説明

電気化学的電池スタック組立体

【課題】 燃料電池及び他の固体電気化学的装置の信頼性を高めつつ、材料及び製造コストを低減すること。
【解決手段】並列に打ち抜きされた伝導性連結シートないし金環上に並列に配列され、薄膜として好ましくは堆積される陽極及び陰極間に堆積される高密電気質を有する管状電気化学的電池の複数のスタック。スタックは、一若しくはそれ以上の電気化学的電池が、スタック全体を不能にすることなく欠陥に陥ることを可能とする。スタック効率は、簡易化されたガス連結管化、ガスリサイクル化、動作温度低減及び熱分散改善を介して強化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、この参照により本願の開示に組み込まれる2002年5月7日に出願された米国予備出願シリアル番号60/378、701に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、米国エネルギ部により授与されたグラント(契約)番号DE−AC03−76F00098の下、政府支援でなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、一般的には、固体電気化学的装置組立体に係り、より詳細には、直列スタックのモジュール方式並列電気化学的電池に関する。
【背景技術】
【0004】
電力の着実に増える需要、大気中の温室効果の蓄積及び他の燃焼ガスは、電気生成に対する代替エネルギ源の開発を促進している。例えば燃料電池は、電気生成のための効率的な低汚染技術の見込みを保持している。プロセスにおいて燃料の燃焼を伴わないので、燃料電池は、ボイラーや炉及び蒸気駆動タービンによる従来的な電気生成で通常的に生成される汚染物質を生成しない。
【0005】
残念ながら、燃料電池からの電気エネルギ生成の現在のコストは、化石燃料からの同一電気生成のコストに比べて数倍高い。生成された電気のキロワット当たりの資本及び操業の高いコストが、燃料電池システムの商業的な導入を遅らせている。
【0006】
従来的な燃料電池は、燃料を用いた化学反応からの化学エネルギを直接電気エネルギに変換する電気化学的デバイスである。電気は、燃料(典型的には、改質メタンから生成される水素)と酸素(典型的には、大気中の酸素)との間で生ずる電気化学的反応を介して生成される。この正味の電気化学的反応は、イオン的に伝導性のある電解質膜、電導性のある電極、及び、燃料若しくは酸素の気相との間の境界で生ずる電荷移動ステップを伴う。水、熱及び電気は、水素ガスを燃料として用いるように設計された一タイプの燃料電池システムによる唯一の生成物である。開発されている他のタイプの燃料電池は、溶融炭酸燃料電池、燐酸燃料電池、アルカリ性燃料電池、及び、陽子交換膜燃料電池を含む。燃料電池は、燃料から電気への変換における熱−機械的プロセスでなく電気化学的プロセスに依存するので、燃料電池は、従来的な機械的な生成器が受けるカルノー効率により制限されない。
【0007】
固体電気化学的デバイスは、通常的には2つの多孔質電極、陽極及び陰極、及び電極間に配置された高密度固体電解質膜を含む電池である。典型的な固体酸素燃料電池の場合、陽極は、燃料に晒され、陰極は、燃料の一切の混合を防止するための別の閉じたシステム内にある酸化性物質、及び、水素燃料で生ずる発熱反応による酸化性物質に晒される。
【0008】
電解質膜は、通常的には固体酸素燃料電池のアプリケーションにおけるセラミック酸化イオン伝導体からなる。ガス分離装置としてのような他の実現では、固体膜は、混合イオン電動材料(“MIEC(mixed ionic electronic material)”)からなることができる。多孔質の陽極は、電池の燃料側の電解質膜と接触する、セラミック、メタル若しくは、最も通常的には、セラミック−メタル複合材(“サーメット”)の一層であることができる。多孔質の陽極は、典型的には、混合イオン伝導性及び電導性酸化金属(MIEC)、電導性酸化金属(若しくはMIECメタルオキサイド)、若しくはイオン導性酸化金属の一層である。
【0009】
固体酸素燃料電池は、電解質膜のイオン伝導性を最大化するため約900℃と約1000℃の間の温度で通常的には動作する。適切な温度では酸素イオンは容易に電極の結晶格子を通過して移動する。しかし、たいていの金属は、高い動作温度及び従来的な燃料電池の酸化環境で安定でなく、脆性金属酸化物に変化してしまう。従って、固体電気化学的デバイスは、従来的には、耐熱セラミック材料から構成されていた。しかし、これらの材料は高価な傾向にあり、高温及び高酸化環境において限られた寿命しかもたない。また、使用される材料は、電解質における熱応力、燃料若しくは酸化性物質の浸透による剥離や、電池の製造及び動作中の同様の問題を防止するため、ある一定の化学的、熱的及び物理的特性を有する必要がある。
【0010】
各燃料電池は、比較的小さい電圧を生成するので、システムの容量を増加させるため、幾つかの燃料電池が関連付けられる。かかるアレイ若しくはスタックは、一般的には、管状若しくは平らな設計を有する。平らな設計では、典型的には、平らな陽極−電解質−陰極が電導性の連続体上に堆積され、直列にスタックされる。しかし、平らな設計は、一般的に、ユニットのシーリングの複雑性及び平らなスタックのマニホルディングにより非常に安全性と信頼性を有すると認識されている。
【0011】
更に、約1000℃のより高温で動作する平らな燃料電池の従来的なスタックは、電解質層の片側に設けられる多孔質の陽極及び陰極層に比して厚い電解質層を有し、電池のための構造的な支持を提供する。しかし、動作温度を800℃未満に減少させるには、電解質層の厚さは、50−500ミクロン以上から約5−50ミクロンまで低減されている。この構成における薄い電解質層は、荷重支持層でない。むしろ、比較的弱い多孔質の陽極及び陰極層は、電池に対する荷重に耐えなければならない。弱い陽極及び陰極により支持される平らな燃料電池のスタックは、荷重下で崩壊する傾向にありうる。
【0012】
電極及び電解質層が堆積された長い多孔質の支持管を利用する管状の設計は、当該系で必要とされるシールの数を低減する。燃料若しくは酸化性物質は、管内のチャンネル若しくは管の外面まわりを通るよう方向付けられる。しかし、管状の設計は、電極上での比較的長い電流経路により電力密度がより小さい、というのは、全体の管に対する電流の収集は、管の周囲の小さな領域でしか生じないからである。これは、内部抵抗損失をもたらし、これにより電力密度が制限される。
【0013】
更に、反応体の減少は、しばしば、不十分な容量の反応体が装置を通るよう方向付けられる場合、ガスが管の全長に沿ったチャンネルを通って流れる際に減少する。陽極でのガス濃度の減少は、例えば、スタックにおける電池の位置に依存して電池の電気的出力の減少をもたらすことになる。装置を通って流れる燃料若しくは酸化性物質の容量を増加させることは、電気化学的装置の反応生成物と共に系から排出する過剰な反応体をもたらすことになる。系から排出し、燃やされる過剰な反応体は、装置の効率を更に低減する。
【0014】
反復する電池要素を備える平らなスタックが遭遇するその他の重大な問題は、1つの電池の故障が全体のスタックの故障をもたらしうることである。現在の設計における電池の性能低下は、スタックを冷却し、単一の電池を交換するためにラインを止めることを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、従来的な設計を組み入れる現在の固体電気化学的装置は、製造が高価となり、また、安全性、信頼性及び/又は効率性の観点で問題がありうる。
【0016】
従って、より低温で効率的に動作でき、より安価な材料及び製造技術を用いることができる、固体酸化物燃料電池のような、電気化学的装置のスタックないしアレイを提供することの必要性がある。燃料電池及び他の固体電気化学的装置の信頼性を高めつつ、材料及び製造コストを低減するスタック設計は、従前は利用するには高価で、不十分若しくは信頼性に欠けていたかかる装置の商業化を可能とし得る。本発明は、これらの必要性を他の必要性と共に満足させ、従来装置の不十分さを実質的に克服する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
より低温で動作でき、従来技術に対して燃料効率及び電気生産性を改善した管状電気化学的電池のスタックのための装置が提供される。例えば、制限的でないが、本発明の一局面によると、連結板に並列で接続された管状固体電気化学的電池のアレイのスタックが、直列に接続される。
【0018】
本発明のその他の局面によると、電気化学的装置は、連結板に好ましくは垂直に方向付けられた陽極、陰極若しくは電解質支持型の管である。
【0019】
本発明のその他の局面によると、第1セットの管状電池の陽極及び第2セットの管状電池の陰極に接続される連結板が提供される。
【0020】
本発明の更なるその他の局面によると、上部及び底部の電気化学的電池は、連結板若しくはスタック電気化学的電池に連続して取り付けられてよい金環(フェルール)にシールされる。
【0021】
本発明の一実施例によると、電気化学的電池層は、押し出し成形、射出成形、マンドレル上のデポジション、プレス処理、テープ注型法などのような任意の数の方法により管へと成形される第1電極層を有する。第1電極層は、陽極若しくは陰極を提供するための材料により作成できる。好ましくはイオン伝導性材料の膜電解質層が、実質的に気密な管状電極に付与される。第2電極層は、次いで電解質層の外面に付与される。
【0022】
本発明のその他の実施例によると、電解質層は、支持層となるように寸法が決定され、第1電極層は、管の内面に付与され、第2電極層は、電解質管の外面に付与される。
【0023】
本発明の一実施例では、多数の穴及び形成された接合部が、金属製の連結板に打ち抜きされる。環状の電気化学的電池は、連結板の穴の両側に取り付け及びシールされ、管の中央を通る連続的で好ましくは気密な通路を形成する。連結板は、一方の管状電池の陽極に接触し、他方の管状電池の陰極に接触する。
【0024】
本発明の一目的は、並列アレイのスタックで組織化でき且つ直列に接続できる電解質層及び電極層の薄膜を備える環状の電気化学的装置の並列アレイを提供することである。
【0025】
本発明のその他の目的は、約800℃よりも小さい動作温度を有する固体酸化物燃料電池を提供することである。
【0026】
本発明のその他の目的は、耐性及び信頼性が高く、製造が容易な電気化学的電池を提供することである。
【0027】
本発明のその他の目的は、コスト低減と共に長期の安定性を有する電気化学的電池のスタックを提供することである。
【0028】
本発明のその他の目的は、熱ショックに耐性のある電気化学的電池のスタックを提供することである。
【0029】
本発明の更なる局面及び目的が、明細書の次の部分に提示されることになり、その部分での詳細な説明は、本発明を完全に開示する好ましい実施例の目的のためであり、本発明に限定を加えるものでない。
【0030】
本発明は、例示のみのための図面を参照することでより完全に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の電気化学的電池スタックの側面図である。
【図2】図1に示す電気化学的電池スタックにおける1つの管状電気化学的電池の一実施例についての詳細側面図である。
【図3】図1に示す電気化学的電池スタックの実施例における1つの金属製連結板についての上面図である。
【図4】本発明による1つの管状電気化学的電池の斜視図である。
【図5】図4のライン5−5に沿った1つの管状電気化学的電池の断面図である。
【図6】本発明による金属製連結板を備える上部電気化学的電池及び底部電気化学的電池間の接合部の一実施例の側面断面図である。
【図7】本発明による金属製連結板を備える上部電気化学的電池及び底部電気化学的電池間の接合部の代替実施例の側面断面図である。
【図8】本発明による金属製連結板を備える上部電気化学的電池及び底部電気化学的電池間の接合部の代替実施例の側面断面図である。
【図9】本発明による金属製連結板を備える上部電気化学的電池及び底部電気化学的電池間の接合部の代替実施例の側面断面図である。
【図10】本発明による金属製連結板を備える上部電気化学的電池及び底部電気化学的電池間の接合部の代替実施例の側面断面図である。
【図11】上部電気化学的電池及び底部電気化学的電池間の接合部として本発明の代替実施例で使用される金環の斜視図である。
【図12】図11のライン12−12に沿った図11の金環の断面図である。
【図13】上部電気化学的電池及び底部電気化学的電池間の金環接合部の詳細断面図である。
【図14】上部電気化学的電池及び底部電気化学的電池間の金環接合部のシーリングの代替実施例の詳細断面図である。
【図15】金環及び連結板を用いた本発明による電気化学的スタックの代替実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図面についてより具体的に言及するに、例示の目的上、本発明は、図1ないし図15に一般的に示される装置内で具現化される。装置は、構成や部品の細部に関して、個々で開示される基本的な概念から逸脱することなく変更可能であることは理解できるだろう。
【0033】
それでは図1を参照するに、平らな連結シートを持つ電気化学的電池18に関する平行な配列のスタック(stack)10の一実施例が示されている。図1に示されている実施例では、50個の管状電池の列が10列高く積まれている。発明は実質的に任意の数の管を使えるように形作ることが出来、これらの管は実質的に任意の数のレベルに積重ねることが出来ることは明らかであろう。管状の電気化学的電池は図では管状の電池として示されているが、管状の電気化学的電池は好ましくはスタックの梱包密度と効率を最大にするであろう任意の断面形状を持ち得ることが理解できるであろう。例えば、電気化学的電池は正方形、八角形、卵型、若しくは好ましくは長方形の断面形を持つことが出来、電池を通して一つまたはそれ以上の半径方向に走っているチャンネルを持つことが出来よう。
【0034】
図2と3も参照にすると、電気化学的電池スタック10は連結板14に搭載される管状の電気化学的電池の列12を持つ。連結シートまたは板14は好ましくは約50マイクロメータと約5000マイクロメータの厚さの間にあり、より好ましくは約1000マイクロメータ厚さ(0.1から1.0ミリメータ)である。
【0035】
連結板14は好ましくは金属で作られ、多数の穴16を持つ。穴16の周りは好ましくは個々の電気化学的電池18を方向付け決まった場所に保存するリムを持つように構成され、その結果電池が漏れからシールされる。実質的に気密な電気化学的電池の長く伸びた管20は電気化学的電池18の配列の列12が図1に示すようにお互いの上に積重ねられるように形成される。全体の管20はガス源に繋がれたマニホルド22、24に連結されている。ガス源は燃料または酸素のどちらかであり、電気化学的電池の構成に依存する。
【0036】
マニホルド22、24は燃料または酸素をリサイクルすることを可能にし、燃料の閾値濃縮が最大となるようになっており、陽極で燃料の集中が現れるようになる。同様に、酸素も陰極で濃度が最適となるようにリサイクルされ、系の効率を改善する。一実施例では、水、汚染物質、部分的に反応した燃料や他の反応生成物はスタックから排気される過度の燃料から分離され、燃料は装置の供給サイドに返される。このようにして、系の効率は例えば、通常の燃料電池スタック内で起こるような燃焼による燃料の損失よりむしろ電気生産に対する電気化学的装置として製造される燃料を十分に有効利用することによって増加させることが出来る。
【0037】
電気化学的電池列12の配列は伝導性金属内部連絡板14に平行に接続されていることが分かるであろう。内部連絡板14は装置の容量の増加に対し直列に繋がれる。直列配列設計は同じ有効面積を持つ単独の電池出力に比べ10%以上の電力出力を作り出すことによりスタックの効率を改良することが示されてきた。
【0038】
連結シート14に使われる金属は次のものを含むがそれに限ってはいない:Ni、 Cu、 Niを含む合金、Niをベースとした超合金、Cuを含む合金、Feを含む合金、ステンレス鋼、FeをベースとしてCrを含む合金、YやLaのような反応性要素を含むFe−Cr合金、AlSl304または316のようなオーステナイト鋼、AlSl430または446のようなフェライト鋼、A1を含む合金、AlやYのような反応性要素を含むFe−Cr合金、0.1から3.0重量%Mnを含むFe−Cr合金、12−30重量%Crを含むFe−Cr合金、16−26重量%Crを含むFe−Cr合金、Feをベースとした0.5から2.0重量%Mnと0.1から1.0重量%Yを持つ18から22重量%Crを含む合金。技術的に知られているゾルゲルデポジション、蒸着、プラズマスプレイ、めっき、あるいは他の手段による金属表面のすべてまたは一部の表面改質が適切である。燃料を含む水素カーボンを改善するために使われる改質(reforming)触媒のような触媒で連結14の金属表面の一部または全部をコーティング(coating)することがまた期待される。
【0039】
板14を持つ電気化学的電池のそれぞれの並列接合はまたスタックの信頼性を増すであろう。通常の燃料電池スタック設計における良く見られる一つの欠陥は製造中に起こる個々の燃料電池中の欠陥または輸送中やハンドリング中に起こる電池に対する損傷が電池のすべてが単一のスタックに組み込まれそして装置が作動するまで明らかにならないことである。個々の電池中の欠陥はスタックからの貧弱な電気生産として明らかにされよう。欠陥のある電池はまた近接する電池の成績に影響を与えるであろう。さらに、直列燃料電池の並列の物理的積重ね(stacking)は通常のスタック中の新しい電池を持つ単独の欠陥のある電池の取替えを出来なくするであろう。したがって、単独の電池の欠陥や故障のために全スタックを取り替える必要となるであろう。
【0040】
本発明の管状の電気化学的電池設計は一つの電気化学的電池18の欠陥や故障を持つスタックの致命的な故障とはならないであろう。一つ電池の無能や故障は僅かに電池列12の全体的な出力を減少させるが電池の列や近接する列中の近くに存在する電気化学的電池18の生産に影響されるべきではない。連結板を介した冗長性は、列12中の他の多くの平行な電池の一つを電流が伝導することを可能とする。
【0041】
さらに、小さな管状電池はお互いに独立であるので、装置10は故障の危険性のある個々の電池18を置き換えることなく大きな熱的勾配を調整することができる。燃料電池の化学的反応生成物のひとつはスタックを通して熱が熱勾配を生じさせるであろう。過度の熱はスタックを通過する空気の吹き込みや温度を調整する他の方法によって取り除かれるであろう。本発明の一実施例である連結板が図2に示すように円管状燃料電池の列12を含む面積以上に広がっている所が冷却フィンとしての作用が出来、平らな金属連結板14を通してスタックからの熱は取除き得る。この実施例は過度の熱を取除くためにスタックを通して吹き込まれる必要のある過度の空気量を減少させる。複数の熱伝導性金属シートの存在はスタック内の熱の分布を平均化する助けとなるであろうこともわかる。ある板の局所的冷却はスタックの全体的に作用する温度を正常化させることが出来る。
【0042】
図2に一般的に示されているように、電気化学的電池18のスタック10は電気化学的電池18の構成に関連する燃料や酸素を含むことが出来る装填されたガス充填部屋26に好ましくは含まされる。図2に示す発明の実施例では、金属連結板14からの熱は効率を改良するためにスタック中に導入する前に予熱燃料ガスや酸素に使われる熱交換器で利用される。
【0043】
さらに、セラミックスは引張り応力より圧縮応力を非常に強く伝えることが出来る。でこぼこした板と通常の燃料電池スタック中の使用期間や冷却周期中に作用する引張り力はクラックを導き、電解質を傷つけ、個々の電池の破壊に結局は至る。したがって、平らでないことや薄い電解質の電気化学的電池に作用する過度の荷重は板が非常にきちっとした公差のもとで構成されるときでさえ電池が剥離や破壊する原因となり得る。管状の電気化学的電池18は一様な寸法であり電池の近接列と連結板から主に圧縮荷重を受けることは有難いことである。したがって、管状の電気化学的電池18は丈夫であり熱的ショックにも強い。
【0044】
スタック10内での電気化学的電池18の分布はスタックの効率を最適化するためとスタック内で存在するであろう温度差を考慮して変えることが出来る。スタックの列12中のユニット電池18は同じサイズでありまた同じ電解質、陰極、陽極、及び/又は支持物質を含む必要がない。例えば、燃料電池スタックでは酸化セリウム(ceria)をベースとした電解質電池は低い温度領域またはスタックの燃料入口あるいは出口近くの領域で使われ、及び/又は電解質電池(ドープされたSrCeOまたはBaZrOのようなもの)を伝導する陽子は内部領域で使うことが出来よう、及び/又はドープされたジリコニュウムをベースとした電解質電池は高温の陽極ガス出口付近で使うことが出来よう。そのような設計は高い伝導率を持つ電解質材料の利用により入口近くの性能を改善し、入り口付近の蒸気要件を減少し、そして陽極チャンバからH2を取除きそしてそれによって燃料サイドで水の分圧を低下させこのようにして燃料の利用性を向上させることによりスタックの性能を改善する。各電池18の最適分布は特別の燃料の選択とスタック構成によって決定されるであろう。したがって、本発明の電気化学的電池スタック組立品は設計構成における非常な柔軟性を持つことになる。
【0045】
さて図4と5に戻ると、単独の電気化学的電池18が発明の実施例の一つとして示されている。電気化学的電池18は燃料電池適用に際し一般に多孔質陽極32と陰極34との間にサンドイッチにされたイオン伝導性のある電解質30を含む。燃料電池は図示の目的のために電気化学的電池の一例として使われているが、電気化学的電池は酸素発生器、合成ガス(syn−gas)発生器や水素ガス分離器や同様の装置であると理解されるであろう。
【0046】
電気化学的電池18は陽極支持型、陰極支持型または電解質支持型のどれかである。電極が支持される電気化学的電池18はセラミックス、セラミックスメタル混合物(サーメット)または合金である電極支持体を持つ。一実施例では、電池はNi−YSZ/YSZまたはLSM/YSZのような複層として生産されそして対向電極は高温により複層を焼結後に適用される。代替実施例では、三相がすべて適用されそして一つの高温ステップで沈殿させられる。例えば、LSM/YSZ/LSMまたはLSM/YSZ/Ni−YSZ三相が一ステップで焼結させられる。
【0047】
更に、電極支持構造は、多層であるか異なった物質で構成された傾斜構造及び/又はマイクロ構造であり、単に均質な電極でないことが理解されるであろう。例えば、陰極支持型の設計は、押出しまたは射出成型された多孔質LSM支持材からなることが出来、それには多孔質LSM+YSZの層が堆積され、そしてその上に、YSZ電解質フイルムと対向電極が堆積される。他方Ni−YSZのような多孔質電解質層はフェライト鋼のような多孔質合金層とYSZのような電解質層との間に配置させることが出来る。
【0048】
図4と5に図示した実施例は、陰極支持型の電気化学的電池18である。この実施例では、陰極の物質は射出成型、遠心鋳造、スリップ注型法、テープ注型法(tape−casting)、押出し、同時押出、均衡プレス、電気泳動塗装、浸漬被覆、エアロゾルスプレイ、やセラミックスプロセスで技術的に知られている多くの他の手法によって薄い管の中に形成され、そして粉末冶金は薄いフイルムデポジションに有効な多孔質基板を作るのに可能な方法である。押出しまたは射出成型は支持構造の製作に好ましい方法である。陽極支持型の電気化学的電池18は同様の手法で形成される。代替実施例では、陽極、電解質と陰極は管状多孔質支持上に配置され、好ましくは粉末合金またはセラミックスで作られる。陽極、電解質と陰極は好ましくは薄いフイルムのような多孔質金属支持の上に配置される。
【0049】
電気化学的電池18の好ましい高さは電極層の伝導性によって決定される。セラミックス支持構造では電気化学的電池18は好ましくは高さ約1cmと約5cmの間である。金属支持型の電気化学的電池構造では電池18は好ましくは高さ約2cmと約10cmの間である。
【0050】
陰極電極34は、陰極支持型の実施例では、好ましくは円筒形または矩形管で厚さ約100マイクロメータから約3000マイクロメータの範囲である。しかしながら、陰極層は厚み約150マイクメータから約2000マイクロメータの範囲にあることが特に好ましい。陽極支持型の電気化学的電池では、陰極34は、好ましくは電解質30の一つの表面に薄いフイルムとして適用され、そして厚み約50マイクロメータと約1500マイクロメータ間の範囲内にある陰極電極34を供給するために接着される。電極管の選別された厚さと電解質は、電極と電解質材料の熱膨張性、電気伝導度、イオン伝導度特性によって変化する。
【0051】
本発明に従って適切な陰極電極30の材料はサーメットやセラミックスを含む。例えば、他の適切なセラミックス成分は以下のものを含む:
【0052】
【数1】

(δは完全化学量論からの小さな変動を示しているものとして定義される)、
【0053】
【数2】

【0054】
【数3】

【0055】
【数4】

La0.6Sr0.4Co0.6Fe0.43-δ、Sr0.7Ce0.3MnO3-δ、Sm0.5Sr0.5CoO3-δ、イットリウム安定化ジルコニウム(YSZ)、スカンジウム安定化ジルコニウム(SSZ)、(CeO20.8(gd230.2(CGO)、 La0.5Sr0.2Ga0.85Mg0.152.825(LSGM20−15)、 (Bi230.75(Y230.25とアルミナ。
【0056】
好ましいLSM物質はLa0.8Sr0.2MnO3、 La0.65Sr0.303-δとLa0.45Sr0.55MnO3-δを含んでいる。サーメットに対する適切な金属成分は遷移金属、Cr、 Fe、 Ag及び/又はタイプ405や409(11%−15%Cr)のような低いクロムフェライト鋼のような合金、タイプ430と434(16%−18%Cr) のような中間クロムフェライト鋼、タイプ442、446やE−Brite(19%−30%Cr)のような高クロムフェライト鋼、Cr5Fe1Yのようなクロムをベースにした合金やNi20Crのようなクロムを含むニッケルをベースとした合金やInconel600を含むInconel合金(Ni76%、 Cr15.5%、 Fe8%、 Cu0.2%、 Si0.2%、 Mn0.5%、 C0.08%)である。
【0057】
電解質30の非常に薄い層は、好ましくは陰極管34に付与される。電気化学的電池の操作温度は、薄いフイルムとして堆積されたイオン及びイオン電気伝導材料を横切る際のオームロスが減少する理由により、薄いフイルム状セラミックス電解質と電極の使用で減少できることが分かるであろう。複層は、次いで共に焼かれ(co−fire)、一実施例では電極の多孔質構造に良く接着する電解質のピンホールのない高密フイルムが形成される。フイルムと基板物質の両方の焼結挙動は電解質と電極物質の選択に際してもまた考慮されるべきである。例えば、電解質層を横切るガスを防ぐために電解質の十分な密度を与えるために使われるもの、または選ばれた電極物質の性質に関連する第一の電極を処理するために使われる温度と異なった温度で第二の電極を焼く(fire)ことが必要であろう。
【0058】
本分野で知られている薄いフイルム製造のためのいくつかの手法は、物理蒸着法技術、テープカレンダ処理(calendaring)、ゾルゲルデポジション、スパッタリング、コロイダルデポジション、遠心式鋳造、スリップ注型法、テープ注型法、押出し、スクリーン印刷、ブラッシング、テープ転写、共押出し、電気泳動塗装、浸漬被覆、エアロゾルスプレイ、真空浸透、プラズマデポジション、電気化学的デポジション等の多くの技術的に知られている方法を含む。浸漬被覆、エアロゾルスプレイとスクリーン印刷は好ましい。電解質の多孔質支持と焼締め(densification)の接着を確実にするために十分な温度に層を暖めることが特に要求される。
【0059】
薄いフイルムを作る多くの方法がある一方、フイルムはコロイダルデポジション(colloidal deposition)法を使って堆積させるものが好ましい。この実施例では、電解質材料は一般に水、イソプロパノールや他の適切な有機溶剤のような液体媒体で粉末物質の懸濁液として準備される。懸濁液は電極層の表面に色々の方法で適用される:例えば、エアロゾルスプレイ、浸漬被覆、電気泳動塗装、真空浸透、あるいはテープ注型法である。典型的には、望まれる酸化物の緑フイルムはコロイド状に緑または部分的に焼かれた基板の上に堆積される。さらに、フイルムは基板の表面に電極の多孔質に過度の浸透もなくよく接着されるべきであり、そして電解質と電極との間の界面(インターフエイス)での極性化を最低にすべきである。
【0060】
コロイダルプロセスはそれが高価ではなく寸法を変えることが出来るので好まれ、そして減少させた温度での高い操作性を持つ装置を作ることができる。しかしながら、多孔質基板上の密度の高い電解物層のコロイダルデポジションは物質が化学的にプロセス温度で両立できることを必要とするしそして層間で適当な熱伝達整合性がなければならない。
【0061】
電解質30のピンホールとクラックのない密度層は装置稼動時の低い過電圧を保障するため高い多孔性と適切なマイクロ構造で電極基板上に厚さが約1マイクロメータから約50マイクロメータの範囲であることが好ましい。典型的な燃料電池アプリケーションでは、電解質層は厚さが約10マイクロメータから約30マイクロメータの範囲にあることが好ましい。
【0062】
電解質物質は好ましくはイットリウム安定化ジルコニウム(YSZ)(例えば、((ZrO2(Y23ただし
【0063】
【数5】

のような金属酸化物(セラミックス)粉末の薄い層から構成される。好ましい物質は商業上利用できる(ZrO20.92(YO30.08または(ZrO20.90(Y230.10である。その他の可能な電解質は(ZrO2)0.9(Sc230.1、スカジウム安定化ジリコジウム(SSZ)、(CeO20.8(Gd230.2(CGO)、La0.8Sr0.2Ga0.85Mg0.152.825(LSGM20−15)や(Bi230.75(Y230.25を含む。もう一方では、電解質はイオン電子伝導体であり、例えば
【0064】
【数6】

La0.6Sr0.4Co0.6Fe0.43-δ、Sm0.5Sr0.5CoO3とLa1-xSrxCoO3-δである。このような構造はまた例えば酸素分離装置での用途も見い出せる。
【0065】
陰極支持型の電気化学的電池18の陽極電極32は好ましくは薄いフイルムで厚さが約50マイクロメータから500マイクロメータの範囲にあることである。しかしながら、電極層は厚さが約150マイクロメータから300マイクロメータの間にあることが好ましい。陽極支持型の電気化学的電池18では、陽極管は厚さ約250マイクロメータと2500マイクロメータの間にあることが好ましい。
【0066】
電極と電解質材料は好ましくは適合していることであり、適用される物質の厚さは連結板物質と同様に電極と電解質材料の熱伝達、電気伝導やイオン伝導特性をベースに選択されよう。 さらに、電解質30のフイルムの厚さはガス浸透性を持つための電解質材料に依存し、例えば操作範囲や静止温度とに曝されるときの耐クラック性などのその機械的完全性を維持できよう。
【0067】
連結板14は、典型的な電極と電解質材料に適合し、熱拡散を持つ高額でないフェライト鋼で作られる。理解できるように、金属の連結板14は、電気化学的電池18の上部と底部列12と連結板14間に接合を付与するため、低コストの技術を用いて、せん孔と打抜きで作ることができる。
【0068】
図10を通して図6も参考にすると、打抜きされた連結設計のいくつかの実施例は上部の電気化学的電池36と底部の電気化学的電池38を持つ断面の中に示されそして一つの打抜きされた穴16設計が連結板14中に示されている。図6では、連結板14が上部及び底部の電気化学的電池36、38に対し台座(シート)を与えるためにせん孔と打ち抜きで作られているのがわかる。示された実施例では、電気化学的電池36、38は薄い電解質30を持つ支持された陰極34と外部陽極32である。上部の電気化学的電池36は好ましくは連結板14の上部垂直カラー44から電池36の陽極32に電極圧接触するための金属を持ち、電池18から板14に電気接触を与える。一実施例では、カラー40はシーリング材42で陽極電極にシールされる。
【0069】
管状の底部電気化学的電池の内部は板14の垂直リング40を受け入れ、リングは図6に示す実施例では陰極30と接触している。底部電気化学的電池34の上端は好ましくは金属、ガラスまたはセラミックスシール42を持つ連結板でシールされる。
【0070】
好ましい金属連結シート14に個々の電気化学的電池をシールすることはセラミックス、ガラス、ガラスセラミックス、サーメット、ロウ付け合金または溶接を用いて完成させることが出来よう。電気的に絶縁しているシールは好ましくはアルミナ、珪素あるいはセラミックスペースト(ceramic paste)またはサーメットを含むチタニウムである。電気伝導膜は好ましくはAg、Cu、またはNi合金をベースとするロウ付け、またはアルミニウム、珪素、あるいはチタンのようなものをセラミックスと混ぜられたロウ付け合金である。ロウ付けは金属箔や塗料として用いられる。塗料は典型的にはスプレイ、ブラシあるいはスクリーンプリントによって適用される。
【0071】
陽極32または底部の電気化学的電池38の電解質30は連結板14に接触していないことに注意されたい。底部の電気化学的電池38の連結板14との間の唯一の接触は、接触リング44の陰極34との接触である。また、上部の電気化学的電池36が連結板14との接触は陽極32とであることに注意されたい。陰極34と底部の電気化学的電池38の電解質30は好ましくはガラスまたはセラミックシール48を持つ連結板14にシールされている。
【0072】
図7と図8は管状の電気化学的電池36、38の側面で陽極と電気的に接触している打抜きされた連結板14の代替実施例である。陽極と連結板との継ぎ目は上述のシール材でシールされている。
【0073】
図9と図10はスプリングシール端を利用する打抜きされた連結板14の代替実施例である。これらの実施例では、穿孔16の打抜き端は台座に付勢され、上部及び底部の電気化学的電池36、38をシールする。もし圧縮シールが不十分であれば、シール材は上述の如く図9と図10に示される実施例での陽極と連結板との継ぎ目に適用できる。
【0074】
図11ないし図15を参照するに、連結板と電気化学的電池との連接の代替実施例が一般的に示されている。この実施例では、上部及び底部の電気化学的電池50、52は金環(フェルール)58の上部と底部の環状溝54、56にそれぞれ挿入されシールされている。金環58、上部の電気化学的電池50と底部の電気化学的電池52のユニットはそのとき連結シート14の穴16に挿入され、金環58の周囲周りの平らなリップ60でシート14に取り付けられる。金環58の外側リップ60は金属シートに接着するためだけでなくスタック内で並列接合を供するためにも用いることができる。
【0075】
図13を参照するに、金環58と上部及び底部の電気化学的電池50、52との接合に関する一実施例の詳細が示されている。この実施例では、底部の電気化学的電池52の陰極64は電気的伝導性シール剤62で金環58の溝56内にシールされる。陽極68ばかりでなく電解質66もこの実施例では金環58とは接触していない。上部の電気化学的電池50は非伝導性のシール剤70で溝にシールされた陰極64の底面と側面を持つ金環58の上面溝54に挿入される。電気化学的電池50の陽極58は図13に示された実施例では電気伝導シール剤72で金環58の溝54の壁に接着される。
【0076】
金環58に対する上部及び底部の電気化学的電池50、52のシールしている状態を示している接合の代替実施例が見られる。この実施例では、上部の電気化学的電池50の底縁は金環58の溝54の中に配置され電気的に非伝導性シール剤74でシールされる。同様に、底部の電気化学的電池52は金環58の溝56の中に置かれ電気的に非伝導性シール剤74でシールされている。
【0077】
上部の電気化学的電池50の陽極68はさらに電気的に伝導性のあるペースト78あるいは同様に伝導性シール剤または接合物質をもって金環58に結合されシールされる。伝導性のあるペースト76は好ましくは陽極68から電子の運動のために良好な接触を与える。同様に、底部の電気化学的電池52の陰極64は、陰極64を金環58に接触させる電気的に伝導性のあるペースト78またはその類を有する。
【0078】
図15を参照するに、金環と内部接合板14を使う一対の並列電池スタックを持つ本発明の代替実施例が見られる。この実施例では、単独の電気化学的電池は並列につながれている板間でN個の電池を直列に連結させることが出来る、ただしNはN=1−100でN=2−10が好ましい。図15に示されるように、管の二つの平行な列は直列の(N=3)三個の電気化学的電池を各々含んでいる。
【0079】
電流を運ぶ装置は開放状態かまたは短絡状態に陥ることが分かる。装置の故障モードに関する情報はスタック設計をさらに最適化するために使うことが出来る。短絡による一つの電池の故障は平行な板間に配置されている電池のすべてを短絡させないであろう。
【0080】
この実施例では、底部の電気化学的電池80は、金環58に搭載及びシールされ、次いで上述の如くベースの連結板14にシールされる。第二の金環58は電気化学的電池80の末端の端にシールされる。中間の電気化学的電池82は第二の金環58と電池82の末端の端で第三の金環にシールされる。第三の電池84は一つの端で第三の金環にシールされそして第四の金環は代替金環にシールされる。第四の金環は連結板14に搭載される。
【0081】
したがって、電気化学的電池は直接連結板14にシールされることができるであろう、あるいは電池は金環58に先ず取り付けられ、次いで板14に挿入されることもできる。金環58は電気化学的装置の反復ユニット(単独電池)の一端または両端に適用される。他の実施例では、一つの金環58は第二の金環にあるいはオスメス結合(図示せず)で金属シートに嵌合するように設計されることが出来る。
【0082】
金環58と実装された電気化学的電池のモジュールを使用する場合、金環58の組成を連結板14の組成と異ならせ、製作条件を変化させることができる。例えば、金環58を管状の電気化学的電池50、52にロウ付けしたり接着したりすることを、金環58を連結板14に接着や結合することから分離し、高い抵抗インターフエイスを形成することなく連結シート14としてアルミナやシリカ成形合金を使うことが可能となる。
【0083】
図15に示されたような個々の管状電池または一連の電気化学的電池はNiやCuあるいはステンレス鋼金環58に例えば金環と電池の支持電極との間の電気伝導シールに対しAgCuTiのロウ付けを用いてロウ付けされる。ペースト、シール剤やロウ付けは連結シート14または金環58、または電気化学的電池80、82あるいは84に、同様に、デポジション技術(例えば、浸漬被覆、スクリーン印刷、ロール、ブラシなど)に依存するこれらの要素の組み合わせに適用される。
【0084】
図15に示される実施例では、アルミナペーストは第2の金環と電池間の非伝導性密閉に対し使われる;そしてAgCuTiロウ付けは次いで第二の金環を対向電極に電気的に連結するために用いることが出来、その結果、電気経路は、第一の金環を通って支持電極へと、電解質を通して第二の対向電極へと、次いで、第二の金環へと画成される。
【0085】
この構造の金環は、次いで、アルミナを形成する合金(典型的にはFeベースのCrAlとYを含む合金や通常FeCrAlYとして書かれる)の連結シート14にスポット溶接されることができる。溶接の内部は酸化に支配されないし金属連結シート14と金環58間の電気的接触は維持されることは有難いことであろう。これは、電気的に絶縁スケールを形成する高温の合金を溶接あるいは同様の方法で電池や電池直列に電気的に結合できるようにする。
【0086】
同様にアルミナ成形合金(FeCrAlYのような)は、FeCrAlY膜に溶接される管状電池へのガスのながれに対する開口周りに置かれる例えばNiやCuリングのような金属ガスケットをもつことが出来る。金環または電池はFeCrAlYよりむしろこの金属に接着されるかロウ付けされる。これは、同様に、連結板として使われるために電子的に非伝導性スケールであるが高い粘着性を形成する合金の使用を可能にする。
【0087】
上の記述は多くの詳細を含むけれど、これらは発明の範囲を制限するように解釈されるべきではないが、この発明の現在おいて好ましい実施例のいくつかを単に図示するものとして解釈されるべきである。それ故、本発明の範囲は当業者にとって明らかである他の実施例を十分に包括していること、そして本発明の範囲はしたがって特異な要素への言及が明らかにそのように述べない限り“一つと唯一つ”を意味する意図はなくむしろ“一つまたはそれ以上”を意味している追加されたクレーム以外の何物よっても制限されることがないことは理解されるべきである。当業者に知られている上述の好ましい実施例の要素等価なすべての構造的、化学的、そして機能的なものは参考として明確にここに組み入れられそして本クレームによって包含されることを意図している。さらに、装置または方法が本発明によって解決されることを求められている個々またはすべての問題を処理することは必要ではない。さらに、本明細書中におけるどの要素、成分あるいは方法のステップがクレーム内に明示されているか否かに拘らず、一般大衆に捧げる意図はない。どのクレーム要素も要素が“手段”を用いて明白に列挙していない限り、35U.S.C.112、第6パラグラフの規定の下で解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0088】
14 連結板
16 穴
18 電気化学的電池
20 管
22、24 マニホルド
30 電解質
32 陽極
34 陰極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学的電池スタック組立体であって、
貫通する穴を有する電導性の金属連結板であって、前記穴は、その外周に構成されたリムを有する、金属連結板と、
多孔質の陰極と、実質的に通気性のないイオン伝導性のある電解質と、多孔質の陽極とを含む第1の管状の電気化学的電池と、
多孔質の陰極と、実質的に通気性のないイオン伝導性のある電解質と、多孔質の陽極とを含む第2の管状の電気化学的電池とを含み、
前記第1及び第2の管状の電気化学的電池の電解質は、ドープド酸化ジルコニウム、ドープド酸化セリウム及びドープドランタンガレートからなるグループから選択される材料を含み、
前記第1及び第2の管状の電気化学的電池のそれぞれは、多孔質の金属支持体を更に含み、前記陰極、電解質及び陽極は、該金属支持体上に堆積され、
前記リムは、前記第1及び第2の管状の電気化学的電池の端部を受け、前記連結板が前記第2の管状の電気化学的電池の多孔質の陰極に前記第1の管状の電気化学的電池の多孔質の陽極を接続するように、前記第1及び第2の管状の電気化学的電池を方向付け、
前記第1及び第2の管状の電気化学的電池のそれぞれは、前記穴の反対側にそれぞれ方向付けられてガス通路を形成する、電気化学的電池スタック組立体。
【請求項2】
前記管状の電気化学的電池における前記多孔質の陰極は、電解質層と陽極層とを支持するように構成されている、請求項1に記載の電気化学的電池スタック組立体。
【請求項3】
前記陰極は、約100マイクロメータから約3000マイクロメータの範囲の厚さを持つ多孔質の支持体を含む、請求項2に記載の電気化学的電池スタック組立体。
【請求項4】
前記陰極は、約150マイクロメータから約2000マイクロメータの範囲の厚さを持つ多孔質の支持体を含む、請求項2に記載の電気化学的電池スタック組立体。
【請求項5】
前記陰極は、主にLa1-xSrxMnyO3-δ(1≧X≧0.05)(0.95≦y≦1.15)、La1-xSrxCoO3-δ(1≧X≧0.10)、La1-xSrxFeyO3-δ(1≧X≧0.05)(0.95≦y≦1.15)、SrCo1-xFexO3-δ(0.30≧X≧0.20)、La0.6Sr0.4Co0.6Fe0.4O3-δ、Sr0.7Ce0.3MnO3-δ、Sm0.5Sr0.5CoO3-δ、イットリウム安定化ジルコニウム、スカンジウム安定化ジルコニウム、(CeO2)0.8(gd2O3)0.2(CGO)、La0.5Sr0.2Ga0.85Mg0.15O2.825(LSGM20-15)、(Bi2O3)0.75(Y2O3)0.25からなるグループから選択される材料を含む、請求項1に記載の電気化学的電池スタック組立体。
【請求項6】
前記管状の電気化学的電池の前記電解質は、陰極層と陽極層とを支持するように構成されている、請求項1に記載の電気化学的電池スタック組立体。
【請求項7】
前記電解質は、約1マイクロメータから約50マイクロメータの範囲の厚さを持つ電解質の薄膜を含む、請求項2に記載の電気化学的電池スタック組立体。
【請求項8】
前記陽極は、前記電解質の薄膜上に設けられる薄膜を含み、約50マイクロメータから500マイクロメータの範囲の厚さを有する、請求項7に記載の電気化学的電池スタック組立体。
【請求項9】
前記陽極は、前記電解質の薄膜上に設けられる厚さが約150マイクロメータから300マイクロメータの範囲の薄膜を含む、請求項7に記載の電気化学的電池スタック組立体。
【請求項10】
前記管状の電気化学的電池における前記多孔質の陽極は、電解質層と陰極層とを支持するように構成されている、請求項1に記載の電気化学的電池スタック組立体。
【請求項11】
前記陽極は、約250マイクロメータから約2500マイクロメータの範囲の厚さを持つ多孔質の支持体を含む、請求項10に記載の電気化学的電池スタック組立体。
【請求項12】
前記陽極は、主にNi−イットリウム安定化ジルコニウム及びNi−(CeO20.8(gd230.2からなるグループから選択される材料を含む、請求項2に記載の電気化学的電池スタック組立体。
【請求項13】
前記管状の電気化学的電池は、前記管の長手軸に沿って長さが1cmから10cmの間である、請求項1に記載の電気化学的電池スタック組立体。
【請求項14】
前記スタックされた電気化学的電池の前記通路を通るようガスを方向付けるように構成されたガス案内用第1マニホルドを更に含む、請求項1に記載の電気化学的電池スタック組立体。
【請求項15】
前記第1マニホルドへの入口前でガスを事前加熱するための手段を更に含む、請求項14に記載の電気化学的電池スタック組立体。
【請求項16】
前記スタックされた電気化学的電池の前記通路からガスを受けるように構成されたガス案内用第2マニホルドを更に含む、請求項14に記載の電気化学的電池スタック組立体。
【請求項17】
前記第2ガスマニホルドは、未反応ガスから反応生成物を分離するように構成されたガス清浄器に動作上接続されている、請求項16に記載の電気化学的電池スタック組立体
【請求項18】
前記スタックから余剰熱を除去する手段を更に含む、請求項1に記載の電気化学的電池スタック組立体。
【請求項19】
前記スタックから余剰熱を除去する手段は、前記連結板に動作上接続されている熱交換器を含む、請求項18に記載の電気化学的電池スタック組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−49143(P2012−49143A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237342(P2011−237342)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【分割の表示】特願2004−504335(P2004−504335)の分割
【原出願日】平成15年5月7日(2003.5.7)
【出願人】(301043487)ザ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・カリフォルニア (15)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
【Fターム(参考)】