電子内視鏡装置
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内視鏡挿入部の先端に固体撮像素子を設けて、観察像を電気信号に変換して外部に伝送した後、モニタ等に再生するようにした電子内視鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内視鏡の挿入部先端に設けられた固体撮像素子から伝送されてくる映像信号を、違和感を感じさせない画像として再生するためにはガンマ補正を行う必要がある。
【0003】そこで従来は、ガンマ補正部に入力される映像信号(原信号)値に対応するガンマ補正後の出力値を、メモリによって構成されたルックアップテーブルに書き込んでおき、映像信号をルックアップテーブルのメモリのアドレス信号として印加して、それに対応するガンマ補正値を出力させている。補正後の信号は、再びアナログ信号に変換された後に映像信号処理され、モニタに映像表示される(特開平1−178235号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ルックアップテーブルに書き込まれるガンマ補正値は、入力される原信号値の大きさに対応して大きな値をとる。したがって、その全データが書き込まれるルックアップテーブルは非常に大きなメモリ容量が必要であり、そのためにいわゆるメモリ効率が悪くて回路が大型化し、製造コストや消費電力も大きくなるなど経済性も悪かった。
【0005】そこで本発明は、ガンマ補正のためのルックアップテーブルを小さなメモリで構成することができる、メモリ効率の良い電子内視鏡装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の電子内視鏡装置は、内視鏡挿入部の先端に設けられた固体撮像素子から送られてくる映像信号をデジタル信号に変換した後、ガンマ補正部において、ルックアップテーブルに書き込まれたガンマ補正データを読み出して上記映像信号のガンマ補正を行うようにした電子内視鏡装置において、上記ルックアップテーブルには、原信号に対するガンマ補正分のみのデータを書き込んでおき、そのデータを上記ガンマ補正部において原信号に加算して補正信号として出力することを特徴とする。
【0007】なお、上記固体撮像素子から送られてくる映像信号をデジタル信号に変換した後、赤、緑、青の三色に対応した信号の各々に対して独立してガンマ補正を行うための三つのガンマ補正部を設けてもよい。
【0008】また、複数種類のガンマ補正データを一つのメモリに書き込んで、そのうちの一つのガンマ補正データを選択して使用するためのガンマ特性選択手段を設けてもよく、その場合、複数種類のガンマ補正データのうちどのガンマ補正データが選択使用されているかを示すためのガンマ特性表示手段を設けるとよい。
【0009】
【実施例】図面を参照して実施例を説明する。図2は本発明の実施例の電子内視鏡装置の全体的構成を示しており、内視鏡1の挿入部2の先端に設けられた対物光学系3による被写体の結像位置に、例えば電荷結合素子(CCD)からなる固体撮像素子4が配置されている。5は、観察範囲を照明する照明光を伝達するためのライトガイドファイババンドルである。
【0010】ビデオプロセッサ10に接続される内視鏡1のコネクタ部6には、固体撮像素子4に入出力される信号の増幅等を行う駆動回路7と、その内視鏡1に固有のデータ等が格納された書き換え可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)8などが配置されている。
【0011】ビデオプロセッサ10は照明光源装置を兼用しており、内視鏡1のライトガイドファイババンドル5に対して、光源ランプ11から照明光が入射される。その入射光路の途中には、赤(R)、緑(G)及び青(B)の三色のカラーフィルタが取り付けられた三色回転フィルタ12が定速回転するように配置されていて、ライトガイドファイババンドル5に対して、赤、緑及び青の各色照明光が時間をずらして順に入射される。
【0012】固体撮像素子4の駆動回路7と接続されるCCDプロセス部14の出力端は、タイミング回路15を介してビデオプロセス部16の入力端に接続されており、ビデオプロセス部16からの出力信号はモニタ18に送られる。
【0013】そして、CCDプロセス部14、タイミング回路15及びビデオプロセス部16の動作は、中央演算装置(CPU)を有するシステムコントロール部17において連動して制御される。また、システムコントロール部17に接続されたペリフェラルドライバ19を介して、それに接続されたEEPROM8から内視鏡側のデータが読み込まれる。
【0014】図3は、上述のCCDプロセス部14とビデオプロセス部16の構成を具体的に示したものである。CCDプロセス部14においては、固体撮像素子4からの出力信号が増幅器23で増幅された後、サンプル保持回路24で映像信号が抽出され、アナログデジタル変換回路25でデジタル信号化された後、ガンマ補正回路26においてガンマ補正が行われる。
【0015】ガンマ補正された映像信号は、タイミング回路15によって固体撮像素子4の駆動と同期して切り換えられて、順次、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に対応したフレームメモリ28R,28G,28Bに格納される。
【0016】フレームメモリ28R,28G,28Bに格納された各信号は同時に読み出されて、各々デジタルアナログ変換回路29R,29G,29Bでアナログの色信号に変換される。
【0017】その三色の色信号は、各々三原色信号として出力されると共に、それと並列にNTSCエンコーダ30に入力され、NTSC方式の複合ビデオ信号に変換されてモニタ18に出力される。
【0018】図1は、ガンマ補正回路26の内容を示しており、ガンマ補正回路26は、ルックアップテーブル用の読み出し専用メモリ32と加算回路33とによって形成されている。
【0019】図4及び図5は、ルックアップテーブル用メモリ32に書き込まれたデータの一例を、線グラフ化して示している。図4に示されるように、タイミング回路15に向けて出力されるべきガンマ補正値は、入力される原信号に対して大きな値をとる。しかし、斜線で示される補正分データの総和は、ガンマ補正値の総和に比べれば遙かに小さい。
【0020】そこで本実施例においては、ルックアップテーブル用メモリ32には図5に示されるガンマ補正分データのみを書き込んでおき、原信号をルックアップテーブル用メモリ32のアドレス信号として印加して、そのアドレスに対応する補正分データをルックアップテーブル用メモリ32から読み出し、加算回路33において原信号に補正分データを加算してガンマ補正値として出力するようにしている。
【0021】そのようにすると、図1に示されるように、例えば10ビットの原信号に対して、ガンマ補正分データはフルスケールの1/4なので、ルックアップテーブル用メモリ32のメモリは例えば8ビットと原信号より小さくて済み、加算回路33の出力信号は原信号と同じ10ビットになる。
【0022】なお、例えばアナログデジタル変換回路25の線形補正端子に基準電圧を加えることによって、図6R>6に示されるようにガンマ補正値を線形補正すれば、ガンマ補正分データは図7に示されるようにさらに少なくなるので、メモリ効率がさらに向上する。
【0023】なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば図8に示されるように、ガンマ補正回路26R,26G,26Bをビデオプロセス部16内の各色フレームメモリ28R,28G,28Bの出力端に接続して、赤、緑、青の各色信号に対して各々独立してガンマ補正を行うものに適用してもよい。その場合の各ガンマ補正回路26R,26G,26Bの構成及び動作は、前述の第1の実施例と同様である。
【0024】図9ないし図17は本発明の第3の実施例を示しており、一つのメモリに複数種類のガンマ補正データを書き込んでおき、その中から一つのガンマ補正データを選択して使用するようにし、さらに、どのガンマ補正データが選択使用されているかを表示して確認できるようにしたものである。
【0025】ここで用いられるガンマ補正データは、前述の第1の実施例の場合と同様の、補正分のみのデータである。なお、実施例ではガンマ補正データを二種類設けた例を示してあるが、三種類以上設けてもよい。
【0026】図9は、ルックアップテーブル用メモリ32の内容を略示しており、アドレスのビット数がデータのビット数より多いメモリを使用して、余分に設けられた上位のビットをスイッチ用に使用している。
【0027】そして、例えばアドレスの0から1023までの第1のルックアップテーブルには第1のガンマ補正データを書き込んであり、1024から2047までの第2のルックアップテーブルには第2のガンマ補正データを書き込んである。
【0028】このメモリ32のスイッチ用のビットを「0」にした場合、アドレスは0から1023の範囲で動作し、「1」にした場合1024から2047の範囲で動作する。スイッチ用のビット数を増やすほどより多種類のデータを切り換えることができる。
【0029】図10は内視鏡のコネクタ6側を示しており、図2にも示されているEEPROM8に、その内視鏡の特性に合わせて「0」または「1」のいずれかが書き込まれている。そして、ビデオプロセッサ10にコネクタ6を接続すると、その「0」または「1」の信号が、図11に示されるように、ルックアップテーブル用メモリ32のスイッチ用ビットに送られ、そのメモリ32において第1又は第2のガンマ補正データのいずれか一方が選択される。
【0030】なお、内視鏡の特性に合わせて「0」または「1」をルックアップテーブル用メモリ32に与えるには、図12に示されるように、内視鏡内で設定される電位によって「0」または「1」を固定的に作ってもよい。
【0031】或いは図13に示されるように、コネクタ6に形成した凹凸部等によってビデオプロセッサ10内のスイッチ41を開閉させることによって、「0」または「1」を作ってもよい。
【0032】また、図14に示される様な手動のスイッチ42を内視鏡1側またはビデオプロセッサ10側に設けて、オペレータが被検体の状態に合わせて任意に「0」か「1」を選択できるようにしてもよい。
【0033】図15はモニタ18の画面を示しており、選択使用されているガンマ補正データが画面の右下部分に表示されている。この様な表示は、図11に示されるように、分岐されたガンマ補正データ選択のための「0」または「1」の信号を、図16に示されるようにシステムコントロール部17のCPU17aに入力して、OSD17b(オンスクリーンディスプレイ)でキャラクタ処理をし、その信号を三色の映像信号に加算してモニタ18に送ることにより行うことができる。なお、図17に示されるように、ビデオプロセッサ10の操作パネル43部分などにガンマ補正データを表示してもよい。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、ガンマ補正のためのルックアップテーブルには、原信号に対するガンマ補正分のみのデータを書き込めばよいので、ルックアップテーブルを小さなメモリで構成することもでき、従ってメモリ効率が良く、回路の小型化と製造コスト及び消費電力の低減等を達成することができる。
【0035】その結果、複数種類のガンマ補正データを選択して用いる場合に、それらを一つのメモリに格納することが可能であり、それによって物理的にも部品数が少なくなり、回路を小型化することができる。また、選択使用されているガンマ特性を表示することにより、画像調整が容易になり、確実な診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のガンマ補正回路の回路図である。
【図2】本発明の第1の実施例の電子内視鏡装置の全体構成図である。
【図3】本発明の第1の実施例の回路ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施例のガンマ補正データ説明線図である。
【図5】本発明の第1の実施例のガンマ補正データ説明線図である。
【図6】本発明の第1の実施例の線形補正をしたガンマ補正データ説明線図である。
【図7】本発明の第1の実施例の線形補正をしたガンマ補正データ説明線図である。
【図8】本発明の第2の実施例の回路ブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施例のルックアップテーブル用メモリの内容を示す略示図である。
【図10】本発明の第3の実施例のコネクタの略示図である。
【図11】本発明の第3の実施例のガンマ補正回路の回路図である。
【図12】本発明の第3の実施例のコネクタの変形例の略示図である。
【図13】本発明の第3の実施例のコネクタの変形例の略示図である。
【図14】本発明の第3の実施例の選択スイッチの略示図である。
【図15】本発明の第3の実施例のモニタ画面の略示図である。
【図16】本発明の第3の実施例の回路ブロック図である。
【図17】本発明の第3の実施例の操作パネルの略示図である。
【符号の説明】
26 ガンマ補正回路
32 ルックアップテーブル用メモリ
33 加算回路
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内視鏡挿入部の先端に固体撮像素子を設けて、観察像を電気信号に変換して外部に伝送した後、モニタ等に再生するようにした電子内視鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内視鏡の挿入部先端に設けられた固体撮像素子から伝送されてくる映像信号を、違和感を感じさせない画像として再生するためにはガンマ補正を行う必要がある。
【0003】そこで従来は、ガンマ補正部に入力される映像信号(原信号)値に対応するガンマ補正後の出力値を、メモリによって構成されたルックアップテーブルに書き込んでおき、映像信号をルックアップテーブルのメモリのアドレス信号として印加して、それに対応するガンマ補正値を出力させている。補正後の信号は、再びアナログ信号に変換された後に映像信号処理され、モニタに映像表示される(特開平1−178235号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ルックアップテーブルに書き込まれるガンマ補正値は、入力される原信号値の大きさに対応して大きな値をとる。したがって、その全データが書き込まれるルックアップテーブルは非常に大きなメモリ容量が必要であり、そのためにいわゆるメモリ効率が悪くて回路が大型化し、製造コストや消費電力も大きくなるなど経済性も悪かった。
【0005】そこで本発明は、ガンマ補正のためのルックアップテーブルを小さなメモリで構成することができる、メモリ効率の良い電子内視鏡装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の電子内視鏡装置は、内視鏡挿入部の先端に設けられた固体撮像素子から送られてくる映像信号をデジタル信号に変換した後、ガンマ補正部において、ルックアップテーブルに書き込まれたガンマ補正データを読み出して上記映像信号のガンマ補正を行うようにした電子内視鏡装置において、上記ルックアップテーブルには、原信号に対するガンマ補正分のみのデータを書き込んでおき、そのデータを上記ガンマ補正部において原信号に加算して補正信号として出力することを特徴とする。
【0007】なお、上記固体撮像素子から送られてくる映像信号をデジタル信号に変換した後、赤、緑、青の三色に対応した信号の各々に対して独立してガンマ補正を行うための三つのガンマ補正部を設けてもよい。
【0008】また、複数種類のガンマ補正データを一つのメモリに書き込んで、そのうちの一つのガンマ補正データを選択して使用するためのガンマ特性選択手段を設けてもよく、その場合、複数種類のガンマ補正データのうちどのガンマ補正データが選択使用されているかを示すためのガンマ特性表示手段を設けるとよい。
【0009】
【実施例】図面を参照して実施例を説明する。図2は本発明の実施例の電子内視鏡装置の全体的構成を示しており、内視鏡1の挿入部2の先端に設けられた対物光学系3による被写体の結像位置に、例えば電荷結合素子(CCD)からなる固体撮像素子4が配置されている。5は、観察範囲を照明する照明光を伝達するためのライトガイドファイババンドルである。
【0010】ビデオプロセッサ10に接続される内視鏡1のコネクタ部6には、固体撮像素子4に入出力される信号の増幅等を行う駆動回路7と、その内視鏡1に固有のデータ等が格納された書き換え可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)8などが配置されている。
【0011】ビデオプロセッサ10は照明光源装置を兼用しており、内視鏡1のライトガイドファイババンドル5に対して、光源ランプ11から照明光が入射される。その入射光路の途中には、赤(R)、緑(G)及び青(B)の三色のカラーフィルタが取り付けられた三色回転フィルタ12が定速回転するように配置されていて、ライトガイドファイババンドル5に対して、赤、緑及び青の各色照明光が時間をずらして順に入射される。
【0012】固体撮像素子4の駆動回路7と接続されるCCDプロセス部14の出力端は、タイミング回路15を介してビデオプロセス部16の入力端に接続されており、ビデオプロセス部16からの出力信号はモニタ18に送られる。
【0013】そして、CCDプロセス部14、タイミング回路15及びビデオプロセス部16の動作は、中央演算装置(CPU)を有するシステムコントロール部17において連動して制御される。また、システムコントロール部17に接続されたペリフェラルドライバ19を介して、それに接続されたEEPROM8から内視鏡側のデータが読み込まれる。
【0014】図3は、上述のCCDプロセス部14とビデオプロセス部16の構成を具体的に示したものである。CCDプロセス部14においては、固体撮像素子4からの出力信号が増幅器23で増幅された後、サンプル保持回路24で映像信号が抽出され、アナログデジタル変換回路25でデジタル信号化された後、ガンマ補正回路26においてガンマ補正が行われる。
【0015】ガンマ補正された映像信号は、タイミング回路15によって固体撮像素子4の駆動と同期して切り換えられて、順次、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に対応したフレームメモリ28R,28G,28Bに格納される。
【0016】フレームメモリ28R,28G,28Bに格納された各信号は同時に読み出されて、各々デジタルアナログ変換回路29R,29G,29Bでアナログの色信号に変換される。
【0017】その三色の色信号は、各々三原色信号として出力されると共に、それと並列にNTSCエンコーダ30に入力され、NTSC方式の複合ビデオ信号に変換されてモニタ18に出力される。
【0018】図1は、ガンマ補正回路26の内容を示しており、ガンマ補正回路26は、ルックアップテーブル用の読み出し専用メモリ32と加算回路33とによって形成されている。
【0019】図4及び図5は、ルックアップテーブル用メモリ32に書き込まれたデータの一例を、線グラフ化して示している。図4に示されるように、タイミング回路15に向けて出力されるべきガンマ補正値は、入力される原信号に対して大きな値をとる。しかし、斜線で示される補正分データの総和は、ガンマ補正値の総和に比べれば遙かに小さい。
【0020】そこで本実施例においては、ルックアップテーブル用メモリ32には図5に示されるガンマ補正分データのみを書き込んでおき、原信号をルックアップテーブル用メモリ32のアドレス信号として印加して、そのアドレスに対応する補正分データをルックアップテーブル用メモリ32から読み出し、加算回路33において原信号に補正分データを加算してガンマ補正値として出力するようにしている。
【0021】そのようにすると、図1に示されるように、例えば10ビットの原信号に対して、ガンマ補正分データはフルスケールの1/4なので、ルックアップテーブル用メモリ32のメモリは例えば8ビットと原信号より小さくて済み、加算回路33の出力信号は原信号と同じ10ビットになる。
【0022】なお、例えばアナログデジタル変換回路25の線形補正端子に基準電圧を加えることによって、図6R>6に示されるようにガンマ補正値を線形補正すれば、ガンマ補正分データは図7に示されるようにさらに少なくなるので、メモリ効率がさらに向上する。
【0023】なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば図8に示されるように、ガンマ補正回路26R,26G,26Bをビデオプロセス部16内の各色フレームメモリ28R,28G,28Bの出力端に接続して、赤、緑、青の各色信号に対して各々独立してガンマ補正を行うものに適用してもよい。その場合の各ガンマ補正回路26R,26G,26Bの構成及び動作は、前述の第1の実施例と同様である。
【0024】図9ないし図17は本発明の第3の実施例を示しており、一つのメモリに複数種類のガンマ補正データを書き込んでおき、その中から一つのガンマ補正データを選択して使用するようにし、さらに、どのガンマ補正データが選択使用されているかを表示して確認できるようにしたものである。
【0025】ここで用いられるガンマ補正データは、前述の第1の実施例の場合と同様の、補正分のみのデータである。なお、実施例ではガンマ補正データを二種類設けた例を示してあるが、三種類以上設けてもよい。
【0026】図9は、ルックアップテーブル用メモリ32の内容を略示しており、アドレスのビット数がデータのビット数より多いメモリを使用して、余分に設けられた上位のビットをスイッチ用に使用している。
【0027】そして、例えばアドレスの0から1023までの第1のルックアップテーブルには第1のガンマ補正データを書き込んであり、1024から2047までの第2のルックアップテーブルには第2のガンマ補正データを書き込んである。
【0028】このメモリ32のスイッチ用のビットを「0」にした場合、アドレスは0から1023の範囲で動作し、「1」にした場合1024から2047の範囲で動作する。スイッチ用のビット数を増やすほどより多種類のデータを切り換えることができる。
【0029】図10は内視鏡のコネクタ6側を示しており、図2にも示されているEEPROM8に、その内視鏡の特性に合わせて「0」または「1」のいずれかが書き込まれている。そして、ビデオプロセッサ10にコネクタ6を接続すると、その「0」または「1」の信号が、図11に示されるように、ルックアップテーブル用メモリ32のスイッチ用ビットに送られ、そのメモリ32において第1又は第2のガンマ補正データのいずれか一方が選択される。
【0030】なお、内視鏡の特性に合わせて「0」または「1」をルックアップテーブル用メモリ32に与えるには、図12に示されるように、内視鏡内で設定される電位によって「0」または「1」を固定的に作ってもよい。
【0031】或いは図13に示されるように、コネクタ6に形成した凹凸部等によってビデオプロセッサ10内のスイッチ41を開閉させることによって、「0」または「1」を作ってもよい。
【0032】また、図14に示される様な手動のスイッチ42を内視鏡1側またはビデオプロセッサ10側に設けて、オペレータが被検体の状態に合わせて任意に「0」か「1」を選択できるようにしてもよい。
【0033】図15はモニタ18の画面を示しており、選択使用されているガンマ補正データが画面の右下部分に表示されている。この様な表示は、図11に示されるように、分岐されたガンマ補正データ選択のための「0」または「1」の信号を、図16に示されるようにシステムコントロール部17のCPU17aに入力して、OSD17b(オンスクリーンディスプレイ)でキャラクタ処理をし、その信号を三色の映像信号に加算してモニタ18に送ることにより行うことができる。なお、図17に示されるように、ビデオプロセッサ10の操作パネル43部分などにガンマ補正データを表示してもよい。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、ガンマ補正のためのルックアップテーブルには、原信号に対するガンマ補正分のみのデータを書き込めばよいので、ルックアップテーブルを小さなメモリで構成することもでき、従ってメモリ効率が良く、回路の小型化と製造コスト及び消費電力の低減等を達成することができる。
【0035】その結果、複数種類のガンマ補正データを選択して用いる場合に、それらを一つのメモリに格納することが可能であり、それによって物理的にも部品数が少なくなり、回路を小型化することができる。また、選択使用されているガンマ特性を表示することにより、画像調整が容易になり、確実な診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のガンマ補正回路の回路図である。
【図2】本発明の第1の実施例の電子内視鏡装置の全体構成図である。
【図3】本発明の第1の実施例の回路ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施例のガンマ補正データ説明線図である。
【図5】本発明の第1の実施例のガンマ補正データ説明線図である。
【図6】本発明の第1の実施例の線形補正をしたガンマ補正データ説明線図である。
【図7】本発明の第1の実施例の線形補正をしたガンマ補正データ説明線図である。
【図8】本発明の第2の実施例の回路ブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施例のルックアップテーブル用メモリの内容を示す略示図である。
【図10】本発明の第3の実施例のコネクタの略示図である。
【図11】本発明の第3の実施例のガンマ補正回路の回路図である。
【図12】本発明の第3の実施例のコネクタの変形例の略示図である。
【図13】本発明の第3の実施例のコネクタの変形例の略示図である。
【図14】本発明の第3の実施例の選択スイッチの略示図である。
【図15】本発明の第3の実施例のモニタ画面の略示図である。
【図16】本発明の第3の実施例の回路ブロック図である。
【図17】本発明の第3の実施例の操作パネルの略示図である。
【符号の説明】
26 ガンマ補正回路
32 ルックアップテーブル用メモリ
33 加算回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】内視鏡の挿入部の先端に設けられた固体撮像素子から送られてくる映像信号を、上記内視鏡のコネクタが接続されたビデオプロセッサにおいて、デジタル信号に変換してからガンマ補正部でルックアップテーブルに書き込まれたガンマ補正データを読み出して上記映像信号のガンマ補正を行うようにした電子内視鏡装置において、上記ガンマ補正部として、赤、緑、青の三色に対応する信号の各々に対して独立してガンマ補正を行うための三つのガンマ補正部を設け、上記ルックアップテーブルには、原信号に対するガンマ補正分のみのデータを書き込んで、そのデータを上記各ガンマ補正部において原信号に加算して補正信号として出力するようにすると共に、上記ガンマ補正データとして複数種類の補正データを一つのメモリに書き込んでおき、そのうちの一つの補正データを、上記内視鏡の特性に合わせて上記内視鏡から与えられる選択信号に基づいて選択して使用するようにしたことを特徴とする電子内視鏡装置。
【請求項2】上記複数種類の補正データのうちどの補正データが上記ガンマ補正データとして選択使用されているかを示すためのガンマ特性表示手段が設けられている請求項1記載の電子内視鏡装置。
【請求項1】内視鏡の挿入部の先端に設けられた固体撮像素子から送られてくる映像信号を、上記内視鏡のコネクタが接続されたビデオプロセッサにおいて、デジタル信号に変換してからガンマ補正部でルックアップテーブルに書き込まれたガンマ補正データを読み出して上記映像信号のガンマ補正を行うようにした電子内視鏡装置において、上記ガンマ補正部として、赤、緑、青の三色に対応する信号の各々に対して独立してガンマ補正を行うための三つのガンマ補正部を設け、上記ルックアップテーブルには、原信号に対するガンマ補正分のみのデータを書き込んで、そのデータを上記各ガンマ補正部において原信号に加算して補正信号として出力するようにすると共に、上記ガンマ補正データとして複数種類の補正データを一つのメモリに書き込んでおき、そのうちの一つの補正データを、上記内視鏡の特性に合わせて上記内視鏡から与えられる選択信号に基づいて選択して使用するようにしたことを特徴とする電子内視鏡装置。
【請求項2】上記複数種類の補正データのうちどの補正データが上記ガンマ補正データとして選択使用されているかを示すためのガンマ特性表示手段が設けられている請求項1記載の電子内視鏡装置。
【図1】
【図10】
【図3】
【図14】
【図2】
【図4】
【図9】
【図15】
【図5】
【図11】
【図12】
【図6】
【図7】
【図13】
【図17】
【図8】
【図16】
【図10】
【図3】
【図14】
【図2】
【図4】
【図9】
【図15】
【図5】
【図11】
【図12】
【図6】
【図7】
【図13】
【図17】
【図8】
【図16】
【特許番号】特許第3406680号(P3406680)
【登録日】平成15年3月7日(2003.3.7)
【発行日】平成15年5月12日(2003.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−75564
【出願日】平成6年4月14日(1994.4.14)
【公開番号】特開平7−275199
【公開日】平成7年10月24日(1995.10.24)
【審査請求日】平成12年10月16日(2000.10.16)
【前置審査】 前置審査
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【参考文献】
【文献】特開 平1−178235(JP,A)
【文献】特開 平6−30301(JP,A)
【文献】特開 平2−81594(JP,A)
【文献】特開 平3−213064(JP,A)
【登録日】平成15年3月7日(2003.3.7)
【発行日】平成15年5月12日(2003.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成6年4月14日(1994.4.14)
【公開番号】特開平7−275199
【公開日】平成7年10月24日(1995.10.24)
【審査請求日】平成12年10月16日(2000.10.16)
【前置審査】 前置審査
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【参考文献】
【文献】特開 平1−178235(JP,A)
【文献】特開 平6−30301(JP,A)
【文献】特開 平2−81594(JP,A)
【文献】特開 平3−213064(JP,A)
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