説明

電気焼いも機

【課題】芋を載せたり取り出す際の使い勝手が良く、長時間の使用であっても筐体に接触することによる火傷の危険性がなく、芋の大きさに左右されることなく風味がよい焼き芋を焼き上げられる電気焼いも機を提供する。
【解決手段】筐体11内に配備され、側部122に2つの開口1221,1222を有するとともに、この側部122に隣接する両側部124の外面それぞれにスライドレール126が設けられた、断熱材料で内部空間121が形成された焼成庫12の内部空間121内に、スライドレール126に案内される側部132と、芋焼成部131が開口1221,1222から内部空間121内に挿入された挿入状態のときに開口1221,1222を塞ぐ断熱材133とを有する引き出し13が挿脱自在とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気発熱体を用いて芋を焼く電気焼いも機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、古木廃材や化石燃料を燃焼させることによって加熱した小石に芋を混入して芋を焼き上げ、路地引き売りされる、いわゆる石焼き芋が知られている。
【0003】
近年、焼き芋を、スーパーマーケットやコンビニエンスストアや百貨店食品売り場などといった屋内で焼き上げ、その場で焼きたてのものを販売することによって、消費者に焼きたて感をアピールし、集客効果を得たいという要求がある。
【0004】
屋内で焼き芋を焼き上げる装置として、例えば、電気ヒータ(電気発熱体)を用いて芋を焼く電気焼いも機が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この特許文献1に提案された電気焼いも機は、前方開閉扉付きのボックス内に、プレート台を対向させて設け、そのプレート台上に芋を載せる芋焼きプレートを引き出し可能に載置し、さらにボックス内の空間にその芋焼きプレートに臨ませて芋焼き用のヒータを突設したものである。このような電気焼いも機は、古木廃材や化石燃料を燃焼させる従来の焼いも機に比して、煙の排出がなく、火災の危険性が低いといった利点を有するため、屋内での利用に適する。
【0006】
また、この特許文献1に提案された電気焼いも機は、ボックスをガード板で囲うことによって、ボックスに接触することによる火傷の危険性を回避している。
【0007】
さらに、この特許文献1に提案された電気焼いも機は、ボックスの上部に内部熱気排出用の排気口が開口されており、芋に含まれている水分が水蒸気となってその排気口から排出される。そのため、ボックス内の湿度が適度に抑えられ、芋が多含水状態となることなくホクホクに焼き上げられる。
【特許文献1】特開2004−248946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に提案された電気焼いも機は、引き出し可能な芋焼きプレートが、ボックス内に設けられたプレート台上に載置されている。つまり、芋焼きプレートは、この芋焼きプレートのプレート台上に載置された部分がプレート台上に接触しながら出し入れされる。そのため、接触部分に大きな摩擦抵抗が作用することから摺動性が悪く、芋を載せたり取り出す際の使い勝手が悪いという問題がある。
【0009】
また、上記特許文献1に提案された電気焼いも機において、芋焼きプレートの引き出し時に芋焼きプレートがプレート台から外れて落下してしまうことを防止するためには、芋焼きプレートのプレート台上に載置された部分の後端側が引き出し時にプレート台上に載置されている必要がある。そのため、芋焼きプレートの引き出し量が制限されることとなり、このような点においても芋を載せたり取り出す際の使い勝手が悪い。この使い勝手の悪さは、芋焼きプレートを一旦取り出した上で芋を載せたり取り出すことによって解消されるものの、この場合、取り出した芋焼きプレートを一時的に置くスペースを要し、さらには、焼き上げ後に取り出した芋焼きプレートで火傷を負う危険性があるといった新たな問題が発生する。
【0010】
また、上記特許文献1に提案された電気焼いも機は、ボックスを囲うガード板によって火傷の危険性を回避しているものの、芋の焼成中はボックス内が200度〜300度になるため、長時間の使用でガード板が伝熱を受けて高温となってしまうおそれがある。
【0011】
また、上記特許文献1に提案された電気焼いも機は、ボックスの上部に開口された排気口から、芋に含まれている水分が水蒸気となって排出され、芋がホクホクに焼き上げられるとのことであるが、芋の大きさは千差万別であり、芋の大きさによっては風味を損ねることとなるおそれがある。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑み、芋を載せたり取り出す際の使い勝手が良く、長時間の使用であっても筐体に接触することによる火傷の危険性がなく、芋の大きさに左右されることなく風味がよい焼き芋を焼き上げられる電気焼いも機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する本発明の電気焼いも機は、
筐体内に配備され、側部に開口を有するとともに、上部に排気口を有し、その側部に隣接する両側部の外面それぞれにスライドレールが設けられた、断熱材料で内部空間を形成した焼成庫と、
上記内部空間内の空気を上記排気口から上記筐体の外部に導く流路を形成し、この流路の断面積を調整する流路調整機構が内蔵された排気筒と、
上記スライドレールに案内される側部と、石が敷き詰められこの石の上に芋が載せられる金属板からなる芋焼成部と、この芋焼成部が上記開口から上記内部空間内に挿入された挿入状態のときにその開口を塞ぐ断熱材とを有し、上記芋焼成部が上記側部の案内によって上記焼成庫の内部空間内に挿脱自在な引き出しと、
上記引き出しが上記挿入状態のときにこの挿入状態を保持するロック機構と、
上記内部空間内の、上記引き出しが挿入される空間の上方および下方に配備された電気発熱体と、
上記内部空間内に配備されこの内部空間内の温度を検出する温度センサと、
上記温度センサにより検出された温度に基づいて上記電気発熱体を制御する温度制御部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の電気焼いも機は、引き出しが、スライドレールに案内される側部を有し、この側部の案内によって焼成庫の内部空間内に挿脱自在であるため、軽い力で滑らかに引き出しを出し入れすることができる。また、引き出しの側部がスライドレールで保持されるため、引き出し全体を内部空間外に引き出すように構成することができる。従って、本発明の電気焼いも機によれば、芋を載せたり取り出す際の使い勝手が良い。
【0015】
また、本発明の電気焼いも機は、断熱材料で内部空間を形成した焼成庫の側部に設けられた開口が、上記挿入状態で引き出しの断熱材によって塞がれるため、芋の焼成中の焼成庫外部への熱の拡散が防止される。従って、本発明の電気焼いも機によれば、芋の焼成中に筐体が過熱することが防止され、長時間の使用であっても筐体に接触することによる火傷の危険性がない。
【0016】
また、本発明の電気焼いも機は、スライドレールが、このような焼成庫の外面に設けられているため、スライドレールの過熱が回避され、例えば過熱による潤滑油の劣化やベアリングの焼き付きなどが防止される。
【0017】
さらに、本発明の電気焼いも機は上記ロック機構を備えているため、芋の焼成中に不用意に引き出しが引き出されることが防止され、安全性が高い。
【0018】
また、本発明の電気焼いも機は、排気筒に内蔵された流路調整機構で上記流路の断面積を調整することによって、上記内部空間内の水蒸気排出量を調整することができる。例えば、その断面積が大きくなるように流路調整機構を調整することによって、芋の焼成中の内部空間内の水蒸気量が少なくなり、焼き上げられた焼き芋は、水分含有量が少なく硬めで実の締まったホクホク感のあるものとなる。また、その断面積が小さくなるように流路調整機構を調整することによって、芋の焼成中の内部空間内の水蒸気量が多くなり、焼き上げられた焼き芋は、水分含有量が多く軟らかめでネットリ感のあるものとなる。さらに、流路調整機構を調整することによって、芋がどのような大きさであっても、風味がよい焼き芋を焼き上げることができる。つまり、本発明の電気焼いも機によれば、流路調整機構の調整によって焼き芋の風味を選択したり、様々な大きさの芋に対応することができる。
【0019】
また、本発明の電気焼いも機は、引き出しの芋焼成部が金属板からなるものであり、金属は熱伝導率が大きいため、上記電気発熱体で発生した熱によってその金属板が略均一に加熱される。その結果、金属板から伝熱を受ける石や、ひいては石から伝熱を受ける芋が、略均一に加熱され、芋がむらなく焼き上げられる。
【0020】
また、本発明の電気焼いも機は、温度制御部によって、温度センサにより検出された温度に基づく電気発熱体の制御が行われるため、焼き上げの温度管理が容易である。
【0021】
ここで、本発明の電気焼いも機は、
上記筐体の上部に配備された第2電気発熱体と、
上記第2電気発熱体の上方に配備され、石が敷き詰められこの石の上に芋が載せられる金属板からなる芋保温部と、
上記芋保温部の温度を検出する第2温度センサと、
上記第2温度センサにより検出された温度に基づいて上記第2電気発熱体を制御する第2温度制御部とを備えたことが好ましい。
【0022】
このような好ましい形態によれば、焼き上げられた焼き芋を上記芋保温部に載せておくことによって、焼き芋を長時間にわたって保温することができ、出来たてと同様の焼き芋を常に提供することができる。また、芋保温部が金属板からなるものであり、金属は熱伝導率が大きいため、上記第2電気発熱体で発生した熱によってその金属板が略均一に加熱される。その結果、金属板から伝熱を受ける石や、ひいては石から伝熱を受ける芋が、略均一に加熱され、芋がむらなく保温される。また、第2温度制御部によって、第2温度センサにより検出された温度に基づく第2電気発熱体の制御が行われるため、保温の温度管理が容易である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の電気焼いも機によれば、芋を載せたり取り出す際の使い勝手が良い。また、長時間の使用であっても筐体に接触することによる火傷の危険性がなく、芋の焼成中に不用意に引き出しが引き出されることが防止され、安全性が高い。また、流路調整機構の調整によって、焼き芋の風味を選択したり、様々な大きさの芋に対応することができる。また、芋がむらなく焼き上げられ、焼き上げの温度管理が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態である電気焼いも機1の正面図であり、図2は、図1に示す電気焼いも機1の背面図であり、図3は、図1に示す電気焼いも機1の側面図である。
【0026】
図1〜図3に示すように、電気焼いも機1は、焼成オーブン部10と販促台部30とから構成されている。
【0027】
焼成オーブン部10は、筐体11と、焼成庫12と、2つの引き出し13と、ロック機構14と、電気発熱体15と、温度センサ16と、温度制御部17と、4つのキャスター車輪18と、電源コード19と、スタートスイッチ20と、コントロールパネル21と、排気筒22とを備えている。
【0028】
また、販促台部30は、第2電気発熱体31と、芋保温部32と、第2温度センサ33と、第2温度制御部34と、枠体35と、ディスプレイパネル枠36と、照明ランプ37とを備えている。
【0029】
まず、電気焼いも機1における焼成オーブン部10の各要素を説明する。
【0030】
図4は、図2,図3に示す焼成庫12および引き出し13の部分拡大図である。また、図5は、焼成庫12に引き出し13が挿入された状態の横断面図である。尚、図4には、2つの引き出し13のうちの下段の引き出し13が引き出された状態が示されており、筐体11および上段の引き出し13は図示省略されている。
【0031】
焼成庫12は、筐体11内に配備されており、断熱材料で内部空間121が形成されている。また、焼成庫12は、側部122に2つの開口1221,1222を有するとともに、上部123に排気口1231を有する。また、開口1221,1222を有する側部122に隣接する両側部124の外面それぞれにスライドレール126が設けられている。このスライドレール126は、内レール1261と外レール1262とからなるボールベアリング方式の2段式スライドレールであって、図示しないボールベアリングにグリスなどの潤滑油が塗布されている。そして、内レール1261が両側部124の外面それぞれに固定され、外レール1262が後述する引き出し13の側部132に固定されている。尚、スライドレールは、例えば、内レールと外レールとの間に中レールを有する3段式スライドレールであってもよい。また、ベアリング滑車方式のスライドレールであってもよい。
【0032】
スライドレール126が、断熱材料で内部空間121を形成した焼成庫12の外面に設けられているため、スライドレール126の過熱が回避され、例えば過熱による潤滑油の劣化やボールベアリングの焼き付きなどが防止される。
【0033】
2つの引き出し13のそれぞれは、ステンレス製の枠1311と鉄製の底部1312とが一体化された芋焼成部131、およびスライドレール126に案内される側部132を有する。芋焼成部131の底部1312には、径が10mm〜15mm程度の那智石40が敷き詰められ、この那智石40の上に焼き上げられるさつま芋50が載せられる。また、2つの引き出し13のそれぞれは、芋焼成部131が開口1221,1222から内部空間121内に挿入された挿入状態のときに開口1221,1222を塞ぐ断熱材133を有する。また、2つの引き出し13のそれぞれは、芋焼成部131が側部132の案内によって焼成庫12の内部空間121内に挿脱自在なものであり、挿脱のための取手134を有する。
【0034】
このように、引き出し13が、スライドレール126に案内される側部132を有し、側部132の案内によって焼成庫12の内部空間121内に挿脱自在であるため、軽い力で滑らかに引き出し13を出し入れすることができる。また、引き出し13の側部132がスライドレール126で保持されるため、引き出し13全体を内部空間121外に引き出すように構成することができる。従って、さつま芋50を載せたり取り出す際の使い勝手が良い。
【0035】
また、断熱材料で内部空間121を形成した焼成庫12の側部122に設けられた2つの開口1221,1222が、上記挿入状態で引き出し13の断熱材133によって塞がれるため、芋さつま芋50の焼成中の焼成庫12外部への熱の拡散が防止される。従って、さつま芋50の焼成中に筐体11が過熱することが防止され、長時間の使用であっても筐体11に接触することによる火傷の危険性がない。
【0036】
また、引き出し13の芋焼成部131の底部1312が鉄製であり、鉄は熱伝導率が大きいため、後述する電気発熱体15で発生した熱によって底部1312が略均一に加熱される。その結果、底部1312から伝熱を受ける那智石40や、ひいては那智石40から伝熱を受けるさつま芋50が、略均一に加熱され、さつま芋50がむらなく焼き上げられる。
【0037】
図1〜図3に戻って、電気焼いも機1における焼成オーブン部10の各要素の説明を続ける。
【0038】
ロック機構14は、引き出し13が上記挿入状態のときにこの挿入状態を保持して、引き出し13を引き出し不可能とするためのものである。このロック機構14は、図示しないスプリングが内蔵された手動押し回し式のツマミロックである。尚、ロック機構は、例えば、後述するタイマー216と連動し、設定された時間の経過後にロックが自動解除されるマグネットタイプのものであってもよい。
【0039】
このようなロック機構14が備えていることにより、さつま芋50の焼成中に不用意に引き出し13が引き出されることが防止され、安全性が高い。
【0040】
電気発熱体15は、内部空間121内の、2つの引き出し13が挿入される各空間の間、上方、および下方に配備されている。尚、電気発熱体15は、電気ヒーターであって、遠赤外線を放射する電気ヒータであればより好ましい。
【0041】
温度センサ16は、内部空間121内の、2つの引き出し13が挿入される各空間を避けた位置に配備されており、内部空間121内の温度を検出するものである。
【0042】
温度制御部17は、温度センサ16により検出された温度に基づいて、内部空間121内の温度が設定された温度となるように電気発熱体15を制御するものである。また、温度制御部17は、温度センサ16により、内部空間121内の温度が異常温度(例えば500度)であると検出された場合には、電気発熱体15を含む電気焼いも機1への通電を遮断する機能も有する。
【0043】
このように、温度制御部17によって、温度センサ16により検出された温度に基づく電気発熱体15の制御が行われるため、予熱や焼き上げの温度管理が容易である。
【0044】
4つのキャスター車輪18は、筐体11の下部四隅に配備され、電気焼いも機1を移動させるためのものである。尚、4つのキャスター車輪18のうちの2つのキャスター車輪18には、キャスター車輪18をロックするキャスターロック181が備えられている。
【0045】
電源コード19は、図示しない外部電源に接続自在な、電気焼いも機1に電力を供給するためのコードである。
【0046】
スタートスイッチ20は、電気発熱体15への通電を開始するスイッチである。
【0047】
図6は、図2,図3に示すコントロールパネル21の拡大図である。
【0048】
コントロールパネル21は、図6に示すように、リセットボタン211と、電源スイッチ212と、電源ランプ213と、ヒーターランプ214と、温度調整器215と、タイマー216と、タイマーランプ217と、ブザー218とを有する。
【0049】
リセットボタン211は、温度制御部17により電気発熱体15を含む電気焼いも機1への通電が遮断された際に、電気発熱体15を再び始動の状態に戻すためのボタンである。
【0050】
電源スイッチ212は、電源コード19が外部電源に接続された状態で押下することによって電気焼いも機1への通電を開始するスイッチである。
【0051】
電源ランプ213は、電気焼いも機1への通電に連動して点灯するランプである。
【0052】
ヒーターランプ214は、電気発熱体15への通電に連動して点灯するランプである。
【0053】
温度調整器215は、内部空間121内の温度を設定するためのものである。
【0054】
タイマー216は、予熱時間や焼き上げ時間を設定するためのものである。
【0055】
タイマーランプ217は、タイマー216の動作中に点灯するランプである。
【0056】
ブザー218は、タイマー216により設定された時間が経過したことを知らせるブザー音を発するものである。
【0057】
図7は、図2,図3に示す排気筒22の部分拡大図である。
【0058】
排気筒22は、内部空間121内の空気を排気口1231から筐体11の外部に導く流路を形成する、断面が矩形の筒体であり、この排気筒22の側面221全体が、接触による火傷防止のための、断面が円形の遮熱保護筒222で覆われている。また、排気筒22には、その流路の断面積を調整する流路調整機構223が内蔵されている。
【0059】
この流路調整機構223は、例えば図7に示すように、上記流路の断面よりもわずかに小さな略矩形板状のダンパー板2231と、このダンパー板2231の一辺から板厚方向上向きに延びる半円形状の回動補助部材2232と、回動補助部材2232の頂部近傍から板厚方向外向きに突出する手動ねじ込み式の摘み部材2233とを有する。また、排気筒22および遮熱保護筒222の、流路調整機構223が内蔵された部分に対向する壁面には、略1/4円弧状の貫通スリット長孔224が形成されており、この貫通スリット長孔224に摘み部材2233が内側から挿入され、摘み部材2233の先端が外部に露出している。また、貫通スリット長孔224の所望の位置で摘み部材2233の先端を時計回りに回すと、摘み部材2233がその位置に固定され、ダンパー板2231により調整される流路の断面積が決定される。そして、固定された摘み部材2233の先端を反時計回りに回すと、摘み部材2233の固定が解除され、ダンパー板2231により調整される流路の断面積が変更可能となる。図7(a)に示すように、摘み部材2233が貫通スリット長孔224の最上部に位置しているときに流路が全閉とされる。摘み部材2233をこの最上部から貫通スリット長孔224に沿って左下に移動させると、回動補助部材2232を介してダンパー板2231が回動して流路が徐々に開かれる。図7(b)に示すように、摘み部材2233が貫通スリット長孔224の最左下部に位置しているときに流路が全開とされる。
【0060】
このように、排気筒22に内蔵された流路調整機構223で上記流路の断面積を調整することによって、内部空間121内の水蒸気排出量を調整することができ、焼き上げられるさつま芋50の風味を選択したり、様々な大きさのさつま芋50に対応することができる。
【0061】
次に、図1〜図3に戻って、電気焼いも機1における販促台部30の各要素を説明する。
【0062】
第2電気発熱体31は、筐体11の上部に配備されている。
【0063】
芋保温部32は、鉄製の板材からなるものであって、第2電気発熱体31の上方に、傾斜した状態で配備されている。芋保温部32には、金網321が置かれ、金網321上に那智石40が敷き詰められ、この那智石40の上に焼き上げられたさつま芋50が載せられる。尚、この金網321は、那智石40の滑り止めのためのものであって、例えば芋保温部32の表面に凹凸加工や波形加工が施されている場合には、この金網321は不要である。
【0064】
芋保温部32が鉄製であり、鉄は熱伝導率が大きいため、第2電気発熱体31で発生した熱によって芋保温部32が略均一に加熱される。その結果、芋保温部32から伝熱を受ける那智石40や、ひいては那智石40から伝熱を受けるさつま芋50が、略均一に加熱され、さつま芋50がむらなく保温される。
【0065】
第2温度センサ33は、芋保温部32の温度を検出するものである。
【0066】
第2温度制御部34は、第2温度センサ33により検出された温度に基づいて、芋保温部32の温度が焼き上げられたさつま芋50の保温に最適な温度(例えば60度〜70度)となるように第2電気発熱体31を制御するものである。
【0067】
このように、第2温度制御部34によって、第2温度センサ33により検出された温度に基づく第2電気発熱体31の制御が行われるため、保温の温度管理が容易である。
【0068】
枠体35は、筐体11の上部の、第2電気発熱体31、芋保温部32、第2温度センサ33、および第2温度制御部34が配備される空間の周囲を取り囲むように設けられたものである。
【0069】
ディスプレイパネル枠36は、筐体11の上部に設けられた門型形状を有するものであって、例えば「石やきいも」などと書かれた図示しないパネルを装着することができる。
【0070】
照明ランプ37は、ディスプレイパネル枠36の上部に設けられ、芋保温部32に置かれたさつま芋50を照らすものである。
【0071】
焼き上げられたさつま芋50を芋保温部32に載せておくことによって、そのさつま芋50を長時間にわたって保温することができ、出来たてと同様の焼き芋を常に提供することができる。
【0072】
以上で、電気焼いも機1の各要素の説明を終了する。
【0073】
次に、電気焼いも機1の使用手順を説明する。
【0074】
電気焼いも機1を水平で堅牢なところに置き、この電気焼いも機1が移動しないようにキャスターロック181を用いてキャスター車輪18をロックする。
【0075】
2つの引き出し13それぞれの芋焼成部131の底部1312に那智石40を敷き詰める。その後、開口1221,1222から内部空間121内に挿入し、ロック機構14を操作して引き出し13を引き出し不可能とする。また、芋保温部32に金網321を置き、金網321上に那智石40を敷き詰める。
【0076】
必要に応じて流路調整機構223を操作し、内部空間121内の空気を排気口1231から筐体11の外部に導く流路の断面積を調整する。例えば、その断面積が大きくなるように流路調整機構223を調整することによって、さつま芋50の焼成中の内部空間121内の水蒸気量が少なくなり、焼き上げられたさつま芋50は、水分含有量が少なく硬めで実の締まったホクホク感のあるものとなる。また、その断面積が小さくなるように流路調整機構223を調整することによって、さつま芋50の焼成中の内部空間121内の水蒸気量が多くなり、焼き上げられたさつま芋50は、水分含有量が多く軟らかめでネットリ感のあるものとなる。さらに、流路調整機構223を調整することによって、さつま芋50がどのような大きさであっても、風味がよい焼き芋を焼き上げることができる。
【0077】
コントロールパネル21の電源スイッチ212が切れていることを確認して、電源コード19を外部電源に接続する。
【0078】
コントロールパネル21の電源スイッチ212を入れ、コントロールパネル21の温度調整器215を操作して、内部空間121内の温度を例えば210度に設定する。尚、コントロールパネル21の電源スイッチ212を入れると、第2電気発熱体31への通電が開始され、第2温度制御部34によって、芋保温部32の温度が焼き上げられた芋の保温に最適な温度(例えば60度〜70度)となるように第2電気発熱体31が制御される。
【0079】
コントロールパネル21のタイマー216を操作して、予熱時間を例えば40分に設定する。
【0080】
スタートスイッチ20を時計回りに90度回して電気発熱体15への通電を開始する。
【0081】
ブザー218から、タイマー216により設定された時間が経過したことを知らせるブザー音が発せられると、電気発熱体15への通電が遮断され、予熱が完了する。スタートスイッチ20を反時計回りに90度回すことによってブザー音が鳴り止む。
【0082】
ロック機構14を操作して引き出し13を引き出し可能とし、引き出された引き出し13の敷き詰められた那智石40の上に焼き上げられるさつま芋50を載せる。その後、開口1221,1222から内部空間121内に挿入し、ロック機構14を操作して引き出し13を引き出し不可能とする。
【0083】
コントロールパネル21のタイマー216を操作して、焼き上げ時間を設定する。例えば、内部空間121内の温度が210度に設定されている場合の焼き上げ時間は、さつま芋50がMサイズのときは50分に設定し、さつま芋50がLサイズのときは60分に設定し、さつま芋50がLLサイズのときは70分に設定する。尚、予熱時に設定した内部空間121内の温度を変更する場合は、コントロールパネル21の温度調整器215を再度操作する。
【0084】
スタートスイッチ20を時計回りに90度回して電気発熱体15への通電を開始する。
【0085】
ブザー218から、タイマー216により設定された時間が経過したことを知らせるブザー音が発せられると、電気発熱体15への通電が遮断され、焼き上げが完了する。スタートスイッチ20を反時計回りに90度回すことによってブザー音が鳴り止む。
【0086】
焼き上げ完了後、約10分間、引き出し13を挿入したままの状態として蒸らす。
【0087】
ロック機構14を操作して引き出し13を引き出し可能とし、引き出された引き出し13から焼き上げられたさつま芋50を取り出し、芋保温部32の敷き詰められた那智石40の上に載せる。
【0088】
以上説明したように、本実施形態の電気焼いも機1によれば、さつま芋50を載せたり取り出す際の使い勝手が良い。また、長時間の使用であっても筐体11に接触することによる火傷の危険性がなく、さつま芋50の焼成中に不用意に引き出し13が引き出されることが防止され、安全性が高い。また、流路調整機構223の調整によって、焼き上げられるさつま芋50の風味を選択したり、様々な大きさのさつま芋50に対応することができる。また、さつま芋50がむらなく焼き上げられ、焼き上げの温度管理が容易である。さらに、焼き芋を長時間にわたって保温することができ、出来たてと同様の焼き芋を常に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施形態である電気焼いも機の正面図である。
【図2】図1に示す電気焼いも機の背面図である。
【図3】図1に示す電気焼いも機の側面図である。
【図4】図2,図3に示す焼成庫および引き出しの部分拡大図である。
【図5】焼成庫に引き出しが挿入された状態の横断面図である。
【図6】図2,図3に示すコントロールパネル21の拡大図である。
【図7】図2,図3に示す排気筒の部分拡大図である。
【符号の説明】
【0090】
10 焼成オーブン部
11 筐体
12 焼成庫
121 内部空間
122,124 側部
1221,1222 開口
123 上部
1231 排気口
126 スライドレール
1261 内レール
1262 外レール
13 引き出し
131 芋焼成部
1311 枠
1312 底部
132 側部
133 断熱材
134 取手
14 ロック機構
15 電気発熱体
16 温度センサ
17 温度制御部
18 キャスター車輪
181 キャスターロック
19 電源コード
20 スタートスイッチ
21 コントロールパネル
211 リセットボタン
212 電源スイッチ
213 電源ランプ
214 ヒーターランプ
215 温度調整器
216 タイマー
217 タイマーランプ
218 ブザー
22 排気筒
221 側面
222 遮熱保護筒
223 流路調整機構
2231 ダンパー板
2232 回動補助部材
2233 摘み部材
224 貫通スリット長孔
30 販促台部
31 第2電気発熱体
32 芋保温部
321 金網
33 第2温度センサ
34 第2温度制御部
35 枠体
36 ディスプレイパネル枠
37 照明ランプ
40 那智石
50 さつま芋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配備され、側部に開口を有するとともに、上部に排気口を有し、該側部に隣接する両側部の外面それぞれにスライドレールが設けられた、断熱材料で内部空間を形成した焼成庫と、
前記内部空間内の空気を前記排気口から前記筐体の外部に導く流路を形成し、該流路の断面積を調整する流路調整機構が内蔵された排気筒と、
前記スライドレールに案内される側部と、石が敷き詰められ該石の上に芋が載せられる金属板からなる芋焼成部と、該芋焼成部が前記開口から前記内部空間内に挿入された挿入状態のときに該開口を塞ぐ断熱材とを有し、前記芋焼成部が前記側部の案内によって前記焼成庫の内部空間内に挿脱自在な引き出しと、
前記引き出しが前記挿入状態のときに該挿入状態を保持するロック機構と、
前記内部空間内の、前記引き出しが挿入される空間の上方および下方に配備された電気発熱体と、
前記内部空間内に配備され該内部空間内の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサにより検出された温度に基づいて前記電気発熱体を制御する温度制御部とを備えたことを特徴とする電気焼いも機。
【請求項2】
前記筐体の上部に配備された第2電気発熱体と、
前記第2電気発熱体の上方に配備され、石が敷き詰められ該石の上に芋が載せられる金属板からなる芋保温部と、
前記芋保温部の温度を検出する第2温度センサと、
前記第2温度センサにより検出された温度に基づいて前記第2電気発熱体を制御する第2温度制御部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の電気焼いも機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−131441(P2009−131441A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309971(P2007−309971)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000102360)エイシン電機株式会社 (3)
【Fターム(参考)】