説明

電子機器、及び、補強部材

【課題】補強部材の厚さが比較的薄い場合であっても、内部空間に収容された電子部品が破損する可能性を十分に低減することが可能な電子機器を提供すること。
【解決手段】電子機器100は、内部空間SPが形成された筐体101と、内部空間SPに収容された電子部品102と、内部空間SPに収容された補強部材103と、を備える。補強部材103は、所定の第1の基準方向D1に略直交するように配置された平板状の基部103aと、基部103aから第1の基準方向D1に略平行な方向に沿って伸びる少なくとも1つの脚部103bと、を有する。基部103aは、第1の基準方向D1において筐体101と電子部品102との間に配置され、基部103aの、表面の少なくとも一部を含む部分は、他の部分のヤング率よりも高いヤング率を有する高ヤング率層103cである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が内部空間に収容された電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品が内部空間に収容された電子機器が知られている。この種の電子機器の一つとして、特許文献1に記載の電子機器は、内部空間が形成された筐体と、内部空間に収容された電子部品と、内部空間に収容された補強部材と、を備える。
【0003】
補強部材は、筐体の厚み方向に略直交するように配置された平板状の基部と、基部から当該厚み方向に略平行な方向に沿って伸びるとともに、筐体に対して移動不能に固定された一対の脚部と、を有する。これによれば、筐体に外力が加えられた際に、電子部品が破損する可能性を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−151132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電子機器は、ユーザによって携帯される場合がある。従って、ユーザによる携帯を容易にするため、電子機器の筐体をより一層薄くすることが要求される。筐体を薄くするためには、補強部材も薄くすることが好適であると考えられる。しかしながら、補強部材をより一層薄く形成した場合、補強部材の強度が低下してしまう。
【0006】
一方、補強部材のヤング率を高くすれば、補強部材の厚さがより薄い場合であっても、補強部材の強度を比較的高く維持することができる。しかしながら、ヤング率が比較的高い材料を加工することは困難である。
【0007】
即ち、上記電子機器においては、補強部材の厚さが比較的薄い場合、筐体に外力が加えられた際に、内部空間に収容された電子部品が破損する可能性が比較的高いという問題があった。
【0008】
このため、本発明の目的は、上述した課題である「補強部材の厚さが比較的薄い場合、筐体に外力が加えられた際に、内部空間に収容された電子部品が破損する可能性が比較的高いこと」を解決することが可能な電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため本発明の一形態である電子機器は、
内部空間が形成された筐体と、
上記内部空間に収容された電子部品と、
上記内部空間に収容された補強部材と、
を備え、
上記補強部材は、
所定の第1の基準方向に略直交するように配置された平板状の基部と、
上記基部から上記第1の基準方向に略平行な方向に沿って伸びる少なくとも1つの脚部と、
を有し、
上記基部は、上記第1の基準方向において上記筐体と上記電子部品との間に配置され、
上記基部の、表面の少なくとも一部を含む部分は、他の部分のヤング率よりも高いヤング率を有する高ヤング率層である。
【0010】
また、本発明の他の形態である補強部材は、電子機器が備える筐体に形成された内部空間に電子部品とともに収容される補強部材である。
【0011】
更に、この補強部材は、
所定の第1の基準方向に略直交するように配置された平板状の基部と、
上記基部から上記第1の基準方向に略平行な方向に沿って伸びる少なくとも1つの脚部と、
を有し、
上記基部は、上記第1の基準方向において上記筐体と上記電子部品との間に配置され、
上記基部の、表面の少なくとも一部を含む部分は、他の部分のヤング率よりも高いヤング率を有する高ヤング率層である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上のように構成されることにより、補強部材の厚さが比較的薄い場合であっても、内部空間に収容された電子部品が破損する可能性を十分に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子機器の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る電子機器の分解斜視図である。
【図3】図1のIII−III線により電子機器を切断した断面図である。
【図4】図3の補強部材の基部を拡大した拡大断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る電子機器に外力が加えられた際の電子機器の断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る電子機器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る、電子機器、及び、補強部材、の各実施形態について図1〜図6を参照しながら説明する。
【0015】
<第1実施形態>
(構成)
図1乃至図4に示したように、第1実施形態に係る電子機器10は、携帯電話端末である。図1は、電子機器10の斜視図である。図2は、電子機器10の分解斜視図である。図3は、図1のIII−III線により電子機器10を切断した断面図である。図4は、図3の、補強部材14の基部14aを拡大した図である。
【0016】
なお、電子機器10は、スマートフォン、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Data Assistance、Personal Digital Assistant)、カーナビゲーション端末、タブレット端末、パーソナル・コンピュータ、又は、ゲーム端末等であってもよい。
【0017】
図1に示したように、電子機器10は、正面視において長方形状を有する、平板状の筐体を有する。
なお、電子機器10は、2つの筐体を備えていてもよい。この場合、電子機器10は、本発明が、両方の筐体に適用されるように構成されていてもよく、一方の筐体のみに適用されるように構成されていてもよい。例えば、電子機器10は、折り畳み式、又は、スライド式の電子機器であってもよい。
【0018】
電子機器10の筐体は、図1乃至図3に示したように、フロントパネル11と、フロントケース12と、リアケース13と、からなる。即ち、フロントパネル11、フロントケース12、及び、リアケース13は、電子機器10の筐体を構成している。
【0019】
フロントパネル11は、電子機器10の筐体の正面を構成する。フロントケース12は、電子機器10の筐体の側面(側壁面)のうちの、正面側の部分を構成する。リアケース13は、電子機器10の筐体の側面のうちの、背面側の部分、及び、電子機器10の筐体の背面を構成する。
【0020】
フロントパネル11は、フロントケース12に固定されている。フロントケース12とリアケース13とは、互いに固定されている。
【0021】
フロントパネル11は、情報を出力する出力装置(例えば、ディスプレイ、スピーカ、及び、振動モジュール等)と、ユーザにより情報が入力される入力装置(例えば、キースイッチ、タッチパネル、及び、ポインティングデバイス等)と、を有する。フロントパネル11は、後述する電子部品15a,15bと電気的に接続されている。
【0022】
フロントケース12及びリアケース13は、電子機器10の内部を保護するとともに、電子機器10の意匠を構成する。例えば、フロントケース12及びリアケース13の表面(外壁面)には、塗装、印刷、刻印、箔の転写、又は、研磨等が施される。
【0023】
フロントケース12及びリアケース13のそれぞれは、ポリカーボネート樹脂、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene copolymer)樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ナイロン樹脂、これらの混合品(例えば、エンジニアリングプラスチック)、又は、軽金属合金(例えば、アルミニウム合金、及び、マグネシウム合金等)からなる。ここで、エンジニアリングプラスチックは、ガラスフィラー、又は、カーボンフィラー等が添加されていてもよい。
【0024】
電子機器10の筐体には、高さ、幅、及び、奥行きを有する直方体状の内部空間SPが形成されている。
【0025】
更に、電子機器10は、補強部材14と、電子部品15a,15bと、を備える。
電子部品15a,15bは、内部空間SPに収容されている。本例では、電子部品15a,15bは、リアケース13に固定されている。なお、電子部品15a,15bは、フロントケース12に固定されていてもよい。
【0026】
電子部品15a,15bは、入力装置を介して入力された情報、又は、図示しないアンテナを介して受信した情報に基づいて、出力装置を介した情報の出力、又は、アンテナを介した情報の送信等を行う。
【0027】
例えば、電子部品15a,15bは、カメラモジュール、LSI(Large Scale Integration)チップ、微細配線基板、LCD(Liquid Crystal Display)モジュール、又は、静電センサ等である。
【0028】
補強部材14は、一定の厚さを有する板状体である。補強部材14は、平板状の基材を変形させることにより形成されている。例えば、補強部材14は、プレス加工、曲げ加工、又は、絞り加工等の加工により形成される。
【0029】
本例では、基材は、クロムを含有するステンレスからなる。例えば、基材は、オーステナイト系ステンレス、マルテンサイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、又は、SPCC(Steel Plate Cold Commercial)からなる。
【0030】
補強部材14は、内部空間SPに収容されている。本例では、補強部材14は、フロントケース12に固定されている。なお、補強部材14は、リアケース13に固定されていてもよい。
【0031】
例えば、フロントパネル11、フロントケース12、リアケース13、補強部材14、及び、電子部品15a,15bの各部材間の固定は、ネジ止め、接着剤又は粘着剤による接着、熱溶着、熱圧着、又は、嵌合等による固定である。また、各部材間の固定は、インサート成型、又は、アウトサート成型を行うことによって2つの部材を一体に形成することにより、実現されていてもよい。
【0032】
補強部材14は、第1の基準方向、第2の基準方向、及び、第3の基準方向のそれぞれにおいて、内部空間SPと同じ長さを有する。第1の基準方向は、高さ方向D1である。第2の基準方向は、幅方向D2である。第3の基準方向は、奥行き方向D3である。
【0033】
補強部材14は、基部14aと、脚部14bと、を有する。基部14aは、第1の基準方向D1に直交するように配置された平板状の部材である。脚部14bは、第2の基準方向D2における基部14aの両端のそれぞれから、第1の基準方向D1に平行な方向に沿って伸びる一対の部材である。
【0034】
なお、脚部14bは、基部14aの一端のみから伸びる部材であってもよい。また、脚部14bは、第2の基準方向D2における基部14aの両端のそれぞれから伸びる一対の部材と、第3の基準方向D3における基部14aの一端から伸びる部材と、からなっていてもよい。
【0035】
基部14aは、図3に示したように、第1の基準方向D1において、フロントパネル11と電子部品15a,15bとの間に配置される。本例では、基部14aは、基部14aの、第1の基準方向D1におけるフロントパネル11側の表面が、フロントパネル11(即ち、内部空間SPを形成する壁面)と接する。
【0036】
また、脚部14bは、図3に示したように、第2の基準方向D2において、フロントケース12及びリアケース13と電子部品15a,15bとの間に配置される。本例では、脚部14bは、脚部14bの、第2の基準方向D2におけるフロントケース12及びリアケース13側の表面が、フロントケース12及びリアケース13(即ち、内部空間SPを形成する壁面)と接する。
【0037】
また、脚部14bの、第1の基準方向D1における基部14aと反対側の端部は、リアケース13の第1の基準方向D1方向における壁面(即ち、筐体の壁面のうちの、内部空間SPを形成する壁面)と当接する。
【0038】
このように、補強部材14は、内部空間SPを形成する壁面と接するように構成されている。従って、電子機器10の筐体に外力が加えられた際に、電子機器10の筐体が変形する量を小さくすることができる。
【0039】
基部14aの、表面の一部を含む部分は、基部14aの他の部分のヤング率よりも高いヤング率を有する高ヤング率層である。
【0040】
具体的には、高ヤング率層14cは、第1の基準方向D1にて電子機器10を見た場合において、電子部品15a,15bを覆うように配置される。更に、高ヤング率層14cは、図2に示したように、第3の基準方向D3において、基部14aの一端から他端までの範囲(即ち、第3の基準方向D3における全体)に亘って形成されている。即ち、高ヤング率層14cは、帯状に形成されている。
【0041】
なお、高ヤング率層14cは、第3の基準方向D3において、基部14aの一端から他端までの範囲の一部のみに形成されていてもよい。また、基部14aの表面の全部に、高ヤング率層が形成されていてもよい。
【0042】
また、高ヤング率層14cは、基部14aの電子部品15a,15b側の表面の近傍、及び、基部14aのフロントパネル11側の表面の近傍、の両方に形成されている。なお、高ヤング率層14cは、基部14aの電子部品15a,15b側の表面の近傍、及び、基部14aのフロントパネル11側の表面の近傍、のいずれか一方のみに形成されていてもよい。
【0043】
また、本例では、高ヤング率層14cは、基部14aのみに形成されていたが、基部14aに加えて、脚部14bにも形成されていてもよい。
【0044】
本例では、高ヤング率層14cは、基材を加工することにより、基部14a及び脚部14bが形成された後に、基部14aに対して表面処理を行うことにより形成される。これによれば、基材を容易に加工することができるので、高ヤング率層14cが形成された補強部材14を容易に製造することができる。なお、高ヤング率層14cは、基部14a及び脚部14bが形成される前に、表面処理を行うことにより形成されていてもよい。
【0045】
ここで、表面処理は、特定のガスを含む雰囲気に基材を暴露した状態、又は、特定の液体に基材を浸漬した状態において、基材を、加熱又は冷却する処理である。
【0046】
具体的には、高ヤング率層14cは、基材に対して窒化処理を行うことにより形成される。本例では、窒化処理として、低温窒化処理が用いられる。即ち、本例では、高ヤング率層14cは、窒化クロムを主成分とする材料からなる。
【0047】
なお、高ヤング率層14cは、窒化クロム以外の窒化化合物、又は、炭化化合物等からなっていてもよい。また、高ヤング率層14cは、窒化処理以外の熱処理(例えば、炭化処理、浸炭焼入れ、又は、高周波焼入れ等)によって形成されていてもよい。
【0048】
なお、本例では、基部14aのうちの、高ヤング率層14cを形成しない部分を、メッキ、樹脂コーティング、又は、テープ等の被覆材により被覆した後に、基部14aに対して、上記表面処理を行うことにより、高ヤング率層14cを形成する。更に、高ヤング率層14cの形成後、被覆材を除去することにより、高ヤング率層14cが形成された補強部材14を製造する。
【0049】
(作動)
次に、図5に示したように、電子機器10に外力が加えられた際の、電子機器10の作動について説明する。図5は、電子機器10に外力が加えられた際の、図1のIII−III線により電子機器10を切断した断面図である。
【0050】
電子機器10に外力が加えられると、相対的に剛性(強度)が低い、フロントパネル11、フロントケース12、及び、リアケース13は、相対的に剛性が高い補強部材14の変形に追従して、変形する。
【0051】
ここで、図5に示したように、第1の基準方向D1において、フロントパネル11からリアケース13へ向かう方向へ外力Fが電子機器10に加えられた場合を想定する。この場合、基部14aのうちの高ヤング率層14cが形成されている部分の、第1の基準方向D1にて変形する量は、基部14aのうちの他の部分よりも小さい。
【0052】
従って、補強部材14が電子部品15a,15bに接触することを回避することができる。また、補強部材14が電子部品15a,15bに接触する場合であっても、補強部材14が電子部品15a,15bを押圧する力を低減することができる。この結果、内部空間SPに収容された電子部品15a,15bが破損することを回避することができる。
【0053】
また、上記構成によれば、補強部材14の厚さを変更することなく、補強部材14の強度(例えば、曲げ剛性)を高めることができる。更に、セラミック、ガラス、又は、カーボン等の、金属よりもヤング率が高い材料により補強部材を構成する場合と比較して、補強部材14が脆性破壊する可能性を低減することができる。
【0054】
その結果、比較的短い時間内に、比較的大きな力が電子機器10に加えられた場合であっても、補強部材14の、永久変形、破断、降伏、又は、破壊が発生する可能性を低減することができる。従って、内部空間SPに収容された電子部品15a,15bが破損することを回避することができる。
【0055】
なお、補強部材14の厚さが、0.1〜0.4mmであり、高ヤング率層14cの厚さが補強部材14の厚さの5%〜20%である場合、上述した効果がより一層顕著に現れる。
【0056】
以上、説明したように、本発明の第1実施形態に係る電子機器10によれば、補強部材14の厚さが比較的薄い場合であっても、電子機器10の筐体に外力が加えられた際に、補強部材14が変形する量を小さくすることができる。従って、内部空間SPに収容された電子部品15a,15bが破損することを回避することができる。
【0057】
更に、上記構成によれば、比較的低いヤング率を有する材料からなる基材を変形させることによって、補強部材を形成することができるので、補強部材14を容易に製造することができる。
【0058】
加えて、本発明の第1実施形態に係る電子機器10は、基部14a及び脚部14bが形成された後に、表面処理を行うことにより高ヤング率層14cが形成される。
これによれば、高ヤング率層14cが形成された補強部材14を容易に製造することができる。
【0059】
更に、本発明の第1実施形態に係る電子機器10において、補強部材14は、第2の基準方向D2における基部14aの両端のそれぞれから脚部14bが伸びるように構成される。
これによれば、平板状の部材(基材)を屈曲させることにより、補強部材14を容易に製造することができる。
【0060】
加えて、本発明の第1実施形態に係る電子機器10において、基部14aの筐体側の表面は、当該筐体と接するように構成される。
これによれば、筐体に外力が加えられた際に、筐体のうちの、基部14aと接する部分が変形する量を小さくすることができる。
【0061】
更に、本発明の第1実施形態に係る電子機器10において、高ヤング率層14cは、第1の基準方向D1にて電子機器10を見た場合において、電子部品15a,15bを覆うように配置される。
これによれば、筐体に外力が加えられた際に、内部空間SPに収容された電子部品15a,15bが破損することを、より一層確実に回避することができる。
【0062】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る電子機器について図6を参照しながら説明する。図6は、電子機器100の断面図である。
【0063】
第2実施形態に係る電子機器100は、
内部空間SPが形成された筐体101と、
上記内部空間SPに収容された電子部品102と、
上記内部空間SPに収容された補強部材103と、
を備える。
【0064】
上記補強部材103は、
所定の第1の基準方向D1に略直交するように配置された平板状の基部103aと、
上記基部103aから上記第1の基準方向D1に略平行な方向に沿って伸びる少なくとも1つの脚部103bと、
を有する。
【0065】
上記基部103aは、上記第1の基準方向D1において上記筐体101と上記電子部品102との間に配置され、
上記基部103aの、表面の少なくとも一部を含む部分は、他の部分のヤング率よりも高いヤング率を有する高ヤング率層103cである。
【0066】
これによれば、補強部材103の厚さが比較的薄い場合であっても、筐体101に外力が加えられた際に、補強部材103が変形する量を小さくすることができる。従って、内部空間SPに収容された電子部品102が破損することを回避することができる。
【0067】
更に、上記構成によれば、比較的低いヤング率を有する材料からなる基材を変形させることによって、補強部材103を形成することができるので、補強部材103を容易に製造することができる。
【0068】
以上、上記実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成及び詳細に、本願発明の範囲内において当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0069】
また、上記実施形態の他の変形例として、上述した実施形態及び変形例の任意の組み合わせが採用されてもよい。
【0070】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載され得るが、以下には限られない。
【0071】
(付記1)
内部空間が形成された筐体と、
前記内部空間に収容された電子部品と、
前記内部空間に収容された補強部材と、
を備え、
前記補強部材は、
所定の第1の基準方向に略直交するように配置された平板状の基部と、
前記基部から前記第1の基準方向に略平行な方向に沿って伸びる少なくとも1つの脚部と、
を有し、
前記基部は、前記第1の基準方向において前記筐体と前記電子部品との間に配置され、
前記基部の、表面の少なくとも一部を含む部分は、他の部分のヤング率よりも高いヤング率を有する高ヤング率層である電子機器。
【0072】
これによれば、補強部材の厚さが比較的薄い場合であっても、筐体に外力が加えられた際に、補強部材が変形する量を小さくすることができる。従って、内部空間に収容された電子部品が破損することを回避することができる。
【0073】
更に、上記構成によれば、比較的低いヤング率を有する材料からなる基材を変形させることによって、補強部材を形成することができるので、補強部材を容易に製造することができる。
【0074】
(付記2)
付記1に記載の電子機器であって、
前記基部及び前記脚部が形成された後に、表面処理を行うことにより前記高ヤング率層が形成された電子機器。
【0075】
これによれば、高ヤング率層が形成された補強部材を容易に製造することができる。
【0076】
(付記3)
付記1又は付記2に記載の電子機器であって、
前記脚部の、前記基部と反対側の端部は、前記筐体の壁面のうちの、前記内部空間を形成する壁面と当接するように構成された電子機器。
【0077】
(付記4)
付記1乃至付記3のいずれかに記載の電子機器であって、
前記補強部材は、所定の第2の基準方向における前記基部の両端のそれぞれから前記脚部が伸びるように構成された電子機器。
【0078】
これによれば、平板状の部材を屈曲させることにより、補強部材を容易に製造することができる。
【0079】
(付記5)
付記4に記載の電子機器であって、
前記内部空間は、高さ、幅、及び、奥行きを有する直方体状であり、
前記第1の基準方向は、高さ方向であり、
前記第2の基準方向は、幅方向である電子機器。
【0080】
(付記6)
付記1乃至付記5のいずれかに記載の電子機器であって、
前記基部の前記筐体側の表面は、当該筐体と接するように構成された電子機器。
【0081】
これによれば、筐体に外力が加えられた際に、筐体のうちの、基部と接する部分が変形する量を小さくすることができる。
【0082】
(付記7)
付記1乃至付記6のいずれかに記載の電子機器であって、
前記高ヤング率層は、前記第1の基準方向にて前記電子機器を見た場合において、前記電子部品を覆うように配置された電子機器。
【0083】
これによれば、筐体に外力が加えられた際に、内部空間に収容された電子部品が破損することを、より一層確実に回避することができる。
【0084】
(付記8)
付記1乃至付記7のいずれかに記載の電子機器であって、
前記高ヤング率層は、窒化クロムを主成分とする材料からなる電子機器。
【0085】
(付記9)
付記8に記載の電子機器であって、
前記高ヤング率層は、クロムを含有するステンレスに対して窒化処理を行うことにより形成される電子機器。
【0086】
(付記10)
電子機器が備える筐体に形成された内部空間に電子部品とともに収容される補強部材であって、
所定の第1の基準方向に略直交するように配置された平板状の基部と、
前記基部から前記第1の基準方向に略平行な方向に沿って伸びる少なくとも1つの脚部と、
を有し、
前記基部は、前記第1の基準方向において前記筐体と前記電子部品との間に配置され、
前記基部の、表面の少なくとも一部を含む部分は、他の部分のヤング率よりも高いヤング率を有する高ヤング率層である補強部材。
【0087】
(付記11)
付記10に記載の補強部材であって、
前記基部及び前記脚部が形成された後に、表面処理を行うことにより前記高ヤング率層が形成された補強部材。
【0088】
(付記12)
付記10又は付記11に記載の補強部材であって、
前記脚部の、前記基部と反対側の端部は、前記筐体の壁面のうちの、前記内部空間を形成する壁面と当接するように構成された補強部材。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、電子部品が内部空間に収容された電子機器等に適用可能である。
【符号の説明】
【0090】
10 電子機器
11 フロントパネル
12 フロントケース
13 リアケース
14 補強部材
14a 基部
14b 脚部
14c 高ヤング率層
15a,15b 電子部品
SP 内部空間
100 電子機器
101 筐体
102 電子部品
103 補強部材
103a 基部
103b 脚部
103c 高ヤング率層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間が形成された筐体と、
前記内部空間に収容された電子部品と、
前記内部空間に収容された補強部材と、
を備え、
前記補強部材は、
所定の第1の基準方向に略直交するように配置された平板状の基部と、
前記基部から前記第1の基準方向に略平行な方向に沿って伸びる少なくとも1つの脚部と、
を有し、
前記基部は、前記第1の基準方向において前記筐体と前記電子部品との間に配置され、
前記基部の、表面の少なくとも一部を含む部分は、他の部分のヤング率よりも高いヤング率を有する高ヤング率層である電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記基部及び前記脚部が形成された後に、表面処理を行うことにより前記高ヤング率層が形成された電子機器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電子機器であって、
前記脚部の、前記基部と反対側の端部は、前記筐体の壁面のうちの、前記内部空間を形成する壁面と当接するように構成された電子機器。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子機器であって、
前記補強部材は、所定の第2の基準方向における前記基部の両端のそれぞれから前記脚部が伸びるように構成された電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器であって、
前記内部空間は、高さ、幅、及び、奥行きを有する直方体状であり、
前記第1の基準方向は、高さ方向であり、
前記第2の基準方向は、幅方向である電子機器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電子機器であって、
前記基部の前記筐体側の表面は、当該筐体と接するように構成された電子機器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電子機器であって、
前記高ヤング率層は、前記第1の基準方向にて前記電子機器を見た場合において、前記電子部品を覆うように配置された電子機器。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の電子機器であって、
前記高ヤング率層は、窒化クロムを主成分とする材料からなる電子機器。
【請求項9】
請求項8に記載の電子機器であって、
前記高ヤング率層は、クロムを含有するステンレスに対して窒化処理を行うことにより形成される電子機器。
【請求項10】
電子機器が備える筐体に形成された内部空間に電子部品とともに収容される補強部材であって、
所定の第1の基準方向に略直交するように配置された平板状の基部と、
前記基部から前記第1の基準方向に略平行な方向に沿って伸びる少なくとも1つの脚部と、
を有し、
前記基部は、前記第1の基準方向において前記筐体と前記電子部品との間に配置され、
前記基部の、表面の少なくとも一部を含む部分は、他の部分のヤング率よりも高いヤング率を有する高ヤング率層である補強部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−74043(P2013−74043A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211087(P2011−211087)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】