説明

電気掃除機

【課題】一旦捕集した塵埃を確実に蓄積して塵埃の流出を抑制可能な集塵性能の高い電気掃除機を提案する。
【解決手段】電気掃除機1は、旋回流SFを生じて空気と塵埃とを分離する中空な略円錐台形状の遠心分離部36と、遠心分離部36の中心線Cに交差する方向へ離間して位置し塵埃を捕集し蓄積する着脱自在な集塵部37と、遠心分離部36の2つの底面のうち面積が小さい方の底面38と集塵部37とを接続して遠心分離部36から集塵部37へ塵埃を導く往路管41と、遠心分離部36中心線Cの延長線上にあり往路管41の管壁に開口する復路口42と集塵部37とを接続して集塵部37から遠心分離部36へ空気を戻す復路管43と、復路口42に向き合い遠心分離部36の2つの底面のうち面積が大きい方の底面45の略中央に開口する分離部出口46に接続する排気管47と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
中空な逆円錐体形状の遠心分離部と、この遠心分離部の頂点部分に接続して下方へ延びる塵埃捕集部と、を備える電気掃除機が知られている。
【0003】
遠心分離部は、逆円錐体形状の中心線と略同心であり内壁面に沿う旋回流を生じ、空気と塵埃とを分離する。分離した塵埃は、遠心分離部の頂点部分から流出して塵埃捕集部内に溜まる。他方、分離した空気は旋回流の中心(すなわち、逆円錐体形状の中心線)近傍を通過して逆円錐体形状の底面の方向へ流出し、電動送風機を経て掃除機本体外へ吹き出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−307352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電気掃除機の場合、遠心分離部の中心近傍を空気が通過して掃除機本体外へ吹き出すところ、塵埃捕集部が遠心分離部の直近(具体的には遠心分離部の頂点部分の下方直近)に位置するため、流動する空気の流れに変化を生じると、塵埃捕集部内で塵埃が舞い上がり、流れに乗って遠心分離部へ逆流してしまう虞がある。特に、電動送風機の運転開始直後や停止直後など遠心分離部内の旋回流が未発達な時期(以下、単に「過渡期」と呼ぶ。)に、塵埃捕集部内で塵埃が舞い上がると、遠心分離部を通過して電動送風機へ到達し、掃除機本体外へ流出する虞もある。
【0006】
そこで、本発明は、一旦捕集した塵埃を確実に蓄積して塵埃の流出を抑制可能な集塵性能の高い電気掃除機を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る電気掃除機は、旋回流を生じて空気と塵埃とを分離する中空な略円錐台形状の遠心分離部と、前記遠心分離部の中心線に交差する方向へ離間して位置し前記塵埃を捕集し蓄積する着脱自在な集塵部と、前記遠心分離部の2つの底面のうち面積が小さい方の底面と前記集塵部とを接続して前記遠心分離部から前記集塵部へ塵埃を導く往路管と、前記遠心分離部中心線の延長線上にあり前記往路管の管壁に開口する復路口と前記集塵部とを接続して前記集塵部から前記遠心分離部へ空気を戻す復路管と、前記復路口に向き合い前記遠心分離部の2つの底面のうち面積が大きい方の底面の略中央に開口する分離部出口に接続する排気管と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気掃除機を示す斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る電気掃除機の塵埃分離集塵部を模式的に示す斜視図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る電気掃除機の塵埃分離集塵部を模式的に示す斜視断面図。
【図4】本発明の第2実施形態に係る電気掃除機を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る電気掃除機の細塵分離集塵部を模式的に示す斜視図。
【図6】本発明の第2実施形態に係る電気掃除機の細塵分離集塵部を模式的に示す斜視断面図。
【図7】本発明の第2実施形態に係る電気掃除機の細塵分離集塵部の他の例を模式的に示す斜視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る電気掃除機の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
本発明に係る電気掃除機の第1実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気掃除機を示す斜視図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機である。電気掃除機1は、被掃除面上を走行可能な掃除機本体2と、掃除機本体2に着脱自在に接続可能な管部3と、を備える。
【0013】
掃除機本体2は、本体ケース5と、本体ケース5の両側方にそれぞれ位置する一対の車輪6と、本体ケース5の前半部に位置する着脱自在な塵埃分離集塵部7と、本体ケース5の後半部に位置する電動送風機8と、主に電動送風機8の運転を制御する本体制御部9と、電動送風機8に電力を導く電源コード11と、を備える。
【0014】
本体ケース5は、塵埃分離集塵部7に接続可能な本体接続口12を有する。本体接続口12は、掃除機本体2の流体的な入口である。
【0015】
車輪6は、大径の走行輪である。
【0016】
塵埃分離集塵部7は、電動送風機8の運転にともない発生する負圧によって掃除機本体2が吸い込む塵埃を含んだ空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)を空気と塵埃とに分離し、捕集し、蓄積する。
【0017】
本体制御部9は、予め設定する複数の運転モードを有する。また、本体制御部9は、管部3から操作信号を読み取り、予め設定された複数の運転モードから操作信号に対応する任意の運転モードを択一的に選択し、選択した運転モードにしたがって電動送風機8を運転する。予め設定された複数の運転モードは、各々、管部3から読み取る操作信号に対応付けて互いに異なる入力値(電動送風機8の入力値)を有する。
【0018】
電源コード11は、自由端部に電源プラグ14を備える。
【0019】
管部3は、電動送風機8の運転にともない掃除機本体2から作用する負圧によって、被掃除面から含塵空気を吸い込み掃除機本体2に案内する。管部3は、掃除機本体2に着脱自在に接続可能な継手としての接続管19と、接続管19に流体的に接続する集塵ホース21と、集塵ホース21に流体的に接続する手元操作管22と、手元操作管22から突出する把持部23と、把持部23に位置する操作部24と、手元操作管22に着脱自在に接続可能な延長管25と、延長管25に着脱自在に接続可能な吸込口体26と、を備える。
【0020】
接続管19は、本体接続口12を介して塵埃分離集塵部7に流体的に接続する。
【0021】
集塵ホース21は、長尺で可撓な略円筒形状のホースである。集塵ホース21の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、接続管19に接続する。集塵ホース21は、接続管19を介して塵埃分離集塵部7に流体的に接続する。
【0022】
手元操作管22は、集塵ホース21と延長管25との間に介在する。手元操作管22の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、集塵ホース21の他方の端部(ここでは、前方の端部)に接続する。手元操作管22は、集塵ホース21および接続管19を介して塵埃分離集塵部7に流体的に接続する。
【0023】
把持部23は、電気掃除機1を操作するために使用者が手で把持する部分である。把持部23は、使用者が容易に手で把持できるよう、手に合わせた適宜の形状を有して手元操作管22から突出する。
【0024】
操作部24は、それぞれの運転モードに対応するスイッチを備える。具体的には、操作部24は、電動送風機8の運転停止操作の入力を受け取る停止スイッチ24aと、電動送風機8の運転開始操作の入力を受け取る起動スイッチ24bと、を備える。操作部24は、起動スイッチ24bに代えて、弱運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)および強運転スイッチ(図示省略)を別個に備えていても良い。電気掃除機1の使用者は、操作部24を操作して電動送風機8の運転モードを択一的に選択する。
【0025】
延長管25は、伸縮可能な細長略円筒状の管である。延長管25は、複数の筒状体を重ね合わせたテレスコピック構造を有する。延長管25の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、手元操作管22の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在に接続する。延長管25は、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を介して塵埃分離集塵部7に流体的に接続する。
【0026】
吸込口体26は、延長管25の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在に接続する。また、吸込口体26は、木床やカーペットなどの被掃除面上を走行自在あるいは滑走自在な構造を有するとともに、走行状態において被掃除面に対向する底面に吸込口28を有する。さらに、吸込口体26は、吸込口28に位置して回転自在な回転清掃体29と、回転清掃体29を回転駆動する電動機31と、を備える。吸込口体26は、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を介して塵埃分離集塵部7に流体的に接続する。
【0027】
電気掃除機1は、起動スイッチ24bが運転開始操作を受け取ると電動送風機8の運転を開始して掃除機本体2の内部に負圧(吸込負圧)を発生する。電気掃除機1は、例えば電動送風機8が停止した状態で起動スイッチ24bに運転開始操作の入力を受け取ると、先ず電動送風機8を強運転モードで運転し、次いで起動スイッチ24bに運転開始操作の入力を受け取ると電動送風機8を中運転モードで運転し、さらに起動スイッチ24bに運転開始操作の入力を受け取ると電動送風機8を弱運転モードで運転し、以下繰り返す。強運転モード、中運転モードおよび弱運転モードは、予め設定された複数の運転モードである。強運転モード、中運転モード、弱運転モードの順に入力値が下がる。
【0028】
掃除機本体2の内部に生じた負圧は、本体接続口12から集塵ホース21と手元操作管22と延長管25とを経て吸込口体26の吸込口28に作用する。吸込口28に作用した負圧によって、電気掃除機1は、被掃除面に溜まった塵埃を空気とともに吸込口28から吸い込んで被掃除面を掃除する。電気掃除機1は、吸込口28に吸い込んだ含塵空気を塵埃分離集塵部7によって空気と塵埃とに分離する。電気掃除機1は、含塵空気から分離した塵埃を塵埃分離集塵部7に捕集し、蓄積する。他方、電気掃除機1は、含塵空気から分離した空気を塵埃分離集塵部7から電動送風機8へ吸い込んだ後、掃除機本体2から排気する。
【0029】
図2は、本発明の第1実施形態に係る電気掃除機の塵埃分離集塵部を模式的に示す斜視図である。
【0030】
図3は、本発明の第1実施形態に係る電気掃除機の塵埃分離集塵部を模式的に示す斜視断面図である。
【0031】
図2および図3に示すように、本実施形態に係る塵埃分離集塵部7は、塵埃空気を導く吸気管35と、旋回流SFを生じて含塵空気を空気と塵埃とに分離する中空な略円錐台形状の遠心分離部36と、遠心分離部36の中心線Cに交差する方向へ離間して位置し塵埃を捕集し、蓄積する着脱自在な集塵部37と、遠心分離部36の2つの底面のうち面積が小さい方の底面38と集塵部37とを接続して遠心分離部36から集塵部37へ塵埃を導く往路管41と、遠心分離部36中心線Cの延長線上にあり往路管41の管壁に開口する復路口42と集塵部37とを接続して集塵部37から遠心分離部36へ空気を戻す復路管43と、復路口42に向き合い遠心分離部36の2つの底面のうち面積が大きい方の底面45の略中央に開口する分離部出口46に接続する排気管47と、を備える。
【0032】
吸気管35は、掃除機本体2の本体接続口12に接続する管である。吸気管35は遠心分離部36の内周面に沿うように遠心分離部36内へ含塵空気を導き旋回流SFを生じる。
【0033】
遠心分離部36は、概ね中空な円錐台形状であり、より具体的には吸気管35および排気管47が接続する扁平な中空円筒形状部51と、中空円筒形状部51に連接して延びる中空円錐台形状部52と、を有する。中空円筒形状部51および中空円錐台形状部52は略同一線上に中心線Cを共有する。中空円錐台形状部52は中空円筒形状部51側から往路管41側へ向かって徐々に窄まる。遠心分離部36は、中心線Cを上下方向へ向け、上方に中空円筒形状部51を、下方に中空円錐台形状部52を配置するが、これに限らず中心線Cを任意の方向へ傾けていても良い。
【0034】
遠心分離部36は、吸気管35から流れ込む含塵空気の流れにらせん状の旋回流SFを生じる。旋回流SFは、遠心分離部36の底面45側から底面38側へ向かって旋回径を徐々に狭めて集まり、底面38と往路管41との接続口53から流出する。旋回流SFの旋回径は接続口53付近で最も小さくなる。
【0035】
往路管41および復路管43は、復路口42を有する隔壁55を共有して一体に延びる連絡管56である。連絡管56は、一体成形品であっても良いし、往路管41および復路管43を別々に成形して組み合わせても良い。往路管41および復路管43は、連絡管56全体として底面38に接続して遠心分離部36の中心線Cに交差する方向へ延び、遠心分離部36と集塵部37とを遠ざけて、集塵部37内に捕集し、蓄積する塵埃が旋回流SFによって舞い上がり、遠心分離部36へ逆流してしまうことを防ぐ。
【0036】
なお、往路管41および復路管43は、隔壁55を共有せず、それぞれ独立な管であっても良い。
【0037】
集塵部37は、遠心分離部36が分離し往路管41が案内する塵埃を捕集し、蓄積する容器である。集塵部37は、蓄積する塵埃を容易に廃棄可能にするため、掃除機本体2に着脱することが可能である。集塵部37は、往路管41から復路管43へ向かう空気の流れを内部に生じることからこの流れによる塵埃の逆流を防止するために、往路管41および復路管43を容器の上面に併設して接続し、両管41、43間の空気の流れを極力集塵部の上半部に集中しつつ、往路管41から流れ込む塵埃を容器の底部に溜めて塵埃の舞い上がりを防ぐ。なお、集塵部37は、往路管41および復路管43が少なくとも容器の上半部に接続することが好ましい。
【0038】
往路管41は、旋回流SFの影響を減じる程度の流路長さを有する管である。
【0039】
そして、往路管41および集塵部37の流路断面積は、往路管41の流路断面積よりも集塵部37の流路断面積の方が大きい関係にある。
【0040】
また、集塵部37と復路管43との接続口57および集塵部37の流路断面積は、接続口57の流路断面積よりも集塵部37の流路断面積の方が大きい関係にある。この流路断面積の関係は、往路管41内で旋回流SFの影響を減じた塵埃と空気との流れを集塵部37に至る過程で十分に減速し、さらに集塵部37から復路管43へ流れ込む空気の流れを抑制して集塵部37内の静圧を高め、集塵部37内の塵埃が復路管43、ひいては遠心分離部36へ逆流することを防ぐ。
【0041】
復路口42の周縁部分は、遠心分離部36に近づくに従い縮径する漏斗形状に隆起58する。復路口42は復路管43から遠心分離部36へ戻り、旋回流SFの中心線C近傍を分離部出口46へと直線的に貫き通る排気流EFを生む。そこで、隆起58は、接続口53から往路管41へ流れ込む旋回流SFと排気流EFとを縁切り、混ざり合うことを防ぐ。なお、復路口42の周縁部分が隆起58のない平坦なものであっても旋回流SFと排気流EFとの流れの分断は可能であるところ、隆起58は旋回流SFと排気流EFとをより確実に分断するものである。
【0042】
排気管47は、分離部出口46に接続して遠心分離部36内、特に中空円筒形状部51内に延びて旋回流SFの発生を促す。
【0043】
このような構成を有する塵埃分離集塵部7内の含塵空気は、次のように流れる。先ず、掃除機本体2に流れ込んだ含塵空気は、吸気管35から遠心分離部36へ流れ込む。遠心分離部36に流れ込んだ含塵空気は、遠心分離部36の内周面に沿って旋回流SFを生じつつ塵埃と空気とに別れる。分離した塵埃は、旋回流SFから得た慣性力によって接続口53へ集まり、往路管41へ流れ込む。他方、分離した空気の一部は排気流EFに合流して排気管47へ流れ込む。往路管41に流れ込んだ塵埃は、空気の他部とともに旋回流SFの影響を徐々に減じつつ往路管41を進み、集塵部37へ流れ込む。集塵部37へ流れ込んだ塵埃は、接続口57、往路管41および集塵部37の流路断面積の差から集塵部37内で十分に減速して集塵部37の底部に降り積もるようにして溜まる。他方、塵埃とともに集塵部37へ流れ込んだ空気は、流れの方向を変えて復路管43へ流れ込む。復路管43へ流れ込んだ空気は、復路口42から遠心分離部36へと流れ込み排気流EFとなって旋回流SFの中心線C近傍を貫きつつ分離部出口46に向かって流れ、遠心分離部36で分離した空気と合流しつつ排気管47へ流れ込む。
【0044】
このように本実施形態に係る電気掃除機1は、往路管41および復路管43を介在することによって遠心分離部36と集塵部37とを離間して配置し、集塵部37に対する旋回流SFの影響を抑制し、集塵部37が蓄積する塵埃が舞い上がって逆流することを防ぐことができる。
【0045】
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、往路管41および復路管43を介在することによって旋回流SFに過渡的な変動を生じても、この過渡的な変動が集塵部37に伝播することを防ぎ、集塵部37が蓄積する塵埃が舞い上がって逆流することを防ぐことができる。
【0046】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1は、往路管41および復路管43を介在することによって集塵部37内の静圧を高めつつ、旋回流SFおよび排気流EFにほとんど影響を生じることなく塵埃を蓄積することができる。このことによって、電気掃除機1は、集塵部37が蓄積する塵埃が舞い上がって逆流することをより確実に防ぐことができる。
【0047】
[第2の実施形態]
本発明に係る電気掃除機の第2実施形態について、図4から図7を参照して説明する。
【0048】
図4は、本発明の第2実施形態に係る電気掃除機を示す斜視図である。
【0049】
本実施形態に係る電気掃除機1Aにおいて第1実施形態の電気掃除機1と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0050】
図4に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1Aは、塵埃分離集塵部7Aを備える。
【0051】
塵埃分離集塵部7Aは、含塵空気から粗塵を分離し、捕集し、蓄積する粗塵分離集塵部61と、粗塵分離集塵部61と遠心分離部36とを接続して粗塵分離集塵部61を通過する細塵を遠心分離部36へ導く細塵案内管62と、を備える。また、塵埃分離集塵部7Aは、複数の遠心分離部36を備える。塵埃分離集塵部7Aは、粗塵分離集塵部61によって、もっぱら寸法の比較的大きい繊維状の塵埃や、砂粒程度に大きい粒子状の塵埃などの塵埃である粗塵を含塵空気から分離し、捕集し、蓄積する。また、塵埃分離集塵部7Aは、遠心分離部36によって、粉末状の塵埃などの塵埃である細塵を含塵空気から分離し、集塵部37で捕集し、蓄積する。すなわち、本実施形態に係る遠心分離部36および集塵部37は、含塵空気から細塵を分離し、捕集し、蓄積する細塵分離集塵部63として機能する。
【0052】
粗塵分離集塵部61は、遠心分離方式で粗塵と空気とを分離するものであっても良いし、所謂紙パックなどの濾過分離方式で粗塵と空気とを分離するものであっても良い。
【0053】
具体的には、遠心分離方式の場合、粗塵分離集塵部61は、本体接続口12に接続する円筒形状の容器65内に旋回流を生じて含塵空気から粗塵を分離し、粗塵を容器65の底部に蓄積するとともに細塵を含む空気を細塵案内管62へ排気する。
【0054】
他方、濾過分離方式の場合、粗塵分離集塵部61は、本体接続口12に接続する円筒形状の容器65内で含塵空気から粗塵を濾過分離し、粗塵を容器65内に蓄積するとともに細塵を含む空気を細塵案内管62へ排気する。
【0055】
図5は、本発明の第2実施形態に係る電気掃除機の細塵分離集塵部を模式的に示す斜視図である。
【0056】
図6は、本発明の第2実施形態に係る電気掃除機の細塵分離集塵部を模式的に示す斜視断面図である。
【0057】
図5および図6に示すように、本実施形態に係る細塵分離集塵部63は、並列に接続する複数、例えば3つの遠心分離部36a、36b、36cを備える。それぞれの遠心分離部36a、36b、36cは、中心線Cを略平行にして一列に整列するが、これに限らず中心線Cを互いに異なる方向へ向けて複数列に整列しても良く、密集していても良い。
【0058】
細塵案内管62は、分岐管62a、62bおよび端末62cによってそれぞれの遠心分離部36a、36b、36cに接続し、各遠心分離部36a、36b、36cへ細塵を含んだ空気を案内する。分岐管62a、62bおよび端末62cは各遠心分離部36a、36b、36cの内周面に沿うように遠心分離部36a、36b、36c内へ細塵を含んだ空気を導き旋回流SFを生じる。
【0059】
往路管41Aおよび復路管43Aは、復路口42a、42b、42cを有する隔壁55Aを共有して一体に延びる連絡管56Aである。連絡管56Aは、一体成形品であっても良いし、往路管41Aおよび復路管43Aを別々に成形して組み合わせても良い。往路管41Aおよび復路管43Aは、連絡管56A全体として各遠心分離部36a、36b、36cの底面38に接続して各遠心分離部36a、36b、36cの中心線Cに交差する方向へ延び、遠心分離部36a、36b、36cと集塵部37とを遠ざけて、集塵部37内に捕集し、蓄積する細塵が旋回流SFによって舞い上がり、遠心分離部36a、36b、36cへ逆流してしまうことを防ぐ。
【0060】
なお、往路管41Aおよび復路管43Aは、隔壁55Aを共有せず、それぞれ独立な管であっても良い。
【0061】
往路管41Aは、旋回流SFの影響を減じる程度の流路長さを有する管である。
【0062】
そして、往路管41Aおよび集塵部37Aの流路断面積は、往路管41Aの流路断面積よりも集塵部37の流路断面積の方が大きい関係にある。
【0063】
また、集塵部37と復路管43Aとの接続口57および集塵部37の流路断面積は、接続口57の流路断面積よりも集塵部37の流路断面積の方が大きい関係にある。この流路断面積の関係は、往路管41A内で旋回流SFの影響を減じた細塵と空気との流れを集塵部37に至る過程で十分に減速し、さらに集塵部37から復路管43Aへ流れ込む空気の流れを抑制して集塵部37内の静圧を高め、集塵部37内の細塵が復路管43A、ひいては遠心分離部36a、36b、36cへ逆流することを防ぐ。
【0064】
それぞれの復路口42a、42b、42cの周縁部分は、遠心分離部36a、36b、36cに近づくに従い縮径する漏斗形状に隆起58する。復路口42a、42b、42cは復路管43から遠心分離部a、36b、36cへ戻り、旋回流SFの中心線C近傍を分離部出口46a、46b、46cへと直線的に貫き通る排気流EFを生む。そこで、隆起58は、接続口53から往路管41Aへ流れ込む旋回流SFと排気流EFとを縁切り、混ざり合うことを防ぐ。なお、復路口42a、42b、42cの周縁部分が隆起58のない平坦なものであっても旋回流SFと排気流EFとの流れの分断は可能であるところ、隆起58は旋回流SFと排気流EFとをより確実に分断するものである。
【0065】
排気管47Aは、それぞれの復路口42a、42b、42cに向き合い遠心分離部36a、36b、36cの2つの底面のうち面積が大きい方の底面45の略中央に開口する複数の分離部出口46a、46b、46cに接続する先端47aおよび分岐管47b、47cを有する。先端47aおよび分岐管47b、47cは、各分離部出口46a、46b、46cに接続して遠心分離部36a、36b、36c内、特に中空円筒形状部51内に延びて旋回流SFの発生を促す。
【0066】
このような構成を有する細塵分離集塵部63内で細塵を含んだ空気は、次のように流れる。先ず、細塵を含んだ空気は、細塵案内管62から各遠心分離部36a、36b、36cへ流れ込む。各遠心分離部36a、36b、36cに流れ込んだ含塵空気は、各遠心分離部36a、36b、36cの内周面に沿って旋回流SFを生じつつ細塵と空気とに別れる。分離した細塵は、旋回流SFから得た慣性力によって接続口53へ集まり、往路管41Aへ流れ込む。他方、分離した空気の一部は排気流EFに合流して排気管47Aへ流れ込む。往路管41Aに流れ込んだ塵埃は、空気の他部とともに旋回流SFの影響を徐々に減じつつ往路管41Aを進み、集塵部37へ流れ込む。集塵部37へ流れ込んだ細塵は、接続口57、往路管41Aおよび集塵部37の流路断面積の差から集塵部37内で十分に減速して集塵部37の底部に降り積もるようにして溜まる。他方、細塵とともに集塵部37へ流れ込んだ空気は、流れの方向を変えて復路管43Aへ流れ込む。復路管43Aへ流れ込んだ空気は、各遠心分離部36a、36b、36c復路口42a、42b、42cから遠心分離部36へと流れ込み排気流EFとなって旋回流SFの中心線C近傍を貫きつつ各分離部出口46a、46b、46cに向かって流れ、遠心分離部36で分離した空気と合流しつつ排気管47Aへ流れ込む。
【0067】
図7は、本発明の第2実施形態に係る電気掃除機の細塵分離集塵部の他の例を模式的に示す斜視断面図である。
【0068】
図7に示すように、本実施形態に係る細塵分離集塵部63Bの復路管43Bは、遠心分離部36a、36b、36cのいずれか1つへ空気を戻す。なお、復路管43Bは、いずれの遠心分離部36a、36b、36cに接続しても良いが、本実施形態の復路管43Bは、集塵部37から最も遠方にある遠心分離部36cに復路口42を介して接続し、遠心分離部36cへ空気を戻す。この場合、復路口42および分離部出口46は遠心分離部36cに集中的に位置し、排気管47は遠心分離部36cの底面45に接続する。
【0069】
このように本実施形態に係る電気掃除機1Aは、往路管41Aおよび復路管43A、43Bを介在することによって遠心分離部36a、36b、36cと集塵部37とを離間して配置し、集塵部37に対する旋回流SFの影響を抑制し、集塵部37が蓄積する塵埃が舞い上がって逆流することを防ぐことができる。
【0070】
また、本実施形態に係る電気掃除機1Aは、往路管41Aおよび復路管43A、43Bを介在することによって旋回流SFに過渡的な変動を生じても、この過渡的な変動が集塵部37に伝播することを防ぎ、集塵部37が蓄積する塵埃が舞い上がって逆流することを防ぐことができる。
【0071】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1Aは、往路管41Aおよび復路管43A、43Bを介在することによって集塵部37内の静圧を高めつつ、旋回流SFおよび排気流EFにほとんど影響を生じることなく塵埃を蓄積することができる。このことによって、電気掃除機1Aは、集塵部37が蓄積する塵埃が舞い上がって逆流することをより確実に防ぐことができる。
【0072】
さらにまた、本実施形態に係る電気掃除機1Aは、複数の遠心分離部36a、36b、36cのうち1つの遠心分離部36cに集中して排気管47を接続することによって、遠心分離部36a、36bの旋回流SFから排気流EFを分断し、特に過渡期における未発達な旋回流SFから排気流EFへ細塵が混入する経路を減じて分離性能を向上できる。
【0073】
したがって、本実施形態に係る電気掃除機1、1Aによれば、一旦捕集した塵埃を確実に蓄積して塵埃の流出を抑制可能であり集塵性能を高めることができる。
【0074】
なお、本実施形態に係る電気掃除機1、1Aは、キャニスタ型のものに限らず、アップライト型、スティック型、あるいはハンディ型などのものであってもよい。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1、1A 電気掃除機
2 掃除機本体
3 管部
5 本体ケース
6 車輪
7、7A 塵埃分離集塵部
8 電動送風機
9 本体制御部
11 電源コード
12 本体接続口
14 電源プラグ
19 接続管
21 集塵ホース
22 手元操作管
23 把持部
24 操作部
24a 停止スイッチ
24b 起動スイッチ
25 延長管
26 吸込口体
28 吸込口
29 回転清掃体
31 電動機
35 吸気管
36、36a、36b、36c 遠心分離部
37、37A 集塵部
38 底面
41、41A 往路管
42、42a、42b、42c 復路口
43、43A、43B 復路管
45 底面
46、46a、46b、46c 分離部出口
47、47A 排気管
47a 先端
47b、47c 分岐管
51 中空円筒形状部
52 中空円錐台形状部
53 接続口
55、55A 隔壁
56、56A 連絡管
57 接続口
58 隆起
61 粗塵分離集塵部
62 細塵案内管
62a、62b 分岐管
62c 端末
63、63B 細塵分離集塵部
65 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回流を生じて空気と塵埃とを分離する中空な略円錐台形状の遠心分離部と、
前記遠心分離部の中心線に交差する方向へ離間して位置し前記塵埃を捕集し蓄積する着脱自在な集塵部と、
前記遠心分離部の2つの底面のうち面積が小さい方の底面と前記集塵部とを接続して前記遠心分離部から前記集塵部へ塵埃を導く往路管と、
前記遠心分離部中心線の延長線上にあり前記往路管の管壁に開口する復路口と前記集塵部とを接続して前記集塵部から前記遠心分離部へ空気を戻す復路管と、
前記復路口に向き合い前記遠心分離部の2つの底面のうち面積が大きい方の底面の略中央に開口する分離部出口に接続する排気管と、を備えることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記往路管および前記復路管は、前記復路口を有する隔壁を共有して一体に延びる連絡管であることを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記復路口の周縁部分は、前記遠心分離部に近づくに従い縮径する漏斗形状に隆起することを特徴とする請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記往路管の流路断面積よりも前記集塵部の流路断面積の方が大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記集塵部と前記復路管との接続口の流路断面積よりも前記集塵部の流路断面積の方が大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
空気と粗塵とを分離し前記粗塵を捕集し蓄積する粗塵分離集塵部と、
前記粗塵分離集塵部と前記遠心分離部とを接続して前記粗塵分離集塵部を通過する細塵を前記遠心分離部へ導く細塵案内管と、を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
複数の前記遠心分離部を備え、
前記復路管は、前記遠心分離部のいずれか1つへ空気を戻すことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記往路管は、複数の前記遠心分離部に接続し、
前記復路管は、前記集塵部から最も遠方にある前記遠心分離部へ空気を戻すことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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