電気炊飯器
【課題】ゼロクロス信号のエッジタイミングを一定にして加熱手段に供給される電力が設定電力となるように制御することができる電気炊飯器を提供する。
【解決手段】交流電源Vacで動作する加熱手段となるワークコイル64と、前記ワークコイル64の出力を制御する制御手段となるマイコン制御装置80と、を備える炊飯器1において、前記交流電源Vacのプラス電圧からマイナス電圧及びマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点通過を検出するフォトカプラPCによりゼロクロス信号を作成し、エッジタイミングを一定とすると共に、当該エッジタイミングにより前記ワークコイル64の出力を制御するものである。
【解決手段】交流電源Vacで動作する加熱手段となるワークコイル64と、前記ワークコイル64の出力を制御する制御手段となるマイコン制御装置80と、を備える炊飯器1において、前記交流電源Vacのプラス電圧からマイナス電圧及びマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点通過を検出するフォトカプラPCによりゼロクロス信号を作成し、エッジタイミングを一定とすると共に、当該エッジタイミングにより前記ワークコイル64の出力を制御するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼロクロス検出回路を備える電気炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、交流電源のゼロクロスタイミングを検出するゼロクロス検出回路を備える電気炊飯器は公知となっている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示す電気炊飯器によると、ゼロクロス検出回路が半波整流用ダイオード、電流制限抵抗、一つのLEDを有するフォトカプラ等で構成され、交流電源のプラス側の半波整流波により矩形波状のゼロクロス信号を作成してマイコン制御ユニットに出力するように構成される。
【0003】
また、特許文献2に示す電気炊飯器によると、ワークコイルに流れる入力電流を検出するための入力電流検出回路が設けられており、検出された入力電流はフォードバック制御されて、ワークコイルに供給される電力が設定電力となるように制御されている。入力電流は高周波電流であることから低分解能のマイコン制御ユニットで処理可能となるように、前記入力電流検出回路にピークホールド回路が設けられており、該ピークホールド回路で検出した入力電流のピーク値が所定時間保持されてマイコン制御ユニットに出力するように構成されている。
【0004】
ところで、図10に示すゼロクロス検出回路176を備える従来の電気炊飯器によると、図11(a)に示す波形の交流電流が交流電源Vacから入力された場合には、ゼロクロス回路からの出力信号(出力電流)は図11(b)に示すゼロクロス信号となる。そして、このゼロクロス信号は、マイコン制御装置180に出力されて、該マイコン制御装置180は、このゼロクロス信号の交流電源Vacの電圧上昇時に検出する上方向のエッジ(ONエッジ)や、電圧下降時に検出する下方向のエッジ(OFFエッジ)に基づいて、次のサイクルのマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点、及びプラス電圧からマイナス電圧へのゼロクロス点、の二つのゼロクロス点を予測して、これら予測した二つのゼロクロス点を基準として加熱手段となるワークコイルやヒータ等を制御したり、これらに流れる電流等を検出するタイミングを決定したりしている。
【0005】
通常、ゼロクロス信号と同期してワークコイルを制御する場合には、これらに流れる高周波電流の波形形状もゼロクロス信号と同期しているため、マイコン制御装置180はゼロクロス信号の上方向のエッジと下方向のエッジ(又は予測したゼロクロス)を基準として電流のピーク値を検出するタイミングを決定している。しかしながら、特許文献2に示すようなピークホールド回路で保持されて電流が検出される場合では、当該ピークホールド回路からの漏れ電流により、上方向のエッジを基準とした検出値と下方向を基準とした検出値とで違いが生じる。
【0006】
つまり、図11(c)に示すように、交流電源の半波整流波から作成されたゼロクロス信号は、上方向のエッジから下方向のエッジまでの時間T11と、下方向のエッジから上方向のエッジまでの時間T12と、が相違(エッジタイミングが相違)しているため、これらのエッジから検出時間Tdet経過後を検出するタイミングとしている場合には、上方向のエッジを基準とした検出値がピーク値で検出可能であっても、下方向のエッジを基準とした検出値がピーク値で検出することができない。このため、加熱手段に供給される電力が変動して安定せず、設定電力となるように制御することができずに電気炊飯器の炊き上がり状態が違ってくる問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−296491号公報
【特許文献2】特開2008−66013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の如き課題を鑑みてなされたものであり、ゼロクロス信号のエッジタイミングを一定にして加熱手段に供給される電力が設定電力となるように制御することができる電気炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
請求項1においては、交流電源から供給される電力により作動する加熱手段と、前記加熱手段の作動を制御する制御手段と、を備える電気炊飯器において、前記交流電源のプラス電圧からマイナス電圧及びマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点通過を検出するフォトカプラによりゼロクロス信号を作成し、エッジタイミングを一定とすると共に、当該エッジタイミングにより前記加熱手段の作動を制御するものである。
【0011】
請求項2においては、交流電源から供給される電力により作動する加熱手段と、前記加熱手段の出力を制御する制御手段と、を備える電気炊飯器において、前記交流電源のプラス電圧からマイナス電圧及びマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点通過を検出するフォトカプラによりゼロクロス信号を作成し、エッジタイミング及びエッジ方向を一定とすると共に、当該エッジタイミング及びエッジ方向により周波数判定を行わず、前記加熱手段の作動を制御するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
請求項1においては、ゼロクロス信号のエッジタイミングを一定とすることで、加熱手段に供給される電力が設定電力となるように制御することができる。
【0014】
請求項2においては、周波数変動時にも安定して加熱手段に電力を供給することができる。また、周波数判定が不要となり制御手段の処理の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る炊飯器の全体的な構成を示した側面断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る炊飯器の制御構成を示したブロック図。
【図3】本発明の一実施形態に係る炊飯器のゼロクロス検出回路の構成を示す図。
【図4】本発明の別実施形態に係る炊飯器のゼロクロス検出回路の構成を示す図。
【図5】本発明の一実施形態に係る炊飯器のピーク検出回路の構成を示す図。
【図6】(a)交流電源を示した波形。(b)ゼロクロス信号を示した波形。(c)入力電流を示した波形。
【図7】(a)ゼロクロス信号を示した波形。(b)ヒータの設定を示した波形。(c)ゲート信号を示した波形。
【図8】(a)ゼロクロス信号を示した波形。(b)ゲート信号を示した波形。
【図9】(a)交流電源を示した波形。(b)ゼロクロス信号を示した波形。(c)ソレノイドの設定を示した波形。(d)ゲート信号を示した波形。
【図10】従来の炊飯器のゼロクロス検出回路の構成を示す図。
【図11】(a)交流電源を示した波形。(b)従来のゼロクロス信号を示した波形。(c)入力電流を示した波形。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明に係る電気炊飯器の一実施形態である炊飯器1の全体的な構成について説明する。
なお、以下の説明では、図1における左側を炊飯器1の前側とし、図1における右側を炊飯器1の後側として前後方向を規定する。また、図1における手前側を炊飯器1の左側とし、図1における奥側を炊飯器1の右側として左右方向を規定する。
【0017】
炊飯器1は、電気を用いて被調理物(主にお米)を調理する調理器具である。図1に示すように、炊飯器1は、主として、内鍋10と、炊飯器本体20と、蓋体30と、により構成される。
【0018】
内鍋10は、その内部に炊飯器1の被調理物を収容する部材である。内鍋10は、磁性体金属又は磁性体金属を含有する金属製で、上側面が開口された有底筒状に形成される。なお、内鍋10は、土鍋等セラミック製であってもよい。
【0019】
炊飯器本体20は、炊飯器1の主たる構造体を成す部材である。炊飯器本体20は、主として、外ケース21と、肩部材22と、底部材23と、内ケース24と、により構成される。
【0020】
炊飯器本体20の外ケース21は、炊飯器本体20の外周面の外装(外壁)を成す部材である。外ケース21は、ステンレス等の金属製で、上下側面が開口された筒状に形成される。
【0021】
炊飯器本体20の肩部材22は、炊飯器本体20の上端部(肩部)を成す部材である。肩部材22は、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂製で、上下側面が開口された概ね筒状に形成される。肩部材22は、外ケース21の上方に配置されて、下端部が外ケース21の上端部に固定される。肩部材22の後端部には、把持部51やヒンジ部52等が配設される。また、肩部材22の前端部には、操作パネル部53等が配設され、該操作パネル部53の下方(外ケース21の内側)には、操作基板62が配設される。
【0022】
炊飯器本体20の底部材23は、炊飯器本体20の底部(下側面)を成す部材である。底部材23は、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂製で、板面を上下方向へ向けた概ね平板状に形成される。底部材23は、外ケース21の下端部に固定され、外ケース21の下側の開口部を被覆している。
【0023】
炊飯器本体20の内ケース24は、炊飯器本体20の内周面(内壁)を成し、その内部に内鍋10を収容する部材である。内ケース24は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂製で、上側面が開口された有底筒状に形成される。
なお、内ケース24と外ケース21及び底部材23との間、即ち炊飯器本体20の内部には、炊飯器1を構成する各部材が配設される。例えば、炊飯器本体20の内部には、内ケース24の前方に制御基板63が配設される。さらに、炊飯器本体20の内部には、加熱手段となるワークコイル64や、保温ヒータ65や、センタセンサ66等が配設される。
【0024】
ワークコイル64は、内ケース24の内部に収容された内鍋10を加熱する部材である。ワークコイル64は、それぞれ環状に形成された底部コイル67と、コーナーコイル68と、により構成される。底部コイル67は、側面視で内ケース24の略中央の下方に配置される。コーナーコイル68は、側面視で内ケース24の外側端部の下方に配置される。底部コイル67及びコーナーコイル68は、渦電流を発生可能に構成され、内ケース24の内部に収容された内鍋10が、底部コイル67及びコーナーコイル68の渦電流と内鍋10の電気抵抗とによって発熱(加熱)するように構成される。
【0025】
保温ヒータ65は、内鍋10の内部で調理された被調理物を保温(加熱)する部材である。保温ヒータ65は、リング状に形成され、内ケース24の上下中途部の外方に巻装される。
【0026】
センタセンサ66は、内鍋10や当該内鍋10の内部に収容された被調理物の温度を検出する部材である。センタセンサ66は、内ケース24の下側面の略中央に開口された開口部54から、上方へ向けて突出される。センタセンサ66の上端部は、内ケース24の内部に収容された内鍋10の下側面に当接される。
【0027】
蓋体30は、炊飯器1の天部(上側面)を成す部材である。蓋体30は、肩部材22の上側の開口部を被覆するとともに、前記ヒンジ部52を介して当該肩部材22(ひいては炊飯器本体20)に対して開閉可能に支持される。蓋体30は、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂製であり、主として、円盤状に形成されて蓋体30の上面を成す上板31と、環状に形成されて蓋体30の下面を成す下板32と、により構成される。環状に形成された下板32の側面視で中央には、金属製の放熱板34が配設される。放熱板34には、蓋ヒータ35が配設される。また、下板32の下方には、内カバー33が配設される。
【0028】
蓋体30の内カバー33は、内鍋10からのふきこぼれや結露等を防止する部材である。内カバー33は、金属製で、円盤状に形成される。内カバー33は、下板32に着脱可能に取り付けられる。内カバー33は、蓋体30が炊飯器本体20に対して閉塞した状態で、内鍋10の上側縁部を略密閉するように構成される。
【0029】
蓋体30の蓋ヒータ35は、放熱板34を加熱して、その熱伝導によって内カバー33を加熱する部材である。蓋ヒータ35は、リング状に形成され、放熱板34の上面側に載置される。
【0030】
蓋体30の上部には、内鍋10内部の圧力を調整する調整部40が設けられる。該調整部40は、ボール弁形の圧力調整弁41と、該圧力調整弁41を開閉させる二つのソレノイド42・42(図2参照)等で構成され、これら二つのソレノイド42・42を駆動させて内鍋10を加圧及び減圧可能とし、3段階の圧力に調整可能とされる。
【0031】
次に、図2を用いて、炊飯器制御回路70の構成について説明する。
【0032】
炊飯器制御回路70は、主に操作基板62及び制御基板63に配置された複数の部品等で構成される。炊飯器制御回路70は、整流平滑回路71と、ワークコイル駆動回路72と、保温ヒータ駆動回路73と、蓋ヒータ駆動回路74と、ソレノイド駆動回路75と、ゼロクロス検出回路76と、入力電流検出回路77と、入力電圧検出回路78と、温度検出回路79と、各種スイッチ69と、液晶表示部61と、マイコン制御装置80と、を備える。
【0033】
整流平滑回路71は、交流電力(交流電源Vac)を整流して直流電力に変換するものである。整流平滑回路71は、ダイオードブリッジや平滑コンデンサ等で構成される。整流平滑回路71は、ヒューズやノイズカット用コンデンサ等を介して、交流電力が供給される交流電源Vacである商用電源とプラグ81を介して接続される。整流平滑回路71は、ダイオードブリッジにより交流電源を全波整流した後に平滑コンデンサで平滑して直流電力を出力する。
【0034】
ワークコイル駆動回路72は、ワークコイル64に電力を供給して作動させるものである。ワークコイル駆動回路72は、整流平滑回路71とワークコイル64との間のDCラインに設けられる。ワークコイル駆動回路72は、IGBTと、該IGBTと並列に接続されるフリーホイールダイオードと、前記ワークコイル64と並列に接続される共振コンデンサ等から構成される。ワークコイル駆動回路72は、マイコン制御装置80と接続されて、マイコン制御装置80から出力されるON又はOFF信号に対応する矩形波状の電圧がIGBTのゲート端子に印加されると、IGBTがON又はOFFしてワークコイル64に電力を供給する。
【0035】
保温ヒータ駆動回路73は、保温ヒータ65に電力を供給して駆動させるものである。保温ヒータ駆動回路73は、プラグ81と整流平滑回路71の間のACラインに設けられる。保温ヒータ駆動回路73は、フォトトライアック等から構成される。保温ヒータ駆動回路73は、マイコン制御装置80と接続されて、マイコン制御装置80から出力されるON又はOFF信号に対応する矩形波状の電圧がトライアックのゲート端子に印加されると、トライアックがON又はOFFして保温ヒータ65に電力を供給する。
【0036】
蓋ヒータ駆動回路74は、蓋ヒータ35に電力を供給して駆動させるものである。蓋ヒータ駆動回路74は、プラグ81と整流平滑回路71の間のACラインに設けられる。蓋ヒータ駆動回路74は、フォトトライアック等から構成される。蓋ヒータ駆動回路74は、マイコン制御装置80と接続されて、マイコン制御装置80から出力されるON又はOFF信号に対応する矩形波状の電圧がトライアックのゲート端子に印加されると、トライアックがON又はOFFして蓋ヒータ35に電力を供給する。
【0037】
ソレノイド駆動回路75は、ソレノイド42・42を駆動させるものである。ソレノイド駆動回路75は、プラグ81と整流平滑回路71の間のACラインに設けられる。ソレノイド駆動回路75は、フォトトライアック等から構成される。ソレノイド駆動回路75は、マイコン制御装置80と接続されて、マイコン制御装置80から出力されるON又はOFF信号に対応する矩形波状の電圧がトライアックのゲート端子に印加されるとトライアックがON又はOFFしてソレノイド42・42に電力を供給する。
【0038】
ゼロクロス検出回路76は、交流電源Vacのゼロクロスタイミングを検出するものである。ゼロクロス検出回路76は、プラグ81と整流平滑回路71との間のACラインに設けられる。ゼロクロス検出回路76は、AC入力対応のフォトカプラPCで構成される(図3参照)。ゼロクロス検出回路76は、マイコン制御装置80と接続されて、その検出値がマイコン制御装置80の所定の端子(入力ポート)に出力される。なお、検出されたゼロクロス信号は、ワークコイル64に流れる電流等を検出するタイミングを決定したり、ヒータ35・65やソレノイド42のトライアックのゲート信号を作成したりするために用いられる。
【0039】
入力電流検出回路77は、ワークコイル64に流れる入力電流を検出するものである。入力電流検出回路77は、プラグ81と整流平滑回路71とを接続する配線に流れる電流値を検出して該電流値に対応する電圧値を出力するカレントトランスと、該カレントトランスから出力される電圧値を保持するピークホールド回路77a(図5参照)と、で主に構成される。入力電流検出回路77は、マイコン制御装置80と接続されて、その検出値がマイコン制御装置80の所定の端子(入力ポート)に出力される。なお、検出された入力電流は、電流のピーク値(波高値)とされる。
【0040】
入力電圧検出回路78は、ワークコイル64に印加される入力電圧を検出するものである。入力電圧検出回路78は、整流平滑回路71とワークコイル64との間のDCラインに設けられる。入力電圧検出回路78は、整流平滑回路71とワークコイル64を接続する配線に印加される電圧値を検出して、該電圧値を複数の抵抗等で分圧させる構成とされる。入力電圧検出回路78は、マイコン制御装置80と接続されて、その検出値がマイコン制御装置80の所定の端子(入力ポート)に出力される。なお、検出された入力電圧は、電圧の平均値とされる。
【0041】
温度検出回路79は、センタセンサ66の検出値から内鍋10の温度を検出するものである。詳細には、サーミスタ等で構成されたセンタセンサ66の抵抗値の変化に応じて、その変化に対応する電圧を検出するものである。温度検出回路79は、マイコン制御装置80と接続されて、その検出値がマイコン制御装置80の所定の端子(入力ポート)に出力される。
【0042】
各種スイッチ69は、炊飯や、保温や、メニュー選択等の炊飯器1の機能を適宜に実行させる操作具である。各種スイッチ69は、操作パネル部53に配設される。各種スイッチ69は、マイコン制御装置80と接続されて、その操作に対応する信号がマイコン制御装置80の所定の端子(入力ポート)に出力される。
【0043】
液晶表示部61は、ユーザーによって選択された炊飯器1の機能等を表示するものである。液晶表示部61は、操作パネル部53に配設される。液晶表示部61は、マイコン制御装置80と接続されて、マイコン制御装置80から出力された信号に応じて各種スイッチ55の操作等に対応する表示を行う。
【0044】
マイコン制御装置80は、炊飯、保温、メニュー選択等の炊飯器1の機能や、液晶表示部61の表示等を制御するものである。マイコン制御装置80は、制御マイコン(MUP)、EEPROM、クロック等により構成される。マイコン制御装置80には、炊飯器1の機能を実行するための炊飯制御プログラムや時間と温度との関係マップ等が予め記憶されている。
【0045】
マイコン制御装置80は、各種スイッチ69の操作に応じて、保温ヒータ駆動回路73、蓋ヒータ駆動回路74、ソレノイド駆動回路75、ワークコイル駆動回路72、を介して、保温ヒータ65、蓋ヒータ35、ソレノイド42、ワークコイル64を駆動させて、内鍋10の加熱量や加熱時間、圧力等を調整する。この際、マイコン制御装置80は、入力電流検出回路77で検出した入力電流や入力電圧検出回路78で検出した入力電圧に応じて、ワークコイル64に供給される電力(又は電流)をフィードバック制御している。こうして、ワークコイル64に供給される電力が設定電力となるように制御され、一定の炊飯能力を維持することができ、常に美味しいご飯を炊き上げることができる。
【0046】
次に、図3及び図6を用いて、ゼロクロス検出回路76の構成について詳細に説明する。
【0047】
図3に示すように、ゼロクロス検出回路76は、交流電源Vacのプラス電圧からマイナス電圧及びマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点通過を検出するAC入力対応のフォトカプラPCで構成される。つまり、フォトカプラPCは、入力側に設けられるアノード端子とカソード端子がそれぞれ接続された二つのLED1・LED2と、出力側に設けられる一つのフォトトランジスタTrと、で構成される。
【0048】
具体的には、フォトカプラPCの入力側の一端は、電流制限抵抗R1を介して交流電源Vacの一端と接続され、該交流電源Vacの他端は、フォトカプラPCの入力側の他端と接続される。また、フォトカプラPCの出力側の一端(フォトトランジスタTrのコレクタ側)は、DC電源としてのVccと接続されて、他端(フォトトランジスタTrのエミッタ側)は、プルダウン抵抗R2を介して接地されるとともに、マイコン制御装置80の所定の端子(入力ポート)と接続されている。
【0049】
ゼロクロス信号は、図6(a)及び(b)に示すように、交流電源Vacに応じて変化する。つまり、交流電源Vacが零から徐々に上昇して、閾値V1以上となるとLED1が点灯してフォトトランジスタTrにコレクタ電流が流れて、フォトトランジスタTrがONとなり、マイコン制御装置80の所定のポートにHiとなるVccが出力される。その後、交流電源Vacが上側のピーク値から下降して閾値V1以下となるとコレクタ電流が流れずにフォトトランジスタTrがOFFとなり、マイコン制御装置80にLoとなる零が出力される。
【0050】
そして、交流電源Vacが零から徐々に下降して、閾値―V1以下となるとLED2が点灯してフォトトランジスタTrにコレクタ電流が流れて、フォトトランジスタTrがONとなり、マイコン制御装置80にHiとなるVccが出力される。その後、交流電源Vacが下側のピーク値から上昇して閾値―V1以上となるとコレクタ電流が流れずにフォトトランジスタTrがOFFとなり、マイコン制御装置80にLoとなる零が出力される。このように、ゼロクロス検出回路76は、交流電源Vacの全波整流を検出する構成とされる。
【0051】
マイコン制御装置80は、このゼロクロス信号の交流電源Vacの電圧上昇時に検出する上方向のエッジに基づいて、次のサイクルのマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点、及びプラス電圧からマイナス電圧へのゼロクロス点、の二つのゼロクロス点を予測して、これら予測した二つのゼロクロス点を基準としてワークコイル64、ヒータ35・65、及びソレノイド42等を制御したり、これらに電力を供給するスイッチング素子(IGBTやトライアック)のゲート信号を作成したり、これらに流れる電流等を検出するタイミングを決定したりしている。
【0052】
なお、該ゼロクロス信号は、図11(b)に示す従来のゼロクロス信号と比較して、次のゼロクロス点を予測するために交流電源Vacの半波整流波から作成されたゼロクロス信号を、上方向のエッジを検出した場合と下方向のエッジを検出した場合とで場合分けをして処理する必要がなく、下方向のエッジ又は上方向のエッジの何れか一つのみを検出して処理すればよいので、マイコン制御装置80に負担をかけることもない。さらに、検出電圧がVccのみであるので、従来のゼロクロス信号のようにVccと零とを判別してこの結果に応じて別々の処理を行う必要もない。
【0053】
なお、図3に示す本実施形態のゼロクロス検出回路76は、図10に示す従来のゼロクロス回路と比較してダイオードが不要となるので、部品点数を同じとしながらもゼロクロス信号を改善することができる。
【0054】
なお、ゼロクロス検出回路76は、本実施形態のようにAC入力対応のフォトカプラ等で電気的に絶縁する構成でなく、電気的に絶縁せずに全波整流を検出するアノード端子とカソード端子がそれぞれ接続された二つのダイオードで構成することも可能である。
【0055】
なお、図4に示すように、交流電源VacをダイオードブリッジDBで全波整流後に入力するようにゼロクロス検出回路76Aを構成することも可能である。また、ゼロクロス検出回路76Aの入力側に基準低電圧設定用の定電圧ダイオードZD1・ZD2を設けて、停電時や交流電源の電圧低下時にゼロクロス信号が出力されないように構成することも可能である。
【0056】
次に、図5及び図6を用いて、ピークホールド回路77aの構成について詳細に説明する。
【0057】
図5に示すように、入力電流検出回路77のピークホールド回路77aは、ダイオードD1と、電流制限抵抗R3と、コンデンサC1と、で構成される。ダイオードD1のアノード端子が交流電源側と接続されて、カソード端子がコンデンサC1の一端と接続され、コンデンサC1の他端が接地される。また、コンデンサC1の一端が電流制限抵抗R3の一端と接続されて、該電流制限抵抗R3の他端がマイコン制御装置80の所定の端子(入力ポート)と接続される。そして、コンデンサC1及び電流制限抵抗R3の定数を調整することで、コンデンサC1の充電時間及び放電時間が適宜調整される。
【0058】
そして、ピークホールド回路77aにおいては、ワークコイル64に流れる高周波の入力電流に対応するプラス側の電圧をダイオードD1で半波整流した後に、該電圧により生じる電荷をコンデンサC1で蓄えることで、プラス側の半波における入力電流のピーク値を検出して、この検出値をワークコイル64に流れる入力電流のピーク値としている。
【0059】
このようにピークホールド回路77aを介して検出することで、低分解能のマイコン制御装置80であっても高周波の電流値を検出することができ、また、検出する回数を低減してマイコン制御装置80の処理の負担を低減することができる。なお、コンデンサC1に蓄えられた電荷は、マイコン制御装置80の接地された端子から放電されるように構成される。
【0060】
ただし、ダイオードD1にマイナス側の電圧が印加される際には、マイコン制御装置80への漏れ電流によりコンデンサC1の電荷が放電されることから、ダイオードD1に全波波形が印加されるとコンデンサC1が充放電を繰り返すこととなる。つまり、図6(c)に示すようにマイコン制御装置80に出力される波形が脈動することとなり、マイコン制御装置80の入力電流を検出するタイミングによってはピーク値を検出することができない。
【0061】
次に、図6を用いて、マイコン制御装置80による入力電流を検出するタイミングについて詳細に説明する。
【0062】
マイコン制御装置80は、ゼロクロス信号に基づいて入力電流を検出するタイミングを決定している。詳細には、ゼロクロス信号の上方向のエッジから、検出時間Tdet経過後を検出するタイミングとしている。なお、ゼロクロス信号の上方向のエッジから、ゼロクロス信号の半周期+検出時間Tdet経過後を検出するタイミングとすることも可能である。ここで、検出時間Tdetは、試験等により導きだされる値であり、マイコン制御装置80に予め設定される。
【0063】
つまり、ゼロクロス信号は、プラス側の電圧に対応する矩形波と、マイナス側の電圧に対応する矩形波と、を有しており、プラス側の電圧の上昇時に生じる上方向のエッジからマイナス側の電圧の下降時に生じる上方向のエッジまでの時間T1と、プラス側の電圧の下降時に生じる下方向のエッジからマイナス側の電圧の上昇時に生じる下方向のエッジまでの時間T2と、が一致(エッジタイミングが一致)しているため、入力電流の位相に対する検出タイミングの基準値も同じとなり、エッジ方向に関係なく確実に入力電流のピーク値を検出することができる。
【0064】
このように、ゼロクロス信号を改善して、入力電流の検出値がエッジ方向に関係なくピーク値を検出することができるので、検出した入力電流値が変動することなく、ワークコイル64に供給される電力が設定電力となるようにフィードバック制御することができる。従って、一定の炊飯能力を維持することができ、常に美味しいご飯を炊き上げることができる。
【0065】
なお、入力電流検出回路77における入力電流を検出するタイミングだけでなく、入力電圧検出回路78における入力電圧を検出するタイミングに対しても同様とすることも可能である。
【0066】
前述のように、従来の炊飯器の電力制御は、周波数依存性を持っており、交流電源Vacの周波数により安定点が異なる。主な原因は、図11(b)に示すゼロクロス信号の時間T11・T12が、使用しているフォトカプラの特性によりバラツクことや、電圧や電流検出タイミングが異なり、マイコン制御装置80の漏れ電流により検出値がバラツクことである。そこで本実施形態のように、ゼロクロス信号の処理を、全てフォトカプラPCの上方向のエッジで開始するような回路構成とし、検出したゼロクロス信号の周期から測定点を決めている。これにより、周波数に対する影響がなく、同一点で測定ができ、交流電源Vacの周波数に対する依存性をなくすことができるのである。
【0067】
次に、図7を用いて、マイコン制御装置80によるヒータ35・65の制御態様について説明する。
【0068】
マイコン制御装置80は、ゼロクロス信号からヒータ35・65を駆動するタイミングを決定している。つまり、交流電源Vacが零となるゼロクロス点でヒータ35・65を駆動させるようにして、ヒータ35・65に電力を供給するトライアックのON又はOFFの切換時に生じる突入電流やスイッチングノイズを低減している。
【0069】
マイコン制御装置80は、ゼロクロス信号とヒータ35・65のON/OFF設定からヒータ35・65のトライアックのゲート信号を作成している。ここで、ヒータ35・65のON/OFF設定とは、各種スイッチ69の操作やセンタセンサ66の検出値からマイコン制御装置80がヒータ35・65を駆動させるか否かを判断して設定される。
【0070】
具体的には、マイコン制御装置80は、ゼロクロス信号の下方向のエッジを検出時に、ヒータ35・65のON/OFF設定を確認し、このヒータ35・65の設定がONである場合には、トライアックのゲート信号をONとして出力する。そして、ゼロクロス信号の上方向のエッジを検出時に、ヒータ35・65のON/OFF設定を確認し、このヒータ35・65の設定がOFFである場合には、トライアックのゲート信号をOFFとして出力する。
【0071】
ところが、従来のゲート信号は、マイコン制御装置80がゼロクロス信号から交流電源Vacの周波数(50Hzか60Hz)を判定して、上方向(又は下方向)のエッジから判定した周波数に応じた所定時間が経過すると、つまり、予測したゼロクロス点となると、トライアックのゲート信号をONとしている。このように、マイコン制御装置80は、周波数に依存するタイミング制御を行っているため、周波数を判定する必要があり、50Hz又は60Hz以外の交流電源Vacの周波数ではヒータが駆動せず炊飯器が動作しなかった。
【0072】
本実施形態によると、マイコン制御装置80がゼロクロス信号とヒータ35・65のON/OFF設定からヒータ35・65のトライアックのゲート信号を直接作成して所定のポートから出力することでトライアックのON又はOFF、ひいてはヒータ35・65を駆動させることができるので、周波数を判定する必要がなく、また、タイミング制御が不要でプログラム処理が簡易となり、マイコン制御装置80の処理の負担を軽減することができるのである。
【0073】
次に、図8を用いて、マイコン制御装置80によるワークコイル64の制御態様について説明する。
【0074】
マイコン制御装置80は、ゼロクロス信号の矩形波に対して割合を指定してワークコイル64のIGBTのゲート信号を作成し、このゲート信号によりワークコイル64の電力を制御している。具体的には、ゼロクロス信号の検出電圧がVccとなる上方向のエッジから下方向のエッジまでの時間Tαをマイコン制御装置80に備えられるタイマーによりカウントして算出し、算出された時間Tαに対して所定の割合K(例えば、K=0.6)を指定して(時間Tαに割合Kを乗算して)、この値Tα×Kをゲート信号としているのである。ここで、割合Kは、予め任意に設定できる値である。
【0075】
ところが、従来のゲート信号は、上方向(又は下方向)のエッジから判定した周波数に応じた所定時間が経過すると、予測したゼロクロス点からONとし、このON時から設定されたduty比(一周期当たりのON時間の割合)に対応する時間経過後にIGBTのゲート信号をOFFとしている。このように、マイコン制御装置80は、周波数に依存するタイミング制御を行っているため、周波数を判定する必要があり、50Hz又は60Hz以外の交流電源の周波数では炊飯器が動作せず、また、動作した場合であっても安定してワークコイル64に電力を供給することができない。
【0076】
本実施形態によると、マイコン制御装置80がゼロクロス信号からワークコイル64のIGBTのゲート信号を割合で指定して作成し、このゲート信号によりワークコイル64の電力を制御しているので、IGBTのON又はOFF、ひいてはワークコイル64を駆動させることができ、周波数を判定する必要がなく、また、タイミング制御が不要でプログラム処理が簡易となり、マイコン制御装置80の処理の負担を軽減することができるのである。さらに、周波数変動時にも安定してワークコイル64に電力を供給することができる。つまり、周波数が変化してもSIN波に対して同じ電圧レベルで制御することができるのである。
【0077】
このように、ゼロクロス信号は、図11(b)に示す従来のゼロクロス信号と比較して、プラス側の電圧に対応する矩形波と、マイナス側の電圧に対応する矩形波と、を有するため、マイコン制御装置80がこれら二つの矩形波を所定の幅に変更してゲート信号を作成している。そして、ゼロクロス信号は、ゼロクロス点の基準となるエッジ方向が一定(共に上方向)であり、かつ、エッジタイミングが一定(T1=T2)となることから、周波数に依存する制御タイミングを周波数判定により時間指定せずに割合にて指定できるのである。
【0078】
なお、ワークコイル64のIGBTにかえて、ヒータ35・65のトライアックのゲート信号を割合で指定して作成することも可能である。
【0079】
なお、図6に示す検出時間Tdetもゲート信号と同様に、マイコン制御装置80に備えられるタイマーによりゼロクロス信号がVccとなる上方向のエッジから下方向のエッジまでの時間Taをカウントして算出し、算出された時間Tαに対する割合Kを指定して、この値K×Tαを検出時間Tdetとすることも可能である。これにより、周波数に依存せず、適切なタイミングで電流値を検出することができる。
【0080】
次に、図9を用いて、マイコン制御装置80によるソレノイド42・42の制御態様について説明する。
【0081】
マイコン制御装置80は、ゼロクロス信号からソレノイド42・42を駆動するタイミングを決定している。つまり、電源電圧が零となるゼロクロス点でソレノイド42・42を駆動させるようにして、ソレノイド42・42に電力を供給するトライアックのON又はOFFの切換時に生じる突入電流やスイッチングノイズを低減している。
【0082】
マイコン制御装置80は、前記ヒータ35・65に電力を供給するトライアックのゲート信号を作成する場合と同様に、ゼロクロス信号とソレノイド42・42のON/OFF設定からソレノイド42・42のトライアックのゲート信号を作成している。ここで、ソレノイド42・42のON/OFF設定とは、各種スイッチ69の操作やセンタセンサ66及び不図示の圧力センサの検出値からマイコン制御装置80がソレノイド42・42を駆動させるか否かを判断して設定される。
【0083】
具体的には、マイコン制御装置80は、ゼロクロス信号の下方向のエッジを検出時に、各種スイッチ69で設定されたソレノイド42・42のON/OFF設定を確認し、このソレノイド42・42の設定がONである場合には、トライアックのゲート信号をONとして出力する。そして、ゼロクロス信号の上方向のエッジを検出時に、各種スイッチ69で設定されたソレノイド42・42のON/OFF設定を確認し、このソレノイド42・42の設定がOFFである場合には、トライアックのゲート信号をOFFとして出力する。
【0084】
このように、ヒータ35・65と同様に電源ソレノイド42・42に対してゼロクロス同期により制御することができ、周波数を判定する必要がなく、また、タイミング制御が不要でプログラム処理が簡易となり、マイコン制御装置80の処理の負担を軽減することができる。また、ヒータ35・65の制御のプログラムに対して少し改良を加えるだけでよく、ソフト開発の負担を軽減することができる。
【0085】
なお、ソレノイド42・42は、常時通電すると温度が上昇し続けるため、下方向のエッジを検出してゲート信号がONとなると、所定時間tだけ通電させた後に、duty制御を行うことでソレノイド42・42を保持するように構成される。また、停電時には、復電処理後に上記の制御を行うように構成される。そして、ソレノイド42・42のOFF設定を検出すると、duty制御を停止するとともにゲート信号をOFFとするのである。
【0086】
以上のように、本発明の一実施形態に係る炊飯器1においては、交流電源Vacから供給される電力により作動する加熱手段となるワークコイル64と、前記ワークコイル64の出力を制御する制御手段となるマイコン制御装置80と、を備える炊飯器1において、前記交流電源Vacのプラス電圧からマイナス電圧及びマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点通過を検出するフォトカプラPCによりゼロクロス信号を作成し、エッジタイミングを一定とすると共に、当該エッジタイミングにより前記ワークコイル64の作動を制御するものである。これにより、ゼロクロス信号のエッジタイミングを一定とすることで、ワークコイル64に供給される電力が設定電力となるように制御することができる。従って、一定の炊飯能力を維持することができ、常に美味しいご飯を炊き上げることができる。
【0087】
また、交流電源Vacから供給される電力により作動する加熱手段となるワークコイル64と、前記ワークコイル64の出力を制御する制御手段となるマイコン制御装置80と、を備える炊飯器1において、前記交流電源Vacのプラス電圧からマイナス電圧及びマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点通過を検出するフォトカプラPCによりゼロクロス信号を作成し、エッジタイミング及びエッジ方向を一定とすると共に、当該エッジタイミング及びエッジ方向により周波数判定を行わず前記ワークコイル64の作動を制御するものである。これにより、周波数変動時にも安定してワークコイル64に電力を供給することができる。従って、一定の炊飯能力を維持することができ、常に美味しいご飯を炊き上げることができる。また、周波数判定が不要となりマイコン制御装置80の処理の負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 炊飯器(電気炊飯器)
35 蓋ヒータ
42 ソレノイド
64 ワークコイル(加熱手段)
65 保温ヒータ
76 ゼロクロス検出回路
80 マイコン制御装置(制御手段)
Vac 交流電源
PC フォトカプラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼロクロス検出回路を備える電気炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、交流電源のゼロクロスタイミングを検出するゼロクロス検出回路を備える電気炊飯器は公知となっている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示す電気炊飯器によると、ゼロクロス検出回路が半波整流用ダイオード、電流制限抵抗、一つのLEDを有するフォトカプラ等で構成され、交流電源のプラス側の半波整流波により矩形波状のゼロクロス信号を作成してマイコン制御ユニットに出力するように構成される。
【0003】
また、特許文献2に示す電気炊飯器によると、ワークコイルに流れる入力電流を検出するための入力電流検出回路が設けられており、検出された入力電流はフォードバック制御されて、ワークコイルに供給される電力が設定電力となるように制御されている。入力電流は高周波電流であることから低分解能のマイコン制御ユニットで処理可能となるように、前記入力電流検出回路にピークホールド回路が設けられており、該ピークホールド回路で検出した入力電流のピーク値が所定時間保持されてマイコン制御ユニットに出力するように構成されている。
【0004】
ところで、図10に示すゼロクロス検出回路176を備える従来の電気炊飯器によると、図11(a)に示す波形の交流電流が交流電源Vacから入力された場合には、ゼロクロス回路からの出力信号(出力電流)は図11(b)に示すゼロクロス信号となる。そして、このゼロクロス信号は、マイコン制御装置180に出力されて、該マイコン制御装置180は、このゼロクロス信号の交流電源Vacの電圧上昇時に検出する上方向のエッジ(ONエッジ)や、電圧下降時に検出する下方向のエッジ(OFFエッジ)に基づいて、次のサイクルのマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点、及びプラス電圧からマイナス電圧へのゼロクロス点、の二つのゼロクロス点を予測して、これら予測した二つのゼロクロス点を基準として加熱手段となるワークコイルやヒータ等を制御したり、これらに流れる電流等を検出するタイミングを決定したりしている。
【0005】
通常、ゼロクロス信号と同期してワークコイルを制御する場合には、これらに流れる高周波電流の波形形状もゼロクロス信号と同期しているため、マイコン制御装置180はゼロクロス信号の上方向のエッジと下方向のエッジ(又は予測したゼロクロス)を基準として電流のピーク値を検出するタイミングを決定している。しかしながら、特許文献2に示すようなピークホールド回路で保持されて電流が検出される場合では、当該ピークホールド回路からの漏れ電流により、上方向のエッジを基準とした検出値と下方向を基準とした検出値とで違いが生じる。
【0006】
つまり、図11(c)に示すように、交流電源の半波整流波から作成されたゼロクロス信号は、上方向のエッジから下方向のエッジまでの時間T11と、下方向のエッジから上方向のエッジまでの時間T12と、が相違(エッジタイミングが相違)しているため、これらのエッジから検出時間Tdet経過後を検出するタイミングとしている場合には、上方向のエッジを基準とした検出値がピーク値で検出可能であっても、下方向のエッジを基準とした検出値がピーク値で検出することができない。このため、加熱手段に供給される電力が変動して安定せず、設定電力となるように制御することができずに電気炊飯器の炊き上がり状態が違ってくる問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−296491号公報
【特許文献2】特開2008−66013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の如き課題を鑑みてなされたものであり、ゼロクロス信号のエッジタイミングを一定にして加熱手段に供給される電力が設定電力となるように制御することができる電気炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
請求項1においては、交流電源から供給される電力により作動する加熱手段と、前記加熱手段の作動を制御する制御手段と、を備える電気炊飯器において、前記交流電源のプラス電圧からマイナス電圧及びマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点通過を検出するフォトカプラによりゼロクロス信号を作成し、エッジタイミングを一定とすると共に、当該エッジタイミングにより前記加熱手段の作動を制御するものである。
【0011】
請求項2においては、交流電源から供給される電力により作動する加熱手段と、前記加熱手段の出力を制御する制御手段と、を備える電気炊飯器において、前記交流電源のプラス電圧からマイナス電圧及びマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点通過を検出するフォトカプラによりゼロクロス信号を作成し、エッジタイミング及びエッジ方向を一定とすると共に、当該エッジタイミング及びエッジ方向により周波数判定を行わず、前記加熱手段の作動を制御するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
請求項1においては、ゼロクロス信号のエッジタイミングを一定とすることで、加熱手段に供給される電力が設定電力となるように制御することができる。
【0014】
請求項2においては、周波数変動時にも安定して加熱手段に電力を供給することができる。また、周波数判定が不要となり制御手段の処理の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る炊飯器の全体的な構成を示した側面断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る炊飯器の制御構成を示したブロック図。
【図3】本発明の一実施形態に係る炊飯器のゼロクロス検出回路の構成を示す図。
【図4】本発明の別実施形態に係る炊飯器のゼロクロス検出回路の構成を示す図。
【図5】本発明の一実施形態に係る炊飯器のピーク検出回路の構成を示す図。
【図6】(a)交流電源を示した波形。(b)ゼロクロス信号を示した波形。(c)入力電流を示した波形。
【図7】(a)ゼロクロス信号を示した波形。(b)ヒータの設定を示した波形。(c)ゲート信号を示した波形。
【図8】(a)ゼロクロス信号を示した波形。(b)ゲート信号を示した波形。
【図9】(a)交流電源を示した波形。(b)ゼロクロス信号を示した波形。(c)ソレノイドの設定を示した波形。(d)ゲート信号を示した波形。
【図10】従来の炊飯器のゼロクロス検出回路の構成を示す図。
【図11】(a)交流電源を示した波形。(b)従来のゼロクロス信号を示した波形。(c)入力電流を示した波形。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明に係る電気炊飯器の一実施形態である炊飯器1の全体的な構成について説明する。
なお、以下の説明では、図1における左側を炊飯器1の前側とし、図1における右側を炊飯器1の後側として前後方向を規定する。また、図1における手前側を炊飯器1の左側とし、図1における奥側を炊飯器1の右側として左右方向を規定する。
【0017】
炊飯器1は、電気を用いて被調理物(主にお米)を調理する調理器具である。図1に示すように、炊飯器1は、主として、内鍋10と、炊飯器本体20と、蓋体30と、により構成される。
【0018】
内鍋10は、その内部に炊飯器1の被調理物を収容する部材である。内鍋10は、磁性体金属又は磁性体金属を含有する金属製で、上側面が開口された有底筒状に形成される。なお、内鍋10は、土鍋等セラミック製であってもよい。
【0019】
炊飯器本体20は、炊飯器1の主たる構造体を成す部材である。炊飯器本体20は、主として、外ケース21と、肩部材22と、底部材23と、内ケース24と、により構成される。
【0020】
炊飯器本体20の外ケース21は、炊飯器本体20の外周面の外装(外壁)を成す部材である。外ケース21は、ステンレス等の金属製で、上下側面が開口された筒状に形成される。
【0021】
炊飯器本体20の肩部材22は、炊飯器本体20の上端部(肩部)を成す部材である。肩部材22は、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂製で、上下側面が開口された概ね筒状に形成される。肩部材22は、外ケース21の上方に配置されて、下端部が外ケース21の上端部に固定される。肩部材22の後端部には、把持部51やヒンジ部52等が配設される。また、肩部材22の前端部には、操作パネル部53等が配設され、該操作パネル部53の下方(外ケース21の内側)には、操作基板62が配設される。
【0022】
炊飯器本体20の底部材23は、炊飯器本体20の底部(下側面)を成す部材である。底部材23は、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂製で、板面を上下方向へ向けた概ね平板状に形成される。底部材23は、外ケース21の下端部に固定され、外ケース21の下側の開口部を被覆している。
【0023】
炊飯器本体20の内ケース24は、炊飯器本体20の内周面(内壁)を成し、その内部に内鍋10を収容する部材である。内ケース24は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂製で、上側面が開口された有底筒状に形成される。
なお、内ケース24と外ケース21及び底部材23との間、即ち炊飯器本体20の内部には、炊飯器1を構成する各部材が配設される。例えば、炊飯器本体20の内部には、内ケース24の前方に制御基板63が配設される。さらに、炊飯器本体20の内部には、加熱手段となるワークコイル64や、保温ヒータ65や、センタセンサ66等が配設される。
【0024】
ワークコイル64は、内ケース24の内部に収容された内鍋10を加熱する部材である。ワークコイル64は、それぞれ環状に形成された底部コイル67と、コーナーコイル68と、により構成される。底部コイル67は、側面視で内ケース24の略中央の下方に配置される。コーナーコイル68は、側面視で内ケース24の外側端部の下方に配置される。底部コイル67及びコーナーコイル68は、渦電流を発生可能に構成され、内ケース24の内部に収容された内鍋10が、底部コイル67及びコーナーコイル68の渦電流と内鍋10の電気抵抗とによって発熱(加熱)するように構成される。
【0025】
保温ヒータ65は、内鍋10の内部で調理された被調理物を保温(加熱)する部材である。保温ヒータ65は、リング状に形成され、内ケース24の上下中途部の外方に巻装される。
【0026】
センタセンサ66は、内鍋10や当該内鍋10の内部に収容された被調理物の温度を検出する部材である。センタセンサ66は、内ケース24の下側面の略中央に開口された開口部54から、上方へ向けて突出される。センタセンサ66の上端部は、内ケース24の内部に収容された内鍋10の下側面に当接される。
【0027】
蓋体30は、炊飯器1の天部(上側面)を成す部材である。蓋体30は、肩部材22の上側の開口部を被覆するとともに、前記ヒンジ部52を介して当該肩部材22(ひいては炊飯器本体20)に対して開閉可能に支持される。蓋体30は、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂製であり、主として、円盤状に形成されて蓋体30の上面を成す上板31と、環状に形成されて蓋体30の下面を成す下板32と、により構成される。環状に形成された下板32の側面視で中央には、金属製の放熱板34が配設される。放熱板34には、蓋ヒータ35が配設される。また、下板32の下方には、内カバー33が配設される。
【0028】
蓋体30の内カバー33は、内鍋10からのふきこぼれや結露等を防止する部材である。内カバー33は、金属製で、円盤状に形成される。内カバー33は、下板32に着脱可能に取り付けられる。内カバー33は、蓋体30が炊飯器本体20に対して閉塞した状態で、内鍋10の上側縁部を略密閉するように構成される。
【0029】
蓋体30の蓋ヒータ35は、放熱板34を加熱して、その熱伝導によって内カバー33を加熱する部材である。蓋ヒータ35は、リング状に形成され、放熱板34の上面側に載置される。
【0030】
蓋体30の上部には、内鍋10内部の圧力を調整する調整部40が設けられる。該調整部40は、ボール弁形の圧力調整弁41と、該圧力調整弁41を開閉させる二つのソレノイド42・42(図2参照)等で構成され、これら二つのソレノイド42・42を駆動させて内鍋10を加圧及び減圧可能とし、3段階の圧力に調整可能とされる。
【0031】
次に、図2を用いて、炊飯器制御回路70の構成について説明する。
【0032】
炊飯器制御回路70は、主に操作基板62及び制御基板63に配置された複数の部品等で構成される。炊飯器制御回路70は、整流平滑回路71と、ワークコイル駆動回路72と、保温ヒータ駆動回路73と、蓋ヒータ駆動回路74と、ソレノイド駆動回路75と、ゼロクロス検出回路76と、入力電流検出回路77と、入力電圧検出回路78と、温度検出回路79と、各種スイッチ69と、液晶表示部61と、マイコン制御装置80と、を備える。
【0033】
整流平滑回路71は、交流電力(交流電源Vac)を整流して直流電力に変換するものである。整流平滑回路71は、ダイオードブリッジや平滑コンデンサ等で構成される。整流平滑回路71は、ヒューズやノイズカット用コンデンサ等を介して、交流電力が供給される交流電源Vacである商用電源とプラグ81を介して接続される。整流平滑回路71は、ダイオードブリッジにより交流電源を全波整流した後に平滑コンデンサで平滑して直流電力を出力する。
【0034】
ワークコイル駆動回路72は、ワークコイル64に電力を供給して作動させるものである。ワークコイル駆動回路72は、整流平滑回路71とワークコイル64との間のDCラインに設けられる。ワークコイル駆動回路72は、IGBTと、該IGBTと並列に接続されるフリーホイールダイオードと、前記ワークコイル64と並列に接続される共振コンデンサ等から構成される。ワークコイル駆動回路72は、マイコン制御装置80と接続されて、マイコン制御装置80から出力されるON又はOFF信号に対応する矩形波状の電圧がIGBTのゲート端子に印加されると、IGBTがON又はOFFしてワークコイル64に電力を供給する。
【0035】
保温ヒータ駆動回路73は、保温ヒータ65に電力を供給して駆動させるものである。保温ヒータ駆動回路73は、プラグ81と整流平滑回路71の間のACラインに設けられる。保温ヒータ駆動回路73は、フォトトライアック等から構成される。保温ヒータ駆動回路73は、マイコン制御装置80と接続されて、マイコン制御装置80から出力されるON又はOFF信号に対応する矩形波状の電圧がトライアックのゲート端子に印加されると、トライアックがON又はOFFして保温ヒータ65に電力を供給する。
【0036】
蓋ヒータ駆動回路74は、蓋ヒータ35に電力を供給して駆動させるものである。蓋ヒータ駆動回路74は、プラグ81と整流平滑回路71の間のACラインに設けられる。蓋ヒータ駆動回路74は、フォトトライアック等から構成される。蓋ヒータ駆動回路74は、マイコン制御装置80と接続されて、マイコン制御装置80から出力されるON又はOFF信号に対応する矩形波状の電圧がトライアックのゲート端子に印加されると、トライアックがON又はOFFして蓋ヒータ35に電力を供給する。
【0037】
ソレノイド駆動回路75は、ソレノイド42・42を駆動させるものである。ソレノイド駆動回路75は、プラグ81と整流平滑回路71の間のACラインに設けられる。ソレノイド駆動回路75は、フォトトライアック等から構成される。ソレノイド駆動回路75は、マイコン制御装置80と接続されて、マイコン制御装置80から出力されるON又はOFF信号に対応する矩形波状の電圧がトライアックのゲート端子に印加されるとトライアックがON又はOFFしてソレノイド42・42に電力を供給する。
【0038】
ゼロクロス検出回路76は、交流電源Vacのゼロクロスタイミングを検出するものである。ゼロクロス検出回路76は、プラグ81と整流平滑回路71との間のACラインに設けられる。ゼロクロス検出回路76は、AC入力対応のフォトカプラPCで構成される(図3参照)。ゼロクロス検出回路76は、マイコン制御装置80と接続されて、その検出値がマイコン制御装置80の所定の端子(入力ポート)に出力される。なお、検出されたゼロクロス信号は、ワークコイル64に流れる電流等を検出するタイミングを決定したり、ヒータ35・65やソレノイド42のトライアックのゲート信号を作成したりするために用いられる。
【0039】
入力電流検出回路77は、ワークコイル64に流れる入力電流を検出するものである。入力電流検出回路77は、プラグ81と整流平滑回路71とを接続する配線に流れる電流値を検出して該電流値に対応する電圧値を出力するカレントトランスと、該カレントトランスから出力される電圧値を保持するピークホールド回路77a(図5参照)と、で主に構成される。入力電流検出回路77は、マイコン制御装置80と接続されて、その検出値がマイコン制御装置80の所定の端子(入力ポート)に出力される。なお、検出された入力電流は、電流のピーク値(波高値)とされる。
【0040】
入力電圧検出回路78は、ワークコイル64に印加される入力電圧を検出するものである。入力電圧検出回路78は、整流平滑回路71とワークコイル64との間のDCラインに設けられる。入力電圧検出回路78は、整流平滑回路71とワークコイル64を接続する配線に印加される電圧値を検出して、該電圧値を複数の抵抗等で分圧させる構成とされる。入力電圧検出回路78は、マイコン制御装置80と接続されて、その検出値がマイコン制御装置80の所定の端子(入力ポート)に出力される。なお、検出された入力電圧は、電圧の平均値とされる。
【0041】
温度検出回路79は、センタセンサ66の検出値から内鍋10の温度を検出するものである。詳細には、サーミスタ等で構成されたセンタセンサ66の抵抗値の変化に応じて、その変化に対応する電圧を検出するものである。温度検出回路79は、マイコン制御装置80と接続されて、その検出値がマイコン制御装置80の所定の端子(入力ポート)に出力される。
【0042】
各種スイッチ69は、炊飯や、保温や、メニュー選択等の炊飯器1の機能を適宜に実行させる操作具である。各種スイッチ69は、操作パネル部53に配設される。各種スイッチ69は、マイコン制御装置80と接続されて、その操作に対応する信号がマイコン制御装置80の所定の端子(入力ポート)に出力される。
【0043】
液晶表示部61は、ユーザーによって選択された炊飯器1の機能等を表示するものである。液晶表示部61は、操作パネル部53に配設される。液晶表示部61は、マイコン制御装置80と接続されて、マイコン制御装置80から出力された信号に応じて各種スイッチ55の操作等に対応する表示を行う。
【0044】
マイコン制御装置80は、炊飯、保温、メニュー選択等の炊飯器1の機能や、液晶表示部61の表示等を制御するものである。マイコン制御装置80は、制御マイコン(MUP)、EEPROM、クロック等により構成される。マイコン制御装置80には、炊飯器1の機能を実行するための炊飯制御プログラムや時間と温度との関係マップ等が予め記憶されている。
【0045】
マイコン制御装置80は、各種スイッチ69の操作に応じて、保温ヒータ駆動回路73、蓋ヒータ駆動回路74、ソレノイド駆動回路75、ワークコイル駆動回路72、を介して、保温ヒータ65、蓋ヒータ35、ソレノイド42、ワークコイル64を駆動させて、内鍋10の加熱量や加熱時間、圧力等を調整する。この際、マイコン制御装置80は、入力電流検出回路77で検出した入力電流や入力電圧検出回路78で検出した入力電圧に応じて、ワークコイル64に供給される電力(又は電流)をフィードバック制御している。こうして、ワークコイル64に供給される電力が設定電力となるように制御され、一定の炊飯能力を維持することができ、常に美味しいご飯を炊き上げることができる。
【0046】
次に、図3及び図6を用いて、ゼロクロス検出回路76の構成について詳細に説明する。
【0047】
図3に示すように、ゼロクロス検出回路76は、交流電源Vacのプラス電圧からマイナス電圧及びマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点通過を検出するAC入力対応のフォトカプラPCで構成される。つまり、フォトカプラPCは、入力側に設けられるアノード端子とカソード端子がそれぞれ接続された二つのLED1・LED2と、出力側に設けられる一つのフォトトランジスタTrと、で構成される。
【0048】
具体的には、フォトカプラPCの入力側の一端は、電流制限抵抗R1を介して交流電源Vacの一端と接続され、該交流電源Vacの他端は、フォトカプラPCの入力側の他端と接続される。また、フォトカプラPCの出力側の一端(フォトトランジスタTrのコレクタ側)は、DC電源としてのVccと接続されて、他端(フォトトランジスタTrのエミッタ側)は、プルダウン抵抗R2を介して接地されるとともに、マイコン制御装置80の所定の端子(入力ポート)と接続されている。
【0049】
ゼロクロス信号は、図6(a)及び(b)に示すように、交流電源Vacに応じて変化する。つまり、交流電源Vacが零から徐々に上昇して、閾値V1以上となるとLED1が点灯してフォトトランジスタTrにコレクタ電流が流れて、フォトトランジスタTrがONとなり、マイコン制御装置80の所定のポートにHiとなるVccが出力される。その後、交流電源Vacが上側のピーク値から下降して閾値V1以下となるとコレクタ電流が流れずにフォトトランジスタTrがOFFとなり、マイコン制御装置80にLoとなる零が出力される。
【0050】
そして、交流電源Vacが零から徐々に下降して、閾値―V1以下となるとLED2が点灯してフォトトランジスタTrにコレクタ電流が流れて、フォトトランジスタTrがONとなり、マイコン制御装置80にHiとなるVccが出力される。その後、交流電源Vacが下側のピーク値から上昇して閾値―V1以上となるとコレクタ電流が流れずにフォトトランジスタTrがOFFとなり、マイコン制御装置80にLoとなる零が出力される。このように、ゼロクロス検出回路76は、交流電源Vacの全波整流を検出する構成とされる。
【0051】
マイコン制御装置80は、このゼロクロス信号の交流電源Vacの電圧上昇時に検出する上方向のエッジに基づいて、次のサイクルのマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点、及びプラス電圧からマイナス電圧へのゼロクロス点、の二つのゼロクロス点を予測して、これら予測した二つのゼロクロス点を基準としてワークコイル64、ヒータ35・65、及びソレノイド42等を制御したり、これらに電力を供給するスイッチング素子(IGBTやトライアック)のゲート信号を作成したり、これらに流れる電流等を検出するタイミングを決定したりしている。
【0052】
なお、該ゼロクロス信号は、図11(b)に示す従来のゼロクロス信号と比較して、次のゼロクロス点を予測するために交流電源Vacの半波整流波から作成されたゼロクロス信号を、上方向のエッジを検出した場合と下方向のエッジを検出した場合とで場合分けをして処理する必要がなく、下方向のエッジ又は上方向のエッジの何れか一つのみを検出して処理すればよいので、マイコン制御装置80に負担をかけることもない。さらに、検出電圧がVccのみであるので、従来のゼロクロス信号のようにVccと零とを判別してこの結果に応じて別々の処理を行う必要もない。
【0053】
なお、図3に示す本実施形態のゼロクロス検出回路76は、図10に示す従来のゼロクロス回路と比較してダイオードが不要となるので、部品点数を同じとしながらもゼロクロス信号を改善することができる。
【0054】
なお、ゼロクロス検出回路76は、本実施形態のようにAC入力対応のフォトカプラ等で電気的に絶縁する構成でなく、電気的に絶縁せずに全波整流を検出するアノード端子とカソード端子がそれぞれ接続された二つのダイオードで構成することも可能である。
【0055】
なお、図4に示すように、交流電源VacをダイオードブリッジDBで全波整流後に入力するようにゼロクロス検出回路76Aを構成することも可能である。また、ゼロクロス検出回路76Aの入力側に基準低電圧設定用の定電圧ダイオードZD1・ZD2を設けて、停電時や交流電源の電圧低下時にゼロクロス信号が出力されないように構成することも可能である。
【0056】
次に、図5及び図6を用いて、ピークホールド回路77aの構成について詳細に説明する。
【0057】
図5に示すように、入力電流検出回路77のピークホールド回路77aは、ダイオードD1と、電流制限抵抗R3と、コンデンサC1と、で構成される。ダイオードD1のアノード端子が交流電源側と接続されて、カソード端子がコンデンサC1の一端と接続され、コンデンサC1の他端が接地される。また、コンデンサC1の一端が電流制限抵抗R3の一端と接続されて、該電流制限抵抗R3の他端がマイコン制御装置80の所定の端子(入力ポート)と接続される。そして、コンデンサC1及び電流制限抵抗R3の定数を調整することで、コンデンサC1の充電時間及び放電時間が適宜調整される。
【0058】
そして、ピークホールド回路77aにおいては、ワークコイル64に流れる高周波の入力電流に対応するプラス側の電圧をダイオードD1で半波整流した後に、該電圧により生じる電荷をコンデンサC1で蓄えることで、プラス側の半波における入力電流のピーク値を検出して、この検出値をワークコイル64に流れる入力電流のピーク値としている。
【0059】
このようにピークホールド回路77aを介して検出することで、低分解能のマイコン制御装置80であっても高周波の電流値を検出することができ、また、検出する回数を低減してマイコン制御装置80の処理の負担を低減することができる。なお、コンデンサC1に蓄えられた電荷は、マイコン制御装置80の接地された端子から放電されるように構成される。
【0060】
ただし、ダイオードD1にマイナス側の電圧が印加される際には、マイコン制御装置80への漏れ電流によりコンデンサC1の電荷が放電されることから、ダイオードD1に全波波形が印加されるとコンデンサC1が充放電を繰り返すこととなる。つまり、図6(c)に示すようにマイコン制御装置80に出力される波形が脈動することとなり、マイコン制御装置80の入力電流を検出するタイミングによってはピーク値を検出することができない。
【0061】
次に、図6を用いて、マイコン制御装置80による入力電流を検出するタイミングについて詳細に説明する。
【0062】
マイコン制御装置80は、ゼロクロス信号に基づいて入力電流を検出するタイミングを決定している。詳細には、ゼロクロス信号の上方向のエッジから、検出時間Tdet経過後を検出するタイミングとしている。なお、ゼロクロス信号の上方向のエッジから、ゼロクロス信号の半周期+検出時間Tdet経過後を検出するタイミングとすることも可能である。ここで、検出時間Tdetは、試験等により導きだされる値であり、マイコン制御装置80に予め設定される。
【0063】
つまり、ゼロクロス信号は、プラス側の電圧に対応する矩形波と、マイナス側の電圧に対応する矩形波と、を有しており、プラス側の電圧の上昇時に生じる上方向のエッジからマイナス側の電圧の下降時に生じる上方向のエッジまでの時間T1と、プラス側の電圧の下降時に生じる下方向のエッジからマイナス側の電圧の上昇時に生じる下方向のエッジまでの時間T2と、が一致(エッジタイミングが一致)しているため、入力電流の位相に対する検出タイミングの基準値も同じとなり、エッジ方向に関係なく確実に入力電流のピーク値を検出することができる。
【0064】
このように、ゼロクロス信号を改善して、入力電流の検出値がエッジ方向に関係なくピーク値を検出することができるので、検出した入力電流値が変動することなく、ワークコイル64に供給される電力が設定電力となるようにフィードバック制御することができる。従って、一定の炊飯能力を維持することができ、常に美味しいご飯を炊き上げることができる。
【0065】
なお、入力電流検出回路77における入力電流を検出するタイミングだけでなく、入力電圧検出回路78における入力電圧を検出するタイミングに対しても同様とすることも可能である。
【0066】
前述のように、従来の炊飯器の電力制御は、周波数依存性を持っており、交流電源Vacの周波数により安定点が異なる。主な原因は、図11(b)に示すゼロクロス信号の時間T11・T12が、使用しているフォトカプラの特性によりバラツクことや、電圧や電流検出タイミングが異なり、マイコン制御装置80の漏れ電流により検出値がバラツクことである。そこで本実施形態のように、ゼロクロス信号の処理を、全てフォトカプラPCの上方向のエッジで開始するような回路構成とし、検出したゼロクロス信号の周期から測定点を決めている。これにより、周波数に対する影響がなく、同一点で測定ができ、交流電源Vacの周波数に対する依存性をなくすことができるのである。
【0067】
次に、図7を用いて、マイコン制御装置80によるヒータ35・65の制御態様について説明する。
【0068】
マイコン制御装置80は、ゼロクロス信号からヒータ35・65を駆動するタイミングを決定している。つまり、交流電源Vacが零となるゼロクロス点でヒータ35・65を駆動させるようにして、ヒータ35・65に電力を供給するトライアックのON又はOFFの切換時に生じる突入電流やスイッチングノイズを低減している。
【0069】
マイコン制御装置80は、ゼロクロス信号とヒータ35・65のON/OFF設定からヒータ35・65のトライアックのゲート信号を作成している。ここで、ヒータ35・65のON/OFF設定とは、各種スイッチ69の操作やセンタセンサ66の検出値からマイコン制御装置80がヒータ35・65を駆動させるか否かを判断して設定される。
【0070】
具体的には、マイコン制御装置80は、ゼロクロス信号の下方向のエッジを検出時に、ヒータ35・65のON/OFF設定を確認し、このヒータ35・65の設定がONである場合には、トライアックのゲート信号をONとして出力する。そして、ゼロクロス信号の上方向のエッジを検出時に、ヒータ35・65のON/OFF設定を確認し、このヒータ35・65の設定がOFFである場合には、トライアックのゲート信号をOFFとして出力する。
【0071】
ところが、従来のゲート信号は、マイコン制御装置80がゼロクロス信号から交流電源Vacの周波数(50Hzか60Hz)を判定して、上方向(又は下方向)のエッジから判定した周波数に応じた所定時間が経過すると、つまり、予測したゼロクロス点となると、トライアックのゲート信号をONとしている。このように、マイコン制御装置80は、周波数に依存するタイミング制御を行っているため、周波数を判定する必要があり、50Hz又は60Hz以外の交流電源Vacの周波数ではヒータが駆動せず炊飯器が動作しなかった。
【0072】
本実施形態によると、マイコン制御装置80がゼロクロス信号とヒータ35・65のON/OFF設定からヒータ35・65のトライアックのゲート信号を直接作成して所定のポートから出力することでトライアックのON又はOFF、ひいてはヒータ35・65を駆動させることができるので、周波数を判定する必要がなく、また、タイミング制御が不要でプログラム処理が簡易となり、マイコン制御装置80の処理の負担を軽減することができるのである。
【0073】
次に、図8を用いて、マイコン制御装置80によるワークコイル64の制御態様について説明する。
【0074】
マイコン制御装置80は、ゼロクロス信号の矩形波に対して割合を指定してワークコイル64のIGBTのゲート信号を作成し、このゲート信号によりワークコイル64の電力を制御している。具体的には、ゼロクロス信号の検出電圧がVccとなる上方向のエッジから下方向のエッジまでの時間Tαをマイコン制御装置80に備えられるタイマーによりカウントして算出し、算出された時間Tαに対して所定の割合K(例えば、K=0.6)を指定して(時間Tαに割合Kを乗算して)、この値Tα×Kをゲート信号としているのである。ここで、割合Kは、予め任意に設定できる値である。
【0075】
ところが、従来のゲート信号は、上方向(又は下方向)のエッジから判定した周波数に応じた所定時間が経過すると、予測したゼロクロス点からONとし、このON時から設定されたduty比(一周期当たりのON時間の割合)に対応する時間経過後にIGBTのゲート信号をOFFとしている。このように、マイコン制御装置80は、周波数に依存するタイミング制御を行っているため、周波数を判定する必要があり、50Hz又は60Hz以外の交流電源の周波数では炊飯器が動作せず、また、動作した場合であっても安定してワークコイル64に電力を供給することができない。
【0076】
本実施形態によると、マイコン制御装置80がゼロクロス信号からワークコイル64のIGBTのゲート信号を割合で指定して作成し、このゲート信号によりワークコイル64の電力を制御しているので、IGBTのON又はOFF、ひいてはワークコイル64を駆動させることができ、周波数を判定する必要がなく、また、タイミング制御が不要でプログラム処理が簡易となり、マイコン制御装置80の処理の負担を軽減することができるのである。さらに、周波数変動時にも安定してワークコイル64に電力を供給することができる。つまり、周波数が変化してもSIN波に対して同じ電圧レベルで制御することができるのである。
【0077】
このように、ゼロクロス信号は、図11(b)に示す従来のゼロクロス信号と比較して、プラス側の電圧に対応する矩形波と、マイナス側の電圧に対応する矩形波と、を有するため、マイコン制御装置80がこれら二つの矩形波を所定の幅に変更してゲート信号を作成している。そして、ゼロクロス信号は、ゼロクロス点の基準となるエッジ方向が一定(共に上方向)であり、かつ、エッジタイミングが一定(T1=T2)となることから、周波数に依存する制御タイミングを周波数判定により時間指定せずに割合にて指定できるのである。
【0078】
なお、ワークコイル64のIGBTにかえて、ヒータ35・65のトライアックのゲート信号を割合で指定して作成することも可能である。
【0079】
なお、図6に示す検出時間Tdetもゲート信号と同様に、マイコン制御装置80に備えられるタイマーによりゼロクロス信号がVccとなる上方向のエッジから下方向のエッジまでの時間Taをカウントして算出し、算出された時間Tαに対する割合Kを指定して、この値K×Tαを検出時間Tdetとすることも可能である。これにより、周波数に依存せず、適切なタイミングで電流値を検出することができる。
【0080】
次に、図9を用いて、マイコン制御装置80によるソレノイド42・42の制御態様について説明する。
【0081】
マイコン制御装置80は、ゼロクロス信号からソレノイド42・42を駆動するタイミングを決定している。つまり、電源電圧が零となるゼロクロス点でソレノイド42・42を駆動させるようにして、ソレノイド42・42に電力を供給するトライアックのON又はOFFの切換時に生じる突入電流やスイッチングノイズを低減している。
【0082】
マイコン制御装置80は、前記ヒータ35・65に電力を供給するトライアックのゲート信号を作成する場合と同様に、ゼロクロス信号とソレノイド42・42のON/OFF設定からソレノイド42・42のトライアックのゲート信号を作成している。ここで、ソレノイド42・42のON/OFF設定とは、各種スイッチ69の操作やセンタセンサ66及び不図示の圧力センサの検出値からマイコン制御装置80がソレノイド42・42を駆動させるか否かを判断して設定される。
【0083】
具体的には、マイコン制御装置80は、ゼロクロス信号の下方向のエッジを検出時に、各種スイッチ69で設定されたソレノイド42・42のON/OFF設定を確認し、このソレノイド42・42の設定がONである場合には、トライアックのゲート信号をONとして出力する。そして、ゼロクロス信号の上方向のエッジを検出時に、各種スイッチ69で設定されたソレノイド42・42のON/OFF設定を確認し、このソレノイド42・42の設定がOFFである場合には、トライアックのゲート信号をOFFとして出力する。
【0084】
このように、ヒータ35・65と同様に電源ソレノイド42・42に対してゼロクロス同期により制御することができ、周波数を判定する必要がなく、また、タイミング制御が不要でプログラム処理が簡易となり、マイコン制御装置80の処理の負担を軽減することができる。また、ヒータ35・65の制御のプログラムに対して少し改良を加えるだけでよく、ソフト開発の負担を軽減することができる。
【0085】
なお、ソレノイド42・42は、常時通電すると温度が上昇し続けるため、下方向のエッジを検出してゲート信号がONとなると、所定時間tだけ通電させた後に、duty制御を行うことでソレノイド42・42を保持するように構成される。また、停電時には、復電処理後に上記の制御を行うように構成される。そして、ソレノイド42・42のOFF設定を検出すると、duty制御を停止するとともにゲート信号をOFFとするのである。
【0086】
以上のように、本発明の一実施形態に係る炊飯器1においては、交流電源Vacから供給される電力により作動する加熱手段となるワークコイル64と、前記ワークコイル64の出力を制御する制御手段となるマイコン制御装置80と、を備える炊飯器1において、前記交流電源Vacのプラス電圧からマイナス電圧及びマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点通過を検出するフォトカプラPCによりゼロクロス信号を作成し、エッジタイミングを一定とすると共に、当該エッジタイミングにより前記ワークコイル64の作動を制御するものである。これにより、ゼロクロス信号のエッジタイミングを一定とすることで、ワークコイル64に供給される電力が設定電力となるように制御することができる。従って、一定の炊飯能力を維持することができ、常に美味しいご飯を炊き上げることができる。
【0087】
また、交流電源Vacから供給される電力により作動する加熱手段となるワークコイル64と、前記ワークコイル64の出力を制御する制御手段となるマイコン制御装置80と、を備える炊飯器1において、前記交流電源Vacのプラス電圧からマイナス電圧及びマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点通過を検出するフォトカプラPCによりゼロクロス信号を作成し、エッジタイミング及びエッジ方向を一定とすると共に、当該エッジタイミング及びエッジ方向により周波数判定を行わず前記ワークコイル64の作動を制御するものである。これにより、周波数変動時にも安定してワークコイル64に電力を供給することができる。従って、一定の炊飯能力を維持することができ、常に美味しいご飯を炊き上げることができる。また、周波数判定が不要となりマイコン制御装置80の処理の負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 炊飯器(電気炊飯器)
35 蓋ヒータ
42 ソレノイド
64 ワークコイル(加熱手段)
65 保温ヒータ
76 ゼロクロス検出回路
80 マイコン制御装置(制御手段)
Vac 交流電源
PC フォトカプラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から供給される電力により作動する加熱手段と、
前記加熱手段の作動を制御する制御手段と、
を備える電気炊飯器において、
前記交流電源のプラス電圧からマイナス電圧及びマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点通過を検出するフォトカプラによりゼロクロス信号を作成し、エッジタイミングを一定とすると共に、当該エッジタイミングにより前記加熱手段の作動を制御する、
ことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
交流電源から供給される電力により作動する加熱手段と、
前記加熱手段の作動を制御する制御手段と、
を備える電気炊飯器において、
前記交流電源のプラス電圧からマイナス電圧及びマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点通過を検出するフォトカプラによりゼロクロス信号を作成し、エッジタイミング及びエッジ方向を一定とすると共に、当該エッジタイミング及びエッジ方向により周波数判定を行わず前記加熱手段の作動を制御する、
ことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項1】
交流電源から供給される電力により作動する加熱手段と、
前記加熱手段の作動を制御する制御手段と、
を備える電気炊飯器において、
前記交流電源のプラス電圧からマイナス電圧及びマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点通過を検出するフォトカプラによりゼロクロス信号を作成し、エッジタイミングを一定とすると共に、当該エッジタイミングにより前記加熱手段の作動を制御する、
ことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
交流電源から供給される電力により作動する加熱手段と、
前記加熱手段の作動を制御する制御手段と、
を備える電気炊飯器において、
前記交流電源のプラス電圧からマイナス電圧及びマイナス電圧からプラス電圧へのゼロクロス点通過を検出するフォトカプラによりゼロクロス信号を作成し、エッジタイミング及びエッジ方向を一定とすると共に、当該エッジタイミング及びエッジ方向により周波数判定を行わず前記加熱手段の作動を制御する、
ことを特徴とする電気炊飯器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−249718(P2012−249718A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122928(P2011−122928)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
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