説明

電子現像型カメラのホワイトバランス調整装置

【課題】 電子現像型記録媒体に入射する各色成分の光強度を調整することにより、適正な色の画像を得る。
【解決手段】 撮影光学系12よりも電子現像型記録媒体30側に、開口部52を形成する。開口部52の外側に、第1および第2の照明機構53、54を配設する。これらの照明機構53、54は、撮影時に電子現像型記録媒体30にストロボ光を照射する。第1の照明機構53は第1の色温度のストロボ光を出射し、第2の照明機構54は第1の色温度とは異なる第2の色温度のストロボ光を出射する。電子現像型記録媒体30の受光面にストロボ光が均一に照射されるようにするため、第1および第2の照明機構53、54の出射面には、それぞれ拡散板53a、54aを設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、露光により得られた画像を電子的に現像する記録媒体を使用するカメラに関し、特に記録媒体に画像を記録する時にホワイトバランス調整を行う装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、撮影レンズにより得られた光学像を電子的に現像することができる写真材料が知られており、例えば特開平5−2280号公報には、静電情報記録媒体と電荷保持媒体とを組み合わせた記録媒体が開示されている。この明細書では、このような記録媒体を電子現像型記録媒体と呼び、また、この電子現像型記録媒体を用いたカメラを電子現像型カメラと呼ぶ。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】カラー画像を撮影する電子現像型カメラとして、1回のシャッターレリーズ動作によって1枚のカラー画像を得る構成が考えられる。このような構成では、電子現像型記録媒体の前方に例えばレッド、グリーンおよびブルーのフィルタ要素を有するカラーフィルタが配設される。
【0004】しかし、各フィルタ要素を介して電子現像型記録媒体に照射される光の照度は、カラーフィルタの特性、あるいは被写体に対する照明の特性等のために必ずしも同じにはならない。したがって例えば、電子現像型記録媒体から画像を読み出す時に、ホワイトバランス調整を行うことが必要であり、このため電子現像型カメラ内に、各色成分の光の相対エネルギ量を検出するためのホワイトバランスセンサと、このセンサからの出力信号を色温度情報に変換するとともに、画像再生時に、この色温度情報に基づいてホワイトバランス調整を行うホワイトバランス信号処理回路等の回路を設けることが可能である。しかし、このような構成によると、種々の回路を設けるために電子現像型カメラ内の回路構成が複雑になるという問題がある。
【0005】本発明は、電子現像型記録媒体に入射する各色成分の光の相対エネルギ量を調整することにより、適正な色の画像を得ることができる電子現像型カメラのホワイトバランス調整装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電子現像型カメラのホワイトバランス調整装置は、第1の色温度の光を電子現像型記録媒体に対して照射する第1の照射手段と、第1の色温度とは異なる第2の色温度の光を電子現像型記録媒体に対して照射する第2の照射手段と、周囲光の色温度を検出する測色手段と、この測色手段により検出された色温度に応じて、第1および第2の照射手段により照射される光量をそれぞれ独立に制御する光量制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】第1の照射手段は例えば、第1の色温度のストロボ光を発光可能な第1の発光管を有し、第2の照射手段は例えば、第2の色温度のストロボ光を発光可能な第2の発光管を有する。第1および第2の発光管の前方に、透過光量を制御する第1および第2のモノクロ液晶フィルタがそれぞれ配設されてもよい。この場合、光量制御手段は第1および第2のモノクロ液晶フィルタの濃度を制御するように構成されることが好ましい。
【0008】第1の照射手段は例えばアンバー系のストロボ光を発光可能であり、第2の照射手段は例えばブルー系のストロボ光を発光可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施形態を適用したスチルビデオカメラの外観図である。このカメラは電子現像型カメラであり、記録媒体として電子現像型記録媒体を使用するものである。
【0010】カメラ本体11を前方から見ると、前面の略中央には撮影レンズ等を備えた撮影光学系12が設けられ、撮影光学系12の左上方にはレリーズスイッチ14が設けられている。ファインダ15はカメラ本体11の上面の中央部に設けられ、ファインダ15の側方にはスキャナスイッチ16が設けられている。このカメラにより得られた画像信号を外部の記録装置等に出力するため、カメラ本体11の側面の下部には外部出力端子17が配設されている。またカメラ本体11の側面の下部には、カメラ本体11内に電子現像型記録媒体を装着するためのスロットが形成され、このスロットは通常、蓋18によって閉塞されている。
【0011】図2は、本実施形態のスチルビデオカメラのブロック図である。システムコントロール回路20はマイクロコンピュータであり、本スチルビデオカメラの全体の制御を行う。
【0012】撮影光学系12には複数のレンズ群の他、絞り12aが設けられている。撮影光学系12の後方には電子現像型記録媒体30が配設されている。撮影光学系12と電子現像型記録媒体30の間にはクイックリターンミラー21が設けられ、クイックリターンミラー21と電子現像型記録媒体30の間にはシャッタ22が設けられている。クイックリターンミラー21の上方にはファインダ光学系23のピント板23aが配設されている。
【0013】絞り12a、クイックリターンミラー21およびシャッタ22は、それぞれアイリス駆動回路24、ミラー駆動回路25およびシャッタ駆動回路26によって駆動され、これらの回路24、25、26は露出制御回路27により制御される。露出制御回路27はシステムコントロール回路20から出力される指令信号に従って動作する。すなわち、露出制御時、測光センサ28からの出力信号に基づく露出制御回路27の制御に従って、絞り12aはアイリス駆動回路24により開度を調整される。クイックリターンミラー21は通常、被写体像を観察する位置であるダウン位置(実線により示される傾斜状態)に定められ、撮影光学系12を通過した光をファインダ光学系23に導いているが、撮影動作時、露出制御回路27の制御に従い、ミラー駆動回路25によって上方に回動せしめられアップ位置(破線により示される水平状態)に定められる。シャッタ22は通常閉塞しているが、撮影動作時、露出制御回路27の制御に従って、シャッタ駆動回路26によって所定時間開放され、これにより撮影光学系12を通過した光が電子現像型記録媒体30の受光面に照射される。
【0014】電子現像型記録媒体30の前面側には、例えばレッド(R)、グリーン(G)およびブルー(B)の色フィルタ要素が、図3に示されるようなベイヤー方式に従って配置されたカラーフィルタ55が設けられる。電子現像型記録媒体30は記録媒体駆動回路41の制御に基づいて電圧を印加され、この電圧印加の間に露光されることによって電子現像型記録媒体30には、撮影光学系12によって結像されたカラー画像が可視像として現像される。なお記録媒体駆動回路41は、システムコントロール回路20から出力される指令信号に従って動作する。
【0015】電子現像型記録媒体30は、カラーフィルタ55とは別体であり、記録媒体移送機構51によって直線的に変位可能である。記録媒体移送機構51はシステムコントロール回路20によって制御され、撮影動作時、電子現像型記録媒体30は静止しているが、電子現像型記録媒体30に記録された画像が読み取られる時、電子現像型記録媒体30は記録媒体移送機構51によって移送される。
【0016】この画像の読み取り動作のため、例えばLED(発光素子)から成る光源42とスキャナ光学系43とラインセンサ44が設けられている。光源42は、電子現像型記録媒体30の前面側すなわち撮影光学系12側に配設され、スキャナ光学系43とラインセンサ44は電子現像型記録媒体30の背面側に配設されている。すなわち画像の読み取り動作時、電子現像型記録媒体30は光源42によって照明され、スキャナ光学系43の作用によってラインセンサ44の受光面に結像される。なおラインセンサ44は、例えば2000画素のCCD1次元センサ等を用いることができる。
【0017】光源42のオンオフ制御は照明光源駆動回路45により行われ、ラインセンサ44に発生した画素信号の読み出し動作等の制御はラインセンサ駆動回路47により行われる。これらの回路45、47はシステムコントロール回路20により制御される。
【0018】ラインセンサ44から読み出された画素信号は、アンプ61により増幅され、A/D変換器62によってデジタル信号に変換される。デジタルの画素信号は、システムコントロール回路20の制御に従って、画像処理回路63においてシェーディング補正およびガンマ補正等の処理を施された後、画像データとしてメモリ64に一時的に格納される。メモリ64は、1画面分の記憶容量を有している。また、メモリ64はE2 PROMを備えており、このE2 PROMにはシェーディング補正等の補正値が格納される。
【0019】メモリ64から読み出された画素信号は、画像処理回路63からインターフェイス回路65に入力されてフォーマットの変換等の所定の処理を施され、出力端子17を介して外部のコンピュータ(図示せず)等に出力可能である。また画像処理回路63から出力された画像データは、記録装置制御回路66において、画像圧縮あるいはフォーマットの変換等の所定の処理を施され、画像記録装置67において例えばICメモリカード等の記録媒体に記録可能である。インターフェイス回路65および記録装置制御回路66はシステムコントロール回路20からの指令信号に従って動作する。
【0020】システムコントロール回路20には、レリーズスイッチ14とスキャナスイッチ16が接続され、これらのスイッチ14、16の操作に従って、撮影動作および画像信号の読出し動作等が行われる。またシステムコントロール回路20には、このスチルビデオカメラの種々の設定状態等を表示するための表示素子68がが接続されている。
【0021】図4は電子現像型記録媒体30の構成を示す図であり、これは特開平5−2280号公報に開示されたものと同じである。すなわち電子現像型記録媒体30は静電情報記録媒体31と電荷保持媒体32を備えており、静電情報記録媒体31と電荷保持媒体32は電源33によって電圧を印加される。静電情報記録媒体31は、基板34、電極層35、無機酸化物層36および光導電層37を積層して成り、光導電層37は電荷発生層37aと電荷輸送層37bを重合させて構成される。電荷保持媒体32は、液晶支持体38と液晶電極層39の間に液晶40を封入して構成される。静電情報記録媒体31の電荷輸送層37bと電荷保持媒体32の液晶支持体38とは微小間隙をもって対向している。
【0022】電源33は記録媒体駆動回路41によりオンオフ制御され、電源33がオン状態のとき、電極層35と液晶電極層39の間、すなわち静電情報記録媒体31と電荷保持媒体32に電圧が印加される。この電圧印加状態で静電情報記録媒体31が露光されると、静電情報記録媒体31には、画像に応じた電荷が発生する。この電荷に応じて、液晶40に作用する電界の強さが変化するため、液晶40には、その画像が可視像として表示され、被写体像が現像される。この電荷保持媒体32はメモリタイプの液晶を用いた液晶表示素子であり、現像された可視像は電界を除去しても保持される。メモリタイプの液晶を用いた液晶表示素子は、加熱装置(図示せず)を用いて所定の温度に加熱することにより、現像された可視像を消去させることもでき、その場合は繰り返し同一記録媒体を用いることもできる。
【0023】図5は、撮影光学系12と電子現像型記録媒体30が配置される部位の近傍の構成をファインダ23(図2参照)側から見た図であり、図6は撮影光学系12を電子現像型記録媒体30側から見た図である。
【0024】これらの図に示されるように、撮影光学系12よりも電子現像型記録媒体30側には開口部52が形成され、開口部52の外側には第1および第2の照明機構53、54が配設されている。これらの照明機構53、54は、撮影時に電子現像型記録媒体30にストロボ光を照射するものであり、第1の照明機構53は第1の色温度のストロボ光を出射し、第2の照明機構54は第1の色温度とは異なる第2の色温度のストロボ光を出射する。電子現像型記録媒体30の受光面にストロボ光が均一に照射されるようにするため、第1および第2の照明機構53、54の出射面には、それぞれ拡散板53a、54aが設けられている。第1および第2の照明機構53、54は図6に示されるように、相互に平行に延び、その長さは開口部52と略同じである。
【0025】図7は第1および第2の照明機構53、54の外観を示している。この図に示されるように、照明機構53、54において、拡散板53a、54aはハウジング53b、54bの全長に渡って設けられている。ハウジング53b、54b内には、発光管であるキセノン管(図示せず)が収容されている。
【0026】図8は、第1および第2の照明機構53、54の他の部材に対する位置関係を示している。これらの照明機構53、54は撮影光学系12とクイックリターンミラー21の間であって、クイックリターンミラー21の回転動作を妨げない位置に配設されている。
【0027】図9は、第1および第2の照明機構53、54を備えたストロボ装置70と、ストロボ装置70の発光動作を制御するための回路の構成を示している。
【0028】測光センサ90は、例えばフォトダイオード等の光電変換素子からなり、ストロボ装置70から出射され電子現像型記録媒体30において反射した光F1および撮影光学系を通して結像される被写体光Sを受光して光電変換し、これによって電子現像型記録媒体30の受光面における輝度が測定される。測色センサ29は、いわゆるホワイトバランスセンサであり、可視光線の分光感度が異なる複数の光電変換素子からなる。測色センサ29の出力信号は色温度演算回路84において所定の処理を施され、これにより、被写体SBの周囲光E1の色温度が求められる。この色温度情報はシステムコントロール回路20に入力され、後述するように、この色温度情報に基づいてストロボ装置70の発光色温度が決定される。
【0029】測光センサ90は積分回路81に接続されており、測光センサ90によって光電変換された信号は、システムコントロール回路20から入力される積分開始信号T1に従って積分される。積分回路81は比較回路82を介してシステムコントロール回路20に接続されており、比較回路82にはD/A変換器83が接続されている。比較回路82では、D/A変換器83から入力される電圧値(信号T2)と、積分回路81から入力される積分値とが比較され、その比較結果はクエンチ信号T3としてシステムコントロール回路20に出力される。このクエンチ信号T3に基づいて、キセノン管55、56の発光が停止される。なお、キセノン管55、56は、図5〜図8に示される第1および第2の照明機構53、54のハウジング53b、54bの中に収容されている。
【0030】ストロボ装置70はシステムコントロール回路20に接続されている。ストロボ装置70のキセノン管55、56の発光開始と停止はシステムコントロール回路20によって制御され、また、これらのキセノン管55、56の発光量は相互に独立に制御される。第1のキセノン管55は、その外周面にアンバー系の色フィルタがコーティングされており、色温度の低いストロボ光を発光する。第2のキセノン管56は、その外周面にブルー系の色フィルタがコーティングされており、色温度の高いストロボ光を発光する。各キセノン管55、56の前方には、ゲストホスト型のモノクロ液晶フィルタ57、58が配設されている。これらのフィルタ57、58の濃度は印加される電圧の振幅値によって変化し、フィルタ制御回路71、72によって制御される。フィルタ制御回路71、72はシステムコントロール回路20から出力される制御信号に基づいて作動する。
【0031】充電回路73から延びる信号線A1には、メインコンデンサ74の正電極と抵抗器75とキセノン管55、56のアノード端子とが接続され、また充電回路73から延びる信号線A2には、メインコンデンサ74の負電極とトリガトランス76の共通端子と、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)77のエミッタ端子とが接続されている。メインコンデンサ74は、信号線A1を介して充電回路73によりインパルス電圧が印加され、電荷が蓄積される。トリガトランス76の低圧側コイルは、トリガ用コンデンサ78を介して抵抗器75の一端に接続されている。この抵抗75の一端は、キセノン管55、56のカソード端子に接続されている。
【0032】IGBT77のベース端子はシステムコントロール回路20に接続されており、システムコントロール回路20から出力される発光トリガ信号T4によってIGBT77がONされ、IGBT77のコレクタ端子からエミッタ端子へ電流が流れる。これによりトリガ用コンデンサ78の電荷が放電され、トリガトランス76の低圧側コイルに電流が流れて高圧側コイルにトリガパルスが誘導される。このトリガパルスはキセノン管55、56のトリガ電極に印加され、これによりメインコンデンサ74の電荷が放電されて、キセノン管55、56はストロボ光F2、F3を照射する。
【0033】システムコントロール回路20には、電子現像型カメラ本体に設けられたレリーズスイッチ14が接続されており、レリーズスイッチ14の操作に応じて各種制御が行われる。また、システムコントロール回路20に設けられたメモリ20aには、モノクロ液晶フィルタ57、58の濃度を決定するために必要なデータが格納されている。
【0034】図10は、測光センサ90と積分回路81と比較回路82とD/A変換器83との接続状態を示している。積分回路81はオペアンプ81a、積分コンデンサ81bおよびリセットスイッチ81cを有している。測光センサ90はフォトダイオードから構成され、オペアンプ81aの反転信号入力端子と非反転入力端子との間に接続されている。オペアンプ81aの非反転入力端子には積分開始前の基準電圧値を与える基準電源81dが接続されている。
【0035】オペアンプ81aの反転入力端子と出力端子との間には、積分コンデンサ81bとリセットスイッチ81cとが並列に接続されており、システムコントロール回路20から入力される積分開始信号T1によってリセットスイッチ81cの開閉が制御される。リセットスイッチ81cが開放されると、オペアンプ81aによって、測光センサ90において発生する光電流が積分される。オペアンプ81aの出力端子は、比較回路82の反転入力端子に接続されている。
【0036】比較回路82の非反転入力端子にはD/A変換器83が接続されており、比較回路82では、D/A変換器83の出力信号T2の電圧値とオペアンプ81aの出力信号T5の電圧値とが比較される。信号T5の電圧値が信号T2の電圧値よりも低下すると、クエンチ信号T3が比較回路82からシステムコントロール回路20へ出力される。なお信号T2の電圧値(すなわち適正積分値)は、システムコントロール回路20からD/A変換器83に与えられるデジタルデータよって定められ、この信号T2の電圧値設定は、後述する適正積分値設定処理によって行われる。
【0037】図11は本実施形態における撮影動作を示すタイミングチャート、図12〜図14は撮影動作を実行するプログラムのフローチャートである。これらの図を参照して本実施形態の作用を説明する。
【0038】このプログラムはレリーズスイッチ14がオン状態にされたことにより開始する(符号S11)。ステップ101では、測光センサ28による測光データに基づいて、被写体SBの光量測定が行われ、測光値が検出される。ステップ102では、測色センサ29からの出力信号に基づいて、被写体SBの周囲光の色温度に対応したデータすなわち測色値が検出される。ステップ103では、測光値に基づいて露出演算が開始され(符号S12)、ステップ104では、測色値に基づいて測色演算が開始される(符号S13)。ステップ105では記録媒体活性化信号がオン状態に定められ(符号S14)、電子現像型記録媒体30に電圧が印加される。
【0039】測色演算が完了していない場合、測色演算が完了するまで、ステップ106、107が繰り返し実行される。測色演算が完了するとステップ107からステップ108へ進み、露出演算が完了したか否かが判定される。このようにして、露出演算と測色演算が共に完了すると、ステップ111以下へ進み、電子現像型記録媒体30に照射されるストロボ光の光量制御が行われる。
【0040】ステップ111では、メモリ20aに格納されているモノクロ液晶フィルタ57、58の濃度に関するデータが読み出される(符号S15)。ステップ112において、濃度データの読出しが完了したことが確認されると、ステップ113では、濃度データに基づいてモノクロ液晶フィルタ57、58に所定の大きさの電圧が印加される(符号S16)。これによりフィルタ57、58が測色した色温度に対応して所定の濃度(透過率)に定められる。ステップ114では、絞り12aが露出演算の結果に応じた開口度に定められるとともに(符号S17)、クイックリターンミラー21がダウン状態からアップ状態に変化する(符号S18)。ステップ115においてミラー21のアップ状態への変化と絞り12aの開度調整が完了したことが確認されると、ステップ116において、シャッタ22が開放する(符号S19)。
【0041】ステップ117では、キセノン管55、56の最大発光時間がタイマーにセットされるとともに、タイマーの計時動作が開始する。そしてステップ118では、リセット信号T1が積分回路81に入力され、これにより積分回路81の積分値出力がリセットされる。ステップ119では、ストロボ装置70による調光制御を行うため、キセノン管55、56に対応した適正露光値(デジタルデータ)がD/A変換器83に出力され、アナログ信号T2に変換されて、比較回路82に出力される。
【0042】ステップ120では、シャッター22の全開に同期して、リセット信号T1の出力が停止されて積分回路81のリセットが解除され、測光センサ90において発生する光電流がオペアンプ81aによって時間的に積分される。この積分の開始とともに、ステップ121ではIGBT77に対して発光トリガ信号T4が出力され、これによりIGBT77がオン状態に定められる。この結果、キセノン管55、56のトリガ電極にトリガ電圧が印加され、キセノン管55、56からストロボ光が照射される(符号S20)。
【0043】このストロボ光により電子現像型記録媒体30からの反射光F1が増大し、これにより積分回路81からの出力積分値が信号T2の値(適正露光値)に達すると、比較回路82によりクエンチ信号T3が出力される。ステップ122においてクエンチ信号T3の出力が確認されると、ステップ124において発光トリガ信号T4の出力が停止し、IGBT77がオフ状態となってキセノン管55、56の発光が停止する。ステップ122においてクエンチ信号T3の出力が確認されない場合、ステップ123において、タイマーによる経時時間がタイムーオーバとなっていないか否かが判断され、タイムオーバでない場合にはステップ122に戻り、再度クエンチ信号T3の出力が判定される。これに対し、タイムオーバとなった場合には、ステップ124において発光トリガ信号T4の出力が強制的に停止される。発光トリガ信号T4の出力が停止すると、IGBT77がオフ状態に切り換えられ、キセノン管55、56のストロボ発光が停止する。次いで、ステップ125においてタイマーが停止され、キセノン管55、56の発光制御は終了する(符号S21)。
【0044】ステップ103において開始された露出演算により求められた露出期間が経過し、ステップ126において露出が完了したことが検出されると、ステップ127においてシャッタ22が閉じる(符号S22)。このシャッタ22の閉塞動作の完了に伴い、ステップ128が実行され、ミラー21がダウン状態に変化するとともに(符号S23)、絞り12aが全開状態まで開放する(符号S24)。ステップ129では記録媒体活性化信号の出力が停止されるとともに(符号S25)、モノクロ液晶フィルタ57、58に対する電圧印加が停止される(符号S26)。
【0045】すなわち、記録媒体活性化信号は少なくともシャッタ22が開放している間出力され、この間、電子現像型記録媒体30に所定の電圧が印加される。そして、この状態で露光されることにより、電子現像型記録媒体30には被写体像が可視像として現像され、この可視像は記録媒体活性化信号の出力が停止しても保持される。このように被写体像は、ホワイトバランス調整された状態で電子現像型記録媒体に記録される。
【0046】ステップ130において、ミラー21と絞り12aが初期状態に復帰したことが確認されると、ステップ131においてミラー21と絞り12aの駆動が停止され、記録動作のプログラムは終了する。
【0047】図15は、周囲光E1の色温度と電子現像型記録媒体30上の画像の色差信号(R−Y,B−Y)との関係を示す図である。この図を参照して、ストロボ装置70によるホワイトバランス調整すなわちモノクロ液晶フィルタ57、58の濃度の制御について説明する。
【0048】周囲光E1の色温度が高くなるほど、色差信号(R−Y)の出力レベルが低くなり、色差信号(B−Y)の出力レベルが高くなる。また色差信号(R−Y)と色差信号(B−Y)の出力レベルは、周囲光E1の色温度が基準値K1(例えば4700°K)のとき等しくなり、このような場合、ストロボ装置70の発光色温度は基準値K1に定められる。
【0049】周囲光E1の色温度K2が基準値K1よりも低いとき、色差信号(R−Y)の出力レベルが相対的に高くなる。このような場合、ストロボ装置70による発光色温度K3は基準値K1よりも所定値だけ高く定められ、これにより電子現像型記録媒体30からの反射光F1の色温度は基準値K1に調整される。より具体的には、周囲光E1が赤みを帯びているときは、ブルー系のストロボ光量がアンバー系のストロボ光量よりも多くなるように、フィルタ57の濃度が小さく(透過率大)、フィルタ58の濃度は大きく(透過率小)制御され、電子現像型記録媒体30において現像された画像の色調が調整される。
【0050】同様に、周囲光E1の色温度K2が基準値K1よりも高いときは、ストロボ装置70による発光色温度K3は基準値K1よりも所定値だけ低く定められる。
【0051】このようなストロボ光の色温度の調整はキセノン管55、56の前方に設けられた液晶フィルタ57、58の濃度を調整することによって行われる。システムコントロール回路20のメモリ20aには、周囲光の色温度と各液晶フィルタ57、58の濃度との関係を示す情報がデータテーブルとして記憶されている。
【0052】すなわち周囲光E1の色温度が求められると、この色温度情報に基づいてメモリ20aが参照され、モノクロ液晶フィルタ57、58の濃度データが読み出される。フィルタ制御回路71、72では、これに基づいて、各フィルタ57、58に対する制御電圧が定められ、これにより各フィルタ57、58の濃度がそれぞれ所定値に制御されて透過光量が制御され、各キセノン管55、56から照射されるストロボ光の合成光の色温度が調整される。
【0053】以上のように本実施形態は、周囲光の色温度に応じたストロボ光を電子現像型記録媒体30に照射するように構成されている。換言すると、電子現像型記録媒体の露光時間は各色温度成分の画素毎では同一であるが、ストロボ光により、各色成分毎の入射照度のバランスを補正制御するように構成されている。したがって電子現像型記録媒体30では、常にホワイトバランス調整を施された画像が現像されることとなり、例えばラインセンサを用いてこの画像を読み出した後、この読み出された画像に対してホワイトバランス調整を行う必要がない。すなわち本実施形態によれば、ホワイトバランス信号処理回路等の回路を設ける必要がなくなり、電子現像型カメラ内の回路構成を簡単にすることができる。
【0054】また本実施形態によれば、撮影動作時、ストロボ装置70によって電子現像型記録媒体30が照射されるため、電子現像型記録媒体30上の画像の暗部の階調がとれないために画像が不明瞭になることはなく、いわゆる画像の暗部潰れが防止される。
【0055】図16〜図18は、本発明の第2の実施形態を示している。図16は、撮影光学系12と電子現像型記録媒体30が配置される部位の近傍の構成をファインダ23(図2参照)側から見た図、図17は、第1および第2の照明機構53、54の他の部材に対する位置関係を示す図、図18は第1および第2の照明機構53、54の外観を示している。
【0056】これらの図に示されるように、照明機構53、54は相互に接触した状態で、ハーフミラーであるペリクルミラー91の下方に配置されている。また、照明機構53、54の長手方向は、撮影光学系12の光軸に略垂直な方向を向いている。
【0057】ペリクルミラー91は第1の実施形態のクイックリターンミラー21とは異なり、回動しない。すなわち、撮影光学系12を通過した光の一部はペリクルミラー91を通って電子現像型記録媒体30に導かれ、他の光はペリクルミラー91において反射し、ファインダ23に導かれる。撮影動作では、第1の実施形態と同様に、照明機構53、54が駆動され、ペリクルミラー91において反射した照明光が電子現像型記録媒体30に導かれる。
【0058】その他の構成および作用は、基本的に第1の実施形態と同様であり、したがって第2の実施形態によっても、第1の実施形態と同様な効果が得られる。
【0059】なお、電子現像型記録媒体30は上述した構成のものに限定されず、画像を電子的に現像するものであれば、他の構成であってもよい。
【0060】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、電子現像型記録媒体に入射する各色成分の光の相対エネルギ量を調整することにより、適正な色の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を適用したスチルビデオカメラの外観図である。
【図2】図1のスチルビデオカメラの回路構成を示すブロック図である。
【図3】カラーフィルタの色フィルタ要素の配列を示す図である。
【図4】電子現像型記録媒体の構成を示す図である。
【図5】撮影光学系と電子現像型記録媒体が配置される部位の近傍の構成をファインダ側から見た図である。
【図6】撮影光学系を電子現像型記録媒体側から見た図である。
【図7】第1および第2の照明機構の外観を示す斜視図である。
【図8】第1および第2の照明機構の他の部材に対する位置関係を示す図である。
【図9】ストロボ装置と、このストロボ装置の発光動作を制御するための回路の構成を示すブロック図である。
【図10】測光センサと積分回路と比較回路とD/A変換器との接続状態を示すブロック図である。
【図11】撮影動作を示すタイミングチャートである。
【図12】撮影動作を実行するプログラムのフローチャートである。
【図13】撮影動作を実行するプログラムのフローチャートである。
【図14】撮影動作を実行するプログラムのフローチャートである。
【図15】周囲光の色温度と電子現像型記録媒体上の画像の色差信号との関係を示す図である。
【図16】第2の実施形態を示し、撮影光学系と電子現像型記録媒体が配置される部位の近傍の構成をファインダ側から見た図である。
【図17】第2の実施形態において、照明機構の他の部材に対する位置関係を示す図である。
【図18】第2の実施形態における第1および第2の照明機構の外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
29 測色センサ
30 電子現像型記録媒体
53 第1の照明機構
54 第2の照明機構
70 ストロボ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 結像されたカラー画像を電子的に現像する電子現像型記録媒体を用いる電子現像型カメラのホワイトバランス調整装置であって、第1の色温度の光を前記電子現像型記録媒体に対して照射する第1の照射手段と、前記第1の色温度とは異なる第2の色温度の光を前記電子現像型記録媒体に対して照射する第2の照射手段と、周囲光の色温度を検出する測色手段と、この測色手段により検出された色温度に応じて、前記第1および第2の照射手段により照射される光量をそれぞれ独立に制御する光量制御手段とを備えたことを特徴とする電子現像型カメラのホワイトバランス調整装置。
【請求項2】 前記第1の照射手段が第1の色温度のストロボ光を発光可能な第1の発光管を有し、前記第2の照射手段が第2の色温度のストロボ光を発光可能な第2の発光管を有することを特徴とする請求項1に記載の電子現像型カメラのホワイトバランス調整装置。
【請求項3】 前記第1および第2の発光管の前方に、透過光量を制御する第1および第2のモノクロ液晶フィルタがそれぞれ配設されることを特徴とする請求項2に記載の電子現像型カメラのホワイトバランス調整装置。
【請求項4】 前記光量制御手段が前記第1および第2のモノクロ液晶フィルタの濃度を制御することを特徴とする請求項3に記載の電子現像型カメラのホワイトバランス調整装置。
【請求項5】 前記第1の照射手段がアンバー系のストロボ光を発光可能であり、前記第2の照射手段がブルー系のストロボ光を発光可能であることを特徴とする請求項1に記載の電子現像型カメラのホワイトバランス調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図18】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図15】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開平9−266579
【公開日】平成9年(1997)10月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−340485
【出願日】平成8年(1996)12月5日
【出願人】(000000527)旭光学工業株式会社 (1,878)