説明

電子写真感光体ドラムユニットの製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置

【課題】 係合部材が外れて画像形成ができなくなるような問題を発生しない電子写真感光体ドラムユニットの製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置の提供。
【解決手段】 感光層を有する円筒部材端部内側に係合部材を圧入結合した電子写真感光体ドラムユニットの製造方法において、前記円筒部材の線膨張係数をA1(/℃)、前記係合部材係合部の線膨張係数をA2(/℃)、円筒部材に係合部材を組み付けるときの温度をt1(℃)における前記円筒部材結合部内径をD1、前記係合部材結合部外径をD2、電子写真装置本体機内におけるドラムユニット使用温度の最大値をt2(℃)としたとき、A1<A2、かつ5×10−5(/℃)<A2かつ125≧D2−D1≧30μmかつ175μm≧D2(1+(t2−t1)A2)−D1(1+(t2−t1)A1)であることを特徴とする電子写真感光体ドラムユニットの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状部材及び係合部材の接合方法、電子写真感光体ドラムユニットの製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真方式を採用した画像形成装置、いわゆる電子写真装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の周面を帯電するための帯電手段と、帯電された電子写真感光体の周面に静電潜像を形成するための露光手段と、電子写真感光体の周面に形成された静電潜像を現像剤担持体に担持された現像剤により現像して現像像を形成するための現像手段と、電子写真感光体の周面に形成された現像像を転写材(紙など)に転写するための転写手段とを有するものが一般的である。
【0003】
このような電子写真装置においては図1に示すように電子写真感光体ドラムユニット101(以下、「電子写真感光体ユニット」という)は、一般に表面に感光層を有する円筒部材102(一般に「電子写真感光体ドラム」とも言われ、円筒状の支持体上に感光層103を設けたもの)、及び該円筒部材の両端又は片端に設けられた係合部材104、105より構成される。
【0004】
係合部材は一般にフランジ、または歯車状の駆動力受け取り手段を有するものはギアとも言われ、係合部外周で円筒部材に接続され、軸106又は軸受部(以下、「軸」と「軸受」を含めて「軸」ともいう)を有し、軸を介して、電子写真感光体ユニットを画像形成装置内の所定の位置に支持し、さらには駆動手段より駆動力を受け取り、電子写真感光体ドラムを所定の軸回り107に高精度に回転させる作用を受け持つ。
【0005】
電子写真感光体ユニットの円筒精度が良くない場合、また軸が偏心している状態(例えば軸中心が108)であると、電子写真感光体ユニットを画像形成装置に組み込んで回転させた場合に電子写真感光体ユニット外周が画像形成中に振れる等、円筒部材と現像手段109との距離が一定に保てず、現像時において画像濃度ムラが生じ良好な画像が得られない。さらには電子写真感光体ユニットの外周の周速にムラが発生するため、転写時等において画像ずれ(特にカラー画像において転写位置がずれ色がにじんでしまう現象)を生じ、良好な画像が得られないと言う問題が発生する。
【0006】
そのため、電子写真感光体ユニットにおいて、特に円筒振回り精度(電子写真感光体ユニット軸を基準として回転させたときの外周最大部と外周最小部二つの同軸外接円筒径の差、「JIS−B0021 18.16.1全振れ公差」に相当する)の値を小さくする必要がある。
【0007】
一般に円筒部材と端部係合部材の接続方法としては、
(1)円筒部材の端部内側に係合部材係合部を挿入し接着する方法(例えば、特許文献1参照)、
(2)円筒部材の端部を加熱膨張させた状態で内側に係合部材を挿入し固定する方法(例えば、特許文献2参照)(例えば、特許文献3参照)
(3)円筒部材に穴を加工を施し、係合部材の突起と嵌めあい結合する方法(例えば、特許文献4参照)
(4)円筒部材、係合部材を結合部にタップねじ、クサビ部材等の圧入することにより結合する方法(例えば、特許文献5参照)
(5)円筒部材の端部内側に端部係合部材を挿入し円筒部材の端部を係合部材側に変形食い込ませるもの(例えば、特許文献6参照)、係合部材に凹部を設け、その凹部に円筒部材の端部を折り曲げ加工して結合するもの(例えば、特許文献7参照)
が知られている。
【0008】
(1)の結合方法を図2で説明する。
【0009】
円筒部材102の端部内側201に係合部材104の円筒状結合部202を挿入し接着する方法である。しかしながら、一般に円筒部材の素材としては電子写真感光体用支持体として導電性が十分であること、高精度で必要強度を満たす円筒部材が容易に得られること、腐食に強いこと等の理由でほとんどがアルミニウムまたは3000系、5000系、6000系等のアルミニウム合金が用いられる。アルミニウム以外の材料が用いられている例はまれであるのが現状である。
【0010】
一方係合部材はギア等駆動力を受け取る機能や本体との接続の軸の機能をもたせることが一般に行なわれ、ためその形状は複雑になることが多く、量産の場合は成型加工により製造される場合がほとんどである、そのため一般に用いられる材料としては成型加工に適する材料、特に樹脂が選択される。一般に樹脂の線膨張係数はアルミニウムの線膨張係数より大きい。そのため温度変化があるたびに円筒部材と係合部材の接合部は膨張係数の差によるストレスにさらされることになる。
【0011】
さらに、円筒部材電子写真装置、プロセスカートリッジは生産された地域から使用される地域へ輸送される途中で冷熱環境におかれることがある。係合部材の材質が樹脂、円筒部材の材質がアルミニウムの組み合わせの電子写真感光体ユニットが常温環境で円筒部材、端部係合部材の間に隙間が発生しないように組み立てられた電子写真感光体ユニットでは低温環境にもっていったときは係合部材の外径収縮が円筒部材の接合部の内径収縮より上回り係合部材と円筒部材の間に隙間203ができやすい。また接着材は低温になると硬くなりクラックが入りやすくなり円筒部材、端部係合部材の結合力が低下する。さらには急激な温度変化の場合には不均一な収縮が発生し接着層にクラックが発生しやすい。
【0012】
このような円筒部材、端部係合部材の間の接着力が低下した状態で電子写真感光体ユニットを電子写真装置内で使用すると円筒部材より係合部材が外れ良好な画像が得られない、画像形成装置として機能しないというトラブルが発生してしまう恐れがある。そのため端部係合部材の結合安定性が問題となっていた。
【0013】
さらに弾力性のある接着剤よって接着する方法(例えば、特許文献1参照)も知られているが硬化するまで時間がかかるため保管スペースを確保する必要があり生産コストが上がる要因になっていた。
【0014】
このような(1)の問題点を解決する製造方法として例えば(2)の筒部材の端部を加熱膨張させた状態で係合部材を挿入し接着する方法が知られている。しかしながら(2)の方法においては加熱による端部の変形が生じ問題となっていた。
【0015】
さらに(1)の端部係合部材の結合安定性を向上させるために(3)、(4)、(5)のような機械的結合が考案されている。例えば(3)は円筒部材の端部に孔加工を行ってから凸部を有する係合部材を挿入し機械的手法(嵌めあい)により固定する方法であるが、この方法の場合は円筒部材端部に嵌めあい部を加工するときに円筒部材端部に変形が発生することが避けられない。
【0016】
(4)の方法では結合部にタップねじ、クサビ部材を圧入すると円筒部材端部に変形が発生する恐れがある。
【0017】
また(5)の方法では円筒部材の端部内側に係合部材を挿入してから円筒部材端部を加工変形させて機械的手法により接合するもので円筒部材端部を変形させるときの端部の変形がその周囲に及び円筒部材端部に変形が発生する恐れがある。
【0018】
(3)、(4)、(5)機械的結合では電子写真感光体の端部に変形が起こり、電子写真感光体の精度に対する影響が発生する恐れがあった。
【0019】
このような変形はモノトーンでかつ解像度の低い電子写真装置において、円筒振回り精度は100μm程度で問題がなかったが近年の電子写真装置は高解像度化やフルカラー化が進んでおり、電子写真感光体ユニットは高精度であることが要求されている。
【0020】
さらにはカラー用電子写真装置においては、複数の電子写真感光体ユニットを平行に並べ、イエロー、シアン、マゼンダ、ブラックの各色のトナーに対してそれぞれ別の電子写真感光体ユニットを使用するタンデム方式の電子写真装置が開発され電子写真感光体ユニットに高い精度が要求されている。高解像度化やフルカラー化された電子写真装置では、電子写真感光体ユニットに高い精度が要求されている。高解像度化やフルカラー化された電子写真装置では、電子写真感光体ユニットに特に高い精度が要求される。
【0021】
さらに、電子写真感光体の支持体の外周基準中心軸と軸部の中心軸とが一致した、すなわち、回転精度が高い電子写真感光体ユニットを得るための方法としては、(A)精度が高い支持体や端部係合部材を作製し、さらに精密な接合技術で支持体の端部に端部係合部材を係合させるということが行われている。
【0022】
また、回転精度が高い電子写真感光体ユニットや現像剤担持体ユニットを得るための別の方法として、(B)支持体の端部に端部係合部材を係合させた後に、係合部材の軸部を加工して芯出しを行う方法がある。(B)方法は(A)方法より、支持体や係合部材の精度が比較的低くても、回転精度が高い電子写真感光体ユニットを得ることができる方法であり、製造コストにおいて有利である。
【0023】
具体的には、図3に示すように、画像領域を避けるように配置された複数の支持ローラー301a、301b、302a、302b、303a、303bによって、電子写真感光体ユニット101を支持する。次に、支持ローラー303a、303bを駆動することによって、電子写真感光体ユニット101を、電子写真感光体102の外周基準中心軸204を中心として回転させる。次に、回転する電子写真感光体ユニット101の係合部材104の軸部106に切削部材304を押し当てることによって、電子写真感光体102の外周基準中心軸204と同心の中心軸を軸部106に与えることができる(以下一連の加工を「芯出し加工」という)。なお、図3で示したのは「軸」の加工であるが、「軸受部」の加工も同様にして行うことができる。
【0024】
この方法は、簡単な装置で、精度測定など高コストな工程を必要とせずに、軸部に芯出し加工を施すことが可能であり、また、芯出し加工中の調整も容易である。しかしながら、この方法は、複数の支持ローラーを電子写真感光体102に当接させて、電子写真感光体ユニット101を回転させながら芯出し加工を行う方法であるため、複数の支持ローラーが当接する電子写真感光体102の外周真円度が高い必要がある。(3)、(4)、(5)の接合方法では端部変形が大きく、支持体の端部に係合部材を係合させた後に、係合部材の軸部を加工して芯出しを行う方法によっても良好な電子写真感光体ドラムユニットが得られていないのが現状であった。
【0025】
以上述べてきたように、端部係合部材の結合安定性、電子写真感光体特性、精度のすべてを満たす電子写真感光体ドラムユニットが得られていないのが現状であった。
【特許文献1】特開平06−282204号公報
【特許文献2】特開平07−152809号公報
【特許文献3】特開平10−288914号公報
【特許文献4】特開平07−239628号公報
【特許文献5】特開平07−140838号公報
【特許文献6】特開平08−062877号公報
【特許文献7】特開平08−339135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の目的は、上記課題を解決し、電子写真感光体ユニットが電子写真装置中で画像形成で使用されるまでのあいだどのような環境で保管されたとしても円筒部材と係合部材とが安定した結合状態を維持することができ、係合部材が外れて画像形成ができなくなるような問題を発生しない、かつ係合部材を結合することによる電子写真感光体ユニットの精度低下が発生せず、かつ電子写真感光体の外周基準の中心軸を中心として回転させながら、軸または軸受部の芯出し加工を行う工程においても高精度な電子写真感光体ユニットが低コストで生産できる電子写真感光体ドラムユニットの製造方法を提供することである。また、本発明の目的は上記電子写真感光体ドラムユニットを有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
感光層を有する円筒部材端部内側に係合部材を圧入結合した電子写真感光体ドラムユニットの製造方法において、前記円筒部材の線膨張係数をA1(/℃)、前記係合部材係合部の線膨張係数をA2(/℃)、円筒部材に係合部材を組み付けるときの温度をt1(℃)における前記円筒部材結合部内径をD1、前記係合部材結合部外径をD2、電子写真装置本体機内におけるドラムユニット使用温度の最大値をt2(℃)としたとき、
A1<A2、かつ5×10−5(/℃)<A2
かつ125≧D2−D1≧30μm
かつ175μm≧D2(1+(t2−t1)A2)−D1(1+(t2−t1)A1)
であることを特徴とする電子写真感光体ドラムユニットの製造方法である。
【0028】
さらにはD2(1+(−20−t1)A2)−D1(1+(−20−t1)A1)≧−160μmであることを特徴とする電子写真感光体ドラムユニットの製造方法である。
【0029】
感光層を有する円筒部材端部に係合された軸または軸受部を有する部係合部材を有する電子写真感光体ドラムユニットの製造方法であって、前記電子写真感光体ドラムユニットの製造方法により電子写真感光体の支持体の端部に該係合部材を接合させる工程と、該係合工程により係合部材が係合された電子写真感光体を、該電子写真感光体の外周基準の中心軸を中心として回転させながら、該軸または該軸受部の芯出し加工を行う工程とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体ドラムユニットの製造方法である。
【0030】
請求項1から3のいずれかに記載の電子写真感光体ドラムユニットの製造方法により製造された電子写真感光体ドラムユニットを有し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0031】
請求項1から3のいずれかに記載の電子写真感光体ドラムユニットの製造方法により製造された電子写真感光体ドラムユニットを有することを特徴とする電子写真装置である。
【発明の効果】
【0032】
本発明の効果は、上記課題を解決し、電子写真感光体ユニットが電子写真装置中で画像形成で使用されるまでのあいだどのような環境で保管されたとしても円筒部材と係合部材とが安定した結合状態を維持することができる。そして係合部材が外れて画像形成ができなくなるような問題を発生しない。かつ係合部材を結合することによる電子写真感光体ユニットの精度低下が発生せず、かつ電子写真感光体の外周基準の中心軸を中心として回転させながら、軸または軸受部の芯出し加工を行う工程においても高精度な電子写真感光体ユニットが低コストで生産できる電子写真感光体ドラムユニットの製造方法が得られた。また、本発明によれば上記電子写真感光体ユニットを有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明をより詳細に説明する。
【0034】
電子写真感光体ユニットの製造方法において円筒部材と係合部材を結合する方法としては背景技術の項で図2を用いて説明したように円筒部材102の端部内側201に係合部材104の円筒状結合部202を挿入する方法が行なわれているが、本発明では円筒部材端部内径と係合部材の円筒状結合部外径の差(以下圧入代)を適正値にすることにより高品質のカラ−画像を得るために必要な高精度の電子写真感光体ユニットが得られる。
【0035】
第一に組立て時の係合部材結合の圧入代(D2−D1)を125μm≧D2−D1≧30μmにする。
【0036】
圧入代が125μmより大きいときは電子写真感光体ユニット端部の精度低下が発生し、電子写真感光体の外周基準の中心軸を中心として回転させながら、軸または軸受部の芯出し加工を行う工程において高精度な電子写真感光体ユニットが得られない。圧入代が30μmより小さいときは低温環境において円筒部材と係合部材の間の接着層に問題が発生しやすく、係合部材が外れて画像形成ができなくなるという問題を発生する可能性が発生することを見出した。
【0037】
円筒部材と係合部材を接着するときは硬化途中に接着面がずれると接着強度が低下するが、圧入代が30μmより小さいときは円筒部材と係合部材を接着するときにずれないように固定するような手段を必要とし生産性が低下するという問題が発生する。
【0038】
第二に電子写真感装置内で実際に使用する温度における係合部材結合の圧入代を175μm以下にすることにより画像形成中の電子写真感光体ユニットの精度低下を防止できることを見出した。
【0039】
175μmより大きいときは係合部材結合の膨張により円筒部材端部が変形し精度低下が起こり良好な画像が得られない。実際に使用する温度における係合部材結合の圧入代は円筒部材に係合部材を組み付けるときの温度t1(℃)における円筒部材結合部内径をD1、係合部材結合部外径をD2、電子写真装置本体機内における電子写真感光体ユニット使用温度をt2(℃)としたとき下記式で求めることができる。
【0040】
175μm≧D2(1+(t2−t1)A2)−D1(1+(t2−t1)A1)
【0041】
一般に電子写真装置内には定着手段等発熱源があり電子写真装置機内温度は室温より高い。さらに電子写真装置によっては高湿下における画像流れの発生を防止するため、電子写真感光体ユニット内にヒーターを組み込んで電子写真感光体ユニットを高温に保っている場合もある。そのため一般に電子写真感光体ユニット使用温度は室温より高いことが普通である。円筒部材に係合部材を組み付けるときの温度はt1(℃)は一般に20(℃)より25(℃)の範囲が好ましい、それより低い温度、高い温度では作業者が快適に作業ができず作業効率が落ちる。
【0042】
第三に−20℃における係合部材結合の圧入代は−160μm以上とすることにより係合部材が外れて画像形成ができなくなるという問題が発生しないことを見出したものである。
【0043】
電子写真ユニット、電子写真装置が輸送中におかれる低温環境としては一般に−20℃を想定する。−20℃における係合部材結合の圧入代が−160μmより小さいときは低温環境において円筒部材と係合部材の間の接着層に問題が発生しやすく、係合部材が外れて画像形成ができなくなる問題を発生する可能性が発生することを見出した。−20℃環境下における係合部材結合の圧入代は下記式で求めることができる。
【0044】
D2(1+(−20−t1)A2)−D1(1+(−20−t1)A1)≧−160μm
【0045】
本発明でよく用いられる材料の例としては背景技術で説明したように円筒部材にはアルミニウムまたはアルミニウム合金が、一方端部係合部材の材料は樹脂が選択されることが多い。円筒部材の線膨張係数A1(/℃)は通常の電子写真感光体が保管、または使用される温度領域(−20℃より60℃の領域)では純アルミニウムまたは3000系、5000系、6000系等のアルミニウム合金においても2.0〜2.4×10−5/℃である。
【0046】
係合部材の線膨張係数A2(/℃)は通常の電子写真感光体が保管、または使用される温度領域(−20℃より60℃の領域)では一般的な樹脂の線膨張係数は5×10−5〜15×10−5/℃である。係合部材としてよく用いられる材料の例としては例えば一般的なポリカーボネート樹脂(線膨張係数6.5×10−5〜7.5×10−5/℃)、ポリアセタール樹脂(線膨張係数10×10−5〜12×10−5/℃)、ABS樹脂(線膨張係数9.5×10−5〜11×10−5/℃)である。一般的な樹脂製係合部材はアルミニウムの円筒部材より線膨張係数が大きい。係合部材係合部の線膨張係数A2が5×10−5(/℃)以下の特殊な樹脂も知られているが特殊な樹脂を使用すると製造コストが上昇するという実用上問題があり線膨張係数は5×10−5(/℃)より大きいことが好ましい。
【0047】
本発明の電子写真感光体ユニットにおける係合部材の形状に関して図4を用いて説明する。
【0048】
係合部材401は、軸部106を有しこれを介して、電子写真感光体ユニットを画像形成装置内の所定の位置に支持される、円筒状結合部202を有しこの部分を円筒部材内側に挿入し係合部材を固定する。円筒状結合部は円筒部材内側に挿入したときに円筒部材を変形させないために外周部は十分に真円度ある必要がある。さらに軸部と円筒状結合部をつなぐ円盤状連結部402よりなる。円盤状連結部は電子写真感光体ドラムを所定の軸回り107に高精度に回転させるのに十分な強度が必要である。電子写真感光体の外周基準の中心軸を中心として回転させながら、該軸または該軸受部の芯出し加工を行うためには加工時に軸部に振動が発生しないように十分な強度が必要である。そのため円盤状連結部、軸部には強度を高めるために補強用梁(リブ)403,404を設ける例も挙げられる。
【0049】
本発明に用いる円筒部材は材質としてはアルミニウムまたは3000系、5000系、6000系等のアルミニウム合金が好ましい。
【0050】
本発明に用いる円筒部材は、例えば、以下の方法により得られた管材を所定の長さに切断することにより得られる。
【0051】
該管材を得る方法としては、例えば、深絞り加工によってカップ状に加工した後、カップの壁をしごき加工によって伸ばし、底付き円筒の管材を製造する方法(DI法)や、衝撃押し出し加工によってカップ状に加工した後、カップの壁をしごき加工によって伸ばし、底付き円筒の管材を製造する方法(II法)や、押し出し加工によって得られた円筒をしごき加工によって伸ばし、薄肉円筒の管材を製造する方法(EI法)や、押し出し加工の後、さらに引き抜き加工により薄肉円筒の管材を製造する方法(ED法)などが挙げられる。
【0052】
ポートホール方式により押し出し加工された中空パイプを、1段または1段以上の引き抜き加工により精度を高めて管材を製造する方法も挙げられる。さらに切削加工を施し外径精度を高めてもよい。
【0053】
切削加工を行う場合円筒部材保持方法に例に関して図5を用いて説明する。
【0054】
前記の様な手段により製造された円筒部材501を準備し、端部502を加工し所定の長さ、平行度に整える。さらに円筒部材内側にテーパー面503を形成し、テーパー状の保持手段504a,504bにより両側より保持する方式が好ましい。円筒部材の内側に上記のテーパー面を形成する際、素管を保持する方法としては、円筒部材の外周面を保持する方法と円筒部材の内周面を保持する方法とが挙げられるが、どちらにしても、精度の高いテーパー面を得るためには、円筒部材の変形が小さい方法を選択することが重要である。円筒部材の変形が大きすぎると、テーパー面加工後に円筒部材の保持部材を取り外したときに、その変形が緩和されて、テーパー面の精度が低下してしまう場合がある。
【0055】
円筒部材の精度としては外径、内径真円度とも30μ以下(精度測定公差の定義JIS−B0021、JIS−B0621による)が好ましい。切削工程において端部は切削前に外径、内径真円度の値がそのまま切削後の外径、内径真円度に引き継がれ30μmより大きい場合では切削後の円筒部材の端部真円度が大きく高精度のシリンダが得られない。
【0056】
切削加工を行う場合の旋盤は精度を高めるために両軸駆動が好ましい。両軸駆動旋盤では円筒部材保持時に円筒部材に加わる力を小さくすることができ保持時の素管変形が少なく切削後の高い精度の円筒部材が得られる。
【0057】
切削加工を行う場合は素管内部に振動を吸収するような材料を挿入する例も挙げられる(以下振動を吸収ために素管内部挿入する材料を中子と呼ぶ)。中子の形状としては円筒部材の内側に挿入可能で保持装置と干渉しないような円筒状が好ましい。材料としてはゴム、樹脂、金属またはこれらに複合材料が好ましい。
【0058】
さらに、円筒部材端部内側に係合部材を圧入結合するため円筒部材端部内径が重要である。
【0059】
内径公差はJIS基準でh8以下が好ましい。引抜素管製造技術ではh8より公差を小さくしようとすると選別を厳しくせざるを得ず、歩留まりが低下しコスト高となる。
【0060】
塗布後の高温で乾燥を行う場合は温度による精度低下を防ぐためアニール処理を行ってもよい。
【0061】
次に、本発明の製造方法により製造される電子写真感光体の構成について説明する。
【0062】
上述のとおり、本発明の製造方法により製造される電子写真感光体は、支持体上に感光層を有する電子写真感光体であり、該支持体は上記切削方法により周面が切削された円筒状部材である。
【0063】
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよいが、電子写真特性の観点からは積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層には、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層と、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層があるが、電子写真特性の観点からは順層型感光層が好ましい。
【0064】
支持体としては、導電性を有していればよく(導電性支持体)、材料としては上述したとおりである。
【0065】
支持体の上には、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。導電層は、カーボンブラック、金属粒子などの導電性粒子を結着樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は、1〜40μmであることが好ましく、特には2〜20μmであることがより好ましい。
【0066】
また、支持体または導電層と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。中間層は、カゼイン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、変性ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン、酸化アルミニウムなどの材料を用いて形成することができる。中間層の膜厚は0.05〜5μmであることが好ましく、特には0.3〜1μmであることがより好ましい。
【0067】
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料や、金属フタロシアニン、非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料や、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料や、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドなどのペリレン顔料や、アンスラキノン、ピレンキノンなどの多環キノン顔料や、スクワリリウム色素や、ピリリウム塩およびチアピリリウム塩や、トリフェニルメタン色素や、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコンなどの無機物質や、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料や、シアニン染料や、キサンテン色素や、キノンイミン色素や、スチリル色素や、硫化カドミウムや、酸化亜鉛などが挙げられる。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0068】
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂などが挙げられる。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
【0069】
電荷発生層用塗布液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物などが挙げられる。
【0070】
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルなどを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、1:0.5〜1:4(質量比)の範囲が好ましい。
【0071】
電荷発生層用塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬コーティング法(浸漬塗布法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
【0072】
電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.01〜1μmであることがより好ましい。
【0073】
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
【0074】
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリールメタン化合物などが挙げられる。これら電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0075】
感光層が積層型感光層である場合、電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、不飽和樹脂などが挙げられる。特には、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂などが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
【0076】
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、2:1〜1:2(質量比)の範囲が好ましい。
【0077】
電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル、クロロベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン原子で置換された炭化水素などが用いられる。
【0078】
電荷輸送層用塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
【0079】
電荷輸送層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には10〜25μmであることがより好ましい。
【0080】
また、電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
【0081】
感光層が単層型感光層である場合、該単層型感光層は、上記電荷発生物質および上記電荷輸送物質を上記結着樹脂および上記溶剤と共に分散して得られる単層型感光層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
【0082】
また、感光層上には、該感光層を保護することを目的とした保護層を設けてもよい。保護層は、上述した各種結着樹脂を溶剤に溶解して得られる保護層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
【0083】
保護層の膜厚は0.5〜10μmであることが好ましく、特には1〜5μmであることが好ましい。
【0084】
図6に、本発明のプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
【0085】
図6において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1の端部には、軸または軸受部を有する端部係合部材(ギアやフランジなど)が係合されており(不図示)、電子写真感光体1および端部係合部材で電子写真感光体ユニットを構成している。
【0086】
回転駆動される電子写真感光体1の表面は、帯電手段(一次帯電手段:帯電ローラーなど)3により、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0087】
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5の現像剤担持体に担持された現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材(紙など)Pに順次転写されていく。
【0088】
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0089】
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図6に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0090】
上述の電子写真感光体ユニット、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段7などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図6では、電子写真感光体ユニットと、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
【0091】
本発明の結合方法は、電子写真感光体ユニットとしてだけでなく、帯電ローラー、現像剤担持体(現像ローラー、現像スリーブ)、転写ローラー、定着ローラー、送りローラーなどの様々な円筒状電子写真部材の支持体として用いることができる。
【0092】
また、本発明の結合方法により結合された円筒部材は外周真円度が高いため、本発明は、端部に端部係合部材が係合した後、端部係合部材の軸や軸受部の芯出し加工を行って得られる電子写真感光体ユニットに特に好適に適用される。
【0093】
本発明の製造方法により製造された電子写真感光体ユニットは振れ精度が高いため、電子写真装置に装着した場合に外周が振れることなく回転し、また、現像時、転写時において、画像ムラ、画像ズレがなく良好な出力画像が得られる。
【0094】
本発明の製造方法により製造された電子写真感光体(電子写真感光体ユニット)は、特に高い精度が要求されるカラー電子写真装置にも好適に用いられる。
【0095】
カラー電子写真装置には様々な方式があり、例えば、1つの電子写真感光体で露光・現像を1色ずつ順次行い、各色のトナー像を中間転写体(中間転写ドラム・中間転写ベルトなど)上に順次一次転写した後、これを転写材上に一括して二次転写することでカラー画像を形成する中間転写方式や、直列に配置された各色用の画像形成部(電子写真感光体・露光手段・現像手段・転写手段などを有する)において各色のトナー像をそれぞれ形成し、これらを転写材搬送部材(転写材搬送ベルトなど)によって各画像形成部に順次搬送される転写材上に順次転写することでカラー画像を形成するインライン方式や、1つの電子写真感光体で露光・現像を1色ずつ順次行い、各色のトナー像を転写材担持部材(転写ドラムなど)に担持された転写材(紙など)上に順次転写することでカラー画像を形成する多重転写方式などが挙げられる。
【0096】
以下、カラー電子写真装置の一例として、インライン方式のカラー電子写真装置を挙げて説明する。なお、以下の説明において、4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の例を挙げたが、本発明における「カラー」とは、4色(いわゆるフルカラー)に限定されるものではなく、多色、すなわち2種以上の色である。
【0097】
図7に、インライン方式のカラー電子写真装置の概略構成の一例を示す。インライン方式の場合、転写手段は主に転写材搬送部材、転写部材から構成される。
【0098】
図7において、1Y、1M、1C、1Kは円筒状の電子写真感光体(第1色〜第4色用電子写真感光体)であり、それぞれ軸2Y、2M、2C、2Kを中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kの端部には、それぞれ、軸または軸受部を有する端部係合部材(ギアやフランジなど)が係合されており(不図示)、電子写真感光体1Yおよび端部係合部材で第1色用電子写真感光体ユニットを構成しており、電子写真感光体1Mおよび端部係合部材で第2色用電子写真感光体ユニットを構成しており、電子写真感光体1Cおよび端部係合部材で第3色用電子写真感光体ユニットを構成しており、電子写真感光体1Kおよび端部係合部材で第4色用電子写真感光体ユニットを構成している。
【0099】
回転駆動される第1色用電子写真感光体1Yの表面は、第1色用帯電手段(第1色用一次帯電手段:帯電ローラーなど)3Yにより、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4Yを受ける。露光光4Yは、目的のカラー画像の第1色成分像(例えばイエロー成分像)に対応した露光光である。こうして第1色用電子写真感光体1Yの表面に、目的のカラー画像の第1色成分像に対応した第1色成分静電潜像(イエロー成分静電潜像)が順次形成されていく。
【0100】
張架ローラー12によって張架された転写材搬送部材(転写材搬送ベルト)14は、矢印方向に第1色〜第4色用電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kとほぼ同じ周速度(例えば第1色〜第4色用電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kの周速度に対して97〜103%)で回転駆動される。また、転写材供給手段(不図示)から給送された転写材(紙など)Pは、転写材搬送部材14に静電的に担持(吸着)され、第1色〜第4色用電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kと転写材搬送部材との間(当接部)に順次搬送される。
【0101】
第1色用電子写真感光体1Yの表面に形成された第1色成分静電潜像は、第1色用現像手段5Yの現像剤担持体に担持された現像剤に含まれる第1色トナーにより現像されて第1色トナー像(イエロートナー像)となる。次いで、第1色用電子写真感光体1Yの表面に形成担持されている第1色トナー像が、第1色用転写部材(第1色用転写ローラー)6Yからの転写バイアスによって、第1色用電子写真感光体1Yと第1色用転写部材6Yとの間を通過する転写材搬送部材14に担持された転写材Pに順次転写されていく。
【0102】
第1色トナー像転写後の第1色用電子写真感光体1Yの表面は、第1色用クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7Yによって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化された後、繰り返し第1色トナー像形成に使用される。
【0103】
第1色用電子写真感光体1Y、第1色用帯電手段3Y、第1色用露光手段、第1色用現像手段5Y、第1色用転写部材6Yをまとめて第1色用画像形成部と称する。
【0104】
第2色用電子写真感光体1M、第2色用帯電手段3M、第2色用露光手段、第2色用現像手段5M、第2色用転写部材6Mを有する第2色用画像形成部、第3色用電子写真感光体1C、第3色用帯電手段3C、第3色用露光手段、第3色用現像手段5C、第3色用転写部材6Cを有する第3色用画像形成部、第4色用電子写真感光体1K、第4色用帯電手段3K、第4色用露光手段、第4色用現像手段5K、第4色用転写部材6Kを有する第4色用画像形成部の動作は、第1色用画像形成部の動作と同様であり、転写材搬送部材14に担持され、第1色トナー像が転写された転写材Pに、第2色トナー像(マゼンタトナー像)、第3色トナー像(シアントナー像)、第4色トナー像(ブラックトナー像)が順次転写されていく。こうして転写材搬送部材14に担持された転写材Pに目的のカラー画像に対応した合成トナー像が形成される。
【0105】
合成トナー像が形成された転写材Pは、転写材搬送部材14の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることによりカラー画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0106】
また、第1色〜第4色用クリーニング手段7Y、7M、7C、7Kによる転写残りの現像剤(トナー)除去後の第1色〜第4色用電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kの表面を、前露光手段からの前露光光により除電処理してもよいが、図7に示すように、第1色〜第4色用帯電手段3Y、3M、3C、3Kが帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0107】
なお、図7中、15は転写材搬送部材に転写材を吸着させるための吸着ローラーであり、16は転写材搬送部材から転写材を分離するための分離帯電器である。
【0108】
また、図7に示される構成のカラー電子写真装置においても、図6に示される構成の電子写真装置と同様、電子写真感光体ユニット、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。
【実施例】
【0109】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。また、実施例中の精度測定公差の定義はJIS−B0021、JIS−B0621による。
【0110】
(実施例1)
ポートホ−ル方式により作成された押出し素管にさらに引抜き加工を行うことにより精度を高めて製造された中空パイプ(アルミニウム合金JIS−A5805:線膨張係数2.4×10−5/℃)を切断して外径84.3mm、内径79.0mm、長さ364mmの円筒部材を1000本得た。円筒部材の内周真円度および外周真円度は、ともに平均で10μm、最大30μmの正規分布であった。偏肉は平均で15μm最大40μm以下、外周キズは最大深さで50μm以下、コロ振れは(素管両端部より5mmの位置を高精度のベアリングで支持しこれを基準として素管を回転し素管中心部にダイヤルゲージを当ててその触れ幅で測定)平均で20μm最大60μm以下であった。内径80.000mmであった。
【0111】
次に、円筒部材内周を保持して両端部を切削加工により削り、全長を360mm、端面直角度を100μm以下、端面平行度20μm以下に仕上げた。さらに、図5におけるテーパー面の延長が交わる角度が90°となるように円筒部材端部側にテーパー面を形成した。この一連の端部加工は、円筒状部材内径を保持したまま連続して行った。テーパー面と円筒部材端部内側の同芯度は30μm以下、テーパー面の真円度は30μm以下であった。
【0112】
次に、旋盤加工装置(商品名:RL−700、エグロ(株)製)を用いて、上記円筒部材の外周面を切削加工した。加工条件としては、円筒部材保持部材のクランプ面がテーパー形状であり、該クランプ面(テーパー面)を円筒状部材奥側に延長して形成される円錐の頂点の角度が30°とした。円筒部材を保持する保持手段の圧力は5Kgであった。切削中における円筒部材の回転速度が4000rpm、円筒部材1回転あたりの送りピッチが0.12mm/revである。振動防止のため内部にゴム硬度95度(JIS硬度)外径78.9mm長さ310mmウレタンゴム製の円筒を挿入してまず初めに、R0.2の焼結ダイヤモンド製バイトで切り込み量0.2mmとして荒切削を行った。次に、ミラクルバイト(株式会社東京ダイヤモンド工具製作所製)で切り込み量0.03mmとして仕上げ加工を行った。
【0113】
このようにして得られた円筒部材を電子写真感光体の支持体として用いた。
【0114】
得られた円筒部材は、外径φ84.94mm、長さ360.0mmであった。表面粗さ計サーフコーダーSE3500((株)小坂研究所製)を用いて、カットオフを0.8mm、測定長さを8mmとして表面粗さを測定した。10点平均表面粗さRzjisは平均0.15μm、最大0.2であった。最大表面高さRyは平均0.2μm、最大0.3であった。平均波長長さSmは平均0.12mmであった。
【0115】
また、(株)ミツトヨ製真円度計RA−662を用いて、得られた円筒状部材の外周面端部より上下7mm部分の真円度を測定した結果平均値7μm、最大値11μmであった。外周面端部より上下7mm部分の偏肉度を測定した結果平均値8μm、最大値16μmであった。上端より180mm(=中心部)の真円度を測定した結果平均値2μm、最大値5μmであった。端部より10mm、95mm、180mm、275mm、350mmの外周を測定し円筒度を求めた結果平均値7μm、最大値15μmであった。
【0116】
次に、SnOコート処理硫酸バリウム10部、酸化チタン5部、フェノール樹脂6部、メタノール4部、メトキシプロパノール22部を、直径1mmのガラスビ−ズを用いた三度見る装置で2時間分散して、導電層用塗布液を調製した。
【0117】
この導電層用塗布液を、支持体上に浸漬塗布し、150℃で30分間熱硬化して、膜厚が10μmの導電層を形成した。
【0118】
次に、ポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部、および、メトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)10部を、メタノール300部/n−ブタノール250部の混合溶媒で溶解して、中間層用塗布液を調製した。
【0119】
この中間層用塗布液を、導電層上に浸漬塗布し、100℃で10分間熱風乾燥して、膜厚が1.0μmの中間層を形成した。
【0120】
次に、CuKαの特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4°、16.6°、25.5°および28.2°に強いピークを有するクロロガリウムフタロシアニン6.5部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BX−1、積水化学工業(株)製)3部およびシクロヘキサノン50部からなる溶液を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で8時間分散し、次に、エチルアセテート100部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。
【0121】
この電荷発生層用塗布液を、中間層上に浸漬塗布し、90℃で10分間乾燥して、膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0122】
次に、下記式で示される構造を有するアミン化合物(電荷輸送物質)8部、


下記式で示される構造を有するアミン化合物(電荷輸送物質)5部、


および、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−200、三菱ガス化学(株)製)10部を、モノクロロベンゼン80部/ジメトキシメタン20部の混合溶媒で溶解して、電荷輸送層用塗布液を調製した。
【0123】
この電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布し、130℃で1時間乾燥して、膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
【0124】
このようにして、電荷輸送層が表面層である円筒状の電子写真感光体を作製した。次に、ポリカーボネート(ユーピロン、三菱ガス化学(株)製)製線膨張係数7.0×10−5/℃)を成型加工することより作製した係合部材(軸部を有する)を作成した。形状は図4の形状であり、円筒状結合部402は円筒部材内側に挿入したときに円筒部材を変形させないために外周部は切削加工を行い真円度10μm以下となるように加工した。円筒状結合部402外径は80.050mmとし、円盤状連結部402は電子写真感光体ドラムを所定の軸回り107に高精度に回転させるのに十分な強度があるように補強用梁(リブ)403を設けた。軸部には強度を高めるために補強用梁(リブ)404を設けた。
【0125】
上述のとおり作製した電子写真感光体の支持体(円筒部材)の両端部に装着し、シアノアクリレート系接着剤(商品名:アロンアルファ、東亞合成(株)製)を用いて固定することで、電子写真感光体ユニットとした。この工程は20℃の環境で行った。
【0126】
次に、図3に示す構成の加工装置を用いて芯だし加工を行った。
【0127】
画像領域を避けるように円筒部材端部から10より15mmの位置に当接するように配置された複数の支持ローラー301a、301b、302a、302b、303a、303bによって、電子写真感光体ユニット101を支持し次に、支持ローラー303a、303bを駆動することによって、電子写真感光体ユニット101を、電子写真感光体102の外周基準中心軸204を中心として回転させる。次に、回転する電子写真感光体ユニット101の係合部材104の軸部106に切削部材304を押し当てることによって、図8のように係合部材の軸受部の不要部801を除去し電子写真感光体102の外周基準中心軸204と同心の中心軸を有する軸部106に与えることができた。
【0128】
軸部の外径が21.0mm(公差:−0/+30μm以内)、フランジ部よりの張り出た軸部の長さ33mm(公差:−0/+0.1m以内)となるように加工した(図8参照)。
【0129】
このようにして加工した電子写真感光体ユニットの精度を、ハイトゲージ((株)ミツトヨ製)で測定した結果、軸受部の外径が21.008mm、フランジ部よりの張り出た軸受部の長さ33.05mmであった。
【0130】
加工後の電子写真感光体ユニットを両端軸部の外径にすきま無く嵌まるような軸受に、電子写真感光体ユニットを固定しレーザー振れ測定機を用いて精度測定した。用いたレーザー振れ測定機は、真直度3μm以下の基準ゲージと円筒部材外周面との距離を分解能1μmで測定するレーザー測長機((株)シンコウ製)であり、電子写真感光体ユニットを母線方向に10点、周方向に10点計100点の電子写真感光体ユニットの表面変位を測定し、データ処理により振れ精度を算出するものである。
【0131】
作製した計1000本の電子写真感光体ユニットを、円筒状部材の両端部より10mm部分を除いた340mm部分の外周面振れ円筒振れ回り精度を測定し、1000本の電子写真感光体ユニットのうち、測定値の最も大きかったサンプルの値を表1に示す。測定値が30μm以下のものを良品とした場合の収率を表1に示す。
【0132】
さらにヒートショックテストとして作製した計1000本の電子写真感光体ユニットを−20℃環境に24時間放置後50℃で24時間、再び−20℃に24時間放置後50℃環境に24時間放置した後、20℃環境に24時間放置し軸部に5.0N・mのトルクをかけて係合部材の外れを確認した結果、1000本とも良好であった。良品としたサンプルの収率を表1に示す。
【0133】
また、このようにして作製した電子写真感光体ユニットを、インライン方式のカラー複写機(商品名:カラーレーザーコピア5000改造機、キヤノン(株)製)に装着した。電子写真装置機内での電子写真感光体ユニット温度は35℃に保った。画像を出力し、色ズレ、ハーフトーン画像ムラの評価を行った。ハーフトーン画像は有効線1本と白線2本分が交互に連続しているものであり、縦方向、横方向にそれぞれ走査したものを使用した。
【0134】
出力画像を評価したところ、色ズレやハーフトーン画像ムラは生じていなかった。
【0135】
(実施例2〜4)
実施例1において表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体ユニットを作製評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様にして出力画像を評価したところ、色ズレやハーフトーン画像ムラは生じなかった。
【0136】
(実施例5〜6)
実施例1において円筒部材材質をアルミニウム合金JIS−A3003:線膨張係数2.3×10−5/℃)に、係合部材をポリアセタ−ル樹脂(ジュラコンM90S:ポリプラスチックス株式会社製)線膨張係数10×10−5/℃にその他条件を表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体ユニットを作製評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様にして出力画像を評価したところ、色ズレやハーフトーン画像ムラは生じなかった。
【0137】
(比較例1)
実施例1において表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体ユニットを作製評価した。評価結果を表1に示す。芯出し加工後の電子写真ユニット精度低下が見られ収率が低下した。実施例1と同様にして出力画像を評価したところ、濃度ムラが発生した。
【0138】
(比較例2)
実施例1において表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体ユニットを作製評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様にして出力画像を評価したところ、濃度ムラが発生した。画像不良の電子写真ユニットでは係合部材が外れていた。
【0139】
(比較例3)
実施例1において表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体ユニットを作製評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様にして出力画像を評価したところ、濃度ムラが発生した。係合部材結合の膨張により円筒部材端部が変形し良好な画像が得られなかった。
【0140】
(比較例4)
実施例1において、円筒部材と係合部材を接合する方法として上述の特許文献1に記載の方法を採用した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体ユニットを作製した。作製した計1000本の電子写真感光体ユニットに実施例1と同様のヒートショックテストを行った結果、1000本中25本に係合部材の外れが発生した。外れが発生した電子写真感光体ユニットを調べたところ接着層にクラックが発生していた。
【0141】
(比較例5)
実施例1において、円筒部材と係合部材を接合する方法として上述の特許文献2に記載の方法を採用した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体、電子写真感光体ユニットを作製し、評価した。実施例1と同様にして画像を評価したところ良好な画像が得られなかった。両端に加熱による変形が発生し支持体の端部に係合部材を係合させた後に、係合部材の軸部を加工して芯出しを行ったが十分な精度が得られなかった。
【0142】
(比較例6)
実施例1において、円筒部材と係合部材を接合する方法として上述の特許文献3に記載の方法を採用した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体ユニットを作製した。実施例1と同様にして画像を評価したところ良好な画像が得られなかった。両端に加熱による変形が発生し電子写真感光体ユニットの精度が低下していた。
【0143】
(比較例7)
実施例1において、円筒部材と係合部材を接合する方法として上述の特許文献4に記載の方法を採用した以外は、実施例1と同様にして画像を評価したところ9%の電子写真感光体ユニットで良好な画像が得られなかった。支持体端部に変形が生じていて、支持体の端部に係合部材を係合させた後に、係合部材の軸部を加工して芯出しを行ったが十分な精度が得られなかった。
【0144】
(比較例8)
実施例1において、円筒部材と係合部材を接合する方法として上述の特許文献5に記載の方法を採用した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体ユニットを作製した。実施例1と同様にして画像を評価したところ13%の電子写真感光体ユニットで良好な画像が得られなかった。支持体端部に変形が生じていて、支持体の端部に係合部材を係合させた後に、係合部材の軸部を加工して芯出しを行ったが十分な精度が得られなかった。
【0145】
(比較例9)
実施例1において、円筒部材と係合部材を接合する方法として上述の特許文献6に記載の方法を採用した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体ユニットを作製した。実施例1と同様にして画像を評価したところ12%の電子写真感光体ユニットで良好な画像が得られなかった。支持体端部に変形が生じていて、支持体の端部に係合部材を係合させた後に、係合部材の軸部を加工して芯出しを行ったが十分な精度が得られなかった。
【0146】
(比較例10)
実施例1において、円筒部材と係合部材を接合する方法として上述の特許文献7に記載の方法を採用した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体ユニットを作製した。実施例1と同様にして画像を評価したところ15%の電子写真感光体ユニットで良好な画像が得られなかった。支持体端部に変形が生じていて、支持体の端部に係合部材を係合させた後に、係合部材の軸部を加工して芯出しを行ったが十分な精度が得られなかった。
【0147】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】電子写真感光体ユニットの構成を説明する図である。
【図2a】円筒部材、係合部材結合部の温度変化により変形を断面図用いてを説明する図である(組み立て時における状態)。
【図2b】円筒部材、係合部材結合部の温度変化により変形を断面図用いてを説明する図である(変形冷却時における状態)。
【図3】端部係合部材の軸部を加工して芯出しを行う方法を説明する図である。
【図4】本発明の係合部材形状を説明する図である。
【図5】円筒部材を切削する方法を説明する図である。
【図6】プロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
【図7】インライン方式のカラー電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
【図8】端部係合部材の軸受部について不要部を切削により除去した図である。
【符号の説明】
【0149】
1 電子写真感光体
1Y 電子写真感光体
1M 電子写真感光体
1C 電子写真感光体
1K 電子写真感光体
2 軸
2Y 軸
2M 軸
2C 軸
2K 軸
3 帯電手段
3Y 帯電手段
3M 帯電手段
3C 帯電手段
3K 帯電手段
4 露光光
4Y 露光光
4M 露光光
4C 露光光
4K 露光光
5 現像手段
5Y 現像手段
5M 現像手段
5C 現像手段
5K 現像手段
6 転写手段
6Y 転写部材
6M 転写部材
6C 転写部材
6K 転写部材
7 クリーニング手段
7Y クリーニング手段
7M クリーニング手段
7C クリーニング手段
7K クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
12 張架ローラー
14 転写材搬送部材
15 吸着ローラー
16 分離帯電器
101 電子写真感光体ユニット
102 円筒部材
103 感光層
104 係合部材1
105 係合部材2
106 軸部
107 電子写真感光体ユニット回転軸
108 変心した係合部材軸中心
109 現像手段
201 円筒部材端部内側
202 係合部材結合部
301a 支持ローラー
301b 支持ローラー
302a 支持ローラー
302b 支持ローラー
303a 支持ローラー
303b 支持ローラー
304 切削部材
401 係合部材
402 円盤状連結部
403 リブ
404 リブ
501 円筒部材(素管)
502 円筒部材端部
503 円筒部材端部テーパー面
504a 円筒部材保持手段
504b 円筒部材保持手段
801 軸受部の切削除去部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光層を有する円筒部材端部内側に係合部材を圧入結合した電子写真感光体ドラムユニットの製造方法において、前記円筒部材の線膨張係数をA1/℃、前記係合部材係合部の線膨張係数をA2/℃、円筒部材に係合部材を組み付けるときの温度をt1℃における前記円筒部材結合部内径をD1、前記係合部材結合部外径をD2、電子写真装置本体機内におけるドラムユニット使用温度の最大値をt2℃としたとき、
A1<A2、
かつ5×10−5(/℃)<A2
かつ125≧D2−D1≧30μm
かつ175μm≧D2(1+(t2−t1)A2)−D1(1+(t2−t1)A1)
であることを特徴とする電子写真感光体ドラムユニットの製造方法。
【請求項2】
D2(1+(−20−t1)A2)−D1(1+(−20−t1)A1)≧−160μm
であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体ドラムユニットの製造方法。
【請求項3】
感光層を有する円筒部材端部に係合された軸または軸受部を有する部係合部材を有する電子写真感光体ドラムユニットの製造方法であって、前記電子写真感光体ドラムユニットの製造方法により電子写真感光体の支持体の端部に該係合部材を接合させる工程と、該係合工程により係合部材が係合された電子写真感光体を、該電子写真感光体の外周基準の中心軸を中心として回転させながら、該軸または該軸受部の芯出し加工を行う工程とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体ドラムユニットの製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の電子写真感光体ドラムユニットの製造方法により製造された電子写真感光体ドラムユニットを有し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の電子写真感光体ドラムユニットの製造方法により製造された電子写真感光体ドラムユニットを有することを特徴とする電子写真装置。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate