電気融着継手、それを用いた接合方法、および電気融着継手と合成樹脂管との接合構造
【構成】 電気融着継手10は、合成樹脂管12どうしを融着接合するためのものであり、継手本体14および仮固定部16を備えている。継手本体14の両端開口部の受口18には、合成樹脂管12の管端が受容される。継手本体14の外面には、電源接続端子22が突出して形成されている。また、仮固定部16は、継手本体14の軸方向外側に配置され、合成樹脂管12の外面上に固定的に取り付けられるとともに、電源接続端子22に引っ掛けられて係止される。
【効果】 狭い場所でも簡単な作業で合成樹脂管どうしを融着接合させることが可能である。
【効果】 狭い場所でも簡単な作業で合成樹脂管どうしを融着接合させることが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気融着継手、それを用いた接合方法、および電気融着継手と合成樹脂管との接合構造に関し、特にたとえば、合成樹脂管どうしを融着接合する、電気融着継手、それを用いた接合方法、および電気融着継手と合成樹脂管との接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂管どうしを電気融着継手を用いて融着接合する際に、電気融着継手の受口に挿入した合成樹脂管を仮固定して、通電作業中に電気融着継手と合成樹脂管とがずれないようにすることが求められていた。
【0003】
たとえば、電気融着継手の受口に接続すべき合成樹脂管を挿入し、それらをベルトクランプ・チェーンクランプなどの固定具を用いて仮固定する方法が公知である。
【0004】
また、特許文献1では、継手本体(套管部分)の端部にねじクランプ(クランプ部)が形成された電気融着継手(型成形部品)と合成樹脂管との接合構造が開示されている。ねじクランプは、切り込み部およびフランジ部を有しており、また、フランジ部には、切り込み部の範囲内において、セルフタッピングネジやボルトなどのねじ部材が設けられている。そして、ねじ部材を締め付けることにより、継手本体に挿入された管を挟持し仮固定するようにしている。
【特許文献1】特公平7−92180号[F16L 47/02]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電気融着継手の受口に挿入した合成樹脂管をベルトクランプやチェーンクランプなどの固定具を用いて仮固定する場合には、それらの固定具の長さは長いので作業性が悪い。特に、集合住宅のパイプシャフト内や掘削した幅狭の溝の中などの狭い場所で配水管に電気融着継手を取り付けるために電気融着継手や合成樹脂管に固定具を装着する作業は困難な場合があった。
【0006】
また、特許文献1の技術では、ねじ部材を過度に締め付けると、継手本体が楕円に変形するなどして継手本体と管との隙間が大きくなってしまい、十分な融着強度が確保できなくなるので、締め付け具合を適宜確認しながらねじ部材を締め付ける必要があった。さらに、ねじ部材を締め付けるためにドライバなどの工具を使用する必要もあるので、やはり狭い場所での施工が困難であった。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、電気融着継手、それを用いた接合方法、および電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、集合住宅のパイプシャフト内や幅狭の掘削溝の中などの狭い場所でも簡単に施工することが可能な、電気融着継手、それを用いた接合方法、および電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0010】
第1の発明は、合成樹脂管どうしを融着接合する電気融着継手であって、合成樹脂管を受容する受口を有する継手本体、受口の内面に埋設される電熱線、継手本体の外面に突出して設けられるかつ電熱線に通電するための電源接続端子、および継手本体から軸方向外側に延び、その先端部が合成樹脂管の外面上に取り付けられて、合成樹脂管の融着接合時の抜けを防止する仮固定部を備える、電気融着継手である。
【0011】
第1の発明では、電気融着継手(10)は、合成樹脂管(12)どうしを融着接合するためのものであり、継手本体(14)および仮固定部(16)を備えている。継手本体は、ポリエチレンなどの合成樹脂によって円筒状に形成され、その両端開口部の受口(18)には、合成樹脂管の管端が受容される。受口の内面には、電熱線(20)が埋め込まれており、電熱線の両端部は、継手本体の外面から突出して形成された電源接続端子(24)に接続されている。また、仮固定部は、電気融着継手に対して合成樹脂管を仮固定するものであり、継手本体から軸方向の外側に延び、その先端部が合成樹脂管の外面上に固定的に取り付けられる。
【0012】
第1の発明によれば、クランプなどの固定具や特別な工具を使用しなくても、仮固定部によって合成樹脂管を電気融着継手に仮固定することで、合成樹脂管の融着接合時の抜けを防止することができる。したがって、狭い場所でも簡単に合成樹脂管どうしを融着接合させることができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明に従属し、仮固定部は、合成樹脂管の外面上に摺動しないように取り付けられる取付部、および取付部と継手本体とを連結する連結部を含む。
【0014】
第2の発明では、仮固定部(16)は、取付部(28)と連結部(30)とを含む。取付部は、たとえば合成樹脂管(12)の外径に対応した大きさの円筒状に形成され、合成樹脂管の外面上に摺動しないように取り付けられる。連結部は、継手本体(14)と取付部とを連結する。
【0015】
第3の発明は、第2の発明に従属し、連結部は、曲げ変形可能に取付部と継手本体とを連結する。
【0016】
第3の発明では、連結部(30)は、たとえば取付部(28)から継手本体(14)に向けて水平またはやや上向きに延びる矩形の板状体であり、曲げ変形可能に取付部と継手本体とを連結する。
【0017】
第3の発明によれば、仮固定部によって合成樹脂管を電気融着継手に仮固定する際に、取付部を合成樹脂管の外面に簡単に取り付けることが可能になる。
【0018】
第4の発明は、第2または3の発明に従属し、連結部は、弾性材によって形成される。
【0019】
第4の発明では、仮固定部(16)の連結部(30)は、たとえば合成ゴムや天然ゴム等の弾性材によって形成される。そして、仮固定部によって合成樹脂管(12)を電気融着継手(10)に仮固定する際に、たとえば連結部を少し伸ばした状態で、取付部(28)が合成樹脂管(12)の外面上に取り付けられる。
【0020】
第4の発明によれば、連結部の弾性力により合成樹脂管に対して継手本体側への引張力が作用させることができるので、電気融着継手の受口へ挿入した後の合成樹脂管の抜け方向への緩みをより確実に防止することができる。したがって、合成樹脂管の挿入不足に起因する電気融着継手と合成樹脂管との融着不良を防止することができる。
【0021】
第5の発明は、第2ないし4のいずれかの発明に従属し、取付部は、帯状に形成され、自身を外側から締め付ける締め付け手段を有する。
【0022】
第5の発明では、仮固定部(16)の取付部(28)は、帯状に形成され、たとえば合成樹脂管(12)の外面上に巻き付けられる。また、取付部は、合成樹脂管の外面上に巻き付けた取付部の帯状部分(28a)を外側から締め付ける締め付け手段(38)を有している。そして、合成樹脂管の外面上に巻き付けた取付部の帯状部分をその外側から締め付け手段で締め付けることによって、取付部を合成樹脂管の外面上に取り付ける。
【0023】
第5の発明によれば、合成樹脂管を電気融着継手の受口に挿入した後で、取付部を合成樹脂管の外面に取り付けることが可能になるので、合成樹脂管の挿入不足に起因する電気融着継手と合成樹脂管との融着不良をより確実に防止することができる。
【0024】
第6の発明は、第2ないし4のいずれかの発明に従属し、取付部は、帯状に形成され、自身の端部どうしを接離可能に接続する接続手段を有する。
【0025】
第6の発明では、仮固定部(16)の取付部(28)は、たとえば合成樹脂管(12)の外径よりも長い長さを有する帯状に形成される。また、取付部の帯状部分(28a)のたとえば各端部には、互いに接離可能な接続手段(40,42)が設けられる。そして、合成樹脂管の外面上に巻き付けた取付部の帯状部分の端部どうしを接離手段で接続することによって、取付部を合成樹脂管の外面上に取り付ける。
【0026】
第6の発明によれば、合成樹脂管を電気融着継手の受口に挿入した後で、取付部を合成樹脂管の外面に取り付けることが可能になるので、合成樹脂管の挿入不足に起因する電気融着継手と合成樹脂管との融着不良をより確実に防止することができる。
【0027】
第7の発明は、第2ないし6のいずれかの発明に従属し、仮固定部は、連結部の一方端部に設けられかつ継手本体に係止される係止部をさらに含み、継手本体に対して着脱自在に設けられる。
【0028】
第7の発明では、仮固定部(16)の連結部(30)の一方端部には、係止部(32)が形成される。係止部は、継手本体(14)に係止するための部位であり、この係止部を継手本体に係止したり取り外したりすることで、仮固定部が継手本体に対して着脱自在に設けられる。
【0029】
第7の発明によれば、電気融着継手を用いて合成樹脂管どうしを融着接合した後で、継手本体から仮固定部を取り外し、その仮固定部を他の電気融着継手の継手本体に取り付けるなどして、仮固定部を再利用することが可能である。
【0030】
第8の発明は、係止部は、電源接続端子に係止される。
【0031】
第8の発明では、仮固定部(16)の係止部(32)は、たとえば電源接続端子(24)の大きさに対応した大きさの内径を有する短円筒状に形成され、電源接続端子に引っ掛けて係止される。
【0032】
第9の発明は、第7または8の発明の電気融着継手を用いて合成樹脂管どうしを融着接合する接合方法であって、(a)合成樹脂管を継手本体の受口に挿入するステップ、(b)ステップ(a)で受口に挿入した合成樹脂管と継手本体とを仮固定部によって仮固定するステップ、(c)ステップ(b)で継手本体と合成樹脂管とを仮固定した後、受口の内面と合成樹脂管の外面とを溶融して、電気融着継手と合成樹脂管とを融着接合するステップ、(d)ステップ(c)で電気融着継手と合成樹脂管とを融着接合した後、仮固定部を継手本体および合成樹脂管から取り外すステップ、および(e)ステップ(d)で継手本体および合成樹脂管から取り外した仮固定部を、別の電気融着継手の継手本体に取り付けて、その継手本体と別の合成樹脂管とを仮固定するために利用するステップを含む、接合方法である。
【0033】
第9の発明では、ステップ(a)において、電気融着継手(10)の継手本体(14)の受口(18)に合成樹脂管(12)を挿入する。ステップ(b)において、合成樹脂管と継手本体とを仮固定部(16)によって仮固定する。ステップ(c)において、受口の内面と合成樹脂管の外面とを溶融して、電気融着継手と合成樹脂管とを融着接合する。ステップ(d)において、仮固定部を継手本体および合成樹脂管から取り外す。ステップ(e)において、継手本体および合成樹脂管から取り外した仮固定部を、別の電気融着継手の継手本体に取り付ける。そして、その継手本体と別の合成樹脂管とを仮固定するために利用する。
【0034】
第10の発明は、第1ないし8のいずれかの発明の電気融着継手、および電気融着継手の受口に挿入され、その外面に仮固定部が取り付けられて電気融着時の抜けが防止された合成樹脂管を備える、電気融着継手と合成樹脂管との接合構造である。
【0035】
第10の発明では、電気融着継手と合成樹脂管との接合構造は、電気融着継手(10)および合成樹脂管(12)を備えている。電気融着継手は、継手本体(14)を含み、継手本体の両端開口部の受口(18)に合成樹脂管の管端が受容される。継手本体の外面には、電源接続端子(26)が突出して形成されている。また、電気融着継手の仮固定部は、継手本体から軸方向外側に延び、合成樹脂管の外面上に固定的に取り付けられる。これにより、合成樹脂管が電気融着継手に仮固定されるので、電気融着継手の受口へ挿入した後の合成樹脂管の抜け方向への動きが防止される。
【0036】
この発明によれば、電気融着継手の仮固定部を利用して合成樹脂管を仮固定するようにしたため、集合住宅のパイプシャフト内や幅狭の掘削溝の中などの狭い場所でも簡単に合成樹脂管どうしの融着接合を行うことができる。
【0037】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の一実施例の電気融着継手を示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1の電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を示す側面図であり、(b)は、図1の電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を示す上面図である。
【図3】図2(a)の接合構造を示す断面図である。
【図4】図1の電気融着継手に合成樹脂管を接続する様子を示す図解図である。
【図5】この発明の他の一実施例の電気融着継手を示す斜視図である。
【図6】(a)は、図5の電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を示す側面図であり、(b)は、図5の電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を示す上面図である。
【図7】図5の電気融着継手の仮固定部を示す斜視図である。
【図8】この発明のさらに他の一実施例の電気融着継手を示す斜視図である。
【図9】(a)は、図8の電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を示す側面図であり、(b)は、図8の電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を示す上面図である。
【図10】図8の電気融着継手の仮固定部を示す斜視図である。
【図11】この発明のさらに他の一実施例の電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を示す側面図である。
【図12】図11の電気融着継手の仮固定部を示す斜視図である。
【図13】この発明のさらに他の一実施例の電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を示す側面図である。
【図14】(a)は、図11の電気融着継手の仮固定部における締め付け具を締め付けていない状態を示す図解図であり、(b)は、図11の電気融着継手の仮固定部における締め付け具を締め付けた状態を示す図解図である。
【図15】(a)は、仮固定部の変形実施例における留め具を留めていない状態を示す図解図であり、(b)は、仮固定部の変形実施例における留め具を留めた状態を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1を参照して、この発明の一実施例である電気融着継手10は、クランプなどの固定具や特別な工具を使用せずに合成樹脂管12どうしを融着接合するためのものであり、継手本体14、および継手本体14から軸方向外側に延びる仮固定部16を備えている。
【0040】
なお、ここで言う「クランプなどの固定具」とは、たとえばベルトクランプやチェーンクランプ、ねじクランプなどを意味する。
【0041】
先に合成樹脂管12について簡単に説明しておくと、図2および図3に示すように、合成樹脂管12は、ポリエチレン等の合成樹脂からなる、ガスや水道のための導管である。合成樹脂管12は、所定の口径および厚みに設定され、詳細は後に説明するように、電気融着継手10の各受口18に挿入される。たとえば、合成樹脂管12の管径は、90mmである。
【0042】
電気融着継手10の継手本体14は、ポリエチレンなどの合成樹脂によって円筒状に形成される。継手本体14の両端開口部は受口18となり、この受口18に合成樹脂管12の管端が受容される。受口18の内面には、電熱線20が埋め込まれている。受口18の内径は、たとえば90mmである。そして、継手本体14の内面における電熱線20より奥側、すなわち継手本体14の中央部内面には、合成樹脂管12の管端を止めるストッパ22が形成されている。
【0043】
電熱線20の両端部は、継手本体14の外面から突出して形成された電源接続端子24に接続されている。そして、電源接続端子24を電源に接続して、電熱線20に電流を流すと熱が発生し、この熱によって継手本体14と合成樹脂管12との接合面が溶融するようになっている。また、電源接続端子24よりも中央側の継手本体14の外面には、受口18の内面と合成樹脂管12の外面とが融着したことを示すためのインジケータ26が形成されている。
【0044】
また、継手本体14の両端部、この実施例では、継手本体14の外面の電源接続端子24には、仮固定部16が設けられる。仮固定部16は、電気融着継手10(継手本体14)に対して合成樹脂管12を仮固定するためのものであり、上述したように、継手本体14から軸方向の外側に延び、合成樹脂管12の外面に取り付けられて、合成樹脂管12の融着接合時の抜けを防止する。
【0045】
具体的には、仮固定部16は、取付部28と連結部30とを含み、シリコーンゴム、ウレタンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびエチレンプロピレンゴム(EPDM)等の合成ゴム、または天然ゴム等の弾性材によって形成される。
【0046】
取付部28は、合成樹脂管12の外面に固定的に(つまり、摺動しないように)取り付けられる部位である。たとえば、この実施例では、取付部28は、合成樹脂管12の大きさ(外径)と等しいかそれよりも小さい内径を有する短円筒状に形成され、合成樹脂管12の外面に圧着させた状態で、合成樹脂管12の外面上に外嵌される。取付部28の内径は、合成樹脂管12の外径と等しいかやや小さく設定され、たとえば50−90mmである。
【0047】
連結部30は、継手本体16(の電源接続端子24)と取付部28とを連結する矩形の板状体であり、曲げ変形可能に継手本体16と取付部28とを連結する。連結部30は、取付部28の周方向の頂上部、すなわち合成樹脂管12の管頂部に対応する部分から継手本体14に向けて水平またはやや上向きに延び、その先端部が電源接続端子24に一体的に固定されている。
【0048】
図2−4を参照して、このような電気融着継手10を用いて2つの合成樹脂管12を融着接合する方法を以下に示す。
【0049】
先ず、合成樹脂管12の管端部に対してスクレープ(削り落とす)作業を施す。
【0050】
次に、合成樹脂管12を電気融着継手10の継手本体14の各受口18に挿入するとともに、その合成樹脂管12を電気融着継手10の継手本体14に仮固定する。
【0051】
具体的には、仮固定部16の取付部28を伸ばして合成樹脂管12よりやや大きくなるように拡径させて、取付部28の中に合成樹脂管12を挿通させ、そのまま合成樹脂管12の管端を継手本体14の受口18にストッパ22に当接するまで挿入する。そして、合成樹脂管12の挿入後、合成樹脂管12の管端部の所定の位置で取付部28を元の径に戻して合成樹脂管12の外面に圧着させて外嵌することにより、取付部28を合成樹脂管12の外面上に固定的に取り付ける。
【0052】
このとき、合成樹脂管12の外面上における仮固定部16の取付部28を取り付ける所定の位置は、電気融着継手10の受口18からストッパ22までの距離に合わせて設定され、仮固定部16の連結部30を少し伸ばした状態で取付部28を合成樹脂管12の外面上に取り付けることができる位置に決定される。
【0053】
それから、図示しないコントローラの電源ケーブルを電源に接続し、電源のスイッチを入れて起動して、コントローラから延びる出力ケーブルの接続端子を電気融着継手10の電源接続端子24に接続する。そして、電熱線20に電流を流すと熱が発生し、この熱によって受口18の内面と合成樹脂管12の外面とを溶融して融着接合を行う。通電後、融着面が冷却固化した時点で合成樹脂管12どうしの融着接合が完了するので、作業を終了する。
【0054】
以上のように、この実施例によれば、電気融着継手10の受口18に挿入した合成樹脂管12の外面に仮固定部16を取り付けるだけの簡単な作業で、合成樹脂管12の抜け方向への動きを防止することができる。すなわち、クランプなどの固定具や特別な工具を使用しなくても、仮固定部16によって合成樹脂管12を電気融着継手10に仮固定することで、合成樹脂管12の融着接合時の抜けを防止することが可能である。したがって、集合住宅のパイプシャフト内や幅狭の掘削溝の中などの狭い場所でも簡単に合成樹脂管12どうしを融着接合させることができる。
【0055】
また、この実施例では、仮固定部16の取付部28が弾性材によって形成される。このため、合成樹脂管12と係止部材16との位置ずれを両者間における摩擦抵抗によって抑止することが可能である。したがって、ねじクランプなどでねじ止めをする場合と比較して、係止部材16の構造を簡素化することができる。
【0056】
さらに、仮固定部16の連結部30が弾性材によって形成されることにより、連結部30が取付部28と継手本体14とを曲げ変形可能に連結できるようになるため、仮固定部16によって合成樹脂管12を電気融着継手10に仮固定する際に、取付部28を合成樹脂管12の外面に簡単に取り付けることができる。そして、連結部30の弾性力により合成樹脂管12に対して継手本体14側への引張力を作用させることができるので、電気融着継手10の受口18へ挿入した後の合成樹脂管12の抜け方向への緩み(ずれ)をより確実に防止することができる。したがって、合成樹脂管12の挿入不足に起因する電気融着継手10と合成樹脂管12との融着不良を防止することができる。
【0057】
なお、上述の実施例では、継手本体14の電源接続端子24に仮固定部16が一体化していたが、これに限定される必要はなく、継手本体14の両端部の適宜の位置に仮固定部16を設けるようにしてもよい。
【0058】
また、必ずしも仮固定部16が継手本体14に一体化されている必要はなく、仮固定部16を継手本体14に対して着脱自在に設けるようにしてもよい。
【0059】
図5に示すこの発明の他の一実施例の電気融着継手10は、図1に示す電気融着継手10とほぼ同じであるが、仮固定部16が継手本体14に対して着脱自在に設けられる。これ以外の部分に関しては、図1に示す電気融着継手10と同様であるため、同じ参照番号を用い、その説明を省略或いは簡略化する。
【0060】
図6(a)および(b)に示すように、継手本体14は、たとえば円筒状に形成される。継手本体14の両端開口部は受口18となり、この受口18に合成樹脂管12の管端が受容される。継手本体14の外面には、電源接続端子24が突出して形成されており、この電源接続端子24に仮固定部16が着脱自在に設けられる。
【0061】
具体的には、図7に示すように、仮固定部16は、合成ゴム、または天然ゴム等の弾性材によって形成され、取付部28、連結部30、および係止部32を含み、継手本体14から軸方向の外側に延びる。
【0062】
取付部28は、合成樹脂管12の大きさ(外径)に対応した大きさの内径を有する短円筒状に形成され、合成樹脂管12の外面に圧着させた状態で、合成樹脂管12の外面上に外嵌される。
【0063】
連結部30は、取付部28の周方向の頂上部から取付部28の周方向の頂上部に向けて水平またはやや上向きに延びて、取付部28と継手本体14とを曲げ変形可能に連結し、その先端部には、係止部32が一体的に形成される。
【0064】
係止部32は、継手本体14に係止するための部位であり、この実施例では、電源接続端子24の大きさに対応した大きさの内径を有する短円筒状に形成され、電源接続端子24に引っ掛けて係止される。
【0065】
図6(a)および(b)を参照して、このような電気融着継手10を用いて2つの合成樹脂管12を融着接合する方法を以下に示す。
【0066】
先ず、合成樹脂管12に対してスクレープ(削り落とす)作業を施す。
【0067】
次に、合成樹脂管12を電気融着継手10の継手本体10の各受口18に挿入するとともに、その合成樹脂管12を電気融着継手10の継手本体14に仮固定する。
【0068】
具体的には、先ず、継手本体14(の電源接続端子24)から取り外した状態の仮固定部16の取付部28を伸ばして合成樹脂管12よりやや大きくなるように拡径させて、取付部28の中に合成樹脂管12を挿通させる。そして、合成樹脂管12の管端部の所定位置で取付部28を元の径に戻して合成樹脂管12の外面に圧着させて外嵌することにより、取付部28を合成樹脂管12の外面上に固定的に取り付ける。それから、合成樹脂管12の管端を電気融着継手10の受口18にストッパ22に当接するまで挿入し、仮固定部16の連結部30を継手本体14側に少し伸ばして係止部32を電源接続端子24に引っ掛ける。こうすることにより、仮固定部16の取付部28を取り付けた合成樹脂管12が継手本体14に係止されることとなり、合成樹脂管12の抜け方向の動きが防止される。
【0069】
ただし、施工手順は特に限定されず、上述と同じ要領で、仮固定部16を継手本体14の電源接続端子24に装着した(係止させた)状態のまま、取付部28を伸ばして合成樹脂管12よりやや大きくなるように拡径させて、取付部28の中に合成樹脂管12を挿通させ、そのまま合成樹脂管12を継手本体14の受口18に挿入した後で、合成樹脂管12の管端部の所定位置で取付部28を元の径に戻して合成樹脂管12の外面上に取り付けるようにしてもよい。
【0070】
その後、図示しないコントローラの電源ケーブルから延びる出力ケーブルの接続端子を電気融着継手10の電源接続端子24に接続する。そして、電熱線20に電流を流し、その電流の熱によって受口18の内面と合成樹脂管12の外面とを溶融して融着接合を行う。
【0071】
通電後、融着面が冷却固化した時点で合成樹脂管12どうしの融着接合が完了するので、合成樹脂管12および継手本体14から仮固定部16を取り外す。すなわち、仮固定部16の係止部32を電源接続端子24から取り外すとともに、取付部28を伸ばして合成樹脂管12よりやや大きくなるように拡径させて合成樹脂管12の反対側の管端から取り外して、作業を終了する。
【0072】
このように、この実施例においても、クランプなどの固定具や特別な工具を使用しなくても、仮固定部16によって合成樹脂管12を電気融着継手10に仮固定することで、合成樹脂管12の融着接合時の抜けを防止することが可能である。したがって、図1の実施例と同様に、狭い場所でも簡単に合成樹脂管12どうしを融着接合させることができる。
【0073】
さらに、仮固定部16の取付部28が弾性材によって形成されるため、図1の実施例と同様に、合成樹脂管12と係止部材16との位置ずれを両者間における摩擦抵抗によって抑止することが可能であり、また、電気融着継手10の受口18へ挿入した後の合成樹脂管12の抜け方向への緩み(ずれ)をより確実に防止することができる。
【0074】
さらにまた、この実施例では、係止部32を電源接続端子24に引っ掛けて係止することによって仮固定部16が継手本体14に設けられ、継手本体14と仮固定部16とが着脱自在にされる。このため、電気融着継手10を用いて合成樹脂管12どうしを融着接合した後で、継手本体14から仮固定部16を取り外し、その仮固定部16を他の電気融着継手10の継手本体14に取り付けて再利用することが可能である。したがって、低コスト化を実現できる。
【0075】
さらに、図8に示すこの発明の他の一実施例の電気融着継手10は、図5に示す電気融着継手10とほぼ同じであるが、仮固定部16の取付部28と係止部32とが保持部34によって連結される。これ以外の部分に関しては、図5に示す電気融着継手10と同様であるため、同じ参照番号を用い、その説明を省略或いは簡略化する。
【0076】
図9および図10に示すように、仮固定部16は、取付部28、連結部30、係止部32および保持部34を含み、合成ゴム、または天然ゴム等の弾性材によって形成される。取付部28は、合成樹脂管12の外径に対応した大きさの内径を有する短円筒状に形成され、合成樹脂管12の外面上に固定的に取り付けられる。連結部30は、取付部28の周方向の頂上部に設けられ、そこから取付部28の周方向の頂上部に向けて水平またはやや上向きに延びる。そして、連結部30の先端部には、係止部32が一体的に形成される。係止部32は、電源接続端子24の大きさに対応した大きさの内径を有する短円筒状に形成され、電源接続端子24に引っ掛けて係止される。
【0077】
また、取付部28の周方向の底部、すなわち合成樹脂管12の管底部に対応する部分には、保持部34が設けられる。保持部34は、半円弧状に湾曲する2つの部分34a,34bからなり、全体として短円筒形状に形成される。保持部34の2つの部分34a,34bは、それぞれ合成樹脂管12の外面に沿って左右両側から回り込むようにして、取付部28の周方向の底部と係止部32とを接続する。
【0078】
この実施例においても、クランプなどの固定具や特別な工具を使用しなくても、仮固定部16によって合成樹脂管12を電気融着継手10に仮固定することで、合成樹脂管12の融着接合時の抜けを防止することが可能である。したがって、図5の実施例と同様に、狭い場所でも簡単に合成樹脂管12どうしを融着接合させることができる。
【0079】
また、図5の実施例と同様に、継手本体14と仮固定部16とが着脱自在に設けられるため、電気融着継手10を用いて合成樹脂管12どうしを融着接合した後で、継手本体14から仮固定部16を取り外し、その仮固定部16を他の電気融着継手10の継手本体14に取り付けて再利用することが可能である。
【0080】
さらにまた、この実施例では、合成樹脂管12の管頂部に対応する取付部28の頂上部を、連結部30および係止部32を介して電源接続端子24に直接的に係止するとともに、合成樹脂管12の管底部に対応する取付部28の底部を、保持部34および係止部32を介して電源接続端子24に直接的に係止するようにしているので、電気融着継手10の受口18へ挿入した後に合成樹脂管12が上下方向へ傾くことを防止することが可能である。また、保持部34が合成樹脂管12の左右両側を回り込んで取付部28と係止部32とを連結しているため、電気融着継手10の受口18へ挿入した合成樹脂管12を保持部34の2つの部分34a,34bによって挟み込んで、左右方向に傾かないように保持することが可能である。すなわち、この実施例によれば、合成樹脂管12と電気融着継手10とを仮固定した後で、合成樹脂管12が三次元的にずれることを防止することができる。したがって、合成樹脂管12の傾きに起因する電気融着継手10と合成樹脂管12との融着不良を防止することができる。
【0081】
なお、図5および図8の実施例では、仮固定部16の連結部30が取付部28から斜め上向きに延び、その先端部に形成された短円筒状の係止部32を電源接続端子24に引っ掛けたが、これに限定される必要はない。
【0082】
たとえば、図示は省略するが、係止部32を一方端面に窪みが形成された円柱状に形成し、その窪みに電源接続端子24を嵌め込んで係止するようにしてもよい。また、必ずしも仮固定部16の係止部32を電源接続端子24に係止させる必要もなく、継手本体14の外面上に突起を別途形成し、その突起に係止部32を引っ掛けて係止させるようにしてもよい。要は、仮固定部16の係止部32が継手本体14の軸方向端部付近に脱着可能に係止できる構成であればよい。
【0083】
さらにまた、図11に示すこの発明の他の一実施例の電気融着継手10は、図5に示す電気融着継手10とほぼ同じであるが、仮固定部16の連結部30の形状が異なる。これ以外の部分に関しては、図5に示す電気融着継手10と同様であるため、同じ参照番号を用い、その説明を省略或いは簡略化する。
【0084】
図11および図12に示すように、この電気融着継手10の仮固定部16は、取付部28、および連結部30を含み、合成ゴム、または天然ゴム等の弾性材によって形成される。取付部28は、合成樹脂管12の外径に対応した大きさの内径を有する短円筒状に形成され、合成樹脂管12の外面に圧着させた状態で、合成樹脂管12の外面上に外嵌される。連結部30は、取付部28の周方向の頂上部に設けられ、そこから取付部28と同軸方向に突出する板状体であり、その先端部付近には、係止部として機能する貫通孔36が形成される。貫通孔36は、電源接続端子24の外径に対応した大きさの径の円形に形成される。たとえば、この実施例では、貫通孔36を電源接続端子24へ引っ掛ける際に連結部30を斜め上方向に曲げ易くなるように、連結部30の上面が取付部28の外面よりも段差状に低くなるように形成されている。ただし、これに限定される必要はない。
【0085】
このような電気融着継手10の継手本体10の各受口18に合成樹脂管12を挿入するとともに、合成樹脂管12の管端部の所定の位置に仮固定部16を取り付ける際には、先ず、継手本体14から取り外した状態の仮固定部16の取付部28を合成樹脂管12の外面上に固定的に取り付ける。それから、合成樹脂管12の管端を電気融着継手10の受口18にストッパ22に当接するまで挿入し、連結部30を斜め上方向に少し曲げて伸ばし、貫通孔36に電源接続端子24を挿通させることによって、連結部30を電源接続端子24に引っ掛けて係止する。
【0086】
なお、上述の各実施例ではいずれも、筒状に形成した取付部28を拡径させ、その中に合成樹脂管12を挿通させた後で元の径に戻すことによって、取付部28を合成樹脂管12の外面上に圧着させて外嵌したが、これに限定される必要はない。
【0087】
たとえば、図13に示すこの発明のさらに他の一実施例の電気融着継手10は、図11に示す電気融着継手10とほぼ同じであるが、仮固定部16の取付部28の形状が異なる。これ以外の部分に関しては、図11に示す電気融着継手10と同様であるため、同じ参照番号を用い、その説明を省略或いは簡略化する。
【0088】
図13および図14に示すように、仮固定部16の取付部28は、合成樹脂管12の外径と等しいかやや短い長さを有する帯状に形成され、その帯状部分(本体部分)28aを外側から締め付ける締め付け手段を有している。締め付け手段は、帯状部分28aの外面側に配置され、合成樹脂管12の外面上に巻き付けた取付部28の帯状部分28aを外側から締め付ける。締め付け手段には、従来公知のものを適宜用いることができ、この発明の要旨ではないので、その詳細な説明は省略するが、この実施例では、インシュロックタイ(商品名:タイトン株式会社)等のような締め付け具38が適用されている。簡単に説明すると、締め付け具38は、帯状部分28aに沿って固定される帯状の本体38a、本体38aの表面側に形成される突部38bおよび本体38aの一方端部に形成される受部38cからなる。そして、締め付け具38の本体38aの他方端部を受部38c内に挿通し、所謂インシュロック構造によって突部38bと受部38cとを互いに係止させることにより、合成樹脂管12の外面上に巻き付けた取付部28の帯状部分28aを外側から締め付けることが可能である。
【0089】
このような電気融着継手10の継手本体10の各受口18に合成樹脂管12を挿入するとともに、合成樹脂管12の管端部の所定の位置に仮固定部16を取り付ける際には、先ず、合成樹脂管12を電気融着継手10の継手本体14の受口18にストッパ22に当接するまで挿入する。それから、継手本体14(の電源接続端子24)に係止させた状態の仮固定部16の取付部28の帯状部分28aを合成樹脂管12の管端部の所定の位置の外面上に巻き付けて筒形状にして、締め付け具38によって帯状部分28aをその外側から締め付ける。
【0090】
ただし、施工手順は特に限定されず、予め合成樹脂管12の外面上に仮固定部16の取付部28を固定的に取り付けておき、その合成樹脂管12を電気融着継手12の受口18へ挿入した後で、仮固定部16の連結部30を伸ばして貫通孔36に電源接続端子24に引っ掛けて係止するようにしてもよい。
【0091】
この実施例においても、継手本体14と仮固定部16とが着脱自在に設けられ、仮固定部16の係止部32を電源接続端子24に引っ掛けて係止するようにしているため、図5、図8および図11の実施例と同様に、電気融着継手10を用いて合成樹脂管12どうしを融着接合した後で、継手本体14から仮固定部16を取り外し、その仮固定部16を他の電気融着継手10の継手本体14に取り付けて再利用することが可能である。
【0092】
その上、この実施例によれば、締め付け具38による締め付けを解除するだけで、電気融着継手10への通電後に仮固定部16の取付部28を合成樹脂管12から簡単に取り外すことができるので、係たとえ合成樹脂管12の反対側の管端がすでに継手などに接合されている場合であっても、止部材16を再利用することが可能である。
【0093】
さらに、合成樹脂管12を電気融着継手10の受口18に挿入した後で、仮固定部16を合成樹脂管12の外面に取り付けることが可能になるので、合成樹脂管12の挿入不足に起因する電気融着継手10と合成樹脂管12との融着不良をより確実に防止することができる。
【0094】
なお、図13の実施例では、合成樹脂管12の外面上に巻き付けた取付部28をその外側から締め付け具38によって締め付けるようにしたが、これに限定される必要はなく、上述したような、円筒状に形成された取付部28を合成樹脂管12の外面上に外嵌し、それを締め付け具38によって締め付けるようにしてもよい。
【0095】
また、必ずしも合成樹脂管12の外面上に巻き付けた取付部28をその外側から締め付け具38によって締め付ける必要もない。
【0096】
たとえば、図15に示す仮固定部16の変形実施例では、取付部28は、合成樹脂管12の外径よりも長い長さを有する帯状に形成され、その帯状部分(本体部分)28aの長さ方向の端部どうしを接離可能に接続する接続手段を有している。接続手段には、従来公知のものを適宜用いることができ、この発明の要旨ではないので、その詳細な説明は省略するが、この実施例では、取付部28の帯状部分28aの内側および外側の各面に、互いに接離可能なマジックテープ(登録商標)等の面ファスナ40,42が設けられる。すなわち、取付部28の帯状部分28aの一方の面には、長手方向の一方端部周辺に面ファスナ40が設けられ、また、取付部28の帯状部分28aの他方の面には、長手方向の他方端部周辺に、面ファスナ40に対応する(つまり、面ファスナ40と接離可能な)面ファスナ42が設けられる。
【0097】
このような仮固定部16を合成樹脂管12の管端部の所定の位置に取り付ける際には、先ず、合成樹脂管12を電気融着継手10の継手本体14の受口18にストッパ22に当接するまで挿入する。それから、継手本体14(の電源接続端子24)に係止させた状態の仮固定部16の取付部28の帯状部分28aを合成樹脂管12の管端部の所定の位置の外面上に巻き付け、帯状部分28aの各端部の面ファスナ40と面ファスナ42とを貼り付けて取付部28を筒形状にして、合成樹脂管12の外面上に圧着させて外嵌する。
【0098】
ただし、施工手順は特に限定されず、合成樹脂管12の外面上に仮固定部16の取付部28を取り付けておき、その合成樹脂管12を電気融着継手10の受口18へ挿入した後で、仮固定部16の連結部30を伸ばして貫通孔36に電源接続端子24に引っ掛けて係止するようにしてもよい。
【0099】
なお、図15に示す実施例では、取付部28の各端部の面ファスナ40,42を貼り合わせることによって、取付部28の端部どうしを接続するようにしたが、これに限定される必要はなく、適宜の接続手段を適用することができる。一例として、取付部28の帯状部分28aの端部どうしを粘着テープなどで接続するようにしてもよい。この場合には、帯状部分28aの端部どうしを重ね合わせる必要がないので、取付部28を必ずしも合成樹脂管12の外径よりも長い長さの帯状に形成する必要はない。
【0100】
さらに、図14および図15の仮固定部16に保持部34を形成するようにしてもよい。
【0101】
さらにまた、図14および図15の仮固定部16に係止部32を設けずに、仮固定部16の連結部30の一方端部を電源接続端子24と一体的に設けるようにしてもよい。
【0102】
ところで、上述の各実施例ではいずれも、ソケット型の継手本体14を有する電気融着継手10により合成樹脂管12を融着接合した場合を示したが、これに限定される必要はなく、ベンド型、フランジ型またはエルボ型等のような他のタイプの継手本体14を有する電気融着継手10により合成樹脂管12を融着接合するようにしてもよい。
【0103】
さらにまた、上述した径や高さ等の具体的数値は、いずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0104】
10 …電気融着継手
12 …合成樹脂管
14 …継手本体
16 …仮固定部
18 …受口
20 …電熱線
24 …電源接続端子
28 …取付部
30 …連結部
32 …係止部
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気融着継手、それを用いた接合方法、および電気融着継手と合成樹脂管との接合構造に関し、特にたとえば、合成樹脂管どうしを融着接合する、電気融着継手、それを用いた接合方法、および電気融着継手と合成樹脂管との接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂管どうしを電気融着継手を用いて融着接合する際に、電気融着継手の受口に挿入した合成樹脂管を仮固定して、通電作業中に電気融着継手と合成樹脂管とがずれないようにすることが求められていた。
【0003】
たとえば、電気融着継手の受口に接続すべき合成樹脂管を挿入し、それらをベルトクランプ・チェーンクランプなどの固定具を用いて仮固定する方法が公知である。
【0004】
また、特許文献1では、継手本体(套管部分)の端部にねじクランプ(クランプ部)が形成された電気融着継手(型成形部品)と合成樹脂管との接合構造が開示されている。ねじクランプは、切り込み部およびフランジ部を有しており、また、フランジ部には、切り込み部の範囲内において、セルフタッピングネジやボルトなどのねじ部材が設けられている。そして、ねじ部材を締め付けることにより、継手本体に挿入された管を挟持し仮固定するようにしている。
【特許文献1】特公平7−92180号[F16L 47/02]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電気融着継手の受口に挿入した合成樹脂管をベルトクランプやチェーンクランプなどの固定具を用いて仮固定する場合には、それらの固定具の長さは長いので作業性が悪い。特に、集合住宅のパイプシャフト内や掘削した幅狭の溝の中などの狭い場所で配水管に電気融着継手を取り付けるために電気融着継手や合成樹脂管に固定具を装着する作業は困難な場合があった。
【0006】
また、特許文献1の技術では、ねじ部材を過度に締め付けると、継手本体が楕円に変形するなどして継手本体と管との隙間が大きくなってしまい、十分な融着強度が確保できなくなるので、締め付け具合を適宜確認しながらねじ部材を締め付ける必要があった。さらに、ねじ部材を締め付けるためにドライバなどの工具を使用する必要もあるので、やはり狭い場所での施工が困難であった。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、電気融着継手、それを用いた接合方法、および電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、集合住宅のパイプシャフト内や幅狭の掘削溝の中などの狭い場所でも簡単に施工することが可能な、電気融着継手、それを用いた接合方法、および電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0010】
第1の発明は、合成樹脂管どうしを融着接合する電気融着継手であって、合成樹脂管を受容する受口を有する継手本体、受口の内面に埋設される電熱線、継手本体の外面に突出して設けられるかつ電熱線に通電するための電源接続端子、および継手本体から軸方向外側に延び、その先端部が合成樹脂管の外面上に取り付けられて、合成樹脂管の融着接合時の抜けを防止する仮固定部を備える、電気融着継手である。
【0011】
第1の発明では、電気融着継手(10)は、合成樹脂管(12)どうしを融着接合するためのものであり、継手本体(14)および仮固定部(16)を備えている。継手本体は、ポリエチレンなどの合成樹脂によって円筒状に形成され、その両端開口部の受口(18)には、合成樹脂管の管端が受容される。受口の内面には、電熱線(20)が埋め込まれており、電熱線の両端部は、継手本体の外面から突出して形成された電源接続端子(24)に接続されている。また、仮固定部は、電気融着継手に対して合成樹脂管を仮固定するものであり、継手本体から軸方向の外側に延び、その先端部が合成樹脂管の外面上に固定的に取り付けられる。
【0012】
第1の発明によれば、クランプなどの固定具や特別な工具を使用しなくても、仮固定部によって合成樹脂管を電気融着継手に仮固定することで、合成樹脂管の融着接合時の抜けを防止することができる。したがって、狭い場所でも簡単に合成樹脂管どうしを融着接合させることができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明に従属し、仮固定部は、合成樹脂管の外面上に摺動しないように取り付けられる取付部、および取付部と継手本体とを連結する連結部を含む。
【0014】
第2の発明では、仮固定部(16)は、取付部(28)と連結部(30)とを含む。取付部は、たとえば合成樹脂管(12)の外径に対応した大きさの円筒状に形成され、合成樹脂管の外面上に摺動しないように取り付けられる。連結部は、継手本体(14)と取付部とを連結する。
【0015】
第3の発明は、第2の発明に従属し、連結部は、曲げ変形可能に取付部と継手本体とを連結する。
【0016】
第3の発明では、連結部(30)は、たとえば取付部(28)から継手本体(14)に向けて水平またはやや上向きに延びる矩形の板状体であり、曲げ変形可能に取付部と継手本体とを連結する。
【0017】
第3の発明によれば、仮固定部によって合成樹脂管を電気融着継手に仮固定する際に、取付部を合成樹脂管の外面に簡単に取り付けることが可能になる。
【0018】
第4の発明は、第2または3の発明に従属し、連結部は、弾性材によって形成される。
【0019】
第4の発明では、仮固定部(16)の連結部(30)は、たとえば合成ゴムや天然ゴム等の弾性材によって形成される。そして、仮固定部によって合成樹脂管(12)を電気融着継手(10)に仮固定する際に、たとえば連結部を少し伸ばした状態で、取付部(28)が合成樹脂管(12)の外面上に取り付けられる。
【0020】
第4の発明によれば、連結部の弾性力により合成樹脂管に対して継手本体側への引張力が作用させることができるので、電気融着継手の受口へ挿入した後の合成樹脂管の抜け方向への緩みをより確実に防止することができる。したがって、合成樹脂管の挿入不足に起因する電気融着継手と合成樹脂管との融着不良を防止することができる。
【0021】
第5の発明は、第2ないし4のいずれかの発明に従属し、取付部は、帯状に形成され、自身を外側から締め付ける締め付け手段を有する。
【0022】
第5の発明では、仮固定部(16)の取付部(28)は、帯状に形成され、たとえば合成樹脂管(12)の外面上に巻き付けられる。また、取付部は、合成樹脂管の外面上に巻き付けた取付部の帯状部分(28a)を外側から締め付ける締め付け手段(38)を有している。そして、合成樹脂管の外面上に巻き付けた取付部の帯状部分をその外側から締め付け手段で締め付けることによって、取付部を合成樹脂管の外面上に取り付ける。
【0023】
第5の発明によれば、合成樹脂管を電気融着継手の受口に挿入した後で、取付部を合成樹脂管の外面に取り付けることが可能になるので、合成樹脂管の挿入不足に起因する電気融着継手と合成樹脂管との融着不良をより確実に防止することができる。
【0024】
第6の発明は、第2ないし4のいずれかの発明に従属し、取付部は、帯状に形成され、自身の端部どうしを接離可能に接続する接続手段を有する。
【0025】
第6の発明では、仮固定部(16)の取付部(28)は、たとえば合成樹脂管(12)の外径よりも長い長さを有する帯状に形成される。また、取付部の帯状部分(28a)のたとえば各端部には、互いに接離可能な接続手段(40,42)が設けられる。そして、合成樹脂管の外面上に巻き付けた取付部の帯状部分の端部どうしを接離手段で接続することによって、取付部を合成樹脂管の外面上に取り付ける。
【0026】
第6の発明によれば、合成樹脂管を電気融着継手の受口に挿入した後で、取付部を合成樹脂管の外面に取り付けることが可能になるので、合成樹脂管の挿入不足に起因する電気融着継手と合成樹脂管との融着不良をより確実に防止することができる。
【0027】
第7の発明は、第2ないし6のいずれかの発明に従属し、仮固定部は、連結部の一方端部に設けられかつ継手本体に係止される係止部をさらに含み、継手本体に対して着脱自在に設けられる。
【0028】
第7の発明では、仮固定部(16)の連結部(30)の一方端部には、係止部(32)が形成される。係止部は、継手本体(14)に係止するための部位であり、この係止部を継手本体に係止したり取り外したりすることで、仮固定部が継手本体に対して着脱自在に設けられる。
【0029】
第7の発明によれば、電気融着継手を用いて合成樹脂管どうしを融着接合した後で、継手本体から仮固定部を取り外し、その仮固定部を他の電気融着継手の継手本体に取り付けるなどして、仮固定部を再利用することが可能である。
【0030】
第8の発明は、係止部は、電源接続端子に係止される。
【0031】
第8の発明では、仮固定部(16)の係止部(32)は、たとえば電源接続端子(24)の大きさに対応した大きさの内径を有する短円筒状に形成され、電源接続端子に引っ掛けて係止される。
【0032】
第9の発明は、第7または8の発明の電気融着継手を用いて合成樹脂管どうしを融着接合する接合方法であって、(a)合成樹脂管を継手本体の受口に挿入するステップ、(b)ステップ(a)で受口に挿入した合成樹脂管と継手本体とを仮固定部によって仮固定するステップ、(c)ステップ(b)で継手本体と合成樹脂管とを仮固定した後、受口の内面と合成樹脂管の外面とを溶融して、電気融着継手と合成樹脂管とを融着接合するステップ、(d)ステップ(c)で電気融着継手と合成樹脂管とを融着接合した後、仮固定部を継手本体および合成樹脂管から取り外すステップ、および(e)ステップ(d)で継手本体および合成樹脂管から取り外した仮固定部を、別の電気融着継手の継手本体に取り付けて、その継手本体と別の合成樹脂管とを仮固定するために利用するステップを含む、接合方法である。
【0033】
第9の発明では、ステップ(a)において、電気融着継手(10)の継手本体(14)の受口(18)に合成樹脂管(12)を挿入する。ステップ(b)において、合成樹脂管と継手本体とを仮固定部(16)によって仮固定する。ステップ(c)において、受口の内面と合成樹脂管の外面とを溶融して、電気融着継手と合成樹脂管とを融着接合する。ステップ(d)において、仮固定部を継手本体および合成樹脂管から取り外す。ステップ(e)において、継手本体および合成樹脂管から取り外した仮固定部を、別の電気融着継手の継手本体に取り付ける。そして、その継手本体と別の合成樹脂管とを仮固定するために利用する。
【0034】
第10の発明は、第1ないし8のいずれかの発明の電気融着継手、および電気融着継手の受口に挿入され、その外面に仮固定部が取り付けられて電気融着時の抜けが防止された合成樹脂管を備える、電気融着継手と合成樹脂管との接合構造である。
【0035】
第10の発明では、電気融着継手と合成樹脂管との接合構造は、電気融着継手(10)および合成樹脂管(12)を備えている。電気融着継手は、継手本体(14)を含み、継手本体の両端開口部の受口(18)に合成樹脂管の管端が受容される。継手本体の外面には、電源接続端子(26)が突出して形成されている。また、電気融着継手の仮固定部は、継手本体から軸方向外側に延び、合成樹脂管の外面上に固定的に取り付けられる。これにより、合成樹脂管が電気融着継手に仮固定されるので、電気融着継手の受口へ挿入した後の合成樹脂管の抜け方向への動きが防止される。
【0036】
この発明によれば、電気融着継手の仮固定部を利用して合成樹脂管を仮固定するようにしたため、集合住宅のパイプシャフト内や幅狭の掘削溝の中などの狭い場所でも簡単に合成樹脂管どうしの融着接合を行うことができる。
【0037】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の一実施例の電気融着継手を示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1の電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を示す側面図であり、(b)は、図1の電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を示す上面図である。
【図3】図2(a)の接合構造を示す断面図である。
【図4】図1の電気融着継手に合成樹脂管を接続する様子を示す図解図である。
【図5】この発明の他の一実施例の電気融着継手を示す斜視図である。
【図6】(a)は、図5の電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を示す側面図であり、(b)は、図5の電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を示す上面図である。
【図7】図5の電気融着継手の仮固定部を示す斜視図である。
【図8】この発明のさらに他の一実施例の電気融着継手を示す斜視図である。
【図9】(a)は、図8の電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を示す側面図であり、(b)は、図8の電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を示す上面図である。
【図10】図8の電気融着継手の仮固定部を示す斜視図である。
【図11】この発明のさらに他の一実施例の電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を示す側面図である。
【図12】図11の電気融着継手の仮固定部を示す斜視図である。
【図13】この発明のさらに他の一実施例の電気融着継手と合成樹脂管との接合構造を示す側面図である。
【図14】(a)は、図11の電気融着継手の仮固定部における締め付け具を締め付けていない状態を示す図解図であり、(b)は、図11の電気融着継手の仮固定部における締め付け具を締め付けた状態を示す図解図である。
【図15】(a)は、仮固定部の変形実施例における留め具を留めていない状態を示す図解図であり、(b)は、仮固定部の変形実施例における留め具を留めた状態を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1を参照して、この発明の一実施例である電気融着継手10は、クランプなどの固定具や特別な工具を使用せずに合成樹脂管12どうしを融着接合するためのものであり、継手本体14、および継手本体14から軸方向外側に延びる仮固定部16を備えている。
【0040】
なお、ここで言う「クランプなどの固定具」とは、たとえばベルトクランプやチェーンクランプ、ねじクランプなどを意味する。
【0041】
先に合成樹脂管12について簡単に説明しておくと、図2および図3に示すように、合成樹脂管12は、ポリエチレン等の合成樹脂からなる、ガスや水道のための導管である。合成樹脂管12は、所定の口径および厚みに設定され、詳細は後に説明するように、電気融着継手10の各受口18に挿入される。たとえば、合成樹脂管12の管径は、90mmである。
【0042】
電気融着継手10の継手本体14は、ポリエチレンなどの合成樹脂によって円筒状に形成される。継手本体14の両端開口部は受口18となり、この受口18に合成樹脂管12の管端が受容される。受口18の内面には、電熱線20が埋め込まれている。受口18の内径は、たとえば90mmである。そして、継手本体14の内面における電熱線20より奥側、すなわち継手本体14の中央部内面には、合成樹脂管12の管端を止めるストッパ22が形成されている。
【0043】
電熱線20の両端部は、継手本体14の外面から突出して形成された電源接続端子24に接続されている。そして、電源接続端子24を電源に接続して、電熱線20に電流を流すと熱が発生し、この熱によって継手本体14と合成樹脂管12との接合面が溶融するようになっている。また、電源接続端子24よりも中央側の継手本体14の外面には、受口18の内面と合成樹脂管12の外面とが融着したことを示すためのインジケータ26が形成されている。
【0044】
また、継手本体14の両端部、この実施例では、継手本体14の外面の電源接続端子24には、仮固定部16が設けられる。仮固定部16は、電気融着継手10(継手本体14)に対して合成樹脂管12を仮固定するためのものであり、上述したように、継手本体14から軸方向の外側に延び、合成樹脂管12の外面に取り付けられて、合成樹脂管12の融着接合時の抜けを防止する。
【0045】
具体的には、仮固定部16は、取付部28と連結部30とを含み、シリコーンゴム、ウレタンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびエチレンプロピレンゴム(EPDM)等の合成ゴム、または天然ゴム等の弾性材によって形成される。
【0046】
取付部28は、合成樹脂管12の外面に固定的に(つまり、摺動しないように)取り付けられる部位である。たとえば、この実施例では、取付部28は、合成樹脂管12の大きさ(外径)と等しいかそれよりも小さい内径を有する短円筒状に形成され、合成樹脂管12の外面に圧着させた状態で、合成樹脂管12の外面上に外嵌される。取付部28の内径は、合成樹脂管12の外径と等しいかやや小さく設定され、たとえば50−90mmである。
【0047】
連結部30は、継手本体16(の電源接続端子24)と取付部28とを連結する矩形の板状体であり、曲げ変形可能に継手本体16と取付部28とを連結する。連結部30は、取付部28の周方向の頂上部、すなわち合成樹脂管12の管頂部に対応する部分から継手本体14に向けて水平またはやや上向きに延び、その先端部が電源接続端子24に一体的に固定されている。
【0048】
図2−4を参照して、このような電気融着継手10を用いて2つの合成樹脂管12を融着接合する方法を以下に示す。
【0049】
先ず、合成樹脂管12の管端部に対してスクレープ(削り落とす)作業を施す。
【0050】
次に、合成樹脂管12を電気融着継手10の継手本体14の各受口18に挿入するとともに、その合成樹脂管12を電気融着継手10の継手本体14に仮固定する。
【0051】
具体的には、仮固定部16の取付部28を伸ばして合成樹脂管12よりやや大きくなるように拡径させて、取付部28の中に合成樹脂管12を挿通させ、そのまま合成樹脂管12の管端を継手本体14の受口18にストッパ22に当接するまで挿入する。そして、合成樹脂管12の挿入後、合成樹脂管12の管端部の所定の位置で取付部28を元の径に戻して合成樹脂管12の外面に圧着させて外嵌することにより、取付部28を合成樹脂管12の外面上に固定的に取り付ける。
【0052】
このとき、合成樹脂管12の外面上における仮固定部16の取付部28を取り付ける所定の位置は、電気融着継手10の受口18からストッパ22までの距離に合わせて設定され、仮固定部16の連結部30を少し伸ばした状態で取付部28を合成樹脂管12の外面上に取り付けることができる位置に決定される。
【0053】
それから、図示しないコントローラの電源ケーブルを電源に接続し、電源のスイッチを入れて起動して、コントローラから延びる出力ケーブルの接続端子を電気融着継手10の電源接続端子24に接続する。そして、電熱線20に電流を流すと熱が発生し、この熱によって受口18の内面と合成樹脂管12の外面とを溶融して融着接合を行う。通電後、融着面が冷却固化した時点で合成樹脂管12どうしの融着接合が完了するので、作業を終了する。
【0054】
以上のように、この実施例によれば、電気融着継手10の受口18に挿入した合成樹脂管12の外面に仮固定部16を取り付けるだけの簡単な作業で、合成樹脂管12の抜け方向への動きを防止することができる。すなわち、クランプなどの固定具や特別な工具を使用しなくても、仮固定部16によって合成樹脂管12を電気融着継手10に仮固定することで、合成樹脂管12の融着接合時の抜けを防止することが可能である。したがって、集合住宅のパイプシャフト内や幅狭の掘削溝の中などの狭い場所でも簡単に合成樹脂管12どうしを融着接合させることができる。
【0055】
また、この実施例では、仮固定部16の取付部28が弾性材によって形成される。このため、合成樹脂管12と係止部材16との位置ずれを両者間における摩擦抵抗によって抑止することが可能である。したがって、ねじクランプなどでねじ止めをする場合と比較して、係止部材16の構造を簡素化することができる。
【0056】
さらに、仮固定部16の連結部30が弾性材によって形成されることにより、連結部30が取付部28と継手本体14とを曲げ変形可能に連結できるようになるため、仮固定部16によって合成樹脂管12を電気融着継手10に仮固定する際に、取付部28を合成樹脂管12の外面に簡単に取り付けることができる。そして、連結部30の弾性力により合成樹脂管12に対して継手本体14側への引張力を作用させることができるので、電気融着継手10の受口18へ挿入した後の合成樹脂管12の抜け方向への緩み(ずれ)をより確実に防止することができる。したがって、合成樹脂管12の挿入不足に起因する電気融着継手10と合成樹脂管12との融着不良を防止することができる。
【0057】
なお、上述の実施例では、継手本体14の電源接続端子24に仮固定部16が一体化していたが、これに限定される必要はなく、継手本体14の両端部の適宜の位置に仮固定部16を設けるようにしてもよい。
【0058】
また、必ずしも仮固定部16が継手本体14に一体化されている必要はなく、仮固定部16を継手本体14に対して着脱自在に設けるようにしてもよい。
【0059】
図5に示すこの発明の他の一実施例の電気融着継手10は、図1に示す電気融着継手10とほぼ同じであるが、仮固定部16が継手本体14に対して着脱自在に設けられる。これ以外の部分に関しては、図1に示す電気融着継手10と同様であるため、同じ参照番号を用い、その説明を省略或いは簡略化する。
【0060】
図6(a)および(b)に示すように、継手本体14は、たとえば円筒状に形成される。継手本体14の両端開口部は受口18となり、この受口18に合成樹脂管12の管端が受容される。継手本体14の外面には、電源接続端子24が突出して形成されており、この電源接続端子24に仮固定部16が着脱自在に設けられる。
【0061】
具体的には、図7に示すように、仮固定部16は、合成ゴム、または天然ゴム等の弾性材によって形成され、取付部28、連結部30、および係止部32を含み、継手本体14から軸方向の外側に延びる。
【0062】
取付部28は、合成樹脂管12の大きさ(外径)に対応した大きさの内径を有する短円筒状に形成され、合成樹脂管12の外面に圧着させた状態で、合成樹脂管12の外面上に外嵌される。
【0063】
連結部30は、取付部28の周方向の頂上部から取付部28の周方向の頂上部に向けて水平またはやや上向きに延びて、取付部28と継手本体14とを曲げ変形可能に連結し、その先端部には、係止部32が一体的に形成される。
【0064】
係止部32は、継手本体14に係止するための部位であり、この実施例では、電源接続端子24の大きさに対応した大きさの内径を有する短円筒状に形成され、電源接続端子24に引っ掛けて係止される。
【0065】
図6(a)および(b)を参照して、このような電気融着継手10を用いて2つの合成樹脂管12を融着接合する方法を以下に示す。
【0066】
先ず、合成樹脂管12に対してスクレープ(削り落とす)作業を施す。
【0067】
次に、合成樹脂管12を電気融着継手10の継手本体10の各受口18に挿入するとともに、その合成樹脂管12を電気融着継手10の継手本体14に仮固定する。
【0068】
具体的には、先ず、継手本体14(の電源接続端子24)から取り外した状態の仮固定部16の取付部28を伸ばして合成樹脂管12よりやや大きくなるように拡径させて、取付部28の中に合成樹脂管12を挿通させる。そして、合成樹脂管12の管端部の所定位置で取付部28を元の径に戻して合成樹脂管12の外面に圧着させて外嵌することにより、取付部28を合成樹脂管12の外面上に固定的に取り付ける。それから、合成樹脂管12の管端を電気融着継手10の受口18にストッパ22に当接するまで挿入し、仮固定部16の連結部30を継手本体14側に少し伸ばして係止部32を電源接続端子24に引っ掛ける。こうすることにより、仮固定部16の取付部28を取り付けた合成樹脂管12が継手本体14に係止されることとなり、合成樹脂管12の抜け方向の動きが防止される。
【0069】
ただし、施工手順は特に限定されず、上述と同じ要領で、仮固定部16を継手本体14の電源接続端子24に装着した(係止させた)状態のまま、取付部28を伸ばして合成樹脂管12よりやや大きくなるように拡径させて、取付部28の中に合成樹脂管12を挿通させ、そのまま合成樹脂管12を継手本体14の受口18に挿入した後で、合成樹脂管12の管端部の所定位置で取付部28を元の径に戻して合成樹脂管12の外面上に取り付けるようにしてもよい。
【0070】
その後、図示しないコントローラの電源ケーブルから延びる出力ケーブルの接続端子を電気融着継手10の電源接続端子24に接続する。そして、電熱線20に電流を流し、その電流の熱によって受口18の内面と合成樹脂管12の外面とを溶融して融着接合を行う。
【0071】
通電後、融着面が冷却固化した時点で合成樹脂管12どうしの融着接合が完了するので、合成樹脂管12および継手本体14から仮固定部16を取り外す。すなわち、仮固定部16の係止部32を電源接続端子24から取り外すとともに、取付部28を伸ばして合成樹脂管12よりやや大きくなるように拡径させて合成樹脂管12の反対側の管端から取り外して、作業を終了する。
【0072】
このように、この実施例においても、クランプなどの固定具や特別な工具を使用しなくても、仮固定部16によって合成樹脂管12を電気融着継手10に仮固定することで、合成樹脂管12の融着接合時の抜けを防止することが可能である。したがって、図1の実施例と同様に、狭い場所でも簡単に合成樹脂管12どうしを融着接合させることができる。
【0073】
さらに、仮固定部16の取付部28が弾性材によって形成されるため、図1の実施例と同様に、合成樹脂管12と係止部材16との位置ずれを両者間における摩擦抵抗によって抑止することが可能であり、また、電気融着継手10の受口18へ挿入した後の合成樹脂管12の抜け方向への緩み(ずれ)をより確実に防止することができる。
【0074】
さらにまた、この実施例では、係止部32を電源接続端子24に引っ掛けて係止することによって仮固定部16が継手本体14に設けられ、継手本体14と仮固定部16とが着脱自在にされる。このため、電気融着継手10を用いて合成樹脂管12どうしを融着接合した後で、継手本体14から仮固定部16を取り外し、その仮固定部16を他の電気融着継手10の継手本体14に取り付けて再利用することが可能である。したがって、低コスト化を実現できる。
【0075】
さらに、図8に示すこの発明の他の一実施例の電気融着継手10は、図5に示す電気融着継手10とほぼ同じであるが、仮固定部16の取付部28と係止部32とが保持部34によって連結される。これ以外の部分に関しては、図5に示す電気融着継手10と同様であるため、同じ参照番号を用い、その説明を省略或いは簡略化する。
【0076】
図9および図10に示すように、仮固定部16は、取付部28、連結部30、係止部32および保持部34を含み、合成ゴム、または天然ゴム等の弾性材によって形成される。取付部28は、合成樹脂管12の外径に対応した大きさの内径を有する短円筒状に形成され、合成樹脂管12の外面上に固定的に取り付けられる。連結部30は、取付部28の周方向の頂上部に設けられ、そこから取付部28の周方向の頂上部に向けて水平またはやや上向きに延びる。そして、連結部30の先端部には、係止部32が一体的に形成される。係止部32は、電源接続端子24の大きさに対応した大きさの内径を有する短円筒状に形成され、電源接続端子24に引っ掛けて係止される。
【0077】
また、取付部28の周方向の底部、すなわち合成樹脂管12の管底部に対応する部分には、保持部34が設けられる。保持部34は、半円弧状に湾曲する2つの部分34a,34bからなり、全体として短円筒形状に形成される。保持部34の2つの部分34a,34bは、それぞれ合成樹脂管12の外面に沿って左右両側から回り込むようにして、取付部28の周方向の底部と係止部32とを接続する。
【0078】
この実施例においても、クランプなどの固定具や特別な工具を使用しなくても、仮固定部16によって合成樹脂管12を電気融着継手10に仮固定することで、合成樹脂管12の融着接合時の抜けを防止することが可能である。したがって、図5の実施例と同様に、狭い場所でも簡単に合成樹脂管12どうしを融着接合させることができる。
【0079】
また、図5の実施例と同様に、継手本体14と仮固定部16とが着脱自在に設けられるため、電気融着継手10を用いて合成樹脂管12どうしを融着接合した後で、継手本体14から仮固定部16を取り外し、その仮固定部16を他の電気融着継手10の継手本体14に取り付けて再利用することが可能である。
【0080】
さらにまた、この実施例では、合成樹脂管12の管頂部に対応する取付部28の頂上部を、連結部30および係止部32を介して電源接続端子24に直接的に係止するとともに、合成樹脂管12の管底部に対応する取付部28の底部を、保持部34および係止部32を介して電源接続端子24に直接的に係止するようにしているので、電気融着継手10の受口18へ挿入した後に合成樹脂管12が上下方向へ傾くことを防止することが可能である。また、保持部34が合成樹脂管12の左右両側を回り込んで取付部28と係止部32とを連結しているため、電気融着継手10の受口18へ挿入した合成樹脂管12を保持部34の2つの部分34a,34bによって挟み込んで、左右方向に傾かないように保持することが可能である。すなわち、この実施例によれば、合成樹脂管12と電気融着継手10とを仮固定した後で、合成樹脂管12が三次元的にずれることを防止することができる。したがって、合成樹脂管12の傾きに起因する電気融着継手10と合成樹脂管12との融着不良を防止することができる。
【0081】
なお、図5および図8の実施例では、仮固定部16の連結部30が取付部28から斜め上向きに延び、その先端部に形成された短円筒状の係止部32を電源接続端子24に引っ掛けたが、これに限定される必要はない。
【0082】
たとえば、図示は省略するが、係止部32を一方端面に窪みが形成された円柱状に形成し、その窪みに電源接続端子24を嵌め込んで係止するようにしてもよい。また、必ずしも仮固定部16の係止部32を電源接続端子24に係止させる必要もなく、継手本体14の外面上に突起を別途形成し、その突起に係止部32を引っ掛けて係止させるようにしてもよい。要は、仮固定部16の係止部32が継手本体14の軸方向端部付近に脱着可能に係止できる構成であればよい。
【0083】
さらにまた、図11に示すこの発明の他の一実施例の電気融着継手10は、図5に示す電気融着継手10とほぼ同じであるが、仮固定部16の連結部30の形状が異なる。これ以外の部分に関しては、図5に示す電気融着継手10と同様であるため、同じ参照番号を用い、その説明を省略或いは簡略化する。
【0084】
図11および図12に示すように、この電気融着継手10の仮固定部16は、取付部28、および連結部30を含み、合成ゴム、または天然ゴム等の弾性材によって形成される。取付部28は、合成樹脂管12の外径に対応した大きさの内径を有する短円筒状に形成され、合成樹脂管12の外面に圧着させた状態で、合成樹脂管12の外面上に外嵌される。連結部30は、取付部28の周方向の頂上部に設けられ、そこから取付部28と同軸方向に突出する板状体であり、その先端部付近には、係止部として機能する貫通孔36が形成される。貫通孔36は、電源接続端子24の外径に対応した大きさの径の円形に形成される。たとえば、この実施例では、貫通孔36を電源接続端子24へ引っ掛ける際に連結部30を斜め上方向に曲げ易くなるように、連結部30の上面が取付部28の外面よりも段差状に低くなるように形成されている。ただし、これに限定される必要はない。
【0085】
このような電気融着継手10の継手本体10の各受口18に合成樹脂管12を挿入するとともに、合成樹脂管12の管端部の所定の位置に仮固定部16を取り付ける際には、先ず、継手本体14から取り外した状態の仮固定部16の取付部28を合成樹脂管12の外面上に固定的に取り付ける。それから、合成樹脂管12の管端を電気融着継手10の受口18にストッパ22に当接するまで挿入し、連結部30を斜め上方向に少し曲げて伸ばし、貫通孔36に電源接続端子24を挿通させることによって、連結部30を電源接続端子24に引っ掛けて係止する。
【0086】
なお、上述の各実施例ではいずれも、筒状に形成した取付部28を拡径させ、その中に合成樹脂管12を挿通させた後で元の径に戻すことによって、取付部28を合成樹脂管12の外面上に圧着させて外嵌したが、これに限定される必要はない。
【0087】
たとえば、図13に示すこの発明のさらに他の一実施例の電気融着継手10は、図11に示す電気融着継手10とほぼ同じであるが、仮固定部16の取付部28の形状が異なる。これ以外の部分に関しては、図11に示す電気融着継手10と同様であるため、同じ参照番号を用い、その説明を省略或いは簡略化する。
【0088】
図13および図14に示すように、仮固定部16の取付部28は、合成樹脂管12の外径と等しいかやや短い長さを有する帯状に形成され、その帯状部分(本体部分)28aを外側から締め付ける締め付け手段を有している。締め付け手段は、帯状部分28aの外面側に配置され、合成樹脂管12の外面上に巻き付けた取付部28の帯状部分28aを外側から締め付ける。締め付け手段には、従来公知のものを適宜用いることができ、この発明の要旨ではないので、その詳細な説明は省略するが、この実施例では、インシュロックタイ(商品名:タイトン株式会社)等のような締め付け具38が適用されている。簡単に説明すると、締め付け具38は、帯状部分28aに沿って固定される帯状の本体38a、本体38aの表面側に形成される突部38bおよび本体38aの一方端部に形成される受部38cからなる。そして、締め付け具38の本体38aの他方端部を受部38c内に挿通し、所謂インシュロック構造によって突部38bと受部38cとを互いに係止させることにより、合成樹脂管12の外面上に巻き付けた取付部28の帯状部分28aを外側から締め付けることが可能である。
【0089】
このような電気融着継手10の継手本体10の各受口18に合成樹脂管12を挿入するとともに、合成樹脂管12の管端部の所定の位置に仮固定部16を取り付ける際には、先ず、合成樹脂管12を電気融着継手10の継手本体14の受口18にストッパ22に当接するまで挿入する。それから、継手本体14(の電源接続端子24)に係止させた状態の仮固定部16の取付部28の帯状部分28aを合成樹脂管12の管端部の所定の位置の外面上に巻き付けて筒形状にして、締め付け具38によって帯状部分28aをその外側から締め付ける。
【0090】
ただし、施工手順は特に限定されず、予め合成樹脂管12の外面上に仮固定部16の取付部28を固定的に取り付けておき、その合成樹脂管12を電気融着継手12の受口18へ挿入した後で、仮固定部16の連結部30を伸ばして貫通孔36に電源接続端子24に引っ掛けて係止するようにしてもよい。
【0091】
この実施例においても、継手本体14と仮固定部16とが着脱自在に設けられ、仮固定部16の係止部32を電源接続端子24に引っ掛けて係止するようにしているため、図5、図8および図11の実施例と同様に、電気融着継手10を用いて合成樹脂管12どうしを融着接合した後で、継手本体14から仮固定部16を取り外し、その仮固定部16を他の電気融着継手10の継手本体14に取り付けて再利用することが可能である。
【0092】
その上、この実施例によれば、締め付け具38による締め付けを解除するだけで、電気融着継手10への通電後に仮固定部16の取付部28を合成樹脂管12から簡単に取り外すことができるので、係たとえ合成樹脂管12の反対側の管端がすでに継手などに接合されている場合であっても、止部材16を再利用することが可能である。
【0093】
さらに、合成樹脂管12を電気融着継手10の受口18に挿入した後で、仮固定部16を合成樹脂管12の外面に取り付けることが可能になるので、合成樹脂管12の挿入不足に起因する電気融着継手10と合成樹脂管12との融着不良をより確実に防止することができる。
【0094】
なお、図13の実施例では、合成樹脂管12の外面上に巻き付けた取付部28をその外側から締め付け具38によって締め付けるようにしたが、これに限定される必要はなく、上述したような、円筒状に形成された取付部28を合成樹脂管12の外面上に外嵌し、それを締め付け具38によって締め付けるようにしてもよい。
【0095】
また、必ずしも合成樹脂管12の外面上に巻き付けた取付部28をその外側から締め付け具38によって締め付ける必要もない。
【0096】
たとえば、図15に示す仮固定部16の変形実施例では、取付部28は、合成樹脂管12の外径よりも長い長さを有する帯状に形成され、その帯状部分(本体部分)28aの長さ方向の端部どうしを接離可能に接続する接続手段を有している。接続手段には、従来公知のものを適宜用いることができ、この発明の要旨ではないので、その詳細な説明は省略するが、この実施例では、取付部28の帯状部分28aの内側および外側の各面に、互いに接離可能なマジックテープ(登録商標)等の面ファスナ40,42が設けられる。すなわち、取付部28の帯状部分28aの一方の面には、長手方向の一方端部周辺に面ファスナ40が設けられ、また、取付部28の帯状部分28aの他方の面には、長手方向の他方端部周辺に、面ファスナ40に対応する(つまり、面ファスナ40と接離可能な)面ファスナ42が設けられる。
【0097】
このような仮固定部16を合成樹脂管12の管端部の所定の位置に取り付ける際には、先ず、合成樹脂管12を電気融着継手10の継手本体14の受口18にストッパ22に当接するまで挿入する。それから、継手本体14(の電源接続端子24)に係止させた状態の仮固定部16の取付部28の帯状部分28aを合成樹脂管12の管端部の所定の位置の外面上に巻き付け、帯状部分28aの各端部の面ファスナ40と面ファスナ42とを貼り付けて取付部28を筒形状にして、合成樹脂管12の外面上に圧着させて外嵌する。
【0098】
ただし、施工手順は特に限定されず、合成樹脂管12の外面上に仮固定部16の取付部28を取り付けておき、その合成樹脂管12を電気融着継手10の受口18へ挿入した後で、仮固定部16の連結部30を伸ばして貫通孔36に電源接続端子24に引っ掛けて係止するようにしてもよい。
【0099】
なお、図15に示す実施例では、取付部28の各端部の面ファスナ40,42を貼り合わせることによって、取付部28の端部どうしを接続するようにしたが、これに限定される必要はなく、適宜の接続手段を適用することができる。一例として、取付部28の帯状部分28aの端部どうしを粘着テープなどで接続するようにしてもよい。この場合には、帯状部分28aの端部どうしを重ね合わせる必要がないので、取付部28を必ずしも合成樹脂管12の外径よりも長い長さの帯状に形成する必要はない。
【0100】
さらに、図14および図15の仮固定部16に保持部34を形成するようにしてもよい。
【0101】
さらにまた、図14および図15の仮固定部16に係止部32を設けずに、仮固定部16の連結部30の一方端部を電源接続端子24と一体的に設けるようにしてもよい。
【0102】
ところで、上述の各実施例ではいずれも、ソケット型の継手本体14を有する電気融着継手10により合成樹脂管12を融着接合した場合を示したが、これに限定される必要はなく、ベンド型、フランジ型またはエルボ型等のような他のタイプの継手本体14を有する電気融着継手10により合成樹脂管12を融着接合するようにしてもよい。
【0103】
さらにまた、上述した径や高さ等の具体的数値は、いずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0104】
10 …電気融着継手
12 …合成樹脂管
14 …継手本体
16 …仮固定部
18 …受口
20 …電熱線
24 …電源接続端子
28 …取付部
30 …連結部
32 …係止部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂管どうしを融着接合する電気融着継手であって、
前記合成樹脂管を受容する受口を有する継手本体、
前記受口の内面に埋設される電熱線、
前記継手本体の外面に突出して設けられるかつ前記電熱線に通電するための電源接続端子、および
前記継手本体から軸方向外側に延び、その先端部が前記合成樹脂管の外面上に取り付けられて、前記合成樹脂管の融着接合時の抜けを防止する仮固定部を備える、電気融着継手。
【請求項2】
前記仮固定部は、
前記合成樹脂管の外面上に摺動しないように取り付けられる取付部、および
前記取付部と前記継手本体とを連結する連結部を含む、請求項1記載の電気融着継手。
【請求項3】
前記連結部は、曲げ変形可能に前記取付部と前記継手本体とを連結する、請求項2記載の電気融着継手。
【請求項4】
前記連結部は、弾性材によって形成される、請求項2または3記載の電気融着継手。
【請求項5】
前記取付部は、帯状に形成され、自身を外側から締め付ける締め付け手段を有する、請求項2ないし4のいずれかに記載の電気融着継手。
【請求項6】
前記取付部は、帯状に形成され、自身の端部どうしを接離可能に接続する接続手段を有する、請求項2ないし5のいずれかに記載の電気融着継手。
【請求項7】
前記仮固定部は、前記連結部の一方端部に設けられかつ前記継手本体に係止される係止部をさらに含み、前記継手本体に対して着脱自在に設けられる、請求項2ないし6のいずれかに記載の電気融着継手。
【請求項8】
前記係止部は、前記電源接続端子に係止される、請求項7記載の電気融着継手。
【請求項9】
請求項7または8記載の電気融着継手を用いて合成樹脂管どうしを融着接合する接合方法であって、
(a)合成樹脂管を継手本体の受口に挿入するステップ、
(b)前記ステップ(a)で受口に挿入した合成樹脂管と前記継手本体とを仮固定部によって仮固定するステップ、
(c)前記ステップ(b)で継手本体と合成樹脂管とを仮固定した後、前記受口の内面と前記合成樹脂管の外面とを溶融して、電気融着継手と合成樹脂管とを融着接合するステップ、
(d)前記ステップ(c)で電気融着継手と合成樹脂管とを融着接合した後、前記仮固定部を前記継手本体および前記合成樹脂管から取り外すステップ、および
(e)前記ステップ(d)で継手本体および合成樹脂管から取り外した仮固定部を、別の電気融着継手の継手本体に取り付けて、その継手本体と別の合成樹脂管とを仮固定するために利用するステップを含む、接合方法。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれかに記載の電気融着継手、および
前記電気融着継手の受口に挿入され、その外面に仮固定部が取り付けられて電気融着時の抜けが防止された合成樹脂管を備える、電気融着継手と合成樹脂管との接合構造。
【請求項1】
合成樹脂管どうしを融着接合する電気融着継手であって、
前記合成樹脂管を受容する受口を有する継手本体、
前記受口の内面に埋設される電熱線、
前記継手本体の外面に突出して設けられるかつ前記電熱線に通電するための電源接続端子、および
前記継手本体から軸方向外側に延び、その先端部が前記合成樹脂管の外面上に取り付けられて、前記合成樹脂管の融着接合時の抜けを防止する仮固定部を備える、電気融着継手。
【請求項2】
前記仮固定部は、
前記合成樹脂管の外面上に摺動しないように取り付けられる取付部、および
前記取付部と前記継手本体とを連結する連結部を含む、請求項1記載の電気融着継手。
【請求項3】
前記連結部は、曲げ変形可能に前記取付部と前記継手本体とを連結する、請求項2記載の電気融着継手。
【請求項4】
前記連結部は、弾性材によって形成される、請求項2または3記載の電気融着継手。
【請求項5】
前記取付部は、帯状に形成され、自身を外側から締め付ける締め付け手段を有する、請求項2ないし4のいずれかに記載の電気融着継手。
【請求項6】
前記取付部は、帯状に形成され、自身の端部どうしを接離可能に接続する接続手段を有する、請求項2ないし5のいずれかに記載の電気融着継手。
【請求項7】
前記仮固定部は、前記連結部の一方端部に設けられかつ前記継手本体に係止される係止部をさらに含み、前記継手本体に対して着脱自在に設けられる、請求項2ないし6のいずれかに記載の電気融着継手。
【請求項8】
前記係止部は、前記電源接続端子に係止される、請求項7記載の電気融着継手。
【請求項9】
請求項7または8記載の電気融着継手を用いて合成樹脂管どうしを融着接合する接合方法であって、
(a)合成樹脂管を継手本体の受口に挿入するステップ、
(b)前記ステップ(a)で受口に挿入した合成樹脂管と前記継手本体とを仮固定部によって仮固定するステップ、
(c)前記ステップ(b)で継手本体と合成樹脂管とを仮固定した後、前記受口の内面と前記合成樹脂管の外面とを溶融して、電気融着継手と合成樹脂管とを融着接合するステップ、
(d)前記ステップ(c)で電気融着継手と合成樹脂管とを融着接合した後、前記仮固定部を前記継手本体および前記合成樹脂管から取り外すステップ、および
(e)前記ステップ(d)で継手本体および合成樹脂管から取り外した仮固定部を、別の電気融着継手の継手本体に取り付けて、その継手本体と別の合成樹脂管とを仮固定するために利用するステップを含む、接合方法。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれかに記載の電気融着継手、および
前記電気融着継手の受口に挿入され、その外面に仮固定部が取り付けられて電気融着時の抜けが防止された合成樹脂管を備える、電気融着継手と合成樹脂管との接合構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−113314(P2013−113314A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257229(P2011−257229)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(505142964)クボタシーアイ株式会社 (192)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(505142964)クボタシーアイ株式会社 (192)
【Fターム(参考)】
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