説明

電子制御装置

【課題】追加経路やタイマの追加を必要としなくても入力信号処理回路などの各部の異常チェックを行える電子制御装置を提供する。
【解決手段】CPU3からの異常チェックモードに移行するという指令に基づいて、異常チェック用のチェック信号が入力信号処理回路21もしくはセレクタ22に入力されるようにし、そのときの出力信号OUT0〜OUT3がCPU3に入力されるようにすることで、異常チェックを行う。これにより、CPU3のキャプチャ機能の異常チェックだけでなく、入力信号処理回路21をはじめとして、CPU3に車輪速度を示す信号を伝えるまでの経路中の各要素や配線の異常チェックをも行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力信号処理回路を通じて信号を入力し、必要に応じて信号処理を行ったのちマイクロコンピュータに備えられるCPUに伝える機能を有する電子制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、集積回路(以下、ICという)に備えられた入力信号処理回路を通じて車輪速度センサ等の検出信号を入力し、必要に応じて信号処理を行ったのちマイクロコンピュータに備えられるCPUに伝える機能を有する電子制御装置がある。このような電子制御装置において、ICからCPUに伝える経路中に何らかの異常が発生しているか否かをチェックする装置もしくはその方法が特許文献1〜3に開示されている。
【0003】
具体的には、特許文献1に記載された電子制御装置では、車輪速度センサの検出信号をマイクロコンピュータに入力する通常経路とは他に、同じように車輪速度センサの検出信号がマイクロコンピュータに伝えられるようにした経路を追加し、通常経路から入力された信号と追加経路から入力された信号が一致するか否かをマイクロコンピュータで判定することにより、異常チェックを行っている。
【0004】
また、特許文献2に記載された故障検出方法では、車輪速度センサが出力するパルスを計数する期間を設定するタイマを2つ備え、それぞれのタイマで計数を行う期間を設定させ、各タイマで設定した期間中に数えられたパルス数のズレが所定範囲内に収まるか否かを判定することにより、異常チェックを行っている。
【0005】
また、特許文献3に記載された電子制御装置では、車両停止時に、入力インターフェース回路からCPUに伝えられる経路にCPUからチェック用の信号を出力し、チェック用の信号が入力されたCPU自身がチェック用の信号が正確なものであるか否かを判定することで、異常チェックを行っている。
【特許文献1】特開2004−239772号公報
【特許文献2】特許03918276号公報
【特許文献3】特開平11−51948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、異常チェックの為に通常経路と同じ構成の追加経路が必要になる。また、特許文献2に記載の構成も、異常チェックのために複数のタイマが必要になる。また、特許文献3に記載の構成では、CPU自身のチェックができても、入力信号処理回路の異常チェックなどを行うことができない。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、追加経路やタイマの追加を必要としなくても入力信号処理回路などの各部の異常チェックを行える電子制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、クロック信号に基づいて、パルス信号で構成された異常チェック用のチェック信号を出力するキャプチャチェックコントロール部(27)と、パルス信号で表される検出対象の入力を行うと共に、チェック信号の入力を行い、入力された信号に対応する信号を出力する入力信号処理回路(21)、および、入力信号処理回路(21)が出力する信号と、異常チェック用のチェック信号のいずれかを選択し、選択した信号をそのままもしくはその信号を信号処理して出力するセレクタ(22)とを有し、セレクタ(22)が出力する信号もしくは該出力を増幅した信号を出力信号(OUT0〜OUT3)として発生させる入力回路(29a〜29d)と、検出対象の検出を行う通常検出モードと、異常チェックを行う異常チェックモードのいずれの動作モードを設定するかを示すモード指示信号を入力信号処理回路(21)とセレクタ(22)の少なくとも一方に伝える動作モード設定部(25)を含み、通常検出モードと異常チェックモードのいずれを設定するかを示す指令信号を受け取り、該指令信号に基づいて動作モード設定部(25)からモード指示信号を伝えさせるインターフェース(26)と、入力回路(29a〜29d)の出力信号(OUT0〜OUT3)を受け取るインプットキャプチャ(3a〜3d)を有し、該インプットキャプチャ(3a〜3d)で受け取った出力信号(OUT0〜OUT3)から検出対象の検出結果を取得すると共に、インターフェース(26)に対して指令信号を出力するマイクロコンピュータ(3)と、を備えていることを特徴としている。
【0009】
このように、マイクロコンピュータ(3)からの異常チェックモードに移行するという指令に基づいて、異常チェック用のチェック信号が入力信号処理回路(21)もしくはセレクタ(22)に入力されるようにし、そのときの出力信号(OUT0〜OUT3)がマイクロコンピュータ(3)に入力されるようにすることで、異常チェックを行うようにしている。これにより、マイクロコンピュータ(3)のキャプチャ機能の異常だけでなく、入力信号処理回路(21)をはじめとして、マイクロコンピュータ(3)に検出対象の検出結果を伝えるまでの経路中の各要素や配線の異常チェックを行うことが可能となる。
【0010】
例えば、請求項2に示すように、切替スイッチ(24)にて、チェック信号が入力信号処理回路(21)とセレクタ(22)のいずれに入力されるようにするかの切替えを行うことができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、指令信号にて動作モードを異常チェックモードとすることが指示されると、動作モード設定部(25)から入力信号処理回路(21)に対し、モード指示信号として異常チェックモードを設定することを示す信号を出力させ、入力信号処理回路(21)では、モード指示信号が入力されると、検出対象の入力を行わず、チェック信号の入力を行うと共に、該チェック信号に対応する信号をセレクタ(22)に出力させることを特徴としている。
【0012】
このように、チェック信号が入力信号処理回路(21)に入力される形態とされる場合には、入力信号処理回路(21)にモード指示信号が入力されたときに、検出対象の入力を行わず、チェック信号の入力を行わせ、該チェック信号に対応する信号をセレクタ(22)に出力させるようにする。
【0013】
この場合において、請求項4に記載したように、マイクロコンピュータ(3)からキャプチャチェックコントロール部(27)に対して直接異常チェック用のチェック信号を出力させることを指令し、入力信号処理回路(21)では、チェック信号が入力されたことをトリガとして、検出対象の入力を行わず、チェック信号の入力を行うと共に、該チェック信号に対応する信号をセレクタ(22)に出力することができる。
【0014】
このように、マイクロコンピュータ(3)からキャプチャチェックコントロール部(27)に対して直接異常チェック用のチェック信号を出力させることを指令しても良く、この場合にも入力信号処理回路(21)で請求項3と同様の作動が行われるようにすれば良い。
【0015】
請求項5に記載の発明では、指令信号にて動作モードを異常チェックモードとすることが指示されると、動作モード設定部(25)からセレクタ(22)に対し、モード指示信号として異常チェックモードを設定することを示す信号を出力し、セレクタ(22)では、モード指示信号が入力されると、入力信号処理回路(21)の出力する信号の入力を行わず、チェック信号の入力を行うと共に、該チェック信号をそのままもしくはその信号を信号処理して出力することを特徴としている。
【0016】
このように、チェック信号がセレクタ(22)に入力される形態とされる場合、セレクタ(22)にモード指示信号が入力されたときに、入力信号処理回路(21)の出力する信号の入力を行わず、チェック信号の入力を行うと共に、該チェック信号をそのままもしくはその信号を信号処理して出力する。
【0017】
この場合において、請求項6に記載したように、マイクロコンピュータ(3)からキャプチャチェックコントロール部(27)に対して異常チェック用のチェック信号を出力させることを指令し、セレクタ(22)では、チェック信号が入力されたことをトリガとして、入力信号処理回路(21)の出力する信号の入力を行わず、チェック信号の入力を行うと共に、該チェック信号に対応する信号をそのままもしくはその信号を信号処理して出力することができる。
【0018】
このように、マイクロコンピュータ(3)からキャプチャチェックコントロール部(27)に対して直接異常チェック用のチェック信号を出力させることを指令しても良く、この場合にもセレクタ(22)で請求項4と同様の作動が行われるようにすれば良い。
【0019】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかる電子制御装置のブロック図である。以下、この図を参照して本実施形態にかかる電子制御装置について説明する。
【0022】
図1に示す電子制御装置は、車輪速度センサ1の検出信号(パルス信号)をIC2に入力し、それをIC2内で必要に応じて信号処理したのち、マイクロコンピュータ内のCPU3に入力するものである。なお、車輪速度センサ1とGND端子との間にはセンス抵抗4が備えられており、このセンス抵抗4にて車輪速度センサ1の検出信号のパルス信号のハイレベル時およびローレベル時の電圧が決められている。
【0023】
IC2内には、入力信号処理回路21、セレクタ22、バッファ23、切替スイッチ24、センサ種類・動作モード設定部25を含むシリアル通信インターフェース26、キャプチャチェックコントロール部27および内部波形発生器28が備えられた構成とされている。
【0024】
入力信号処理回路21は、パルス信号で表される検出対象、具体的には車輪速度センサ1の検出信号を入力し、必要に応じて信号処理を行ったのち、車輪速度を示す信号としてセレクタ22に伝える。車輪速度センサ1の検出信号の形式は、センサ種類によって異なっているため、センサ種類・動作モード設定部25から入力信号処理回路21に対してセンサ種類を示す信号を入力信号処理回路21に入力することで、入力信号処理回路21にてセンサ種類に応じた信号入力が行えるようにされている。
【0025】
また、入力信号処理回路21は、センサ種類・動作モード設定部25から後述するように通常の車輪速度検出を行う通常検出モードか異常チェックを行うモードかを示す動作モードを示す信号を受け取り、その動作モードに応じた入力切替え動作を行う。具体的には、入力信号処理回路21は、車輪速度検出を行う通常検出モードの際には、車輪速度センサ1の検出信号を入力し、入力した検出信号に応じた車輪速度を示す信号をセレクタ22に出力し、異常チェック時には、車輪速度センサ1の検出信号を入力しないようにしつつキャプチャチェックコントロール部27から伝えられるパルス信号にて構成された異常チェック用のチェック信号を入力し、入力したチェック信号に応じた信号をセレクタ22に出力する。
【0026】
セレクタ22は、入力信号処理回路21から伝えられる信号とキャプチャチェックコントロール部27から伝えられる信号のいずれを出力するかの選択を行うと共に、必要に応じて選択した信号の一部を抽出するなどの信号処理を行うことにより、選択された信号をそのままもしくは信号処理して出力する。セレクタ22にも、センサ種類・動作モード設定部25からセンサ種類を示す信号が入力されるようになっており、センサ種類に応じた信号処理を行って入力された信号に対応する出力を発生させる。また、セレクタ22は、センサ種類・動作モード設定部25から動作モードを示す信号を受け取り、その動作モードに応じた入力切替え動作を行う。具体的には、セレクタ22は、通常検出モードの際には、入力信号処理回路21が出力した信号を入力し、その信号に応じた出力を発生させ、異常チェックモード時には、入力信号処理回路21からの信号を入力しないようにしつつキャプチャチェックコントロール部27から伝えられるパルス信号で構成された異常チェック用のチェック信号を入力し、入力したチェック信号に応じた出力を発生させる。
【0027】
バッファ23は、必要に応じて備えられるもので、セレクタ22の出力を増幅してCPU3に伝えるものである。
【0028】
切替スイッチ24は、キャプチャチェックコントロール部27が出力する異常チェック用のチェック信号を入力信号処理回路21とセレクタ22のいずれに入力するかの切換えを行うものである。切替スイッチ24の切り替え元に関しては、図1中に矢印で示していないが、例えば、CPU3からの指示に基づいてセンサ種類・動作モード設定部25が動作モードを示す信号を出力させるときに、それに伴って切替スイッチ24の切り替え状態を制御する信号を出力させるようにしたり、CPU3から直接その信号を出力させることができる。
【0029】
なお、これら入力信号処理回路21、セレクタ22、バッファ23および切替スイッチ24は、第1〜第4入力回路29a〜29dを構成するものである。第1〜第4入力回路29a〜29dは、車両に備えられる4つの車輪それぞれに対応して1つずつ(合計4つ)備えられており、図1では、第1入力回路29aに関してのみ上記各構成要素21〜24を記載してあるが、第2〜第4入力回路29b〜29dにも同様の構成要素21〜24が備えられている。そして、これら第1〜第4入力回路29a〜29dが出力する出力信号OUT0〜OUT3として、それぞれCPU3に伝えられるようになっている。
【0030】
シリアル通信インターフェース26は、センサ種類の特定を行うことにより入力信号処理回路21やセレクタ22でセンサ種類に対応した処理が行えるようにすると共に、CPU3とシリアル通信を行うことで、通常検出モードと異常チェックモードとの切り替え、および、異常チェックの方法の設定を行う。
【0031】
具体的には、シリアル通信インターフェース26は、内蔵したセンサ種類・動作モード設定部25からセンサ種類を表す信号を出力すると共に、動作モードを表す信号(モード指示信号)を出力する。また、シリアル通信インターフェース26は、キャプチャチェックコントロール部27に対して異常チェックを開始することおよび終了することを示す信号を送ることで、キャプチャチェックコントロール部27に異常チェック用のチェック信号を出力させる。例えば、センサ種類・動作モード設定部25から動作モードを表す信号を出力したときに、それと同時にキャプチャチェックコントロール部27に対して異常チェックのスタート信号を送ることでチェック信号の出力を開始させ、それから所定時間が経過すると異常チェックのエンド信号を送ることでチェック信号の出力を終了させる。さらに、シリアル通信インターフェース26は、センサ種類・動作モード設定部25から切替スイッチ24の切り替え状態を制御する信号を出力させることで、切替スイッチ24を通じてどこに異常チェック用のチェック信号が入力されるようにするか、つまりどこの異常チェックを行うかという異常チェックの方法を設定する。
【0032】
なお、センサ種類を表す信号に関しては、センサ種類と対応付けられて信号種類が予め決められており、IC2の実装時もしくはCPU3とのシリアル通信にてセンサ種類を特定すると、それと対応する信号がセンサ種類・動作モード設定部25から出力されるようにされている。
【0033】
キャプチャチェックコントロール部27は、異常チェック用のチェック信号を出力するものであり、入力信号処理回路21に対して車輪速度センサ1の出力信号と似たパルス状の擬似信号をチェック信号として入力したり、セレクタ22に対して入力信号処理回路21の出力信号と似た擬似信号をチェック信号として入力する。キャプチャチェックコントロール部27からは、第1〜第4入力回路29a〜29dそれぞれに対して同じチェック信号が出力されるようにしても良いが、本実施形態では、異なる信号が出力されるようにしている。
【0034】
内部波形発生器28は、キャプチャチェックコントロール部27がチェック信号を形成するために用いるクロック信号を生成する。
【0035】
また、CPU3は、第1〜第4入力回路29a〜29dと同数のインプットキャプチャ3a〜3dを備え、第1〜第4入力回路29a〜29dの出力信号OUT0〜OUT3を受け取る。CPU3は、各インプットキャプチャ3a〜3dで受け取った出力信号OUT0〜OUT3に基づいて各車輪の車輪速度を検出し、検出した車輪速度に基づいて各種制御等を行う。
【0036】
続いて、上記のように構成された電子制御装置の作動について、通常検出モードが設定される場合と、異常検出モードが設定される場合に分けて説明する。
【0037】
(1)通常検出モードが設定される時
CPU3からのシリアル通信により通常検出モードを設定することが指示されると、シリアル通信インターフェース26がその指示内容に従って、センサ種類・動作モード設定部25から通常検出モードを示す信号を出力し、この信号が入力信号処理回路21もしくはセレクタ22に入力される。これにより、入力信号処理回路21は、車輪速度センサ1の検出信号を入力する状態となり、セレクタ22は入力信号処理回路21の出力信号を入力する状態となる。
【0038】
そして、入力信号処理回路21がセンサ種類に応じた信号入力によって車輪速度センサ1の検出信号を入力すると、必要に応じて信号処理を行い、車輪速度を示す信号としてセレクタ22に伝える。続いて、セレクタ22もセンサ種類に応じた信号入力によって入力信号処理回路21の出力信号を入力し、それに対応する信号をバッファ23に伝える。そして、車輪速度を示す信号がバッファ23にて増幅され、出力信号OUT0〜OUT3として出力されてインプットキャプチャ3a〜3dに入力される。このようにして、CPU3に車輪速度を示す信号が入力され、各車輪の車輪速度を取得することができる。
【0039】
なお、このときには、センサ種類・動作モード設定部25からキャプチャチェックコントロール部27に異常チェックを開始させるスタート信号が送られないため、キャプチャチェックコントロール部27からは異常チェック用のチェック信号は出力されない。
【0040】
(2)異常チェックモードが設定される時
CPU3からのシリアル通信により異常チェックモードを設定することが指示されると、シリアル通信インターフェース26がその指示内容に従って、センサ種類・動作モード設定部25から異常チェックモードを示す信号を出力し、この信号が入力信号処理回路21もしくはセレクタ22に入力される。入力信号処理回路21とセレクタ22のいずれに入力されるかは、どこの異常チェックを行うかという異常チェックの方法に応じた切替スイッチ24の状態、つまりCPU3とのシリアル通信による指令等によって決まる。
【0041】
また、これに伴って、センサ種類・動作モード設定部25からキャプチャチェックコントロール部27に異常チェックを開始させるスタート信号が送られ、キャプチャチェックコントロール部27から異常チェック用のチェック信号が出力される。
【0042】
ここで、異常チェックモードを示す信号が入力信号処理回路21に入力される形態とされる場合、異常チェックモードを示す信号が入力されると、それに伴って入力信号処理回路21は車輪速度センサ1の検出信号を入力しないようにしつつ、キャプチャチェックコントロール部27から伝えられる異常チェック用のチェック信号を入力し、入力したチェック信号に応じた信号をセレクタ22に出力する。これに伴い、セレクタ22およびバッファ23が通常検出モードと同様の作動を行い、セレクタ22から出力された信号がバッファ23にて増幅され、出力信号OUT0〜OUT3として出力されてインプットキャプチャ3a〜3dに入力される。
【0043】
このような場合、入力信号処理回路21からキャプチャチェックコントロール部27のチェック信号に対応する信号が車輪速度を示す信号の代わりに出力されることになる。そして、CPU3に、チェック信号に対応する信号が増幅された出力信号OUT0〜OUT3が入力される。このとき、CPU3は、異常チェックモードに移行したことを自分自身で認識しているため、出力信号OUT0〜OUT3が異常チェック時に想定される信号になっているか否かを判定することで、異常チェックを行うことが可能となる。
【0044】
この形態の場合には、入力信号処理回路21、セレクタ22、バッファ23およびこれらそれぞれやCPU3を結ぶ配線を通じてCPU3に出力信号OUT0〜OUT3が入力されることになる。このため、入力信号処理回路21、セレクタ22、バッファ23のいずれかの異常やこれらそれぞれやCPU3を結ぶ配線の断線や短絡などの異常、さらにはCPU3のキャプチャ機能の異常をチェックすることが可能となる。
【0045】
一方、異常チェックモードを示す信号がセレクタ22に入力される形態とされる場合、異常チェックモードを示す信号が入力されると、それに伴ってセレクタ22は入力信号処理回路21の出力する信号を入力しないようにしつつ、キャプチャチェックコントロール部27から伝えられる異常チェック用のチェック信号を入力し、入力したチェック信号に応じた信号を出力する。これがバッファ23で増幅され、出力信号OUT0〜OUT3として出力されてインプットキャプチャ3a〜3dに入力される。
【0046】
このような場合、セレクタ22からキャプチャチェックコントロール部27のチェック信号が入力信号処理回路21の出力する車輪速度を示す信号の代わりに出力されることになる。そして、CPU3に、チェック信号が増幅された出力信号OUT0〜OUT3が入力される。このとき、CPU3は、異常チェックモードに移行したことを自分自身で認識しているため、出力信号OUT0〜OUT3がチェック信号を増幅した信号になっているか否かを判定することで、異常チェックを行うことが可能となる。
【0047】
この形態の場合には、セレクタ22、バッファ23およびこれらそれぞれやCPU3を結ぶ配線を通じてCPU3に出力信号OUT0〜OUT3が入力されることになる。このため、セレクタ22、バッファ23のいずれかの異常やこれらそれぞれやCPU3を結ぶ配線の断線や短絡などの異常、さらにはCPU3のキャプチャ機能の異常をチェックすることが可能となる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の電子制御装置によれば、CPU3からの異常チェックモードに移行するという指令に基づいて、異常チェック用のチェック信号が入力信号処理回路21もしくはセレクタ22に入力されるようにし、そのときの出力信号OUT0〜OUT3がCPU3に入力されるようにすることで、異常チェックを行うようにしている。これにより、CPU3のキャプチャ機能の異常だけでなく、入力信号処理回路21をはじめとして、CPU3に車輪速度を示す信号を伝えるまでの経路中の各要素や配線の異常チェックを行うことが可能となる。
【0049】
また、切替スイッチ24の切替えにより、異常チェックの対象を変えることができるため、入力信号処理回路21に異常が発生しているか否かを切替え前後での異常の有無から判定することも可能となる。
【0050】
さらに、上述したように、本実施形態では、第1〜第4入力回路29a〜29dに対して入力する異常チェック用のチェック信号を異なる信号としている。このようにすると、出力信号OUT0〜OUT3も異なる信号となる。例えば、図2に示す出力信号OUT0〜OUT3の一例を示したタイミングチャートのように、出力信号OUT0の位相を反転させた出力信号OUT1、周期T1を倍の周期T2にした出力信号OUT2、出力信号OUT2の位相を判定させた出力信号OUT3が出力されるようにできる。このようにすれば、各出力信号OUT0〜OUT3をCPU3のインプットキャプチャ3a〜3dに伝える配線の一部が短絡したような場合に、出力信号OUT0〜OUT3が、異常チェック用のチェック信号のいずれかが異なる信号になるため、インプットキャプチャ3a〜3dに伝えられたとしても、それが正しい信号であるか否かを区別することが可能となる。
【0051】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。上記実施形態では、シリアル通信によりCPU3からシリアル通信インターフェース26に対して異常チェックを行う旨の指令を出すようにしたが、図1の破線矢印で示したように、CPU3からキャプチャチェックコントロール部27に直接異常チェック用のチェック信号を出力させる旨の指令を出すことで、異常チェックが行われるようにすることもできる。
【0052】
このような場合、センサ種類・動作モード設定部25から動作モードを示す信号が入力信号処理回路21やセレクタ22に入力されないことになるが、入力信号処理回路21やセレクタ22異常チェック用のチェック信号が入力されたことを動作モードの切り替わりを示すトリガとして用いる。つまり、上記第1実施形態では、入力信号処理回路21やセレクタ22に動作モードを示す信号が入力された場合に、入力信号処理回路21やセレクタ22が通常検出モードと異常チェックモードとに切り替えを行う場合について説明したが、動作モードの入力が行われなくても、異常チェック用のチェック信号が入力されたときに、入力信号処理回路21やセレクタ22で自動的に動作モードの切り替えが行われるようにすれば良い。
【0053】
このように、CPU3からキャプチャチェックコントロール部27に直接異常チェック用のチェック信号を出力させる旨の指令を出すようにしても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0054】
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、CPU3とシリアル通信インターフェース26とのシリアル通信によってシリアル通信インターフェース26に動作モードの切り替え等の信号を送るようにしているが、シリアル通信である必要はなく、単に異常チェックを指令する信号が伝えられるような形態であっても構わない。
【0055】
また、上記実施形態では、4輪車両を想定し、車輪速度センサ1が4つ備えられた構成のものを例に挙げて説明したが、これも単なる一例を示したものであり、2輪車両であれば、車輪速度センサ1が2つで入力回路も2つとなり、4輪よりも車輪数が多い車両であれば、それに応じた数の車輪速度センサ1および入力回路を備えた構成となる。
【0056】
また、上記実施形態では、複数の種類のセンサにも対応できる電子制御装置とするために、センサ種類・動作モード設定部25を備えたが、一種類のセンサに対応できれば良いのであれば、動作モード設定を行う機能部があれば良い。
【0057】
さらに、上記実施形態では、検出対象が車輪速度センサ1の検出信号である場合について説明したが、パルス信号で表される検出対象であれば、どのようなものであっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる電子制御装置のブロック図である。
【図2】出力信号がそれぞれ異なる信号とされる場合の一例を示したタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1…車輪速度センサ、2…IC、3…CPU、3a〜3d…インプットキャプチャ、21…入力信号処理回路、22…セレクタ、23…バッファ、24…切替スイッチ、25…センサ種類・動作モード設定部、26…シリアル通信インターフェース、27…キャプチャチェックコントロール部、28…内部波形発生器、29a〜29d…入力回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック信号に基づいて、パルス信号で構成された異常チェック用のチェック信号を出力するキャプチャチェックコントロール部(27)と、
パルス信号で表される検出対象の入力を行うと共に、前記チェック信号の入力を行い、入力された信号に対応する信号を出力する入力信号処理回路(21)と、前記入力信号処理回路(21)が出力する信号と、前記異常チェック用のチェック信号のいずれかを選択し、選択した信号をそのままもしくはその信号を信号処理して出力するセレクタ(22)とを有し、前記セレクタ(22)が出力する信号もしくは該出力を増幅した信号を出力信号(OUT0〜OUT3)として発生させる入力回路(29a〜29d)と、
前記検出対象の検出を行う通常検出モードと異常チェックを行う異常チェックモードのいずれの動作モードを設定するかを示すモード指示信号を前記入力信号処理回路(21)と前記セレクタ(22)の少なくとも一方に伝える動作モード設定部(25)を含み、前記通常検出モードと前記異常チェックモードのいずれを設定するかを示す指令信号を受け取り、該指令信号に基づいて前記動作モード設定部(25)から前記モード指示信号を伝えさせるインターフェース(26)と、
前記入力回路(29a〜29d)の出力信号(OUT0〜OUT3)を受け取るインプットキャプチャ(3a〜3d)を有し、該インプットキャプチャ(3a〜3d)で受け取った前記出力信号(OUT0〜OUT3)から前記検出対象の検出結果を取得すると共に、前記インターフェース(26)に対して前記指令信号を出力するマイクロコンピュータ(3)と、を備えていることを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
前記チェック信号が前記入力信号処理回路(21)と前記セレクタ(22)のいずれに入力されるようにするかの切替えを行う切替スイッチ(24)を有していることを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記指令信号にて前記動作モードを前記異常チェックモードとすることが指示されると、前記動作モード設定部(25)から前記入力信号処理回路(21)に対し、前記モード指示信号として前記異常チェックモードを設定することを示す信号を出力し、
前記入力信号処理回路(21)は、前記モード指示信号が入力されると、前記検出対象の入力を行わず、前記チェック信号の入力を行うと共に、該チェック信号に対応する信号を前記セレクタ(22)に出力することを特徴とする請求項1または2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記マイクロコンピュータ(3)は、前記キャプチャチェックコントロール部(27)に対して異常チェック用のチェック信号を出力させることを指令し、
前記入力信号処理回路(21)は、前記チェック信号が入力されたことをトリガとして、前記検出対象の入力を行わず、前記チェック信号の入力を行うと共に、該チェック信号に対応する信号を前記セレクタ(22)に出力することを特徴とする請求項3に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記指令信号にて前記動作モードを前記異常チェックモードとすることが指示されると、前記動作モード設定部(25)から前記セレクタ(22)に対し、前記モード指示信号として前記異常チェックモードを設定することを示す信号を出力し、
前記セレクタ(22)は、前記モード指示信号が入力されると、前記入力信号処理回路(21)の出力する信号の入力を行わず、前記チェック信号の入力を行うと共に、該チェック信号をそのままもしくはその信号を信号処理して出力することを特徴とする請求項1または2に記載の電子制御装置。
【請求項6】
前記マイクロコンピュータ(3)は、前記キャプチャチェックコントロール部(27)に対して異常チェック用のチェック信号を出力させることを指令し、
前記セレクタ(22)は、前記チェック信号が入力されたことをトリガとして、前記入力信号処理回路(21)の出力する信号の入力を行わず、前記チェック信号の入力を行うと共に、該チェック信号に対応する信号をそのままもしくはその信号を信号処理して出力することを特徴とする請求項5に記載の電子制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate