説明

電気掃除機

【課題】本体の挙動を操作体の挙動に適切に追従させることができ、操作性を高めることができる電気掃除機を提供する。
【解決手段】一方が操作体2に設けられると共に他方が本体4に設けられ操作体2と本体4との間で空中伝播経路を形成する送信器41及び受信器42a,42bと、送信器41から受信器42a,42bへの超音波の送受信状態に基づいて操作体2と本体4との間の距離を本体4の左右方向で検出する距離計測回路44a,44bと、距離計測回路44a,44bにより検出された2つの距離の距離差に基づいて操作体2の移動方向に対する本体4の左右方向の傾きを検出するマイクロコンピュータ45とを備える。制御回路43は、検出された傾きが所定範囲外であるときには、これ以降に検出される傾きが所定範囲内となるように操舵機構51の駆動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵や埃を吸込むための吸込口を有する操作体がホースを介して本体に連結されてなる電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
操作体がホースを介して本体に連結されてなる電気掃除機では、ユーザが操作体を移動させる場合、本体の挙動は、ホースを介して引っ張られるような態様で操作体の挙動に追従することとなる。そのため、ユーザが操作する操作体の挙動が本体の挙動に制限されて、ユーザが思うように操作体を移動させることができない場合があり、操作性の面で問題があった。
【0003】
一方、例えば、特許文献1には、操作体に正逆回転可能な車輪とこの車輪を回転させるモータとを備え、車輪をモータにより回転させることにより操作体の移動をアシストする電気掃除機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−84174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成の電気掃除機は、操作体の移動をアシストするものであり、本体の挙動がホースを介して引っ張られるような態様で操作体の挙動に追従するという構成には変わりがないことから、依然として、ユーザが思うように操作体を移動させることができない場合があり、操作性の面で更なる改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、本体の挙動を操作体の挙動に適切に追従させることができ、操作性を高めることができる電気掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の電気掃除機は、吸込口とハンドルとが一体化されてなる操作体と、方向を操舵する操舵手段と前記操舵手段を制御する制御手段とを有する本体とを備え、前記操作体がホースを介して前記本体に連結されてなる電気掃除機において、一方が前記操作体に設けられると共に他方が前記本体に設けられ前記操作体と前記本体との間で少なくとも2つの空中伝播経路を前記本体の左右方向に並列するように略同時に形成する送信手段及び受信手段と、前記送信手段から前記受信手段への少なくとも2つの空中伝播信号の送受信状態に基づいて前記操作体と前記本体との間の距離を前記本体の左右方向で検出する距離検出手段と、前記距離検出手段により検出された2つの距離の距離差に基づいて前記操作体の移動方向に対する前記本体の左右方向の傾きを検出する傾き検出手段とを備え、前記制御手段は、前記傾き検出手段により検出された傾きが所定範囲外であるときには、これ以降に前記傾き検出手段により検出される傾きが所定範囲内となるように前記操舵手段の駆動を制御すると共に、前記所定範囲外に、前記操舵手段の駆動を停止させる停止区間を設けたことに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の電気掃除機によれば、本体の左右方向に並列する2つの距離の距離差に基づいて傾き検出手段により検出された操作体の移動方向に対する本体の左右方向の傾きが所定範囲外になると、制御手段は、これ以降に傾き検出手段により検出される傾きが所定範囲内となるように操舵手段の駆動を制御するので、操作体の移動方向に対する本体の左右方向の傾きを常に所定範囲内に保つことにより、本体の挙動を操作体の挙動に適切に追従させることができ、操作性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の参考実施形態を示すものであり、制御回路及びその周辺の電気的構成を示す機能ブロック図
【図2】電気掃除機の全体構成図
【図3】距離計測回路及びその周辺の電気的構成を示す機能ブロック図
【図4】送信信号と受信信号との関係を示す図
【図5】操作体と本体との間の距離と超音波の到達時間との関係を示す図
【図6】検出された距離と本体の移動との関係を示す図
【図7】本発明の一実施形態を示す電気掃除機の全体構成図
【図8】制御回路及びその周辺の電気的構成を示す機能ブロック図
【図9】操作体の移動方向に対する本体の左右方向の傾きを示す図
【図10】検出された傾きと本体の操舵との関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(参考実施形態)
以下、本発明の参考実施形態について図1乃至図6を参照して説明する。
図2は、電気掃除機1の全体的な構成を概略的に示す図である。電気掃除機1は、操作体2がホース3を介して本体4に連結されて構成されている。
【0011】
操作体2は、ヘッド部5とハンドル6とを備えて構成されている。ヘッド部5には、吸込口7が設けられていると共に、補助車輪及び回転ブラシなど(何れも図示せず)が設けられている。また、ヘッド部5の後部側(本体4側)の略中心位置には、超音波を送信可能な送信器8(送信手段に相当)が備えられている。この送信器8は、パイプ9、ハンドル6及びホース3を介して、本体4内に設けられた制御回路14(図1参照)に接続されている。ヘッド部5は、パイプ9を介してハンドル6に回動可能かつ回転可能に連結されている。また、ハンドル6には、例えば複数のLEDを備えてなる表示部10(表示手段に相当)、電気掃除機1の運転を制御するための各種の操作スイッチを備えた操作パネル(図示せず)などが設けられている。
【0012】
本体4は、電動送風機及び集塵室(何れも図示せず)などを備えて構成されている。本体4の前部側(操作体2側)には、送信器8から送信された超音波を受信可能な受信器11(受信手段に相当)が備えられている。また、本体4の左右の側部には、本体4の左右方向に並列するように2つの車輪12a,12bが配置されている。また、本体4の底部には、補助車輪13が設けられている。
【0013】
次に、電気掃除機1の電気的構成について図1を参照して説明する。制御回路14(制御手段に相当)は、距離計測回路15(距離検出手段に相当)、マイクロコンピュータ16及びモータ駆動回路17を備えて構成されている。
【0014】
距離計測回路15には、上記した送信器8及び受信器11が接続されていて、送信器8に送信信号(パルス信号)を出力すると共に、受信器11から受信信号が入力されるようになっている。また、距離計測回路15には、温度センサ18が接続されていて、電気掃除機1周辺の温度情報が温度信号として入力されるようになっている。温度センサ18は、例えば本体4の所定部位に配置されている。
【0015】
ここで、この距離計測回路15について図3を参照して詳しく説明する。
距離計測回路15は、パルス出力回路19、送信用増幅器20、時間計測回路21、バンドパスフィルタ(BPF)22、受信用増幅器23及び距離演算回路24を備えて構成されている。
【0016】
パルス出力回路19は、送信用増幅器20及び時間計測回路21に接続されていて、送信信号(図4中(a)参照)を送信用増幅器20に出力すると同時に(出力することに同期して)、時間計測回路21にタイミング信号を出力する。この場合、送信信号としては、例えば40[kHz]の矩形波を用い、数十[msec]程度の間隔で数十[パルス]程度を印加する。送信用増幅器20は、パルス出力回路19から入力した送信信号を増幅して送信器8に出力する。送信器8は、送信用増幅器20から入力した送信信号を超音波として送信する。
【0017】
受信器11は、送信器8から受信した超音波を受信信号(図4中(b)参照)としてバンドパスフィルタ22に出力する。つまり、送信器8から受信器11へ超音波(空中伝播信号に相当)の送受信を行うことにより、操作体2と本体4との間に空中伝播経路が形成される。バンドパスフィルタ22は、受信器11から入力した受信信号のうち送信信号と同じ帯域(40[kHz]の帯域)の信号のみを取り出して受信用増幅器23に出力する。受信用増幅器23は、バンドパスフィルタ22から入力した受信信号を増幅して時間計測回路21に出力する。
時間計測回路21は、パルス出力回路19からタイミング信号を入力した時間と受信用増幅器23から受信信号を入力した時間との差(送信器8から送信した超音波が受信器11に到達するまでの時間)を到達時間信号として距離演算回路24に出力する。
【0018】
距離演算回路24は、時間計測回路21から入力した到達時間信号及び温度センサ18から入力した温度信号に基づいて、式(1)及び式(2)により操作体2と本体4との間の距離を演算する。
音速=331.5[m/s]+(0.6[m/s]×温度[℃])・・・・・(1)
操作体と本体との間の距離=音速×超音波の到達時間・・・・・(2)
この場合、操作体2と本体4との間の距離と超音波の到達時間とは図5に示すように略比例する関係となる。そして、距離演算回路24は、演算した距離を距離信号としてマイクロコンピュータ16に出力する。
【0019】
マイクロコンピュータ16には、図1に示すように、モータ駆動回路17が接続されている。マイクロコンピュータ16には、比較器(図示せず)が備えられている。また、第1の設定距離及び第2の設定距離(図6参照)がメモリ(図示せず)に予め記憶されている。そして、マイクロコンピュータ16は、距離計測回路15から入力した距離信号と予め設定された第1の設定距離及び第2の設定距離とを比較した結果を比較信号としてモータ駆動回路17に出力する。また、マイクロコンピュータ16には、上記した表示部10が接続されていて、比較した結果に対応して表示部10のLEDの点灯数が変化するようになっている。
【0020】
モータ駆動回路17にはモータ25が接続されている。このモータ25は、回転軸26が図1中矢印A1,A2方向に回転するようになっている。この回転軸26は、上記した車輪12a,12bが連結されたシャフト27にギア機構28を介して連結されていて、回転軸26が図1中矢印A1,A2方向に回転されると、車輪12a,12bが図1中矢印B1(本体4の前進方向),B2(本体4の後進方向)に回転されるようになっている。
【0021】
モータ駆動回路17は、マイクロコンピュータ16から入力した比較信号に基づいて、モータ25に出力する駆動信号の極性(モータ25を駆動する方向)を制御する。この場合、距離信号が第1の設定距離よりも大きいときには、これ以降に距離計測回路15により検出される距離が第1の設定距離となるように、本体4を前進させる方向に駆動信号の極性を制御する。一方、距離信号が第2の設定距離よりも小さいときには、これ以降に距離計測回路15により検出される距離が第2の設定距離となるように、本体4を後進させる方向に駆動信号の極性を制御する。また、モータ駆動回路17は、距離信号が第1の設定距離と第2の設定距離との間にある場合には、駆動信号をモータ25に出力しないようになっている。
【0022】
次に、参考実施形態の作用について図6を参照して説明する。
ユーザが操作体2を移動させると、操作体2と本体4との間の距離(送信器8と受信器11との間の距離)が変動することとなる。そして、距離計測回路15により、送信器8から受信器11への超音波の送受信状態(この場合、到達時間の長さ)に基づいて操作体2と本体4との距離(距離信号)が検出される。
【0023】
このとき、制御回路14は、図6(a)に示すように、検出された距離が第1の設定距離よりも大きくなると、駆動信号の極性を本体4が前進する方向に制御する。そして、この駆動信号に基づいてモータ25を駆動し、本体4を第1の設定距離に向けて前進させたことにより、本体4が第1の設定距離に到達すると、モータ25の駆動(本体4の移動)を停止する。一方、検出された距離が第2の設定距離よりも小さくなると、駆動信号の極性を本体4が後進する方向に制御する。そして、この駆動信号に基づいてモータ25を駆動し、本体4を第2の設定距離に向けて後進させたことにより、本体4が第2の設定距離に到達すると、モータ25の駆動(本体4の移動)を停止する。また、検出された距離が第1の設定距離と第2の設定距離との間にあるときには、つまり、本体4が第1の設定距離を一端とし第2の設定距離を他端とする範囲内(所定範囲内)にあるときには、モータ25の駆動(本体4の移動)を停止した状態を維持する。
【0024】
以上に説明したように参考実施形態によれば、送信器8から受信器11への超音波の送受信状態に基づいて距離計測回路15により検出された操作体2と本体4との間の距離が所定範囲外になると(第1の設定距離よりも大きくなるか、または第2の設定距離よりも小さくなると)、制御回路14は、これ以降に距離計測回路15により検出される距離が第1の設定距離または第2の設定距離となるようにモータ25の駆動を制御するので、操作体2と本体4との間の距離を第1の設定距離または第2の設定距離に保つことにより、本体4の挙動を操作体2の挙動に適切に追従させることができ、操作性を高めることができる。
【0025】
ところで、距離計測回路15により検出された距離が上記した所定範囲外であるときに、これ以降に距離計測回路15により検出される距離が、第1の設定距離または第2の設定距離ではなく、第1の設定距離と第2の設定距離との間の所定範囲内のうち何れかの距離となるようにモータ25の駆動を制御するように構成しても良い。これにより、操作体2と本体4との間の距離を所定範囲内のうち何れかの距離で安定させることができる。
【0026】
上記した構成の電気掃除機1において、第1の設定距離及び第2の設定距離にヒステリシス特性を持たせてモータ25の駆動を制御するようにしても良い。
この場合、図6(b)に示すように、操作体2と本体4との間の距離が上記した所定範囲内である状態から、ユーザが操作体2を移動させることにより、操作体2と本体4との間の距離が所定範囲外となったとしても、制御回路14は、直ちにモータ25の駆動を開始するのではなく、操作体2と本体4との間の距離が、ある程度、第1の設定距離(第2の設定距離)よりも大きく(小さく)なるまで、モータ25の駆動を停止した状態を維持した後、モータ25の駆動を開始して本体4を前進(後進)させる。そして、本体4が前進(後進)して操作体2と本体4との間の距離が第1の設定距離(第2の設定距離)となったとしても、制御回路14は、直ちにモータ25の駆動を停止するのではなく、ある程度、本体4の前進(後進)を続けた後にモータ25の駆動を停止する。
【0027】
このように第1の設定距離及び第2の設定距離にヒステリシス特性を持たせた構成とすることにより、操作体2と本体4との間の距離が第1の設定距離(第2の設定距離)の前後で変動を繰り返したとしても、モータ25の駆動及び停止(本体4の移動及び停止)を不必要に繰り返すことを防止でき、本体4の安定した走行を実現することができる。
【0028】
また、第1の設定距離よりも大きい範囲及び第2の設定距離よりも小さい範囲の一部にモータ25を停止させる停止区間を設ける構成であっても良い。
この場合、図6(c)に示すように、距離計測回路15により検出された距離が停止区間であるときには、モータ25の駆動(本体4の移動)を停止する。これにより、本体4が操作体2から遠ざかりすぎた場合や操作体2に近付きすぎた場合に、本体4が暴走してしまうことを未然に防止することができ、安全性の向上を図ることができる。尚、本体4が停止区間で停止している状態から、ユーザが操作体2を本体4に近づけると、操作体2と本体4との間の距離が第1の設定距離(第2の設定距離)に近付き、本体4の前進(後進)が開始される。
【0029】
(一実施形態)
次に、本発明の一実施形態について図7乃至図10を参照して説明する。
上記した参考実施形態では、操作体2に対して、操作体2から所定範囲内の距離に本体4を移動させる構成のものを示したが、この一実施形態では、操作体2に対する本体4の傾きが所定範囲内の傾きとなるように本体4を操舵する構成のものを示す。以下、参考実施形態と同一の部分についての説明は省略し異なる部分についてのみ説明する。
【0030】
図7に示すように、電気掃除機40を構成する操作体2の後部側(本体4側)の略中心位置には、超音波を送信可能な送信器41(送信手段に相当)が備えられている。本体4の前部側(操作体2側)には、本体4の左右方向に並列するようにして、送信器41から送信された超音波を受信可能な受信器42a,42b(受信手段に相当)が備えられている。
【0031】
次に、一実施形態の電気的構成について図8を参照して説明する。尚、制御回路43(制御手段に相当)は、本体4の移動方向から見て左右対称に構成されているので、以下、左右対称に備えられているものについては括弧書きをして示す。
制御回路43は、距離検出手段に相当する距離計測回路44a(44b)、マイクロコンピュータ45(傾き検出手段に相当)及びモータ駆動回路46a(46b)を備えて構成されている。
【0032】
距離計測回路44a(44b)は、夫々参考実施形態で示した距離計測回路15(図3参照)と同様に構成されている。また、距離計測回路44a(44b)には、温度センサ18が接続されていて、温度信号が入力されるようになっている。そして、距離計測回路44a(44b)は、超音波の到達時間及び電気掃除機40周辺の温度から、操作体2と本体4の左側(右側)との間の距離を演算し、距離信号としてマイクロコンピュータ45に出力する。
【0033】
マイクロコンピュータ45には、モータ駆動回路46a(46b)が接続されている。また、第1の設定角度及び第2の設定角度(図10参照)がメモリ(図示せず)に予め記憶されている。そして、マイクロコンピュータ45は、距離計測回路44aから入力した距離信号及び距離計測回路44bから入力した距離信号との差(距離差)に基づいて操作体2の移動方向に対する本体4の左右方向の傾きを検出する。そして、検出した傾きと予め設定された第1の設定角度及び第2の設定角度とを比較した結果を角度信号としてモータ駆動回路46a(46b)に出力する。
【0034】
モータ駆動回路46a(46b)にはモータ47a(47b)が接続されている。このモータ47a(47b)は、モータ駆動回路46a(46b)から駆動信号が与えられると、回転軸48a(48b)、ギア機構49a(49b)及びシャフト50a(50b)を介して車輪12a(12b)が図8中矢印C1(本体4の前進方向),C2(本体4の後進方向)に回転されるようになっている。このような構成により、本体4の方向を操舵する操舵機構51(操舵手段に相当)が設けられている。
【0035】
モータ駆動回路46a(46b)は、マイクロコンピュータ45から入力した角度信号に基づいて、モータ47a(47b)に出力する駆動信号の極性(モータ47a(47b)を駆動する方向)を制御する。この場合、角度信号が第1の設定角度よりも大きいときには、これ以降にマイクロコンピュータ45により検出される傾きが第1の設定角度となるように駆動信号の極性を制御する。一方、角度信号が第2の設定角度よりも小さいときには、これ以降にマイクロコンピュータ45により検出される傾きが第2の設定角度となるように駆動信号の極性を制御する。また、角度信号が第1の設定角度と第2の設定角度との間にある場合には、駆動信号をモータ47a(47b)に出力しないようになっている。
【0036】
次に、一実施形態の作用について図9及び図10を参照して説明する。尚、本体4は、上記したように本体4の移動方向から見て左右対称に構成されているので、ここでは、本体4の右側の作用についての説明は省略し本体4の左側の作用のみについて説明する。
ユーザが操作体2を移動させると、操作体2の移動方向に対する本体4の左右方向の傾きが変動することとなる。そして、マイクロコンピュータ45により、本体4の左右方向に並列する2つの距離の距離差に基づいて操作体2の移動方向に対する本体4の左右方向の傾きが検出される。
【0037】
このとき、制御回路43は、図10(a)に示すように、検出された傾きが第1の設定角度よりも大きくなると、駆動信号の極性を本体4の左側が前進する方向(図9(a)中支点P(車輪12bの接地点)を中心に矢印D方向)に制御する。そして、この駆動信号に基づいてモータ47aを駆動し、本体4の方向を右周りに操舵(図9(a)中矢印E参照)したことにより、本体4の傾きが第1の設定角度に到達すると、モータ47aの駆動(本体4の方向の操舵)を停止する。一方、検出された傾きが第2の設定角度よりも小さくなると、駆動信号の極性を本体4の左側が後進する方向(図9(b)中支点Pを中心に矢印F方向)に制御する。そして、この駆動信号に基づいてモータ47aを駆動し、本体4の方向を左周りに操舵(図9(a)中矢印G参照)したことにより、本体4の傾きが第2の設定角度に到達すると、モータ47aの駆動(本体4の方向の操舵)を停止する。また、検出された距離が第1の設定角度と第2の設定角度との間にあるときには、つまり、本体4の傾きが第1の設定角度を一端とし第2の設定角度を他端とする範囲内(所定範囲内)にあるときには、モータ47aの駆動(本体4の方向の操舵)を停止した状態を維持する。
【0038】
以上に説明したように一実施形態によれば、本体4の左右方向に並列する2つの距離の距離差に基づいてマイクロコンピュータ45により検出された操作体2の移動方向に対する本体4の左右方向の傾きが所定範囲外になると(第1の設定角度よりも大きくなるか、または第2の設定角度よりも小さくなると)、制御回路43は、これ以降にマイクロコンピュータ45により検出される傾きが第1の設定角度または第2の設定角度となるように操舵機構51の駆動を制御するので、操作体2の移動方向に対する本体4の左右方向の傾きを第1の設定角度または第2の設定角度に保つことにより、本体4の挙動を操作体2の挙動に適切に追従させることができ、操作性を高めることができる。
【0039】
尚、検出された傾きが第1の設定角度よりも大きいときに(図9(a)参照)、本体4の右側を後進させることにより、本体4の方向を操舵するように構成しても良い。また、検出された傾きが第2の設定角度よりも小さいときに(図9(b)参照)、本体4の右側を前進させることにより、本体4の方向を操舵するように構成しても良い。更に、本体4の左側と本体4の右側とを互いに反対方向(前進方向と後進方向)に操舵するように構成しても良い。
【0040】
また、この場合も、マイクロコンピュータ45により検出された傾きが上記した所定範囲外であるときに、これ以降にマイクロコンピュータ45により検出される傾きが、第1の設定角度または第2の設定角度ではなく、第1の設定角度と第2の設定角度との間の所定範囲内のうち何れかの傾きとなるようにモータ47a(47b)の駆動を制御するように構成しても良い。これにより、本体4の傾きを上記した所定範囲内のうち何れかの傾きで安定させることができる。
【0041】
また、図10(b)に示すように、第1の設定角度及び第2の設定角度にヒステリシス特性を持たせてモータ47a(47b)の駆動を制御するようにしても良い。このような構成によれば、本体4の傾きが第1の設定角度(第2の設定角度)の前後で変動を繰り返したとしても、モータ47a(47b)の駆動及び停止(本体4の操舵及びその停止)を不必要に繰り返すことを防止でき、本体4の安定した走行を実現することができる。
【0042】
また、図10(c)に示すように、第1の設定角度よりも大きい範囲及び第2の設定角度よりも小さい範囲の一部にモータ47a(47b)を停止させる停止区間を設ける構成であっても良い。このような構成によれば、本体4が操作体2から遠ざかりすぎた場合や操作体2に近付きすぎた場合に、本体4が暴走してしまうことを未然に防止することができ、安全性の向上を図ることができる。尚、この場合も、本体4が停止区間で停止している状態から、ユーザが操作体2の方向を本体4の方向に近付けると、操作体2の移動方向に対する本体4の左右方向の傾きが第1の設定角度(第2の設定角度)に近付き、本体4の前進(後進)が開始される。
【0043】
(その他の実施形態)
尚、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
【0044】
参考実施形態と一実施形態を組み合わせても良く、つまり、操作体2と本体4との間の距離が所定範囲内となるようにモータの駆動を制御すると共に、操作体2の移動方向に対する本体4の左右方向の傾きが所定範囲内となるように操舵手段を制御するように構成しても良い。
【0045】
第1の設定距離(角度)及び第2の設定距離(角度)をユーザが設定可能とする構成であっても良い。
送信手段を本体4に設け、受信手段を操作体2に設ける構成であっても良い。また、空中伝播信号としては、超音波に限られるものではなく、例えば、赤外線やレーザなどであっても良い。
【符号の説明】
【0046】
図面中、1,40は電気掃除機、2は操作体、3はホース、4は本体、6はハンドル、7は吸込口、8,41は送信器(送信手段)、10は表示部(表示手段)、11,42a,42bは受信器(受信手段)、12a,12bは車輪、14,43は制御回路(制御手段)、15,44a,44bは距離計測回路(距離検出手段)、25,47a,47bはモータ、45はマイクロコンピュータ(傾き検出手段)、51は操舵機構(操舵手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口とハンドルとが一体化されてなる操作体と、方向を操舵する操舵手段と前記操舵手段を制御する制御手段とを有する本体とを備え、前記操作体がホースを介して前記本体に連結されてなる電気掃除機において、
一方が前記操作体に設けられると共に他方が前記本体に設けられ前記操作体と前記本体との間で少なくとも2つの空中伝播経路を前記本体の左右方向に並列するように略同時に形成する送信手段及び受信手段と、
前記送信手段から前記受信手段への少なくとも2つの空中伝播信号の送受信状態に基づいて前記操作体と前記本体との間の距離を前記本体の左右方向で検出する距離検出手段と、
前記距離検出手段により検出された2つの距離の距離差に基づいて前記操作体の移動方向に対する前記本体の左右方向の傾きを検出する傾き検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記傾き検出手段により検出された傾きが所定範囲外であるときには、これ以降に前記傾き検出手段により検出される傾きが所定範囲内となるように前記操舵手段の駆動を制御すると共に、前記所定範囲外に、前記操舵手段の駆動を停止させる停止区間を設けたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記操舵手段は、前記本体の左右方向に並列するように配置された少なくとも2つの車輪と、前記少なくとも2つの車輪を回転させる少なくとも2つのモータとを備えて構成され、
前記制御手段は、前記少なくとも2つのモータの駆動を夫々独立に制御することを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記送信手段は、前記操作体及び前記本体のうちの一方の略中心位置に配置された1つの送信器から構成され、
前記受信手段は、前記操作体及び前記本体のうちの他方の左右方向に並列するように配置された2つの受信器から構成され、
前記送信器と前記2つの受信器のうちの一方の受信器とが一の空中伝播経路を形成すると略同時に前記送信器と前記2つの受信器のうちの他方の受信器とが他の空中伝播経路を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の電気掃除機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−251177(P2011−251177A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201778(P2011−201778)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【分割の表示】特願2006−44049(P2006−44049)の分割
【原出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】