電子回路基板の接合方法及びインクジェットヘッドの製造方法
【課題】基板間の位置決めを確実に行って端子部同士を信頼性高く電気的接続することのできる電子回路基板の接合方法の提供。
【解決手段】第1の接続用端子部を有する基板10と第2の接続用端子部を有する基板20とを,第1と第2の接続用端子部とを対面させて位置決めを行った後,基板10,20とを接合することにより第1と第2の接続用端子部との電気的接続を行う電子回路基板の接合方法において,第1の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に位置決め用端子部112を設けると共に,第2の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に位置決め用端子部212を設け,第1と第2の接続用端子部とが対面するように基板10,20とを位置合わせした後,位置決め用端子部112,212との間が導通したことを確認することにより基板10,20との位置決めを行う。
【解決手段】第1の接続用端子部を有する基板10と第2の接続用端子部を有する基板20とを,第1と第2の接続用端子部とを対面させて位置決めを行った後,基板10,20とを接合することにより第1と第2の接続用端子部との電気的接続を行う電子回路基板の接合方法において,第1の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に位置決め用端子部112を設けると共に,第2の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に位置決め用端子部212を設け,第1と第2の接続用端子部とが対面するように基板10,20とを位置合わせした後,位置決め用端子部112,212との間が導通したことを確認することにより基板10,20との位置決めを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子回路基板の接合方法及びインクジェットヘッドの製造方法に関し、詳しくは、接合すべき基板間に挟まれた端子部同士の位置決めを容易に行うことができ、端子部間を信頼性高く電気的接続できる電子回路基板の接合方法及びインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の微細なノズルからインクを吐出して各種記録媒体に画像を形成するインクジェットヘッドは、より高精度、高精細な画像形成を実現するために、ノズルのより一層の高密度配置が求められている。
【0003】
インクジェットヘッドには、インクの共通流路がノズル列毎に設けられる他、インクに吐出圧力を付与するための圧力室や、共通流路から各圧力室へインクを供給するための個別流路が、複数のノズルに対して個別に設けられている。そのため、これら共通流路、圧力室及び個別流路をノズルの配列方向(水平方向)に並設してしまうと、複数のノズルを高密度に配置することが困難となる。
【0004】
そこで、従来、ノズルの上方に圧力室を設け、共通流路に代わる共通インク室を圧力室の更に上方に設けることによって、ノズルの配列方向の広がりを抑え、ノズルの高密度配置を可能としたインクジェットヘッドが提案されている(特許文献1)。このインクジェットヘッドは、圧力室の上壁を薄板状に形成して振動板とし、この振動板の上面に圧電素子によって形成されるアクチュエータを積層することによってインクジェットヘッドの本体部分をなすヘッド基板を構成している。
【0005】
このヘッド基板に対しては、アクチュエータに給電するための各配線も高密度に形成する必要があるが、ヘッド基板の上面には、アクチュエータそのものの他に各圧力室にインク供給を行うための流路が開口しているため、配線を引きまわすだけの面積的な余裕はない。そこで、特許文献1では、各アクチュエータに対して給電するための配線を備えた配線基板を別途形成し、これをヘッド基板に対してアクチュエータの上方から接着樹脂層を介して接着して、ヘッド基板側の各端子部と配線基板側の各端子部とを電気的に接続する構造とすることで配線の高密度化を図っている。
【0006】
ところで、このようなヘッド基板と配線基板とを備えるインクジェットヘッドを製造する場合、ヘッド基板側の各端子部とこれに対応する配線基板側の各端子部とが正確に位置決めされた後に、両基板を重ね合せて加熱加圧することで接合を行う必要がある。
【0007】
一般に、このような基板同士の位置決めは、予め各基板の所定位置にそれぞれアライメントマークを形成しておくと共に、各端子部をアライメントマークに対する位置を正確に規定して形成しておき、基板同士の接合時に、各基板上のアライメントマークの位置座標をカメラを用いて検出し、両者のXY方向及び回転方向を位置合わせすることによって行っている。しかし、ヘッド基板側に形成されるアクチュエータ自体のずれや、基板同士を貼り付ける製造装置自体のアライメントずれ、アライメントマークの加工ばらつき等が原因となって、アライメントマークを用いた位置合わせだけでは、各端子部同士の位置ずれが生じ、両者を信頼性高く電気的接続することができない場合がある。
【0008】
しかも、各端子部は、基板間に挟まれる形となって直接目視確認することができないため、実際に基板同士を接合するまで位置ずれが発生しているかどうかが判らず、信頼性の高い電気的接続を行う上での障害となっていた。特に、基板間に回転方向のずれが発生すると、アクチュエータの変位部に配線基板の構成部品が干渉して性能劣化を起こすおそれがある。アクチュエータが高密度に配置される近年の高密度ヘッド構造では、基板間の位置ずれの許容度がより一層厳しくなってきており、基板間を高精度に位置決めでき、信頼性の高い電気的接続を容易に行える接合方法が要望されていた。
【0009】
従来、基板間の電気的接続を行う技術に関し、特許文献2には、電気的接続を行うバンプと電気的接続用途以外のバンプとを形成し、電気的接続を行うバンプの方が高くなるようにレベリングを行い、基板を位置決めして貼り合わせた際に先に電気的接続を行うバンプを接触させた後、加圧して各バンプの接続を行うことが記載されている。
【0010】
しかし、ここには基板間に挟まれた端子部同士の位置ずれを確認することについての記載はない。
【0011】
また、特許文献3には、一方の基板に位置決め用のスタッドバンプを設け、他方の基板に、該スタッドバンプの先端を受けるための凹状のガイドをフォトリソグラフィーによって形成し、両基板の接合時に、スタッドバンプの先端をガイドにわずかに入りこむようにすることで基板間の位置合わせをし、両基板の各端子部の電気的接続を行うようにすることが記載されている。
【0012】
この場合、ガイドは、同一基板上の端子部に対して高精度に位置決めされた位置に形成する必要があるが、ガイドはフォトリソグラフィーによって凹設されるのに対し、端子部は別途はんだ等によって突設されるため、両者は別工程となって、ガイドと端子部との高い位置精度を確保することが困難となり、ガイドの位置ずれに起因する基板間の位置ずれが生じる問題は依然として解決できない。
【0013】
また、基板間に挟まれた位置にあるスタッドバンプの先端のガイドへの入り込みによって位置決めするだけであるため、実際に適正に入り込みがなされたかどうかの確認を行うことが困難であり、結局、基板同士を接合した上で実際に各端子部に通電して駆動してみないと、位置ずれが発生しているかどうかが判らないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006−264322号公報
【特許文献2】特開2007−320117号公報
【特許文献3】特開平7−50316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明は、接合すべき基板間に挟まれた端子部同士を電気的接続する前に、該端子部同士の位置ずれ発生の有無を容易に判断できるようにし、基板間の位置決めを確実に行って端子部同士を信頼性高く電気的接続することのできる電子回路基板の接合方法を提供することを課題とする。
【0016】
また、本発明は、ヘッド基板と配線基板との間に挟まれた端子部同士を電気的接続する前に、該端子部同士の位置ずれ発生の有無を容易に判断できるようにし、ヘッド基板と配線基板との間の位置決めを確実に行って端子部同士を信頼性高く電気的接続することのできるインクジェットヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
【0017】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0019】
1.基板面に電子回路部品の第1の接続用端子部を有する第1の基板と、基板面に電子回路部品の第2の接続用端子部を有する第2の基板とを、前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とを対面させて位置決めを行った後、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合することにより前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部との電気的接続を行う電子回路基板の接合方法において、
前記第1の基板における前記第1の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に、第1の位置決め用端子部を設けると共に、
前記第2の基板における前記第2の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に、第2の位置決め用端子部を設け、
前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とが対面するように前記第1の基板と前記第2の基板とを位置合わせした後、前記第1の位置決め用端子部と前記第2の位置決め用端子部との間が導通したことを確認することにより、前記第1の基板と前記第2の基板との位置決めを行うことを特徴とする電子回路基板の接合方法。
2.前記第1の基板における前記第1の接続用端子部と前記第1の位置決め用端子部とを同一工程で形成すると共に、前記第2の基板における前記第2の接続用端子部と前記第2の位置決め用端子部とを同一工程で形成することを特徴とする前記1.記載の電子回路基板の接合方法。
3.前記第1の位置決め用端子部と前記第2の位置決め用端子部を、それぞれ少なくとも2箇所ずつ形成することを特徴とする前記1.又は2.記載の電子回路基板の接合方法。
4.前記第1の接続用端子部の接合前の前記第1の基板表面からの高さをH1、前記第2の接続用端子部の接合前の前記第2の基板表面からの高さをH2、前記第1の位置決め用端子部の接合前の前記第1の基板表面からの高さをh1、前記第2の位置決め用端子部の接合前の前記第2の基板表面からの高さをh2としたとき、(H1+H2)<(h1+h2)となるように各端子部を形成することを特徴とする前記1.、2.又は3.記載の電子回路基板の接合方法。
5.前記第1の位置決め用端子部及び前記第2の位置決め用端子部のうちの一方は、他方よりも硬度が高いことを特徴とする前記4.記載の電子回路基板の接合方法。
6.前記第1の位置決め用端子部及び前記第2の位置決め用端子部のうちの一方を金で形成し、他方を導電ペースト又ははんだで形成することを特徴とする前記5.記載の電子回路基板の接合方法。
7.前記金で形成した前記第1の位置決め用端子部又は前記第2の位置決め用端子部は、スタッドバンプであり、前記導電ペースト又ははんだで形成した前記第2の位置決め用端子部又は前記第1の位置決め用端子部は、球状又は半球状のバンプであることを特徴とする前記6.記載の電子回路基板の接合方法である。
8.圧力室内のインクをノズルから吐出させるための力を付与する複数のアクチュエータと、前記アクチュエータの上面にそれぞれ設けられた第1の接続用端子部とを有する第1の基板と、
前記第1の接続用端子部にそれぞれ電気的に接続されることにより、前記アクチュエータに給電するための第2の接続用端子部を一面に有する第2の基板とを備え、
前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とを対面させて前記第1の基板と前記第2の基板との位置決めを行った後、両基板を接合することにより前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部との電気的接続を行うインクジェットヘッドの製造方法において、
前記第1の基板における前記第1の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に、第1の位置決め用端子部を設けると共に、
前記第2の基板における前記第2の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に、第2の位置決め用端子部を設け、
前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とが対面するように前記第1の基板と前記第2の基板とを位置合わせした後、前記第1の位置決め用端子部と前記第2の位置決め用端子部との間が導通したことを確認することにより、前記第1の基板と前記第2の基板との位置決めを行うことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
9.前記第1の基板における前記第1の接続用端子部と前記第1の位置決め用端子部とを同一工程で形成すると共に、前記第2の基板における前記第2の接続用端子部と前記第2の位置決め用端子部とを同一工程で形成することを特徴とする前記8.記載のインクジェットヘッドの製造方法。
10.前記第1の位置決め用端子部と前記第2の位置決め用端子部を、それぞれ少なくとも2箇所ずつ形成することを特徴とする前記8.又は9.記載のインクジェットヘッドの製造方法。
11.前記第1の接続用端子部の接合前の前記第1の基板表面からの高さをH1、前記第2の接続用端子部の接合前の前記第2の基板表面からの高さをH2、前記第1の位置決め用端子部の接合前の前記第1の基板表面からの高さをh1、前記第2の位置決め用端子部の接合前の前記第2の基板表面からの高さをh2としたとき、(H1+H2)<(h1+h2)となるように各端子部を形成することを特徴とする前記8.、9.又は10.記載のインクジェットヘッドの製造方法。
12.前記第1の位置決め用端子部及び前記第2の位置決め用端子部のうちの一方は、他方よりも硬度が高いことを特徴とする前記11.記載のインクジェットヘッドの製造方法。
13.前記第1の位置決め用端子部及び前記第2の位置決め用端子部のうちの一方を金で形成し、他方を導電ペースト又ははんだで形成することを特徴とする前記12.記載のインクジェットヘッドの製造方法。
14.前記金で形成した前記第1の位置決め用端子部又は前記第2の位置決め用端子部は、スタッドバンプであり、前記導電ペースト又ははんだで形成した前記第2の位置決め用端子部又は前記第1の位置決め用端子部は、球状又は半球状のバンプであることを特徴とする前記13.記載のインクジェットヘッドの製造方法。
15.前記導電ペースト又ははんだで形成した前記第2の位置決め用端子部又は前記第1の位置決め用端子部の径を50μm以下とすることを特徴とする前記14.記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、接合すべき基板間に挟まれた端子部同士を電気的接続する前に、該端子部同士の位置ずれ発生の有無を容易に判断できるようになり、基板間の位置決めを確実に行って端子部同士を信頼性高く電気的接続することのできる電子回路基板の接合方法を提供することができる。
【0021】
また、本発明によれば、ヘッド基板と配線基板との間に挟まれた端子部同士を電気的接続する前に、該端子部同士の位置ずれ発生の有無を容易に判断できるようになり、ヘッド基板と配線基板との間の位置決めを確実に行って端子部同士を信頼性高く電気的接続することのできるインクジェットヘッドの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】インクジェットヘッドにおけるヘッド基板を構成するヘッド構成基板の製造工程の一例を示す図
【図2】インクジェットヘッドにおけるヘッド基板を構成するヘッド構成基板の製造工程の一例を示す図
【図3】作製されたヘッド構成基板の平面図
【図4】ヘッド構成基板の接続用端子部と位置決め用端子部の高さを説明する図
【図5】インクジェットヘッドにおける配線基板の製造工程の一例を示す図
【図6】インクジェットヘッドにおける配線基板の製造工程の一例を示す図
【図7】インクジェットヘッドにおける配線基板の製造工程の一例を示す図
【図8】作製された配線基板の底面図
【図9】配線基板の接続用端子部と位置決め用端子部の高さを説明する図
【図10】基板の位置合わせと接合を行う製造装置の概略構成図
【図11】基板接合作業の一例を示すフロー図
【図12】基板接合作業の一例を示すフロー図
【図13】ヘッド構成基板と配線基板とを接合する様子を説明する図
【図14】導通確認方法の一例を説明する図
【図15】導通確認方法の他の一例を説明する図
【図16】Si基板をエッチングして振動板を形成する様子を説明する図
【図17】下部層を接合してインクジェットヘッドを完成する様子を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、基板面に電子回路部品の第1の接続用端子部を有する第1の基板と、基板面に電子回路部品の第2の接続用端子部を有する第2の基板とを、第1の接続用端子部と第2の接続用端子部とを対面させて位置決めを行った後、第1の基板と第2の基板とを接合することにより第1の接続用端子部と第2の接続用端子部との電気的接続を行う。
【0024】
第1の基板における第1の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置には、第1の位置決め用端子部が設けられると共に、第2の基板における第2の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置には、第2の位置決め用端子部が設けられる。
【0025】
ここで、「面と同一方向の面」とは、同一基板上において同一の方向に面して配置されている面をいい、これらの面は基板上の同一平面であってもよいし、基板上で互いに高さ位置が異なる二つの面であってもよい。
【0026】
また、「所定位置」とは、同一基板上にある第1の接続用端子部又は第2の接続用端子部に対して位置決めされた位置にあることをいい、具体的には、第1の位置決め用端子部は第1の接続用端子部に対して位置が規定されると共に、第2の位置決め用端子部は第2の接続用端子部に対して位置が規定され、且つ、第1の接続用端子部と第2の接続用端子部とが適正に電気的接続されるように第1の基板と第2の基板とが位置合わせされたときに、第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部も、互いに接続し合う位置にあることをいう。
【0027】
第1の接続用端子部と第2の接続用端子部は、互いに対面させた際に、第1の基板と第2の基板との間を通る面に対して対称位置に配置されるが、これら第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部も、同じく上記の面に対して対称位置に配置される。従って、第1の基板と第2の基板との接合の際に、第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部とが接続し合っていれば、第1の接続用端子部と第2の接続用端子部は適正に電気的に接続することになる。
【0028】
そこで、本発明では、これら第1の基板と第2の基板とを重ね合せ、その基板間で第1の接続用端子部と第2の接続用端子部とを対面させた後に、第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部との間が導通したことを確認することにより、第1の基板と第2の基板との位置決めを行うようにしている。
【0029】
すなわち、第1の基板と第2の基板とを重ね合せて位置決めする際、第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部との間が導通していれば、基板間の第1の接続用端子部と第2の接続用端子部とは位置ずれなく適正に位置決めされていることを判断でき、これによって位置決め作業を終了する。また、第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部との間が導通していない場合は、基板間の第1の接続用端子部と第2の接続用端子部とは位置ずれしていると判断でき、基板間の位置を微調整して再度位置合わせを行うことで位置ずれの修正を行う。
【0030】
位置決め終了後は、両基板を互いに押し付けることにより、第1の接続用端子部と第2の接続用端子とを確実に接触させ、必要に応じて加熱を行うことによって電気的に接続する。
【0031】
これによって、接合すべき第1の基板と第2の基板との間に挟まれた接続用端子部同士を実際に電気的接続する前に、該接続用端子部同士の位置ずれ発生の有無を、第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部との導通の有無によって容易に判断できるようになり、基板間の位置決めを確実に行って接続用端子部同士を信頼性高く電気的接続することができるようになる。
【0032】
第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部との間の導通の有無は、両端子部にそれぞれ測定手段とつながる導通確認用の電極を電気的に接続し、これらに所定の電圧を印加してその通電の有無を測定することによって確認することができる。
【0033】
両基板の押し付け開始をオペレーターの手動によって操作する場合、ランプの点灯や音、メーターの指針等、オペレーターにとって知覚容易な適宜の確認手段によって導通を確認することで、オペレーターが押し付け開始のための操作を行うようにすることができる。
【0034】
また、両基板の押し付け開始を自動で行う場合、測定手段による導通有りをトリガーとして押し付け動作を開始することによって行うことができる。
【0035】
本発明は、第1の基板における第1の接続用端子部と第1の位置決め用端子部とを同一工程で形成し、第2の基板における第2の接続用端子部と第2の位置決め用端子部とを同一工程で形成することが好ましい。「同一工程で形成する」とは、第1の基板と第2の基板のそれぞれにおける各接続用端子部を形成する一連の作業内で各位置決め用端子部をそれぞれ形成することをいう。
【0036】
それぞれの位置決め用端子部の形成を接続用端子部の形成と同一工程で行うことによって、第1の接続用端子部に対して高精度に位置決めされた第1の位置決め用端子部及び第2の接続用端子部に対して高精度に位置決めされた第2の位置決め用端子部をそれぞれ形成することができる。
【0037】
また、本発明は、第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部を、それぞれ少なくとも2箇所ずつ形成することが好ましい。
【0038】
これによって、基板間の回転方向の位置ずれを検出することができるので、各接続用端子部の回転方向の位置ずれを容易に確認及び修正することができる。
【0039】
更に、本発明は、第1の接続用端子部の接合前の第1の基板表面からの高さをH1、第2の接続用端子部の接合前の第2の基板表面からの高さをH2、第1の位置決め用端子部の接合前の第1の基板表面からの高さをh1、第2の位置決め用端子部の接合前の第2の基板表面からの高さをh2としたとき、(H1+H2)<(h1+h2)となるように各端子部の高さを形成することが好ましい。
【0040】
これによって、第1の基板と第2の基板とを位置決めのために重ね合わせた際、接続用端子部同士が接触する前に位置決め用端子部同士を接触させて導通の有無を確認することができる。従って、位置決めのために基板の位置修正を行った時に各接続用端子部が不意に接触して破損してしまうおそれがなく、また、各接続用端子部が邪魔となることなく位置決め作業を容易に行うことができる。
【0041】
各接続用端子部及び各位置決め用端子部のそれぞれの高さは、(H1+H2)<(h1+h2)の関係を満たすものであれば、いずれを高く又は低く形成してもよい。
【0042】
この場合、第1の位置決め用端子部及び第2の位置決め用端子部のうちの一方は、他方よりも硬度が低いものとすることが好ましい。
【0043】
これによって、位置決め終了後に両基板を押し付けて加圧した際、互いに接続し合った位置決め用端子部が容易に塑性変形するので、容易に接続用端子部同士を電気的接続することができる。しかも、加圧時に位置決め用端子部が塑性変形することによって徐々に基板間の距離が縮まることによって接続用端子部同士の接触がなされるので、接続用端子部同士の接続時に必要以上の過大な負荷がかかることがなく、接続用端子部の破損等を回避できる。
【0044】
このように第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部に硬度差を持たせる場合、各端子部に使用される金属は、上記硬度差を有する適宜の金属を選択使用すればよいが、相対的に硬度が高い方の位置決め用端子部を金で形成し、相対的に硬度が低い方の位置決め用端子部を導電ペースト又ははんだで形成することが好ましい。
【0045】
また、金で形成した第1の位置決め用端子部又は第2の位置決め用端子部は、スタッドバンプであり、導電ペースト又ははんだで形成した第2の位置決め用端子部又は第1の位置決め用端子部は、球状又は半球状のバンプとすることが好ましい。
【0046】
スタッドバンプは、その先端が尖った鋭角状となるため、相対的に硬度が低い球状又は半球状のバンプに突き刺さり、このバンプを容易に塑性変形させることができる。従って、位置決め完了後の両基板同士の押し付け加圧をより円滑に行うことができる。
【0047】
本発明において、第1、第2の基板となる電子回路基板としては、例えば大規模集積回路(LSI)素子等を実装した基板や、このような基板に対して給電を行うための基板等があり、本発明は、これらの基板同士を、基板間に各端子部同士を対面させた状態で位置合わせした後、貼り合わせるようにして接合することによって、第1の接続用端子部と第2の接続用端子部とを電気的に接続する場合に好ましく適用することができる。
【0048】
本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、第1の基板を、圧力室内のインクをノズルから吐出させるための力を付与する複数のアクチュエータと、アクチュエータの上面にそれぞれ設けられた第1の接続用端子部とを有する基板とし、他方の第2の基板を、第1の接続用端子部にそれぞれ電気的に接続されることにより、アクチュエータに給電するための第2の接続用端子部を一面に有する基板とすることによって上記構成を適用することができる。
【0049】
これによって、両基板間に挟まれた端子部同士の位置ずれ発生の有無を、第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部との導通の有無によって容易に判断できるようになり、基板間の位置決めを確実に行って端子部同士を信頼性高く電気的接続することができるようになる。
【0050】
以下、本発明をインクジェットヘッドの製造に適用した場合の一例について、図面を用いて説明する。
【0051】
図1、図2は、インクジェットヘッドにおけるヘッド基板を構成するヘッド構成基板の製造工程の一例を示している。
【0052】
まず、ハンドリングが容易な厚さのSi基板101の一方の面の全面に、SiO2からなる薄膜102をCVD(Chemical Vapour Deposition)法によって製膜する(図1(a))。
【0053】
次いで、この薄膜102上に、レジスト103を一面にスピンコートして製膜し、これを露光・現像処理することによってパターニングする。このパターニングにより、後にインク供給用流路となる部位のレジスト103を除去して多数の除去部103aを形成し、この除去部103a内のみに薄膜102を露出させる(図1(b))。
【0054】
次いで、レジスト103の上面からRIE(Reactive Ion Etching)法によってSiO2を選択的にエッチングし、除去部103a内の薄膜102を除去する。更に、レジスト103をウェットエッチングによって剥離し、SiO2をマスクとしてSiをRIE法によって選択的にエッチングすることにより貫通孔104を形成する(図1(c))。
【0055】
その後、スパッタにより、薄膜102上にTi膜105を製膜し、更にそのTi膜105の上に、同様にスパッタにより、Ptからなる金属膜106を製膜する(図1(d))。Ti膜105は、SiO2上に直接積層しにくいPtからなる金属膜106のための下地層となる。
【0056】
次いで、この金属膜106にレジスト塗布及び露光・現像処理することによってパターニングを行い、後述するアクチュエータの下部電極となる共通電極107と、基板の長手方向の両端部に後述する位置決め用端子部の導通確認用電極108とを形成する(図2(a))。
【0057】
次いで、共通電極107の上面に、PZTからなる圧電薄膜をスパッタによって製膜し、パターニングすることにより、多数のアクチュエータ109をXY方向に二次元状に配列させて形成する(図2(b))。
【0058】
更に、多数のアクチュエータ109を作製後の上面にレジスト塗布、露光・現像処理することによってパターニングを行い、各アクチュエータ109の上面のみを露出させた後、Cu膜を製膜し、レジストを除去することによって、各アクチュエータ109の上面のみにCu膜からなる個別電極110を形成する(図2(c))。
【0059】
その後、図3に示すように、Si基板101をRIE法によってエッチングして除去加工する。これによって、加工し残された薄膜102によって振動板を形成する。SiO2からなる薄膜102はSi基板101よりもエッチング速度が遅いため、容易に薄膜102のみを残存させることができる。
【0060】
また、エッチングに代えて研磨装置を用いて、薄膜102のみを残存させるようにSi基板101を研磨加工してもよい。
【0061】
次いで、図4に示すように、振動板である薄膜102の下面に下部層30を接合する。下部層30は、Si基板からなるノズルプレート301上に感光性ドライフィルムからなる接着樹脂層302を積層して形成される。
【0062】
ノズルプレート301には、アクチュエータ109の数に対応し、且つ、該アクチュエータ109の下方に位置するようにノズル301aを開設しておく。
【0063】
接着樹脂層302は、ノズルプレート301を薄膜102に接合するための接着層となると共に、ノズルプレート301上に積層された後に、露光・現像処理によって、該ノズルプレート301上に、アクチュエータ108の数に対応し、且つ、該アクチュエータ109の下方に位置するように、多数の圧力室303を形成している。各ノズル301aは各圧力室303の底部に配置されて開口している。
【0064】
かかる下部層30は、薄膜102の下面に位置合わせした後(図4(a))、加熱加圧することによって接着樹脂層302によって接着する。これによって、接着樹脂層302と振動板である薄膜102とが圧力室303の壁面を構成する(図4(b))。これによってヘッド基板10が作製される。
【0065】
この後、金ワイヤボンディング装置を用いて、各アクチュエータ109の個別電極110の上面にスタッドバンプからなる接続用端子部111を上方に向けて1つずつ突出形成すると共に、各導通確認用電極108の上面にもスタッドバンプからなる位置決め用端子部112を上方に向けて1つずつ突出形成する(図4(c))。
【0066】
このヘッド基板10をアクチュエータ109が設けられた側から見た平面図を図5に示す。
【0067】
ヘッド基板10は、互いに直交するXY方向のうちのX方向に長い矩形状の基板であり、その中央領域に、所定形状にパターニングされた共通電極107と、その上面の多数のアクチュエータ及び該アクチュエータ上面の個別電極110を有し、この個別電極110上にそれぞれ接続用端子部111が設けられている。
【0068】
一方、位置決め用端子部112は、ヘッド基板10のX方向の両端部にそれぞれ形成された導通確認用電極108の上面に形成されている。この位置決め用端子部112は、接続用端子部111を形成する作業工程内で作製される。すなわち、ワイヤボンディング装置によって形成される端子部は、金属線を通したキャピラリーを端子部形成部位に次々に移動させながら形成していく。このときの移動の位置精度は高精度に行うことができるため、位置決め用端子部112の形成を、接続用端子部111の形成と同一の作業工程内で行うことにより、各接続用端子部111に対する位置を高精度に規定することができる。
【0069】
ここで、各位置決め用端子部112のヘッド基板10の表面(薄膜102の上面)からの高さh1は、図6に示すように、各接続用端子部111のヘッド基板10の表面(薄膜102の上面)からの高さH1よりも高くなる(H1<h1)ように形成する。
【0070】
なお、図5に示す符号113は、後述する配線基板との位置決めの際に利用されるアライメントマークである。このアライメントマーク113は、ヘッド基板10のX方向の両端部の上面において、各位置決め用端子部112の近傍位置にそれぞれエッチングによって予め形成されている。各アクチュエータ109や各接続用端子部111及び各位置決め用端子部112は、このアライメントマーク113の位置を基準として高精度に規定された位置にそれぞれ形成される。
【0071】
次に、配線基板の製造工程の一例について、図7〜図9を参照して説明する。
【0072】
まず、Si基板200を用意し、その一方の面の全面に、SiO2からなる絶縁膜201をCVD法によって製膜し、更にその絶縁膜201の上面に、Al膜からなる金属膜202をスパッタによって形成する(図7(a))。
【0073】
次いで、金属膜202上にレジスト塗布、露光・現像処理することによりパターニングを行い、ヘッド基板10の各アクチュエータ109と各位置決め用端子部112に対応する部位以外の金属膜202を露出させる。その後、RIE法によってエッチングを行い、露出した金属膜202を除去し、各個別電極110に対応する位置の配線電極203と、各位置決め用端子部112に対応する位置の導通確認用電極204とを形成する(図7(b))。
【0074】
次いで、Si基板200の他方の面の全面に、SiO2からなる絶縁膜205をCVD法によって製膜する(図7(c))。以降、Si基板200の上下を反転させて図示する。
【0075】
絶縁膜205の製膜の後、該絶縁膜205上にレジスト塗布、露光・現像処理によるパターニングを行い、Si基板200に配線電極203に連通する貫通孔とインク供給用流路用の貫通孔をそれぞれ形成すべき部位の絶縁膜205に対し、RIE法によってエッチングを行い、絶縁膜205を除去することで除去部205a、205bを形成する。更に、絶縁膜204上に形成したレジスト膜をウェットエッチングで除去し、絶縁膜204を露出させる(図7(d))。
【0076】
その後、除去部205a、205bが形成された面に対し、再度RIE法によってエッチングを行う。このとき、SiO2からなる絶縁膜205もエッチングされるとはいえ、Si基板200よりもエッチング速度が遅いため、絶縁膜205がマスクの役目をなすことで、除去部205a、205bに露出する部分のSi基板200が先に除去される。これによって、Si基板200の一方の面に形成された絶縁膜201に至る深さの凹部206a、206bを形成する(図8(a))。
【0077】
凹部206a、206bを形成した後、更にRIE法によってエッチングを行うことで、凹部206a、206bの底部に露出する絶縁膜201を除去する。これによって、凹部206a、206bはそれぞれSi基板200及び絶縁膜201を貫通する貫通孔207、208となる。貫通孔208の底部には配線電極203が臨んでいる(図8(b))。
【0078】
次いで、配線電極203とは反対面側からSiO2からなる絶縁膜209を再度CVD法によって製膜する。絶縁膜209は貫通孔207の内壁面、貫通孔208の内壁面と該貫通孔208の底部に臨む配線電極203上にもそれぞれ形成される(図8(c))。
【0079】
絶縁膜209の製膜後は、該絶縁膜209の表面からRIE法によりエッチングを行うことで、貫通孔208内に臨む配線電極203上に形成された部分の絶縁膜209を除去する(図9(a))。
【0080】
ここで、貫通孔208内は空間あたりの表面積がSi基板200表面に比べて大きくなっているので、Si基板200の方が製膜し易く、貫通孔208内のSiO2の膜厚はSi基板200に比べて薄くなるため、RIEによってSi基板200が露出するよりも早く、貫通孔208が開口する。このとき、異方性エッチングを行うことで、貫通孔208の側壁はエッチングされず、SiO2の絶縁膜209は保たれる。
【0081】
その後、絶縁膜209上に下地層となる不図示のTi膜をスパッタによって製膜し、更にそのTi膜の上にCu膜をスパッタにより製膜し、このCu膜をレジストを用いた露光・現像処理によってパターニングし、所定の配線パターンとなる部位のレジストを除去してCu膜を露出させる。そして、この露出したCu膜上にCuを電界めっきした後、レジストを除去し、Cu膜及びTi膜をエッチングして、絶縁膜209上にCuからなる所定パターンの配線210を形成する。この配線210は、貫通孔208を介して反対面の配線電極203と電気的に接続している(図9(b))。
【0082】
次いで、配線電極203の表面に、低融点はんだペーストを用いることによって、半球状のはんだバンプからなる接続用端子部211をスクリーン印刷によって形成すると共に、導通確認用電極204の表面に、同じく低融点はんだペーストを用いることによって、半球状のはんだバンプからなる位置決め用端子部212をスクリーン印刷によって形成する(図9(c))。これによって配線基板20が作製される。
【0083】
なお、位置決め用端子部212は、接続用端子部211を形成する同一の作業工程内で作製される。すなわち、これら両端子部211、212は、同時にスクリーン印刷されることによって形成されるため、両者間の位置精度を高精度に確保することができる。これによって、位置決め用端子部212の各接続用端子部211に対する位置を高精度に規定することができる。
【0084】
次いで、Si基板200における配線電極203の側に、感光性ドライフィルムからなる接着樹脂層213をラミネートし、マスクを用いて露光・現像処理によってパターニングを行う。このパターニングによって、貫通孔207に対応する部位と、配線電極203の周囲及びSi基板200の長手方向の両端部の接着樹脂層213を除去する(図9(d))。
【0085】
これによって、貫通孔207は、接着樹脂層213の部位も貫通し、また、配線電極203の周囲には、ヘッド基板10の各アクチュエータ109を収容するための収容室214がそれぞれ形成される。
【0086】
この配線基板20を各接続用端子部211が設けられた側から見た底面図を図10に示す。
【0087】
配線基板20の中央領域には、ヘッド基板10の個別電極112上の各接続用端子部111に1対1に対応する位置にそれぞれ配線電極203上の接続用端子部211が配置されている。
【0088】
一方、位置決め用端子部212は、配線基板20のX方向の両端部にそれぞれ配置されている。
【0089】
なお、ここでは、各接続用端子部211の配線基板20の表面(絶縁膜201の表面)からの高さH2は、図11に示すように、位置決め用端子部212の配線基板20の表面(絶縁膜201の表面)からの高さh2と同一(H2=h2)となるように形成されている。
【0090】
また、図10に示す符号215は、ヘッド基板10との位置決めの際に利用されるアライメントマークである。このアライメントマーク215は、配線基板20のX方向の両端部の表面において、各位置決め用端子部212の近傍にエッチングによって予め形成されている。各接続用端子部211及び各位置決め用端子部212は、このアライメントマーク215の位置を基準として高精度に規定された位置にそれぞれ形成される。このアライメントマーク215に対して規定される各位置決め用端子部212の位置は、ヘッド基板10の各接続用端子部111と、配線基板20の各接続用端子部211とが適正に電気的接続される場合に、配線基板20の各位置決め用端子部212が、ヘッド基板10の各位置決め用端子部112と対向し、互いに電気的接続される位置である。
【0091】
次に、このヘッド基板10と配線基板20とを位置合わせして接合する方法について説明する。
【0092】
図12は、基板の位置合わせと接合を行う製造装置40の概略構成図であり、この製造装置40は、基台401上に第1支持台402と第2支持台403とを備えている。
【0093】
第1支持台402は、ヘッド基板10を載置して支持するための台であり、基台401上に設けられたXY移動機構404上に設置され、このXY移動機構404の駆動によってXY方向に移動可能となっている。このXY移動機構404の移動量は、不図示のエンコーダによって、製造装置40内の不図示の制御部に送られ、位置座標の取得に利用される。
【0094】
第1支持台402の近傍には、この第1支持台402とXY移動機構404とを跨ぐようにガントリー405が架設されており、このガントリー405に、第1カメラ406が第1支持台402の表面にレンズを向けて配設されている。
【0095】
この第1カメラ406は、第1支持台402上に載置されたヘッド基板10に形成されているアライメントマーク113の位置情報を取得するものであり、ガントリー405に沿って第1支持台402の表面に対して平行に図示X方向に沿って移動可能である。
【0096】
なお、ガントリー405自身も図示Y方向に移動可能となっている。これら第1カメラ406及びガントリー405の移動量は、不図示のエンコーダによって、製造装置40内の不図示の制御部に送られ、位置座標の取得に利用される。
【0097】
また、第2支持台403は、配線基板20を載置して支持するための台であり、基台401上に設けられたXY移動機構407上に設置され、このXY移動機構407の駆動によってXY方向に移動可能となっている。このXY移動機構407の移動量は、不図示のエンコーダによって、製造装置40内の不図示の制御部に送られ、位置座標の取得に利用される。
【0098】
基台401上には、第1支持台402、第2支持台403及びXY移動機構404、407を跨ぐようにガントリー408が架設されており、このガントリー408に、第2支持台403上に載置された配線基板20を吸着保持するためのチャック装置409が配設されている。チャック装置409は、その先端のチャック部410が、基台401の上面に対する垂直方向で、且つ、XY方向に直交するZ方向に沿って昇降可能であり、下降することによって第2支持台403上に載置された配線基板20を吸着保持し、上昇することによって配線基板20を第2支持台403上から持ち上げ、ガントリー408に沿って図示X方向に沿って移動し、第1支持台402上のヘッド構成基板10の上方まで移動させる。また、チャック部410はZ方向を軸としてその回り(θ方向)に回転可能であり、これによって吸着保持した配線基板20をθ方向に回転移動させる。
【0099】
基台401上には、第1支持台402と第2支持台403との間に、第2カメラ411がレンズを上方に向けて配設されている。この第2カメラ411は、チャック装置409のチャック部410によって吸着保持された配線基板20が、チャック装置409のX方向の移動によって第1支持台402上まで移送される過程で該カメラ上方を通過した際、配線基板20に形成されているアライメントマーク215の位置情報を取得するものである。このチャック装置409のX方向の移動量及びチャック部410のθ方向の移動量は、不図示のエンコーダによって、製造装置40内の不図示の制御部に送られ、位置座標の取得に利用される。
【0100】
次に、この製造装置40を用いてヘッド基板10と配線基板20を位置合わせして接合する方法について、更に図13、図14を参照しつつ説明する。図13、図14は、基板接合作業の一例を示すフロー図である。
【0101】
まず、図12(a)に示すように、製造装置40の第1支持台402上に、ヘッド基板10を、その接続用端子部111及び位置決め用端子部112が上向きとなり、長手方向がX方向に沿うように載置すると共に(S1)、第2支持台403上に、配線基板20を、その接続用端子部211及び位置決め用端子部212が下向きとなり、長手方向がX方向に沿うように載置する(S2)。
【0102】
次いで、チャック装置409を起動させ、先端のチャック部410を下降させて第2支持台403上の配線基板20を吸着保持した後、チャック装置409ごとガントリー408に沿って第2カメラ411の上方までX方向に移動させる。第2カメラ411はレンズが上を向いているため、配線基板20の下面に設けられている各アライメントマーク215、215を確認し、それらの位置座標を取得する(S3)。このとき取得される各アライメントマーク215、215の各位置座標中のY座標のずれから、配線基板20のθ方向の角度が判る。
【0103】
次いで、第1カメラ406をガントリー405に沿ってX方向に移動させ、第1支持台402上のヘッド基板10の各アライメントマーク113、113を確認し、それらの位置座標を取得する(S4)。このとき取得される各アライメントマーク113、113の各位置座標中のY座標のずれから、ヘッド基板10のθ方向の角度が判る。
【0104】
次いで、配線基板20とヘッド基板10のそれぞれの位置座標から、両アライメントマーク113、215の位置を合致させるために必要な補正値を求め、その補正値に基づいて、XY移動機構404によって第1支持台402をXY方向に移動させてヘッド基板10のXY方向の位置を修正すると共に、チャック部410をθ方向に回転移動させて配線基板20の角度を修正する(S5)。
【0105】
この後、図12(b)に示すように、チャック装置409を第1支持台402上まで移動させ、ヘッド基板10の上方に配線基板20を配置させる。
【0106】
以上の位置合わせ作業によって両アライメントマーク113、215の位置が合致するようになり、これによってヘッド基板10と配線基板20とは、各接続用端子部111、211同士の位置が互いに一致する関係となり、チャック部410をそのまま下降させれば、各接続用端子部111、211は正常に電気的接続されるはずであるが、実際には、アクチュエータ109自体のずれ、アライメントマーク113、215の位置ずれや加工ばらつき、製造装置40の各移動機構のアライメントずれ等が原因となって、両基板間に微妙な位置ずれが生じている場合がある。
【0107】
そこで、次に、図14に示すように、位置決め用端子部112、212を利用したヘッド基板10と配線基板20との位置修正のための作業を行う。
【0108】
位置決め用端子部112、212は、それぞれ接続用端子部111、211の形成時に同一の作業工程内で形成されているため、各位置決め用端子部112、212と各接続用端子部111、211との位置関係は、アライメントマーク113、215と各接続用端子部111、211との位置関係よりも高精度に位置が規定されているため、この位置決め用端子部112、212の位置が一致したことを検出することによって、接続用端子部111、211同士の一致、すなわちヘッド基板10と配線基板20との位置決めを正確に行うことができる。
【0109】
まず、チャック部410を下降させることにより、第1支持台402の上方まで移動させた配線基板20を、両基板の位置決め用端子部112、212同士が接触する高さまで下降させる(S10)。
【0110】
ここで、ヘッド基板10における接続用端子部111の高さH1と位置決め用端子部112の高さh1は、H1<h1であり、配線基板20における接続用端子部211の高さH2と位置決め用端子部212の高さh2は、H2=h2であるから、(H1+H2)<(h1+h2)となる。従って、配線基板20の下降によって両基板の位置決め用端子部112、212同士が接触する高さまで下降した時点では、図15(a)に示すように、両基板の接続用端子部111、211同士は接触しない。この下降高さは予め判っているので、チャック装置409は、配線基板20をこの高さまで下降させたら、両基板の接続用端子部111、211同士が接触しないように下降を一旦停止させる。
【0111】
なお、(h1+h2)−(H1+H2)は、接続用端子部111、211同士が接触しない程度となる値とすればよいが、小さすぎると、位置決め用端子部112、212同士が当接した際の塑性変形によって接続用端子部111、211同士が不意に接触してしまうおそれがあり、大きすぎると、基板同士の接合の際に押し付け力を必要とするため、20μm〜30μmとすることが好ましい。
【0112】
次いで、位置決め用端子部112、212間に所定の電圧をかけて導通を確認する(S11)。
【0113】
導通を確認する具体的な方法は特に限定されないが、例えば図16に示すように、予め、ヘッド基板10の位置決め用端子部112と接続している導通確認用電極108と、配線基板20の位置決め用端子部212と接続している導通確認用電極204に、それぞれ導通確認用電圧を印加するためのリード配線114、216の一端を接続しておき、このリード配線114、216の他端を測定手段400と接続し、この測定手段400が所定電圧の印加及び導電確認を行うようにすることができる。測定手段400はオペレーターが手動で操作するものであってもよいし、予め製造装置40に搭載され、該製造装置40の制御部が制御することによって自動で行うようにしてもよい。導電確認後、不要となったリード配線114、216は、適宜の時期に切断除去すればよい。
【0114】
また、導通確認は、図17に示すように、ヘッド基板10を載置する第1支持台402の支持面402aに電極部402b、402bを形成すると共に、配線基板20を吸着保持するチャック部410の保持面410aに同様に電極部410b、410bを形成し、各導通確認用電極108、204をこれら電極部402b、410bに接触させることによって行うようにすることもできる。
【0115】
この場合、ヘッド基板10の導通確認用電極108の端部は、ヘッド基板10を支持面402a上に載置した際に、この電極部402b、402bと電気的に接触し得る位置に、例えば貫通孔を経由させて位置決め用端子部112を設けた面と反対面に引き出しておくと共に、配線基板20の導通確認用電極204の端部は、チャック部410に吸着保持された際に、この電極部410b、410bと電気的に接触し得る位置に、例えば貫通孔を経由させて位置決め用端子部212を設けた面と反対面に引き出しておけばよい。
【0116】
この図17に示す態様では、各位置決め用端子部112、212同士が接触する高さまで配線基板20を下降させた時点で、製造装置40内に組み込まれた測定手段によって自動的に導電確認を行うことができる。
【0117】
これらの方法によって導通確認を行った結果、2箇所ずつある位置決め用端子部112、212の2箇所とも導通有り(S12においてYES)であれば、ヘッド基板10と配線基板20との相互の位置は適正であると判断できる。すなわち、ヘッド基板10の接続用端子部111と配線基板20の接続用端子部211とが適正に電気的接続し得る位置関係にある。これによって位置決め作業が終了する。
【0118】
この位置決め作業が終了したら、チャック部410を下降させて配線基板20を更に下降させることにより、図15(b)に示すように、各アクチュエータ109を配線基板20の収容室214内に収容すると共に、両基板の接続用端子部111、211同士を接触させる。このとき、ヘッド基板10の位置決め用端子部112は金スタッドバンプであり、配線基板20の位置決め用端子部212は、この金スタッドバンプよりも硬度が低いはんだバンプであるため、配線基板20の更なる下降によって、位置決め用端子部112の先端が位置決め用端子部212に突き刺さり、更に該位置決め用端子部212が徐々に塑性変形することによって両基板間の距離を徐々に縮めていくので、配線基板20の下降による押し付けによって接続用端子部111、211同士が接触した際に、該接続用端子部111、211間に過大な負荷がかからず、これら接続用端子部111、211の破損等のおそれを回避できる。
【0119】
ここで、図16に示すように、スタッドバンプからなる位置決め用端子部112の先端を受ける配線基板20側の位置決め用端子部212の径dは、50μm以下となるように形成される。
【0120】
この径dは、導通が得られるための位置決め用端子部112の先端との位置ずれの許容範囲である。従って、50μmを超えて大径の位置決め用端子部212を形成すると、ヘッド基板10と配線基板20との間に、接続用端子部111、211間を適正に電気的接続し得ない程度の位置ずれがあっても、位置決め用端子部112、212間の導通が得られてしまうおそれがあると共に、各アクチュエータ109が配線基板20側の収容室214内に収まらず、接着樹脂層213の壁面に干渉してしまい、アクチュエータ109の動作を阻害してしまうおそれがある。この径dを50μm以下とすることにより、このような問題を回避することができる。
【0121】
このようにして接続用端子部111、211同士が接触するまで配線基板20を下降させた後は、所望の時間、圧力をかけて該これら接続用端子部111、211同士を接着させ、電気的接続を行う(S13)。
【0122】
このとき、所定温度の加熱を行うことによって、図15(b)に示すように、配線基板20の接着樹脂層213は接着層として機能してヘッド基板10と接着すると共に、接続用端子部111、211同士は溶融して確実な電気的接続を得ることができる。また、ヘッド基板10の貫通孔104と配線基板20の貫通孔207とは接着樹脂層213を介して連通し、両基板10、20に亘って貫通するインク供給用流路100を形成する。
【0123】
一方、導通確認を行った結果、2箇所のうちのいずれか一方又は両方とも導通無し(S12においてNO)であれば、ヘッド構成基板10と配線基板20との相互の位置ずれが生じていると判断できる。すなわち、ヘッド基板10の接続用端子部111と配線基板20の接続用端子部211とは適正に電気的接続し得る位置関係にはない。
【0124】
そこで、各位置決め用端子部112、212に電圧をかけた状態で、チャック部410をθ方向に所定角度回転させ、配線基板20の角度を微調整し(S14)、その後、再度導通確認を行う(S12)。
【0125】
1回の微調整作業におけるθ方向の回転角度は、予め決められた微小角度(例えば0.1°)ずつ行い、その都度、ステップS12において導通確認を行うことが好ましい。
【0126】
再度の導通確認で2箇所とも導通有りとなったら位置決め作業は終了し、次いで、ステップS13に進み、上述の通りに接続用端子部111、211同士を接着させて電気的接続を行う。
【0127】
なお、ここでは、チャック部410のθ方向の回転によって配線基板20のθ方向の角度のみを微調整しているが、必要に応じてチャック装置409のX方向の位置と第1支持台402のXY方向の位置のいずれか一方又は双方についても、予め決められた所定の移動量ずつ微調整していくようにしてもよいことはもちろんである。
【0128】
以上のようにしてヘッド基板10と配線基板20とを接合することによって、配線基板20の貫通孔207、208は、貫通孔104を介してヘッド基板10の圧力室303と連通し、これにより、該圧力室303内にインクを供給するインク供給用流路100となる(図15(b))。
【0129】
配線基板20の上面には不図示の共通インク室が設けられる。これによって共通インク室内のインクがインク供給用流路100を介して各圧力室303に供給されるインクジェットヘッドが完成する。
【0130】
以上説明した方法では、ヘッド基板10と配線基板20との位置合わせの際に、最初に、各基板にそれぞれ形成したアライメントマーク113、215の位置を確認し、これらの位置を基準として位置合わせした後、配線基板20を所定の高さまで下降させて位置決め用端子部112、212間の導通を確認するようにしたが、位置合わせの際に、直接、各位置決め用端子部112、212の位置を確認し、これら位置決め用端子部112、212の位置が一致するように位置合わせしてもよい。
【符号の説明】
【0131】
10:ヘッド基板(第1の基板)
100:インク供給用流路
101:Si基板
102:薄膜
103:レジスト
103a:除去部
104:貫通孔
105:Ti膜
106:金属膜
107:共通電極
108:導通確認用電極
109:アクチュエータ
110:個別電極
111:接続用端子部(第1の接続用端子部)
112:位置決め用端子部(第1の位置決め用端子部)
113:アライメントマーク
114:リード配線
20:配線基板(第2の基板)
200:Si基板
201:絶縁膜
202:金属膜
203:配線電極
204:導通確認用電極
205:絶縁膜
205a、205b:除去部
206a、206b:凹部
207、208:貫通孔
209:絶縁膜
210:配線
211:接続用端子部(第2の接続用端子部)
212:位置決め用端子部(第2の位置決め用端子部)
213:接着樹脂層
214:収容室
215:アライメントマーク
216:リード配線
30:下部層
301:ノズルプレート
301a:ノズル
302:接着樹脂層
303:圧力室
40:製造装置
400:測定手段
401:基台
402:第1支持台
402a:支持面
402b:電極部
403:第2支持台
404:XY移動機構
405:ガントリー
406:第1カメラ
407:XY移動機構
408:ガントリー
409:チャック装置
410:チャック部
410a:保持面
410b:電極部
411:第2カメラ
【技術分野】
【0001】
本発明は電子回路基板の接合方法及びインクジェットヘッドの製造方法に関し、詳しくは、接合すべき基板間に挟まれた端子部同士の位置決めを容易に行うことができ、端子部間を信頼性高く電気的接続できる電子回路基板の接合方法及びインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の微細なノズルからインクを吐出して各種記録媒体に画像を形成するインクジェットヘッドは、より高精度、高精細な画像形成を実現するために、ノズルのより一層の高密度配置が求められている。
【0003】
インクジェットヘッドには、インクの共通流路がノズル列毎に設けられる他、インクに吐出圧力を付与するための圧力室や、共通流路から各圧力室へインクを供給するための個別流路が、複数のノズルに対して個別に設けられている。そのため、これら共通流路、圧力室及び個別流路をノズルの配列方向(水平方向)に並設してしまうと、複数のノズルを高密度に配置することが困難となる。
【0004】
そこで、従来、ノズルの上方に圧力室を設け、共通流路に代わる共通インク室を圧力室の更に上方に設けることによって、ノズルの配列方向の広がりを抑え、ノズルの高密度配置を可能としたインクジェットヘッドが提案されている(特許文献1)。このインクジェットヘッドは、圧力室の上壁を薄板状に形成して振動板とし、この振動板の上面に圧電素子によって形成されるアクチュエータを積層することによってインクジェットヘッドの本体部分をなすヘッド基板を構成している。
【0005】
このヘッド基板に対しては、アクチュエータに給電するための各配線も高密度に形成する必要があるが、ヘッド基板の上面には、アクチュエータそのものの他に各圧力室にインク供給を行うための流路が開口しているため、配線を引きまわすだけの面積的な余裕はない。そこで、特許文献1では、各アクチュエータに対して給電するための配線を備えた配線基板を別途形成し、これをヘッド基板に対してアクチュエータの上方から接着樹脂層を介して接着して、ヘッド基板側の各端子部と配線基板側の各端子部とを電気的に接続する構造とすることで配線の高密度化を図っている。
【0006】
ところで、このようなヘッド基板と配線基板とを備えるインクジェットヘッドを製造する場合、ヘッド基板側の各端子部とこれに対応する配線基板側の各端子部とが正確に位置決めされた後に、両基板を重ね合せて加熱加圧することで接合を行う必要がある。
【0007】
一般に、このような基板同士の位置決めは、予め各基板の所定位置にそれぞれアライメントマークを形成しておくと共に、各端子部をアライメントマークに対する位置を正確に規定して形成しておき、基板同士の接合時に、各基板上のアライメントマークの位置座標をカメラを用いて検出し、両者のXY方向及び回転方向を位置合わせすることによって行っている。しかし、ヘッド基板側に形成されるアクチュエータ自体のずれや、基板同士を貼り付ける製造装置自体のアライメントずれ、アライメントマークの加工ばらつき等が原因となって、アライメントマークを用いた位置合わせだけでは、各端子部同士の位置ずれが生じ、両者を信頼性高く電気的接続することができない場合がある。
【0008】
しかも、各端子部は、基板間に挟まれる形となって直接目視確認することができないため、実際に基板同士を接合するまで位置ずれが発生しているかどうかが判らず、信頼性の高い電気的接続を行う上での障害となっていた。特に、基板間に回転方向のずれが発生すると、アクチュエータの変位部に配線基板の構成部品が干渉して性能劣化を起こすおそれがある。アクチュエータが高密度に配置される近年の高密度ヘッド構造では、基板間の位置ずれの許容度がより一層厳しくなってきており、基板間を高精度に位置決めでき、信頼性の高い電気的接続を容易に行える接合方法が要望されていた。
【0009】
従来、基板間の電気的接続を行う技術に関し、特許文献2には、電気的接続を行うバンプと電気的接続用途以外のバンプとを形成し、電気的接続を行うバンプの方が高くなるようにレベリングを行い、基板を位置決めして貼り合わせた際に先に電気的接続を行うバンプを接触させた後、加圧して各バンプの接続を行うことが記載されている。
【0010】
しかし、ここには基板間に挟まれた端子部同士の位置ずれを確認することについての記載はない。
【0011】
また、特許文献3には、一方の基板に位置決め用のスタッドバンプを設け、他方の基板に、該スタッドバンプの先端を受けるための凹状のガイドをフォトリソグラフィーによって形成し、両基板の接合時に、スタッドバンプの先端をガイドにわずかに入りこむようにすることで基板間の位置合わせをし、両基板の各端子部の電気的接続を行うようにすることが記載されている。
【0012】
この場合、ガイドは、同一基板上の端子部に対して高精度に位置決めされた位置に形成する必要があるが、ガイドはフォトリソグラフィーによって凹設されるのに対し、端子部は別途はんだ等によって突設されるため、両者は別工程となって、ガイドと端子部との高い位置精度を確保することが困難となり、ガイドの位置ずれに起因する基板間の位置ずれが生じる問題は依然として解決できない。
【0013】
また、基板間に挟まれた位置にあるスタッドバンプの先端のガイドへの入り込みによって位置決めするだけであるため、実際に適正に入り込みがなされたかどうかの確認を行うことが困難であり、結局、基板同士を接合した上で実際に各端子部に通電して駆動してみないと、位置ずれが発生しているかどうかが判らないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006−264322号公報
【特許文献2】特開2007−320117号公報
【特許文献3】特開平7−50316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明は、接合すべき基板間に挟まれた端子部同士を電気的接続する前に、該端子部同士の位置ずれ発生の有無を容易に判断できるようにし、基板間の位置決めを確実に行って端子部同士を信頼性高く電気的接続することのできる電子回路基板の接合方法を提供することを課題とする。
【0016】
また、本発明は、ヘッド基板と配線基板との間に挟まれた端子部同士を電気的接続する前に、該端子部同士の位置ずれ発生の有無を容易に判断できるようにし、ヘッド基板と配線基板との間の位置決めを確実に行って端子部同士を信頼性高く電気的接続することのできるインクジェットヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
【0017】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0019】
1.基板面に電子回路部品の第1の接続用端子部を有する第1の基板と、基板面に電子回路部品の第2の接続用端子部を有する第2の基板とを、前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とを対面させて位置決めを行った後、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合することにより前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部との電気的接続を行う電子回路基板の接合方法において、
前記第1の基板における前記第1の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に、第1の位置決め用端子部を設けると共に、
前記第2の基板における前記第2の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に、第2の位置決め用端子部を設け、
前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とが対面するように前記第1の基板と前記第2の基板とを位置合わせした後、前記第1の位置決め用端子部と前記第2の位置決め用端子部との間が導通したことを確認することにより、前記第1の基板と前記第2の基板との位置決めを行うことを特徴とする電子回路基板の接合方法。
2.前記第1の基板における前記第1の接続用端子部と前記第1の位置決め用端子部とを同一工程で形成すると共に、前記第2の基板における前記第2の接続用端子部と前記第2の位置決め用端子部とを同一工程で形成することを特徴とする前記1.記載の電子回路基板の接合方法。
3.前記第1の位置決め用端子部と前記第2の位置決め用端子部を、それぞれ少なくとも2箇所ずつ形成することを特徴とする前記1.又は2.記載の電子回路基板の接合方法。
4.前記第1の接続用端子部の接合前の前記第1の基板表面からの高さをH1、前記第2の接続用端子部の接合前の前記第2の基板表面からの高さをH2、前記第1の位置決め用端子部の接合前の前記第1の基板表面からの高さをh1、前記第2の位置決め用端子部の接合前の前記第2の基板表面からの高さをh2としたとき、(H1+H2)<(h1+h2)となるように各端子部を形成することを特徴とする前記1.、2.又は3.記載の電子回路基板の接合方法。
5.前記第1の位置決め用端子部及び前記第2の位置決め用端子部のうちの一方は、他方よりも硬度が高いことを特徴とする前記4.記載の電子回路基板の接合方法。
6.前記第1の位置決め用端子部及び前記第2の位置決め用端子部のうちの一方を金で形成し、他方を導電ペースト又ははんだで形成することを特徴とする前記5.記載の電子回路基板の接合方法。
7.前記金で形成した前記第1の位置決め用端子部又は前記第2の位置決め用端子部は、スタッドバンプであり、前記導電ペースト又ははんだで形成した前記第2の位置決め用端子部又は前記第1の位置決め用端子部は、球状又は半球状のバンプであることを特徴とする前記6.記載の電子回路基板の接合方法である。
8.圧力室内のインクをノズルから吐出させるための力を付与する複数のアクチュエータと、前記アクチュエータの上面にそれぞれ設けられた第1の接続用端子部とを有する第1の基板と、
前記第1の接続用端子部にそれぞれ電気的に接続されることにより、前記アクチュエータに給電するための第2の接続用端子部を一面に有する第2の基板とを備え、
前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とを対面させて前記第1の基板と前記第2の基板との位置決めを行った後、両基板を接合することにより前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部との電気的接続を行うインクジェットヘッドの製造方法において、
前記第1の基板における前記第1の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に、第1の位置決め用端子部を設けると共に、
前記第2の基板における前記第2の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に、第2の位置決め用端子部を設け、
前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とが対面するように前記第1の基板と前記第2の基板とを位置合わせした後、前記第1の位置決め用端子部と前記第2の位置決め用端子部との間が導通したことを確認することにより、前記第1の基板と前記第2の基板との位置決めを行うことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
9.前記第1の基板における前記第1の接続用端子部と前記第1の位置決め用端子部とを同一工程で形成すると共に、前記第2の基板における前記第2の接続用端子部と前記第2の位置決め用端子部とを同一工程で形成することを特徴とする前記8.記載のインクジェットヘッドの製造方法。
10.前記第1の位置決め用端子部と前記第2の位置決め用端子部を、それぞれ少なくとも2箇所ずつ形成することを特徴とする前記8.又は9.記載のインクジェットヘッドの製造方法。
11.前記第1の接続用端子部の接合前の前記第1の基板表面からの高さをH1、前記第2の接続用端子部の接合前の前記第2の基板表面からの高さをH2、前記第1の位置決め用端子部の接合前の前記第1の基板表面からの高さをh1、前記第2の位置決め用端子部の接合前の前記第2の基板表面からの高さをh2としたとき、(H1+H2)<(h1+h2)となるように各端子部を形成することを特徴とする前記8.、9.又は10.記載のインクジェットヘッドの製造方法。
12.前記第1の位置決め用端子部及び前記第2の位置決め用端子部のうちの一方は、他方よりも硬度が高いことを特徴とする前記11.記載のインクジェットヘッドの製造方法。
13.前記第1の位置決め用端子部及び前記第2の位置決め用端子部のうちの一方を金で形成し、他方を導電ペースト又ははんだで形成することを特徴とする前記12.記載のインクジェットヘッドの製造方法。
14.前記金で形成した前記第1の位置決め用端子部又は前記第2の位置決め用端子部は、スタッドバンプであり、前記導電ペースト又ははんだで形成した前記第2の位置決め用端子部又は前記第1の位置決め用端子部は、球状又は半球状のバンプであることを特徴とする前記13.記載のインクジェットヘッドの製造方法。
15.前記導電ペースト又ははんだで形成した前記第2の位置決め用端子部又は前記第1の位置決め用端子部の径を50μm以下とすることを特徴とする前記14.記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、接合すべき基板間に挟まれた端子部同士を電気的接続する前に、該端子部同士の位置ずれ発生の有無を容易に判断できるようになり、基板間の位置決めを確実に行って端子部同士を信頼性高く電気的接続することのできる電子回路基板の接合方法を提供することができる。
【0021】
また、本発明によれば、ヘッド基板と配線基板との間に挟まれた端子部同士を電気的接続する前に、該端子部同士の位置ずれ発生の有無を容易に判断できるようになり、ヘッド基板と配線基板との間の位置決めを確実に行って端子部同士を信頼性高く電気的接続することのできるインクジェットヘッドの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】インクジェットヘッドにおけるヘッド基板を構成するヘッド構成基板の製造工程の一例を示す図
【図2】インクジェットヘッドにおけるヘッド基板を構成するヘッド構成基板の製造工程の一例を示す図
【図3】作製されたヘッド構成基板の平面図
【図4】ヘッド構成基板の接続用端子部と位置決め用端子部の高さを説明する図
【図5】インクジェットヘッドにおける配線基板の製造工程の一例を示す図
【図6】インクジェットヘッドにおける配線基板の製造工程の一例を示す図
【図7】インクジェットヘッドにおける配線基板の製造工程の一例を示す図
【図8】作製された配線基板の底面図
【図9】配線基板の接続用端子部と位置決め用端子部の高さを説明する図
【図10】基板の位置合わせと接合を行う製造装置の概略構成図
【図11】基板接合作業の一例を示すフロー図
【図12】基板接合作業の一例を示すフロー図
【図13】ヘッド構成基板と配線基板とを接合する様子を説明する図
【図14】導通確認方法の一例を説明する図
【図15】導通確認方法の他の一例を説明する図
【図16】Si基板をエッチングして振動板を形成する様子を説明する図
【図17】下部層を接合してインクジェットヘッドを完成する様子を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、基板面に電子回路部品の第1の接続用端子部を有する第1の基板と、基板面に電子回路部品の第2の接続用端子部を有する第2の基板とを、第1の接続用端子部と第2の接続用端子部とを対面させて位置決めを行った後、第1の基板と第2の基板とを接合することにより第1の接続用端子部と第2の接続用端子部との電気的接続を行う。
【0024】
第1の基板における第1の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置には、第1の位置決め用端子部が設けられると共に、第2の基板における第2の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置には、第2の位置決め用端子部が設けられる。
【0025】
ここで、「面と同一方向の面」とは、同一基板上において同一の方向に面して配置されている面をいい、これらの面は基板上の同一平面であってもよいし、基板上で互いに高さ位置が異なる二つの面であってもよい。
【0026】
また、「所定位置」とは、同一基板上にある第1の接続用端子部又は第2の接続用端子部に対して位置決めされた位置にあることをいい、具体的には、第1の位置決め用端子部は第1の接続用端子部に対して位置が規定されると共に、第2の位置決め用端子部は第2の接続用端子部に対して位置が規定され、且つ、第1の接続用端子部と第2の接続用端子部とが適正に電気的接続されるように第1の基板と第2の基板とが位置合わせされたときに、第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部も、互いに接続し合う位置にあることをいう。
【0027】
第1の接続用端子部と第2の接続用端子部は、互いに対面させた際に、第1の基板と第2の基板との間を通る面に対して対称位置に配置されるが、これら第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部も、同じく上記の面に対して対称位置に配置される。従って、第1の基板と第2の基板との接合の際に、第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部とが接続し合っていれば、第1の接続用端子部と第2の接続用端子部は適正に電気的に接続することになる。
【0028】
そこで、本発明では、これら第1の基板と第2の基板とを重ね合せ、その基板間で第1の接続用端子部と第2の接続用端子部とを対面させた後に、第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部との間が導通したことを確認することにより、第1の基板と第2の基板との位置決めを行うようにしている。
【0029】
すなわち、第1の基板と第2の基板とを重ね合せて位置決めする際、第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部との間が導通していれば、基板間の第1の接続用端子部と第2の接続用端子部とは位置ずれなく適正に位置決めされていることを判断でき、これによって位置決め作業を終了する。また、第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部との間が導通していない場合は、基板間の第1の接続用端子部と第2の接続用端子部とは位置ずれしていると判断でき、基板間の位置を微調整して再度位置合わせを行うことで位置ずれの修正を行う。
【0030】
位置決め終了後は、両基板を互いに押し付けることにより、第1の接続用端子部と第2の接続用端子とを確実に接触させ、必要に応じて加熱を行うことによって電気的に接続する。
【0031】
これによって、接合すべき第1の基板と第2の基板との間に挟まれた接続用端子部同士を実際に電気的接続する前に、該接続用端子部同士の位置ずれ発生の有無を、第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部との導通の有無によって容易に判断できるようになり、基板間の位置決めを確実に行って接続用端子部同士を信頼性高く電気的接続することができるようになる。
【0032】
第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部との間の導通の有無は、両端子部にそれぞれ測定手段とつながる導通確認用の電極を電気的に接続し、これらに所定の電圧を印加してその通電の有無を測定することによって確認することができる。
【0033】
両基板の押し付け開始をオペレーターの手動によって操作する場合、ランプの点灯や音、メーターの指針等、オペレーターにとって知覚容易な適宜の確認手段によって導通を確認することで、オペレーターが押し付け開始のための操作を行うようにすることができる。
【0034】
また、両基板の押し付け開始を自動で行う場合、測定手段による導通有りをトリガーとして押し付け動作を開始することによって行うことができる。
【0035】
本発明は、第1の基板における第1の接続用端子部と第1の位置決め用端子部とを同一工程で形成し、第2の基板における第2の接続用端子部と第2の位置決め用端子部とを同一工程で形成することが好ましい。「同一工程で形成する」とは、第1の基板と第2の基板のそれぞれにおける各接続用端子部を形成する一連の作業内で各位置決め用端子部をそれぞれ形成することをいう。
【0036】
それぞれの位置決め用端子部の形成を接続用端子部の形成と同一工程で行うことによって、第1の接続用端子部に対して高精度に位置決めされた第1の位置決め用端子部及び第2の接続用端子部に対して高精度に位置決めされた第2の位置決め用端子部をそれぞれ形成することができる。
【0037】
また、本発明は、第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部を、それぞれ少なくとも2箇所ずつ形成することが好ましい。
【0038】
これによって、基板間の回転方向の位置ずれを検出することができるので、各接続用端子部の回転方向の位置ずれを容易に確認及び修正することができる。
【0039】
更に、本発明は、第1の接続用端子部の接合前の第1の基板表面からの高さをH1、第2の接続用端子部の接合前の第2の基板表面からの高さをH2、第1の位置決め用端子部の接合前の第1の基板表面からの高さをh1、第2の位置決め用端子部の接合前の第2の基板表面からの高さをh2としたとき、(H1+H2)<(h1+h2)となるように各端子部の高さを形成することが好ましい。
【0040】
これによって、第1の基板と第2の基板とを位置決めのために重ね合わせた際、接続用端子部同士が接触する前に位置決め用端子部同士を接触させて導通の有無を確認することができる。従って、位置決めのために基板の位置修正を行った時に各接続用端子部が不意に接触して破損してしまうおそれがなく、また、各接続用端子部が邪魔となることなく位置決め作業を容易に行うことができる。
【0041】
各接続用端子部及び各位置決め用端子部のそれぞれの高さは、(H1+H2)<(h1+h2)の関係を満たすものであれば、いずれを高く又は低く形成してもよい。
【0042】
この場合、第1の位置決め用端子部及び第2の位置決め用端子部のうちの一方は、他方よりも硬度が低いものとすることが好ましい。
【0043】
これによって、位置決め終了後に両基板を押し付けて加圧した際、互いに接続し合った位置決め用端子部が容易に塑性変形するので、容易に接続用端子部同士を電気的接続することができる。しかも、加圧時に位置決め用端子部が塑性変形することによって徐々に基板間の距離が縮まることによって接続用端子部同士の接触がなされるので、接続用端子部同士の接続時に必要以上の過大な負荷がかかることがなく、接続用端子部の破損等を回避できる。
【0044】
このように第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部に硬度差を持たせる場合、各端子部に使用される金属は、上記硬度差を有する適宜の金属を選択使用すればよいが、相対的に硬度が高い方の位置決め用端子部を金で形成し、相対的に硬度が低い方の位置決め用端子部を導電ペースト又ははんだで形成することが好ましい。
【0045】
また、金で形成した第1の位置決め用端子部又は第2の位置決め用端子部は、スタッドバンプであり、導電ペースト又ははんだで形成した第2の位置決め用端子部又は第1の位置決め用端子部は、球状又は半球状のバンプとすることが好ましい。
【0046】
スタッドバンプは、その先端が尖った鋭角状となるため、相対的に硬度が低い球状又は半球状のバンプに突き刺さり、このバンプを容易に塑性変形させることができる。従って、位置決め完了後の両基板同士の押し付け加圧をより円滑に行うことができる。
【0047】
本発明において、第1、第2の基板となる電子回路基板としては、例えば大規模集積回路(LSI)素子等を実装した基板や、このような基板に対して給電を行うための基板等があり、本発明は、これらの基板同士を、基板間に各端子部同士を対面させた状態で位置合わせした後、貼り合わせるようにして接合することによって、第1の接続用端子部と第2の接続用端子部とを電気的に接続する場合に好ましく適用することができる。
【0048】
本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、第1の基板を、圧力室内のインクをノズルから吐出させるための力を付与する複数のアクチュエータと、アクチュエータの上面にそれぞれ設けられた第1の接続用端子部とを有する基板とし、他方の第2の基板を、第1の接続用端子部にそれぞれ電気的に接続されることにより、アクチュエータに給電するための第2の接続用端子部を一面に有する基板とすることによって上記構成を適用することができる。
【0049】
これによって、両基板間に挟まれた端子部同士の位置ずれ発生の有無を、第1の位置決め用端子部と第2の位置決め用端子部との導通の有無によって容易に判断できるようになり、基板間の位置決めを確実に行って端子部同士を信頼性高く電気的接続することができるようになる。
【0050】
以下、本発明をインクジェットヘッドの製造に適用した場合の一例について、図面を用いて説明する。
【0051】
図1、図2は、インクジェットヘッドにおけるヘッド基板を構成するヘッド構成基板の製造工程の一例を示している。
【0052】
まず、ハンドリングが容易な厚さのSi基板101の一方の面の全面に、SiO2からなる薄膜102をCVD(Chemical Vapour Deposition)法によって製膜する(図1(a))。
【0053】
次いで、この薄膜102上に、レジスト103を一面にスピンコートして製膜し、これを露光・現像処理することによってパターニングする。このパターニングにより、後にインク供給用流路となる部位のレジスト103を除去して多数の除去部103aを形成し、この除去部103a内のみに薄膜102を露出させる(図1(b))。
【0054】
次いで、レジスト103の上面からRIE(Reactive Ion Etching)法によってSiO2を選択的にエッチングし、除去部103a内の薄膜102を除去する。更に、レジスト103をウェットエッチングによって剥離し、SiO2をマスクとしてSiをRIE法によって選択的にエッチングすることにより貫通孔104を形成する(図1(c))。
【0055】
その後、スパッタにより、薄膜102上にTi膜105を製膜し、更にそのTi膜105の上に、同様にスパッタにより、Ptからなる金属膜106を製膜する(図1(d))。Ti膜105は、SiO2上に直接積層しにくいPtからなる金属膜106のための下地層となる。
【0056】
次いで、この金属膜106にレジスト塗布及び露光・現像処理することによってパターニングを行い、後述するアクチュエータの下部電極となる共通電極107と、基板の長手方向の両端部に後述する位置決め用端子部の導通確認用電極108とを形成する(図2(a))。
【0057】
次いで、共通電極107の上面に、PZTからなる圧電薄膜をスパッタによって製膜し、パターニングすることにより、多数のアクチュエータ109をXY方向に二次元状に配列させて形成する(図2(b))。
【0058】
更に、多数のアクチュエータ109を作製後の上面にレジスト塗布、露光・現像処理することによってパターニングを行い、各アクチュエータ109の上面のみを露出させた後、Cu膜を製膜し、レジストを除去することによって、各アクチュエータ109の上面のみにCu膜からなる個別電極110を形成する(図2(c))。
【0059】
その後、図3に示すように、Si基板101をRIE法によってエッチングして除去加工する。これによって、加工し残された薄膜102によって振動板を形成する。SiO2からなる薄膜102はSi基板101よりもエッチング速度が遅いため、容易に薄膜102のみを残存させることができる。
【0060】
また、エッチングに代えて研磨装置を用いて、薄膜102のみを残存させるようにSi基板101を研磨加工してもよい。
【0061】
次いで、図4に示すように、振動板である薄膜102の下面に下部層30を接合する。下部層30は、Si基板からなるノズルプレート301上に感光性ドライフィルムからなる接着樹脂層302を積層して形成される。
【0062】
ノズルプレート301には、アクチュエータ109の数に対応し、且つ、該アクチュエータ109の下方に位置するようにノズル301aを開設しておく。
【0063】
接着樹脂層302は、ノズルプレート301を薄膜102に接合するための接着層となると共に、ノズルプレート301上に積層された後に、露光・現像処理によって、該ノズルプレート301上に、アクチュエータ108の数に対応し、且つ、該アクチュエータ109の下方に位置するように、多数の圧力室303を形成している。各ノズル301aは各圧力室303の底部に配置されて開口している。
【0064】
かかる下部層30は、薄膜102の下面に位置合わせした後(図4(a))、加熱加圧することによって接着樹脂層302によって接着する。これによって、接着樹脂層302と振動板である薄膜102とが圧力室303の壁面を構成する(図4(b))。これによってヘッド基板10が作製される。
【0065】
この後、金ワイヤボンディング装置を用いて、各アクチュエータ109の個別電極110の上面にスタッドバンプからなる接続用端子部111を上方に向けて1つずつ突出形成すると共に、各導通確認用電極108の上面にもスタッドバンプからなる位置決め用端子部112を上方に向けて1つずつ突出形成する(図4(c))。
【0066】
このヘッド基板10をアクチュエータ109が設けられた側から見た平面図を図5に示す。
【0067】
ヘッド基板10は、互いに直交するXY方向のうちのX方向に長い矩形状の基板であり、その中央領域に、所定形状にパターニングされた共通電極107と、その上面の多数のアクチュエータ及び該アクチュエータ上面の個別電極110を有し、この個別電極110上にそれぞれ接続用端子部111が設けられている。
【0068】
一方、位置決め用端子部112は、ヘッド基板10のX方向の両端部にそれぞれ形成された導通確認用電極108の上面に形成されている。この位置決め用端子部112は、接続用端子部111を形成する作業工程内で作製される。すなわち、ワイヤボンディング装置によって形成される端子部は、金属線を通したキャピラリーを端子部形成部位に次々に移動させながら形成していく。このときの移動の位置精度は高精度に行うことができるため、位置決め用端子部112の形成を、接続用端子部111の形成と同一の作業工程内で行うことにより、各接続用端子部111に対する位置を高精度に規定することができる。
【0069】
ここで、各位置決め用端子部112のヘッド基板10の表面(薄膜102の上面)からの高さh1は、図6に示すように、各接続用端子部111のヘッド基板10の表面(薄膜102の上面)からの高さH1よりも高くなる(H1<h1)ように形成する。
【0070】
なお、図5に示す符号113は、後述する配線基板との位置決めの際に利用されるアライメントマークである。このアライメントマーク113は、ヘッド基板10のX方向の両端部の上面において、各位置決め用端子部112の近傍位置にそれぞれエッチングによって予め形成されている。各アクチュエータ109や各接続用端子部111及び各位置決め用端子部112は、このアライメントマーク113の位置を基準として高精度に規定された位置にそれぞれ形成される。
【0071】
次に、配線基板の製造工程の一例について、図7〜図9を参照して説明する。
【0072】
まず、Si基板200を用意し、その一方の面の全面に、SiO2からなる絶縁膜201をCVD法によって製膜し、更にその絶縁膜201の上面に、Al膜からなる金属膜202をスパッタによって形成する(図7(a))。
【0073】
次いで、金属膜202上にレジスト塗布、露光・現像処理することによりパターニングを行い、ヘッド基板10の各アクチュエータ109と各位置決め用端子部112に対応する部位以外の金属膜202を露出させる。その後、RIE法によってエッチングを行い、露出した金属膜202を除去し、各個別電極110に対応する位置の配線電極203と、各位置決め用端子部112に対応する位置の導通確認用電極204とを形成する(図7(b))。
【0074】
次いで、Si基板200の他方の面の全面に、SiO2からなる絶縁膜205をCVD法によって製膜する(図7(c))。以降、Si基板200の上下を反転させて図示する。
【0075】
絶縁膜205の製膜の後、該絶縁膜205上にレジスト塗布、露光・現像処理によるパターニングを行い、Si基板200に配線電極203に連通する貫通孔とインク供給用流路用の貫通孔をそれぞれ形成すべき部位の絶縁膜205に対し、RIE法によってエッチングを行い、絶縁膜205を除去することで除去部205a、205bを形成する。更に、絶縁膜204上に形成したレジスト膜をウェットエッチングで除去し、絶縁膜204を露出させる(図7(d))。
【0076】
その後、除去部205a、205bが形成された面に対し、再度RIE法によってエッチングを行う。このとき、SiO2からなる絶縁膜205もエッチングされるとはいえ、Si基板200よりもエッチング速度が遅いため、絶縁膜205がマスクの役目をなすことで、除去部205a、205bに露出する部分のSi基板200が先に除去される。これによって、Si基板200の一方の面に形成された絶縁膜201に至る深さの凹部206a、206bを形成する(図8(a))。
【0077】
凹部206a、206bを形成した後、更にRIE法によってエッチングを行うことで、凹部206a、206bの底部に露出する絶縁膜201を除去する。これによって、凹部206a、206bはそれぞれSi基板200及び絶縁膜201を貫通する貫通孔207、208となる。貫通孔208の底部には配線電極203が臨んでいる(図8(b))。
【0078】
次いで、配線電極203とは反対面側からSiO2からなる絶縁膜209を再度CVD法によって製膜する。絶縁膜209は貫通孔207の内壁面、貫通孔208の内壁面と該貫通孔208の底部に臨む配線電極203上にもそれぞれ形成される(図8(c))。
【0079】
絶縁膜209の製膜後は、該絶縁膜209の表面からRIE法によりエッチングを行うことで、貫通孔208内に臨む配線電極203上に形成された部分の絶縁膜209を除去する(図9(a))。
【0080】
ここで、貫通孔208内は空間あたりの表面積がSi基板200表面に比べて大きくなっているので、Si基板200の方が製膜し易く、貫通孔208内のSiO2の膜厚はSi基板200に比べて薄くなるため、RIEによってSi基板200が露出するよりも早く、貫通孔208が開口する。このとき、異方性エッチングを行うことで、貫通孔208の側壁はエッチングされず、SiO2の絶縁膜209は保たれる。
【0081】
その後、絶縁膜209上に下地層となる不図示のTi膜をスパッタによって製膜し、更にそのTi膜の上にCu膜をスパッタにより製膜し、このCu膜をレジストを用いた露光・現像処理によってパターニングし、所定の配線パターンとなる部位のレジストを除去してCu膜を露出させる。そして、この露出したCu膜上にCuを電界めっきした後、レジストを除去し、Cu膜及びTi膜をエッチングして、絶縁膜209上にCuからなる所定パターンの配線210を形成する。この配線210は、貫通孔208を介して反対面の配線電極203と電気的に接続している(図9(b))。
【0082】
次いで、配線電極203の表面に、低融点はんだペーストを用いることによって、半球状のはんだバンプからなる接続用端子部211をスクリーン印刷によって形成すると共に、導通確認用電極204の表面に、同じく低融点はんだペーストを用いることによって、半球状のはんだバンプからなる位置決め用端子部212をスクリーン印刷によって形成する(図9(c))。これによって配線基板20が作製される。
【0083】
なお、位置決め用端子部212は、接続用端子部211を形成する同一の作業工程内で作製される。すなわち、これら両端子部211、212は、同時にスクリーン印刷されることによって形成されるため、両者間の位置精度を高精度に確保することができる。これによって、位置決め用端子部212の各接続用端子部211に対する位置を高精度に規定することができる。
【0084】
次いで、Si基板200における配線電極203の側に、感光性ドライフィルムからなる接着樹脂層213をラミネートし、マスクを用いて露光・現像処理によってパターニングを行う。このパターニングによって、貫通孔207に対応する部位と、配線電極203の周囲及びSi基板200の長手方向の両端部の接着樹脂層213を除去する(図9(d))。
【0085】
これによって、貫通孔207は、接着樹脂層213の部位も貫通し、また、配線電極203の周囲には、ヘッド基板10の各アクチュエータ109を収容するための収容室214がそれぞれ形成される。
【0086】
この配線基板20を各接続用端子部211が設けられた側から見た底面図を図10に示す。
【0087】
配線基板20の中央領域には、ヘッド基板10の個別電極112上の各接続用端子部111に1対1に対応する位置にそれぞれ配線電極203上の接続用端子部211が配置されている。
【0088】
一方、位置決め用端子部212は、配線基板20のX方向の両端部にそれぞれ配置されている。
【0089】
なお、ここでは、各接続用端子部211の配線基板20の表面(絶縁膜201の表面)からの高さH2は、図11に示すように、位置決め用端子部212の配線基板20の表面(絶縁膜201の表面)からの高さh2と同一(H2=h2)となるように形成されている。
【0090】
また、図10に示す符号215は、ヘッド基板10との位置決めの際に利用されるアライメントマークである。このアライメントマーク215は、配線基板20のX方向の両端部の表面において、各位置決め用端子部212の近傍にエッチングによって予め形成されている。各接続用端子部211及び各位置決め用端子部212は、このアライメントマーク215の位置を基準として高精度に規定された位置にそれぞれ形成される。このアライメントマーク215に対して規定される各位置決め用端子部212の位置は、ヘッド基板10の各接続用端子部111と、配線基板20の各接続用端子部211とが適正に電気的接続される場合に、配線基板20の各位置決め用端子部212が、ヘッド基板10の各位置決め用端子部112と対向し、互いに電気的接続される位置である。
【0091】
次に、このヘッド基板10と配線基板20とを位置合わせして接合する方法について説明する。
【0092】
図12は、基板の位置合わせと接合を行う製造装置40の概略構成図であり、この製造装置40は、基台401上に第1支持台402と第2支持台403とを備えている。
【0093】
第1支持台402は、ヘッド基板10を載置して支持するための台であり、基台401上に設けられたXY移動機構404上に設置され、このXY移動機構404の駆動によってXY方向に移動可能となっている。このXY移動機構404の移動量は、不図示のエンコーダによって、製造装置40内の不図示の制御部に送られ、位置座標の取得に利用される。
【0094】
第1支持台402の近傍には、この第1支持台402とXY移動機構404とを跨ぐようにガントリー405が架設されており、このガントリー405に、第1カメラ406が第1支持台402の表面にレンズを向けて配設されている。
【0095】
この第1カメラ406は、第1支持台402上に載置されたヘッド基板10に形成されているアライメントマーク113の位置情報を取得するものであり、ガントリー405に沿って第1支持台402の表面に対して平行に図示X方向に沿って移動可能である。
【0096】
なお、ガントリー405自身も図示Y方向に移動可能となっている。これら第1カメラ406及びガントリー405の移動量は、不図示のエンコーダによって、製造装置40内の不図示の制御部に送られ、位置座標の取得に利用される。
【0097】
また、第2支持台403は、配線基板20を載置して支持するための台であり、基台401上に設けられたXY移動機構407上に設置され、このXY移動機構407の駆動によってXY方向に移動可能となっている。このXY移動機構407の移動量は、不図示のエンコーダによって、製造装置40内の不図示の制御部に送られ、位置座標の取得に利用される。
【0098】
基台401上には、第1支持台402、第2支持台403及びXY移動機構404、407を跨ぐようにガントリー408が架設されており、このガントリー408に、第2支持台403上に載置された配線基板20を吸着保持するためのチャック装置409が配設されている。チャック装置409は、その先端のチャック部410が、基台401の上面に対する垂直方向で、且つ、XY方向に直交するZ方向に沿って昇降可能であり、下降することによって第2支持台403上に載置された配線基板20を吸着保持し、上昇することによって配線基板20を第2支持台403上から持ち上げ、ガントリー408に沿って図示X方向に沿って移動し、第1支持台402上のヘッド構成基板10の上方まで移動させる。また、チャック部410はZ方向を軸としてその回り(θ方向)に回転可能であり、これによって吸着保持した配線基板20をθ方向に回転移動させる。
【0099】
基台401上には、第1支持台402と第2支持台403との間に、第2カメラ411がレンズを上方に向けて配設されている。この第2カメラ411は、チャック装置409のチャック部410によって吸着保持された配線基板20が、チャック装置409のX方向の移動によって第1支持台402上まで移送される過程で該カメラ上方を通過した際、配線基板20に形成されているアライメントマーク215の位置情報を取得するものである。このチャック装置409のX方向の移動量及びチャック部410のθ方向の移動量は、不図示のエンコーダによって、製造装置40内の不図示の制御部に送られ、位置座標の取得に利用される。
【0100】
次に、この製造装置40を用いてヘッド基板10と配線基板20を位置合わせして接合する方法について、更に図13、図14を参照しつつ説明する。図13、図14は、基板接合作業の一例を示すフロー図である。
【0101】
まず、図12(a)に示すように、製造装置40の第1支持台402上に、ヘッド基板10を、その接続用端子部111及び位置決め用端子部112が上向きとなり、長手方向がX方向に沿うように載置すると共に(S1)、第2支持台403上に、配線基板20を、その接続用端子部211及び位置決め用端子部212が下向きとなり、長手方向がX方向に沿うように載置する(S2)。
【0102】
次いで、チャック装置409を起動させ、先端のチャック部410を下降させて第2支持台403上の配線基板20を吸着保持した後、チャック装置409ごとガントリー408に沿って第2カメラ411の上方までX方向に移動させる。第2カメラ411はレンズが上を向いているため、配線基板20の下面に設けられている各アライメントマーク215、215を確認し、それらの位置座標を取得する(S3)。このとき取得される各アライメントマーク215、215の各位置座標中のY座標のずれから、配線基板20のθ方向の角度が判る。
【0103】
次いで、第1カメラ406をガントリー405に沿ってX方向に移動させ、第1支持台402上のヘッド基板10の各アライメントマーク113、113を確認し、それらの位置座標を取得する(S4)。このとき取得される各アライメントマーク113、113の各位置座標中のY座標のずれから、ヘッド基板10のθ方向の角度が判る。
【0104】
次いで、配線基板20とヘッド基板10のそれぞれの位置座標から、両アライメントマーク113、215の位置を合致させるために必要な補正値を求め、その補正値に基づいて、XY移動機構404によって第1支持台402をXY方向に移動させてヘッド基板10のXY方向の位置を修正すると共に、チャック部410をθ方向に回転移動させて配線基板20の角度を修正する(S5)。
【0105】
この後、図12(b)に示すように、チャック装置409を第1支持台402上まで移動させ、ヘッド基板10の上方に配線基板20を配置させる。
【0106】
以上の位置合わせ作業によって両アライメントマーク113、215の位置が合致するようになり、これによってヘッド基板10と配線基板20とは、各接続用端子部111、211同士の位置が互いに一致する関係となり、チャック部410をそのまま下降させれば、各接続用端子部111、211は正常に電気的接続されるはずであるが、実際には、アクチュエータ109自体のずれ、アライメントマーク113、215の位置ずれや加工ばらつき、製造装置40の各移動機構のアライメントずれ等が原因となって、両基板間に微妙な位置ずれが生じている場合がある。
【0107】
そこで、次に、図14に示すように、位置決め用端子部112、212を利用したヘッド基板10と配線基板20との位置修正のための作業を行う。
【0108】
位置決め用端子部112、212は、それぞれ接続用端子部111、211の形成時に同一の作業工程内で形成されているため、各位置決め用端子部112、212と各接続用端子部111、211との位置関係は、アライメントマーク113、215と各接続用端子部111、211との位置関係よりも高精度に位置が規定されているため、この位置決め用端子部112、212の位置が一致したことを検出することによって、接続用端子部111、211同士の一致、すなわちヘッド基板10と配線基板20との位置決めを正確に行うことができる。
【0109】
まず、チャック部410を下降させることにより、第1支持台402の上方まで移動させた配線基板20を、両基板の位置決め用端子部112、212同士が接触する高さまで下降させる(S10)。
【0110】
ここで、ヘッド基板10における接続用端子部111の高さH1と位置決め用端子部112の高さh1は、H1<h1であり、配線基板20における接続用端子部211の高さH2と位置決め用端子部212の高さh2は、H2=h2であるから、(H1+H2)<(h1+h2)となる。従って、配線基板20の下降によって両基板の位置決め用端子部112、212同士が接触する高さまで下降した時点では、図15(a)に示すように、両基板の接続用端子部111、211同士は接触しない。この下降高さは予め判っているので、チャック装置409は、配線基板20をこの高さまで下降させたら、両基板の接続用端子部111、211同士が接触しないように下降を一旦停止させる。
【0111】
なお、(h1+h2)−(H1+H2)は、接続用端子部111、211同士が接触しない程度となる値とすればよいが、小さすぎると、位置決め用端子部112、212同士が当接した際の塑性変形によって接続用端子部111、211同士が不意に接触してしまうおそれがあり、大きすぎると、基板同士の接合の際に押し付け力を必要とするため、20μm〜30μmとすることが好ましい。
【0112】
次いで、位置決め用端子部112、212間に所定の電圧をかけて導通を確認する(S11)。
【0113】
導通を確認する具体的な方法は特に限定されないが、例えば図16に示すように、予め、ヘッド基板10の位置決め用端子部112と接続している導通確認用電極108と、配線基板20の位置決め用端子部212と接続している導通確認用電極204に、それぞれ導通確認用電圧を印加するためのリード配線114、216の一端を接続しておき、このリード配線114、216の他端を測定手段400と接続し、この測定手段400が所定電圧の印加及び導電確認を行うようにすることができる。測定手段400はオペレーターが手動で操作するものであってもよいし、予め製造装置40に搭載され、該製造装置40の制御部が制御することによって自動で行うようにしてもよい。導電確認後、不要となったリード配線114、216は、適宜の時期に切断除去すればよい。
【0114】
また、導通確認は、図17に示すように、ヘッド基板10を載置する第1支持台402の支持面402aに電極部402b、402bを形成すると共に、配線基板20を吸着保持するチャック部410の保持面410aに同様に電極部410b、410bを形成し、各導通確認用電極108、204をこれら電極部402b、410bに接触させることによって行うようにすることもできる。
【0115】
この場合、ヘッド基板10の導通確認用電極108の端部は、ヘッド基板10を支持面402a上に載置した際に、この電極部402b、402bと電気的に接触し得る位置に、例えば貫通孔を経由させて位置決め用端子部112を設けた面と反対面に引き出しておくと共に、配線基板20の導通確認用電極204の端部は、チャック部410に吸着保持された際に、この電極部410b、410bと電気的に接触し得る位置に、例えば貫通孔を経由させて位置決め用端子部212を設けた面と反対面に引き出しておけばよい。
【0116】
この図17に示す態様では、各位置決め用端子部112、212同士が接触する高さまで配線基板20を下降させた時点で、製造装置40内に組み込まれた測定手段によって自動的に導電確認を行うことができる。
【0117】
これらの方法によって導通確認を行った結果、2箇所ずつある位置決め用端子部112、212の2箇所とも導通有り(S12においてYES)であれば、ヘッド基板10と配線基板20との相互の位置は適正であると判断できる。すなわち、ヘッド基板10の接続用端子部111と配線基板20の接続用端子部211とが適正に電気的接続し得る位置関係にある。これによって位置決め作業が終了する。
【0118】
この位置決め作業が終了したら、チャック部410を下降させて配線基板20を更に下降させることにより、図15(b)に示すように、各アクチュエータ109を配線基板20の収容室214内に収容すると共に、両基板の接続用端子部111、211同士を接触させる。このとき、ヘッド基板10の位置決め用端子部112は金スタッドバンプであり、配線基板20の位置決め用端子部212は、この金スタッドバンプよりも硬度が低いはんだバンプであるため、配線基板20の更なる下降によって、位置決め用端子部112の先端が位置決め用端子部212に突き刺さり、更に該位置決め用端子部212が徐々に塑性変形することによって両基板間の距離を徐々に縮めていくので、配線基板20の下降による押し付けによって接続用端子部111、211同士が接触した際に、該接続用端子部111、211間に過大な負荷がかからず、これら接続用端子部111、211の破損等のおそれを回避できる。
【0119】
ここで、図16に示すように、スタッドバンプからなる位置決め用端子部112の先端を受ける配線基板20側の位置決め用端子部212の径dは、50μm以下となるように形成される。
【0120】
この径dは、導通が得られるための位置決め用端子部112の先端との位置ずれの許容範囲である。従って、50μmを超えて大径の位置決め用端子部212を形成すると、ヘッド基板10と配線基板20との間に、接続用端子部111、211間を適正に電気的接続し得ない程度の位置ずれがあっても、位置決め用端子部112、212間の導通が得られてしまうおそれがあると共に、各アクチュエータ109が配線基板20側の収容室214内に収まらず、接着樹脂層213の壁面に干渉してしまい、アクチュエータ109の動作を阻害してしまうおそれがある。この径dを50μm以下とすることにより、このような問題を回避することができる。
【0121】
このようにして接続用端子部111、211同士が接触するまで配線基板20を下降させた後は、所望の時間、圧力をかけて該これら接続用端子部111、211同士を接着させ、電気的接続を行う(S13)。
【0122】
このとき、所定温度の加熱を行うことによって、図15(b)に示すように、配線基板20の接着樹脂層213は接着層として機能してヘッド基板10と接着すると共に、接続用端子部111、211同士は溶融して確実な電気的接続を得ることができる。また、ヘッド基板10の貫通孔104と配線基板20の貫通孔207とは接着樹脂層213を介して連通し、両基板10、20に亘って貫通するインク供給用流路100を形成する。
【0123】
一方、導通確認を行った結果、2箇所のうちのいずれか一方又は両方とも導通無し(S12においてNO)であれば、ヘッド構成基板10と配線基板20との相互の位置ずれが生じていると判断できる。すなわち、ヘッド基板10の接続用端子部111と配線基板20の接続用端子部211とは適正に電気的接続し得る位置関係にはない。
【0124】
そこで、各位置決め用端子部112、212に電圧をかけた状態で、チャック部410をθ方向に所定角度回転させ、配線基板20の角度を微調整し(S14)、その後、再度導通確認を行う(S12)。
【0125】
1回の微調整作業におけるθ方向の回転角度は、予め決められた微小角度(例えば0.1°)ずつ行い、その都度、ステップS12において導通確認を行うことが好ましい。
【0126】
再度の導通確認で2箇所とも導通有りとなったら位置決め作業は終了し、次いで、ステップS13に進み、上述の通りに接続用端子部111、211同士を接着させて電気的接続を行う。
【0127】
なお、ここでは、チャック部410のθ方向の回転によって配線基板20のθ方向の角度のみを微調整しているが、必要に応じてチャック装置409のX方向の位置と第1支持台402のXY方向の位置のいずれか一方又は双方についても、予め決められた所定の移動量ずつ微調整していくようにしてもよいことはもちろんである。
【0128】
以上のようにしてヘッド基板10と配線基板20とを接合することによって、配線基板20の貫通孔207、208は、貫通孔104を介してヘッド基板10の圧力室303と連通し、これにより、該圧力室303内にインクを供給するインク供給用流路100となる(図15(b))。
【0129】
配線基板20の上面には不図示の共通インク室が設けられる。これによって共通インク室内のインクがインク供給用流路100を介して各圧力室303に供給されるインクジェットヘッドが完成する。
【0130】
以上説明した方法では、ヘッド基板10と配線基板20との位置合わせの際に、最初に、各基板にそれぞれ形成したアライメントマーク113、215の位置を確認し、これらの位置を基準として位置合わせした後、配線基板20を所定の高さまで下降させて位置決め用端子部112、212間の導通を確認するようにしたが、位置合わせの際に、直接、各位置決め用端子部112、212の位置を確認し、これら位置決め用端子部112、212の位置が一致するように位置合わせしてもよい。
【符号の説明】
【0131】
10:ヘッド基板(第1の基板)
100:インク供給用流路
101:Si基板
102:薄膜
103:レジスト
103a:除去部
104:貫通孔
105:Ti膜
106:金属膜
107:共通電極
108:導通確認用電極
109:アクチュエータ
110:個別電極
111:接続用端子部(第1の接続用端子部)
112:位置決め用端子部(第1の位置決め用端子部)
113:アライメントマーク
114:リード配線
20:配線基板(第2の基板)
200:Si基板
201:絶縁膜
202:金属膜
203:配線電極
204:導通確認用電極
205:絶縁膜
205a、205b:除去部
206a、206b:凹部
207、208:貫通孔
209:絶縁膜
210:配線
211:接続用端子部(第2の接続用端子部)
212:位置決め用端子部(第2の位置決め用端子部)
213:接着樹脂層
214:収容室
215:アライメントマーク
216:リード配線
30:下部層
301:ノズルプレート
301a:ノズル
302:接着樹脂層
303:圧力室
40:製造装置
400:測定手段
401:基台
402:第1支持台
402a:支持面
402b:電極部
403:第2支持台
404:XY移動機構
405:ガントリー
406:第1カメラ
407:XY移動機構
408:ガントリー
409:チャック装置
410:チャック部
410a:保持面
410b:電極部
411:第2カメラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板面に電子回路部品の第1の接続用端子部を有する第1の基板と、基板面に電子回路部品の第2の接続用端子部を有する第2の基板とを、前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とを対面させて位置決めを行った後、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合することにより前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部との電気的接続を行う電子回路基板の接合方法において、
前記第1の基板における前記第1の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に、第1の位置決め用端子部を設けると共に、
前記第2の基板における前記第2の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に、第2の位置決め用端子部を設け、
前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とが対面するように前記第1の基板と前記第2の基板とを位置合わせした後、前記第1の位置決め用端子部と前記第2の位置決め用端子部との間が導通したことを確認することにより、前記第1の基板と前記第2の基板との位置決めを行うことを特徴とする電子回路基板の接合方法。
【請求項2】
前記第1の基板における前記第1の接続用端子部と前記第1の位置決め用端子部とを同一工程で形成すると共に、前記第2の基板における前記第2の接続用端子部と前記第2の位置決め用端子部とを同一工程で形成することを特徴とする請求項1記載の電子回路基板の接合方法。
【請求項3】
前記第1の位置決め用端子部と前記第2の位置決め用端子部を、それぞれ少なくとも2箇所ずつ形成することを特徴とする請求項1又は2記載の電子回路基板の接合方法。
【請求項4】
前記第1の接続用端子部の接合前の前記第1の基板表面からの高さをH1、前記第2の接続用端子部の接合前の前記第2の基板表面からの高さをH2、前記第1の位置決め用端子部の接合前の前記第1の基板表面からの高さをh1、前記第2の位置決め用端子部の接合前の前記第2の基板表面からの高さをh2としたとき、(H1+H2)<(h1+h2)となるように各端子部を形成することを特徴とする請求項1、2又は3記載の電子回路基板の接合方法。
【請求項5】
前記第1の位置決め用端子部及び前記第2の位置決め用端子部のうちの一方は、他方よりも硬度が高いことを特徴とする請求項4記載の電子回路基板の接合方法。
【請求項6】
前記第1の位置決め用端子部及び前記第2の位置決め用端子部のうちの一方を金で形成し、他方を導電ペースト又ははんだで形成することを特徴とする請求項5記載の電子回路基板の接合方法。
【請求項7】
前記金で形成した前記第1の位置決め用端子部又は前記第2の位置決め用端子部は、スタッドバンプであり、前記導電ペースト又ははんだで形成した前記第2の位置決め用端子部又は前記第1の位置決め用端子部は、球状又は半球状のバンプであることを特徴とする請求項6記載の電子回路基板の接合方法。
【請求項8】
圧力室内のインクをノズルから吐出させるための力を付与する複数のアクチュエータと、前記アクチュエータの上面にそれぞれ設けられた第1の接続用端子部とを有する第1の基板と、
前記第1の接続用端子部にそれぞれ電気的に接続されることにより、前記アクチュエータに給電するための第2の接続用端子部を一面に有する第2の基板とを備え、
前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とを対面させて前記第1の基板と前記第2の基板との位置決めを行った後、両基板を接合することにより前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部との電気的接続を行うインクジェットヘッドの製造方法において、
前記第1の基板における前記第1の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に、第1の位置決め用端子部を設けると共に、
前記第2の基板における前記第2の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に、第2の位置決め用端子部を設け、
前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とが対面するように前記第1の基板と前記第2の基板とを位置合わせした後、前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とを対面させた後、前記第1の位置決め用端子部と前記第2の位置決め用端子部との間が導通したことを確認することにより、前記第1の基板と前記第2の基板との位置決めを行うことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記第1の基板における前記第1の接続用端子部と前記第1の位置決め用端子部とを同一工程で形成すると共に、前記第2の基板における前記第2の接続用端子部と前記第2の位置決め用端子部とを同一工程で形成することを特徴とする請求項8記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記第1の位置決め用端子部と前記第2の位置決め用端子部を、それぞれ少なくとも2箇所ずつ形成することを特徴とする請求項8又は9記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項11】
前記第1の接続用端子部の接合前の前記第1の基板表面からの高さをH1、前記第2の接続用端子部の接合前の前記第2の基板表面からの高さをH2、前記第1の位置決め用端子部の接合前の前記第1の基板表面からの高さをh1、前記第2の位置決め用端子部の接合前の前記第2の基板表面からの高さをh2としたとき、(H1+H2)<(h1+h2)となるように各端子部を形成することを特徴とする請求項8、9又は10記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項12】
前記第1の位置決め用端子部及び前記第2の位置決め用端子部のうちの一方は、他方よりも硬度が高いことを特徴とする請求項11記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項13】
前記第1の位置決め用端子部及び前記第2の位置決め用端子部のうちの一方を金で形成し、他方を導電ペースト又ははんだで形成することを特徴とする請求項12記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項14】
前記金で形成した前記第1の位置決め用端子部又は前記第2の位置決め用端子部は、スタッドバンプであり、前記導電ペースト又ははんだで形成した前記第2の位置決め用端子部又は前記第1の位置決め用端子部は、球状又は半球状のバンプであることを特徴とする請求項13記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項15】
前記導電ペースト又ははんだで形成した前記第2の位置決め用端子部又は前記第1の位置決め用端子部の径を50μm以下とすることを特徴とする請求項14記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項1】
基板面に電子回路部品の第1の接続用端子部を有する第1の基板と、基板面に電子回路部品の第2の接続用端子部を有する第2の基板とを、前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とを対面させて位置決めを行った後、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合することにより前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部との電気的接続を行う電子回路基板の接合方法において、
前記第1の基板における前記第1の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に、第1の位置決め用端子部を設けると共に、
前記第2の基板における前記第2の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に、第2の位置決め用端子部を設け、
前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とが対面するように前記第1の基板と前記第2の基板とを位置合わせした後、前記第1の位置決め用端子部と前記第2の位置決め用端子部との間が導通したことを確認することにより、前記第1の基板と前記第2の基板との位置決めを行うことを特徴とする電子回路基板の接合方法。
【請求項2】
前記第1の基板における前記第1の接続用端子部と前記第1の位置決め用端子部とを同一工程で形成すると共に、前記第2の基板における前記第2の接続用端子部と前記第2の位置決め用端子部とを同一工程で形成することを特徴とする請求項1記載の電子回路基板の接合方法。
【請求項3】
前記第1の位置決め用端子部と前記第2の位置決め用端子部を、それぞれ少なくとも2箇所ずつ形成することを特徴とする請求項1又は2記載の電子回路基板の接合方法。
【請求項4】
前記第1の接続用端子部の接合前の前記第1の基板表面からの高さをH1、前記第2の接続用端子部の接合前の前記第2の基板表面からの高さをH2、前記第1の位置決め用端子部の接合前の前記第1の基板表面からの高さをh1、前記第2の位置決め用端子部の接合前の前記第2の基板表面からの高さをh2としたとき、(H1+H2)<(h1+h2)となるように各端子部を形成することを特徴とする請求項1、2又は3記載の電子回路基板の接合方法。
【請求項5】
前記第1の位置決め用端子部及び前記第2の位置決め用端子部のうちの一方は、他方よりも硬度が高いことを特徴とする請求項4記載の電子回路基板の接合方法。
【請求項6】
前記第1の位置決め用端子部及び前記第2の位置決め用端子部のうちの一方を金で形成し、他方を導電ペースト又ははんだで形成することを特徴とする請求項5記載の電子回路基板の接合方法。
【請求項7】
前記金で形成した前記第1の位置決め用端子部又は前記第2の位置決め用端子部は、スタッドバンプであり、前記導電ペースト又ははんだで形成した前記第2の位置決め用端子部又は前記第1の位置決め用端子部は、球状又は半球状のバンプであることを特徴とする請求項6記載の電子回路基板の接合方法。
【請求項8】
圧力室内のインクをノズルから吐出させるための力を付与する複数のアクチュエータと、前記アクチュエータの上面にそれぞれ設けられた第1の接続用端子部とを有する第1の基板と、
前記第1の接続用端子部にそれぞれ電気的に接続されることにより、前記アクチュエータに給電するための第2の接続用端子部を一面に有する第2の基板とを備え、
前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とを対面させて前記第1の基板と前記第2の基板との位置決めを行った後、両基板を接合することにより前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部との電気的接続を行うインクジェットヘッドの製造方法において、
前記第1の基板における前記第1の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に、第1の位置決め用端子部を設けると共に、
前記第2の基板における前記第2の接続用端子部が設けられた面と同一方向の面の所定位置に、第2の位置決め用端子部を設け、
前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とが対面するように前記第1の基板と前記第2の基板とを位置合わせした後、前記第1の接続用端子部と前記第2の接続用端子部とを対面させた後、前記第1の位置決め用端子部と前記第2の位置決め用端子部との間が導通したことを確認することにより、前記第1の基板と前記第2の基板との位置決めを行うことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記第1の基板における前記第1の接続用端子部と前記第1の位置決め用端子部とを同一工程で形成すると共に、前記第2の基板における前記第2の接続用端子部と前記第2の位置決め用端子部とを同一工程で形成することを特徴とする請求項8記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記第1の位置決め用端子部と前記第2の位置決め用端子部を、それぞれ少なくとも2箇所ずつ形成することを特徴とする請求項8又は9記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項11】
前記第1の接続用端子部の接合前の前記第1の基板表面からの高さをH1、前記第2の接続用端子部の接合前の前記第2の基板表面からの高さをH2、前記第1の位置決め用端子部の接合前の前記第1の基板表面からの高さをh1、前記第2の位置決め用端子部の接合前の前記第2の基板表面からの高さをh2としたとき、(H1+H2)<(h1+h2)となるように各端子部を形成することを特徴とする請求項8、9又は10記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項12】
前記第1の位置決め用端子部及び前記第2の位置決め用端子部のうちの一方は、他方よりも硬度が高いことを特徴とする請求項11記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項13】
前記第1の位置決め用端子部及び前記第2の位置決め用端子部のうちの一方を金で形成し、他方を導電ペースト又ははんだで形成することを特徴とする請求項12記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項14】
前記金で形成した前記第1の位置決め用端子部又は前記第2の位置決め用端子部は、スタッドバンプであり、前記導電ペースト又ははんだで形成した前記第2の位置決め用端子部又は前記第1の位置決め用端子部は、球状又は半球状のバンプであることを特徴とする請求項13記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項15】
前記導電ペースト又ははんだで形成した前記第2の位置決め用端子部又は前記第1の位置決め用端子部の径を50μm以下とすることを特徴とする請求項14記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−35193(P2013−35193A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172399(P2011−172399)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
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