説明

電子機器の端子台構造

【課題】端子ネジを浮かせた状態でも落下しないようにして現地取付け時に接続線の接続を容易にし、絶縁カバー収容も容易にした端子構造を提供する。
【解決手段】基台10に端子台12が設けられ、端子台12は立設した壁12a〜12cで形成される空間14に端子部16が形成される。端子部16は端子ネジ18を脱落しない状態で保持する座金20、座金20を縦方向に誘導するため壁12a〜12cの側壁に設けられた溝22から構成される。
基台11の上部には絶縁カバー収容部24が設けられ絶縁カバー26が基台11に設けた図示しない溝に摺動自在に収容されるように形成されている。工場出荷時は端子ネジ18を浮かせた状態でかつ絶縁カバー26を基台11に収容した状態で出荷する。端子ネジは浮かせてあるので接続線接続は容易に行え、接続線の接続後は絶縁カバー26を引き出すことによって端子ネジ18を保護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に電子機器を設けた端子台構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電源装置に外部から電源を供給したり、電源装置で発生した電源を外部に出力する場合、電源線を介して電源が入出力される。この場合、電源線は流れる電流が大きいので太い線を使用することから、ネジ止めして使用されることが多い。
【0003】
この場合、端子ネジに指が触れたり導電部品が触れたりすることがないように端子上部を板状の絶縁カバーで覆う構造が採用されており、例えば特開2000−113918号公報のように絶縁カバーを上から嵌め込む構造や、特開平4−48765号公報のように絶縁カバーを回動自在に取付けたものがある。
【特許文献1】特開2000−113918号公報
【特許文献2】特開平04−113918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような前者のものは絶縁カバーが端子台と別体になっているため紛失しやすいが、後者ものは絶縁カバーが回動自在になっているので絶縁カバーの紛失は起こらない。しかしながら両者とも絶縁カバーをかける時はネジを締めた状態にする必要があるため、この状態では外部の電線を接続するときにネジをゆるめる必要があり、取付の作業性が悪いという問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、端子ネジを浮かせた状態のままでも端子ネジ及び絶縁カバーが紛失することなく、また絶縁カバーの取り扱いも容易となるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
基台に立設した壁の間に端子ネジによって接続線を固定する複数個の端子を設け、端子上部を覆うカバーを設けた電子機器の端子台構造を対象とする。
【0007】
このような端子台構造において端子ネジを取付ける座金は端子ネジを脱落しない状態で保持すると共に下方に折り曲げられた舌部の外側に切り起こし部を有し、壁には座金を下方に移動させたとき切り起こし部が通過する溝を備え、座金が下方に移動したときネジ及び座金の位置まで引き出すことによって端子を絶縁保護するための絶縁カバーとを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば端子ネジを脱落しない状態で保持するようにした、絶縁カバーをスライド式にしたので、工場出荷時は端子ネジが落下することなく、また絶縁カバーを基台内に収容するようにしたので、梱包が容易になり、取付け完了後は絶縁カバーを引き出せばよいので、端子の保護が容易であるという効果がが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は端子台の全体構成を示す斜視図であり、基台10の両側に端子部16が設けられており、下端部は内部回路をフレームグランドに接続するため金属製底板が設けられ、底板には止めネジ11が設けられている。
【0010】
図2は工場出荷時における端子台の端子部を示す斜視図であり、基台10に端子台12が設けられ、端子台12は立設した壁12a〜12cで形成される空間に端子部16が形成される。端子部16は端子ネジ18を脱落しない状態で保持する座金20、座金20を縦方向に誘導するため壁12a〜12cの側壁に設けられた溝22から構成される。
【0011】
基台11の上部には絶縁カバー収容部24が設けられ絶縁カバー26が基台11に設けた図示しない溝に摺動自在に収容されるように形成されている。
【0012】
図3は端子部16を拡大した状態で示した平面図であり、座金20に端子ネジ18が挿入され、絶縁カバー26が絶縁カバー収容部24に収容されている状態を示している。座金20は両側端部に図面裏方向に向けて折り曲げられた舌部20aを有している。座金20は図4にその詳細を示しており、両側端部に下方向に折り曲げられた舌部20aを有し、図面手前の舌部20aは手前方向に切り起こされた切り起こし20bを有し、図面奥の舌部20aは図示していないが図面裏方向に向けて切り起こされた同じ形の切り起こしを有している。座金20の両側端のうち、舌部20aの設けられた位置と反対側には座金20のがたつきを押さえるための突起20cが設けられている。
【0013】
座金20の平面部中央には端子ネジ18が挿入される穴20dが穿設されており、その穴20dの上部内径は下部内径よりも小さく形成され、例えば端子ネジ18が4ミリの場合、穴20dの上部内径は3.6ミリ、下部内径は4.5ミリに設定されている。更に端子ネジ18は首部直下の部分にはネジが設けられておらず、穴20dに端子ネジ18を螺号させると端子ネジ18は座金20の穴20cの上部に螺合しながら挿入される。端子ネジ18は首部に接する部分はネジが設けられておらず、そのネジの設けられていない部分まで挿入されると端子ネジ18は、自在に回転するようになっている。
【0014】
図5は図3のA−A断面図であり、座金20に端子ネジ18が回転自在に挿入されており、その座金20の舌部20aが壁12aに設けられた溝22に沿って収容されており、舌部20aに設けられた穴20eから図面裏方向に切り起こされた図示しない切り起こしが溝22の壁を押圧することで座金20が固定されている。28は図右側の内部空間に設けられた図示しない電子回路との接続を行うための電極であり、その電極28の下方にはナット30が設けられ、端子ネジ18を下方に押圧すると座金20が下方に移動することで端子ネジ18がナット30の位置に達し、両者が螺合することで座金20の締め付けが行われる。電子回路は例えば電源ノイズを吸収するノイズフィルタであり、図1の止めネジ11を介してフレームグランドに流れることでノイズが吸収されるようになっている。
【0015】
図6は設置状態を示す斜視図であり、端子ネジ18が下方に移動し、図示しない電線を座金20によって挟み込んで接続する。電線の接続が完了すると端子部16を保護するため絶縁カバー26を手前に引き出して端子ネジ18及び座金20に上部から接触できないように保護する。絶縁カバー26は両側端部に溝26aが設けられ、絶縁カバー26が絶縁カバー収容部に収容されているとき、筐体側の図示しない突起と係合して手前に飛び出さないように構成されている。また絶縁カバー26を手前に引き出したとき、図示していないが溝26aより奥にも溝が設けられており、その溝が絶縁カバー26が収容されていたとき溝26aと係合していた突起に係合して固定されるようになっている。
【0016】
このように、出荷時は端子ネジ18を浮かせておき、絶縁カバー26は基台10に収容しておくことで梱包作業に特別な配慮を払う必要がないので、梱包の作業性が向上する。また、絶縁カバーは基台10に収容されているので、紛失することもない。端子部16に接続線が接続された後に絶縁カバー26を引き出して端子部16を保護することによって短絡等の事故を未然に防ぐことができる。
【0017】
図1では基台10の底部に固定用ネジ11が設けられた金属製の底板が設けられており、その底板は端子台内部に設けられた電子回路に接続され、電子回路をフレームグランドに電気的に接続して、接地電位を確保するようにしているが、底板に代えて接地電位を確保するための端子だけでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】端子台の全体構成を示す斜視図
【図2】端子台の詳細を示す斜視図
【図3】端子台のを上部から見た平面図
【図4】座金の細部を示す斜視図
【図5】図3のA−A断面図
【図6】絶縁カバーを閉じたときの斜視図
【符号の説明】
【0019】
10:基台
11:止めネジ
12:端子台
12a〜12c:壁
14:空間
16:端子部
18:端子ネジ
20:座金
20a:舌部
20b:切り起こし
20c:突起
20d、20e:穴
22、26a:溝
24:絶縁カバー収容部
26:絶縁カバー
28:電極
29:内部空間
30:ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に立設した壁の間に端子ネジによって接続線を固定する複数個の端子を設け、該端子上部を覆うカバーを設けた電子機器の端子台構造に於いて、
端子ネジを脱落しない状態で保持すると共に下方に折り曲げられた舌部の外側に切り起こし部を設けた座金と、
前記壁に設けられ前記座金を下方に移動させたとき前記切り起こし部が通過する溝と、
前記端子に接続線を接続するため前記座金を下方に移動させたとき前記端子の金属部を保護する位置までスライドさせ端子を絶縁保護するための絶縁カバーとを有することを特徴とする電子機器の端子台構造。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器の端子台構造に於いて、
前記端子ネジは首部直下の部分にネジ山を設けないことを特徴とする電子機器の端子台構造。
【請求項3】
請求項1記載の電子機器の端子台構造に於いて、座金の舌部は座金の一方の端面及び他方の端面に設けられていることを特徴とする電子機器の端子台構造。
【請求項4】
請求項1記載の端子台構造に於いて、前記絶縁カバーは外側に引き出したとき側端部の一部と筐体側の一部が係合して固定されることを特徴とする電子機器の端子台構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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