説明

電子機器

【課題】ヒートシンクの熱が内部部品に伝達されることを抑制した電子機器を提供する。
【解決手段】筐体2内に半導体11及び内部部品10,12,13,14を配置した電子機器1において、筐体2に半導体11を露出させる露出窓35を形成し、筐体2の外側にヒートシンク40を露出窓35から露出する半導体11に接触させて設け、筐体2には、ヒートシンク40と内部部品10,12,13,14との間に位置する介在部分31に、複数の通気孔30Aを形成する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンクを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器においては、アッパーシャーシ及びロアーシャーシを備えた筐体内に、発熱部材とヒートシンクとを配置し、ヒートシンクの一方の面を発熱部材に密着し、ヒートシンクの他方の面に、一定間隔をおいて多数の通気孔が形成されたアッパーシャーシを取り付けることで、発熱部材を冷却するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−245171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構成では、ヒートシンクを筐体内に配置したため、筐体内に発熱部材とは別に回路等の内部部品を設けた場合には、ヒートシンクの熱が筐体の内部空間に伝達し、内部部品の温度が上昇して、ひいては内部部品の劣化につながるおそれがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ヒートシンクの熱が内部部品に伝達されることを抑制した電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、筐体内に半導体及び内部部品を配置した電子機器において、前記筐体に前記半導体を露出させる露出窓を形成し、前記筐体の外側にヒートシンクを前記露出窓から露出する半導体に接触させて設け、前記筐体には、前記ヒートシンクと前記内部部品との間に位置する介在部分に、複数の通気孔を形成したことを特徴とする。
【0006】
上記構成において、前記ヒートシンクを、前記介在部分との間に空間を設けて配置してもよい。
【0007】
上記構成において、前記空間が外部に連通する連通部を設けてもよい。
【0008】
上記構成において、前記ヒートシンクと前記介在部分は、ねじ止めされ、ねじ止め部でのみ接触してもよい。
【0009】
上記構成において、前記半導体を、当該半導体が実装される基板に立てて設置されたホルダに固定してもよい。
【0010】
上記構成において、前記ホルダに、前記半導体を位置決めして固定する爪部を設けてもよい。
【0011】
上記構成において、前記ホルダの上部に、前記筐体に設けた溝部と嵌合する突出部を有してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、筐体の外側にヒートシンクを設けたため、ヒートシンクの外気に触れる面積が広くなり、放熱効果を向上できる。また、ヒートシンクと内部部品との間に筐体が介在するため、この筐体により、ヒートシンクの熱が内部部品に伝わり難くなる。さらに、筐体には、ヒートシンクと内部部品との間に位置する介在部分に、複数の通気孔を形成したため、筐体内部の熱が通気孔を通ってヒートシンクに伝わり外部に放出され易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る車載受信装置(電子機器)の外観を示す斜視図である。
【図2】車載機器を示す分解斜視図である。
【図3】ホルダを示す斜視図である。
【図4】図1のIV−IV断面を示す図である。
【図5】図1のV−V断面を示す図である。
【図6】図1のVI−VI断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1本実施の形態に係る車載受信装置(電子機器)の外観を示す斜視図であり、図2は車載機器を示す分解斜視図である。図3は、ホルダを示す斜視図である。
車載受信装置1は、車両に搭載され、ラジオ放送局が放送するラジオ放送を受信し、受信したラジオ放送を出力する装置である。図1に示すように、車載受信装置1は、電源回路が設けられた略矩形状の基板10と、基板10を収容する筐体2と、筐体2の外側に設けられたヒートシンク40とを備えている。
【0015】
基板10には、図2に示すように、発熱部材(発熱素子)の一例たる複数(本実施の形態では、3つ)の半導体11と、半導体11よりも発熱の少ない半導体12と、受信ユニット13及び処理ユニット14等が実装されている。半導体11は、例えば電源レギュレータ(パワーIC)として構成され、基板10に設置されたホルダ50に固定されている。また、半導体11は、基板10の端部10Aから離して配置されている。
【0016】
受信ユニット13は、受信した放送信号を増幅するアンテナアンプ機能や、放送信号を音声信号に復調するラジオチューナ機能を備え、複数の通気孔16Aが形成された例えば金属製の受信ユニットケース16に覆われている。
処理ユニット14は、ラジオチューナから入力される音声信号の出力レベルの調整、周波数特性の調整、及び、増幅を行う信号処理部としてのDSP(デジタルシグナルプロセッサー)機能や、ラジオ放送の受信に係る各種データを書換可能に記憶するHD(ハードディスク)機能を備えている。
【0017】
ホルダ50は、図3に示すように、半導体11,12を基板10上に立てて保持する金属製の保持部材(金属板)であり、基板10の一辺である端部10Aに沿って基板10に立設されている。ホルダ50は、複数の半導体11を収容する半導体収容部51と、半導体12を収容する半導体収容部52と、ヒートシンク40を固定するヒートシンク固定面53,54と、筐体2を固定する筐体固定面55と、ホルダ50の上部から上方に突出する突起部56を備えている。
半導体収容部51,52は、内側に凹む凹部であり、それぞれ複数(3つ)の半導体11、一の半導体12を収容可能に形成されている。半導体収容部51,52には、各半導体11,12を位置決めして固定する爪部51A,52Aが設けられており、各半導体11,12は、爪部51A,52Aによって固定されると、半導体収容部51,52に接触する。また、半導体収容部51には、半導体11の水平方向の移動を規制する規制部51Bが半導体11間に設けられている。
【0018】
ヒートシンク固定面53,54は、半導体収容部51の両側で外側に突出する凸部であり、基板10の端部10Aより内側に位置している。ヒートシンク固定面53,54には、ヒートシンク固定面53,54をU字状に切り欠いた舌部53A,54Aが設けられている。
筐体固定面55は、半導体収容部52の両側で外側に突出する凸部であり、基板10の端部10Aと略同一の位置に形成されている。ヒートシンク固定面53,54には、筐体固定面55をU字状に切り欠いた舌部55Aが設けられている。
【0019】
筐体2は、例えば金属板を用いて形成され、図2に示すように、基板10の下面を覆うロアーシャーシ20と、基板10の上面を覆うアッパーシャーシ30とを有している。ロアーシャーシ20は、基板10に対向する下面部21と、下面部21から基板10側に延出する側面部22とを有して上方に開放する略箱状に形成されている。下面部21には、複数の通気孔20Aが形成されている。このロアーシャーシ20は、基板10を下方から覆うように設けられて、複数(本実施の形態では、4つ)のねじ23によって基板10に固定される。側面部22には、基板10の端部10A側に、ヒートシンク40を固定するためのヒートシンク固定凹部24が形成されている。
【0020】
アッパーシャーシ30は、基板10に対向する上面部31と、上面部31から基板10側に延出する側面部32とを有して下方に開放する略箱状に形成されている。上面部31と、側面部32のうち半導体11に対向する側面32Aを除く側面32B〜32Dとには、複数の通気孔30Aが形成されている。受信ユニットケース16、ロアーシャーシ20及びアッパーシャーシ30の通気孔16A,20A,30Aは、一列毎に行をずらすことで斜めに配列するように形成されており、これにより、通気孔16A,20A,30Aを多数設けることができる。なお、図1では、アッパーシャーシ30の通気孔30Aを省略している。
このアッパーシャーシ30は、基板10を上方から覆うように設けられて、ロアーシャーシ20を固定するねじ23によって共締めされるとともに、複数(本実施の形態では、2つ)のねじ33によってホルダ50の筐体固定面55(図3)に固定される。アッパーシャーシ30には、図3に示すように、ホルダ50の突起部56と嵌合して、ホルダ50の上部を支持する溝部34が形成されている。
【0021】
側面32Aには、図2に示すように、複数(3つ)の半導体11を露出させる露出窓35が設けられており、この露出窓35は、並んで配置された複数(3つ)の半導体11よりも大きな切り欠き形状となっている。
上面部31には、上部に、上方に突出する複数(本実施の形態では、4つ)の突出部36が設けられるとともに、中央部に、上面部31をU字状に切り欠いた舌部37が設けられている。
【0022】
ヒートシンク40は、例えば金属材料を用いて、半導体11の最大ジャンクション温度(性能保証温度)を超過しない放熱容量面積を有する形状に形成され、本実施の形態では、アッパーシャーシ30の上面部31に対向する上面部41と、アッパーシャーシ30の側面32Aに対向する側面部42とを有して略L字状に形成されている。側面部42には、内側に凹んで、露出窓35から露出する複数(3つ)の半導体11に接触する半導体接触部43が設けられている。半導体接触部43は、複数(本実施の形態では、2つ)のねじ44によってホルダ50のヒートシンク固定面53,54(図3)に固定されている。
ヒートシンク40は、上面部41の四隅及び中央のねじ止め部45,46において、ねじ47によってアッパーシャーシ30の上面部31にねじ止めされる。ねじ止め部45,46は、上面部41を内側に同じ高さだけ突出したエンボス形状に形成されている。また、ヒートシンク40は、側面部42の下端の2カ所に設けられた内側に凹むねじ止め部48において、ねじ49によってロアーシャーシ20のヒートシンク固定凹部24に固定される。
【0023】
図4は図1のIV−IV断面を示す図であり、図5は図1のV−V断面を示す図であり、図6は図1のVI−VI断面を示す図である。
アッパーシャーシ30の上面部31とヒートシンク40の上面部41は、ねじ止め部45,46によって所定距離Lだけ離れており、上面部31,41間に空間Sが設けられている。上面部41の縁部41Aは、アッパーシャーシ30の3つの側面32B〜32Dと接触しておらず、上面部41の縁部41Aとアッパーシャーシ30との間が、車載受信装置1の3側面(側面32B〜32D)に亘って、外部に連通する連通部Aを形成している。
【0024】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
筐体2の外側にヒートシンク40を設けているため、ヒートシンク40の外気に触れる面積が広くなり、放熱効果を向上できる。このヒートシンク40は、露出窓35から露出する半導体11に接触しているため、半導体11の熱を吸収してヒートシンク40全体に熱流動させることにより、温度が上昇する。
本実施の形態では、アッパーシャーシ30の上面部31が、ヒートシンク40と、基板10、半導体12、受信ユニット13及び処理ユニット14等の内部部品(以下、単に内部部品と言う)との間に位置する介在部分となるので、この上面部31により、ヒートシンク40の熱が内部部品に伝わり難くなる。しかも、上面部31には、複数の通気孔30Aを形成したため、筐体2内部の熱が通気孔30Aを通ってヒートシンク40に伝わり外部に放出され易くなる。なお、半導体11は、基板10の端部10Aから離れた位置に配置されているため、筐体2と接触することがなく、半導体11の熱が筐体2に伝達し難くなっている。
【0025】
アッパーシャーシ30の上面部31とヒートシンク40の上面部41との間には空間Sが設けられているため、ヒートシンク40からアッパーシャーシ30への熱伝導を低減させて、アッパーシャーシ30の温度上昇を低減することにより、筐体2内部の温度上昇を抑えることができる。
さらに、上面部41の縁部41Aは、アッパーシャーシ30と接触しておらず、アッパーシャーシ30と上面部41の縁部41Aとの間が、空間Sが外部に連通する連通部Aを構成しているため、図4〜図6で破線矢印に示すように、筐体2内部の熱が、通気孔30Aを通って空間S内を流動し、連通部Aから外部に放出される。
【0026】
ヒートシンク40は、ロアーシャーシ20に対してはねじ止め部48で、アッパーシャーシ30に対してはねじ止め部45,46でのみ接触するため、筐体2とヒートシンク40との接触面積を小さくして、ヒートシンク40の熱を筐体2に伝わり難くすることができる。
また、ロアーシャーシ20とアッパーシャーシ30とは、基板10を中間部品として挟み込んで締結されているため、互いの接触を極力避けて、双方の熱伝導を極力低減させている。
このように、ロアーシャーシ20、アッパーシャーシ30及びヒートシンク40の接触部を極力低減させる構造としているため、筐体2から基板10への熱伝導を低減できる。その結果、基板10の温度上昇を低減でき、基板10上の内部部品の温度上昇を最小限に抑えて内部部品を保護できる。
【0027】
これに加え、ヒートシンク40は、ロアーシャーシ20の側面部22と、アッパーシャーシ30の上面部31及び側面32Aとを覆うように形成され、ロアーシャーシ20の側面部22に固定されるとともに、アッパーシャーシ30の上面部31に固定されるため、ヒートシンク40が筐体2の補強を兼ねることとなり、筐体2に剛性を持たせることができる。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態によれば、筐体2の外側にヒートシンク40を設けたため、ヒートシンク40の外気に触れる面積が広くなり、放熱効果を向上できる。また、ヒートシンク40と内部部品との間に筐体2が介在するため、この筐体2により、ヒートシンク40の熱が内部部品に伝わり難くなる。しかも、筐体2には、ヒートシンク40と内部部品との間に位置する上面部31に、複数の通気孔30Aを形成したため、筐体2内部の熱が通気孔30Aを通ってヒートシンク40に伝わり外部に放出され易くなる。
【0029】
また、本実施の形態によれば、ヒートシンク40を、上面部31との間に空間Sを設けて配置したため、ヒートシンク40の熱が筐体2に伝わり難くなる。
【0030】
また、本実施の形態によれば、空間Sが外部に連通する連通部Aを設けたため、筐体2内部の熱が上面部31の通気孔30A及び空間Sを通って外部に放出される。
【0031】
また、本実施の形態によれば、ヒートシンク40と上面部41は、ねじ止めされ、ねじ止め部45,46でのみ接触する構成とした。この構成により、筐体2をヒートシンク40によって補強しつつ、ヒートシンク40の筐体2とヒートシンク40との接触面積を小さくして、ヒートシンク40の熱を筐体2に伝わり難くすることができる。
【0032】
また、本実施の形態によれば、半導体11を、当該半導体11が実装される基板10に立てて設置されたホルダ50に固定する構成とした。この構成により、半導体11を基板10に立設できるので、半導体11と基板10との接触面積を小さくして半導体11から基板10への熱の伝達を抑えることができるとともに、ヒートシンク40を半導体11に容易に接触させることができる。
【0033】
また、本実施の形態によれば、ホルダ50に、半導体11,12を位置決めして固定する爪部51A,52Aを設ける構成とした。この構成により、半導体11を安定して保持できるので、半導体11をヒートシンク40に確実に接触させることができ、半導体11を確実に冷却できる。
【0034】
また、本実施の形態によれば、ホルダ50の上部に、筐体2に設けた溝部34と嵌合する突起部56を有する構成とした。この構成により、基板10に立てて設置したホルダ50を安定して保持できるので、半導体11をヒートシンク40に確実に接触させることができ、半導体11を確実に冷却できる。
【0035】
但し、上記実施の形態は本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、上記実施の形態では、半導体は、基板の端部に配置されたが、基板の四辺のいずれに配置されてもよい。この場合、半導体の配置位置に応じて、アッパーシャーシの露出窓やヒートシンクの半導体接触部を形成すればよい。
また、上記実施の形態では、電子機器として車載受信装置を説明したが、電子機器はこれに限定されるものではなく、例えば、オーディオ機器や電源装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 車載受信装置(電子機器)
2 筐体
10 基板(内部部品)
11 半導体
12 半導体(内部部品)
13 受信ユニット(内部部品)
14 処理ユニット(内部部品)
30A 通気孔
31 上面部(介在部分)
34 溝部
35 露出窓
40 ヒートシンク
45,46 ねじ止め部
50 ホルダ
51A,52A 爪部
56 突起部
A 連通部
S 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に半導体及び内部部品を配置した電子機器において、
前記筐体に前記半導体を露出させる露出窓を形成し、
前記筐体の外側にヒートシンクを前記露出窓から露出する半導体に接触させて設け、
前記筐体には、前記ヒートシンクと前記内部部品との間に位置する介在部分に、複数の通気孔を形成したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記ヒートシンクを、前記介在部分との間に空間を設けて配置したことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記空間が外部に連通する連通部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ヒートシンクと前記介在部分は、ねじ止めされ、ねじ止め部でのみ接触することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記半導体を、当該半導体が実装される基板に立てて設置されたホルダに固定したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記ホルダに、前記半導体を位置決めして固定する爪部を設けたことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記ホルダの上部に、前記筐体に設けた溝部と嵌合する突起部を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−65584(P2013−65584A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198145(P2011−198145)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】