説明

電気掃除機

【課題】より小型で軽量な電気掃除機を提供する。
【解決手段】電気掃除機は、本体部内に回転ブラシ13を回転可能に配置する。回転ブラシ13は、内部に空間部25bを有する軸状の外郭25の両端を本体部に回転可能に軸支する。回転ブラシ13は、開口部43cを外郭25の一端側に備える。回転ブラシ13は、外郭25の外部に突設する。被掃除面の塵埃を掻き上げて外郭25の一端側へと導くブレードを備える。回転ブラシ13は、通気性を有する集塵部27を、開口部43cに連通して空間部25bに配置する。回転ブラシ13は、外郭25を回転駆動させるモータ28を空間部25bに配置する。回転ブラシ13は、モータ28により回転駆動することでブレードにより導いた塵埃を開口部43cから集塵部27へと吸い込むファン29を空間部25bに配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、本体部内に回転可能に配置された回転清掃体を備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電動送風機を収容し被掃除面上を走行可能な掃除機本体と、この掃除機本体に接続されるホース体、延長管および床ブラシを有する風路形成体である管部とを備えた、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機が知られている。
【0003】
このようなキャニスタ型の電気掃除機は、被掃除面を掃除する際に、管部に接続された掃除機本体を引き回す作業が煩わしいことがある。
【0004】
また、上下方向に長手状の掃除機本体の下部に床ブラシを一体的に設け、掃除機本体から突設した把持部などを用いて床ブラシとともに掃除機本体を被掃除面上で走行可能とすることで、掃除機本体を引き回さないように構成した、いわゆるアップライト型の電気掃除機が知られている。
【0005】
このようなアップライト型の電気掃除機の場合、大きな吸引力を発生させるための電動送風機が重量物となり、この電動送風機を収容した掃除機本体が重く、操作しづらいときがある。
【0006】
そこで、例えば把持部の先端側に設けた本体部に回転清掃体としての回転ブラシを回転可能に配置し、この回転ブラシによって被掃除面上の塵埃を掻き上げて集塵室に送り込むことにより、大きな吸引力を要することなく塵埃を捕集可能な構成が考えられる。このような構成では、使い勝手は良好であるものの、集塵室および回転ブラシを駆動するための電動機などの駆動源のスペースが必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4238697号公報
【特許文献2】特開2007−175392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、より小型で軽量な電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の電気掃除機は、本体部を有する。さらに、この電気掃除機は、本体部内に回転可能に配置された回転清掃体を有する。回転清掃体は、内部に空間部を有し、両端が本体部に回転可能に軸支される軸状の清掃体本体を備える。また、この回転清掃体は、清掃体本体の一端側に設けられた開口部を備える。さらに、この回転清掃体は、清掃体本体の外部に突設され、被掃除面の塵埃を掻き上げて清掃体本体の一端側へと導く清掃部材を備える。また、この回転清掃体は、通気性を有し、開口部に連通して空間部に配置された集塵部を備える。さらに、この回転清掃体は、空間部に配置され、清掃体本体を回転駆動させる駆動源を備える。そして、この回転清掃体は、空間部に配置され、駆動源により回転駆動されることで清掃部材により導かれた塵埃を開口部から集塵部へと吸い込むファンを備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態の電気掃除機の回転清掃体の一部を示す斜視図である。
【図2】同上電気掃除機を示す斜視図である。
【図3】同上電気掃除機を示す斜視図である。
【図4】第2の実施形態の電気掃除機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、第1の実施形態の構成を図1ないし図3を参照して説明する。
【0012】
図1ないし図3において、11は電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、中空状の本体部12と、この本体部12内に回転可能に配置された回転清掃体としての回転ブラシ13と、本体部12の上部から例えば直線状に突出する取手部14とを有している。
【0013】
本体部12は、取手部14の先端に設けられており、図示しない走行輪(従動輪)などにより、被掃除面上を移動(走行)可能となっている。この本体部12は、例えば合成樹脂などにより一体形成され、被掃除面に対向する平坦状の下面21と、この下面21の両側から上方向へと立ち上がる例えば半円形状の側面22,22と、これら下面21および側面22,22の上側を前側から後側に亘って覆う半円筒面状の上面23とを有している。そして、下面21には、回転ブラシ13が位置する図示しない本体開口部が横長に形成されている。
【0014】
また、回転ブラシ13は、清掃体本体としての円筒状の外郭25と、この外郭25の外周面25aから突出する複数の清掃部材としてのブレード26と、外郭25の内部の収容部である空間部25bにこの外郭25と同軸に収容された収容部としての集塵部27と、外郭25の内部の空間部25bにこの外郭25と同軸に収容された駆動源としてのモータ28と、外郭25の内部の空間部25bに収容されモータ28により回転駆動される軸流ファンであるファン29とを備えている。そして、この回転ブラシ13の両端部は、本体部12に対して、軸受31,31を介して回転可能に軸支されている。
【0015】
外郭25は、例えば合成樹脂により形成されており、本体部12の内部に、左右幅方向に沿って軸方向を有するように収容されて本体開口部に臨んでいる。また、この外郭25は、空間部25bに連通する開口33が一端側に形成され、他端側に、この他端側を閉塞する閉塞板34が形成されている。そして、この閉塞板34には、通気孔34aが形成されている。
【0016】
また、各ブレード26は、被掃除面に入り込んだ塵埃を掻き出したり、被掃除面に付着した塵埃を掻き取ったりするもので、例えば軟質でかつ弾性を有するゴムなどの合成樹脂などによって板状に形成されており、外郭25に対して径方向に突出し、一端側から他端側に亘って連続する壁状となっている。さらに、これらブレード26は、外郭25の周方向に略等間隔に離間されている。さらに、これらブレード26は、一端側から他端側へと螺旋状に捻れて形成されており、回転ブラシ13(外郭25)の回転方向に対して他端側が一端側よりも前側となっている。すなわち、これらブレード26は、回転ブラシ13の回転により他端側から一端側へと順次被掃除面に接触することで、塵埃を他端側から一端側へと運ぶようにそれぞれ構成されている(矢印A)。
【0017】
また、集塵部27は、各ブレード26により被掃除面から掻き集めた塵埃を収容する部分であり、例えば合成樹脂などにより略円筒状に形成されており、外郭25の内部の空間部25bに同軸に嵌合された略円筒状の嵌合ケース体35の内部に着脱可能に嵌合され、この嵌合ケース体35とともに外郭25の内部の空間部25bに収容されている。すなわち、この集塵部27は、塵埃を内部に導く導入開口部36を一端側に備えている。また、この集塵部27の他端側は、メッシュ状の濾過フィルタ37によって閉塞されている。したがって、この集塵部27は、一端側から他端側へと濾過フィルタ37を介して通気可能となっている。
【0018】
嵌合ケース体35は、ケース開口41を一端側に備えているとともに、他端側が閉塞板部42により閉塞されており、一端側が外郭25の一端側の開口33から外部に突出している。ケース開口41には、蓋体43が着脱可能に設けられている。この蓋体43は、ケース開口41の内側に嵌合する円環状の外枠部43aと、この外枠部43aの内側に格子状(十字状)に位置する格子部43bとを一体に有し、これら外枠部43aと格子部43bとの間の部分が、それぞれ集塵部27の導入開口部36と連通するとともに外郭25の一端側の外部へと開口33から突出して位置する開口部43cとなっている。したがって、集塵部27の導入開口部36は、開口部43cを介して外郭25の一端側の外部と連通している。また、格子部43bの中央部には、外郭25、集塵部27および嵌合ケース体35と同軸に回転軸部43dが突設されている。さらに、閉塞板部42には、通気開口部42aが厚さ方向すなわち嵌合ケース体35の軸方向に沿って貫通して形成されている。したがって、嵌合ケース体35は、一端側の開口部43cから他端側の通気開口部42aへと、集塵部27を介して通気可能となっている。
【0019】
また、モータ28は、円筒状の駆動源本体としてのモータ本体46と、このモータ本体46の一端側に軸方向に沿って突出する回転軸47と、モータ本体46の他端側に軸方向に沿って突出する支持軸48とを有している。さらに、このモータ28は、外郭25の内部の空間部25bに同軸に嵌合された略円筒状のケース体49の内部に着脱可能に嵌合され、このケース体49とともに外郭25の内部の空間部25bにて嵌合ケース体35の他端側の位置に離間されて収容されている。そして、このモータ28と嵌合ケース体35との間には、伝達機構としての減速機構である遊星歯車機構50が位置している。
【0020】
ここで、ケース体49は、ケース体開口52を一端側に備えているとともに、他端側が閉塞部53により閉塞されている。この閉塞部53には、通気開口53aが厚さ方向すなわちケース体49の軸方向に沿って貫通して形成されている。したがって、ケース体49は、一端側のケース体開口52から他端側の通気開口53aへと通気可能となっている。
【0021】
また、遊星歯車機構50は、モータ28の駆動力を回転ブラシ13に伝達するものであり、第1の歯車としての入力歯車である太陽歯車55と、この太陽歯車55と歯合する第2の歯車としての連結歯車である遊星歯車56,56と、外郭25の空間部25bの内面に一体に嵌合され遊星歯車56,56と歯合する第3の歯車としての出力歯車である内歯車57とを備えている。そして、遊星歯車56,56が固定されていることにより、太陽歯車55が回転軸47と一体に回転することで、遊星歯車56,56を介して内歯車57が回転され、回転ブラシ13が回転駆動されるように構成されている。
【0022】
また、回転軸47は、モータ本体46により回転駆動されるもので、先端側が嵌合ケース体35の閉塞板部42の中央部に形成された挿通開口部42bに挿入されて嵌合ケース体35の内部に位置している。また、この回転軸47の先端側には、嵌合ケース体35内で濾過フィルタ37の下流側に対向するファン29が同軸に連結されており、このファン29が回転軸47とともにモータ28によって回転駆動されるように構成されている。すなわち、このモータ28は、回転ブラシ13の外郭25とファン29との共通の駆動源となっている。
【0023】
また、支持軸48は、ケース体49の閉塞部53の中央部に固定されたベアリングなどの軸受部59に回転可能に軸支されており、モータ28をケース体49(外郭25)に対して相対的に回転可能に軸支している。
【0024】
また、各軸受31は、例えばベアリングなどを備えており、本体部12の本体開口部内の両側の位置などに着脱可能に取り付けられる。
【0025】
また、取手部14は、本体部12の上面23と先端側が連結される直線状の連結体としてのパイプ部であるシャフト部61と、このシャフト部61の基端側に設けられ使用者により把持される把持部としてのグリップ部62とを備えている。さらに、この取手部14には、例えばシャフト部61の内部に、電源部としての二次電池などの電池64と、モータ28の駆動を制御する図示しない制御手段とが収容されている。ここで、電池64は、モータ28に給電するもので、シャフト部61内に配置された図示しない配線などを介して制御手段およびモータ28に電気的に接続されている。さらに、この電池64は、シャフト部61の下端部、すなわち本体部12側の位置、換言すればグリップ部62から離間された位置に配置されている。そして、グリップ部62には、モータ28の駆動のオンオフの切り換えを制御手段に設定する切換手段としての設定手段であるスイッチ66が設けられている。
【0026】
次に、上記第1の実施形態による掃除動作を説明する。
【0027】
使用者が電気掃除機11の本体部12を被掃除面上に位置させた状態でグリップ部62を把持し、スイッチ66を操作すると、制御手段がモータ28を起動させる。
【0028】
この結果、回転軸47が回転し、この回転軸47に連結されたファン29が回転するとともに、この回転軸47と一体に太陽歯車55が回転することで遊星歯車56,56を介して内歯車57が回転して、回転ブラシ13の外郭25がブレード26とともに、ファン29よりも低速で回転する。このとき、モータ28のモータ本体46は、回転ブラシ13の外郭25と一体的に回転するケース体49に対して軸受部59により軸支されていることで、外郭25の回転に対して相対的に固定され、外郭25とともに回転することはない。
【0029】
この回転ブラシ13の外郭25の回転により、各ブレード26が被掃除面から塵埃を掻き出して(掻き取って)他端側から一端側へと導くとともに、ファン29の回転により回転ブラシ13の外郭25の一端側に発生した負圧によってこの塵埃が嵌合ケース体35の開口部43cを介して、導入開口部36から集塵部27内へと空気とともに吸い込まれる。
【0030】
そして、集塵部27へと吸い込まれた塵埃は、濾過フィルタ37によって集塵部27内に捕集される。
【0031】
塵埃が捕集された空気は、濾過フィルタ37を通過した後、通気開口部42aを通過し、ケース体開口52からケース体49内へと流入し、モータ28を冷却した後、通気開口53aを通過して、外郭25の他端側の通気孔から回転ブラシ13の他端側の外部へと排気される。
【0032】
使用者は、取手部14を介して本体部12を被掃除面上で前後などに往復移動(走行)させることで、被掃除面全体を掃除する。
【0033】
掃除が終了すると、使用者がスイッチ66を操作することにより、制御手段がモータ28の駆動を停止させる。
【0034】
そして、集塵部27に所定量以上の塵埃が溜まった場合などには、回転ブラシ13を軸受31,31とともに本体部12から取り外した後、さらに蓋体43を一方の軸受31とともに取り外して、集塵部27を嵌合ケース体35から取り外し、集塵部27の内部に捕集した塵埃をごみ箱などに廃棄する。この塵埃を廃棄した後は、取り外したときと逆順の作業によって集塵部27を再度嵌合ケース体35に嵌合させて回転ブラシ13の外郭25の内部に収容し、回転ブラシ13を軸受31,31によって本体部12に取り付ける。
【0035】
このように、上記第1の実施形態によれば、例えばキャニスタ型の電気掃除機のように掃除機本体を取り回す煩わしさがなく、またアップライト型の電気掃除機のように使用者の手元に大きな重量が加わることがないなど、操作性および使い勝手が向上する。
【0036】
また、比較的重量が大きい電池64を取手部14の下端部、すなわち本体部12側に配置することにより、取手部14の上端部に位置するグリップ部62を把持した使用者による電気掃除機11の手元の操作を軽くできる。
【0037】
なお、上記第1の実施形態において、取手部14には、スイッチ66に代えて、例えばモータ28の回転速度を設定可能な設定手段としての設定ボタンなどを設けてもよい。
【0038】
また、図4に示す第2の実施形態のように、本体部12に取手部14を備えず、この本体部12が走行輪である駆動輪68を備え、本体部12と障害物との距離や障害物の存在の有無などを検知するセンサを用いたり、予め記憶された走行コースを走行したりすることで被掃除面上を自走(自律走行)可能な電気掃除機11としてもよい。
【0039】
そして、以上説明した少なくとも1つの実施形態では、本体部12に回転ブラシ13を回転可能に配置するとともに、この回転ブラシ13の外郭25を駆動させるモータ28、このモータ28により回転されるファン29、および、塵埃を収容する集塵部27をそれぞれ回転ブラシ13の外郭25の内部の空間部25bに収容し、ブレード26によって回転ブラシ13の一端側に導いた塵埃をモータ28によるファン29の駆動によって開口部43cから集塵部27へと吸い込む構成とした。
【0040】
この結果、集塵部27およびモータ28を回転ブラシ13の外部にて本体部12に設けるスペースが不要となるとともに、回転ブラシ13とファン29とを駆動させる駆動源を別個に設ける必要がないため、電気掃除機11をより小型でかつ軽量に構成できる。
【0041】
また、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
11 電気掃除機
12 本体部
13 回転清掃体としての回転ブラシ
25 清掃体本体としての外郭
25b 空間部
26 清掃部材としてのブレード
27 集塵部
28 駆動源としてのモータ
29 ファン
43c 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
この本体部内に回転可能に配置された回転清掃体とを具備し、
前記回転清掃体は、
内部に空間部を有し、両端が前記本体部に回転可能に軸支される軸状の清掃体本体と、
この清掃体本体の一端側に設けられた開口部と、
前記清掃体本体の外部に突設され、被掃除面の塵埃を掻き上げて前記清掃体本体の一端側へと導く清掃部材と、
通気性を有し、前記開口部に連通して前記空間部に配置された集塵部と、
前記空間部に配置され、前記清掃体本体を回転駆動させる駆動源と、
前記空間部に配置され、前記駆動源により回転駆動されることで前記清掃部材により導かれた塵埃を前記開口部から前記集塵部へと吸い込むファンとを備えている
ことを特徴とした電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−111375(P2013−111375A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262302(P2011−262302)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】