説明

電子部品パッケージおよび電子部品パッケージの製造方法

【課題】パッケージ表面から離れた高さ位置に電子部品を保持できるとともに、その高さ位置の位置決め精度が良い電子部品パッケージおよび電子部品パッケージの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】絶縁材料からなる第一の基板2と、該第一の基板2の上下何れか一方の面より予め定めた深さに形成され開口部よりも底面部の方が小さくなるように形成された凹部3と、前記第一の基板2を上下に貫通し、一端が前記凹部3の側壁より露出するとともに、他端が前記第一の基板2の前記一方の面と対向する面に露出した導電材料からなる貫通電極4と、該貫通電極4の前記一端の上面に電気的に接続され、前記凹部3に収容されるように配置された電子部品6と、前記第一の基板2の前記一方の面側に接続され前記凹部3を外部の雰囲気と接触しないように封止する第二の基板8と、を備えたことを特徴とする電子部品パッケージ1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品を実装するための電子部品パッケージ及び当該電子部品パッケージの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体チップや水晶振動子、発光ダイオードなどの複数の電子部品を一つのパッケージ内に実装し、複雑な機能を実現するSIP(System In Package)という技術が開発され、用いられている。例えば、当該SIPの技術を用いた電子部品パッケージとして、水晶発振器の場合、水晶片からなる水晶振動子と、該水晶振動子を駆動し、出力を増幅発振し、温度等による水晶振動子の周波数の変化を補正する機能を備えた発振回路ICとが一つのパッケージ内に実装されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このように複数の電子部品を一つのパッケージ内に実装する場合、水平方向に並べて電子部品を配置するとパッケージ全体の寸法が大きくなる。そこで、このような問題を解決するために、例えば特許文献1では各電子部品を垂直方向に重ねて実装することで、パッケージの小型化を図っている。
【0004】
このような電子部品パッケージについて、図6を参照して説明する。図6は電子部品パッケージ101の断面図である。この電子部品パッケージ101は、セラミックからなる第一のベース102および第二のベース103と、第一のベース102の表面と第二のベース103の表面との間を連通するように設けられた貫通電極104と、第二のベース103に配置され貫通電極104と電気的に接続された内部電極105と、導電性接着剤によって内部電極105と電気的に接続された第一の電子部品106と、図示しない電極によって内部電極105と電気的に接続された端子107と、導電性接着剤108によって端子107の上端に電気的に接続された第二の電子部品109と、第一の電子部品106および第二の電子部品109を収容し第二のベース103に接続されたリッド110と、を備える。ここで、端子107は、例えば端子107の上端が第一の電子部品106の上面よりも高くなるように塗布されて焼成されたクリームはんだからなる。このように構成された電子部品パッケージ101では、第一の電子部品106と第二の電子部品109を垂直方向に重ねて実装するため、水平方向の寸法を小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−111344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図6に示す電子部品パッケージ101においては、下記のような問題がある。
すなわち、電子部品パッケージ101の端子107の上端が第一の電子部品106の上面よりも高くなるように形成しなければならないので、第二の電子部品109は、第二のベース103の表面から高く突出するように配設せざるを得ない。その結果、電子部品パッケージ101は、第二の電子部品109を端子107に実装する際に印加される荷重に耐えられる強度を持たせることが難しかった。また、電子部品パッケージ101は、内部に端子107を配設するための空間を設けなければならず、小型化することが難しかった。また、端子107は、好適にはクリームはんだを印刷したのち焼成して形成する。このような製造方法では、端子107の高さを精度良く形成し、第一の電子部品106と第二の電子部品109とが接触しないように第二の電子部品109を端子107上に実装することが難しかった。
【0007】
本発明は上記のような事情に考慮してなされたもので、その目的は、パッケージ表面から離れた高さ位置に電子部品を保持できるとともに、その高さ位置の位置決め精度が良い電子部品パッケージおよび電子部品パッケージの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
本発明の電子部品パッケージは、絶縁材料からなる第一の基板と、該第一の基板の上下何れか一方の面より予め定めた深さに形成され開口部よりも底面部の方が小さくなるように形成された凹部と、前記第一の基板を上下に貫通し、一端が前記凹部の側壁より露出するとともに、他端が前記第一の基板の前記一方の面と対向する面に露出した導電材料からなる貫通電極と、該貫通電極の前記一端の上面に電気的に接続され、前記凹部に収容されるように配置された電子部品と、前記第一の基板の前記一方の面側に接続され前記凹部を外部の雰囲気と接触しないように封止する第二の基板と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明にかかる電子部品パッケージは、貫通電極の上端が凹部の側壁から所定の高さにおいて露出しているため、貫通電極の上端に電子部品を実装すると、第一の基板の表面(凹部の底面)から所定の高さを空けて電子部品を保持することができる。貫通電極はその露出した箇所を除いた部分が第一の基板に埋め込まれているため、貫通電極の一端の上面に電子部品を実装する際に圧力をかけて押しつけても貫通電極は破損しない。また貫通電極はその露出した箇所を除いた部分が第一の基板に埋め込まれているため、貫通電極を設けるための空間はわずかであり、電子部品パッケージの小型化を図ることができる。
【0010】
また本発明の電子部品パッケージは、前記貫通電極に電気的に接続され前記凹部の底面部に配置された導電性薄膜からなる実装電極と、該実装電極に電気的に接続されて、水平位置が前記電子部品の水平位置と少なくとも一部が重複するように配置された第二の電子部品と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明にかかる電子部品パッケージは、電子部品と第二の電子部品との水平位置が少なくとも一部重複するように配置されているので、複数の電子部品を搭載するにもかかわらず、水平面の面積がかさばらない。そのため、本発明は、電子部品パッケージの小型化を図ることができる。
【0012】
また本発明の電子部品パッケージは、前記貫通電極は、複数からなり、水平位置が互いに離間し且つ前記一端の高さ位置が互いに異なるものを含むことを特徴とする。つまり、電子部品パッケージにこのような貫通電極を設けておくことで、電子部品パッケージの小型化を図りつつも、容易に複数の電子品を電子部品パッケージ内に実装することが可能となる。
【0013】
また、本発明の電子部品パッケージは、前記貫通電極の前記一端の上面に凹状の窪みが設けられたことを特徴とする。つまり、凹状の窪みに導電性接着剤を塗布すると、電子部品を接続する際に導電性接着剤が凹状の窪みの外部に流れ出さず、ショートなどの不具合を防ぐことができるため、電子部品パッケージの小型化を図ることができる。
【0014】
また、本発明の電子部品パッケージの製造方法は、絶縁性の材料からなる第一の基板の上下何れか一方の面に、予め定めた高さからなる導電性材料を埋設して貫通電極を形成する貫通電極工程と、前記第一の基板の前記一方の面と対向する面に、開口部よりも底面部の方が小さくなるように凹部を形成するとともに、前記貫通電極の前記一方の面側と対向する側の端部を該凹部の側壁に露出させる凹部工程と、前記凹部の側壁に露出した前記貫通電極の端部の上面に第一の電子部品を接続する電子部品実装工程と、前記第一の基板の前記一方の面と対向する面に第二の基板を接続し、前記凹部を外部の雰囲気と接触しないように気密に保つ封止工程と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる電子部品パッケージは、第一の基板の上下何れか一方の面に、予め定めた高さからなる導電性材料を埋設して形成した貫通電極を備えているので、貫通電極の一端の上面に電子部品を実装する際に圧力をかけて押しつけても貫通電極は破損しない。また電子部品パッケージは第一の基板の所定の位置に所定の深さで埋設された貫通電極を備えているので、貫通電極の高さ精度および位置精度を高く保つことができる。
【0016】
前記貫通電極工程は、前記第一の基板の前記一方の面に予め定めた深さの貫通電極用穴部を形成し、該貫通電極用穴部に導電性材料を充填することで前記貫通電極を形成することを特徴とする。
【0017】
本発明にかかる電子部品パッケージの製造方法は、第一の基板に予め定めた深さの貫通電極用穴部を形成し、その貫通電極用穴部に導電性材料を充填して貫通電極を設けるので、貫通電極用穴部を精度よく形成することで、貫通電極の水平方向の寸法および水平方向の位置ならびに深さを容易に高精度化することができる。
【0018】
前記貫通電極工程は、前記貫通電極用穴部を形成した後、前記貫通電極用穴部の内周面を覆うように、酸に対する耐腐食性を備えた材料からなる薄膜を成膜した上で、前記導電性材料を充填して前記貫通電極を形成することを特徴とする。
【0019】
本発明にかかる電子部品パッケージの製造方法は、貫通電極用穴部の内周面を覆うように酸(例えば、第一の基板にガラス材を用いる場合はフッ酸など)に対する耐腐食性を備えた材料からなる薄膜を成膜しているので、凹部工程において貫通電極を損傷させることなくフッ酸などのエッチング液を用いて凹部を形成することができる。
【0020】
また、本発明の電子部品パッケージの製造方法は、前記貫通電極工程は、前記第一の基板を該第一の基板を構成する材料の軟化点以上に加熱した状態で、該軟化点よりも高い軟化点を持つ棒状の導電性材料を圧入して埋設することで、前記貫通電極を形成することを特徴とする。
【0021】
本発明にかかる電子部品パッケージの製造方法は、第一の基板を該第一の基板を構成する材料の軟化点以上に加熱した状態で、該第一の基板を構成する材料の軟化点よりも高い軟化点を持つ棒状の導電性材料を圧入して埋設することで貫通電極を形成するため、工数を削減して水平方向の寸法および水平方向の位置ならびに深さを精度良く形成した貫通電極を備えた電子部品パッケージを得ることができる。
【0022】
また、本発明の電子部品パッケージの製造方法は、前記貫通電極工程は、酸に対する耐腐食性を備えた材料からなる薄膜を表面に成膜した棒状の導電性材料を圧入して埋設することで、前記貫通電極を形成することを特徴とする。
【0023】
本発明にかかる電子部品パッケージの製造方法は、表面に酸(例えば、第一の基板にガラス材を用いる場合はフッ酸など)に対する耐腐食性を備えた材料からなる薄膜を成膜した棒状の導電性材料を圧入して埋設して貫通電極を形成するため、凹部工程において貫通電極を損傷させることなくフッ酸などのエッチング液を用いて凹部を形成することができる。
【発明の効果】
【0024】
したがって、本発明は、パッケージ表面から離れた高さ位置に電子部品を保持できるとともに、その高さ位置の位置決め精度が良い電子部品パッケージおよび電子部品パッケージの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明にかかる電子部品パッケージの第1実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明にかかる電子部品パッケージの第1実施形態の製造方法を示す断面図である。
【図3】本発明にかかる電子部品パッケージの第2実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明にかかる電子部品パッケージの第3実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明にかかる電子部品パッケージの第4実施形態を示す断面図である。
【図6】従来の電子部品パッケージを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、本発明にかかる第1実施形態を、図1を参照して説明する。図1は本実施形態にかかる電子部品パッケージ1を示す断面図である。
【0027】
電子部品パッケージ1は、半導体チップや水晶振動子、発光ダイオードなどの電子部品を内部に収容するパッケージである。当該電子部品パッケージ1は、一方の面より所定の深さにわたって形成され開口部よりも底部の方が小さくなるように形成された凹部3を備える第一の基板2と、該第一の基板2を上下方向に貫通するように配置され、その一端が凹部3の側壁より露出し、その他端が第一の基板2の凹部3が形成されていない面(第一の基板2の底面)に露出した導電材料からなる一つまたは複数の貫通電極4と、該貫通電極4の凹部3の側壁に露出した一端の上面と電気的に接続され凹部3に収容されるように配置された第一の電子部品6と、第一の基板2の上面に接続され凹部3を外部の雰囲気と接触しないように気密に保つ第二の基板8と、からなる。
第一の基板2は、例えば、ホウ珪酸ガラスやソーダライムガラスなどの絶縁材料からなる。
【0028】
貫通電極4の上端は凹部3の側壁から所定の高さにおいて露出しているため、貫通電極4の上端に第一の電子部品6を実装すると、第一の基板2の表面(凹部3の底面)から所定の高さを空けて第一の電子部品6を保持することができる。
また貫通電極4は、そのほとんどが第一の基板2に埋め込まれ、その一端のみが凹部3の側壁から露出している。そのため、貫通電極4は、一端の上面に第一の電子部品6を実装する際、圧力をかけて押しつけられても、周面を覆う第一の基板2で保持されているために破損しない。
【0029】
また貫通電極4は、そのほとんどが第一の基板2に埋め込まれているため、凹部3内に当該貫通電極4を設けるための空間はわずかで良いので、電子部品パッケージ1を好適に小型化することができる。
【0030】
(電子部品パッケージの製造方法)
次に、本実施形態の電子部品パッケージ1の製造方法を、図2を参照して説明する。図2は、図1に示した電子部品パッケージ1の各製造工程を説明するための図である。また、本製造方法においては個別に電子部品パッケージ1を製造する方法を示しているが、例えば平板上に多数の電子部品パッケージ1を一括して製造し、最後に切断して個別の電子部品パッケージ1を得る場合も同一の製造方法を適用できる。
【0031】
まず、図2(a)(b)で示される貫通電極工程を行う。図2(a)に示すように、絶縁性の材料からなる第一の基板2の上下何れか一方の面の所定の位置に、予め定めた深さからなる貫通電極用穴部9を形成する。第一の基板2は、好適にはホウ珪酸ガラスやソーダライムガラスなどのガラスからなるが、例えばセラミックや石英などの材料を適用しても良い。ここで、第一の基板2がホウ珪酸ガラスやソーダライムガラスなどのガラスからなる場合、貫通電極用穴部9は、例えばフッ酸などのエッチング液を用いたウェットエッチング法を適用することにより、深さ、水平方向寸法ともに精度良く形成することができる。そして、フッ酸を用いて貫通電極用穴部9を形成する場合、金などのフッ酸に対して腐食しない材料をマスクとして用い、リソグラフィ技術を適用することにより、水平方向の寸法および水平方向の位置を精度良く決めた貫通電極用穴部9が形成される。
【0032】
なお、貫通電極用穴部9を形成する方法としては、上述したウェットエッチング法の他にReactive Ion Etching(RIE)を用いたドライエッチング法やサンドブラスト法、マイクロドリルを用いて機械的に形成する方法など種々の方法を選択することができる。
【0033】
次に図2(b)に示すように、貫通電極用穴部9の内部に導電性材料を充填し、貫通電極4を形成する。ここで、導電性材料は、例えばニッケルや銅が選択されれば、貫通電極用穴部9の内部に電気めっきなどの方法が用いられることで、精度良く充填される。また、貫通電極用穴部9の内周面を覆うように、金や白金などフッ酸にさらされても腐食しない導電性材料からなる薄膜を成膜した後、ニッケルや銅をめっきして充填するようにして貫通電極4を形成することで、後述する凹部工程において当該貫通電極4を損傷することなく好適に凹部3を形成できる。
【0034】
また、貫通電極工程としては、貫通電極用穴部9を形成することなく、棒状に形成した導電性材料を第一の基板2に圧入して貫通電極4を形成する方法も選択することができる。
【0035】
この方法を選択する場合、第一の基板2を当該第一の基板2の構成材料の軟化点以上に加熱した状態で、その軟化点よりも高い軟化点を持つ棒状の導電性材料を圧入して埋設することで、貫通電極4を形成することが出来る。そして、このようにして貫通電極4を形成した場合、貫通電極用穴部9を形成したのちに導電性材料を充填して貫通電極4を形成する場合に比べて、簡便な工程で貫通電極4を形成することができる。さらに、圧入する棒状の導電性材料の表面にあらかじめ金や白金などフッ酸にさらされても腐食しない導電性材料からなる薄膜を成膜しておけば、後述する凹部工程において貫通電極4を損傷することなく好適に凹部3を形成できる。
【0036】
次いで、凹部工程を行う。図2(c)に示すように第一の基板2の上下何れか一方の面のうち、貫通電極用穴部9を形成した面と対向する面を開口とする、貫通電極4の一部が側壁の一部から露出するように定めた深さからなる凹部3を形成する。凹部3の形成方法としては、第一の基板2がガラスからなる場合、フッ酸などのエッチング液を用いたウェットエッチング法や、型を圧入して凹部3を形成するプレス法などを選択することができる。凹部3は、ウェットエッチング法を用いると第一の基板2を高温にすることなく形成できる。また、凹部3は、プレス法を用いると側壁の形状を任意の形状に形成することができるので、例えば側壁の角度を垂直に近い角度となるように形成することで、電子部品パッケージ1の小型化を図ることができる。
【0037】
なお、凹部3の形成にウェットエッチング法を用いると、貫通電極4の上端はエッチング液にさらされる。また凹部3の形成にプレス法を用いると、貫通電極4の上端は、ガラスを除去できなかった場合、エッチング液で除去する必要があるので、ウェットエッチング法の場合と同様にエッチング液にさらされる。従って貫通電極工程で述べたように、貫通電極用穴部9の内周面にあらかじめ金を薄く成膜したのちに導電性材料を充填して貫通電極4を形成したり、棒状の導電性材料を圧入する場合に導電性材料の表面にあらかじめ金を薄く成膜したりしておけば、凹部工程において貫通電極4がエッチング液にさらされて損傷することを防ぐことができる。
【0038】
次いで、電子部品実装工程を行う。図2(d)に示すように凹部3の側壁に露出した貫通電極4の上端に、凹部3に収容されるように第一の電子部品6を接続する。このとき、貫通電極4の上端に導電性接着剤やはんだバンプを設けて第一の電子部品6を接続し、焼成すると、第一の電子部品6は、容易に貫通電極4の上端で接続、保持される。また、第一の電子部品6は、貫通電極4の上端に金からなるスタッドバンプを設け、当該第一の電子部品6と接触させて超音波を印加することにより、貫通電極4の上端に接続、保持することもできる。
【0039】
最後に封止工程を行う。図2(e)に示すように第二の基板8を第一の基板2の上部に接続して凹部3を封止し、当該凹部3を外部の雰囲気と接触しないように気密に保つことで、電子部品パッケージ1が得られる。ここで、平板上に多数の電子部品パッケージ1を一括して製造した場合には、図示しない切断線に沿って各々を切断することで個別の電子部品パッケージ1を得る。
【0040】
このように構成された電子部品パッケージ1では、めっきによって形成された貫通電極4または棒状の導電性材料によって形成された貫通電極4を備えているので、貫通電極4の一端の上面に第一の電子部品6を実装する際に圧力をかけて押しつけても貫通電極4は破損しない。また電子部品パッケージ1は貫通電極用穴部9を形成したのちに導電性材料を充填して形成された貫通電極4または棒状の導電性材料を圧入して形成された貫通電極4を備えているので、貫通電極4の高さ精度および位置精度を高く保つことができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明にかかる第2実施形態を、図3を参照して説明する。第2実施形態に係る電子部品パッケージ1Aにおいては、第1実施形態に係る電子部品パッケージ1と同一箇所については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0042】
図3は第2実施形態の電子部品パッケージ1Aを示す断面図である。
第2実施形態の電子部品パッケージ1Aにおいては、凹部3の底面および側壁に貫通電極4と電気的に接続されて配置された導電性薄膜からなる実装電極5と、該実装電極5に電気的に接続されて保持された第二の電子部品7を備えている。つまり、第二の電子部品7は、第一の電子部品6と凹部3とで形成されるスペースに配置される。
【0043】
このように構成された電子部品パッケージ1Aにおいては、一つの電子部品パッケージ1Aに複数の電子部品を実装し、System in Packageとして一つの電子部品では実現できなかった複雑な機能を実現することができる。例えば、第一の電子部品6として水晶振動子を選択し、第二の電子部品7として水晶発振回路ICを選択すれば、水晶振動子を駆動し増幅して所定の周波数信号を出力するような水晶発振器を得ることができる。また、第一の電子部品6として加速度センサーを、第二の電子部品7としてセンサー処理ICを選択すれば、加速度センサーに入力された加速度をセンサー処理ICで電気信号に変換し、各種の処理を行って出力する加速度センサーモジュールを得ることができる。
【0044】
また、第一の電子部品6は貫通電極4の上端に接続され凹部3の底面から所定の間隔を開けて保持され、第二の電子部品7は凹部3の底面に配置された実装電極5に接続されているので、第一の電子部品6および第二の電子部品7を少なくとも一部の水平方向位置が重なるように配置することができる。つまり、電子部品パッケージ1Aは、複数の電子部品を実装しつつも小型化することができるとともに、第一の電子部品6と第二の電子部品7の間の距離を短くし、第一の電子部品6と第二の電子部品7との間でやりとりされる電気信号へ及ぼされる減衰やノイズの影響を小さくすることができる。
【0045】
(第3実施形態)
次に、本発明にかかる第3実施形態を、図4を参照して説明する。第3実施形態に係る電子部品パッケージ1Bにおいては、第1実施形態および第2実施形態に係る電子部品パッケージと同一箇所については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0046】
図4は第2実施形態の電子部品パッケージ1Bを示す断面図である。電子部品パッケージ1Bは水平位置が互いに離間し且つ高さの異なる第一の貫通電極10と第二の貫通電極11を備えている。第一の電子部品6は第一の貫通電極10の上端に、第二の電子部品7は実装電極5に、第三の電子部品12は第二の貫通電極11の上端に、それぞれ電気的に接続されて保持されている。
【0047】
このような電子部品パッケージ1Bにおいては、一つの電子部品パッケージ1Bに複数の電子部品を実装し、System In Packageとして一つの電子部品では実現できなかった複雑な機能を実現することができる。例えば第一の電子部品6として水晶振動子、第二の電子部品7として温度センサー、第三の電子部品12として水晶発振回路ICを選択すれば、水晶振動子を駆動し増幅して所定の周波数信号を出力するとともに、電子部品パッケージ1の温度変化を温度センサーで検出し温度変化による水晶振動子の周波数変化を補正する温度補正機能付き水晶発振器を得ることができる。また第一の電子部品6として加速度センサー、第二の電子部品7として角速度センサー、第三の電子部品12としてセンサー処理ICを選択すれば、加速度および角速度を同時に測定し、電気信号として出力するモーションセンサーモジュールを得ることができる。
【0048】
また、第一の電子部品6は第一の貫通電極10の上端に接続され凹部3の底面から所定の間隔を開けて保持され、第二の電子部品7は凹部3の底面に配置された実装電極5に接続され、第三の電子部品12は第二の貫通電極11の上端に接続され第一の電子部品6から所定の間隔を開けて保持されている。つまり、電子部品パッケージ1Bでは、第一の電子部品6および第二の電子部品7ならびに第三の電子部品12を、それぞれの水平方向位置が重なるように配置することができる。そのため、電子部品パッケージ1Bは、複数の電子部品を実装しつつも小型化することができるとともに、第一の電子部品6と第二の電子部品7の間の距離を短くし、第一の電子部品6と第二の電子部品7との間でやりとりされる電気信号へ及ぼされる減衰やノイズの影響を小さくすることができる。
【0049】
また本実施形態においては2種類の高さを持つ第一の貫通電極10と第二の貫通電極11を備えた電子部品パッケージ1を説明したが、これらに加えてさらに異なる高さを持つ貫通電極を備え、多数の電子部品を重なるように配置することができ、電子部品パッケージ1を小型化することができる。
【0050】
(第4実施形態)
次に、本発明にかかる第4実施形態を、図5を参照して説明する。第4実施形態に係る電子部品パッケージ1Cにおいては、第1実施形態に係る電子部品パッケージ1と同一箇所については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0051】
図5は第4実施形態の電子部品パッケージ1Cを示す断面図である。貫通電極4の上端には接着剤塗布用凹部13(凹状の窪み)が設けられ、該接着剤塗布用凹部13には導電性接着剤14が塗布されている。そして、第一の電子部品6は導電性接着剤14によって接着された状態で貫通電極4に保持されている。
【0052】
このように構成された電子部品パッケージ1Cにおいては、第一の電子部品6を貫通電極4に実装する際に圧力をかけて押しつけても、導電性接着剤14が接着剤塗布用凹部13の内部にとどめられるので、外部に流れ出すことはない。従って、電子部品パッケージ1Cは、電子部品6や第一の基板2の不要な部分に導電性接着剤14が付着することによる、ショートなどの不具合の発生を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0053】
1 電子部品パッケージ
1A,1B,1C 電子部品パッケージ
2 第一の基板
3 凹部
4 貫通電極
5 実装電極
6 第一の電子部品
7 第二の電子部品
8 第二の基板
9 貫通電極用穴部
10 第一の貫通電極
11 第二の貫通電極
12 第三の電子部品
13 接着剤塗布用凹部
14 導電性接着剤
101 従来の電子部品パッケージ
102 第一のベース
103 第二のベース
104 貫通電極
105 実装電極
106 第一の電子部品
107 端子
108 導電性接着剤
109 第二の電子部品
110 リッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁材料からなる第一の基板と、
該第一の基板の上下何れか一方の面より予め定めた深さに形成され開口部よりも底面部の方が小さくなるように形成された凹部と、
前記第一の基板を上下に貫通し、一端が前記凹部の側壁より露出するとともに、他端が前記第一の基板の前記一方の面と対向する面に露出した導電材料からなる貫通電極と、
該貫通電極の前記一端の上面に電気的に接続され、前記凹部に収容されるように配置された電子部品と、
前記第一の基板の前記一方の面側に接続され前記凹部を外部の雰囲気と接触しないように封止する第二の基板と、
を備えたことを特徴とする電子部品パッケージ。
【請求項2】
前記貫通電極に電気的に接続され前記凹部の底面部に配置された導電性薄膜からなる実装電極と、
該実装電極に電気的に接続されて、水平位置が前記電子部品の水平位置と少なくとも一部が重複するように配置された第二の電子部品と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子部品パッケージ。
【請求項3】
前記貫通電極は、複数からなり、水平位置が互いに離間し且つ前記一端の高さ位置が互いに異なるものを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品パッケージ。
【請求項4】
前記貫通電極の前記一端の上面に凹状の窪みが設けられたことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の電子部品パッケージ。
【請求項5】
絶縁性の材料からなる第一の基板の上下何れか一方の面に、予め定めた高さからなる導電性材料を埋設して貫通電極を形成する貫通電極工程と、
前記第一の基板の前記一方の面と対向する面に、開口部よりも底面部の方が小さくなるように凹部を形成するとともに、前記貫通電極の前記一方の面側と対向する側の端部を該凹部の側壁に露出させる凹部工程と、
前記凹部の側壁に露出した前記貫通電極の端部の上面に第一の電子部品を接続する電子部品実装工程と、
前記第一の基板の前記一方の面と対向する面に第二の基板を接続し、前記凹部を外部の雰囲気と接触しないように気密に保つ封止工程と、
を備えたことを特徴とする電子部品パッケージの製造方法。
【請求項6】
前記貫通電極工程は、前記第一の基板の前記一方の面に予め定めた深さの貫通電極用穴部を形成し、該貫通電極用穴部に導電性材料を充填することで前記貫通電極を形成することを特徴とする請求項5に記載の電子部品パッケージの製造方法。
【請求項7】
前記貫通電極工程は、前記貫通電極用穴部を形成した後、前記貫通電極用穴部の内周面を覆うように、酸に対する耐腐食性を備えた材料からなる薄膜を成膜した上で、前記導電性材料を充填して前記貫通電極を形成することを特徴とする請求項6に記載の電子部品パッケージの製造方法。
【請求項8】
前記貫通電極工程は、前記第一の基板を該第一の基板を構成する材料の軟化点以上に加熱した状態で、該軟化点よりも高い軟化点を持つ棒状の導電性材料を圧入して埋設することで、前記貫通電極を形成することを特徴とする請求項5に記載の電子部品パッケージの製造方法。
【請求項9】
前記貫通電極工程は、酸に対する耐腐食性を備えた材料からなる薄膜を表面に成膜した棒状の導電性材料を圧入して埋設することで、前記貫通電極を形成することを特徴とする請求項8に記載の電子部品パッケージの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−77642(P2013−77642A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215463(P2011−215463)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)