチを食べた場合、外側のケーキスポンジ生地63によって温かくて柔らかい食感が得られると同時に中のアイスクリーム61によって冷たくて歯ごたえのある食感が得られ、これら対照的な食感によって従来になかったアイスクリームサンドウィッチを味わうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、温かい食感と冷たい食感の両方を備えた食品が得られるため、従来になかった斬新な食品とすることができ、幅広い需要が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施形態1に係るアイスクリームパンの冷凍前の分解斜視図である。
【図2】同じくアイスクリームパンの斜視図である。
【図3】同実施形態において、マイクロ波不透過性フィルムを抜き取った状態を示す斜視図である。
【図4】実施形態2に係るアイスリームコルネの冷凍前の分解斜視図である。
【図5】同じくアイスクリームコルネの斜視図である。
【図6】同実施形態において、マイクロ波不透過性フィルムを抜き取った状態を示す斜視図である。
【図7】実施形態3に係るアイスクレープの製造過程を示す正面図であって、(a)がクレープ生地の図、(b)がクレープ生地上にマイクロ波不透過性フィルムを敷設した状態の図である。
【図8】同じく実施形態3に係るアイスクレープの製造過程を示す正面図であって、(a)がマイクロ波不透過性フィルム上にアイスクリームを載せた図、(b)がアイスクリーム上にトッピングを行った図である。
【図9】同じく実施形態3に係るアイスクレープの製造過程を示す正面図であって、(a)がトッピング後にチョコレートシロップをかけた図、(b)がクレープ生地を巻いた図である。
【図10】同じく実施形態3に係るアイスクレープの製造過程を示す正面図であって、(a)が冷凍後のアイスクレープを包装紙で巻いた図、(b)が更に包装袋に入れた図である。
【図11】同じく実施形態3に係るアイスクレープの斜視図であって、(a)が包装袋からアイスクレープを取り出す図、(b)がアイスクレープからマイクロ波不透過性フィルムを抜き取った図である。
【図12】同じく実施形態3に係るアイスクレープの斜視図である。
【図13】実施形態4に係るアップルパイアイスの正面図であって、(a)がマイクロ波不透過性フィルムを被せた状態の図、(b)がマイクロ波不透過性フィルムを外した状態の図である。
【図14】実施形態5に係るイチゴ大福の断面図である。
【図15】同じく実施形態5のイチゴ大福において、マイクロ波不透過性フィルムを抜き取った状態の断面図である。
【図16】実施形態6に係るアイスクリームサンドウィッチの正面図であって、(a)はマイクロ波不透過性フィルムが介在された状態の図、(b)はマイクロ波不透過性フィルムを抜き取った状態の図である。
【図17】同実施形態に係るアイスクリームサンドウィッチの斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 パン生地
2 マイクロ波不透過性フィルム
3 アイスクリーム
4 多層構造物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が食べることができる可食性外側部と、可食性外側部によって包まれ、人が食べることができる可食性内側部と、可食性内側部の外面を被覆するマイクロ波不透過性フィルムとで構成され、電子レンジ加熱後に前記フィルムを除去するようになされている、電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項2】
人が食べることができる可食性外側部と、可食性外側部によって挟まれ、人が食べることができる可食性内側部と、可食性内側部の外面を被覆するマイクロ波不透過性フィルムとで構成され、電子レンジ加熱後に前記フィルムを除去するようになされている、電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項3】
人が食べることができる可食性ベース部と、可食性ベース部上に載置され、人が食べることができる可食性上部と、可食性上部の外面を被覆するマイクロ波不透過性フィルムとで構成され、電子レンジ加熱後に前記フィルムを除去するようになされている、電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項4】
可食性外側部が、パン生地、パイ生地、シュー生地、ケーキスポンジ、クレープ生地、ピザ生地、餅生地またはまんじゅう生地のうちのいずれかであり、可食性内側部が、アイスクリーム、生クリームその他のクリーム類、チョコレート、あん、ジャムおよびフルーツのうちの一以上のもので構成されたことを特徴とする、請求項1または請求項2記載の電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項5】
可食性ベース部が、パン生地、パイ生地、シュー生地、ケーキスポンジ、クレープ生地、ピザ生地、餅またはまんじゅう生地のうちのいずれかであり、可食性上部が、アイスクリーム、生クリームその他のクリーム類、チョコレート、あん、ジャムおよびフルーツのうちの一以上のもので構成されたことを特徴とする、請求項3記載の電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項6】
包装された、請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項7】
急速冷凍されたものであることを特徴とする、請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項8】
請求項1、請求項2、請求項4、請求項6および請求項7のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品における可食性外側部だけを電子レンジで解凍加熱した後、マイクロ波不透過性フィルムを除去することにより得られる食品。
【請求項9】
請求項3、請求項5〜請求項7のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品における可食性上部だけを電子レンジで解凍加熱した後、マイクロ波不透過性フィルムを除去することにより得られる食品。
【請求項1】
人が食べることができる可食性外側部と、可食性外側部によって包まれ、人が食べることができる可食性内側部と、可食性内側部の外面を被覆するマイクロ波不透過性フィルムとで構成され、電子レンジ加熱後に前記フィルムを除去するようになされている、電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項2】
人が食べることができる可食性外側部と、可食性外側部によって挟まれ、人が食べることができる可食性内側部と、可食性内側部の外面を被覆するマイクロ波不透過性フィルムとで構成され、電子レンジ加熱後に前記フィルムを除去するようになされている、電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項3】
人が食べることができる可食性ベース部と、可食性ベース部上に載置され、人が食べることができる可食性上部と、可食性上部の外面を被覆するマイクロ波不透過性フィルムとで構成され、電子レンジ加熱後に前記フィルムを除去するようになされている、電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項4】
可食性外側部が、パン生地、パイ生地、シュー生地、ケーキスポンジ、クレープ生地、ピザ生地、餅生地またはまんじゅう生地のうちのいずれかであり、可食性内側部が、アイスクリーム、生クリームその他のクリーム類、チョコレート、あん、ジャムおよびフルーツのうちの一以上のもので構成されたことを特徴とする、請求項1または請求項2記載の電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項5】
可食性ベース部が、パン生地、パイ生地、シュー生地、ケーキスポンジ、クレープ生地、ピザ生地、餅またはまんじゅう生地のうちのいずれかであり、可食性上部が、アイスクリーム、生クリームその他のクリーム類、チョコレート、あん、ジャムおよびフルーツのうちの一以上のもので構成されたことを特徴とする、請求項3記載の電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項6】
包装された、請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項7】
急速冷凍されたものであることを特徴とする、請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項8】
請求項1、請求項2、請求項4、請求項6および請求項7のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品における可食性外側部だけを電子レンジで解凍加熱した後、マイクロ波不透過性フィルムを除去することにより得られる食品。
【請求項9】
請求項3、請求項5〜請求項7のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品における可食性上部だけを電子レンジで解凍加熱した後、マイクロ波不透過性フィルムを除去することにより得られる食品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−247325(P2009−247325A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102816(P2008−102816)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【特許番号】特許第4343990号(P4343990)
【特許公報発行日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(508110928)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【特許番号】特許第4343990号(P4343990)
【特許公報発行日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(508110928)
【Fターム(参考)】
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