説明

電気掃除機およびその組み立て方法

【課題】電動送風部の組み込みが容易で、かつ、組み込みの際にシール部材の捲れが生じにくい電気掃除機を提供する。
【解決手段】本体集塵室および送風機室を備えた掃除機本体を有する。吸気口53を一端に有する電動送風機45、および、吸気口53の周囲に取り付けたシール部材46を備え、送風機室内に配置した電動送風部31を有する。本体集塵室と送風機室とを連通する連通口34を備えた隔壁29を有する。電動送風部31を送風機室内で軸方向に沿って移動可能に支持する支持手段47を有する。支持手段47によりシール部材46を隔壁29に圧接させて吸気口53と連通口34とを気密に接続するように電動送風部31を送風機室内で移動させた状態を保持する軟質部材78を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、送風機室に電動送風部を取り付けた電気掃除機およびその組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気掃除機は、上ケースおよび下ケースなどに分割された中空状の本体ケースを有する掃除機本体を備えている。本体ケース内には、集塵袋、あるいは集塵装置などの集塵部が取り付けられる本体集塵室が前部に区画され、電動送風機を収容した送風機室が後部に区画されて、これら本体集塵室と送風機室との間に隔壁が配置されている。この隔壁には、本体集塵室と送風機室とを連通する連通口が形成されている。そして、電動送風機は、吸込側である前部のファンカバーの周囲と、排気側である後端部とに弾性部材がそれぞれ取り付けられて電動送風部を構成しており、この電動送風部は、送風機室に圧入されて弾性部材が上ケースと下ケースとの間で挟持されることで本体ケース内に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭55−7534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動送風部を送風機室に組み込む際には、圧入などをすることなく容易に組み込めることが望ましく、また、電動送風機での吸込力の低下を防止するために、弾性部材の変形や捲れなどが生じることなく、電動送風機が正規の位置となるように組み込むことが望ましい。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、電動送風部の組み込みが容易で、かつ、組み込みの際にシール部材の捲れが生じにくい電気掃除機およびその組み立て方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電気掃除機は、集塵部および送風機室を備えた掃除機本体を有する。また、電気掃除機は、吸気口を一端に有する電動送風機、および、吸気口の周囲に取り付けられたシール部材を備え、送風機室内に配置された電動送風部を有する。さらに、電気掃除機は、集塵部と送風機室とを連通する連通口を備えた壁部を有する。また、電気掃除機は、電動送風部を送風機室内で軸方向に沿って移動可能に支持する支持手段を有する。そして、電気掃除機は、支持手段によりシール部材を壁部に圧接させて吸気口と連通口とを気密に接続するように電動送風部を送風機室内で移動させた状態を保持する保持手段を有する。
【0007】
また、実施形態の電気掃除機の組み立て方法は、掃除機本体の送風機室に、吸気口を一端に有する電動送風機および吸気口の周囲に取り付けられたシール部材を備えた電動送風部を配置する。さらに、電気掃除機の組み立て方法は、電動送風部を支持手段によって送風機室内で軸方向に沿って移動可能に支持する。また、電気掃除機の組み立て方法は、支持手段により電動送風部を送風機室内で移動させて掃除機本体の壁部に圧接して吸気口を壁部に形成された連通口に気密に接続した状態で保持手段を支持手段に取り付けて、この状態を保持する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態の電気掃除機の横断面図であり、(a)(b)の順に電気掃除機の組み立て方法を示す。
【図2】同上電気掃除機を示す縦断面図である。
【図3】同上電気掃除機を示す斜視図である。
【図4】第2の実施形態の電気掃除機の横断面図であり、(a)(b)の順に電気掃除機の組み立て方法を示す。
【図5】同上電気掃除機を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の第1の実施形態の構成を図1ないし図3を参照して説明する。
【0010】
図3において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、風路形成体である管部12と、この管部12が着脱可能に接続される掃除機本体13とを有している。
【0011】
管部12は、基端側が掃除機本体13に接続される接続管部15と、この接続管部15の先端側に連通する可撓性を有するホース体16と、このホース体16の先端側に設けられた手元操作部17と、この手元操作部17の先端側に着脱可能に接続される延長管18と、この延長管18の先端側に着脱可能に接続される吸気口体としての床ブラシ19とを備えている。
【0012】
手元操作部17には、把持部21がホース体16側へと突出し、この把持部21には、操作用の設定ボタン22が複数設けられている。
【0013】
また、図1ないし図3に示すように、掃除機本体13は、本体ケース25を備え、この本体ケース25は、上側が開口した下ケース26と、この下ケース26の上部後側を覆う上ケース27と、下ケース26の上部前側を開閉可能に覆う蓋体28とを有している。また、本体ケース25の内部には、壁部としての隔壁29が形成されている。さらに、本体ケース25の内部は、隔壁29により、電動送風部31を収容する送風機室32と、電源コードを巻回したコードリールを収容する図示しないコードリール室とが後側に区画されているとともに、隔壁29に形成された円形状の連通口34を介して送風機室32と連通し蓋体28により開閉される集塵部としての本体集塵室35が前側に区画され、この本体集塵室35に、例えばフィルタ、紙パックなどの集塵袋、あるいは集塵装置である集塵カップなどの、図示しない集塵体が着脱可能となっている。そして、本体ケース25の下ケース26の前部には、本体集塵室35に連通し接続管部15が着脱可能に接続される本体吸込口42が形成されている。さらに、本体ケース25の後部には、図示しない本体排気口が形成されている。
【0014】
隔壁29の送風機室32側の面である当接面としての隔壁後面29aには、連通口34の周囲に、嵌合部としての突出リブ部44が送風機室32側(電動送風部31側)に向けて突出して形成されている。
【0015】
また、電動送風部31は、電動送風部本体である電動送風機45と、この電動送風機45に一体的に取り付けられたシール部材46とを有している。そして、この電動送風部31は、支持手段47を介して掃除機本体13の本体ケース25に対して例えば前後方向に移動可能に支持されている。
【0016】
電動送風機45は、電源コードを介して電源から給電されることにより、設定ボタン22で設定された所定の動作モードにより図示しない制御手段によって駆動されて管部12を介して空気とともに塵埃を吸い込むものである。また、この電動送風機45は、一端側にファンカバー51を備えるとともに、他端側にケース本体52を備え、これらファンカバー51とケース本体52とが一体的に固定されることで外郭が構成されている。ファンカバー51の中央部には、円形状の吸気口53が形成されており、ケース本体52の他端側(ファンカバー51に対して反対側)寄りの外周面に四角形状の複数の排気口54が形成されている。すなわち、電動送風機45は、一端に吸気口53を有し、他端側に排気口54を有している。そして、この電動送風機45は、吸気口53側を前側とし、排気口54側を後側として本体ケース25の送風機室32内に配置されている。すなわち、この電動送風機45は、ファンカバー51側である吸込側が前側で、ケース本体52側である排気側が後側となっており、本体ケース25の前後方向に軸方向を沿わせた状態で配置されている。なお、この電動送風機45は、例えばカバー体などによって少なくとも一部が覆われていてもよい。
【0017】
ファンカバー51は、図示しない遠心ファンなどを覆うものであり、円筒状に形成されている。
【0018】
ケース本体52は、図示しない電動機を覆うものであり、有底円筒状に形成されている。また、このケース本体52のファンカバー51に対して反対側である後端部には、被支持部としてのモータヘッド部である軸受部56が同軸上に形成されて突出している。この軸受部56は、電動送風機45の電動機の回転軸の端部を回転自在に保持する図示しないベアリングなどを内部に有する部分である。
【0019】
吸気口53および軸受部56は、それぞれ電動送風機45(電動送風部31)と同軸上に配置されている。
【0020】
そして、電動送風機45は、遠心ファンを電動機により回転駆動させることで、吸気口53から排気口54へと内部を通過する空気の流れを生じさせることができる。
【0021】
また、シール部材46は、例えば弾力性を有するゴムなどの合成樹脂などの部材によって円環状に形成されており、吸気口53の周囲に位置してファンカバー51の一端部である前端部に取り付けられて電動送風機45から前方(外方)へと突出している。さらに、このシール部材46は、電動送風機45に対して同軸上に取り付けられている。
【0022】
また、支持手段47は、本体ケース25の底部である下ケース26の底部26aから上方に向けて突出する固定部としての固定リブ61に対して支持部としての支持手段本体である支持部材62が可動的に支持されて構成されている。
【0023】
固定リブ61は、掃除機本体13(本体ケース25)の前後方向、すなわち電動送風部31(電動送風機45)の移動方向である軸方向に沿う方向に互いに略平行に離間された前板部64および後板部65と、これら前板部64と後板部65との間に位置するガイド部としてのガイド板部66,66および支持部としての支持板部67とを有している。
【0024】
前板部64は、支持部材62の一端側(前側)への移動を後板部65に対向する一方の規制面である後面64aにより規制することで電動送風部31の移動の際の一端の位置(前端位置)を規定するものであり、上下方向に沿い前後方向に面方向を有する平板状に形成されている。また、この前板部64には、支持部材62が挿通される挿通開口部69がガイド板部66,66間の位置にて上部に切り欠き形成されている。
【0025】
また、後板部65は、上下方向に沿い前後方向に面方向を有する平板状に形成されている。
【0026】
ガイド板部66,66は、支持部材62の移動を支持板部67および挿通開口部69とともにガイドするものであり、前板部64および後板部65と交差(直交)する前後方向に沿って延びてそれぞれ形成されており、互いに略平行に離間されている。また、これらガイド板部66,66は、挿通開口部69との間に前板部64の後面64aが位置するように、挿通開口部69よりも外方に位置している。
【0027】
支持板部67は、支持部材62の下部を支持するものであり、挿通開口部69の下側の外縁部の位置で前板部64と後板部65との間に亘って略水平状に形成された平板状となっている。
【0028】
また、支持部材62は、例えば合成樹脂などにより形成されており、電動送風部31の電動送風機45の軸受部56を下側から保持する支持受部71と、この支持受部71の両側に位置する支持側板部72,72と、これら支持側板部72,72間で支持受部71と連続する支持後板部73とを有し、これら支持受部71、支持側板部72,72および支持後板部73により、上側から前側に亘って開口し電動送風部31の電動送風機45の軸受部56が挿入される取付開口部74が区画されている。そして、この支持部材62は、挿通開口部69に対して前後方向に移動自在に嵌合挿通されており、支持側板部72,72の後部に形成された係止部としてのストッパ部75,75により挿通開口部69に対して前後方向に抜け止めされている。
【0029】
支持受部71は、略水平状に形成された平板状となっており、支持板部67上に位置している。
【0030】
また、支持側板部72,72は、上下方向に沿って形成され前後方向に沿って延びる平板状となっており、互いに略平行に離間されている。そして、各支持側板部72の上端部には、取付開口部74(下方)へと徐々に縮開された傾斜状の側板傾斜部72a(一方のみ図示)が形成されている。この側板傾斜部72aは、電動送風部31の電動送風機45の軸受部56を取付開口部74へと呼び込むものである。
【0031】
また、支持後板部73は、上下方向に沿って形成され左右方向に沿って延びる平板状となっている。さらに、この支持後板部73の上端部には、取付開口部74(下方)へと徐々に縮開された傾斜状の後板傾斜部73aが形成されている。この後板傾斜部73aは、電動送風部31の電動送風機45の軸受部56を取付開口部74へと呼び込むものである。
【0032】
したがって、支持側板部72の側板傾斜部72a、支持後板部73の後板傾斜部73a、あるいはそれら双方により、電動送風部31の電動送風機45の軸受部56を取付開口部74へと呼び込む呼込部が構成されている。
【0033】
さらに、支持後板部73の後部は、固定リブ61の後板部65の前板部64に対向する前面65aおよびストッパ部75,75との間に取付空間部77を区画しており、この取付空間部77に、保持手段としての付勢手段である軟質部材78が圧入(装着)可能となっている。
【0034】
ここで、軟質部材78は、例えばゴム、あるいはエラストマなどの弾性を有する部材により形成されており、取付空間部77の後板傾斜部73aと固定リブ61の後板部65の前面65aの上端との間に形成され取付空間部77に連通する挿入開口79を介して取付空間部77へと潰した状態で容易に圧入可能となっている。さらに、この軟質部材78は、自然状態、すなわち外力を加えない状態で、前後方向の寸法が取付空間部77の前後方向の寸法よりも大きく設定されている。このため、この軟質部材78は、取付空間部77に圧入された状態では若干潰れ、支持部材62に対して固定リブ61から離間する方向、換言すれば隔壁29に接近する前側への付勢力を付与するように構成されている。
【0035】
また、挿入開口79は、本実施形態では、取付空間部77へと軟質部材78を圧入して支持手段47に取り付けやすいように、電動送風部31を取り付ける上側に向けて開口形成されている。
【0036】
また、ストッパ部75,75は、支持側板部72,72の後端部から側方へと突出して形成されており、支持部材62の後端部を構成している。さらに、ストッパ部75,75は、挿通開口部69に対して少なくとも電動送風部31の移動方向である前後方向に通過不可能となっている。換言すれば、これらストッパ部75,75は、電動送風部31(電動送風機45)側である前側の当接面75a,75aが固定リブ61の前板部64の後面64aに当接することで固定リブ61に対する支持部材62の前後方向(電動送風部31の移動方向)への抜け止めとなっている。また、これらストッパ部75,75は、固定リブ61のガイド板部66,66の内側に先端部が当接することにより、これらガイド板部66により支持部材62を移動可能にガイドさせるように構成されている。
【0037】
ここで、支持部材62の移動範囲(移動ストローク)、換言すれば支持手段47により支持された電動送風部31の移動範囲(移動ストローク)は、固定リブ61の前板部64と後板部65との距離、あるいは、電動送風部31の電動送風機45のケース本体52の他端部とストッパ部75,75との距離で規定される。具体的に、上記移動範囲の一端側(前側)位置は、ストッパ部75,75の当接面75a,75aと固定リブ61の前板部64の後面64aとの当接により規定され、上記移動範囲の他端側(後側)位置は、ストッパ部75,75の当接面75a,75aと反対側の面であるストッパ後面75b,75bと固定リブ61の後板部65の前面65aとの当接、電動送風部31(電動送風機45)の他端であるケース本体52の後端面52aと固定リブ61の前板部64の電動送風部31側である前面64bとの当接、あるいはそれらの双方により規定される。したがって、支持部材62の移動距離、換言すれば支持手段47により支持された電動送風部31の移動距離は、図1(b)に示すように、固定リブ61の後板部65の前面65aと支持部材62のストッパ部75,75のストッパ後面75b,75bとの間の距離L1、あるいは、固定リブ61の前板部64の前面64bと電動送風機45のケース本体52の他端面である後端面52aとの間の距離L2となる。本実施形態では、例えばこれら距離L1と距離L2とが互いに等しいものとする。換言すれば、電動送風部31を後端位置に移動させた状態で、固定リブ61の後板部65の前面65aと支持部材62のストッパ部75,75のストッパ後面75b,75b、および、固定リブ61の前板部64の前面64bと電動送風機45のケース本体52の他端面である後端面52aが同時に当接するものとする。したがって、固定リブ61の後板部65と支持部材62のストッパ部75,75、あるいは、固定リブ61の前板部64と電動送風機45のケース本体52が支持手段47による電動送風部31の移動範囲を規制する規制部の機能を有する。
【0038】
そして、距離L1,L2は、隔壁29の隔壁後面29aからの突出リブ部44の突出距離L3よりも大きく、かつ、隔壁29の隔壁後面29aと電動送風部31を後端位置に移動させた状態での電動送風部31の一端すなわち前端であるシール部材46との間の距離L4以上に設定されている。但し、シール部材46の弾性により距離L1,L2と距離L4との差を充分に吸収できるように、距離L1,L2は距離L4より過剰に大きくしないように設定する。また、支持手段47の前板部64の前面64bと突出リブ部44の後端との間の距離L5は、電動送風部31の一端部であるシール部材46の前端から電動送風部31の他端である電動送風機45のケース本体52の後端面52aとの間の距離L6よりも大きく設定されている。
【0039】
次に、上記第1の実施形態の電気掃除機11の組み立て方法を説明する。
【0040】
まず、掃除機本体13の本体ケース25を構成する下ケース26に対して、送風機室32に、電動送風機45の吸気口53の周囲にシール部材46を取り付けた電動送風部31を、例えば上側から配置し、この電動送風部31の電動送風機45の軸受部56を支持手段47の支持部材62の取付開口部74に上側から挿入し、この電動送風部31を支持手段47によって送風機室32内で軸方向に沿って移動可能に支持する(図1(a))。
【0041】
このとき、支持部材62は、固定リブ61に対して後方へと最大に移動させた状態、すなわち後端位置としておく。また、電動送風機45の軸受部56を支持手段47の支持部材62の取付開口部74に挿入する際には、各傾斜部72a,73aが軸受部56を取付開口部74内へと呼び込み、挿入を補助する。
【0042】
さらに、支持手段47の支持部材62を固定リブ61に対して前方へと移動させることで電動送風部31を送風機室32内で前方に移動させて掃除機本体13の隔壁29に圧接することで、電動送風部31のシール部材46が突出リブ部44の内部に嵌合し、吸気口53が隔壁29の連通口34に気密に接続される。
【0043】
この状態で、一旦圧潰させた軟質部材78を挿入開口79から取付空間部77へと圧入するように支持手段47に取り付けることで、取付空間部77内で軟質部材78が復帰変形し、固定リブ61の後板部65の前面65aと支持部材62の支持後板部73との間に亘って当接することで、吸気口53を隔壁29の連通口34に気密に接続した状態を保持する(図1(b)および図2)。なお、この状態で軟質部材78は若干潰れた状態で取付空間部77内に位置し、支持部材62とともに電動送風部31を隔壁29(前方)に向けて付勢している。また、挿入開口79は、後板傾斜部73aの傾斜によって上方へと徐々に狭くなっているため、軟質部材78が挿入開口79から取付空間部77の外部へと外れることが防止される。
【0044】
この後、制御手段およびコードリール装置などを順次組み込み、上ケース27および蓋体28などを順次取り付けて掃除機本体13を完成する。
【0045】
電気掃除機11を使用する際には、本体吸込口42に管部12の接続管部15を接続し、把持部を把持して適宜設定ボタン22を操作することにより、制御手段によって電動送風機45を駆動させ、この電動送風機45の駆動により生じた負圧によって、管部12の先端から空気とともに塵埃を吸い込み、本体集塵室35内に取り付けた集塵部により塵埃を捕集する。
【0046】
上述したように、上記第1の実施形態によれば、掃除機本体13の送風機室32に、吸気口53を一端に有する電動送風機45および吸気口53の周囲に取り付けられたシール部材46を備えた電動送風部31を配置し、この電動送風部31を支持手段47によって送風機室32内で軸方向に沿って移動可能に支持し、この支持手段47により電動送風部31を送風機室32内で移動させて掃除機本体13の隔壁29に圧接して吸気口53を隔壁29に形成された連通口34に気密に接続した状態で軟質部材78を支持手段47に取り付けて(圧入して)、この状態を保持することにより、電動送風部31の送風機室32への組み込みが容易で、かつ、組み込みの際にシール部材46の捲れが生じにくくなり、吸気口53と連通口34との連通のシール性を確保できる。したがって、シール性の低下に起因する電動送風機45(電動送風部31)での吸込力(吸込仕事率)の低下を抑制できる。
【0047】
次に、第2の実施形態を図4および図5を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0048】
この第2の実施形態は、上記第1の実施形態の軟質部材78に代えて、保持手段としての付勢手段であるコイルばね81を用いるものである。
【0049】
すなわち、取付空間部77には、支持手段47による電動送風部31の移動方向、換言すれば固定リブ61に対する支持部材62の移動方向である前後方向に軸方向を沿わせて、コイルばね81が予め取り付けられている。このコイルばね81は、一端部である前端部が支持部材62の支持後板部73に取り付けられて固定され、他端部である後端部が固定リブ61の後板部65の前面65aに取り付けられて固定されている。
【0050】
また、隔壁29には、突出リブ部44に代えて、シール部材46が嵌合可能な嵌合部としての嵌合凹部85が連通口34の周囲に形成されている。この嵌合凹部85は、隔壁29の隔壁後面29aに対して本体集塵室35側に窪んで形成されている。
【0051】
また、距離L1,L2は、隔壁29の隔壁後面29aからの嵌合凹部85の深さL7よりも大きく、かつ、嵌合凹部85の電動送風部31に対向する凹部後面85aと電動送風部31を後端位置に移動させた状態での電動送風部31の一端すなわち前端であるシール部材46との間の距離L8以上に設定されている。但し、シール部材46の弾性により距離L1,L2と距離L8との差を充分に吸収できるように、距離L1,L2は距離L8より過剰に大きくしないように設定する。また、支持手段47の前板部64の前面64bと隔壁29の隔壁後面29aとの間の距離L9は、電動送風部31の一端部であるシール部材46の前端から電動送風部31の他端部であるケース本体52の後端部との間の距離L6よりも大きく設定されている。
【0052】
なお、本実施形態では、例えば距離L1と距離L2とが互いに等し、コイルばね81が最大収縮長で距離L1,L2以下となるものとするが、例えばコイルばね81が最大収縮長で距離L1,L2よりも長い場合には、支持部材62の移動範囲、換言すれば支持手段47により支持された電動送風部31の移動範囲の後側位置は、コイルばね81の最大収縮長での固定リブ61の後板部65の前面65aと支持部材62のストッパ部75,75のストッパ後面75b,75bとの間の距離、あるいは、コイルばね81の最大収縮長での固定リブ61の前板部64の前面64bと電動送風機45のケース本体52の他端面である後端面52aとの間の距離により規定される。
【0053】
次に、第2の実施形態の電気掃除機11の組み立て方法を説明する。
【0054】
まず、掃除機本体13の本体ケース25を構成する下ケース26に対して、送風機室32に、電動送風機45の吸気口53の周囲にシール部材46を取り付けた電動送風部31を、例えば上側から配置し、この電動送風部31の電動送風機45の軸受部56を支持手段47の支持部材62の取付開口部74に上側から挿入し、この電動送風部31を支持手段47によって送風機室32内で軸方向に沿って移動可能に支持する(図4(a))。
【0055】
このとき、支持部材62は、取付空間部77内に予め取り付けられたコイルばね81を押し縮めて固定リブ61に対して後方へと最大に移動させた状態、すなわち後端位置で保持する。
【0056】
この状態で、支持部材62の保持を解除すると、コイルばね81の付勢により支持手段47の支持部材62が固定リブ61に対して前方へと移動し、電動送風部31を送風機室32内で前方に移動させて掃除機本体13の隔壁29に圧接することで、電動送風部31のシール部材46が嵌合凹部85の内部に嵌合し、吸気口53が隔壁29の連通口34に気密に接続される(図4(b)および図5)。このとき、コイルばね81は自然長に対して若干収縮した状態で取付空間部77内に位置し、支持部材62とともに電動送風部31を隔壁29(前方)に向けて付勢した状態で保持される。
【0057】
この後、制御手段およびコードリール装置などを順次組み込み、上ケース27および蓋体28などを順次取り付けて掃除機本体13を完成する。
【0058】
このように、上記第2の実施形態によれば、掃除機本体13の送風機室32に、吸気口53を一端に有する電動送風機45および吸気口53の周囲に取り付けられたシール部材46を備えた電動送風部31を配置し、この電動送風部31を支持手段47によって送風機室32内で軸方向に沿って移動可能に支持し、支持手段47とともに電動送風部31をコイルばね81を収縮させた位置に保持した状態からこの保持を解除することで、コイルばね81の付勢力によって電動送風部31を隔壁29に圧接して吸気口53と連通口34とを気密に接続することにより、圧入などの作業を必要とすることなく電動送風部31の送風機室32への組み込みがより容易となり、かつ、組み込みの際にシール部材46の捲れが生じにくくなり、吸気口53と連通口34との連通のシール性を確保できる。したがって、シール性の低下に起因する電動送風機45(電動送風部31)での吸込力(吸込仕事率)の低下を抑制できる。
【0059】
そして、以上説明した各実施形態によれば、支持手段47により電動送風部31を送風機室32内で軸方向に沿って移動可能に支持し、支持手段47によりシール部材46を隔壁29に圧接させて吸気口53と連通口34とを気密に接続するように電動送風部31を送風機室32内で移動させた状態を保持手段、すなわち軟質部材78あるいはコイルばね81によって保持することで、例えば電動送風部を送風機室に圧入して組み込む場合などと比較して、電動送風部31の送風機室32への組み込みが容易で、かつ、組み込みの際にシール部材46の捲れが生じにくい。
【0060】
また、軟質部材78あるいはコイルばね81は、支持手段47とともに電動送風部31を付勢する付勢する付勢手段となるので、電動送風機45の駆動により生じる振動、特に電動送風機45の駆動により発生する負圧により電動送風部31が軸方向に隔壁29側へと吸い寄せられることで生じる軸方向の振動を、軟質部材78あるいはコイルばね81の収縮により吸収でき、電動送風機45(電動送風部31)の振動の本体ケース25への伝播を抑制して、電気掃除機11を静音化できる。
【0061】
さらに、隔壁29に、電動送風機45の一端側に突出するシール部材46を嵌合保持する嵌合部、すなわち突出リブ部44あるいは嵌合凹部85を形成することにより、吸気口53と連通口34との位置合わせ(中心合わせ)が容易になり、電動送風機45(電動送風部31)と連通口34とを同軸上に位置させやすくなるので、吸込仕事率の低下を、より抑制できる。
【0062】
なお、上記各実施形態では、掃除機本体13の本体ケース25の内部に本体集塵室35を形成したが、例えば掃除機本体13を、本体ケース25に対して着脱可能な集塵部を有する構成などとしてもよい。その場合、本体ケース25に装着した集塵部と送風機室32とを連通する連通口34を有する壁部を隔壁29に代えて形成することで、上記各実施形態を対応させて用いることが可能である。
【0063】
また、支持手段47は、電動送風部31を軸方向に沿って可動的に支持できれば、例えば電動送風部31を上下方向などに沿って移動させる構成としてもよい。
【0064】
さらに、壁部としては、隔壁29に代えて、電動送風機45の吸気口53へと空気を整流するインデューサなどでもよい。
【0065】
そして、電気掃除機11としては、例えば二次電池などの電池を電源として用いる、いわゆるコードレス型のものでもよいし、キャニスタ型に限らず、アップライト型やハンディ型などでも上記各実施形態の構成を対応して用いることが可能である。
【0066】
また、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
11 電気掃除機
13 掃除機本体
29 壁部としての隔壁
31 電動送風部
32 送風機室
34 連通口
35 集塵部としての本体集塵室
44 嵌合部としての突出リブ部
45 電動送風機
46 シール部材
47 支持手段
53 吸気口
78 保持手段としての軟質部材
81 保持手段としてのコイルばね
85 嵌合部としての嵌合凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集塵部および送風機室を備えた掃除機本体と、
吸気口を一端に有する電動送風機、および、前記吸気口の周囲に取り付けられたシール部材を備え、前記送風機室内に配置された電動送風部と、
前記集塵部と前記送風機室とを連通する連通口を備えた壁部と、
前記電動送風部を前記送風機室内で軸方向に沿って移動可能に支持する支持手段と、
この支持手段により前記シール部材を前記壁部に圧接させて前記吸気口と前記連通口とを気密に接続するように前記電動送風部を前記送風機室内で移動させた状態を保持する保持手段と
を具備したことを特徴とした電気掃除機。
【請求項2】
シール部材は、電動送風機の一端側に突出し、
壁部は、前記シール部材を嵌合保持する嵌合部を備えている
ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
保持手段は、支持手段とともに電動送風部を付勢する
ことを特徴とした請求項1または2記載の電気掃除機。
【請求項4】
掃除機本体の送風機室に、吸気口を一端に有する電動送風機および前記吸気口の周囲に取り付けられたシール部材を備えた電動送風部を配置し、
この電動送風部を支持手段によって前記送風機室内で軸方向に沿って移動可能に支持し、
前記支持手段により前記電動送風部を前記送風機室内で移動させて前記掃除機本体の壁部に圧接して前記吸気口を前記壁部に形成された連通口に気密に接続した状態で保持手段を前記支持手段に取り付けて、この状態を保持する
ことを特徴とした電気掃除機の組み立て方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−40125(P2012−40125A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182954(P2010−182954)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】