説明

電気機器収納用箱の基台構造

【課題】床面への固定作業が容易であり、人がつまずく恐れの無い電気機器収納用箱を提供する。
【解決手段】内部に電気機器を収納する電気機器収納用箱本体10が載置され、床面に固定される基台20であって、基台本体21と、基台本体21の内部に取り付けられたアンカー取付部材22とから構成され、基台本体21は、電気機器収納用箱本体10が載置される載置板部21aと、載置板部21aの前後端もしくは左右端からそれぞれ垂下形成された垂下部21b、21fから構成され、下部を形成した端部とは異なる端部に開口が形成され、アンカー取付部材22は、アンカー取付部22dが形成された底板部22aと、底板部22aの基端から上方に立ち上がり形成された内板部を有し、内板部が開口の奥側を向いて、開口21hから基台本体21の内部に収納されて取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器収納用箱本体が搭載される基台の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気機器収納用箱が搭載され、この電気機器収納用箱を床面に設置するための基台が有る。この基台の構造としては、従来、特許文献1に示されるように、複数のアングル材やチャンネル材を組み合わせて構成したフレーム構造のものが多い。このようなフレーム構造の基台では、アンカー取付部は、基台の内部に形成されているか、基台の外側に突出形成されている。アンカー取付部が基台の内部に形成されている場合には、作業者は、基台の内側から手や工具を入れて、アンカー取付部にアンカーを取り付けるので、床面への固定作業の作業性が悪いという問題があった。一方で、アンカー取付部が基台の外側に形成されている場合には、アンカー取付部やアンカーが基台から外部に露出しているので、見た目が悪いだけでなく、人がアンカー取付部やアンカーにつまずいてしまう恐れがあった。また、フレーム構造の基台では、載置される電気機器収納用箱の幅に対して幅を大きくすることができず、電気機器収納用箱の重心が高い場合には、電気機器収納用箱を安定的に床面に固定させることができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−332772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題を解決し、床面への固定作業が容易であり、人がつまずく恐れの無い電気機器収納用箱の基台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、
その内部に電気機器を収納する電気機器収納用箱本体が載置された状態で取り付けられ、床面に固定される基台の構造であって、
基台本体と、この基台本体の内部に取り付けられたアンカー取付部材とから構成され、
前記基台本体は、前記電気機器収納用箱本体が載置された状態で取り付けられる載置板部と、この載置板部の前後端もしくは左右端からそれぞれ垂下形成された垂下部とから構成され、垂下部を形成した端部とは異なる端部に開口が形成され、
前記アンカー取付部材は、アンカー取付部が形成された底板部と、この底板部の基端から上方に立ち上がり形成された内板部を有し、前記内板部が前記開口の奥側を向いて、前記開口から前記基台本体の内部に収納されて取り付けられていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記載置板部には、ケーブル用開口が形成され、
前記内板部にはケーブルを保持させるケーブル保持部が前記開口から前記基台本体の内部に収納されて設けられ、
ケーブルが前記ケーブル用開口を挿通し、前記ケーブル保持部で保持されて、前記電気機収納用箱本体内に入線されるように構成されていることを特徴とする。
これにより、ケーブル保持部が基台の外部に露出することが無いので、基台の美観が良好となる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、
前記電気機器収納用箱本体よりも幅広であることを特徴とする。
これにより、電気機器収納用箱を床面に安定させて固定させることが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電気機器収納用箱本体が載置された状態で取り付けられる基台は、基台本体と、この基台本体の内部に取り付けられたアンカー取付部材とから構成され、前記基台本体は、前記電気機器収納用箱本体が載置された状態で取り付けられる載置板部と、この載置板部の前後端もしくは左右端からそれぞれ垂下形成された垂下部から構成され、垂下部を形成した端部とは異なる端部に開口が形成され、前記アンカー取付部材は、アンカー取付部が形成された底板部と、この底板部の基端から上方に立ち上がり形成された内板部を有し、前記内板部が前記開口の奥側を向いて、前記開口から前記基台本体の内部に収納されて取り付けられていることを特徴とする。
これにより、作業者は前記開口から、手や工具を入れて、アンカーを床面に固着させることができ、電気機器収納用箱の床面への固定作業が容易である。また、アンカー取付部が、基台の内部に形成されているので、アンカー取付部やアンカーが基台から外部に露出することなく、見た目も美麗であり、人がアンカー取付部やアンカーにつまずいてしまう恐れも無い。
また、底板部の基端から上方に立ち上がり形成された内板部が、前記載置板部に作用する加重を支持するので、基台本体の圧壊が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電気機器収納用箱の斜視図である。
【図2】電気機器収納用箱の分解斜視図である。
【図3】基台本体の斜視図である。
【図4】基台の斜視図である。
【図5】基台の断面図である。
【図6】床面に固定された状態の基台の断面図である。
【図7】他の実施形態の基台の分解斜視図である。
【図8】他の実施形態の基台の断面図である。
【図9】他の実施形態の補強板の取付状態を示す斜視図である。
【図10】基台の他の補強構造を示す斜視図である。
【図11】基台の他の補強構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施の形態を示す。図1に示されるように、電気機器収納用箱100は、電気機器収納用箱本体10と、基台20とから構成されている。電気機器収納用箱本体10の内部に収納される電気機器としては、例えば、配電盤、制御盤、電気自動車用充電装置等が含まれる。基台20には、電気機器収納用箱本体10が載置された状態で取り付けられる。基台20は、後述するように、アンカー200(図6に示す)により床面999に固定される。以下、詳細に基台20について説明する。
【0011】
図4に示されるように、本発明の基台20は、基台本体21とアンカー取付部材22とから構成されている。基台本体21は、図3に示されるように、鋼板等の金属板の前後端を下方に折り曲げて形成したものであり、水平方向に形成された載置板部21aと、この載置板部21aの前後端からそれぞれ垂下形成された垂下部である前板部21b及び後板部21fから構成され、断面形状が略コ字形状となっている。本実施形態では、垂下部である前板部21b及び後板部21fの下端には、それぞれ内側に水平方向に折り曲げられた接続部21c、接続部21gが形成されている。図3に示されるように、基台本体21の両側端には、載置板部21a、前板部21b、及び、後板部21fにより囲まれた開口21hが形成されている。なお、本実施形態では載置板部21aの前後の端部より垂下形成された前板部21b及び後板部21fにおいて説明するが、前後に限定するものではなく、左右側に垂下部を形成し、垂下部を形成した端部とは異なる前後端部側に開口21hを形成するものであって良いものである。
【0012】
図4に示されるように、載置板部21aの中央部には、十字のケーブル用開口21dが連通形成されている。また、載置板部21aのケーブル用開口21dの周囲には、電気機器収納用箱本体取付孔21eが形成されている。基台20を床面999に取り付けた後に、基台20上に電気機器収納用箱本体10を取り付ける。詳しくは、電気機器収納用箱本体10は、載置板部21aに載置された状態で、電気機器収納用箱本体取付孔21eにネジ止めされて基台20に取り付けられる。なお、電気機器収納用箱本体10が基台20に取り付けられた状態では、ケーブル用開口21dと電気機器収納用箱10の内部とは連通している。
【0013】
アンカー取付部材22は、図5に示されるように、鋼板等の金属板の両端を同一方向に折り曲げて形成した断面形状がコ字形状のチャンネル材であり、水平方向に形成された底板部22aと、この底板部22aの基端から上方に立ち上がり形成された内板部22bと、この内板部22bの上端から、水平方向に底板部22aと対向するように形成された上板部22cとから構成されている。アンカー取付部材22は、内板部22bが基台本体21の開口21hの奥側を向いて、開口21hから基台本体21の内部に収納されている。そして、底板部22aの両端が接続部21c及び接続部21gに溶接され、上板部22cの先端縁が載置板部21aの側縁に溶接されて、アンカー取付部材22が基台本体21の内部に取り付けられている。
【0014】
図4や図5に示されるように、底板部22a、内板部22b、上板部22cにより囲まれる空間は、窪み空間22fとなっていて、この窪み空間22fは外部に開放している。
図4や図5に示されるように、底板部22aには、アンカー取付部22dが形成されている。本実施形態では、アンカー取付部22dは、底板部22aに連通形成された孔状である。また、内板部22bは原則的にはケーブル用の挿通孔を形成しておらず、必要に応じて図6に示されるように、内板部22bにケーブル挿通孔22eを連通形成させたり、又は、ノックアウト形状にしているものである。このような構造とすることにより、既に床面999に土台がすでに形成され、ケーブル800やケーブル800を導入するダクト等を通過させるために床面999を掘り返して、ダクト等を通すための孔を形成するなど作業が困難となる場合には、アンカー取付部材22の内板部22bの任意の位置にケーブル挿通孔22eを形成することにより、床面999上に無駄な工事を行わなくても入線作業が出来るものである。
【0015】
以上説明した実施形態では、図4に示されるように、アンカー取付部材22は断面形状がコ字形状であるが、水平方向に形成された底板部22aと、この底板部22aの基端から上方に立ち上がり形成された内板部22bとから構成された断面形状がL字形状のアンカー取付部22であっても差し支え無い。この実施形態の場合には、内板部22bの上端は、基台本体21の載置板部21aと当接し、基台本体21に作用する加重が、内板部22bに作用し、アンカー取付部材22で支持される。
【0016】
次に、電気機器収納用箱100の床面999への固定方法について説明する。基台20を床面999上の設置場所に載置させた後に、作業者は、窪み空間22fから手や工具を入れて、アンカー200をアンカー取付部22dに挿通させて床面999に固着させる。このように、本発明では、アンカー取付部22dが基台本体21の内部に形成され、詳しくは基台本体21の載置板部21aの端面より内部に形成され、アンカー取付部22dやアンカー200が基台20から外部に露出していないので、見た目も美麗であり、人がアンカー取付部22dやアンカー200につまずいてしまう恐れも無い。また、基台20に窪み空間22fが形成されているので、作業者は窪み空間22fから、手や工具を入れて、アンカー200を床面999に固着させることができ、基台20の床面999への固定作業が容易である。基台20を固定した後、載置板部21a上に電気機器収納用箱本体10を取り付けるものである。
【0017】
図6に示されるように、上板部22c上に載置板部21aが載置されているので、載置板部21aに作用する電気機器収納用箱本体10の荷重が、上板部22cから内板部22bに作用し、アンカー取付部材22で支持される。このように、載置板部21aに作用する荷重が、アンカー取付部材22で支持されるので、基台本体21の圧壊が防止される。
【0018】
図6はアンカー取付部材22にケーブル挿通孔22eを形成させた構造である。ケーブル800を内板部22bに形成したケーブル挿通孔22eとケーブル開口部21dに挿通させて、電気機器収納用箱本体10内に入線させることができる。図6に示されるように、ケーブル挿通孔22eにはケーブル保持部810が取り付けられて、ケーブル800がケーブル保持部810で保持される。ケーブル800は、窪み空間22fから、外部に出線される。なお、ケーブル保持部810を、ケーブルの端部が着脱自在に接続されるケーブルコネクタとしても差し支え無い。なお、ケーブル800には、電力供給用の電線や、光ケーブル等の通信線が含まれる。このようなケーブル保持部810においてもアンカー取付部22dと同様に基台本体21の載置板部21aの端部より内部に形成されることが望ましい。
【0019】
本発明では、金属板材を折曲形成することにより基台本体21を構成しているので、任意の幅の基台20を製作することができる。このため、図1に示されるように、電気機器収納用箱本体10の幅寸法よりも、大きい幅寸法の基台20を製作し、当該基台20上に電気機器収納用箱本体10を取り付けることができるので、電気機器収納用箱本体10の重心が高い位置にある場合であっても、電気機器収納用箱100を安定させて床面999に固定させることが可能となる。また、任意の大きさの基台20を製作することができるので、十分な大きさの窪み空間22fを形成することができる。このため、作業者が窪み空間22fから、手や工具を入れることが容易となる。また、ケーブル保持部810を収容するスペースを確保することができる。よって、電気機器収納用箱100内に入線させるケーブル800のスペースが狭まることなく利用することができるものである。
【0020】
図7、図8に別の実施形態を示した図を示す。図7は別の実施形態の分解斜視図を示したものである。基台本体21の形状は上記構造と同じであるが、フレーム体のアンカー取付部材32は内板部32bの上端部より載置板部21aのケーブル用開口21d側に向けて折曲形成した上板部32c、内板部32bの下端部より上板部32c側とは反対方向に折曲形成した底板部32aからなるクランク状に形成してある。
【0021】
クランク状に形成したアンカー取付部材32の上板部32cはケーブル用開口21dに対応した位置に切欠部32g、電気機器収納用箱本体取付孔21eに対応した位置にケーブル挿通孔32eを形成し、更に、図8に示すように上板部32cの電気機器収納用箱本体取付孔21eに対応する位置の底面側にナット部40が形成してあり、電気機器収納用箱本体10の固定を行うことができる。なお、底板部32aの両端部にはアンカー取付部32dが形成している。
【0022】
取付においては図9に示すように、基台本体21とアンカー取付部材32の上板部32cは溶接を行ったとき、底板部32aは接続部21c及び接続部21gよりも基台本体21の板厚分だけ上方に形成している。次に、接続部21c及び接続部21gの間に、基台本体21の板厚と同じである帯体の補強板33を取り付けて、接続部21c及び接続部21g、底板部32、補強板33を溶接し固定するものである。
【0023】
このような構造にすることにより、接続部21c及び接続部21g、補強板33の底面がフラットに形成され、上板部32cが基台本体21の載置板部21aの特に電気機器収納用箱本体10の載置部の補強、補強板33により底板部32aの補強の役割を持ち、安定性が高く強固な基台の提供が可能である。
【0024】
また、以上説明した実施形態の他の補強方法として図10に示すように、底板部22aの両端と接続部21c及び接続部21g上に補強板34を配設して、底板部22aの両端と接続部21c及び接続部21gと前記補強板34とを溶接により接合する方法や、図11に示すように図4の基台20の底面に口形状の補強板35を溶接により接合して、基台20の下部の強度を向上させても差し支えない。
【0025】
以上、現時点において、もっとも実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気機器収納用箱の基台構造もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0026】
10 電気機器収納用箱本体
20 基台
21 基台本体
21a 載置板部
21b 前板部
21c 接続部
21d ケーブル用開口
21e 電気機器収納用箱本体取付孔
21f 後板部
21g 接続部
21h 開口
22 アンカー取付部材
22a 底板部
22b 内板部
22c 上板部
22d アンカー取付部
22e ケーブル挿通孔
22f 窪み空間
32 アンカー取付部材
32a 底板部
32b 内板部
32c 上板部
32d アンカー取付部
32e ケーブル挿通孔
32f 窪み空間
32g 切欠部
32h ナット部
33 補強板
33d アンカー取付部
34 補強板
35 補強板
100 電気機器収納用箱
200 アンカー
800 ケーブル
810 ケーブル保持部
999 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内部に電気機器を収納する電気機器収納用箱本体が載置された状態で取り付けられ、床面に固定される基台の構造であって、
基台本体と、この基台本体の内部に取り付けられたアンカー取付部材とから構成され、
前記基台本体は、前記電気機器収納用箱本体が載置された状態で取り付けられる載置板部と、この載置板部の前後端もしくは左右端からそれぞれ垂下形成された垂下部とから構成され、垂下部を形成した端部とは異なる端部に開口が形成され、
前記アンカー取付部材は、アンカー取付部が形成された底板部と、この底板部の基端から上方に立ち上がり形成された内板部を有し、前記内板部が前記開口の奥側を向いて、前記開口から前記基台本体の内部に収納されて取り付けられていることを特徴とする電気機器収納用箱の基台構造。
【請求項2】
前記載置板部には、ケーブル用開口が形成され、
前記内板部にはケーブルを保持させるケーブル保持部が前記開口から前記基台本体の内部に収納されて設けられ、
ケーブルが前記ケーブル用開口を挿通し、前記ケーブル保持部で保持されて、前記電気機収納用箱本体内に入線されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気機器収納用箱の基台構造。
【請求項3】
前記電気機器収納用箱本体よりも幅広であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気機器収納用箱の基台構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−204707(P2012−204707A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69162(P2011−69162)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000227401)日東工業株式会社 (374)
【Fターム(参考)】