説明

電子写真捺染用トナー及び電子写真捺染方法

【課題】帯電特性が良好で、布との固着反応性に優れ画像濃度が高い捺染用電子写真トナー及びその捺染方法を提供することであり、また、捺染の作業性を大幅に効率化し、オンデマンド性を持たせた、ムダのない捺染方法を提供すること。
【解決手段】着色剤、バインダー樹脂を含有するトナーを用い電子写真方式により捺染を行う電子写真捺染方法であって、前記着色剤が反応染料であり、前記樹脂の割合{(樹脂/(染料+樹脂))×100}が、15wt%以上50wt%以下であることを特徴とする電子写真捺染法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式による捺染用トナー及びその捺染方法に関する。
【背景技術】
【0002】
捺染法は、糸、編織物、二次製品等色々な形態の繊維品に適用され、版形式及び機械操作によって凹版を用いるローラ捺染、孔版によるスクリーン、型紙捺染が主流である。スクリーン捺染には手工捺染、半自動スクリーン捺染機、自動走行スクリーン捺染機による捺染、フラット型及びロータリー式自動スクリーン捺染機による捺染などがある。しかし、ローラ捺染は、金属ローラに図柄を彫刻する工程が煩雑でローラの取り扱い等も大変であり、スクリーン捺染は、スクリーンの製造に時間がかかり、捺染作業に手間がかかる等の問題があった。また、ロータリー式スクリーン捺染もスクリーンの製作、ローラの彫刻等に時間がかかる等の問題があった。このように従来からの捺染法はその製作工程が煩雑で、出来上がりまで長期間費やされるため、簡便な捺染法が望まれていた。
【0003】
近年、従来の彫刻製版工程を省略し、短期間で製作が可能なインクジェットを用いた捺染方法は特許文献1〜5(特開平10−195776号公報、特許第2995135号公報、特開2003−96340号公報、特開平7−278482号公報、特開平8−226083号公報)などに提案されている。しかし、インクジェットによる捺染方式は、濃度を上げることができない、捺染していくうちに濃度が変化してしまう等の欠点があった。
【0004】
これらの問題を解決するため、電子写真方式を用いた捺染方法が最近開発されている。この方法は、感光体上に静電潜像を形成し、トナーを付着させ、これを布類に転写し、熱によりトナーを定着させるものである。
しかし、この特許文献6〜8(特開平5−027474号公報、特開平5−033275号公報、特開平11−279959号公報)記載の電子写真方式による捺染方法は、乾式トナーを用いたものであり、トナー層厚が厚いため、肌触りが良くない、樹脂により物理的に繊維に付着させているため、摩擦堅牢度、耐洗濯特性が劣る等の問題があった。
【0005】
また、特許文献9〜11(特開平9−73198号公報、特開平10−239916号公報、特開平11−286880号公報)等に液体トナーを用いた電子写真方式による捺染法が提案され、特許文献12(特開2000−29238号公報)には、熱昇華性色素を含む乾式トナーを用いた電子写真方式による捺染法が提案されている。これは、昇華染料を用いた液体トナーをイオン流により現像し、図柄を転写物に印刷し、これを布類に重ね合せ昇華熱転写するものである。この方法は、肌触り等も自然で、簡便な方法であるが、カラーの場合、2色目以降に重ねた色の濃度が出にくい、耐洗濯性に劣る等の欠点があった。また、布の裏面までトナーが染込まず、両面捺染する必要があった。加えて作業が煩雑で、布に転写後、不要になった紙(転写物)がムダになるなどの問題があった。
【0006】
このような問題を解決し、布類への定着性、耐洗濯性が良く、画像濃度が高く、高解像度の画像が得られる捺染用電子写真液体現像剤、及びこれを用いた捺染方法が特許文献13(特開2002−278171号公報)に提案されている。
しかし、前記現像剤は、画像濃度を向上させるために、感光体上の現像液量を多くする必要があるものであった。
【0007】
【特許文献1】特開平10−195776号公報
【特許文献2】第2995135号公報
【特許文献3】特開2003−96340号公報
【特許文献4】特開平7−278482号公報
【特許文献5】特開平8−226083号公報
【特許文献6】特開平5−027474号公報
【特許文献7】特開平5−033275号公報
【特許文献8】特開平11−279959号公報
【特許文献9】特開平9−73198号公報
【特許文献10】特開平10−239916号公報
【特許文献11】特開平11−286880号公報
【特許文献12】特開2000−29238号公報
【特許文献13】特開2002−278171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、帯電特性が良好で、布との固着反応性に優れ画像濃度が高い捺染用電子写真トナー及びその捺染方法を提供することである。
また、捺染の作業性を大幅に効率化し、オンデマンド性を持たせた、ムダのない捺染方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は本発明の(1)「着色剤、バインダー樹脂を含有するトナーを用い電子写真方式により捺染を行う電子写真捺染方法であって、前記着色剤が反応染料であり、前記樹脂の割合{(樹脂/(染料+樹脂))×100}が、15wt%以上50wt%以下であることを特徴とする電子写真捺染法」、
(2)「前記バインダー樹脂は、下記一般式1であらわされるビニルモノマーAと下記一般式2で表されるビニルモノマーBとを構成単位として含み、さらに、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、またはメタクリル酸より選ばれる構成単位を含んでいてもよい共重合体を含有するものであることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真捺染法;
【0010】
【化1】


(R1はHまたはCHを、nは6〜20の整数を表わす。)
【0011】
【化2】

(R1はHまたはCHを、R2はCが1〜4のアルキル基又はHを表す。)」、
(3)「前記ビニルモノマーAとモノマーBとを構成単位として含む共重合体は、GPC法で測定した数平均分子量(Mn)が5000以上50000以下であることを特徴とする前記第(2)項に記載の電子写真捺染方法」、
(4)「前記バインダー樹脂は、アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂をさらに含有するものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項何れか1に記載の電子写真捺染方法」、
(5)「前記バインダー樹脂は、前記アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂を35wt%以下含有するものであることを特徴とする前記第(4)項に記載の電子写真捺染方法」、
(6)「前記染料は、染料純度が80%以上であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項何れか1に記載の電子写真捺染方法」、
(7)「前記トナーは、体積抵抗10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率の担体液中に分散されてなる電子写真液体捺染トナーであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項の何れか1に記載の電子写真捺染方法」、
(8)「前記電子写真液体捺染トナーは、ζ電位の絶対値が10mV以上200mV以下であることを特徴とする前記第(7)項に記載の電子写真捺染方法」、
(9)「前記電子写真捺染液体トナーは、トナー粒子の重量平均粒径が0.1μm以上5μm以下であることを特徴とする前記第(7)項又は第(8)項に記載の電子写真捺染方法」、
(10)「感光体上の静電潜像を現像ローラ上のトナーにより現像し、該現像トナーを捺染材に直接または中間転写体に転写したのち転写し、定着する工程を含み、前記捺染材への転写時に転写ローラで圧力をかけ、画像を転写させることを特徴とする前記第(1)項乃至第(9)項の何れか1に記載の電子写真捺染方法」、
(11)「2次転写前に中間転写体に溶媒を吹きかける工程を含むことを特徴とする前記第(10)項に記載の電子写真捺染方法」、
(12)「現像後の現像ローラ上の過剰の現像液を、現像ローラと逆回転するリバースローラにより除去する工程を含み、このときの感光体の線速に対し、現像ローラの線速が1.2倍以上6倍以下、リバースローラの線速が1.2倍以上4倍以下であることを特徴とする前記第(10)項又は第(11)項に記載の電子写真捺染方法」、
(13)「タンデム型に複数の感光体を配置し、ベルト上に貼りつけた布に画像を転写しフルカラー捺染することを特徴とする前記第(1)項乃至第(12)項の何れか1に記載の電子写真捺染方法」、
(14)「着色剤、バインダー樹脂を含有し、電子写真方式により捺染を行う電子写真捺染方法に用いる電子写真液体捺染トナーであって、前記着色剤が反応染料であり、前記樹脂の割合{(樹脂/(染料+樹脂))×100}が、15wt%以上50wt%以下であり、
前記バインダー樹脂は、下記一般式1であらわされるビニルモノマーAと下記一般式2で表されるビニルモノマーBとを構成単位として含み、さらに、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、またはメタクリル酸より選ばれる構成単位を含んでいてもよい共重合体、及び、アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂を含有するものであることを特徴とする電子写真捺染トナー;
【0012】
【化3】



(R1はHまたはCHを、nは6〜20の整数を表わす。)
【0013】
【化4】


(R1はHまたはCHを、R2はCが1〜4のアルキル基又はHを表す。)」、
(15)「前記ビニルモノマーAとモノマーBとを構成単位として含む共重合体は、GPC法で測定した数平均分子量(Mn)が5000以上50000以下であることを特徴とする前記第(14)項に記載の電子写真捺染トナー」、
(16)「前記バインダー樹脂は、前記アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂を35wt%以下含有するものであることを特徴とする前記第(14)項または第(15)項に記載の電子写真捺染トナー」、
(17)「前記染料は、染料純度が80%以上であることを特徴とする前記第(14)項乃至第(16)項の何れか1に記載の電子写真捺染トナー」、
(18)「前記トナーは、体積抵抗10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率の担体液中に分散されてなる電子写真液体捺染トナーであることを特徴とする前記第(14)項乃至第(17)項の何れか1に記載の電子写真捺染トナー」、
(19)「前記電子写真液体捺染トナーは、ζ電位の絶対値が10mV以上200mV以下であることを特徴とする前記第(18)項に記載の電子写真捺染トナー」、
(20「前記電子写真捺染液体トナーは、トナー粒子の重量平均粒径が0.1μm以上5μm以下であることを特徴とする前記第(18)項又は第(19)項に記載の電子写真捺染トナー」により解決される。
【発明の効果】
【0014】
着色剤、バインダー樹脂を含有するトナーを用い電子写真方式により捺染を行う電子写真捺染方法であって、前記着色剤が反応染料であり、前記樹脂の割合{(樹脂/(染料+樹脂))×100}が、15wt%以上50wt%以下であるため、オンデマンド性に優れ帯電特性が良好で布への固着性が高く、高画像濃度の捺染が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は着色剤、バインダー樹脂を含有するトナーを用い電子写真方式により捺染を行う電子写真捺染方法であって、前記着色剤が反応染料であり、前記樹脂の割合{(樹脂/(染料+樹脂))×100}が、15wt%以上50wt%以下であることを特徴とするものである。
【0016】
通常の捺染に用いられる捺染糊の場合は、反応染料が溶解した色糊として布に付着し、アルカリにより反応染料の反応基と綿布(セルロース)の水酸基とが反応して共有結合を生成する。
これに対し、トナーの場合は、図5のモデルのように(i)染料が溶媒に溶解しておらず粒子の状態で布に付着していること、(ii)染料の周囲に樹脂が存在しているため、染料の反応基と綿布(セルロース)の水酸基との反応が不十分となり十分な染着効果が得られにくい。
【0017】
反応染料に対する樹脂の割合{(樹脂/(染料+樹脂))×100}を、15wt%以上50wt%以下にすることにより、トナーとしての特性と綿布に対する反応性とを両立させることが可能となる。
樹脂量は少ないほど染料反応基と綿布との接触確立が高まり反応率は高まる。
しかし、染料に対する樹脂の割合が15wt%よりも低くなると帯電特性、帯電安定性が低下しトナーとしての品質が低下する。
【0018】
一般の捺染インクでは版を用いて画像を作成するため、インクの電気的な特性は意味を持たないが、電子写真の場合は、プラスあるいはマイナスの電気的な特性により像を形成するため、帯電特性、帯電安定性は非常に重要である。
帯電安定性が低下すると現像特性が低下し、濃度が低下したり、地肌汚れが生じたりする。
【0019】
一方、染料に対する樹脂の割合が50wt%を超えると反応染料と綿布との反応率が低下し濃度が不十分となる。また、水洗後に樹脂を除去し難くなるため、風合が低下する。
【0020】
綿、麻などのセルロース系天然繊維とトリアジン系反応染料の反応は以下のように示される。
【0021】
【化5】

【0022】
染料が綿布に反応する反応率は以下のように求めることができる。
(i)反応前ベタサンプル、及びアルカリでの反応後ベタサンプルを5cm×5cmに切りとり、それぞれDMF(N,Nジメチルホルムアミド)30mlに入れる。
(ii)反応前ベタサンプルは、常温で10分間攪拌し全付着染料を溶出させる。
反応後ベタサンプルは、100℃で1時間攪拌し未反応染料を抽出する。
(iii)分光光度計で抽出液の可視光吸収スペクトルを測定。
(iv)最大吸収波長における吸光度より反応率を算出。

反応率(%)=((反応前サンプル吸光度)-(反応後サンプル吸光度))/(反応前サンプル吸光度)×100%
【0023】
樹脂は反応染料に吸着しやすく帯電安定性を高めることができ、水洗工程で除去し易いものであれば特に制約はないが全樹脂のうち65wt%以上が、バインダー樹脂は、下記一般式1であらわされるビニルモノマーAと下記一般式2で表されるビニルモノマーBとを構成単位として含み、さらに、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、またはメタクリル酸より選ばれる構成単位を含んでいてもよい共重合体を含有するものであることが望ましい。
【0024】
前記ビニルピリジン、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、またはメタクリル酸は、溶媒との親和性を調節したり(分散安定化)、極性基による正帯電性、負帯電性の極性を付与したりするため適宜選択することができ、メタクリル酸であることが好ましい。
【0025】
【化6】

(R1はHまたはCHを、nは6〜20の整数を表わす。)
【0026】
【化7】

(R1はHまたはCHを、R2はCが1〜4のアルキル基又はHを表す。)
【0027】
このような共重合体は例えば以下のように合成できる。
攪拌機、温度計、冷却管、滴下ロートを備えた3LのフラスコにアイソパーH500gを仕込み、90℃に加熱し、攪拌しながらラウリルメタアクリレート(三菱レイヨン社製アクリエステルL)100g、グリシジルメタアクリレート(アクリエステルG)20g、メタクリル酸(三菱レイヨン社製)15g、アズビスイソブチロニトリル1gよりなるモノマー溶液を2時間かけて滴下する。
その後、95℃に保ち5時間重合を行う。
その後、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製アクリエステルM)30g、アズビスイソブチロニトリル0.2gよりなるモノマー溶液を2時間かけて滴下し、85℃に保ち1時間重合を行う。
【0028】
この共重合体の数平均分子量は、5000以上50000以下であることが望ましい。
数平均分子量が5000より小さいと帯電安定化特性が低下し、50000より大きいと風合を損ねる。
【0029】
また、前記樹脂には、さらにアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂を含有させることが好ましい。該アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の含有量は全樹脂量の35wt%以下が望ましい。
【0030】
これらの樹脂を含有させることにより発色水洗工程でトナー中の樹脂が溶解し、布から脱離するため、風合の良好な捺染布が得られる。
発色水洗工程では、100℃前後でスチーミング後、0.1〜2%程度のアルカリで処理する場合があり、アルカリ可溶性樹脂、水溶性樹脂を含有させないと、樹脂分が残り、風合を劣化させる原因となるが、アルカリ可溶性樹脂、水溶性樹脂を含有させることにより、発色水洗工程で樹脂が離脱し、風合の良好な捺染が得られる。
アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂は、水溶性メラミン樹脂、水溶性ロジン変性樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、コラーゲン、ゼラチン、デンプン、キトサン等を用いることができる。
商品としては、クラレ社製ポバール(PVA)、イソバン(イソブチレン/マレイン酸樹脂)、ハリマ化成製ネオトール、ハリディプ(アルキッド樹脂、アクリル樹脂)、日本合成化学社製エコアティ(PVA)、ナガセケムテックス社製デコナール(エポキシ樹脂)、日本純薬社製ジュリアー(アクリル樹脂)、カブセン(ポリエステル樹脂)などが挙げられる。
【0031】
バインダー樹脂の酸価は2000mg/KOH以下であることが望ましい。樹脂酸価はトナーの帯電特性に大きな影響を及ぼす。酸価が低いほど帯電性への影響は少なくなり、酸価が高くなるほどマイナス帯電性が高まる傾向にある。このため酸価が高い場合はトナーをプラス帯電性にする場合には、その制御が困難になる。望ましくは1以上150mg/KOH以下である。
【0032】
また、その他、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂などトナーとして一般的に用いられる樹脂も使用できる。含有量は全樹脂量の30%以下が好ましい。
【0033】
市販の紛体染料は、染料純度50%程度で、食塩、芒硝が多量に入っている場合が多く、液の抵抗、帯電性に悪影響を与えるため、精製するか、初めから塩類含有量の少ない染料を用いたほうが、良好である。純度80%以上が望ましい。
【0034】
染料の純度は以下の溶解、再沈殿法で求められる。
(1)食塩、芒硝などの無機塩類を溶解せずに染料のみを溶解する溶媒(N、N−ジメチルホルムアミドなど)を用いて抽出する。
(2)(1)の染料溶解液に染料を溶解しない溶媒(アセトンなど)を混合し染料を析出させる。
(3)(析出させた染料重量/初めの染料重量)×100%で純度を算出する。
【0035】
本発明のトナーは粉体の乾式トナーとして用いることもできるが、体積抵抗10Ω・cm以上高抵抗低誘電率の担体液中に分散されてなる液体トナーとして用いた場合においては特に高品質の捺染が得られる。
【0036】
液体トナーとして用いる場合に使用される担体液としては、高抵抗で低誘電率のものが良く、イソパラフィン系炭化水素、シリコーン系オイル等が良好である。イソパラフィン系炭化水素は、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、アイソパーV、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、エクソール100/140、エクソールD30、エクソールD40、エクソールD80、エクソールD110、エクソールD130(以上エクソンモービル社製)(エクソン化学)などがあり、シリコーン系オイルとしては、KF96 1〜10000cst(信越シリコン)、SH200、SH344(東レシリコン)、TSF451(東芝シリコン)などがある。
【0037】
担体液の沸点は100℃より高く350℃より低いことが望ましい。100℃以下であると転写前に溶媒が揮発しやすく転写性向上の効果が低減したり、臭気、安全性の点や、揮発溶剤蒸気が作業者にとって好ましくない。350℃以上では、溶剤が揮発しにくく、発色工程で溶剤が除去できず発色特性に問題が生じる。350℃未満であれば、後工程の加熱、スチーミングの段階で蒸発させることができる。
【0038】
乾式トナー場合、平均粒径は3μm以上20μm以下が望ましく、3μm未満ではチリが生じ、20μmを超えると色彩、解像性が悪くなる。
乾式トナーの粒径はコールターカウンター法により求める。コールターカンウター法は乾式トナーの粒径測定で通常用いられる方法であり、トナーを電解質溶液中に分散し小孔の開いた隔壁の両側から電圧をかける。小孔から粒子体積分の電解質溶液が排除されるため、左右の電極間の電気抵抗が瞬間的に増し、電圧パルスを生じるためこのパルス数と大きさから粒度分布を求める。
【0039】
液体トナーの場合、ζ電位は10mV以上200mV以下が良好である。ζ電位が10mVよりも低いとトナー粒子が凝集したり、電気泳動性が低下し地汚れしたり、濃度が低下する。またζ電位が200mVよりも高いと感光体付着量が低下し濃度が低下する場合がある。
液体トナーの平均粒径は0.1μmより大きく5μmより小さいことが望ましく、0.1μm以下では、十分な濃度が得られない場合やニジミが発生しやすくなる場合があり、5μm以上では、色彩、解像性が悪くなる場合がある。
【0040】
布への染着処理はアルカリ濃度0.1%以上10%以下のパッド・スチーム法で行うことが好ましい。
アルカリ成分としてはナトリウムやカルシウム、バリウムなどの水酸化物や炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム,炭酸アンモニウム、リン酸ナトリウム等を濃度0.1%以上10%以下の水溶液にしたものを用いる。これらどのような材料でも効果は得られるが特に炭酸水素ナトリウム(重曹)(NaHCO)が好ましい。
アルカリ水溶液濃度は0.1%以上10%以下、好ましくは0.5%以上5%以下、更に好ましくは0.5%以上2%以下である。アルカリ濃度が0.1%よりも低い場合は反応性が低下し、アルカリ濃度が10%よりも高くなると綿布(セルロース)との反応前に染料自体の反応基が加水分解して,つぶれてしまう場合がある。
【0041】
処理温度は80℃以上140℃以下、好ましくは95℃以上110℃以下である。処理温度が80℃よりも低い場合は樹脂や染料の溶解が不十分で反応性が低下する。処理温度が140℃よりも高い場合は布との反応前に染料反応基がつぶれてしまう場合がある。
また温度だけでなく加熱蒸気を用いる蒸熱法で行うことが必要である。
【0042】
感光体に現像後、転写ローラで0.1Kg/cm以上3Kg/cm以下の圧力をかけ転写した場合、平滑性の悪い転写紙や捺染の場合は転写性が向上し、高濃度の画像を形成できる。
また、中間転写体を用いて転写する場合も、更に高い圧力がかけられるため転写性が向上する。しかし、中間転写体を用いない場合よりも転写時の溶媒量が少なくなるため、捺染の場合は、2次転写前に中間転写体上に脂肪族炭化水素やシリコーンオイル等の溶媒を吹き付け転写に必要な溶媒量を確保することが望ましい。
吹き付け量は0.20〜0.70mg/cm程度が良好である。
また、捺染の場合、濃度を向上のためには現像付着量を上げたり、あるいは、現像後リバースローラの溶剤スクイズ量を少なくしたりすることにより、感光体上の現像液量を多くして布への溶剤染込み量を増やすと効果がある。
【0043】
図1は、本発明の画像形成方法の一例である。帯電電圧付与部材により、感光体に電荷を与え、露光により非画像部の電荷を消去する。感光体はセレン感光体、有機感光体、アモルファスシリコン感光体が使用できる。感光体の表面電位は、400v以上1600v以下の範囲が良好である。
感光体の電荷の残っている潜像に現像ローラから供給される液体現像剤により現像し、リバースローラで余剰の現像液を除去し、転写電圧付与部剤によりトナーの電荷と逆電荷の電圧をかけ捺染布に転写させる。
現像ローラは感光体と順方向に回転し、リバースローラは逆方向に回転させ、感光体に対する線速は現像ローラが1.2倍以上6倍以下、リバースローラの線速は1.2倍以上4倍以下が効果的である。
【0044】
ローラと感光体のギャップは50μm以上250μm以下、リバースローラのギャップは30μm以上150μm以下が良好である。転写電圧は500v以上4000v以下の範囲が良好である。
布に転写されずに感光体に残ったトナーをクリーニングブレード、クリーニングローラで除去後、感光体を除電する。
また、画像部の電荷を消去し非画像部の電荷を残す現像方式でも同様に画像形成できる。
【0045】
図2は、図1の転写電圧付与部材をチャージャー方式からローラ方式にした例である。チャージャー方式に比べ転写時の圧力を付与できるため、表面性の荒れた凹凸の大きい布の場合でも転写性が良好である。転写圧は0.1Kg/cm以上3Kg/cm以下が良好である。
【0046】
図3は図2の装置に中間転写部材を追加した例である。図2の装置よりもさらに高い転写圧力を付与できるため、表面性の荒れた凹凸の大きい布の場合でも転写性が良好である。一次転写圧は0.1Kg/cm以上3Kg/cm以下、二次転写圧は0.1Kg/cm以上5Kg/cm以下が良好である。ただ、中間転写部材への一次転写時にトナー中の溶媒成分が少なくなり、中間転写部材から布への二次転写に必要な溶媒量が少なくなる場合があるため、二次転写前に中間転写部材に溶媒を吹きかける工程を追加すると効果的である。
【0047】
図4は感光体をタンデムに配置し、布搬送ベルト上に布を貼りつけてフルカラー捺染を行う装置の一例である。
【0048】
電子写真乾式捺染トナーは着色剤、樹脂、帯電制御剤を混合し、ブスコニーダなどの混練機で混練後、粗粉砕、微粉砕し所定の粒径になるように粗紛、微紛をカットして得られる。
【0049】
電子写真液体捺染トナーは着色剤、樹脂、担体液をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミルなどの分散機に投入、分散、混練を行い濃縮トナーを調製し、これを本発明の担持液中に分散させることにより現像液を得ることができる。
【実施例】
【0050】
(実施例1)
反応染料KayacionTurq T−3GF(日本化薬)(純度55%品) 85部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のアイソパーH20%溶液 (Mn32000) 100部
アイソパーH 180部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 3部
をピンミルに入れて10時間分散後、さらにアイソパーHを300部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーH1Lを混合した現像剤により図1の装置で電子写真捺染を行った。
【0051】
(実施例2)
反応染料CibacronRed P−6B(チバケミカル)(純度95%精製品) 53部
スチレン・アクリル樹脂(St/アクリル=60/40)(三菱レーヨン) 50部
荷電制御剤(サリチル酸誘導体の金属錯体) 2部
をブスコニーダで混練、冷却後パルペライザーで粗粉砕しジェットミルで粉砕後分級し乾式トナーを得た。布を紙に張り付け、このトナーを用いリコー乾式プリンタImagioで捺染をおこなった。
【0052】
(実施例3)
反応染料KayacionYellow P−5G(日本化薬)(純度80%精製品) 83部
エポキシ変性樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン) 10部
水溶性樹脂 ハリディブ(水溶性アルキド樹脂)(ハリマ化成) 15部
ステアリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のアイソパーH20%溶液 (Mn19000) 180部
アイソパーH 350部
荷電制御剤(オクタン酸ジルコニウム) 5部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを250部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーH1Lを混合した現像剤により図2の装置で電子写真捺染を行った。
【0053】
(実施例4)
反応染料KayacionTurq T−3GF(日本化薬)(純度95%精製品) 63部
ポリオレフィン樹脂 サンワックス250P(三洋化成) 20部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のアイソパーH20%溶液(Mn47000) 140部
アイソパーH 300部
荷電制御剤(オクタン酸ジルコニウム) 2部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを250部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーH1Lを混合した現像剤により図2の装置で電子写真捺染を行った。
【0054】
(実施例5)
実施例4の分散媒をアイソパーHからシリコーンオイル(KF−96 2cst)に変えた以外は全て実施例4と同様にして濃縮トナーを作成した。
この濃縮トナー100gとシリコーンオイル(KF−96 2cst)を混合した現像剤により図2の装置で電子写真捺染を行った。
【0055】
(実施例6)
反応染料KayacionBlack P−NBR(日本化薬)(純度90%精製品) 80部
ロジン変性フェノール樹脂(三井・デュポン) 5部
水溶性樹脂 カブセン(水溶性ポリエステル)(ナガセケムテックス) 15部
2エチルヘキシルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のアイソパーH20%溶液(Mn12000) 110部
アイソパーH 250部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 2部
をバッチ式サンドミルに入れて12時間分散後、さらにアイソパーHを200部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーMを混合した現像剤により図2の装置で電子写真捺染を行った。
【0056】
(実施例7)
反応染料KyacionRed P−3BN(日本化薬) (純度85%精製品) 82部
2エチルヘキシルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のアイソパーH20%溶液(Mn39000) 140部
アイソパーH 200部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 2部
をバッチ式サンドミルに入れて12時間分散後、さらにアイソパーHを300部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとエクソールD30を混合した現像剤により図2の装置で電子写真捺染を行った。
【0057】
転写布は全て糸太さ40番手の200本ブロード綿布を用いた。
80℃の温水100gに炭酸ナトリウム1g、硫酸ナトリウム1g、尿素3g、アルギン酸ナトリウム1gを溶解させたものを実施例1〜7の捺染布に塗布し、105℃、0.1Mpa気圧の蒸気で20分処理後、水洗し、アニオン系界面活性剤2g/lにより80℃で5分処理を行い、捺染サンプルを作成した。その結果は、下記表1の通りであった。
【0058】
また、チャージ転写(転写圧0.1Kg/cm以下)の図1の装置、中間転写体を取り付けた図3の装置で実施例4のトナーを用いて捺染を行った実施例8、9、更に2次転写前にアイソパーHを0.3mg/ cm以上吹きかけた実施例10を実施例1〜7同様に評価した。
【0059】
(実施例11)
反応染料KayacionYellow P−5G(日本化薬)(純度80%精製品) 83部
エポキシ変性樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン) 3部
水溶性樹脂 ハリディブ(水溶性アルキド樹脂)(ハリマ化成) 22部
ステアリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のアイソパーH20%溶液 (Mn19000) 180部
アイソパーH 350部
荷電制御剤(オクタン酸ジルコニウム) 5部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを250部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーH1Lを混合した現像剤により図2の装置で電子写真捺染を行った。
【0060】
(実施例12)
反応染料KayacionBlack P−NBR(日本化薬)(純度90%精製品) 80部
ロジン変性フェノール樹脂(三井・デュポン) 15部
水溶性樹脂 カブセン(水溶性ポリエステル)(ナガセケムテックス) 5部
2エチルヘキシルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のアイソパーH20%溶液(Mn12000) 110部
アイソパーH 250部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 2部
をバッチ式サンドミルに入れて12時間分散後、さらにアイソパーHを200部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーMを混合した現像剤により図2の装置で電子写真捺染を行った。
実施例11,12を実施例1〜7同様に評価した。
【0061】
(比較例1)
反応染料KayacionBlue BR−SF(日本化薬)(純度50%品) 65部
エポキシ変性樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン) 80部
水溶性樹脂 ハリディブ(水溶性アルキド樹脂)(ハリマ化成) 25部
ステアリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のアイソパーH20%溶液(Mn53000) 180部
アイソパーH 350部
荷電制御剤(オクタン酸ジルコニウム) 5部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを250部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーH1Lを混合した現像剤により図2の装置で電子写真捺染を行った。
【0062】
(比較例2)
反応染料KayacionRed BR−S(日本化薬)(純度50%品) 70部
エポキシ変性樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン) 70部
ステアリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のアイソパーH20%溶液(Mn53000) 100部
アイソパーH 350部
荷電制御剤(オクタン酸ジルコニウム) 5部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを250部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーH1Lを混合した現像剤により図2の装置で電子写真捺染を行った。
【0063】
(比較例3)
反応染料KayacionRed BR−S(日本化薬)(純度50%品) 60部
2エチルヘキシルアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のアイソパーH20%溶液(Mn18000) 40部
アイソパーH 330部
荷電制御剤(オクタン酸ジルコニウム) 4部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを250部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーH1Lを混合した現像剤により図2の装置で電子写真捺染を行った。
【0064】
比較例1、2、3も実施例と同様の後処理を行い評価した。
【0065】
表1の結果より明らかなとおり、本画像形成方法、捺染トナーにより、帯電制御率、布濃度が高く、高解像な捺染布が得られた。
比較例の捺染トナーは布との反応率が低く捺染濃度が低くかった。
【0066】
【表1】


*濃度はX−Riteにより測定。
*風合は風合段階見本布による。
5:布のみと同程度の柔らかさ、4:柔らかい、3:中程度、2:やや硬い、1:硬い
*平均粒径は島津製作所SA−CP3による。
トナーを積分球式濁度計で透過率15%程度になるまでアイソパーで希釈し、SA−CP3用セルに充填する。測定条件はACCEL480、MODE:CENT、3〜16チャンネルで行った。
*ζ電位は大塚電子ELS−8000による。
セル:低誘電率セル、電界:500V/cm、6回測定平均モードで測定した。
*転写率はテープ剥離法による濃度から算出。
転写率=(転写前感光体上濃度−転写後感光体残濃度)/(転写前感光体上濃度)×100%
*帯電制御率は電着法により算出。
電極間距離:1cm、電極面積:2cm×2cm、電着時間:100秒で測定した。
*反応率は可視光吸収スペクトルより算出。
反応率(%)=((反応前サンプル吸光度)−(反応後サンプル吸光度))/(反応前サンプル吸光度)×100%
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の画像形成方法の一例である。
【図2】図1の転写電圧付与部材をチャージャー方式からローラ方式にした例である。
【図3】図2の装置に中間転写部材を追加した例である。
【図4】感光体をタンデムに配置し、布搬送ベルト上に布を貼りつけてフルカラー捺染を行う装置の一例である。
【図5】捺染インクと捺染トナーの染着モデル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、バインダー樹脂を含有するトナーを用い電子写真方式により捺染を行う電子写真捺染方法であって、前記着色剤が反応染料であり、前記樹脂の割合{(樹脂/(染料+樹脂))×100}が、15wt%以上50wt%以下であることを特徴とする電子写真捺染法。
【請求項2】
前記バインダー樹脂は、下記一般式1であらわされるビニルモノマーAと下記一般式2で表されるビニルモノマーBとを構成単位として含み、さらに、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、またはメタクリル酸より選ばれる構成単位を含んでいてもよい共重合体を含有するものであることを特徴とする請求項1記載の電子写真捺染法。
【化1】


(R1はHまたはCHを、nは6〜20の整数を表わす。)
【化2】

(R1はHまたはCHを、R2はCが1〜4のアルキル基又はHを表す。)
【請求項3】
前記ビニルモノマーAとモノマーBとを構成単位として含む共重合体は、GPC法で測定した数平均分子量(Mn)が5000以上50000以下であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真捺染方法。
【請求項4】
前記バインダー樹脂は、アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂をさらに含有するものであることを特徴とする請求項1乃至3何れか1に記載の電子写真捺染方法。
【請求項5】
前記バインダー樹脂は、前記アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂を35wt%以下含有するものであることを特徴とする請求項4に記載の電子写真捺染方法。
【請求項6】
前記染料は、染料純度が80%以上であることを特徴とする請求項1乃至4何れか1に記載の電子写真捺染方法。
【請求項7】
前記トナーは、体積抵抗10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率の担体液中に分散されてなる電子写真液体捺染トナーであることを特徴とする請求項1乃至6何れか1に記載の電子写真捺染方法。
【請求項8】
前記電子写真液体捺染トナーは、ζ電位の絶対値が10mV以上200mV以下であることを特徴とする請求項7に記載の電子写真捺染方法。
【請求項9】
前記電子写真捺染液体トナーは、トナー粒子の重量平均粒径が0.1μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項7又は8に記載の電子写真捺染方法。
【請求項10】
感光体上の静電潜像を現像ローラ上のトナーにより現像し、該現像トナーを捺染材に直接または中間転写体に転写したのち転写し、定着する工程を含み、前記捺染材への転写時に転写ローラで圧力をかけ、画像を転写させることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1に記載の電子写真捺染方法。
【請求項11】
2次転写前に中間転写体に溶媒を吹きかける工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の電子写真捺染方法。
【請求項12】
現像後の現像ローラ上の過剰の現像液を、現像ローラと逆回転するリバースローラにより除去する工程を含み、このときの感光体の線速に対し、現像ローラの線速が1.2倍以上6倍以下、リバースローラの線速が1.2倍以上4倍以下であることを特徴とする請求項10又は11に記載の電子写真捺染方法。
【請求項13】
タンデム型に複数の感光体を配置し、ベルト上に貼りつけた布に画像を転写しフルカラー捺染することを特徴とする請求項1乃至12の何れか1に記載の電子写真捺染方法。
【請求項14】
着色剤、バインダー樹脂を含有し、電子写真方式により捺染を行う電子写真捺染方法に用いる電子写真液体捺染トナーであって、前記着色剤が反応染料であり、前記樹脂の割合{(樹脂/(染料+樹脂))×100}が、15wt%以上50wt%以下であり、
前記バインダー樹脂は、下記一般式1であらわされるビニルモノマーAと下記一般式2で表されるビニルモノマーBとを構成単位として含み、さらに、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、またはメタクリル酸より選ばれる構成単位を含んでいてもよい共重合体、及び、アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂を含有するものであることを特徴とする電子写真捺染トナー。
【化3】



(R1はHまたはCHを、nは6〜20の整数を表わす。)
【化4】


(R1はHまたはCHを、R2はCが1〜4のアルキル基又はHを表す。)
【請求項15】
前記ビニルモノマーAとモノマーBとを構成単位として含む共重合体は、GPC法で測定した数平均分子量(Mn)が5000以上50000以下であることを特徴とする請求項14に記載の電子写真捺染トナー。
【請求項16】
前記バインダー樹脂は、前記アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂を35wt%以下含有するものであることを特徴とする請求項14または15に記載の電子写真捺染トナー。
【請求項17】
前記染料は、染料純度が80%以上であることを特徴とする請求項14乃至16の何れか1に記載の電子写真捺染トナー。
【請求項18】
前記トナーは、体積抵抗10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率の担体液中に分散されてなる電子写真液体捺染トナーであることを特徴とする請求項14乃至17の何れか1に記載の電子写真捺染トナー。
【請求項19】
前記電子写真液体捺染トナーは、ζ電位の絶対値が10mV以上200mV以下であることを特徴とする請求項18に記載の電子写真捺染トナー。
【請求項20】
前記電子写真捺染液体トナーは、トナー粒子の重量平均粒径が0.1μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項18又は19に記載の電子写真捺染トナー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−98573(P2009−98573A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272499(P2007−272499)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】