説明

電子機器

【課題】簡単な構造で、部品点数が少なく、低コスト化を図ることができるロール紙収納構造を提供する。
【解決手段】機器本体1内に紙幅の異なる複数のロール紙のいずれかを選択的に収納するロール紙収納構造において、第1の紙幅を有する第1ロール紙をその紙幅に応じて収納する第1収納部20と、この第1の紙幅よりも小さい第2の紙幅を有する第2ロール紙をその紙幅に応じて収納する第2収納部21と、前記第1収納部の底部に前記第2収納部の底部を一段低く設け、投入された第1、第2の各ロール紙をその紙幅に応じて第1、第2の収納部20、21のいずれかに誘導するロール紙誘導部22とを備えている。従って、ロール紙誘導部22によって第1ロール紙をその紙幅に応じて第1収納部20内に誘導して良好に収納でき、また第2ロール紙をその紙幅に応じて第2収納部21内に誘導して良好に収納することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子レジスタや携帯情報端末機、コピー機などのプリンタを備えた電子機器に用いられるロール紙収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プリンタを備えた携帯情報端末機のロール紙収納構造においては、特許文献1に記載されているように、紙幅の異なる2種類のロール紙のいずれかを選択してそれぞれ所定位置に収納するために、紙幅の広いロール紙を位置規制するロール紙収納部内に位置決め部材を設け、この位置決め部材によって紙幅の狭いロール紙を選択して所定位置に収納するように構成したものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−83953号公報
【0004】
このようなロール紙収納構造におけるロール紙収納部は、紙幅の広いロール紙の両側面を位置規制する幅に形成されている。また、このロール紙収納部内に設けられた位置決め部材は、紙幅の狭いロール紙の両側面を位置規制する一対の板ばね部を有し、この一対の板ばね部がロール紙収納部内に傾斜して配置され、この状態で一対の板ばね部が紙幅の広いロール紙によって弾力的に押し下げられるように構成されている。
【0005】
これにより、このロール紙収納構造では、ロール紙収納部内に紙幅の広いロール紙を収納すると、紙幅の広いロール紙が位置決め部材の一対の板ばね部を押し下げてロール紙収納部内に収納され、また紙幅の狭いロール紙を収納すると、この紙幅の狭いロール紙の両側面が位置決め部材の一対の板ばね部によって位置規制されてロール紙収納部内の所定位置に収納される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなロール紙収納構造では、紙幅の異なる2種類のロール紙のうち、紙幅の狭いロール紙をロール紙収納部内の所定位置に規制するための位置決め部材が必要であるほか、この位置決め部材をロール紙収納部内の所定位置に配置して取り付ける必要がある。このため、このロール紙収納構造では、構造が煩雑で、部品点数が多く、組立作業が煩雑で面倒であり、製作コストが高くなるという問題がある。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、簡単な構造で、部品点数が少なく、低コスト化を図ることができるロール紙収納構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、機器本体内に紙幅の異なる複数のロール紙のいずれかを選択的に収納するロール紙収納構造において、第1の紙幅を有する第1ロール紙をその紙幅に応じて収納する第1収納部と、前記第1の紙幅よりも小さい第2の紙幅を有する第2ロール紙をその紙幅に応じて収納する第2収納部と、前記第1収納部の底部に前記第2収納部の底部を一段低く設けることにより、投入された前記第1、第2の各ロール紙をその紙幅に応じて前記第1、第2の収納部のいずれかに誘導するロール紙誘導部と、を備えていることを特徴とするロール紙収納構造である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、第1ロール紙を収納する際に、ロール紙誘導部によって第1ロール紙をその紙幅に応じて第1収納部内に誘導して良好に収納することができ、また第2ロール紙を収納する際に、ロール紙誘導部によって第2ロール紙をその紙幅に応じて第2収納部内に誘導して良好に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明を電子レジスタに適用した一実施形態を示した斜視図である。
【図2】図1に示された電子レジスタを背面側から見た斜視図である。
【図3】図1に示された電子レジスタの平面図である。
【図4】図1に示された電子レジスタの正面図である。
【図5】図1に示された電子レジスタを右側から見た側面を示し、(a)は機器本体上に入力表示ユニットを緩やかに傾斜させて配置した状態を示した側面図、(b)は機器本体上に入力表示ユニットを後部上がりに起立させた状態を示した側面図である。
【図6】図1に示された電子レジスタを左側から見た側面を示し、(a)は機器本体の表示収納部内に回転表示器を収納した状態を示した側面図、(b)は機器本体の上方に回転表示器を引き上げた状態を示した側面図である。
【図7】図1に示された電子レジスタにおいて、入力表示ユニットを取り外し、且つプリンタカバーの一部を破断してその内部のロール紙収納部を示した要部の斜視図である。
【図8】図7に示されたロール紙収納部を更に拡大して示した斜視図である。
【図9】図8に示されたロール紙収納部のA−A矢視における拡大断面図である。
【図10】図9に示されたロール紙収納部の第1収納部内に紙幅の広い第1ロール紙を収納した状態を示した拡大断面図である。
【図11】図9に示されたロール紙収納部の第2収納部内に紙幅の狭い第2ロール紙を収納した状態を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1〜図11を参照して、この発明を電子レジスタに適用した一実施形態について説明する。
この電子レジスタは、図1および図2に示すように、機器本体1を備えている。この機器本体1には、入力表示ユニット2、プリンタユニット3、および回転表示器4が搭載されている。
【0012】
入力表示ユニット2は、図1〜図5に示すように、ユニットケース5の上面にタッチ入力部6を設けたものであり、顧客が購入する商品の情報をオペレータがタッチ入力部6のタッチ操作によって入力するように構成されている。この場合、タッチ入力部6は、図示しないが、表示パネルの上面に透明なタッチパネルを配置した構成になっている。
【0013】
このタッチ入力部6は、表示パネルに表示された情報を見ながらタッチパネルをタッチ操作して、売買する商品の情報を入力すると共に、その入力された情報が表示パネルに表示されるように構成されている。この場合、ユニットケース5は、図1〜図5に示すように、機器本体1の一部分(図3では左側の部分)を除いた箇所の機器本体1上に、前下がりに傾斜した状態で配置されている。
【0014】
すなわち、機器本体1上には、図5および図7に示すように、円弧状の支持凹部7が前面から上面に亘って設けられており、ユニットケース5の下面には、半円筒状の回転凸部8が設けられている。これにより、ユニットケース5は、その下面の半円筒状の回転凸部8が機器本体1上の円弧状の支持凹部7上に配置された状態で、この支持凹部7上を前後方向に向けて回転移動することにより、後部(図5(b)では右側)が競り上がって傾斜するように構成されている。
【0015】
回転表示器4は、図1〜図4に示すように、オペレータが入力した情報を表示し、この表示した情報を顧客が見えるようにするためのものであり、表示ケース10に情報を表示する表示パネル11を設け、この表示ケース10を支持機構12によって機器本体1に対して上下方向に伸縮移動可能に支持するように構成されている。この場合、表示ケース10は、図2に示すように、横長の長方形の箱状に形成されている。
【0016】
また、表示パネル11は、液晶表示素子やEL(エレクトロ・ルミネッセンス)表示素子などの平面型の表示素子からなり、表示ケース10の背面側に位置する側面に横長状態で配置され、オペレータが入力した情報などの電子レジスタに必要な各種の情報を電気光学的に表示するように構成されている。この回転表示器4は、図1〜図4、および図6に示すように、機器本体1の背面に設けられた表示収納部9内に出没可能に収納されるように構成されている。
【0017】
一方、プリンタユニット3は、図1〜図9に示すように、機器本体1上に開閉可能に配置されたプリンタカバー13と、このプリンタカバー13の下側に位置する機器本体1の内部に設けられたプリンタ部14と、このプリンタ部14の近傍に位置する機器本体1内に設けられたロール紙収納部15とを備え、機器本体1における入力表示ユニット2の左隣に配置されている。
【0018】
プリンタカバー13は、図1〜図4に示すように、入力表示ユニット2の上面とほぼ同じ高さで、且つ前下がりに傾斜した状態で、機器本体1上に配置されている。プリンタ部14は、図9に示すように、印字部14aとプラテン部14bとを備え、これらの間に送り込まれた後述するロール紙16、17のいずれかに印刷情報を印刷して送り出するように構成されている。
【0019】
この場合、プリンタ部14は、図9〜図11に示すように、ロール紙16、17のいずれかに印刷情報を印刷すると、この印刷したロール紙16、17をプリンタカバー13に設けられた記録紙排出口13aから機器本体1の外部に排出するように構成されている。また、プリンタカバー13の記録紙排出口13aの下側には、防滴シャッタ18が上下方向に回転可能に設けられている。
【0020】
この防滴シャッタ18は、図9に示すように、シャッタ板18aと支持軸18bとを備え、この支持軸18bによってシャッタ板18aを上下方向に回転自在に支持するように構成されている。すなわち、この防滴シャッタ18は、図9に示すように、シャッタ板18aを支持軸18bで回転自在に支持する際に、シャッタ板18aがその重量バランスで記録紙排出口13aを閉じる方向に向けて回転するように構成されている。
【0021】
また、この防滴シャッタ18は、図9に示すように、プリンタ部14によってロール紙16、17のいずれかに印刷情報が印刷された際に、その印刷されたいずれかのロール紙16、17の排出力によってシャッタ板18aが支持軸18bを中心に回転して、印刷されたロール紙16、17を記録紙排出口13aに向けて送り出すように構成されている。
【0022】
ところで、ロール紙収納部15は、図7〜図11に示すように、紙幅の異なる複数のロール紙16、17を選択的に収納するように構成されている。すなわち、このロール紙収納部15は、第1の紙幅を有する第1ロール紙16をその紙幅に応じて収納する第1収納部20と、第1の紙幅よりも小さい第2の紙幅を有する第2ロール紙17をその紙幅に応じて収納する第2収納部21と、ロール紙収納部15に投入された第1、第2の各ロール紙16、17をその紙幅に応じて第1、第2の収納部20、21のいずれかに誘導するロール紙誘導部22とを備えている。
【0023】
この場合、第1収納部20は、図7〜図9に示すように、上方に開放された凹部であり、その底部20aが機器本体1の前後方向(図9では左右方向)に沿ってほぼ円弧状に湾曲した凹曲面形状に形成されている。この第1収納部20は、凹曲面形状の底部20aの両側、つまり第1ロール紙16の両側面に対応する両側の各側壁部20b間の長さS1が第1ロール紙16の紙幅とほぼ同じ長さで形成されている。
【0024】
これにより、第1収納部20は、図10に示すように、その内部に第1ロール紙16が上方から挿入されると、この第1ロール紙16が第1収納部20におけるほぼ円弧状に湾曲した凹曲面形状に形成された底部20a上を転動して、この底部20aの最も低い箇所に第1ロール紙16が自然に配置されるように構成されている。
【0025】
また、第2収納部21は、図7〜図10に示すように、第1収納部20の底部20aよりも一段低く窪んだ状態で設けられた凹部である。この第2収納部21は、図7〜図9に示すように、その底部21aが、第1収納部20と同様、機器本体1の前後方向(図9では左右方向)に沿って、第1収納部20の底部20aと同じほぼ円弧状に湾曲した凹曲面形状に形成されている。
【0026】
この場合、第2収納部21は、図9に示すように、その底部21aが第1収納部20の底部20aよりも一段低いほぼ円弧状に湾曲した凹曲面形状に形成されていることにより、この凹曲面形状の底部21aの両側、つまり第2ロール紙17の両側面に対応する両側の各側壁部21b間の長さS2が、第2ロール紙17の紙幅とほぼ同じ長さS2で形成されている。
【0027】
これにより、第2収納部21は、図11に示すように、その内部に第2ロール紙17が上方から挿入されると、この第2ロール紙17が第2収納部21におけるほぼ円弧状に湾曲した凹曲面形状に形成された底部21a上を転動して、この底部21aの最も低い箇所に第2ロール紙17が自然に配置されるように構成されている。
【0028】
また、この第2収納部21は、図9〜図11に示すように、その底部21aの最も低い箇所が、第1収納部20の底部20aにおける最も低い箇所よりも、紙送り出し方向(図9では右側)、つまり機器本体1内のプリンタ部14が位置する方向にずれた状態で設けられている。これにより、第2ロール紙17は、第2収納部21内に収納された際に、その回転中心が第1収納部20に収納された第1ロール紙16の回転中心よりも、紙送り出し方向にずれて配置される。
【0029】
この場合、第2収納部21は、図7〜図11に示すように、第1収納部20の底部20aに、その側壁部20b間の長さS1よりも短い長さS2、つまり第2ロール紙17の紙幅とほぼ同じ長さS2で設けられている。これにより、第2収納部21は、その内部に第2ロール紙17が収納されると、第2ロール紙17の紙幅方向の中心が第1ロール紙16の紙幅方向の中心と一致するように構成されている。
【0030】
このように、このロール紙収納部15のロール紙誘導部22は、図7〜図11に示すように、第1収納部20の底部20aに第2収納部21の底部21aを一段低く設けることにより、ロール紙収納部15内に投入された第1、第2の各ロール紙16、17をその紙幅に応じて第1、第2の各収納部20、21のいずれかに誘導するように構成されている。
【0031】
すなわち、このロール紙誘導部22は、図7〜図11に示すように、第1収納部20内に設けられて第1ロール紙16の両側面を位置規制しながらガイドする両側の側壁部20bと、第2収納部21内に設けられて第2ロール紙17の両側面の下部を位置規制しながらガイドする両側の側壁部21bとで構成されている。
【0032】
これにより、このロール紙誘導部22は、図7〜図11に示すように、ロール紙収納部15内に投入された第1、第2の各ロール紙16、17をその紙幅に応じて、第1、第2の収納部20、21における両側の各側壁部20b、21bによって、第1、第2の収納部20、21のいずれかに誘導するように構成されている。
【0033】
一方、この第1、第2の各収納部20、21内には、図7〜図9に示すように、それぞれ第1、第2の各回転ローラ23、24が設けられている。すなわち、第1回転ローラ23は、第1ロール紙16をその紙送り出し方向に回転させるためのものであり、第1収納部20の底部20aにおける最も低い箇所付近、つまり第1収納部20に収納された第1ロール紙16の回転中心よりも少し後方(図9では左側)に位置する箇所に回転自在に配置されている。
【0034】
これにより、第1ロール紙16は、図10に示すように、第1収納部20内に配置された状態で、プリンタ部14に順次引き出されて印刷情報が印刷される際に、第1回転ローラ23上で且つこの第1回転ローラ23と共に回転しながら、プリンタ部14に向けて順次送り出されるように構成されている。
【0035】
また、第2回転ローラ24は、図7〜図9に示すように、第2ロール紙17をその紙送り出し方向に回転させるためのものであり、第2収納部21の底部21aにおける最も低い箇所付近、つまり第1収納部20に収納された第2ロール紙17の回転中心よりも後方(図9では左側)に位置する箇所に回転自在に配置されている。
【0036】
これにより、第2ロール紙17は、図11に示すように、第2収納部21内に配置された状態で、プリンタ部14に順次引き出されて印刷される際に、第2回転ローラ24上で且つこの第2回転ローラ24と共に回転しながら、プリンタ部14に向けて順次送り出されるように構成されている。
【0037】
次に、このような電子レジスタの作用について説明する。
この電子レジスタでは、オペレータが入力表示ユニット2のタッチ入力部6を操作して、顧客が購入する商品の値段や商品名などの情報を入力すると、その入力された情報がタッチ入力部6および回転表示器4の表示部11に表示される。これにより、オペレータは入力表示ユニット2のタッチ入力部6に表示された情報を見て、入力した情報を確認することができると共に、顧客は回転表示器4の表示部11に表示された情報を見て、入力された情報を確認することができる。
【0038】
このように表示された情報をプリンタ部14で第1、第2の各ロール紙16、17のいずれかに印刷して、レシートとして発行する。このときには、オペレータがタッチ入力部6をタッチ操作してプリンタ部14を動作させる。例えば、機器本体1のプリンタユニット3におけるロール紙収納部15の第1収納部20内に第1ロール紙16が収納されている場合には、この第1ロール紙16がプリンタ部14の印字部14aとプラテン部14bとの間に順次送り込まれ、この送り込まれた第1ロール紙16に印刷情報がプリンタ部14によって順次印刷される。
【0039】
このようにプリンタ部14で印刷情報が印刷された第1ロール紙16は、プリンタ14の上方に順次送り出される。この送り出された第1ロール紙16は、その排出力によって防滴シャッタ18を押し上げるので、防滴シャッタ18のシャッタ板18aが支持軸18bを中心に時計回りに回転する。このときには、シャッタ板18aが微妙な重量バランスで支持軸18bによって回転可能に支持されていることにより、第1ロール紙16の排出力によってシャッタ板18aが回転する。
【0040】
これにより、防滴シャッタ18のシャッタ板18aが支持軸18bを中心に時計回りに回転して、第1ロール紙16が防滴シャッタ18を通り抜け、この通り抜けた第1ロール紙16がプリンタカバー13の記録紙排出口13aからプリンタカバー13の上方に排出される。この排出された第1ロール紙16は、レシートとして発行される。
【0041】
この場合、ロール紙収納部15の第2収納部21内に第2ロール紙17が収納されていれば、第1ロール紙16と同様、第2ロール紙17がプリンタ部14に順次引き出され、この引き出された第2ロール紙17にプリンタ部14が印刷情報を順次印刷し、この印刷された第2ロール紙17が防滴シャッタ18を通り抜けてプリンタカバー13の記録紙排出口13aから排出され、レシートとして発行される。
【0042】
次に、このようなロール紙収納部15内に第1、第2のロール紙16、17のいずれかを収納する場合について説明する。
まず、第1ロール紙16を収納する場合には、ロール紙収納部15の第1収納部20内に第1ロール紙16を上方から挿入する。すると、図10に示すように、この第1ロール紙16の両側面が第1収納部20の両側の側壁部20bによって位置規制されながら、第1ロール紙16が、第1収納部20内にほぼ円弧状に湾曲した凹曲面形状に形成された底部20a上を転動して、この凹曲面形状の底部20aの最も低い位置に自然に配置される。
【0043】
この状態では、図10に示すように、第1ロール紙16が、第1収納部20内の底部20aに設けられた第1回転ローラ23上に回転可能に配置される。これにより、この第1ロール紙16にプリンタ部14によって印刷情報が印刷される際には、第1ロール紙16が第1回転ローラ23上をこの第1回転ローラ23と共に回転しながら、順次、円滑に送り出される。
【0044】
すなわち、第1ロール紙16は、第1収納部20内に収納された状態で、第1ロール紙16の先端部がプリンタ部14における印字部14aとプラテン部14bとの間に送り込まれて印刷情報が順次印刷される。このときには、第1ロール紙16がプリンタ部14による印刷に応じて順次引き出されることにより、第1ロール紙16が第1回転ローラ23上をこの第1回転ローラ23と共に回転するので、第1ロール紙16がプリンタ部14に円滑に且つ良好に送り込まれる。
【0045】
また、第2ロール紙17を収納する場合には、ロール紙収納部15の第1収納部20内の底部20aに一段低く設けられた第2収納部21内に狙いを定めて、第2ロール紙17を上方から挿入する。すると、図11に示すように、第2ロール紙17の両側面が第2収納部21の両側の側壁部21bによって位置規制されながら、第2ロール紙17が第2収納部21内にほぼ円弧状の凹曲面形状に形成された底部21a上を転動して、この凹曲面形状の底部21aの最も低い位置に自然に配置される。
【0046】
この場合、第2ロール紙17を第2収納部21内に挿入する際に、第2ロール紙17が第2収納部21内から少しずれていても、第2ロール紙17が第2収納部21の底部21aと第1収納部20の底部20aとの両方に跨った状態で、各底部20a、21a上を転動することにより、自然に第2収納部21内に挿入する。
【0047】
すなわち、第2ロール紙17が第2収納部21の底部21aと第1収納部20の底部20aとの両方に跨った状態で、各底部20a、21a上を転動する際には、第1収納部20の底部20aにおける最も低い位置と、第2収納部21の底部21aにおける最も低い位置とが、前後にずれていているため、第2ロール紙17が転動しながら自然に第2収納部21内に挿入する。これにより、第2ロール紙17の両側面が第2収納部21の両側の側壁部21bによって位置規制されて、第2収納部21内の底部21aの最も低い位置に自然に配置される。
【0048】
この状態では、図11に示すように、第2ロール紙17が第2収納部21内の底部21aに設けられた第2回転ローラ24上に回転可能に配置される。これにより、この第2ロール紙17にプリンタ部14によって印刷情報が印刷される際には、第1ロール紙16と同様、第2ロール紙17が第2回転ローラ24上をこの第2回転ローラ24と共に回転しながら、順次、円滑に送り出される。
【0049】
すなわち、第2ロール紙17は、第2収納部21内に収納された状態で、第2ロール紙17の先端部がプリンタ部14における印字部14aとプラテン部14bとの間に送り込まれて印刷情報が順次印刷される。このときには、第2ロール紙17がプリンタ部14による印刷に応じて順次引き出されることにより、第2ロール紙17が第2回転ローラ24上をこの第2回転ローラ24と共に回転するので、第2ロール紙17がプリンタ部14に円滑に且つ良好に送り込まれる。
【0050】
このように、この電子レジスタのロール紙収納構造によれば、第1の紙幅を有する第1ロール紙16をその紙幅に応じて収納する第1収納部20と、この第1の紙幅よりも小さい第2の紙幅を有する第2ロール紙17をその紙幅に応じて収納する第2収納部21と、第1収納部20の底部20aに第2収納部21の底部21aを一段低く設けることにより、ロール紙収納部15内に投入された第1、第2の各ロール紙16、17をその紙幅に応じて第1、第2の収納部20、21のいずれかに誘導するロール紙誘導部22とを備えていることにより、簡単な構造で、部品点数が少なく、低コスト化を図ることができる。
【0051】
すなわち、このロール紙収納構造によれば、第1ロール紙16を収納する際に、ロール紙誘導部22によって第1ロール紙16をその紙幅に応じて第1収納部20内に良好に誘導して収納することができ、また第2ロール紙17を収納する際にも、ロール紙誘導部22によって第2ロール紙17をその紙幅に応じて第2収納部21内に良好に誘導して収納することができる。
【0052】
このため、特別な操作を必要とせずに、第1、第2の各ロール紙16、17のいずれかをロール紙収納部15内に投入するだけの簡単な操作で、第1、第2の各ロール紙16、17をそれぞれ個別に対応する第1、第2の各収納部20、21内に簡単に且つ良好に収納することができるほか、構造が単純で、別部品としての追加部品がなく、部品点数が少なく、組立作業の簡素化を図り、低コスト化を図ることができる。
【0053】
この場合、ロール紙誘導部22は、第1収納部20の底部20aに第2収納部21の底部21aを一段低く設けることにより、第1収納部20内に設けられて第1ロール紙16の両側面を位置規制する両側の側壁部20bと、第2収納部21内に設けられて第2ロール紙17の両側面の下部を位置規制する両側の側壁部21bとを形成することができ、第1、第2の各ロール紙16、17をその紙幅に応じて第1、第2の収納部20、21のいずれかに確実に誘導することができる。
【0054】
すなわち、このロール紙誘導部22では、紙幅の広い第1ロール紙16を収納する第1収納部20の底部20aに、紙幅の狭い第2ロール紙17を収納する第2収納部21を一段低く設けるだけで、簡単に製作することができると共に、ロール紙収納部15に投入された第1、第2の各ロール紙16、17をその紙幅に応じて第1、第2の収納部20、21のいずれかに確実に誘導することができる。
【0055】
従って、このロール紙誘導部22によれば、第1ロール紙16が第1収納部20内に挿入された際に、第1ロール紙16の両側面を第1収納部20の両側の側壁部20bによって確実に且つ良好に位置規制しながらガイドすることができるので、第1ロール紙16を第1収納部20内に確実に且つ良好に配置することができる。このため、第1ロール紙16のセット作業が簡単で、且つ第1ロール紙16の取り扱い性が良い。
【0056】
また、このロール紙誘導部22によれば、第2ロール紙17が第2収納部21内に挿入された際に、第2ロール紙17の両側面を第2収納部21の両側の側壁部21bによって確実に且つ良好に位置規制しながらガイドすることができるので、第2ロール紙17を第2収納部21内に確実に且つ良好に配置することができる。このため、第2ロール紙17のセット作業が簡単で、且つ第2ロール紙17の取り扱い性が良い。
【0057】
この場合、第1収納部20の底部20aと第2収納部21の底部21aとは、ほぼ円弧状に湾曲した凹曲面形状に形成されていることにより、第1ロール紙16を第1収納部20内に挿入するだけで、第1ロール紙16を第1収納部20内の所定位置に安定させた状態で確実に且つ良好に配置することができると共に、第2ロール紙17を第2収納部21内に挿入するだけで、第2ロール紙17を第2収納部21内の所定位置に安定させた状態で確実に且つ良好に配置することができる。
【0058】
すなわち、第1ロール紙16を第1収納部20内に挿入すると、第1ロール紙16が第1収納部20の底部20a上をそのほぼ円弧状の凹曲面形状に沿って転動し、この凹曲面形状の底部20aにおける最も低い位置に自然に配置されるので、第1ロール紙16を第1収納部20内に自然な状態で置くだけで、第1ロール紙16を第1収納部20内の所定位置に安定させた状態で確実に且つ良好に配置することができる。これによっても、第1ロール紙16のセット作業が簡単で、且つ第1ロール紙16の取り扱い性が良い。
【0059】
同様に、第2ロール紙17を第1収納部20内の底部20aに設けられた第2収納部21内に挿入すると、第2ロール紙17が第2収納部21の底部21a上をそのほぼ円弧状の凹曲面形状に沿って転動し、この凹曲面形状の底部21aにおける最も低い位置に自然に配置されるので、第2ロール紙17を第2収納部21内に自然な状態で置くだけで、第2ロール紙17を第2収納部21内の所定位置に安定させた状態で確実に且つ良好に配置することができる。これによっても、第2ロール紙17のセット作業が簡単で、且つ第2ロール紙17の取り扱い性が良い。
【0060】
この場合、第1収納部20の底部20aにおける最も低い箇所と、第2収納部21の底部21aにおける最も低い箇所とは、紙送り出し方向に沿って位置がずれた状態で設けられていることにより、第1、第2の各ロール紙16、17の各回転中心を第1、第2の各ロール紙16、17の各紙送り出し方向にずらすことができ、これにより特別な操作を必要とせずに、第1、第2の各ロール紙16、17を第1、第2の各収納部20、21内に自然に置くだけの簡単な操作で、第1、第2の各ロール紙16、17を第1、第2の各収納部20、21内の適正な位置に正確に且つ良好に位置規制することができる。
【0061】
特に、第2収納部21は、その底部21aが第1収納部20の底部20aよりも低く形成された状態で、第2収納部21の底部21aにおける最も低い位置が、第1収納部20の底部20aにおける最も低い位置よりも、紙送り出し方向に沿ってずれた状態で設けられていることにより、第2ロール紙17を収納する際に、この第2ロール紙17を第1収納部20内の底部20aに位置する第2収納部21内に配置すると、第2収納部21の両側の側壁部21bによって第2ロール紙17をその紙幅に応じて位置規制して良好に第2収納部21内に収納することができる。
【0062】
さらに、このロール紙収納構造によれば、第1収納部20の底部20aに第1ロール紙16をその紙送り出し方向に回転させるための第1回転ローラ23が回転自在に設けられているので、第1ロール紙16がプリンタ部14に順次引き出されて印刷情報が印刷される際に、第1ロール紙16を第1回転ローラ23上において、この第1回転ローラ23と共に回転させながら順次送り出すことができ、これにより第1ロール紙16を円滑に且つ良好に第1収納部20内から送り出すことができる。
【0063】
また、第2収納部21の底部21aには、第2ロール紙17をその紙送り出し方向に回転させるための第2回転ローラ24が回転自在に設けられているので、第2ロール紙17がプリンタ部14に順次引き出されて印刷情報が印刷される際に、第2ロール紙17を第2回転ローラ24上において、この第2回転ローラ24と共に回転させながら順次送り出すことができ、これにより第1ロール紙16の場合と同様、第2ロール紙17を円滑に且つ良好に第2収納部21内から送り出すことができる。
【0064】
なお、上述した実施形態では、第2収納部21が、第1収納部20内の両側に位置する側壁部20b間の中間点を中心として、第1収納部20の底部20aに設けられている場合について述べたが、これに限らず、例えば第1収納部20内の一方の側壁部20bと第2収納部21内の一方の側壁部21bとを一致させた状態で、第2収納部21を第1収納部20内の底部20aにその片側に偏らせた状態で設けても良い。
【0065】
また、上述した実施形態では、第1、第2の各収納部20、21の各底部20a、21aがほぼ円弧状に湾曲した凹曲面形状に形成されている場合について述べたが、必ずしもほぼ円弧状に湾曲した凹曲面形状に形成する必要はなく、例えば高さの異なる平坦面または傾斜面に形成しても良い。
【0066】
また、上述した実施形態では、第1収納部20の底部20aに第2収納部21の底部21aを一段低く設けて、紙幅が異なる2種類のロール紙16、17を選択的に収納する2段階構造である場合について述べたが、これに限らず、例えば第1収納部の底部に第2収納部の底部を一段低く設け、この第2収納部の底部に第3収納部の底部を更に一段低く設け、紙幅の異なる3種類のロール紙を選択的に収納する3段階構造にしても良い。
【0067】
さらに、上述した実施形態では、電子レジスタに適用した場合について述べたが、必ずしも電子レジスタである必要はなく、例えば携帯情報端末機やコピー機など、プリンタを備えた電子機器に広く適用することができる。
【0068】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0069】
(付記)
請求項1に記載の発明は、機器本体内に紙幅の異なる複数のロール紙のいずれかを選択的に収納するロール紙収納構造において、
第1の紙幅を有する第1ロール紙をその紙幅に応じて収納する第1収納部と、前記第1の紙幅よりも小さい第2の紙幅を有する第2ロール紙をその紙幅に応じて収納する第2収納部と、前記第1収納部の底部に前記第2収納部の底部を一段低く設けることにより、投入された前記第1、第2の各ロール紙をその紙幅に応じて前記第1、第2の収納部のいずれかに誘導するロール紙誘導部と、を備えていることを特徴とするロール紙収納構造である。
【0070】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロール紙収納構造において、前記ロール紙誘導部は、前記第1収納部内に設けられて前記第1ロール紙の両側面を位置規制する両側の側壁部と、前記第2収納部内に設けられて前記第2ロール紙の両側面の下部を位置規制する両側の側壁部とを備えていることを特徴とするロール紙収納構造である。
【0071】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のロール紙収納構造において、前記第1収納部の前記底部と前記第2収納部の前記底部とは、ほぼ円弧状に湾曲した凹曲面形状に形成されていることを特徴とするロール紙収納構造である。
【0072】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のロール紙収納構造において、前記第1収納部の前記底部における最も低い箇所と、前記第2収納部の前記底部における最も低い箇所とは、紙送り出し方向に沿って位置がずれた状態で設けられていることを特徴とするロール紙収納構造である。
【0073】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のロール紙収納構造において、前記第1収納部の前記底部には、前記第1ロール紙をその紙送り出し方向に回転させるための第1回転ローラが回転自在に設けられており、前記第2収納部の前記底部には、前記第2ロール紙をその紙送り出し方向に回転させるための第2回転ローラが回転自在に設けられていることを特徴とするロール紙収納構造である。
【符号の説明】
【0074】
1 機器本体
3 プリンタユニット
13 プリンタカバー
13a 記録紙排出口
14 プリンタ部
14a 印字部
14b プラテン部
15 ロール紙収納部
16 第1ロール紙
17 第2ロール紙
20 第1収納部
20a 第1収納部の底部
20b 第1収納部の側壁部
21 第2収納部
21a 第2収納部の底部
21b 第2収納部の側壁部
22 ロール紙誘導部
23 第1回転ローラ
24 第2回転ローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体内に紙幅の異なる複数のロール紙のいずれかを選択的に収納するロール紙収納構造において、
第1の紙幅を有する第1ロール紙をその紙幅に応じて収納する第1収納部と、
前記第1の紙幅よりも小さい第2の紙幅を有する第2ロール紙をその紙幅に応じて収納する第2収納部と、
前記第1収納部の底部に前記第2収納部の底部を一段低く設けることにより、投入された前記第1、第2の各ロール紙をその紙幅に応じて前記第1、第2の収納部のいずれかに誘導するロール紙誘導部と、
を備えていることを特徴とするロール紙収納構造。
【請求項2】
請求項1に記載のロール紙収納構造において、前記ロール紙誘導部は、前記第1収納部内に設けられて前記第1ロール紙の両側面を位置規制する両側の側壁部と、前記第2収納部内に設けられて前記第2ロール紙の両側面の下部を位置規制する両側の側壁部とを備えていることを特徴とするロール紙収納構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のロール紙収納構造において、前記第1収納部の前記底部と前記第2収納部の前記底部とは、ほぼ円弧状に湾曲した凹曲面形状に形成されていることを特徴とするロール紙収納構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のロール紙収納構造において、前記第1収納部の前記底部における最も低い箇所と、前記第2収納部の前記底部における最も低い箇所とは、紙送り出し方向に沿って位置がずれた状態で設けられていることを特徴とするロール紙収納構造。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のロール紙収納構造において、前記第1収納部の前記底部には、前記第1ロール紙をその紙送り出し方向に回転させるための第1回転ローラが回転自在に設けられており、前記第2収納部の前記底部には、前記第2ロール紙をその紙送り出し方向に回転させるための第2回転ローラが回転自在に設けられていることを特徴とするロール紙収納構造。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−10619(P2013−10619A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145490(P2011−145490)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】