説明

電子機器

【課題】ファイル名が長い場合でも、ファイル名が全てスクロール表示された後に速やかに表示装置を消灯することができる電子機器を提供する。
【解決手段】表示装置7と、ファイル名情報が記録された記録媒体12からファイル名情報を読み取る読取部8と、読取部8に読み取られたファイル名情報を元に表示制御信号を生成するシステムコントローラ2と、システムコントローラ2により出力された表示制御信号に基づいてファイル名を表示装置7にスクロール表示させ、所定時間経過後に表示装置7を消灯する表示ドライバ6と、を備える車載用電子機器1である。システムコントローラ2は、表示ドライバ6によるファイル名のスクロールが終了したか否かを判定する判定手段と、判定手段によりスクロールの未了を判定された場合に、表示ドライバ6による表示装置7の消灯を遅延させる遅延手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車載用オーディオプレイヤーでは、再生中のファイルの名称または番号といった情報が表示装置に表示される。
【0003】
また、表示装置には、表示時間をユーザにより設定可能としているものもある(例えば、特許文献1参照)。夜間走行時に表示装置の表示光が眩しいため、車載用オーディオプレイヤーの表示装置にこれを適用し、所定時間経過後に表示を消すものも開発されている。
【特許文献1】特開2003−344929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車載用オーディオプレイヤー等では表示画面が小さいため、長いファイル名を全て表示するためにスクロール表示する表示装置を備えるものがある。
【0005】
しかし、所定時間経過後に表示を消すように設定すると、長いファイル名をスクロール表示している途中で表示が消えてしまうおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、ファイル名が長い場合でも、ファイル名が全てスクロール表示された後に速やかに表示装置を消灯することができる車載用電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、表示装置と、ファイルに対応するファイル名情報が記録された記録媒体からファイル名情報を読み取る読取部と、前記読取部に読み取られたファイル名情報を元に表示制御信号を生成するシステムコントローラと、前記システムコントローラにより出力された表示制御信号に基づいてファイル名を前記表示装置にスクロール表示させ、設定された表示時間経過後に前記表示装置を消灯する表示ドライバと、を備え、前記システムコントローラは、前記表示ドライバによるファイル名のスクロールが終了したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によりスクロールの未了を判定された場合に、前記表示ドライバによる前記表示装置の消灯を遅延させる遅延手段と、を備えることを特徴とする車載用電子機器である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載用電子機器において、前記システムコントローラは、前記判定手段によりスクロールの終了を判定された場合に、前記表示ドライバに前記表示装置の消灯を行わせる消灯手段を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ファイル名が長い場合でも、ファイル名を全てスクロール表示することができる。また、ファイル名を全てスクロールした後に速やかに表示装置を消灯することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る車載用電子機器1のブロック図であり、図2は、車載用電子機器1の正面図である。この車載用電子機器1は、オーディオプレイヤーである。
【0012】
車載用電子機器1は、システムコントローラ2と、RAM3と、ROM4と、入力部5と、表示ドライバ6と、表示装置7と、読取部8と、コーデック9と、アンプ10と、スピーカ11とを備える。
【0013】
記録媒体12は、コンパクトディスク、ハードディスク又は半導体記録媒体であり、読取部8にとって読取可能な記録媒体である。記録媒体12には、例えばMP3形式のオーディオファイルが記録されているとともに、各オーディオファイルに対応するファイル名情報が記録されている。
読取部8はシステムコントローラ2により駆動され、記録媒体12に記録された情報を読み取り、オーディオファイルをコーデック9に出力するとともに、対応するファイル名情報をシステムコントローラ2に出力する。
【0014】
コーデック9はシステムコントローラ2により駆動され、読取部8によって読み取られたオーディオファイルを伸長してアナログ化し、オーディオ信号をアンプ10に出力する。アンプ10は、コーデック9から入力したオーディオ信号を増幅してスピーカ11に出力する。スピーカ11は、アンプ10から入力したオーディオ信号を音に変換する電気音響変換器であり、アンプ10から入力したオーディオ信号に従って音を出力する。
【0015】
表示装置7は車載用電子機器1の正面に設けられており、液晶ディスプレイ又はエレクトロルミネッセンスディスプレイといった表示装置である。
表示ドライバ6はシステムコントローラ2から入力される表示制御情報に従って表示装置7を駆動する。例えば、表示ドライバ6には、再生中のオーディオファイルに対応するファイル名や再生時間等の表示制御情報がシステムコントローラ2から入力され、表示ドライバ6は表示制御情報に基づいて表示装置7にファイル名や再生時間等を表示させる。
【0016】
また、表示ドライバ6はシステムコントローラ2によりスクロール開始信号が入力されると、表示装置7にスクロール表示を開始させる。表示装置7によるスクロール表示が終了すると、終了信号をシステムコントローラ2に出力する。
また、表示ドライバ6は、消灯手段からの消灯信号が入力されることにより表示装置7を消灯する。
【0017】
また、表示ドライバ6はタイマー回路を備える。タイマー回路にはシステムコントローラ2よりクロック信号が入力され、設定された所定時間(例えば5秒。以下、「表示時間」という)までクロック信号に基づいて計時する。そして、システムコントローラ2から表示ドライバ6に表示制御情報が入力されると、タイマー回路は計時を開始する。計時を開始してから表示時間を経過すると、タイマー回路はオーバーフロー信号をシステムコントローラ2に出力する。
また、システムコントローラ2より遅延信号がタイマー回路に入力されると、タイマー回路はリセットされ、再び所定時間が経過するまで計時する。
【0018】
システムコントローラ2は、CPU等を有し、ROM4に格納されたプログラムに従って車載用電子機器1の統括的な制御を行う。例えば、システムコントローラ2は、読取部8から入力されたファイル名情報に基づいてファイル名を表示装置7に表示させる表示制御情報を生成し、表示ドライバ6に出力する。また、システムコントローラ2は、表示ドライバ6にスクロール表示を開始させるスクロール開始信号を出力する。
【0019】
さらに、システムコントローラ2は、判定手段と、遅延手段と、消灯手段とを備える。
判定手段は表示ドライバ6から入力される終了信号を検知することにより、ファイル名のスクロールが終了したか否かを判定する。
遅延手段は、判定手段によりスクロールの未了を判定されたときに、タイマー回路をリセットする遅延信号を表示ドライバ6に出力する。
【0020】
消灯手段は、判定手段によりスクロールの終了を判定されたときに、表示ドライバ6に消灯信号を出力する。なお、後述するスクロール機能が無効である場合には、消灯手段は、システムコントローラ2が表示ドライバ6から入力されるオーバーフロー信号を検知することにより、表示ドライバ6に消灯信号を出力する。
【0021】
RAM3は、システムコントローラ2にワークエリアを提供し、システムコントローラ2によるプログラムの実行時に生じる処理結果等のデータが記憶されるワークエリアに一時的に記憶する。例えば、RAM3には、再生中のファイルのファイル名情報が一時的に記憶される。
【0022】
ROM4には、システムコントローラ2にとって読取可能・実行可能なプログラムやデータが格納されている。
【0023】
入力部5は車載用電子機器1の正面に設けられており、各種の入力キー、入力ダイヤルを有し、これら入力キーや入力ダイヤルの操作に対応する操作信号をシステムコントローラ2に出力する。入力部5は、図2に示すように、十字キー51、スクロールキー52、表示消灯キー53やプリセットキー54a〜54f等の入力キーや、ボリュームダイアル55等の入力ダイヤルを有する。
【0024】
スクロールキー52は、オーディオファイルの再生開始時または再生中に表示装置7に表示されるファイル名が長い場合に、ファイル名を表示装置7にスクロール表示するスクロール機能を有効にする。スクロールキー52が1回押下されるとスクロール機能が有効となり、表示ドライバ6は表示装置7を駆動してファイル名をスクロール表示させる。なお、スクロールキー52が再び押下されると、表示ドライバ6は再び表示装置7を駆動してファイル名をスクロール表示させる。
【0025】
表示消灯キー53は、表示ドライバ6の消灯機能を有効か否かを変更するために用いられる。ここで、消灯機能とは、任意のキー操作の後、再生中のファイル名を表示装置7に表示し、表示時間が経過した後、表示装置7を消灯する機能である。表示消灯キー53が1回押下されると、消灯機能が有効となり、表示ドライバ6はオーディオファイルの再生開始時に対応するファイル名、再生時間等を表示装置7に表示するとともに、タイマー回路による計時を開始する。タイマー回路は表示時間を計時後にオーバーフロー信号をシステムコントローラ2に出力する。オーバーフロー信号が入力されたシステムコントローラ2は、消灯手段により消灯信号を表示ドライバ6に出力する。消灯信号が入力された表示ドライバ6は、表示装置7を消灯する。
一方、表示消灯キー53がもう1回押下されると消灯機能が無効となり、表示ドライバ6はファイル名、再生時間等を表示装置7に表示し続ける。
【0026】
なお、消灯機能が有効である場合にスクロール機能を有効とした場合は、ファイル名のスクロールが表示時間内に終了しないために、表示ドライバ6がスクロールの途中で表示装置7を消灯することが考えられる。このため、本発明では、表示ドライバ6による消灯を遅延させ、ファイル名が全て表示装置7にスクロール表示された後に表示ドライバ6が表示装置7を消灯するようにしている。
【0027】
例えば、ファイル名として「Best Hits Top20 / Various Artists」という文字列を表示装置7にスクロール表示する場合は、図3に示すようになる。まず、先頭の「Best Hits Top20 / V」の文字列が静止表示される(図3(a))。その後、スクロールキー52を押下すると、文字列の表示が左端に移動しはじめ、先頭の文字から順に表示されなくなるとともに、後続の文字列が右端から順に表示される(図3(b))。全ての文字列が表示され(図3(c))、さらに全ての文字列の表示が左端に移動して表示されなくなると、表示装置7が消灯される(図3(d))。この表示方法については後述する。
【0028】
次に、表示ドライバ6の消灯機能が有効である場合にスクロール機能を有効とした場合の、ファイル名の表示方法について図4のフローチャートを用いて説明する。ここで、図4は、車載用電子機器1の動作中においてシステムコントローラ2の処理及び表示ドライバ6の動作の流れを示したフローチャートである。
【0029】
ユーザが入力部5を操作することで、入力部5からシステムコントローラ2に操作信号が入力されたら、システムコントローラ2が読取部8に記憶媒体からオーディオファイル及び対応するファイル名情報の読み込みを開始させる。
そして、読取部は、読み取ったオーディオファイルをコーデック9に出力するとともに、対応するファイル名情報をシステムコントローラ2に出力する。
【0030】
次に、システムコントローラ2はコーデック9を駆動し、読取部8より入力されたオーディオファイルを伸長してアナログ化し、オーディオ信号をアンプ10に出力する。オーディオ信号がアンプ10により増幅され、スピーカ11により音に変換されることで、オーディオファイルに記録された音楽等が再生される。
【0031】
一方、読取部8により読み取られたファイル名情報がシステムコントローラ2に入力されると、システムコントローラ2は再生中のオーディオファイルに対応するファイル名を表示装置7に表示させる表示制御情報を表示ドライバ6に出力する。表示ドライバ6は表示制御情報に従って表示装置7を制御しファイル名を静止表示させる(図3(a)、ステップS1)。それとともに、表示ドライバ6はタイマー回路をスタートする。
【0032】
ユーザによりスクロールキー52が押下されると、システムコントローラ2は表示ドライバ6にスクロール開始信号を出力し、表示ドライバ6は表示装置7にスクロール表示を開始させる。また、スクロールキー52の押下と同時に、表示ドライバ6はタイマー回路をリセットし、再スタートする(図3(b)、ステップS2)。
【0033】
次に、タイマー回路からオーバーフロー信号がシステムコントローラ2に入力されるまで、すなわち表示時間が経過するまで、システムコントローラ2は表示ドライバ6に表示装置7によるスクロール表示を継続させる(ステップS3;No,ステップS4)。
【0034】
タイマー回路からオーバーフロー信号が入力されたら、すなわち表示時間が経過したら(ステップS3;Yes)、システムコントローラ2は、判定手段が表示ドライバ6から入力される終了信号を検知したか否かにより、ファイル名のスクロールが終了したか否かを判定する(ステップS5)。スクロールが未了(図3(c)、ステップS5;No)の場合には、システムコントローラ2は遅延手段により遅延信号を表示ドライバ6に出力する。遅延信号が入力された表示ドライバ6は消灯を遅延させ(ステップS6)、ステップS3に戻る。
【0035】
スクロールが終了すると、表示ドライバ6は終了信号をシステムドライバ2に出力する。システムドライバ2の判定手段が表示ドライバ6から入力される終了信号を検知した場合(ステップS5;Yes)には、システムドライバ2は消灯手段により消灯信号を表示ドライバ6に出力する。消灯信号が入力された表示ドライバ6は、表示装置7を消灯する(図3(d)、ステップS7)。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、通常は表示装置7を所定時間経過後に消灯することができるとともに、ファイル名が長い場合には、表示装置7の点灯時間を長くし、ファイル名が全てスクロール表示された後に表示装置7を消灯することができる。
【0037】
なお、上記実施形態において、表示装置7の消灯の遅延は、他の任意の方法により消灯を遅延させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】車載用電子機器のブロック図である。
【図2】車載用電子機器の正面図である。
【図3】表示装置の表示例である。
【図4】システムコントローラ2の処理及び表示ドライバ6の動作の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1 車載用電子機器
2 システムコントローラ
6 表示ドライバ
7 表示装置
8 読取部
12 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、
ファイルに対応するファイル名情報が記録された記録媒体からファイル名情報を読み取る読取部と、
前記読取部に読み取られたファイル名情報を元に表示制御信号を生成するシステムコントローラと、
前記システムコントローラにより出力された表示制御信号に基づいてファイル名を前記表示装置にスクロール表示させ、設定された表示時間経過後に前記表示装置を消灯する表示ドライバと、を備え、
前記システムコントローラは、
前記表示ドライバによるファイル名のスクロールが終了したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によりスクロールの未了を判定された場合に、前記表示ドライバによる前記表示装置の消灯を遅延させる遅延手段と、
前記判定手段によりスクロールの終了を判定された場合に、前記表示ドライバに前記表示装置の消灯を行わせる消灯手段と、を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−189933(P2011−189933A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130080(P2011−130080)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【分割の表示】特願2005−335348(P2005−335348)の分割
【原出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】