電気器具取付け装置
【課題】照明器具等の電気器具の着脱を容易に行うことができるとともに、着脱を繰り返しても美観を損なうことがない電気器具取付け装置を提供する。
【解決手段】基板４の片面に一対の配線部５ａ、５ｂが設けられ、基板３及び一方の配線部５ａを貫通して設けられる第１取付け孔６ａと、基板３及び他方の配線部５ｂを貫通して設けられる第２取付け孔６ｂとが設けられる取付け板２と、基板４の一対の配線部５ａ、５ｂと反対側の面に設けられる電気器具取付け部１１と、電気器具取付け部１１に設けられ、第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂ内に挿脱可能な複数のピン部１５ａ、１５ｂと、各ピン部１５ａ、１５ｂを第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂ内に挿入された状態に固定する固定手段２５と、固定手段２５ａに設けられ、一方の配線部５ａに電気的に接続される第１給電部１７ａと、固定手段２５ｂに設けられ、他方の電極部５ｂに電気的に接続される第２給電部１７ｂとからなるコネクタ１０とを備える。
【解決手段】基板４の片面に一対の配線部５ａ、５ｂが設けられ、基板３及び一方の配線部５ａを貫通して設けられる第１取付け孔６ａと、基板３及び他方の配線部５ｂを貫通して設けられる第２取付け孔６ｂとが設けられる取付け板２と、基板４の一対の配線部５ａ、５ｂと反対側の面に設けられる電気器具取付け部１１と、電気器具取付け部１１に設けられ、第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂ内に挿脱可能な複数のピン部１５ａ、１５ｂと、各ピン部１５ａ、１５ｂを第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂ内に挿入された状態に固定する固定手段２５と、固定手段２５ａに設けられ、一方の配線部５ａに電気的に接続される第１給電部１７ａと、固定手段２５ｂに設けられ、他方の電極部５ｂに電気的に接続される第２給電部１７ｂとからなるコネクタ１０とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、電気器具取付け装置に関し、特に、空間（建物、自動車等の空間）内の天井部、壁部、床部等に照明器具等の電気器具を着脱自在に取り付けるのに有効な電気器具取付け装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、建物の例えば天井部に照明器具を取り付ける場合には、予め、天井部のパネルの所定の位置に配線用孔を設け、この配線用孔から天井裏に敷設されている電線を引き出し、この引き出した電線に照明器具を電気的に接続することで、照明器具を取り付けている。
【０００３】
このような照明器具は、建物内のレイアウトの変更等によって他の位置に移動させる場合に、新たにパネルに配線用孔を設け、この配線用孔から天井裏に敷設されている電線を引き出し、この引き出した電線に取り外した照明器具を電気的に接続している。
【０００４】
このため、パネルに新たに配線用孔を設ける作業や、新たに設けた配線用孔から天井裏の電線を引き出す作業等の作業が必要になり、それらの作業に非常に手間かかかることになる。また、照明器具を取り外した後のパネルに配線用孔が残って美観を損なうことになるため、元の配線用孔を塞ぐ作業も必要になり、その作業にも手間がかかることになる。
【０００５】
一方、特許文献１には、基板の両面に印刷又はエッチングによりプリント配線して電路を形成し、電路の適宜な箇所にコネクタピンを挿入するピン挿入孔を形成し、このピン挿入孔内にコネクタピンを電気的に接続するように構成した発明が開示されており、このような技術を照明器具の天井部等への着脱に適用することも考えられる。
【特許文献１】実開昭５６−８６７７３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかし、特許文献１に開示されている技術では、コネクタピンを電路に電気的に接続する際にハンダ付け作業が必要になるとともに、照明器具を天井部等に支持するための機構が必要になるため、この技術をそのまま天井部等への照明器具の着脱に適用することはできない。
【０００７】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、照明器具等の電気器具の着脱を容易に行うことができるとともに、照明器具等の電気器具を他の位置に移動させても美観を損なうようなことがない、電気器具取付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、請求項１に係る発明は、絶縁性を有する材料からなる板状の基板の片面に一対の配線部が所定のパターンで設けられ、前記基板及び前記一対の配線部のうちの一方の配線部を貫通して設けられる第１取付け孔と、前記基板及び前記一対の配線部のうちの他方の配線部を貫通して設けられる第２取付け孔とが設けられ、前記一対の配線部が電源に電気的に接続される取付け板と、前記基板の一対の配線部と反対側の面に設けられ、電気器具が取り付けられる電気器具取付け部と、該電気器具取付け部に一体に設けられるとともに、前記第１取付け孔及び第２取付け孔内に挿脱可能な複数のピン部と、前記各ピン部に対応して設けられ、前記各ピン部を前記第１取付け孔及び第２取付け孔内に挿入された状態に固定するとともに、一部が前記基板の片面に係止される固定手段と、前記複数のピン部のうちの一部のピン部の固定手段に設けられ、該一部のピン部が前記第１取付け孔内に挿入された状態で前記一方の配線部に電気的に接続される第１給電部と、前記複数のピン部のうちの他のピン部の固定手段に設けられ、該他のピン部が前記第２取付け孔内に挿入された状態で前記他方の配線部に電気的に接続される第２給電部とからなるコネクタとを備え、前記両給電部に前記電気器具が電気的に接続されることを特徴とする。
【０００９】
本発明による電気器具取付け装置によれば、取付け板の第１取付け孔内にコネクタの複数のピン部のうちの一部のピン部を挿入し、第２取付け孔内に複数のピン部のうちの他のピン部を挿入し、一部のピン部及び他のピン部を固定手段により第１取付け孔及び第２取付け孔内に固定することにより、一部のピン部の固定手段の第１給電部が一方の配線部に電気的に接続され、他のピン部の固定手段の第２給電部が他方の配線部に電気的に接続される。
そして、電気器具取付け部に取り付けられる電気器具をコネクタの両給電部に電気的に接続することにより、電源から両配線部及び両給電部を介して電気器具に電力が供給され、電気器具が作動することになる。
この場合、コネクタの複数のピン部のうちの一部のピン部を取付け板の第１取付け孔内に挿入し、他のピン部を第２取付け孔内に挿入し、一部のピン部及び他のピン部を固定手段により第１取付け孔及び第２取付け孔内に挿入された状態に固定することで、コネクタを介して電気器具を取付け板に取り付けることができるので、電気器具の取付け作業を容易にすることができる。
また、電気器具を他の位置に移動させる場合には、一部のピン部及び他のピン部の固定手段による第１取付け孔及び第２取付け孔内への固定状態を解除し、一部のピン部及び他のピン部を第１取付け孔及び第２取付け孔から離脱させることにより、コネクタを取付け板から取り外し、この取り外したコネクタを取付け板の他の位置に移動させて、その位置でコネクタの一部のピン部及び他のピン部を第１取付け孔及び第２取付け孔内に挿入し、各ピン部を固定手段によって第１取付け孔及び第２取付け孔内に固定するだけでよいので、電気器具の移動を容易に行うことができる。さらに、電気器具を他の位置に移動させても、電気器具を取り除いた後の第１取付け孔及び第２取付け孔が美観を損なうようなこともない。
【００１０】
請求項２に係る発明は、請求項１に記載の電気器具取付け装置であって、前記各固定手段は、前記各ピン部及び前記電気器具取付け部を貫通して設けられる回転可能なロッドと、該ロッドと一体に回転することによって前記各ピン部の上端面に重合した状態と、前記各ピン部の外径側にせり出して前記基板の片面に係止する状態とを取り得る固定部と、該ロッドを回転させる操作部とを備え、前記複数のピン部のうちの一部のピン部の固定手段の固定部の前記基板の片面との対向面、及び前記操作部の前記電気器具取付け部との対向面に前記第１給電部が設けられ、両一方の給電部間が配線を介して相互に接続され、前記複数のピン部のうちの他のピン部の固定手段の固定部の前記基板の片面との対向面、及び前記操作部の前記電気器具取付け部との対向面に前記第２給電部が設けられ、両第２給電部間が配線を介して相互に接続されていることを特徴とする。
【００１１】
本発明による電気器具取付け装置によれば、複数のピン部のうちの一部のピン部を取付け板の第１取付け孔内に挿入し、他のピン部を第２取付け内に挿入し、この状態で固定手段の操作部を操作してロッドと一体に固定部を回転させて、固定部を基板の片面に係止させることで一部のピン部及び他のピン部を第１取付け孔及び第２取付け孔内に固定でき、コネクタを取付け板に固定することができる。
この場合、一部のピン部の固定手段の固定部及び操作部の第１給電部が一方の配線部に電気的に接続され、他のピン部の固定手段の固定部及び操作部の第２給電部が他方の配線部に電気的に接続されることになる。
また、固定手段の操作部を操作して、ロッドと一体に固定部を回転させて固定部を基板の片面から離脱させることにより、一部のピン部及び他のピン部が第１取付け孔及び第２取付け孔から離脱可能な状態となり、コネクタを取付け板から取り外すことができることになり、一部のピン部の固定手段の第１給電部及び他のピン部の固定手段の第２給電部の一方の配線部及び他方の配線部に対する電気的な接続状態が解除されることになる。
【００１２】
請求項３に係る発明は、請求項１又は２に記載の電気器具取付け装置であって、前記電気器具取付け部の前記ピン部の周囲の前記基板との対向面には、前記ピン部を包囲するように溝が設けられ、該溝内に前記基板の方向に弾性変形可能な付勢手段が設けられていることを特徴とする。
【００１３】
本発明による電気器具取付け装置によれば、複数のピン部のうちの一部のピン部を取付け板の第１取付け孔内に挿入し、他のピン部を第２取付け孔内に挿入し、固定手段によって各ピン部が取付け孔内に挿入された状態に固定することにより、電気器具取付け部の環状の溝内の付勢手段が弾性変形し、この付勢手段の付勢力によって第１給電部及び第２給電部が基板の片面の一方の配線部及び他方の配線部に強く圧接され、第１給電部及び第２給電部が一方の配線部及び他方の配線部に電気的に接続されることになる。
【００１４】
請求項４に係る発明は、請求項１から３の何れかに記載の電気器具取付け装置であって、前記複数のピン部のうちの一部のピン部と他のピン部との大きさ、又は形状を異ならせるとともに、それに対応させた大きさ、又は形状の第１取付け孔及び第２取付け孔を前記取付け板に設けることを特徴とする。
【００１５】
本発明による電気器具取付け装置によれば、複数のピン部のうちの一部のピン部側の第１給電部と他のピン部の側の第２給電部との間に例えば直流電源を供給する場合に、極性を間違えることなく一部のピン部を第１取付け穴内に、他のピン部を第２取付け穴内に確実に挿入することができる。
【００１６】
請求項５に係る発明は、請求項１から４の何れかに記載の電気器具取付け装置であって、前記取付け板は、空間内の天井部、壁部、又は床部に設けられていることを特徴とする。
【００１７】
本発明による電気器具取付け装置によれば、取付け板を空間内の天井部、壁部、又は床部に設けることにより、照明器具、火災センサ等の各種の電気器具を天井部、壁部、又は床部の取付け板に着脱させることが可能となる。
【発明の効果】
【００１８】
以上、説明したように、本発明の電気器具取付け装置によれば、取付け板の第１取付け孔内に複数のピン部のうちの一部のピン部を挿入し、第２取付け孔内に他のピン部を挿入し、固定手段により一部のピン部及び他のピン部を第１取付け孔及び第２取付け孔内に固定することにより、コネクタを取付け板に固定することができ、コネクタを介して電気器具を取付け板に取り付けることができる。また、固定手段による一部のピン部及び他のピン部の第１取付け孔及び第２取付け孔内への固定状態を解除し、一部のピン部及び他のピン部を第１取付け孔及び第２取付け孔から離脱させることにより、コネクタを取付け板から取り外すことができ、コネクタに取り付けられる電気器具を取付け板から取り外すことができる。
従って、電気器具の取付け板への着脱を容易に行うことができるので、電気器具を取付け板の他の位置に移動する場合に、新たな配線用孔を設けたり、配線用孔から配線を引き出したりする作業が不要となる。さらに、電気器具を取り外した後に第１取付け孔及び第２取付け孔が残っても、その存在によって美観を損なうようこともない。
また、コネクタを取付け板に取り付けた際に、第１給電部及び第２給電部が基板の片面の一方の配線部及び他方の配線部に電気的に接続されることになるので、第１給電部及び第２給電部と一方の配線部及び他方の配線部との接触面積大きくとることができる。
従って、電気器具の作動に必要な電流を確実に通電することができ、大電流を必要とする電気器具にも十分な電流を確実に通電することが可能となり、各種の電気器具を使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図１〜図４に示すように、本実施形態の電気器具の取り付け装置は、取付け板とコネクタとを含んで構成されており、図１は取付け板とコネクタとの関係を示す説明図、図２はコネクタを取付け板に取り付けた状態を示す断面図、図３はコネクタと固定手段との関係を示す説明図、図４はプリント配線基板の表面側を示す説明図である。
【００２０】
すなわち、この電気器具取付け装置１は、空間内（例えば、建物、自動車等の空間内、本実施の形態においては建物とする。）の天井部、壁部等に照明器具、火災センサ等の電気器具を着脱自在に取り付けるとともに、この電気器具に電力を供給するのに有効なものであって、図１及び図２に示すように、建物の天井部、壁部等（本実施の形態では天井部）に設けられる取付け板２と、取付け板２に着脱自在に取り付けられるコネクタ１０と、コネクタ１０を取付け板２に固定する固定手段２５とを備えており、コネクタ１０に電気器具３５が取り付けられるようになっている。
【００２１】
取付け板２は、図１に示すように、合成樹脂等の絶縁性を有する材料からなる板状のパネル基板３と、パネル基板３の上面に一体に積層される合成樹脂等の絶縁性を有する材料からなる板状のプリント配線基板４とからなる積層板であって、パネル基板３とプリント配線基板４とは接着剤等の接合手段によってそれぞれ一体に接合されている。
【００２２】
取付け板２には、パネル基板３及びプリント配線基板４及びプリント配線基板４の片面に一体に設けられる後述する一対の配線部５（第１配線部５ａ、第２配線部５ｂ）を貫通する取付け孔６（第１取付け孔６ａ、第２取付け孔６ｂ）が複数箇所に設けられ、第１取付け孔６ａに第１配線部５ａが対応し、第２取付け孔６ｂに第２配線部５ｂが対応し、第１取付け孔６ａに後述するコネクタ１０のピン部１５（第１ピン部１５ａ）が挿脱可能、第２取付け孔６ｂ内に後述するコネクタ１０のピン部１５（第１ピン部１５ｂ）が挿脱可能に構成されている。
【００２３】
プリント配線基板４の片面の第１配線部５ａ及び第２配線部５ｂは、配線を介して個別に電源８に接続され、電源８からプリント配線基板４の第１配線部５ａと第２配線部５ｂとの間に所定の直流あるいは交流の電圧が印加されるようになっている。第１配線部５ａ及び第２配線部５ｂは、プリント配線基板４の表面に印刷配線等によって所定のパターン（本実施の形態においては帯形状）で一体に設けられている。
【００２４】
取付け板２は、天井部の全体に設けてもよいし、天井部の一部に設けてもよい。天井部の全体に設ける場合には、複数枚の取付け板２を組み合わせて天井部の全体を塞ぐようにしてもよい。その場合には、隣接する取付け板２の第１配線部５ａ間、及び第２配線部５ｂ間を電気的に接合するか、あるいは各取付け板２の第１配線部５ａ及び第２配線部５ｂをそれぞれ個別に配線７を介して電源８に接続すればよい。
【００２５】
コネクタ１０は、図１〜図３に示すように、照明器具等の電気器具３５が取り付けられる電気器具取付け部１１と、電気器具取付け部１１の上面に一体に立設された複数（本実施の形態では２つ）のピン部１５（第１ピン部１５ａ、第２ピン部１５ｂ）とを備えている。
【００２６】
電気器具取付け部１１は、合成樹脂等の絶縁性を有する材料から形成される例えば円板状をなすものであって、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂが取付け板２の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂに挿入された状態で取付け板２に取り付けられ、この電気器具取付け部１１の下部に照明器具等の電気器具３５がねじ等の取付け手段によって着脱自在に取り付けられるようになっている。
なお、電気器具取付け部１１は、円板状に限らず、他の形状に形成してもよい。要は、使用する電気器具３５の形状等に応じて適宜の形状に形成すればよい。
【００２７】
第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂは、図２及び図３に示すように、合成樹脂等の絶縁性を有する材料から形成される円柱状をなすものであって、取付け板２の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂの内径よりも小径、かつ第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂよりもやや長く形成されている。第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂは、電気器具取付け部１１と一体に形成してもよいし、電気器具取付け部１１と別体に形成し、ねじ等の適宜な連結手段によって電気器具取付け部１１に一体に連結するように構成してもよい。
【００２８】
なお、第１ピン部１５ａと第２ピン部１５ｂとの径を異なる寸法に形成し、それに応じた大きさの第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂを取付け板２に形成してもよいし、また、第１ピン部１５ａを円柱状に形成し、第２ピン部１５ｂを第１ピン部１５ａと異なる形状（角柱状等）に形成し、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの形状に対応させて取付け板２の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂを円形状、角形状等に形成してもよい。
【００２９】
このように第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの径を異ならせたり、形状を異ならせ、それに対応した大きさ、形状の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂを取付け板２に設けることにより、第１給電部１７ａと第２給電部１７ｂとの間に例えば直流電源を供給する場合に、第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂに対応する第１配線部５ａ及び第２配線部５ｂの極性をそれぞれ挿入される第１ピン部１７ａ及び第２ピン部１７ｂの極性に一致させておくことにより、極性を間違えることなく第１ピン部１５ａ及び第２ピン部５ｂを第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂ内に挿入させることができる。
【００３０】
電気器具取付け部１１の下部の第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂに対応する部分には、円形状のガイド穴２１がその中心を後述する固定手段２５のロッド２６の軸線に一致させた状態で設けられ、このガイド穴２１内に固定手段２５の操作部２８が回転自在に設けられている。
【００３１】
コネクタ１０の第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの中心から偏心した位置には、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂ及び電気器具取付け部１１を軸線方向に貫通し、下端がガイド穴２１の底面の中心部に開口するロッド支持孔１６が設けられ、このロッド支持孔１６内を固定手段２５のロッド２６が回転自在に挿通している。
【００３２】
コネクタ１０の電気器具取付け部１１には、一端が後述する第１給電部１７ａ´に電気的に接続され、他端が電気器具取付け部１１の下部に配置される端子１２に電気的に接続される配線２０と、一端が後述する第２給電部１７ｂ´に電気的に接続され、他端が電気器具取付け部１１の下部に配置される端子１２に電気的に接続される配線２０とが設けられ、これらの端子１２、１２に電気器具取付け部１１に取り付けられる電気器具３５が電気的に接続されるようになっている。
【００３３】
固定手段２５は、図２及び図３に示すように第１ピン部１５ａ、第２ピン部１５ｂ及び電気器具取付け部１１を貫通するロッド支持孔１６内を挿通して、上下端が第１ピン部１５ａ、第２ピン部１５ｂ及び電気器具取付け部１１のガイド穴２１の底面から所定量突出する回転可能な導電体からなるロッド２６と、このロッド２６の第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂから突出している上端に一体に設けられる円板状の固定部２７と、このロッド２６の電気器具取付け部１１のガイド穴２１の底面から突出している下端に一体に設けられるとともに、ガイド穴２１内に回転可能に設けられる操作部２８とを備え、操作部２８をガイド穴２１内で回転させることにより、ロッド２６を介して固定部２７が回転するように構成されている。
【００３４】
固定部２７は、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの上端と略同一径の円板状に形成され、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの上端面と重合した状態で偏心した位置にロッド２６の上端が一体に連結され、操作部２８を回転させてロッド２６を回転させることによりロッド２６と一体に固定部２７が回転し、固定部２７が第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの上端面に重合した位置と上端面から外径側にせり出した位置との間を移動するように構成されている。
【００３５】
操作部２８は、ガイド穴２１の内径よりも小さい円板状をなすものであって、その中心部にロッド２６の下端が一体に連結されている。操作部２８の下端面の中心部には例えば六角穴（図示せず）が設けられ、この六角穴内に六角レンチを挿入し、六角レンチを操作することにより操作部２８をガイド穴２１内で回転させることができる。
【００３６】
なお、操作部２８の下端面に板状等の摘み部を一体に設け、この摘み部を摘むことにより操作部２８を回転させるように構成してもよい。
また、操作部２８の周面のロックばねを一体に設けるとともに、このロックばねが係合可能なロック溝をガイド穴２１の内面に設け、ロックばねをロック溝内に係合させることで、操作部２８をガイド穴２１内に固定するように構成してもよい。
【００３７】
操作部２８を回転させてロッド２６と一体に固定部２７を回転させ、固定部２７を第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの上端面から外径側にせり出させ、固定部２７をプリント配線基板４の片面に係止させることにより、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂが取付け板２の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂ内に挿入された状態に固定される。
【００３８】
第１ピン部１５ａを第１取付け孔６ａに固定する一方の固定手段２５ａの固定部２７の下面には、導電性を有する材料からなる固定部２７の外径と略同一径の円板状の第１給電部１７ａが一体に設けられるとともに、この固定手段２５ａの操作部２８の上面には、導電性を有する材料からなる操作部２８の外径と略同一径の円板状の第１給電部１７ａ´が一体に設けられ、上側の第１給電部１７ａと下側の第１給電部１７ａ´とは、導電体からなるロッド２６を介して電気的に相互に接続されている。
【００３９】
下側の第１給電部１７ａ´に対向するガイド穴２１の底面には導電板２１ａが設けられ、この導電板２１ａに下側の第１給電部１７ａ´が電気的に摺動可能に接触している。また、導電板２１ａには、電気器具取付け部１１に設けられている配線２０の一端が電気的に接続され、この配線２０の他端は電気器具取付け部１１の下部に設けられている端子１２に電気的に接続されている。これにより、プリント配線基板４の第１配線部５ａが上側の第１給電部１７ａ、ロッド２６、下側の第１給電部１７ａ´、導電板２１ａ、及び配線２０を介して電気器具取付け部１１の下部の端子１２に電気的に接続される。
【００４０】
第２ピン部１５ａを第２取付け孔６ｂに固定する他方の固定手段２５ｂの固定部２７の下面には、導電性を有する材料からなる固定部２７の外径と略同一径の円板状の第２給電部１７ｂが一体に設けられるとともに、この固定手段２５ｂの操作部２８の上面には、導電性を有する材料からなる操作部２８の外径と略同一径の円板状の第２給電部１７ｂ´が一体に設けられ、上側の第２給電部１７ｂと下側の第２給電部１７ｂ´とは、導電体であるロッド２６を介して電気的に相互に接続されている。
【００４１】
下側の第２給電部１７ｂ´に対向するガイド穴２１の底面には導電板２１ｂが設けられ、この導電板２１ｂに下側の第２給電部１７ｂ´が電気的に摺動可能に接触している。また、導電板２１ｂには、電気器具取付け部１１に設けられている配線２０の一端が電気的に接続され、この配線２０の他端は電気器具取付け部１１の下部に設けられている端子１２に電気的に接続されている。これにより、プリント配線基板４の第２配線部５ｂが上側の第２給電部１７ｂ、ロッド２６、下側の第２給電部１７ｂ´、導電板２１ｂ、及び配線２０を介して電気器具取付け部１１の下部の端子１２に電気的に接続される。
【００４２】
電気器具取付け部１１の上面の第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの周囲には、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂを包囲するように所定の幅、深さの溝１９がそれぞれ設けられ、各溝１９内に付勢手段２３がそれぞれ設けられている。
なお、溝１９は、環状に限らず他の形状であってもよい。要は、付勢手段２３を収納可能な形状であればよい。
【００４３】
付勢手段２３は、弾性を有する湾曲板状の板ばね２４を複数組み合わせて構成したものであって、各板ばね２４は、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの周囲の溝１９内にそれぞれ嵌合されている。この場合、各板ばね２４は、湾曲部分の頂部が電気器具取り付け部１１の上面よりも上方に突出し、溝１９の内部方向へ弾性変形可能となるように構成されている。
【００４４】
第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂを第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂ内に挿入し、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂを各固定手段２５ａ、２５ｂによって第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂ内に挿入した状態に固定することにより、各付勢手段２３の各板ばね２４が溝１９の内部方向へ弾性変形し、このときの弾性力によって固定手段２５ａの固定部２７の下面側の第１給電部１７ａがプリント配線基板４の片面の第１配線部５ａに強く圧接され、固定手段２５ｂの固定部の下面側の第２給電部１７ｂがプリント配線基板４の片面の第２配線部５ｂに強く圧接され、第１給電部１７ａが第１配線部５ａに、第２給電部１７ｂが第２配線部５ｂに電気的に接続される。また、電気器具取付け部１１を取付け板２の下部に確実に取り付けることもできる。
【００４５】
次に、上記のように構成した本実施の形態による電気器具取付け装置１の作用について説明する。
まず、照明器具等の電気器具３５を天井部に取り付けるには、図１に示すように、コネクタ１０を天井部に予め設けられている取付け板２の所定の位置の下方に配置し、その位置で第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂ内に第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂを挿入し、各固定手段２５ａ、２５ｂの操作部２８を回転させてロッド２６を介して固定部２７を回転させ、各固定部２７をプリント配線基板４の片面に係止させる。
【００４６】
これにより、固定手段２５ａの固定部２７の下面側の第１給電部１７ａがプリント配線基板４の片面の第１配線部５ａに電気的に接続され、第１配線部５ａが第１給電部１７ａ、ロッド２６、第１給電部１７ａ´、導電板２１ａ、及び配線２０を介して電気器具取付け部１１の下部の端子１２に電気的に接続される。
また、固定手段２５ｂの固定部２７の下面側の第２給電部１７ｂがプリント配線基板４の片面の第２配線部５ｂに電気的に接続され、第２配線部５ｂが第２給電部１７ｂ、ロッド２６、第２給電部１７ｂ´、導電板２１ｂ、及び配線２０を介して電気器具取付け部１１の下部の端子１２に電気的に接続される。
【００４７】
そして、電気器具取付け部１１にねじ等の取付け手段によって照明器具等の電気器具３５を取り付け、電気器具３５の電源を電気器具取付け部１１の下部の端子１２に電気的に接続する。
【００４８】
このようにして、天井部の取付け板２に照明器具等の電気器具３５を取り付けることができ、電源８から取付け板２の第１配線部５ａと第２配線部５ｂとの間に電圧を印加することにより、第１配線部５ａから第１給電部１７ａ、ロッド２６、第１給電部１７ａ´、導電板２１ａ、配線２０、及び端子１２を介して、第２給電部１７ｂから第２給電部１７ｂ、ロッド２６、第２給電部１７ｂ´、導電板２１ｂ、配線２０、及び端子１２を介して、照明器具等の電気器具３５に電力が供給され、照明器具等の電気器具３５を作動させることができる。
【００４９】
次に、建物内のレイアウトの変更等によって電気器具３５を天井部の他の位置に移動させる場合には、コネクタ１０から電気器具３５を取り外し、この状態で固定手段２５ａ、２５ｂの操作部２８を回転させてロッド２６を介して固定部２７を回転させ、固定部２７を第１配線部５ａ及び第２配線部５ｂから第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの上端面と重合する位置に移動させる。
【００５０】
そして、この状態で第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂを第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂから離脱させることによってコネクタ１０を取付け板２から取り外す。その後は上述した取り付け手順によってコネクタ１０を取付け板２に取り付ける。
【００５１】
上記のように構成した本実施形態による電気器具取付け装置１にあっては、建物の天井部に設けた取付け板２の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂを利用してコネクタ１０を取付け板２に着脱させることにより、コネクタ１０を介して天井部の所定の位置に照明器具等の電気器具３５を着脱させることができるので、照明器具等の電気器具３５の天井部への着脱を容易に行うことができる。
【００５２】
また、天井部に取り付けた照明器具等の電気器具３５を他の位置に移動させる場合にも、他の位置の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂを利用してコネクタ１０を取付け板２に着脱させることにより、その位置にコネクタ１０を介して照明器具等の電気器具３５を着脱させることができることになる。
【００５３】
この場合、取付け板２の複数の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂによって意匠的な効果を醸し出しているので、照明器具等の電気器具３５を取り外した後の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂによって美観を損なうようなことはなく、また、第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂを塞ぐ作業も不要となる。また、照明器具等の電気器具３５を移動させる位置に新たに配線用孔を設け、その配線用孔から天井裏の配線を引き出したりする作業も不要となるので、照明器具等の電気器具３５の移動に要する手間を大幅に削減することができる。
【００５４】
さらに、第１給電部１７ａと第１配線部５ａとの接触面積、及び第２給電部１７ｂと第２配線部ｂ５との接触面積も大きくとることができるので、大電流を流すことが可能となり、大電流を必要とする電気器具３５にも充分な電流を通電することが可能となり、各種の電気器具３５に対応することが可能となる。
【００５５】
なお、前記の説明においては、電気器具３５として比較的重量のある照明器具等を例にとって説明したが、ＬＥＤを配置した照明器具のように軽量の照明器具等を電気器具としてもよいものであり、その場合には、電気器具を電気器具取付け部として、電気器具にピン部を一体に設けても良い。
また、前記の説明においては、取付け板２にプリント配線基板４を積層した例について説明したが、プリント配線基板４に限らず、配線部を接着剤で接合して構成した基板等、他のタイプの基板を積層してもよい。
さらに、前記の説明においては、電気器具取り付け部１１に２つのピン部１５ａ、１５ｂを設けたが、電気器具取付け部１１に３つ以上のピン部１５を設けても良い。その場合には、その一部のピン部１５を前述した第１ピン部１５ａのように構成し、他の一部のピン部１５を前述した第２ピン部１５ｂのように構成すればよい。
【００５６】
さらに、前記の説明においては、本実施の形態による電気器具取付け装置１を建物の天井部に適用した場合について説明したが、建物の壁部、床部等に照明器具や火災センサ等の電気器具を取り付ける場合に適用することもできる。
さらに、自動車等の天井部等に電気器具を取り付ける場合にも適用することができ、その他の各種の空間の天井部等に電気器具を取り付ける場合にも適用可能である。
さらに、例えば、各種の作業テーブルの天板などを上記実施形態の取付け板２の構成とし、電気器具を着脱可能な作業テーブルとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００５７】
【図１】本発明による電気器具取付け装置の一実施形態を示した説明図であって、取付け板とコネクタとの関係を示した説明図である。
【図２】コネクタを取付け板に取り付けた状態を示した断面図である。
【図３】コネクタと固定手段との関係を示した説明図である。
【図４】プリント配線基板の片面を示した説明図である。
【符号の説明】
【００５８】
１ 電気器具取付け装置 ２ 取付け板
３ パネル基板 ４ プリント配線基板
５ 配線部 ５ａ 第１配線部
５ｂ 第２配線部 ６ 取付け孔
６ａ 第１取付け孔 ６ｂ 第２取付け孔
７ 配線 ８ 電源
１０ コネクタ １１ 電気器具取付け部
１２ 端子 １５ ピン部
１５ａ 第１ピン部 １５ｂ 第２ピン部
１６ ロッド支持孔 １７ 給電部
１７ａ 第１給電部 １７ｂ 第２給電部
１９ 溝 ２０ 配線
２１ ガイド穴 ２１ａ、２１ｂ 導電板
２３ 付勢手段 ２４ 板ばね
２５ 固定手段 ２５ａ 一方の固定手段
２５ｂ 他方の固定手段 ２６ ロッド
２７ 固定部 ２８ 操作部
３５ 電気器具
【技術分野】
【０００１】
本発明は、電気器具取付け装置に関し、特に、空間（建物、自動車等の空間）内の天井部、壁部、床部等に照明器具等の電気器具を着脱自在に取り付けるのに有効な電気器具取付け装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、建物の例えば天井部に照明器具を取り付ける場合には、予め、天井部のパネルの所定の位置に配線用孔を設け、この配線用孔から天井裏に敷設されている電線を引き出し、この引き出した電線に照明器具を電気的に接続することで、照明器具を取り付けている。
【０００３】
このような照明器具は、建物内のレイアウトの変更等によって他の位置に移動させる場合に、新たにパネルに配線用孔を設け、この配線用孔から天井裏に敷設されている電線を引き出し、この引き出した電線に取り外した照明器具を電気的に接続している。
【０００４】
このため、パネルに新たに配線用孔を設ける作業や、新たに設けた配線用孔から天井裏の電線を引き出す作業等の作業が必要になり、それらの作業に非常に手間かかかることになる。また、照明器具を取り外した後のパネルに配線用孔が残って美観を損なうことになるため、元の配線用孔を塞ぐ作業も必要になり、その作業にも手間がかかることになる。
【０００５】
一方、特許文献１には、基板の両面に印刷又はエッチングによりプリント配線して電路を形成し、電路の適宜な箇所にコネクタピンを挿入するピン挿入孔を形成し、このピン挿入孔内にコネクタピンを電気的に接続するように構成した発明が開示されており、このような技術を照明器具の天井部等への着脱に適用することも考えられる。
【特許文献１】実開昭５６−８６７７３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかし、特許文献１に開示されている技術では、コネクタピンを電路に電気的に接続する際にハンダ付け作業が必要になるとともに、照明器具を天井部等に支持するための機構が必要になるため、この技術をそのまま天井部等への照明器具の着脱に適用することはできない。
【０００７】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、照明器具等の電気器具の着脱を容易に行うことができるとともに、照明器具等の電気器具を他の位置に移動させても美観を損なうようなことがない、電気器具取付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、請求項１に係る発明は、絶縁性を有する材料からなる板状の基板の片面に一対の配線部が所定のパターンで設けられ、前記基板及び前記一対の配線部のうちの一方の配線部を貫通して設けられる第１取付け孔と、前記基板及び前記一対の配線部のうちの他方の配線部を貫通して設けられる第２取付け孔とが設けられ、前記一対の配線部が電源に電気的に接続される取付け板と、前記基板の一対の配線部と反対側の面に設けられ、電気器具が取り付けられる電気器具取付け部と、該電気器具取付け部に一体に設けられるとともに、前記第１取付け孔及び第２取付け孔内に挿脱可能な複数のピン部と、前記各ピン部に対応して設けられ、前記各ピン部を前記第１取付け孔及び第２取付け孔内に挿入された状態に固定するとともに、一部が前記基板の片面に係止される固定手段と、前記複数のピン部のうちの一部のピン部の固定手段に設けられ、該一部のピン部が前記第１取付け孔内に挿入された状態で前記一方の配線部に電気的に接続される第１給電部と、前記複数のピン部のうちの他のピン部の固定手段に設けられ、該他のピン部が前記第２取付け孔内に挿入された状態で前記他方の配線部に電気的に接続される第２給電部とからなるコネクタとを備え、前記両給電部に前記電気器具が電気的に接続されることを特徴とする。
【０００９】
本発明による電気器具取付け装置によれば、取付け板の第１取付け孔内にコネクタの複数のピン部のうちの一部のピン部を挿入し、第２取付け孔内に複数のピン部のうちの他のピン部を挿入し、一部のピン部及び他のピン部を固定手段により第１取付け孔及び第２取付け孔内に固定することにより、一部のピン部の固定手段の第１給電部が一方の配線部に電気的に接続され、他のピン部の固定手段の第２給電部が他方の配線部に電気的に接続される。
そして、電気器具取付け部に取り付けられる電気器具をコネクタの両給電部に電気的に接続することにより、電源から両配線部及び両給電部を介して電気器具に電力が供給され、電気器具が作動することになる。
この場合、コネクタの複数のピン部のうちの一部のピン部を取付け板の第１取付け孔内に挿入し、他のピン部を第２取付け孔内に挿入し、一部のピン部及び他のピン部を固定手段により第１取付け孔及び第２取付け孔内に挿入された状態に固定することで、コネクタを介して電気器具を取付け板に取り付けることができるので、電気器具の取付け作業を容易にすることができる。
また、電気器具を他の位置に移動させる場合には、一部のピン部及び他のピン部の固定手段による第１取付け孔及び第２取付け孔内への固定状態を解除し、一部のピン部及び他のピン部を第１取付け孔及び第２取付け孔から離脱させることにより、コネクタを取付け板から取り外し、この取り外したコネクタを取付け板の他の位置に移動させて、その位置でコネクタの一部のピン部及び他のピン部を第１取付け孔及び第２取付け孔内に挿入し、各ピン部を固定手段によって第１取付け孔及び第２取付け孔内に固定するだけでよいので、電気器具の移動を容易に行うことができる。さらに、電気器具を他の位置に移動させても、電気器具を取り除いた後の第１取付け孔及び第２取付け孔が美観を損なうようなこともない。
【００１０】
請求項２に係る発明は、請求項１に記載の電気器具取付け装置であって、前記各固定手段は、前記各ピン部及び前記電気器具取付け部を貫通して設けられる回転可能なロッドと、該ロッドと一体に回転することによって前記各ピン部の上端面に重合した状態と、前記各ピン部の外径側にせり出して前記基板の片面に係止する状態とを取り得る固定部と、該ロッドを回転させる操作部とを備え、前記複数のピン部のうちの一部のピン部の固定手段の固定部の前記基板の片面との対向面、及び前記操作部の前記電気器具取付け部との対向面に前記第１給電部が設けられ、両一方の給電部間が配線を介して相互に接続され、前記複数のピン部のうちの他のピン部の固定手段の固定部の前記基板の片面との対向面、及び前記操作部の前記電気器具取付け部との対向面に前記第２給電部が設けられ、両第２給電部間が配線を介して相互に接続されていることを特徴とする。
【００１１】
本発明による電気器具取付け装置によれば、複数のピン部のうちの一部のピン部を取付け板の第１取付け孔内に挿入し、他のピン部を第２取付け内に挿入し、この状態で固定手段の操作部を操作してロッドと一体に固定部を回転させて、固定部を基板の片面に係止させることで一部のピン部及び他のピン部を第１取付け孔及び第２取付け孔内に固定でき、コネクタを取付け板に固定することができる。
この場合、一部のピン部の固定手段の固定部及び操作部の第１給電部が一方の配線部に電気的に接続され、他のピン部の固定手段の固定部及び操作部の第２給電部が他方の配線部に電気的に接続されることになる。
また、固定手段の操作部を操作して、ロッドと一体に固定部を回転させて固定部を基板の片面から離脱させることにより、一部のピン部及び他のピン部が第１取付け孔及び第２取付け孔から離脱可能な状態となり、コネクタを取付け板から取り外すことができることになり、一部のピン部の固定手段の第１給電部及び他のピン部の固定手段の第２給電部の一方の配線部及び他方の配線部に対する電気的な接続状態が解除されることになる。
【００１２】
請求項３に係る発明は、請求項１又は２に記載の電気器具取付け装置であって、前記電気器具取付け部の前記ピン部の周囲の前記基板との対向面には、前記ピン部を包囲するように溝が設けられ、該溝内に前記基板の方向に弾性変形可能な付勢手段が設けられていることを特徴とする。
【００１３】
本発明による電気器具取付け装置によれば、複数のピン部のうちの一部のピン部を取付け板の第１取付け孔内に挿入し、他のピン部を第２取付け孔内に挿入し、固定手段によって各ピン部が取付け孔内に挿入された状態に固定することにより、電気器具取付け部の環状の溝内の付勢手段が弾性変形し、この付勢手段の付勢力によって第１給電部及び第２給電部が基板の片面の一方の配線部及び他方の配線部に強く圧接され、第１給電部及び第２給電部が一方の配線部及び他方の配線部に電気的に接続されることになる。
【００１４】
請求項４に係る発明は、請求項１から３の何れかに記載の電気器具取付け装置であって、前記複数のピン部のうちの一部のピン部と他のピン部との大きさ、又は形状を異ならせるとともに、それに対応させた大きさ、又は形状の第１取付け孔及び第２取付け孔を前記取付け板に設けることを特徴とする。
【００１５】
本発明による電気器具取付け装置によれば、複数のピン部のうちの一部のピン部側の第１給電部と他のピン部の側の第２給電部との間に例えば直流電源を供給する場合に、極性を間違えることなく一部のピン部を第１取付け穴内に、他のピン部を第２取付け穴内に確実に挿入することができる。
【００１６】
請求項５に係る発明は、請求項１から４の何れかに記載の電気器具取付け装置であって、前記取付け板は、空間内の天井部、壁部、又は床部に設けられていることを特徴とする。
【００１７】
本発明による電気器具取付け装置によれば、取付け板を空間内の天井部、壁部、又は床部に設けることにより、照明器具、火災センサ等の各種の電気器具を天井部、壁部、又は床部の取付け板に着脱させることが可能となる。
【発明の効果】
【００１８】
以上、説明したように、本発明の電気器具取付け装置によれば、取付け板の第１取付け孔内に複数のピン部のうちの一部のピン部を挿入し、第２取付け孔内に他のピン部を挿入し、固定手段により一部のピン部及び他のピン部を第１取付け孔及び第２取付け孔内に固定することにより、コネクタを取付け板に固定することができ、コネクタを介して電気器具を取付け板に取り付けることができる。また、固定手段による一部のピン部及び他のピン部の第１取付け孔及び第２取付け孔内への固定状態を解除し、一部のピン部及び他のピン部を第１取付け孔及び第２取付け孔から離脱させることにより、コネクタを取付け板から取り外すことができ、コネクタに取り付けられる電気器具を取付け板から取り外すことができる。
従って、電気器具の取付け板への着脱を容易に行うことができるので、電気器具を取付け板の他の位置に移動する場合に、新たな配線用孔を設けたり、配線用孔から配線を引き出したりする作業が不要となる。さらに、電気器具を取り外した後に第１取付け孔及び第２取付け孔が残っても、その存在によって美観を損なうようこともない。
また、コネクタを取付け板に取り付けた際に、第１給電部及び第２給電部が基板の片面の一方の配線部及び他方の配線部に電気的に接続されることになるので、第１給電部及び第２給電部と一方の配線部及び他方の配線部との接触面積大きくとることができる。
従って、電気器具の作動に必要な電流を確実に通電することができ、大電流を必要とする電気器具にも十分な電流を確実に通電することが可能となり、各種の電気器具を使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図１〜図４に示すように、本実施形態の電気器具の取り付け装置は、取付け板とコネクタとを含んで構成されており、図１は取付け板とコネクタとの関係を示す説明図、図２はコネクタを取付け板に取り付けた状態を示す断面図、図３はコネクタと固定手段との関係を示す説明図、図４はプリント配線基板の表面側を示す説明図である。
【００２０】
すなわち、この電気器具取付け装置１は、空間内（例えば、建物、自動車等の空間内、本実施の形態においては建物とする。）の天井部、壁部等に照明器具、火災センサ等の電気器具を着脱自在に取り付けるとともに、この電気器具に電力を供給するのに有効なものであって、図１及び図２に示すように、建物の天井部、壁部等（本実施の形態では天井部）に設けられる取付け板２と、取付け板２に着脱自在に取り付けられるコネクタ１０と、コネクタ１０を取付け板２に固定する固定手段２５とを備えており、コネクタ１０に電気器具３５が取り付けられるようになっている。
【００２１】
取付け板２は、図１に示すように、合成樹脂等の絶縁性を有する材料からなる板状のパネル基板３と、パネル基板３の上面に一体に積層される合成樹脂等の絶縁性を有する材料からなる板状のプリント配線基板４とからなる積層板であって、パネル基板３とプリント配線基板４とは接着剤等の接合手段によってそれぞれ一体に接合されている。
【００２２】
取付け板２には、パネル基板３及びプリント配線基板４及びプリント配線基板４の片面に一体に設けられる後述する一対の配線部５（第１配線部５ａ、第２配線部５ｂ）を貫通する取付け孔６（第１取付け孔６ａ、第２取付け孔６ｂ）が複数箇所に設けられ、第１取付け孔６ａに第１配線部５ａが対応し、第２取付け孔６ｂに第２配線部５ｂが対応し、第１取付け孔６ａに後述するコネクタ１０のピン部１５（第１ピン部１５ａ）が挿脱可能、第２取付け孔６ｂ内に後述するコネクタ１０のピン部１５（第１ピン部１５ｂ）が挿脱可能に構成されている。
【００２３】
プリント配線基板４の片面の第１配線部５ａ及び第２配線部５ｂは、配線を介して個別に電源８に接続され、電源８からプリント配線基板４の第１配線部５ａと第２配線部５ｂとの間に所定の直流あるいは交流の電圧が印加されるようになっている。第１配線部５ａ及び第２配線部５ｂは、プリント配線基板４の表面に印刷配線等によって所定のパターン（本実施の形態においては帯形状）で一体に設けられている。
【００２４】
取付け板２は、天井部の全体に設けてもよいし、天井部の一部に設けてもよい。天井部の全体に設ける場合には、複数枚の取付け板２を組み合わせて天井部の全体を塞ぐようにしてもよい。その場合には、隣接する取付け板２の第１配線部５ａ間、及び第２配線部５ｂ間を電気的に接合するか、あるいは各取付け板２の第１配線部５ａ及び第２配線部５ｂをそれぞれ個別に配線７を介して電源８に接続すればよい。
【００２５】
コネクタ１０は、図１〜図３に示すように、照明器具等の電気器具３５が取り付けられる電気器具取付け部１１と、電気器具取付け部１１の上面に一体に立設された複数（本実施の形態では２つ）のピン部１５（第１ピン部１５ａ、第２ピン部１５ｂ）とを備えている。
【００２６】
電気器具取付け部１１は、合成樹脂等の絶縁性を有する材料から形成される例えば円板状をなすものであって、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂが取付け板２の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂに挿入された状態で取付け板２に取り付けられ、この電気器具取付け部１１の下部に照明器具等の電気器具３５がねじ等の取付け手段によって着脱自在に取り付けられるようになっている。
なお、電気器具取付け部１１は、円板状に限らず、他の形状に形成してもよい。要は、使用する電気器具３５の形状等に応じて適宜の形状に形成すればよい。
【００２７】
第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂは、図２及び図３に示すように、合成樹脂等の絶縁性を有する材料から形成される円柱状をなすものであって、取付け板２の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂの内径よりも小径、かつ第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂよりもやや長く形成されている。第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂは、電気器具取付け部１１と一体に形成してもよいし、電気器具取付け部１１と別体に形成し、ねじ等の適宜な連結手段によって電気器具取付け部１１に一体に連結するように構成してもよい。
【００２８】
なお、第１ピン部１５ａと第２ピン部１５ｂとの径を異なる寸法に形成し、それに応じた大きさの第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂを取付け板２に形成してもよいし、また、第１ピン部１５ａを円柱状に形成し、第２ピン部１５ｂを第１ピン部１５ａと異なる形状（角柱状等）に形成し、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの形状に対応させて取付け板２の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂを円形状、角形状等に形成してもよい。
【００２９】
このように第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの径を異ならせたり、形状を異ならせ、それに対応した大きさ、形状の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂを取付け板２に設けることにより、第１給電部１７ａと第２給電部１７ｂとの間に例えば直流電源を供給する場合に、第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂに対応する第１配線部５ａ及び第２配線部５ｂの極性をそれぞれ挿入される第１ピン部１７ａ及び第２ピン部１７ｂの極性に一致させておくことにより、極性を間違えることなく第１ピン部１５ａ及び第２ピン部５ｂを第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂ内に挿入させることができる。
【００３０】
電気器具取付け部１１の下部の第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂに対応する部分には、円形状のガイド穴２１がその中心を後述する固定手段２５のロッド２６の軸線に一致させた状態で設けられ、このガイド穴２１内に固定手段２５の操作部２８が回転自在に設けられている。
【００３１】
コネクタ１０の第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの中心から偏心した位置には、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂ及び電気器具取付け部１１を軸線方向に貫通し、下端がガイド穴２１の底面の中心部に開口するロッド支持孔１６が設けられ、このロッド支持孔１６内を固定手段２５のロッド２６が回転自在に挿通している。
【００３２】
コネクタ１０の電気器具取付け部１１には、一端が後述する第１給電部１７ａ´に電気的に接続され、他端が電気器具取付け部１１の下部に配置される端子１２に電気的に接続される配線２０と、一端が後述する第２給電部１７ｂ´に電気的に接続され、他端が電気器具取付け部１１の下部に配置される端子１２に電気的に接続される配線２０とが設けられ、これらの端子１２、１２に電気器具取付け部１１に取り付けられる電気器具３５が電気的に接続されるようになっている。
【００３３】
固定手段２５は、図２及び図３に示すように第１ピン部１５ａ、第２ピン部１５ｂ及び電気器具取付け部１１を貫通するロッド支持孔１６内を挿通して、上下端が第１ピン部１５ａ、第２ピン部１５ｂ及び電気器具取付け部１１のガイド穴２１の底面から所定量突出する回転可能な導電体からなるロッド２６と、このロッド２６の第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂから突出している上端に一体に設けられる円板状の固定部２７と、このロッド２６の電気器具取付け部１１のガイド穴２１の底面から突出している下端に一体に設けられるとともに、ガイド穴２１内に回転可能に設けられる操作部２８とを備え、操作部２８をガイド穴２１内で回転させることにより、ロッド２６を介して固定部２７が回転するように構成されている。
【００３４】
固定部２７は、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの上端と略同一径の円板状に形成され、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの上端面と重合した状態で偏心した位置にロッド２６の上端が一体に連結され、操作部２８を回転させてロッド２６を回転させることによりロッド２６と一体に固定部２７が回転し、固定部２７が第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの上端面に重合した位置と上端面から外径側にせり出した位置との間を移動するように構成されている。
【００３５】
操作部２８は、ガイド穴２１の内径よりも小さい円板状をなすものであって、その中心部にロッド２６の下端が一体に連結されている。操作部２８の下端面の中心部には例えば六角穴（図示せず）が設けられ、この六角穴内に六角レンチを挿入し、六角レンチを操作することにより操作部２８をガイド穴２１内で回転させることができる。
【００３６】
なお、操作部２８の下端面に板状等の摘み部を一体に設け、この摘み部を摘むことにより操作部２８を回転させるように構成してもよい。
また、操作部２８の周面のロックばねを一体に設けるとともに、このロックばねが係合可能なロック溝をガイド穴２１の内面に設け、ロックばねをロック溝内に係合させることで、操作部２８をガイド穴２１内に固定するように構成してもよい。
【００３７】
操作部２８を回転させてロッド２６と一体に固定部２７を回転させ、固定部２７を第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの上端面から外径側にせり出させ、固定部２７をプリント配線基板４の片面に係止させることにより、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂが取付け板２の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂ内に挿入された状態に固定される。
【００３８】
第１ピン部１５ａを第１取付け孔６ａに固定する一方の固定手段２５ａの固定部２７の下面には、導電性を有する材料からなる固定部２７の外径と略同一径の円板状の第１給電部１７ａが一体に設けられるとともに、この固定手段２５ａの操作部２８の上面には、導電性を有する材料からなる操作部２８の外径と略同一径の円板状の第１給電部１７ａ´が一体に設けられ、上側の第１給電部１７ａと下側の第１給電部１７ａ´とは、導電体からなるロッド２６を介して電気的に相互に接続されている。
【００３９】
下側の第１給電部１７ａ´に対向するガイド穴２１の底面には導電板２１ａが設けられ、この導電板２１ａに下側の第１給電部１７ａ´が電気的に摺動可能に接触している。また、導電板２１ａには、電気器具取付け部１１に設けられている配線２０の一端が電気的に接続され、この配線２０の他端は電気器具取付け部１１の下部に設けられている端子１２に電気的に接続されている。これにより、プリント配線基板４の第１配線部５ａが上側の第１給電部１７ａ、ロッド２６、下側の第１給電部１７ａ´、導電板２１ａ、及び配線２０を介して電気器具取付け部１１の下部の端子１２に電気的に接続される。
【００４０】
第２ピン部１５ａを第２取付け孔６ｂに固定する他方の固定手段２５ｂの固定部２７の下面には、導電性を有する材料からなる固定部２７の外径と略同一径の円板状の第２給電部１７ｂが一体に設けられるとともに、この固定手段２５ｂの操作部２８の上面には、導電性を有する材料からなる操作部２８の外径と略同一径の円板状の第２給電部１７ｂ´が一体に設けられ、上側の第２給電部１７ｂと下側の第２給電部１７ｂ´とは、導電体であるロッド２６を介して電気的に相互に接続されている。
【００４１】
下側の第２給電部１７ｂ´に対向するガイド穴２１の底面には導電板２１ｂが設けられ、この導電板２１ｂに下側の第２給電部１７ｂ´が電気的に摺動可能に接触している。また、導電板２１ｂには、電気器具取付け部１１に設けられている配線２０の一端が電気的に接続され、この配線２０の他端は電気器具取付け部１１の下部に設けられている端子１２に電気的に接続されている。これにより、プリント配線基板４の第２配線部５ｂが上側の第２給電部１７ｂ、ロッド２６、下側の第２給電部１７ｂ´、導電板２１ｂ、及び配線２０を介して電気器具取付け部１１の下部の端子１２に電気的に接続される。
【００４２】
電気器具取付け部１１の上面の第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの周囲には、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂを包囲するように所定の幅、深さの溝１９がそれぞれ設けられ、各溝１９内に付勢手段２３がそれぞれ設けられている。
なお、溝１９は、環状に限らず他の形状であってもよい。要は、付勢手段２３を収納可能な形状であればよい。
【００４３】
付勢手段２３は、弾性を有する湾曲板状の板ばね２４を複数組み合わせて構成したものであって、各板ばね２４は、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの周囲の溝１９内にそれぞれ嵌合されている。この場合、各板ばね２４は、湾曲部分の頂部が電気器具取り付け部１１の上面よりも上方に突出し、溝１９の内部方向へ弾性変形可能となるように構成されている。
【００４４】
第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂを第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂ内に挿入し、第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂを各固定手段２５ａ、２５ｂによって第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂ内に挿入した状態に固定することにより、各付勢手段２３の各板ばね２４が溝１９の内部方向へ弾性変形し、このときの弾性力によって固定手段２５ａの固定部２７の下面側の第１給電部１７ａがプリント配線基板４の片面の第１配線部５ａに強く圧接され、固定手段２５ｂの固定部の下面側の第２給電部１７ｂがプリント配線基板４の片面の第２配線部５ｂに強く圧接され、第１給電部１７ａが第１配線部５ａに、第２給電部１７ｂが第２配線部５ｂに電気的に接続される。また、電気器具取付け部１１を取付け板２の下部に確実に取り付けることもできる。
【００４５】
次に、上記のように構成した本実施の形態による電気器具取付け装置１の作用について説明する。
まず、照明器具等の電気器具３５を天井部に取り付けるには、図１に示すように、コネクタ１０を天井部に予め設けられている取付け板２の所定の位置の下方に配置し、その位置で第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂ内に第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂを挿入し、各固定手段２５ａ、２５ｂの操作部２８を回転させてロッド２６を介して固定部２７を回転させ、各固定部２７をプリント配線基板４の片面に係止させる。
【００４６】
これにより、固定手段２５ａの固定部２７の下面側の第１給電部１７ａがプリント配線基板４の片面の第１配線部５ａに電気的に接続され、第１配線部５ａが第１給電部１７ａ、ロッド２６、第１給電部１７ａ´、導電板２１ａ、及び配線２０を介して電気器具取付け部１１の下部の端子１２に電気的に接続される。
また、固定手段２５ｂの固定部２７の下面側の第２給電部１７ｂがプリント配線基板４の片面の第２配線部５ｂに電気的に接続され、第２配線部５ｂが第２給電部１７ｂ、ロッド２６、第２給電部１７ｂ´、導電板２１ｂ、及び配線２０を介して電気器具取付け部１１の下部の端子１２に電気的に接続される。
【００４７】
そして、電気器具取付け部１１にねじ等の取付け手段によって照明器具等の電気器具３５を取り付け、電気器具３５の電源を電気器具取付け部１１の下部の端子１２に電気的に接続する。
【００４８】
このようにして、天井部の取付け板２に照明器具等の電気器具３５を取り付けることができ、電源８から取付け板２の第１配線部５ａと第２配線部５ｂとの間に電圧を印加することにより、第１配線部５ａから第１給電部１７ａ、ロッド２６、第１給電部１７ａ´、導電板２１ａ、配線２０、及び端子１２を介して、第２給電部１７ｂから第２給電部１７ｂ、ロッド２６、第２給電部１７ｂ´、導電板２１ｂ、配線２０、及び端子１２を介して、照明器具等の電気器具３５に電力が供給され、照明器具等の電気器具３５を作動させることができる。
【００４９】
次に、建物内のレイアウトの変更等によって電気器具３５を天井部の他の位置に移動させる場合には、コネクタ１０から電気器具３５を取り外し、この状態で固定手段２５ａ、２５ｂの操作部２８を回転させてロッド２６を介して固定部２７を回転させ、固定部２７を第１配線部５ａ及び第２配線部５ｂから第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂの上端面と重合する位置に移動させる。
【００５０】
そして、この状態で第１ピン部１５ａ及び第２ピン部１５ｂを第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂから離脱させることによってコネクタ１０を取付け板２から取り外す。その後は上述した取り付け手順によってコネクタ１０を取付け板２に取り付ける。
【００５１】
上記のように構成した本実施形態による電気器具取付け装置１にあっては、建物の天井部に設けた取付け板２の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂを利用してコネクタ１０を取付け板２に着脱させることにより、コネクタ１０を介して天井部の所定の位置に照明器具等の電気器具３５を着脱させることができるので、照明器具等の電気器具３５の天井部への着脱を容易に行うことができる。
【００５２】
また、天井部に取り付けた照明器具等の電気器具３５を他の位置に移動させる場合にも、他の位置の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂを利用してコネクタ１０を取付け板２に着脱させることにより、その位置にコネクタ１０を介して照明器具等の電気器具３５を着脱させることができることになる。
【００５３】
この場合、取付け板２の複数の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂによって意匠的な効果を醸し出しているので、照明器具等の電気器具３５を取り外した後の第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂによって美観を損なうようなことはなく、また、第１取付け孔６ａ及び第２取付け孔６ｂを塞ぐ作業も不要となる。また、照明器具等の電気器具３５を移動させる位置に新たに配線用孔を設け、その配線用孔から天井裏の配線を引き出したりする作業も不要となるので、照明器具等の電気器具３５の移動に要する手間を大幅に削減することができる。
【００５４】
さらに、第１給電部１７ａと第１配線部５ａとの接触面積、及び第２給電部１７ｂと第２配線部ｂ５との接触面積も大きくとることができるので、大電流を流すことが可能となり、大電流を必要とする電気器具３５にも充分な電流を通電することが可能となり、各種の電気器具３５に対応することが可能となる。
【００５５】
なお、前記の説明においては、電気器具３５として比較的重量のある照明器具等を例にとって説明したが、ＬＥＤを配置した照明器具のように軽量の照明器具等を電気器具としてもよいものであり、その場合には、電気器具を電気器具取付け部として、電気器具にピン部を一体に設けても良い。
また、前記の説明においては、取付け板２にプリント配線基板４を積層した例について説明したが、プリント配線基板４に限らず、配線部を接着剤で接合して構成した基板等、他のタイプの基板を積層してもよい。
さらに、前記の説明においては、電気器具取り付け部１１に２つのピン部１５ａ、１５ｂを設けたが、電気器具取付け部１１に３つ以上のピン部１５を設けても良い。その場合には、その一部のピン部１５を前述した第１ピン部１５ａのように構成し、他の一部のピン部１５を前述した第２ピン部１５ｂのように構成すればよい。
【００５６】
さらに、前記の説明においては、本実施の形態による電気器具取付け装置１を建物の天井部に適用した場合について説明したが、建物の壁部、床部等に照明器具や火災センサ等の電気器具を取り付ける場合に適用することもできる。
さらに、自動車等の天井部等に電気器具を取り付ける場合にも適用することができ、その他の各種の空間の天井部等に電気器具を取り付ける場合にも適用可能である。
さらに、例えば、各種の作業テーブルの天板などを上記実施形態の取付け板２の構成とし、電気器具を着脱可能な作業テーブルとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００５７】
【図１】本発明による電気器具取付け装置の一実施形態を示した説明図であって、取付け板とコネクタとの関係を示した説明図である。
【図２】コネクタを取付け板に取り付けた状態を示した断面図である。
【図３】コネクタと固定手段との関係を示した説明図である。
【図４】プリント配線基板の片面を示した説明図である。
【符号の説明】
【００５８】
１ 電気器具取付け装置 ２ 取付け板
３ パネル基板 ４ プリント配線基板
５ 配線部 ５ａ 第１配線部
５ｂ 第２配線部 ６ 取付け孔
６ａ 第１取付け孔 ６ｂ 第２取付け孔
７ 配線 ８ 電源
１０ コネクタ １１ 電気器具取付け部
１２ 端子 １５ ピン部
１５ａ 第１ピン部 １５ｂ 第２ピン部
１６ ロッド支持孔 １７ 給電部
１７ａ 第１給電部 １７ｂ 第２給電部
１９ 溝 ２０ 配線
２１ ガイド穴 ２１ａ、２１ｂ 導電板
２３ 付勢手段 ２４ 板ばね
２５ 固定手段 ２５ａ 一方の固定手段
２５ｂ 他方の固定手段 ２６ ロッド
２７ 固定部 ２８ 操作部
３５ 電気器具
【特許請求の範囲】
【請求項１】
絶縁性を有する材料からなる板状の基板の片面に一対の配線部が所定のパターンで設けられ、前記基板及び前記一対の配線部のうちの一方の配線部を貫通して設けられる第１取付け孔と、前記基板及び前記一対の配線部のうちの他方の配線部を貫通して設けられる第２取付け孔とが設けられ、前記一対の配線部が電源に電気的に接続される取付け板と、
前記基板の一対の配線部と反対側の面に設けられ、電気器具が取り付けられる電気器具取付け部と、該電気器具取付け部に一体に設けられるとともに、前記第１取付け孔及び第２取付け孔内に挿脱可能な複数のピン部と、前記各ピン部に対応して設けられ、前記各ピン部を前記第１取付け孔及び第２取付け孔内に挿入された状態に固定するとともに、一部が前記基板の片面に係止される固定手段と、前記複数のピン部のうちの一部のピン部の固定手段に設けられ、該一部のピン部が前記第１取付け孔内に挿入された状態で前記一方の配線部に電気的に接続される第１給電部と、前記複数のピン部のうちの他のピン部の固定手段に設けられ、該他のピン部が前記第２取付け孔内に挿入された状態で前記他方の配線部に電気的に接続される第２給電部とからなるコネクタとを備え、
前記両給電部に前記電気器具が電気的に接続されることを特徴とする電気器具取付け装置。
【請求項２】
前記各固定手段は、前記各ピン部及び前記電気器具取付け部を貫通して設けられる回転可能なロッドと、該ロッドと一体に回転することによって前記各ピン部の上端面に重合した状態と、前記各ピン部の外径側にせり出して前記基板の片面に係止する状態とを取り得る固定部と、該ロッドを回転させる操作部とを備え、
前記複数のピン部のうちの一部のピン部の固定手段の固定部の前記基板の片面との対向面、及び前記操作部の前記電気器具取付け部との対向面に前記第１給電部が設けられ、両一方の給電部間が配線を介して相互に接続され、
前記複数のピン部のうちの他のピン部の固定手段の固定部の前記基板の片面との対向面、及び前記操作部の前記電気器具取付け部との対向面に前記第２給電部が設けられ、両第２給電部間が配線を介して相互に接続されていることを特徴とする請求項１に記載の電気器具取付け装置。
【請求項３】
前記電気器具取付け部の前記ピン部の周囲の前記基板との対向面には、前記ピン部を包囲するように溝が設けられ、該溝内に前記基板の方向に弾性変形可能な付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項１又は２に記載の電気器具取付け装置。
【請求項４】
前記複数のピン部のうちの一部のピン部と他のピン部との大きさ、又は形状を異ならせるとともに、それに対応させた大きさ、又は形状の第１取付け孔及び第２取付け孔を前記取付け板に設けることを特徴とする請求項１から３の何れかに記載の電気器具取付け装置。
【請求項５】
前記取付け板は、空間内の天井部、壁部、又は床部に設けられていることを特徴とする請求項１から４の何れかに記載の電気器具取付け装置。
【請求項１】
絶縁性を有する材料からなる板状の基板の片面に一対の配線部が所定のパターンで設けられ、前記基板及び前記一対の配線部のうちの一方の配線部を貫通して設けられる第１取付け孔と、前記基板及び前記一対の配線部のうちの他方の配線部を貫通して設けられる第２取付け孔とが設けられ、前記一対の配線部が電源に電気的に接続される取付け板と、
前記基板の一対の配線部と反対側の面に設けられ、電気器具が取り付けられる電気器具取付け部と、該電気器具取付け部に一体に設けられるとともに、前記第１取付け孔及び第２取付け孔内に挿脱可能な複数のピン部と、前記各ピン部に対応して設けられ、前記各ピン部を前記第１取付け孔及び第２取付け孔内に挿入された状態に固定するとともに、一部が前記基板の片面に係止される固定手段と、前記複数のピン部のうちの一部のピン部の固定手段に設けられ、該一部のピン部が前記第１取付け孔内に挿入された状態で前記一方の配線部に電気的に接続される第１給電部と、前記複数のピン部のうちの他のピン部の固定手段に設けられ、該他のピン部が前記第２取付け孔内に挿入された状態で前記他方の配線部に電気的に接続される第２給電部とからなるコネクタとを備え、
前記両給電部に前記電気器具が電気的に接続されることを特徴とする電気器具取付け装置。
【請求項２】
前記各固定手段は、前記各ピン部及び前記電気器具取付け部を貫通して設けられる回転可能なロッドと、該ロッドと一体に回転することによって前記各ピン部の上端面に重合した状態と、前記各ピン部の外径側にせり出して前記基板の片面に係止する状態とを取り得る固定部と、該ロッドを回転させる操作部とを備え、
前記複数のピン部のうちの一部のピン部の固定手段の固定部の前記基板の片面との対向面、及び前記操作部の前記電気器具取付け部との対向面に前記第１給電部が設けられ、両一方の給電部間が配線を介して相互に接続され、
前記複数のピン部のうちの他のピン部の固定手段の固定部の前記基板の片面との対向面、及び前記操作部の前記電気器具取付け部との対向面に前記第２給電部が設けられ、両第２給電部間が配線を介して相互に接続されていることを特徴とする請求項１に記載の電気器具取付け装置。
【請求項３】
前記電気器具取付け部の前記ピン部の周囲の前記基板との対向面には、前記ピン部を包囲するように溝が設けられ、該溝内に前記基板の方向に弾性変形可能な付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項１又は２に記載の電気器具取付け装置。
【請求項４】
前記複数のピン部のうちの一部のピン部と他のピン部との大きさ、又は形状を異ならせるとともに、それに対応させた大きさ、又は形状の第１取付け孔及び第２取付け孔を前記取付け板に設けることを特徴とする請求項１から３の何れかに記載の電気器具取付け装置。
【請求項５】
前記取付け板は、空間内の天井部、壁部、又は床部に設けられていることを特徴とする請求項１から４の何れかに記載の電気器具取付け装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００９−８７６７７（Ｐ２００９−８７６７７Ａ）
【公開日】平成２１年４月２３日（２００９．４．２３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−２５５０８５（Ｐ２００７−２５５０８５）
【出願日】平成１９年９月２８日（２００７．９．２８）
【出願人】（００００００５４９）株式会社大林組 (1,758)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年４月２３日（２００９．４．２３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年９月２８日（２００７．９．２８）
【出願人】（００００００５４９）株式会社大林組 (1,758)
【Ｆターム（参考）】
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