説明

電子機器のカバー開閉検出構造

【課題】構成簡易にして安価に形成し得ると共に保守性等を向上させ得る電子機器のカバー開閉検出構造を提供する。
【解決手段】電子部品接続用の端子を有する機器本体と、該機器本体に開閉可能に取り付けられ少なくとも端子を覆うカバーとを備えた電子機器のカバー開閉検出構造であって、カバーの端子と対応する部分に接触子を取り付け、カバーを閉じた際に接触子が端子に電気的に接触してカバーの装着状態が検出されることを特徴とする。前記接触子は、バネ性を有する導電性の金属材により一対の接触部とこれらを連結する固定部とを有し、固定部がカバーの内面に設けた係止部に係止されることによりカバーに取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビームセンサ等の電子機器において機器本体に着脱可能に取り付けられるカバーの開閉検出構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、例えば防犯機器として使用されるビームセンサは、赤外線を照射する投光器と、投光器から照射された赤外線を受光する受光器を備えており、投光器と受光器は、投光素子や受光素子が実装された基板や光学系ユニットを有する機器本体と、この機器本体の前面を覆うカバーで構成されている。そして、このようなビームセンサの場合、カバーが機器本体に対して着脱可能(開閉可能)に取り付けられると共に、カバーの開閉状態が検出されるようになっている。従来、このカバーの開閉検出構造としては、例えば特許文献1に示すように、マイクロスイッチ等の検出スイッチのオン・オフによって行われているのが一般的である。
【特許文献1】特開平8−2064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようなカバーの開閉検出構造にあっては、検出スイッチを用いることによりカバーの開閉状態を比較的高精度に検出することが可能になるものの、検出スイッチ自体が高価となり部材コストがアップすると共に、検出スイッチ内部の電気接点がスパーク等により溶着して短絡したままの状態となる場合があり、このような場合に、状態の外部からの判別が困難で不具合発生を見落とす虞がある等、保守性の面で劣ることになる。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、構成簡易にして安価に形成し得ると共に保守性等を向上させ得る電子機器のカバー開閉検出構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、電子部品接続用の端子を有する機器本体と、該機器本体に開閉可能に取り付けられ少なくとも前記端子を覆うカバーとを備えた電子機器のカバー開閉検出構造であって、前記カバーの端子と対応する部分に接触子を取り付け、カバーを閉じた際に接触子が端子に電気的に接触してカバーの装着状態が検出されることを特徴とする。
【0006】
そして、前記接触子は、請求項2に記載の発明のように、バネ性を有する導電性の金属材により一対の接触部とこれらを連結する固定部とを有し、前記固定部がカバーの内面に設けた係止部に係止されることによりカバーに取り付けられることが好ましい。また、前記端子は、請求項3に記載の発明のように、電子部品接続用の配線が接続される端子台の端子もしくは電子部品が実装されたプリント基板上に設けられた端子であることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、機器本体に対して開閉可能なカバーの端子と対応する部分に接触子を取り付け、該カバーを閉じた際に接触子が端子に電気的に接触してカバーの装着状態が検出されるため、接触子の使用により構成簡易にして安価なカバー開閉検出構造が得られると共に、接触子による接触不良等を一目で把握することができて保守性等を向上させることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、接触子が一対の接触部とこれらを連結する固定部とを有し、固定部がカバー内面の係止部に係止されてカバーに取り付けられるため、接触子のバネ性により接触状態を安定させて検出機能の信頼性を高めることができると共に、接触子自体のコストダウンを図りカバー開閉検出構造を一層安価に形成することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、端子が電子部品接続用の配線が接続される端子台の端子もしくは電子部品が実装されたプリント基板上に設けられた端子であるため、機器本体内の各種端子形態に容易に対応できて、汎用性に優れたカバー開閉検出構造を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図7は、本発明に係わるカバー開閉検出構造を採用したビームセンサの一実施形態を示し、図1がその一部を破断した斜視図、図2が機器本体のベースの斜視図、図3がカバーの斜視図、図4が接触子取付部分の拡大斜視図、図5が接触子の平面図及び正面図、図6がその接触状態を示す断面図、図7が接触子の係止状態を示す断面図である。
【0011】
図1に示すように、電子機器としての赤外線式のビームセンサ1は、機器本体2と、該機器本体2の前面側を覆うカバー3を備えている。前記機器本体2は、図2に示すようなベース4を有し、このベース4上には、例えば投光素子(もしくは受光素子)や電子部品が実装されたプリント基板が配置されると共に、レンズ等からなる光学系ユニット(いずれも図示せず)が配置されている。
【0012】
また、ベース4の例えば右端部には、複数の端子を有する端子台5が配置され、この端子台5の各端子には前記プリント基板のパターンに接続された配線(図示せず)の一端が接続されると共に、端子台5の所定の連続する2個の端子5a、5bには、端子ネジ6が設けられると共にプリント基板上に形成された検出回路7(図6参照)が接続され、この端子5a、5bに後述するように接触子8が電気的に接続されるようになっている。
【0013】
前記カバー3は、図3に示すように、樹脂成型によって略舟形状に形成され、その周壁内面で前記機器本体2の端子台5の端子5a、5bに対応する部分には接触子取付部9が一体形成されている。この接触子取付部9は、図4に示すように、カバー3に一体形成された外形形状が円形の一対の突起9aと、この突起9a間に一体形成された係止突起9bとで形成され、係止突起9bの一方の先端下部には鍵状の係止部9cが形成されている。
【0014】
また、前記接触子8は、図4及び図5に示すように、例えばリン青銅等からなるバネ性と導電性を有する金属線を屈曲させることにより、リング状の一対の接触部8aと、この接触部8aを連結すると共に前記カバー3の接触子取付部9に取り付けられる固定部8bとを有している。前記固定部8bは、一対のコイル状の嵌合部8b1とこの嵌合部8b1を連結する連結部8b2とで形成され、前記接触部8aは、固定部8bの嵌合部8b1にそれぞれ延設状態で設けられると共に垂直方向のリング形状に形成されている。なお、接触子8の接触部8a間の寸法は、前記ベース4の端子台5の端子5a、5b間の寸法と同一に設定されると共に、接触子8の接触部8aのカバー3内面に対する突出方向や突出寸法は、カバー3を機器本体2に取り付けた際に、一対の接触部8aが端子5a、5bにそれぞれ所定圧で接触(当接)するように設定されている。
【0015】
そして、図3に示すように、カバー3の長手方向の一方の端部(上端部)には係止凹部10が設けられると共に、他方の端部(下端部)には固定用の孔11が形成されており、このカバー3の係止凹部10を機器本体2のベース4の係止爪(図示せず)に係止させ、固定用の孔11を介し図示しない固定ネジをベース4に設けた固定部12(図2参照)にねじ込むことにより、カバー3が機器本体2に取り付けられるようになっている。また、このカバー3の取付状態において、カバー3に取り付けた前記接触子8が、機器本体2の端子台5の端子5a、5bに接触するようになっている。
【0016】
すなわち、カバー3の接触子取付部9に取り付けられた接触子8は、図3及び図4に示すように、その一対の接触部8aがカバー3の内側方向に水平かつ並行に突出した状態となっており、カバー3が機器本体2のベース4に対して被せられることにより、図6に示すように、一対の接触部8aが端子台5の一対の端子5a、5bにその上面側から接触する。この時、接触子8の接触部8aは、端子5a、5bの端子ネジ6の頭部にそのバネ性や形状により所定圧で接触して一対の端子5a、5bが接触子8を介して短絡、すなわち電気的に接続され、この接続が端子に接続された検出回路7で検出されることになる。
【0017】
なお、接触子8のカバー3への取り付けは、接触子8の嵌合部8b1をカバー3の接触子取付部9の突起9aにそれぞれ嵌合させ、図7に示すように、接触子8の連結部8b2を接触子取付部9の係止突起9bの係止部9cに係止させることにより行われ、連結部8b2の係止部9cへの係止により、接触子8の接触子取付部9からの脱落が防止されるようになっている。また、例えば接触子8は、連結部8b2を変形させて係止部9cへの係止状態を解除することにより、接触子取付部9から取り外してその交換作業や接触部8cの位置調整等が行えるようになっている。
【0018】
つまり、機器本体2のベース4に配置した端子台5に検出回路7が接続された端子5a、5bを設けると共に、カバー3の内面に接触子8を取り付けることにより、カバー3を機器本体2に取り付けてカバー3を閉じた際には接触子8が端子5a、5bに自動的に接触し、また、カバー3を機器本体2から取り外してカバーを開いた際には接触子8が端子5a、5bから自動的に離れ、この接触子8の端子5a、5bへの接離によってカバー5の開閉状態が検出回路7で検出されることになる。
【0019】
このように、上記実施形態のカバー3の開閉検出構造にあっては、機器本体2に開閉可能に設けられるカバー3の内面で端子5a、5bと対応する部分に接触子8が取り付けられ、この接触子8がカバー3を開閉した際に端子5a、5bに電気的に接触したり離れて検出回路7でカバー3の開閉状態が検出されるため、従来のような接点を有する高価な検出スイッチを使用する必要がなくなる。また、金属線を屈曲させることにより接触子8に一対の接触部8aと嵌合部8b1と連結部8b2からなる固定部8bが一体的に形成されているため、接触子8自体のコストを低減させることができて、構成簡易で安価な開閉検出構造を得ることができる。
【0020】
また、カバー3の内面に接触子8が露出状態で配置されているため、接触子8の形状不良等の不具合を一目で把握することができ、従来の検出スイッチのように接触不良を見落とすこともなく、ビームセンサ1の保守や点検作業を容易かつ確実に行うことができる。また、接触子8に一対の嵌合部8b1と連結部8b2を設け、嵌合部8b1をカバー3の接触子取付部9の突起9aに嵌合させると共に連結部8b2を係止突起9bの係止部9cに係止させて取り付けるため、接触子8の接触子取付部9への取付作業を容易に行うことができると共に、連結部8b2を変形させて係止部9cとの係止状態を解除することにより、接触子8をカバー3の接触子取付部9から取り外すことができて、接触子8の交換や調整作業を容易に行うことができる。
【0021】
さらに、バネ性を有する接触子8が一対のリング状の接触部8aと固定部8bを有し、固定部8bの連結部8b2がカバー3内面の係止部9cに係止されてカバー3に取り付けられるため、接触子8のバネ性や接触部8a形状により端子ネジ6の頭部への接触状態を安定させることができると共に、前述したように接触子8の突起9aや係止部9cへの係止により接触子8自体の取付状態を安定化させることができて、検出回路7による検出機能の信頼性を高めることができる。
【0022】
また、接触子8が接触する端子5a、5bとしてベース4に配置された端子台5の所定の端子が使用されるため、検出用の別途端子が不要となり、構成の一層の簡略化が図れると共に、接触子8の形状を所定に設定することにより、端子台5の端子に限らず、後述する各種形態の端子にも使用することができて、汎用性に優れたカバー3の開閉検出構造を得ることができる。
【0023】
なお、上記実施形態においては、接触子8の接触部8aを垂直方向に屈曲したリング形状に形成し、端子ネジ6の頭部に所定面積の略点接触状態もしくは略線接触状態で接触可能としたが、本発明はこれに限定されず、例えば図8及び図9に示すように、接触部8aを水平方向に屈曲させたリング形状に形成して、リング状の接触部8aを端子ネジ6に略リング状の線接触状態で接触可能に構成することもできる。
【0024】
また、上記実施形態においては、機器本体2のベース4に設けた基板とは別体の端子台5の端子5a、5bに接触子8を接触させる構成としたが、本発明に係わる端子としては、例えば基板に形成されているパターンを使用したり、基板上に半田付けされた端子を使用することもできるし、端子台5の端子を使用することなく専用に設けた端子を使用することも勿論可能である。また、端子台5の端子5a、5bの形状も、端子ネジ6を有さない構成とすることもできるし、接触子8も金属線の屈曲に限らず、金属の薄板(帯板)等の屈曲により形成することも可能である。
【0025】
さらに、上記実施形態における、接触子8の形状、カバー3の接触子取付部9の形状、接触子8の接触子取付部9への取付構造等は一例であって、例えば接触子8を嵌合や係止ではなく、カバー3に熱溶着で固定したり接着剤やネジを使用して固定することもできるし、また、カバー構造としてカバー3を機器本体2に対して着脱不能で開閉可能な構成を採用する等、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、ビームセンサ等の電子機器への利用に限らず、例えば熱線センサ等の他の防犯機器からなる電子機器等、開閉可能なカバーを有してカバーの開閉が検出される全ての電子機器にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係わるカバー開閉検出構造を採用したビームセンサの一実施形態を示す一部破断した斜視図
【図2】同その機器本体のベースの斜視図
【図3】同カバーの斜視図
【図4】同接触子取付部分の拡大斜視図
【図5】同接触子の一例を示す平面図及び正面図
【図6】同その接触状態を示す断面図
【図7】同接触子の係止状態を示す断面図
【図8】同接触子の変形例を示す平面図及び正面図
【図9】同その接触状態を示す断面図
【符号の説明】
【0028】
1・・・ビームセンサ、2・・・機器本体、3・・・カバー、4・・・ベース、5・・・端子台、5a、5b・・・端子、6・・・端子ネジ、7・・・検出回路、8・・・接触子、8a・・・接触部、8b・・・固定部、8b1・・・嵌合部、8b2・・・連結部、9・・・接触子取付部、9a・・・突起、9b・・・係止突起、9c・・・係止部、10・・・係止凹部、11・・・孔、12・・・固定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品接続用の端子を有する機器本体と、該機器本体に開閉可能に取り付けられ少なくとも前記端子を覆うカバーとを備えた電子機器のカバー開閉検出構造であって、
前記カバーの端子と対応する部分に接触子を取り付け、カバーを閉じた際に接触子が端子に電気的に接触してカバーの装着状態が検出されることを特徴とする電子機器のカバー開閉検出構造。
【請求項2】
前記接触子は、バネ性を有する導電性の金属材により一対の接触部とこれらを連結する固定部とを有し、前記固定部がカバーの内面に設けた係止部に係止されることによりカバーに取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の電子機器のカバー開閉検出構造。
【請求項3】
前記端子は、電子部品接続用の配線が接続される端子台の端子もしくは電子部品が実装されたプリント基板上に設けられた端子であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器のカバー開閉検出構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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