説明

電気泳動方式の印刷機器において液体現像剤の移送を最適化する方法

【課題】電気泳動方式の印刷機器において液体現像剤の移送を最適化する方法を改良して、液体キャリア内で被印刷物へのトナー像の移送が行われるものを提供する。
【解決手段】中間像担持体1に印刷しようとする印刷像の電位像を形成し、電位像を少なくともトナーと液体キャリアとを含有する液体現像剤を用いて着色して、トナー像を形成し、トナー像を被印刷物7に転写し、その際、液体キャリア内に含有されたトナーを被印刷物7に移送し、現像ステーション5から転写ユニット6を介して転写域9に向かう移送経路の一部で、液体現像剤に作用する温度を選択して、液体現像剤に作用する温度を、転写域9に到達するまでに、液体キャリアの融点を上回るように調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動方式の印刷機器において液体現像剤の移送を最適化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な材料、たとえば紙または薄いプラスチックシートまたは金属箔から成る記録担体、たとえば枚葉シートまたは帯状の記録担体を単色刷りまたは多色刷りするために、中間像担持体(たとえば光導電体)上に像に従って電位像(静電潜像)を形成することが公知であり、電位像は、着色しようとする部分(画線部)と着色されない部分(非画線部)とから成る、印刷しようとする像に応じて形成される。電位像の着色部分は、現像ステーション(着色ステーション)によって中間像担持体上でトナーを用いてトナー像として可視化される。このようにして形成されるトナー像は、次いで、転写域において、被印刷物に転写され、そこで定着される。
【0003】
電位像を着色するために、少なくとも帯電されたトナーと液体キャリアとを含有する液体現像剤が用いられる。液体キャリアとして特に炭化水素が考えられる。
【0004】
デジタル方式の印刷システムにおけるこのような電気泳動方式の印刷に関する方法は、たとえば国際公開第2005/013013号パンフレット(米国特許出願公開第2006/0150836号明細書、ドイツ連邦共和国特許第102005055156号明細書)において公知である。印刷しようとする像の電位像が中間像担持体に形成されたあとで、電位像は、現像ステーションによって、トナーを用いて着色され、トナー像が形成される。したがってここでは液体現像剤として、着色粒子(トナー)の分散した、シリコーンオイルを含有する液体キャリアが用いられる。中間像担持体への液体現像剤の供給は、現像ローラによって行われ、現像ローラには、アニロックスローラによって液体現像剤が供給される。アニロックスローラには、チャンバドクタが配置されている。トナー像は、次いで、転写ユニットによって、中間像担持体から受け取られ、転写域で、被印刷物に転写される。
【0005】
液体現像剤を使用するこのような印刷法では、電気泳動の過程は、液体キャリア内のトナーを、移送ユニットを介して被印刷物まで移送するために用いられる。帯電されたトナーは、移送媒体としての液体キャリアによって、1つの移送ユニットから次の移送ユニットに移送され、その際、移送は、移送ユニットの間の電界によって制御することができる。液体キャリアから成る膜は、各移送ユニットの間の接触域(Nip)の後方で分割され、希釈されるので、トナーは、高い割合で目標−移送ユニットに堆積される。そのための前提として、トナー帯電および電界の他に、トナーを移送することができる十分な厚さの液体キャリア層の提供が挙げられる。移送ユニットとして、たとえば回転ローラを用いることができる。
【0006】
液体現像剤から成る膜の分割特性ならびに液体キャリア内のトナーの電気泳動による移行速度は、液体キャリアの物理特性、特に粘度に依存している。最適な粘度は、異なる転写ステップではそれぞれ異なっていてよい。電気泳動過程における現像ステーションから転写域までの液体現像剤の転移には、低い粘度の液体キャリアが要求される。なぜならばトナーをその都度目標−移送ユニットに向かって移送する必要があるという理由による。転写域において被印刷物にトナー像を転写する際に、比は異なっている。特にここで問題が生じる。被印刷物へのトナー像の転写は、被印刷物表面、たとえば紙の細孔および粗さによって影響を受ける。被印刷物に存在する細孔は、液体キャリアを、細孔の表面から被印刷物内に吸収し、その結果、被印刷物上のトナー像の付着性が低下する。被印刷物の表面の粗さにより、移送ユニット(転写ローラ)(この移送ユニットからトナー像が転写される)と被印刷物との間に空隙が生じる。これによって被印刷物上のトナー像の付着性が低下し、転写が困難になる。
【0007】
この問題を低減させる方法は、米国特許出願公開第5555185号明細書に従った融着転写法である。ここでは液体キャリアが、被印刷物にトナー像を転写する際に、もはや移送媒体として用いられない。その代わりにトナーは、移送ユニットに高温を用いることにより軟化され、圧力により被印刷物に密着される。これによって大きな付着力を有する、被印刷物とトナー像との間の共通の比較的大きな表面が形成される。この表面力によって、トナーは、液体キャリアが移送媒体として用いられないが、転写ユニットにおいて移送ユニットから被印刷物に転写される。
【0008】
米国特許公開第5998081号明細書において、電子写真方式の印刷機器における現像過程が公知である。現像ステーションに、現像剤(現像剤は室温では固定で存在する)が導入される。現像剤および現像剤中のキャリアは、25℃を上回る融点を有しており、室温は20℃〜25℃の範囲である。現像剤を液化するために、現像剤は、加熱する必要がある。加熱は、電位像を現像するまえに行う必要がある。電位像担持体上で電位像を現像してトナー像を形成したあとで、もはやトナー像の転写は液体キャリアでは行われない。被印刷物へのトナー像の転写は、液体キャリアではなく、圧力を用いて行われる。
【0009】
米国特許出願公開第5352557号明細書には、液体現像剤の構造が記載されており、液体キャリアは、特に定着時における環境汚染および発火危険性が抑制されるように、選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2005/013013号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0150836号明細書
【特許文献3】ドイツ連邦共和国特許第102005055156号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第5555185号明細書
【特許文献5】米国特許公開第5998081号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第5352557号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって本発明の課題は、デジタルで電気泳動方式の印刷機器を運転する方法を改良して、液体キャリア内で被印刷物へのトナー像の転写が行われるものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題を解決するために本発明の構成では、電気泳動方式の印刷機器において液体現像剤の移送を最適化する方法において、露光ヘッドによって、中間像担持体に、印刷しようとする印刷像の電位像を形成し、該電位像を、現像ステーションによって、少なくともトナーと液体キャリアとを含有する液体現像剤を用いて着色して、トナー像を形成し、トナー像を、転写ユニットを介して転写域で被印刷物に転写し、液体キャリア内に含有されたトナーを、移送ユニットによって、現像ステーションから中間像担持体と転写ユニットとを介して被印刷物に移送し、部分的に現像ステーションから転写ユニットを介して転写域に向かう移送経路上で、液体現像剤に作用する温度を選択し、それも、1つの移送ユニットから次の移送ユニットおよび被印刷物に液体現像剤を移行するために要求される液体キャリアの粘度がトナーの運動性に関して最適化されるように、選択し、液体現像剤に作用する温度を、転写域に到達するまで、液体キャリアの融点を上回るように調節し、被印刷物の温度を、該被印刷物が転写域に到達するまえに、液体キャリアの融点を下回るように調節するようにした。
【0013】
好適には、液体キャリアとして、大気圧で、0℃〜40℃の範囲にある融点を有する炭化水素を選択する。
【0014】
好適には、転写域への液体現像剤の移送を、室温で行い、室温を下回る融点を有する液体キャリアを選択し、現像ステーションから被印刷物までの移送経路上に、液体キャリア内のトナーを移送するために要求される低い粘度が存在するようにし、被印刷物が転写域に到達するまえに、該被印刷物を冷却し、被印刷物に移行する際に転写域における液体キャリアの粘度を高める。
【0015】
好適には、印刷機器の室温を上回る融点を有する液体キャリアを選択し、被印刷物に向かう移送経路上で液体現像剤を加熱し、現像ステーションから被印刷物に向かう移送経路上で、液体キャリア内のトナーを移送するために要求される低い粘度が存在するようにし、被印刷物が、転写域で室温にあり、被印刷物に液体現像剤を転写する際に、液体キャリアが転写にとって好適な高い粘度になるように調節する。
【発明の効果】
【0016】
本発明による、電気泳動方式の印刷機器において、移送ユニット(移送ユニットの間を通って液体現像剤がガイドされる)を用いて現像ステーションから被印刷物への液体現像剤の移送を最適化する方法では、液体現像剤を1つの移送ユニットから次の移送ユニットに移送させるために、部分的に、液体現像剤に作用する温度が選択され、それも、1つの搬送ユニットから次の搬送ユニットに液体現像剤を移行させるのに要求される液体キャリアの粘度が最適化されるように、選択される。さらに被印刷物にトナー像を転写する際に、液体キャリアの粘度が調節され、それも、液体キャリアが被印刷物に進入せず、被印刷物へのトナー像の転写が十分な液体キャリアで行うことができるように、調節される。
【0017】
本発明による印刷機器は、以下の利点を有している:
−トナーの電気泳動方式の移送に関する条件が維持される。
−液体キャリアの所要量が低減される。
−被印刷物に関するトナー像転写の依存性が低減される。
−室温における液体キャリアの揮発性が低減されるので、トナーの乾燥、液体キャリア蒸気の吸着を防止する措置ならびに沈積を防止する措置が省略される。
【0018】
融着転写法に対して以下の利点が得られる:
−高熱による、転写ユニット、たとえば転写ローラにおける移送ユニットの劣化が生じない。
−被印刷物の含有物による転写ローラの汚染が生じない。
−転写ローラ上の残像が簡単に除去される。
−保守に関する手間および材料コストが僅かである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電気泳動方式の印刷機器を示す概略図である。
【図2】本発明による印刷機器の第1の実施の形態を示す図である。
【図3】本発明による印刷機器の第2の実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を、図面を用いて具体的に説明する。
【0021】
図1には、電気泳動方式の印刷機器DSの構成要素を示す。印刷機器DSの構造および機能は、たとえば国際公開第2005/013013号パンフレットまたはドイツ連邦共和国特許公開第102005055156号明細書(米国特許出願公開第2006/0150836号明細書)から看取され、その開示内容は、援用することにより本発明に含まれるものとする。回転する中間像担持体1(図1では光導電体ドラム1)に沿って、再生露光器2、帯電ステーション3、露光ヘッド44、現像ステーション5、現像された電位像を記録担体7に転写するための転写ユニット6、および光導電体ドラム1をクリーニングするための構成要素8が配置されている。
【0022】
現像ステーション5は、液体現像剤の供給装置51と、現像ユニット52と、選択的にクリーニング装置53とを備えている。現像ユニット52は、回転する現像ローラまたは現像ベルトであってよく、現像ローラまたは現像ベルトは、中間像担持体1と接触した状態に配置されている。現像ローラ52によって、中間像担持体1上に配置された電位像が現像され、トナー像が形成される。このために少なくとも液体キャリアと帯電されたトナーとを含有する液体現像剤が用いられる。供給装置51は、着色ローラ510(着色ローラ510は液体現像剤を現像ローラ52に着ける)を備えることができ、着色ローラ510は、液体現像剤を、たとえばチャンバドクタ518(チャンバ方式の着色装置のドクタ)を介して、混合ユニット511からポンプ512を介して受け取り、余剰の液体現像剤を、ポンプ513を介して、再び混合ユニット511に供給する。クリーニング装置53は、クリーニングローラであってよく、クリーニングローラに、ドクタが当接しており、ドクタは、クリーニングローラによって現像ローラ52から除去された液体現像剤を掻き落として、混合ユニット511に供給する。転写ユニット6は、公知のように、転写ローラ61と圧胴62とを備えている。さらに転写ローラ61のためのクリーニング手段63を設けてもよい。
【0023】
液体現像剤を現像ステーション5から被印刷物7に移送するのに関与する移送ユニットは、たとえば現像ローラ52、中間像担持体1および転写ユニット6である。液体現像剤用の移送ユニットとして、回転ローラを用いることができ、つまり、たとえば現像ローラ520、光導電体ドラム1および転写ローラ61を用いることができる。転写ローラ61から、トナー像を備えた液体現像剤は、転写域9において、被印刷物7に転写される。本発明の以下の説明は、移送ユニットとして回転ローラを用いているが、本発明はこれに制限されるものではなく、移送ユニットとして、ベルトを用いてもよい。
【0024】
現像ローラ52から被印刷物7に液体現像剤を移送する際に、液体キャリア内でトナーは、1つの移送ユニットからべつの移送ユニットへ、転写域9まで移送され、転写域9では、トナー像は、液体キャリア内で、被印刷物7に転写される。その際、液体キャリアの粘度が重要であり、液体キャリアの粘度が低いほど、液体キャリア内でトナーは運動可能である。
【0025】
その際、特に被印刷物7へのトナー像の転写が問題である。なぜならばたとえば被印刷物における粗さまたは細孔に基づいて困難が生じるからである。この問題を解消するために、液体キャリアの熱力学特性が利用され、これによって被印刷物7に転写する際に、被印刷物7の表面に良好な湿潤特性が得られる。融点で分けられるのであるが、液体キャリアが冷却されると、液相から個相への相転移付近では、液体キャリアの粘度が急激に高まる。多くの場合に液体キャリアとして用いられる多くの炭化水素では、融点が、炭化水素分子のどの鎖長が湿潤されるかに応じて、大気圧で、0℃〜40℃の範囲にある。被印刷物7が、液体キャリアの融点を下回るか、または融点付近の低い温度で転写域9に進入し、転写ユニット6における液体現像剤の温度が融点を上回るが、それほど上回らない程度に位置する場合、液体キャリアの粘度は、小さな温度変化を有する転写域9で、広範囲に調節することができる。
【0026】
液体キャリアが高い粘度を有している場合、したがって比較的粘りつきの強い液体キャリア膜が存在する場合、液体キャリアは、被印刷物7における細孔にそれほど迅速には吸着されない。転写域9においてトナー像を転写するために提供される時間が比較的短いことによって、被印刷物7に進入する液体キャリアの損失を低減することができる。同時に液体キャリアは、被印刷物7の湿潤性を最適に調節することができ、被印刷物7に、液体キャリアの不都合な進入特性が付随することはない。これによって液体キャリアと被印刷物7との間の付着力を、転写を改善するために利用することができる。同様に粗い被印刷物7において、凹みが存在する場合でも、トナーは、転写ローラ61から被印刷物7に引き寄せられる。液体現像剤の凝集性が大幅に高められ、これによって被印刷物7の表面における凹所の上方でも、トナーは、転写ローラ61から被印刷物7に移送される。
【0027】
この方法を実現するために、図2および図3に示す2つの方法が存在する。
【0028】
図2には、原理的に図1に示す印刷機器DSに相当する印刷機器DS2を示し、その構成要素は、大体において図1に示す構成要素に相当し、したがって同じ構成要素には同じ符号を設けている。図2には、
−中間像担持体1、
−現像ローラ52と、液体現像剤用の着けユニット510と、混合ユニット511と、トナーおよび液体キャリア用の貯蔵容器514,515から混合ユニット511にトナーおよび液体キャリアを供給するための管路516と、現像ローラ52から残像を除去するためのクリーニング装置53と、混合ユニット511と着けユニット510ならびにクリーニング装置53との間の接続路517とを備えた現像ステーション5、
−転写ローラ61と圧胴62とを備えた転写ユニット6、
が看取される。個々の構成要素の機能は、図1で説明しているので、参照されたい。
【0029】
移送ユニットとして、少なくとも着けユニット510、中間像担持体1および転写ローラ61が用いられる。移送ユニットは、液体キャリアをトナーと共に被印刷物7に移送する。その際、トナーは、液体キャリア内で、次の移送ユニットに移送され、最終的に被印刷物7に移送される。
【0030】
図2では、被印刷物7は、転写域9に進入するまえに室温を下回る温度に冷却される。このために被印刷物7に隣接して冷却ユニット10が配置されており、冷却ユニット10は、被印刷物7を冷却する。したがって現像ステーション5から転写域9までの印刷過程全体を室温で進行させることができる。液体キャリアとして、室温を下回る融点を有する炭化水素が用いられるので、液体キャリアは、転写域9までの印刷過程では十分に低い粘度で液状であるが、被印刷物7に転写される際は、被印刷物7と接触状態で粘度を強く高める目標温度にさらされる。たとえばこのような特性を有する液体キャリアとして、5.5℃の融点を有するテトラデカンC1430が挙げられる。
【0031】
図3に示す印刷機器DS3の構造は、図2に相当するものであり、図2を参照されたい。図2との違いによれば、被印刷物7が室温で印刷される。液体キャリアは、本実施の形態では、室温より少し上の融点を有している。印刷機器DS3は、現像ステーション52から転写域9までの印刷過程において加熱され、これによって液体キャリアは液状であり、十分に低い粘度を有しており、液体キャリア内のトナーの運動性が確保される。したがって電位像の現像および液体現像剤の転移に関与する全ての構成要素、たとえば混合ユニット511、管路システム516,517、着けユニット510、現像ローラ520および光導電体1は、加熱ユニット11によって、液体キャリアの融点を大幅に上回る温度に維持される。これに対して被印刷物7は、室温にあり、したがって液体キャリアは、転写域9において、室温にある被印刷物7によって冷却され、その結果、液体キャリアは、比較的高い粘度を有し、したがってより粘りつきが強くなる。ここではたとえば液体キャリアとして、21℃の融点を有するヘプタデカンC1736が挙げられる。
【0032】
本発明の両方の実施の形態では、液体キャリアの粘度は、とりわけ光導電体1に潜像を着ける際に極めて低く維持されるので、トナーの運動性は、非画線部においてバックグラウンド(地汚れ)を回避して、画線部において完全に堆積するのに十分な程度である。これに対して転写域9では、液体キャリアの粘度が高められ、できるだけ多くのトナーが移送され、できるだけ僅かな液体キャリアしか被印刷物7に吸着されないように、被印刷物7へのトナー像の転写が行われる。
【0033】
液体キャリアの粘度の所望の調節は、過程で生じる全ての移送箇所に適用することができ、電気泳動の条件、および、被印刷物7に転写するための転写域9に向かう経路上での液体現像剤膜の分割特性を調節することができる。
【符号の説明】
【0034】
DS 印刷機器、 1 中間像担持体、 2 再生露光器、 3 帯電ステーション、 4 露光ヘッド、 5 現像ステーション、 6 転写ユニット、 7 被印刷物、 8 中間像担持体用のクリーニング装置、 9 転写域、 10 冷却ユニット、 11 加熱ユニット、 51 供給装置、 52 現像ローラ、 53 クリーニング装置、 510 着けユニット、 511 貯蔵容器、 512 ポンプ、 513 ポンプ、 514 貯蔵容器、 515 貯蔵容器、 516 接続管路、 517 接続管路、 518 チャンバドクタ、 61 転写ローラ、 62 圧胴、 63 クリーニングユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気泳動方式の印刷機器において液体現像剤の移送を最適化する方法において、
露光ヘッド(4)によって、中間像担持体(1)に、印刷しようとする印刷像の電位像を形成し、該電位像を、現像ステーション(5)によって、少なくともトナーと液体キャリアとを含有する液体現像剤を用いて着色して、トナー像を形成し、トナー像を、転写ユニット(6)を介して転写域(9)で被印刷物(7)に転写し、その際、
液体キャリア内に含有されたトナーを、移送ユニット(1,61)によって、現像ステーション(5)から中間像担持体(1)と転写ユニット(6)とを介して被印刷物(7)に移送し、
現像ステーション(5)から転写ユニット(6)を介して転写域(9)に向かう移送経路において、液体現像剤に作用する温度を選択して、それも、1つの移送ユニットから次の移送ユニットおよび被印刷物(7)に液体現像剤を移送するために要求される液体キャリアの粘度がトナーの運動性に関して最適化されるように、選択して、液体現像剤に作用する温度を、転写域(9)に到達するまでは、液体キャリアの融点を上回るように調節し、かつ被印刷物(7)の温度を、該被印刷物(7)が転写域(9)に到達するまえに、液体キャリアの融点を下回るように調節する、
ことを特徴とする、電気泳動方式の印刷機器において液体現像剤の移送を最適化する方法。
【請求項2】
液体キャリアとして、大気圧で、0℃〜40℃の範囲にある融点を有する炭化水素を選択する、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
転写域(9)への液体現像剤の移送を、室温で行い、
室温を下回る融点を有する液体キャリアを選択して、現像ステーション(5)から被印刷物(7)までの移送経路上に、液体キャリア内のトナーを移送するために要求される低い粘度が存在するようにし、
被印刷物(7)が転写域(9)に到達するまえに、該被印刷物(7)を冷却し、被印刷物(7)に移送される際に転写域(9)における液体キャリアの粘度を高める、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
印刷機器(DS)の室温を上回る融点を有する液体キャリアを選択し、
被印刷物(7)に向かう移送経路上で液体現像剤を加熱して、現像ステーション(5)から被印刷物(7)に向かう移送経路上で、液体キャリア内のトナーを移送するために要求される低い粘度が存在するようにし、
被印刷物(7)が、転写域(9)で室温にあり、被印刷物(7)に液体現像剤を転写する際に、液体キャリアが転写にとって好適な高い粘度になるように調節する、
請求項2記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−227504(P2011−227504A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92185(P2011−92185)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(397018925)オーセ プリンティング システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (68)
【氏名又は名称原語表記】Oce Printing Systems GmbH
【住所又は居所原語表記】Siemensallee 2, D−85586 Poing, Germany
【Fターム(参考)】