説明

電気器具取付け装置

【課題】照明器具等の電気器具の着脱を容易に行うことができるとともに、着脱を繰り返しても美観を損なうことがない電気器具取付け装置を提供する。
【解決手段】基板3の一方の面に電極板4が積層され、電極板4の基板3側の面に一対の配線部9a、9bが設けられ、基板3の他方の面に吸着板5が積層され、吸着板5及び基板3を貫通して設けられる第1取付け穴6aと第2取付け穴6bとが設けられた取付け板2と、取付け板2の吸着板5側に設けられ電気器具取付け部11と、電気器具取付け部11に設けられ、第1取付け穴6a及び第2取付け穴6b内に挿脱可能な複数のピン部15a、15bと記電気器具取付け部11に設けられ、電気器具取付け部11を吸着板5に磁力により吸着させるための磁石27と、一部のピン部15aに設けられて一方の配線部9aに電気的に接続される第1給電部17aと、他のピン部15bに設けられて他方の配線部9bに電気的に接続される第2給電部17bとからなるコネクタ10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気器具取付け装置に関し、特に、空間(建物、自動車等の空間)内の天井部、壁部、床部等に照明器具等の電気器具を着脱自在に取り付けるのに有効な電気器具取付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物の例えば天井部に照明器具を取り付ける場合には、予め、天井部のパネルの所定の位置に配線用孔を設け、この配線用孔から天井裏に敷設されている電線を引き出し、この引き出した電線に照明器具を電気的に接続することで、照明器具を取り付けている。
【0003】
このような照明器具は、建物内のレイアウトの変更等によって他の位置に移動させる場合に、新たにパネルに配線用孔を設け、この配線用孔から天井裏に敷設されている電線を引き出し、この引き出した電線に取り外した照明器具を電気的に接続している。
【0004】
このため、パネルに新たに配線用孔を設ける作業や、新たに設けた配線用孔から天井裏の電線を引き出す作業等の作業が必要になり、それらの作業に非常に手間かかかることになる。また、照明器具を取り外した後のパネルに配線用孔が残って美観を損なうことになるため、元の配線用孔を塞ぐ作業も必要になり、その作業にも手間がかかることになる。
【0005】
一方、特許文献1には、基板の両面に印刷又はエッチングによりプリント配線して電路を形成し、電路の適宜な箇所にコネクタピンを挿入するピン挿入孔を形成し、このピン挿入孔内にコネクタピンを電気的に接続するように構成した発明が開示されており、このような技術を照明器具の天井部等への着脱に適用することも考えられる。
【特許文献1】実開昭56−86773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示されている技術では、コネクタピンを電路に電気的に接続する際にハンダ付け作業が必要になるとともに、照明器具を天井部等に支持するための機構が必要になるため、この技術をそのまま天井部等への照明器具の着脱に適用することはできない。
【0007】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、照明器具等の電気器具の着脱を容易に行うことができるとともに、照明器具等の電気器具を他の位置に移動させても美観を損なうようなことがない、電気器具取付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、請求項1に係る発明は、絶縁体からなる基板の一方の面に電極板が積層され、該電極板の前記基板側の面に所定のパターンの一対の配線部が設けられ、前記基板の他方の面に磁石に吸着される性質を有する吸着板が積層され、前記吸着板及び前記基板を貫通して、前記一対の配線部のうちの一方の配線部に対応する位置に設けられる第1取付け穴と、前記吸着板及び前記基板を貫通して、前記一対の配線部のうちの他方の配線部に対応する位置に設けられる第2取付け穴とが設けられ、前記一対の配線部が電源に電気的に接続される取付け板と、前記取付け板の吸着板側に設けられ、電気器具が取り付けられる電気器具取付け部と、該電気器具取付け部に一体に設けられるとともに、前記第1取付け穴及び第2取付け穴内に挿脱可能な複数のピン部と、前記電気器具取付け部に設けられ、該電気器具取付け部を前記吸着板に磁力により吸着させるための磁石と、前記複数のピン部のうちの一部のピン部の先端に設けられるとともに、該一部のピン部が前記第1取付け穴内に挿入された状態で前記一方の配線部に電気的に接続される第1給電部と、前記複数のピン部のうちの他のピン部の先端に設けられるとともに、該他のピン部が前記第2取付け穴内に挿入された状態で前記他方の配線部に電気的に接続される第2給電部とからなるコネクタとを備え、前記両給電部に前記電気器具が電気的に接続されることを特徴とする。
【0009】
本発明による電気器具取付け装置によれば、取付け板の第1取付け穴にコネクタの複数のピン部のうちの一部のピン部を挿入し、第2取付け穴に複数のピン部のうちの他のピン部を挿入することにより、電気器具取付け部に設けた磁石の磁力によって電気器具取付け部が吸着板に吸着され、複数のピン部のうちの一部のピン部に設けられた第1給電部が一方の配線部に電気的に接続され、他のピン部に設けられた第2給電部が他方の配線部に電気的に接続される。
そして、電気器具取付け部に取り付けられる電気器具を両給電部に電気的に接続することにより、電源から両配線部及び両給電部を介して電気器具に電力が供給され、電気器具が作動することになる。
この場合、コネクタの複数のピン部のうちの一部のピン部を取付け板の第1取付け穴内に挿入し、他のピン部を第2取付け穴に挿入することで、電気器具取付け部を磁石の磁力によって吸着板に吸着させ、電気器具をコネクタを介して取付け板に取り付けることができるので、電気器具の取付け作業を容易にすることができる。
また、電気器具を他の位置に移動させる場合には、電気器具取付け部を磁石の磁力に抗して吸着板から引き離し、複数のピン部のうちの一部のピン部を第1取付け穴から離脱させ、他のピン部を第2取付け穴から離脱させることでコネクタを取付け板から取り外し、この取り外したコネクタを取付け板の他の位置に移動させ、その位置でコネクタの複数のピン部のうちの一部のピン部を第1取付け穴に挿入し、他のピン部を第2取付け穴内に挿入し、電気器具取付け部を磁石の磁力によって吸着板に吸着させればよいので、電気器具の移動を容易に行うことができる。さらに、電気器具を他の位置に移動させても、電気器具を取り除いた後の第1取付け穴及び第2取付け穴が美観を損なうようなこともない。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電気器具取付け装置であって、前記磁石は、前記電気器具取付け部の前記吸着板との対向面に設けられた溝内に設けられ、該磁石の磁力によって前記電気器具取付け部の一部が前記吸着板に吸着されることを特徴とする。
【0011】
本発明による電気器具取付け装置によれば、電気器具取付け部の吸着板との対向面に設けられた溝内に設けられている磁石の磁力により、電気器具取付け部の一部が吸着板に吸着され、複数のピン部のうちの一部のピン部が取付け板の第1取付け穴内に挿入され、他のピン部が第2取付け穴内に挿入された状態に固定されることになる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の電気器具取付け装置であって、前記第1給電部は、前記複数のピン部のうちの一部のピン部の先端部に設けられた溝内に付勢部材を介して設けられ、前記第2給電部は、前記複数のピン部のうちの他のピン部の先端部に設けられた溝内に付勢部材を介して設けられ、前記付勢部材の付勢力によって前記第1給電部が前記一方の配線部に圧接され、前記第2給電部が前記他方の配線部に圧接されていることを特徴とする。
【0013】
本発明による電気器具取り付け装置によれば、複数のピン部のうちの一部のピン部の先端部の溝内に付勢部材を介して設けられた第1給電部が付勢部材の付勢力によって一方の配線部に圧接され、他のピン部の先端部の溝内に付勢部材を介して設けられた第2給電部が付勢部材の付勢力によって他方の配線部に圧接され、第1給電部が一方の配線部と電気的に接続され、第2給電部が他方の配線部と電気的に接続されることになる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1から3の何れかに記載の電気器具取付け装置であって、前記複数のピン部のうちの一部のピン部と他のピン部との大きさ、又は形状を異ならせるとともに、それに対応させた大きさ、又は形状の第1取付け穴及び第2取付け穴を前記取付け板に設けることを特徴とする。
【0015】
本発明による電気器具取付け装置によれば、複数のピン部のうちの一部のピン部側の第1給電部と他のピン部の側の第2給電部との間に例えば直流電源を供給する場合に、極性を間違えることなく一部のピン部を第1取付け穴内に、他のピン部を第2取付け穴内に確実に挿入することができる。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項1から4の何れかに記載の電気器具取付け装置であって、前記取付け板は、空間内の天井部、壁部、又は床部に設けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明による電気器具取付け装置によれば、取付け板を空間内の天井部、壁部、又は床部に設けることにより、照明器具、火災センサ等の各種の電気器具を天井部、壁部、又は床部の取付け板に着脱させることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
以上、説明したように、本発明の電気器具取付け装置によれば、取付け板の第1取付け穴内に複数のピン部のうちの一部のピン部を挿入し、第2取付け穴内に他のピン部を挿入することにより、磁石の磁力によって電気器具取付け部を吸着板に吸着させ、コネクタを取付け板に固定でき、コネクタを介して電気器具を取付け板に取り付けることができる。また、電気器具取付け部を磁石の磁力に抗して吸着板から引き離し、複数のピン部のうちの一部のピン部を第1取付け穴から離脱させ、他のピン部を第2取付け穴から離脱させることにより、コネクタを取付け板から取り外すことができ、コネクタに取り付けられる電気器具を取付け板から取り外すことができる。
従って、電気器具の取付け板への着脱を容易に行うことができるので、電気器具を取付け板の他の位置に移動する場合に、新たな配線用孔を設けたり、配線用孔から配線を引き出したりする作業が不要となる。さらに、電気器具を取り外した後に第1取付け穴及び第2取付け穴が残っても、その存在によって美観を損なうようこともない。
また、コネクタを取付け板に取り付けた際に、複数のピン部のうちの一部のピン部側の第1給電部が一方の配線部に電気的に接続され、他のピン部の第2給電部が他方の配線部に電気的に接続されることになるので、第1給電部と一方の配線部との接触面積、及び第2給電部と他方の配線部との接触面積大きくとることができる。
従って、電気器具の作動に必要な電流を確実に通電することができるので、大電流を必要とする電気器具にも十分な電流を確実に通電することが可能となり、各種の電気器具を使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図3に示すように、本実施形態の電気器具の取り付け装置は、取付け板とコネクタとを含んで構成されており、図1は取付け板とコネクタとの関係を示す説明図、図2はコネクタを取付け板に取り付けた状態を示す断面図、図3はコネクタと吸着手段との関係を示す説明図である。
【0020】
すなわち、この電気器具取付け装置1は、空間内(例えば、建物、自動車等の空間内、本実施の形態においては建物とする。)の天井部、壁部等に照明器具、火災センサ等の電気器具を着脱自在に取り付けるとともに、この電気器具に電力を供給するのに有効なものであって、図1及び図2に示すように、建物の天井部、壁部等(本実施の形態では天井部)に設けられる取付け板2と、取付け板2に着脱自在に取り付けられるコネクタ10と、コネクタ10を取付け板2に吸着させる吸着手段25とを備えており、コネクタ10に電気器具35が取り付けられるようになっている。
【0021】
取付け板2は、図1に示すように、合成樹脂等の絶縁性を有する材料からなる板状の基板3と、基板3の一方の面に一体に積層されるとともに、基板3との対向面に所定のパターン(本実施の形態では櫛形状)の一対の配線部9(第1配線部9a、第2配線部9b)が設けられる板状の電極板4と、基板3の他方の面に一体に積層される磁石に吸着される性質を有する吸着板5とからなる積層板であって、基板3と電極板4及び吸着板5とは接着剤等の接合手段によってそれぞれ一体に接合されている。
【0022】
取付け板2には、吸着板5及び基板3を貫通する取付け穴6(第1取付け穴6a、第2取付け穴6b)が複数箇所に設けられ、第1取付け穴6aに第1配線部9aが対応し、第2取付け穴6bに第2配線部9bが対応し、第1取付け穴6a内に後述するコネクタ10のピン部15(第1ピン部15a)が挿脱可能、第2取付け穴6b内に後述するコネクタ10のピン部15(第2ピン部15b)が挿脱可能に構成されている。
【0023】
取付け板2の電極板4の第1配線部9a及び第2配線部9bは、配線7を介して個別に電源8に接続され、電源8から電極板4の第1配線部9aと第2配線部9bとの間に所定の直流あるいは交流の電圧が印加されるようになっている。第1配線部9a及び第2配線部9b配線部9は、電極板4の表面に印刷配線等によって櫛形状に形成されている。
なお、一対の配線部9(第1配線部9a、第2配線部9b)は、櫛形状に限らず他の形状であっても良いし、一対の配線部9(第1配線部9a、第2配線部9b)を印刷配線以外の方法で電極板4の表面に形成しても良い。
【0024】
取付け板2は、天井部の全体に設けてもよいし、天井部の一部に設けてもよい。天井部の全体に設ける場合には、複数枚の取付け板2を組み合わせて天井部の全体を塞ぐようにしてもよい。その場合には、隣接する取付け板2の電極板4〜4の第1配線部9a〜9a間、及び第2配線部9b〜9b間を電気的に接合するか、あるいは各取付け板2の電極板4の第1配線部9a及び第2配線部9bをそれぞれ個別に配線7を介して電源8に接続すればよい。
【0025】
コネクタ10は、図1〜図3に示すように、照明器具等の電気器具35が取り付けられる電気器具取付け部11と、電気器具取付け部11の上面に一体に立設された複数(本実施の形態では2つ)のピン部15(第1ピン部15a、第2ピン部15b)とを備えている。
【0026】
電気器具取付け部11は、合成樹脂等の絶縁性を有する材料から形成される例えば円板状をなすものであって、第1ピン部15a及び第2ピン部15bが取付け板2の第1取付け穴6a及び第2取付け穴6b内に挿入された状態で取付け板2に取り付けられ、この電気器具取付け部11の下部に照明器具等の電気器具35がねじ等の取付け手段によって着脱自在に取り付けられるようになっている。
なお、電気器具取付け部11は、円板状に限らず、他の形状に形成してもよい。要は、使用する電気器具35の形状等に応じて適宜の形状に形成すればよい。
【0027】
第1ピン部15a及び第2ピン部15bは、図1〜図3に示すように、合成樹脂等の絶縁性を有する材料から形成される円柱状をなすものであって、取付け板2の第1取付け穴6a及び第2取付け穴6bの内径よりも小径、かつ第1取付け穴6a及び第2取付け穴6bと略同一長さに形成されている。第1ピン部15a及び第2ピン部15bは、電気器具取付け部11と一体に形成してもよいし、電気器具取付け部11と別体に形成し、ねじ等の適宜な連結手段によって電気器具取付け部11に一体に連結するように構成してもよい。
【0028】
なお、第1ピン部15aと第2ピン部15bとの径を異なる寸法に形成し、それに応じた大きさの第1取付け穴6a及び第2取付け穴6bを取付け板2に形成してもよいし、また、第1ピン部15aを円柱状に形成し、第2ピン部15bを第1ピン部15aと異なる形状(角柱状等)に形成し、第1ピン部15a及び第2ピン部15bの形状に対応させて取付け板2の第1取付け穴6a及び第2取付け穴6bを円形状、角形状等に形成してもよい。
【0029】
このように第1ピン部15a及び第2ピン部15bの径を異ならせたり、形状を異ならせ、それに対応した大きさ、形状の第1取付け穴6a及び第2取付け穴6bを取付け板2に設けることにより、第1給電部17aと第2給電部17bとの間に例えば直流電源を供給する場合に、第1取付け穴6a及び第2取付け穴6bに対応する第1配線部9a及び第2配線部9bの極性をそれぞれ挿入される第1ピン部15a及び第2ピン部15bの極性に一致させておくことにより、極性を間違えることなく第1ピン部15a及び第2ピン部15bを所定の第1取付け穴6a及び第2取付け穴6b内に挿入させることができる。
【0030】
吸着手段25は、電気器具取付け部11の上面側の周縁部に設けられた溝11a内に一体に設けられる環状の磁石27と、電気器具取付け部11の上面側の周縁部の磁石27の磁力線が及ぶ範囲内に一部が配置される鉄等の磁性体からなる吸着部材26とからなり、磁石27の磁力によって吸着部材26を取付け板2の吸着板5に吸着させることにより、電気器具取付け部11が取付け板2に取り付けられる。
なお、溝11aは、環状に限らず他の形状でもよい。要は、磁石27を収納可能な形状であればよい。
【0031】
吸着部材26は、下端が閉塞された筒状をなすものであって、内側に電気器具取付け部11を嵌合させた状態で上端部が半径方向内方に屈曲され、この屈曲された部分が電気器具取付け部11の上面側の周縁部の磁石27の磁力線が及ぶ範囲内に配置され、この屈曲された部分が吸着板5の表面5aに磁石27の磁力によって吸着される吸着部26aに構成されている。
なお、吸着部材26は、上記の形状に限らず、電気器具取り付け部11を磁石27の磁力によって吸着板5の表面5aに吸着させることができる形状であればよい。
【0032】
第1ピン部15aの上端部には、取付け板2の電極板4の第1配線部9aに接触可能に第1給電部17aが設けられている。
第1給電部17aは、銅等の導電性を有する材料からなる円板状をなすものであって、第1ピン部17aの上端面に設けられた円形状の溝23内に付勢部材であるばね24を介して装着され、第1ピン部17aを取付け板2の第1取付け穴6a内に挿入した状態で、第1給電部17aがばね24の付勢力によって電極板4の第1配線部9aに圧接され、第1給電部17aが電極板4の第1配線部9aに電気的に接続される。第1給電部17aは、第1ピン部15aの内部に設けられている配線20の一端に接続され、この配線20の他端は電気器具取付け部11の下部に設けられている端子12に接続されている。
【0033】
第2ピン部15bの上端部には、取付け板2の電極板4の第2配線部9bに接触可能に第2給電部17bが設けられている。
第2給電部17bは、第1給電部17aと同様に、銅等の導電性を有する材料からなる円板状をなすものであって、第2ピン部15bの上端面に設けられた円形状の溝23内に付勢部材であるばね24を介して装着され、第2ピン部15bを取付け板2の第2取付け穴6b内に挿入した状態で、第2給電部17bがばね24の付勢力によって電極板4の第2配線部9bに圧接され、第2給電部17bが電極板4の第2配線部9bに電気的に接続される。第2給電部17bは、第2ピン部15bの内部に設けられている配線20の一端に接続され、この配線20の他端は電気器具取付け部11の下部に設けられている端子12に接続されている。
【0034】
次に、上記のように構成した本実施の形態による電気器具取付け装置1の作用について説明する。
まず、照明器具等の電気器具35を天井部に取り付けるには、図1に示すように、コネクタ10を天井部に予め設けられている取付け板2の所定の位置の下方に配置し、その位置で第1取付け穴6a及び第2取付け穴6b内に第1ピン部15a及び第2ピン部15bを挿入し、吸着手段25の磁石27の磁力によって吸着部材26の吸着部26aを吸着板5に吸着させ、第1ピン部15aの上端に設けられている第1給電部17aを電極板4の第1配線部9aに圧接させ、第2ピン部15bの上端に設けられている第2給電部17bを電極板4の第2配線部9bに圧接させ、第1給電部17aと第1配線部9aとを電気的に接続し、第2給電部17bと第2配線部9bとを電気的に接続する。
【0035】
そして、電気器具取付け部11にねじ等の取付け手段によって照明器具等の電気器具35を取り付け、電気器具35の電源を電気器具取付け部11の下部の端子12に電気的に接続する。
【0036】
このようにして、天井部の取付け板2に照明器具等の電気器具35を取り付けることができ、電源8から取付け板2の電極板4の第1配線部9aと第2配線部9bとの間に電圧を印加することにより、電極板4の両配線部9a、9bから両給電部17a、17b、及び端子12を介して照明器具等の電気器具35に電力が供給され、照明器具等の電気器具35を作動させることができる。
【0037】
次に、建物内のレイアウトの変更等によって電気器具35を天井部の他の位置に移動させる場合には、コネクタ10から電気器具35を取り外し、この状態で吸着部材26の吸着部26aを磁石27の磁力に抗して吸着板5から引き離し、第1ピン部15a及び第2ピン部15bを第1取付け穴6a及び第2取付け穴6bから離脱させることにより、コネクタ10を取付け板2から取り外す。その後は、上述した取り付け手順によってコネクタ10を取付け板2に取り付ける。
【0038】
上記のように構成した本実施形態による電気器具取付け装置1にあっては、建物の天井部に設けた取付け板2の第1取付け穴6a及び第2取付け穴6bを利用してコネクタ10を取付け板2に着脱させることにより、コネクタ10を介して天井部の所定の位置に照明器具等の電気器具35を着脱させることができるので、照明器具等の電気器具35の天井部への着脱を容易に行うことができる。
【0039】
また、天井部に取り付けた照明器具等の電気器具35を他の位置に移動させる場合にも、他の位置の第1取付け穴6a及び第2取付け穴6bを利用してコネクタ10を取付け板2に着脱させることにより、その位置にコネクタ10を介して照明器具等の電気器具35を着脱させることができることになる。
【0040】
この場合、取付け板2の複数の第1取付け穴6a及び第2取付け穴6bによって意匠的な効果を醸し出しているので、照明器具等の電気器具35を取り外した後の第1取付け穴6a及び第2取付け穴6bによって美観を損なうようなことはなく、また、第1取付け穴6a及び第2取付け穴6bを塞ぐ作業も不要となる。また、照明器具等の電気器具35を移動させる位置に新たに配線用孔を設け、その配線用孔から天井裏の配線を引き出したりする作業も不要となるので、照明器具等の電気器具35の移動に要する手間を大幅に削減することができる。
【0041】
さらに、第1ピン部15a側の第1給電部17aと電極板4の第1配線部9aとの接触面積、及び第2ピン部15b側の第2給電部17bと電極板4の第2配線部9bとの接触面積を大きくとることができるので、大電流を流すことが可能となり、大電流を必要とする電気器具にも十分に対応することができ、各種の電気器具に対応することが可能となる。
【0042】
なお、前記の説明においては、電気器具取付け部11の上面側の溝11a内に磁石27を設けたが、第1ピン部15a及び第2ピン部15bの上端部に磁石を設けるとともに、第1ピン部15a及び第2ピン部15bの電極板4の第1配線部9a及び第2配線部9bとの対向面に磁石によって吸着される性質を有する吸着部材を設けて、磁石の磁力により吸着部材を電極板4に着脱させるように構成してもよい。この場合には、電極板4を磁石によって吸着される性質を有する材料で形成すればよい。
【0043】
また、前記の説明においては、電気器具35として比較的重量のある照明器具等を例にとって説明したが、LEDを配置した照明器具のように軽量の照明器具等を電気器具としてもよいものであり、その場合には、電気器具を電気器具取付け部として、電気器具にピン部を一体に設けても良い。
さらに、前記の説明においては、電気器具取付け部11に2つのピン部15(第1ピン部15a、第2ピン部15b)を設けたが、3つ以上のピン部15を設ける場合には、その一部のピン部15を前述した第1ピン部15aのように構成し、他の一部のピン部15を前述した第2ピン部15bのように構成すればよい。
【0044】
さらに、前記の説明においては、本実施の形態による電気器具取付け装置1を建物の天井部に適用した場合について説明したが、建物の壁部、床部等に照明器具や火災センサ等の電気器具を取り付ける場合に適用することもできる。
さらに、自動車等の天井部等に電気器具を取り付ける場合にも適用することができ、その他の各種の空間の天井部等に電気器具を取り付ける場合にも適用可能である。
さらに、例えば、各種の作業テーブルの天板などを上記実施形態の取付け板2の構成とし、電気器具を着脱可能な作業テーブルとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による電気器具取付け装置の一実施の形態を示した説明図であって、取付け板とコネクタとの関係を示した説明図である。
【図2】コネクタを取付け板に取り付けた状態を示した断面図である。
【図3】コネクタと吸着手段との関係を示した説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 電気器具取付け装置 2 取付け板
3 基板 4 電極板
5 吸着板 5a 表面
6 取付け穴 6a 第1取付け穴
6b 第2取付け穴 7 配線
8 電源 9 配線部
9a 第1配線部 9b 第2配線部
10 コネクタ 11 電気器具取付け部
11a 溝 12 端子
15 ピン部 15a 第1ピン部
15b 第2ピン部 17 給電部
17a 第1給電部 17b 第2給電部
20 配線 23 溝
24 付勢手段(ばね) 25 吸着手段
26 吸着部材 26a 吸着部
27 磁石 35 電気器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体からなる基板の一方の面に電極板が積層され、該電極板の前記基板側の面に所定のパターンの一対の配線部が設けられ、前記基板の他方の面に磁石に吸着される性質を有する吸着板が積層され、前記吸着板及び前記基板を貫通して、前記一対の配線部のうちの一方の配線部に対応する位置に設けられる第1取付け穴と、前記吸着板及び前記基板を貫通して、前記一対の配線部のうちの他方の配線部に対応する位置に設けられる第2取付け穴とが設けられ、前記一対の配線部が電源に電気的に接続される取付け板と、
前記取付け板の吸着板側に設けられ、電気器具が取り付けられる電気器具取付け部と、該電気器具取付け部に一体に設けられるとともに、前記第1取付け穴及び第2取付け穴内に挿脱可能な複数のピン部と、前記電気器具取付け部に設けられ、該電気器具取付け部を前記吸着板に磁力により吸着させるための磁石と、前記複数のピン部のうちの一部のピン部の先端に設けられるとともに、該一部のピン部が前記第1取付け穴内に挿入された状態で前記一方の配線部に電気的に接続される第1給電部と、前記複数のピン部のうちの他のピン部の先端に設けられるとともに、該他のピン部が前記第2取付け穴内に挿入された状態で前記他方の配線部に電気的に接続される第2給電部とからなるコネクタとを備え、
前記両給電部に前記電気器具が電気的に接続されることを特徴とする電気器具取付け装置。
【請求項2】
前記磁石は、前記電気器具取付け部の前記吸着板との対向面に設けられた溝内に設けられ、該磁石の磁力によって前記電気器具取付け部の一部が前記吸着板に吸着されることを特徴とする請求項1に記載の電気器具取付け装置。
【請求項3】
前記第1給電部は、前記複数のピン部のうちの一部のピン部の先端部に設けられた溝内に付勢部材を介して設けられ、前記第2給電部は、前記複数のピン部のうちの他のピン部の先端部に設けられた溝内に付勢部材を介して設けられ、前記付勢部材の付勢力によって前記第1給電部が前記一方の配線部に圧接され、前記第2給電部が前記他方の配線部に圧接されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気器具取付け装置。
【請求項4】
前記複数のピン部のうちの一部のピン部と他のピン部との大きさ、又は形状を異ならせるとともに、それに対応させた大きさ、又は形状の第1取付け穴及び第2取付け穴を前記取付け板に設けることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の電気器具取付け装置。
【請求項5】
前記取付け板は、空間内の天井部、壁部、又は床部に設けられていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の電気器具取付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−87675(P2009−87675A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255083(P2007−255083)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)