説明

電気製品

【課題】動作時に発生するエネルギーを有効に利用することが可能な電気製品を提供すること
【解決手段】円筒形状であって、底部を有する水槽2と、水槽3内に配置され、円筒形状であって底部を有し、洗濯及び脱水を行う回転ドラム3と、水槽2の振動を利用して発電する圧電素子91と、水槽2の振動を圧電素子91に伝達するための振動伝達部8と、圧電素子91で発生した電気を貯める蓄電部10と、蓄電部10に貯めた電気を取り出し可能なコンセント11とを備え、振動伝達部8は、一端が水槽2に固定された棒状部81と、棒状部81の他端に設けられた球状部82とを有し、球状部82は、複数の圧電素子91によって囲まれている、洗濯機である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭において用いられる電気製品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭において用いられている家電製品としては、洗濯機、冷蔵庫、テレビ、洗濯器、パーソナルコンピュータ等が挙げられる。最近、これらの家電製品において、COを削減した製品や、省エネルギー性の高い製品を購入する際に、エコポイントの付与等が実施されており、省エネルギー、エコについて注目されている。
【0003】
例えば、排出されるCOを削減した冷蔵庫や、モーターの消費電力を削減した洗濯機等が発売されている(例えば、特許文献1の図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−244923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの電気製品が動作するときに発生する振動、熱、及び光などのエネルギーに関しては何ら注目されていなかった。
【0006】
本発明は、従来の電気製品の課題を考慮して、動作時に発生するエネルギーを有効に利用することが可能な電気製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために第1の本発明は、
家庭で用いられる電気製品であり、
動作時に振動、光、又は熱を発生するエネルギー発生部と、
前記エネルギー発生部のエネルギーを利用して発電する発電部と、
前記発電部で発生した電気を貯める蓄電部と、
前記蓄電部に貯めた電気を取り出し可能なコンセントとを備えた、電気製品である。
【0008】
又、第2の本発明は、
前記エネルギー発生部は、動作時に振動する振動部であって、
前記発電部は、前記振動部の振動を利用して発電する圧電素子である、第1の本発明の電気製品である。
【0009】
又、第3の本発明は、
前記電気製品は、洗濯機であり、
円筒形状であって、底部を有する水槽と、
前記水槽内に配置され、円筒形状であって底部を有し、洗濯及び脱水を行う回転ドラムと、
前記振動部の振動を前記圧電素子に伝達するための振動伝達部とを備え、
前記振動部は、前記水槽及び前記回転ドラムであり、
前記振動伝達部は、前記水槽に設けられている、第2の本発明の電気製品である。
【0010】
又、第4の本発明は、
前記振動伝達部は、
一端が前記水槽に固定された棒状部と、
前記棒状部の他端に設けられた球状部とを有し、
前記球状部は、複数の前記圧電素子によって囲まれている、第3の本発明の電気製品である。
【0011】
又、第5の本発明は、
前記電気製品は、テレビであり、
前記振動部は、スピーカーであり、
前記圧電素子は、前記スピーカーに設けられている、第2の本発明の電気製品である。
【0012】
又、第6の本発明は、
前記電気製品は、テレビ又はパーソナルコンピュータであり、
前記エネルギー発生部は、動作時に光を発する画面であり、
前記発電部は、光を電気に変換する光起電力素子である、第1の本発明の電気製品である。
【0013】
又、第7の本発明は、
前記電気製品は、冷蔵庫であり、
前記エネルギー発生部は、前記冷蔵庫内の熱を外部へと放熱する放熱部であり、
前記発電部は、前記放熱部に設けられており、熱を電気に変換する熱電変換素子である、第1の本発明の電気製品である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、動作時に発生するエネルギーを有効に利用することが可能な電気製品を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)本発明にかかる実施の形態1における洗濯機の側面構成図、(b)本発明にかかる実施の形態1における洗濯機のコンセントの正面図
【図2】本発明にかかる実施の形態1における洗濯機の発電部近傍を示す構成図
【図3】本発明にかかる実施の形態1における洗濯機の圧電素子の構成図
【図4】本発明にかかる実施の形態2におけるテレビの正面図
【図5】本発明にかかる実施の形態2におけるテレビの光起電力素子の構成図
【図6】本発明にかかる実施の形態2におけるテレビの側面構成図
【図7】本発明にかかる実施の形態3における冷蔵庫の側面構成図
【図8】本発明にかかる実施の形態3における冷蔵庫の熱電変換素子の構成図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかる電気製品について説明する。
【0017】
(実施の形態1)
はじめに、本発明にかかる電気製品の一例としての洗濯機について説明する。
【0018】
図1(a)は、本発明にかかる実施の形態1の洗濯機1の側面構成図である。
【0019】
図1(a)に示すように、本実施の形態1の洗濯機1には、洗濯物を出し入れするための蓋部1aと、円筒形状であって底部2aを有する水槽2と、水槽2の内側に設けられ、円筒形状であって底部3aを有する回転ドラム3が設けられている。この回転ドラム3には側面に孔3bが形成されており、洗濯物の洗濯及び乾燥に用いられる。これら水槽2及び回転ドラム3は、その回転軸Aが斜め上方を向くように配置されている。
【0020】
また、回転ドラム3の回転時に発生する振動を低減するために、水槽2の下側には、水槽2とフレーム5との間に防振ダンパー4が設けられている。この防振ダンパー4は、コイルバネ401を有しており、このコイルバネ401の弾性力によって振動が低減される。また、振動を低減するために、水槽2の背面側とフレーム5の間にバネ6が設けられており、水槽2の上側とフレーム5の間にもバネ7が設けられている。
【0021】
又、水槽2の下側には、振動伝達部8が取り付けられており、振動伝達部8の下部には発電部9が設けられている。この発電部9で発電された電気を蓄電するために蓄電部10が設けられており、蓄電部10で蓄電された電気を使用するためのコンセント11が洗濯機1の正面に設けられている。このコンセント11の正面図が、図1(b)に示されている。
【0022】
次に、振動伝達部8及び発電部9について詳しく説明する。
【0023】
図2は、発電部9近傍の構成図である。振動伝達部8は、棒状部81と、棒状部81の下端に設けられた球状部82とから構成されている。又、球状部82は、複数の圧電素子91から構成される発電部9によって覆われている。
【0024】
図2に示すように、球状部82を取り囲むように5個の圧電素子91が配置されており、これら5個の圧電素子91は、フレーム5に固定されている。図3は、1つの圧電素子91の構成図である。圧電素子91は、図3の側面図に示すように、圧電体92と、その両面に配置された電極93とを有している。この圧電体92の材料としては、セラミック等が用いられ、力を加えることにより起電力が生じる。この生じた起電力が電極93から取り出される。
【0025】
又、蓄電部10には、電極93から取り出された交流を直流に変換するためのAC/DCコンバータ101と、AC/DCコンバータ101によって直流に変換された電気を蓄電する蓄電器102とから構成されている。5つの圧電素子91は、蓄電部10に並列に接続されている。
【0026】
そして、蓄電器102で蓄電されている電気を再び交流に戻すためにDC/ACインバータ103と、電圧を100Vに昇圧するための昇圧部104が設けられており、昇圧部104とコンセント11が接続されている。
【0027】
尚、本発明のエネルギー発生部の一例は、本実施の形態の水槽2に相当し、本発明の蓄電部の一例は、本実施の形態の蓄電部10に相当する。
【0028】
次に、本実施の形態1の洗濯機1の動作について説明する。
【0029】
本実施の形態1の洗濯機1は、洗濯、脱水、及び乾燥などの動作時に回転ドラム3が回転することによって振動が生じる。この回転ドラム3の振動によって水槽2も振動する。
【0030】
この水槽2の振動が振動伝達部8にも伝わるため、振動伝達部8の先端の球状部82が振動する。ここで、球状部82は、上方を除いた5方向に圧電素子91が配置されているため、上方向以外の振動があると、いずれかの圧電素子91を押圧することになる。この押圧により、圧電素子91に電力が発生し、発生した交流の電気はAC/DCコンバータ101で直流に変換されて蓄電部102で蓄電される。
【0031】
そして、ユーザーは、例えばドライヤー等を用いるときに、洗濯機1に設けられているコンセント11を利用する。
【0032】
このように、洗濯機1の動作時に発生する振動を利用して発電を行い、電力を利用することによって省エネルギー化を図ることが出来る。
【0033】
又、本実施の形態では、振動伝達部8の先端に球状部82が設けられており、上方向を除いて球状部82の周りに圧電素子91が配置されているため、水槽2がいずれの方向に振動したとしても、その振動を電気エネルギーに変換することが出来る。尚、水槽2の振動方向が決まっている場合には、その振動方向に圧電素子91を配置すればよく、本実施の形態のように5個の圧電素子91を配置しなくてもよい。
【0034】
又、本実施の形態1では、複数の圧電素子91に振動を付与しやすいように、振動伝達部8は、その先端が球状になるように形成されているが、球状に限らなくても良い。
【0035】
尚、本実施の形態1では、回転ドラム3は、その回転軸Aが斜め上方を向くように配置されているが、回転軸が鉛直方向に向くように配置されていても良い。
【0036】
(実施の形態2)
次に、本発明の電気製品の一例としてのテレビについて説明する。
【0037】
図4は、本発明にかかる実施の形態2におけるテレビ20の正面図である。図4に示すようにテレビ20は、本体21と、本体21をテレビ台等に載置する載置台22とを有している。本体21の前面には、画面211とスピーカ212が設けられており、内部には、一般の液晶テレビやプラズマテレビなどの同様の構成(省略する)が設けられている。また、図4に示すように、画面211の右下には、光起電力素子23が設けられている。この光起電力素子23は、図5に示すように、シリコンなどの発電材231と、その両面に配置された電極232とを有している。発電材231に画面211からの光が照射されることによって、電力が生じ、その電力が、電極232から取り出される。
【0038】
図6は、本実施の形態2のテレビ20の側面構成図である。図6に示すように、本体21の内部には、上記電極232から取り出された電気を貯えるための蓄電器24が設けられている。又、蓄電器24に貯えられた電気を利用するためのコンセント25が、光起電力素子23の下側に配置されている。そして、蓄電部24に貯えられた電気をユーザーが利用可能とするために、交流に変換するDC/ACインバータ26が設けられており、このDC/ACインバータ26とコンセント25の間に、交流に変換された電気を100Vまで昇圧する昇圧部27が設けられている。
【0039】
以上のような構成により、テレビ20の動作時に画面211から発する光エネルギーを電気エネルギーに変換し、電気エネルギーを蓄電部24で貯えることによって、ユーザーが、例えば携帯電話の充電を行うといった時のように必要に応じて電力を使用することが出来る。このため、省エネルギー化を図ることが出来る。
【0040】
尚、本発明のエネルギー発生部の一例は、本実施の形態の画面211に相当し、本発明の発電部の一例は、本実施の形態の光起電力素子23に相当する。又、本発明の蓄電部の一例は、本実施の形態の蓄電器24に相当する。
【0041】
尚、本実施の形態では、光起電力素子23は1つのみ設けられているが、複数個設けられていても良い。
【0042】
(実施の形態3)
次に、本発明の電気製品の一例として冷蔵庫について説明する。
【0043】
図7は、本発明にかかる実施の形態3における冷蔵庫30の側面構成図である。図7に示すように、本実施の形態3の冷蔵庫30は、本体31と、本体31の正面に設けられた扉311と、食物を冷蔵するための収納部32とを備えている。また、冷蔵庫30には、冷媒が循環する循環路33が設けられており、この循環路33には、高圧ガス状態の冷媒が冷蔵庫30の外へ放熱することによって液体に戻る放熱部34と、冷媒の沸点を下げるために減圧する減圧部35と、沸点の下がった冷媒が、収納部32から熱を奪うことによって気化する蒸発部36と、気体の状態の冷媒を圧縮して高圧のガスとする圧縮器37が設けられている。
【0044】
また、冷蔵庫30の背面には、熱電変換素子38が設けられている。図8は、熱電変換素子38の構成を示す図である。図8に示すように、熱電変換素子38は、N型半導体381とP型半導体382が交互に配置された素子部383と、放熱部34側と外気側のそれぞれに設けられた電極384とを備えている。放熱部34側と外気側との温度差によって素子部383に電力が生じる。そして、この電力は、2つの電極384から取り出される。この取り出された電力を蓄電するための蓄電器39が設けられている。また、蓄電器39で貯えられた電気を取り出すためのコンセント40が、冷蔵庫30の側面の正面側の底部に設けられている。また、蓄電器39とコンセント40の間には、蓄電器39から取り出した電気を交流に変換するDC/ACインバータ41と、電圧を100Vまで昇圧する昇圧部42が設けられている。
【0045】
以上のような構成により、冷蔵庫30の動作時に放熱部34から発する熱エネルギーを電気エネルギーに変換し、電気エネルギーを蓄電部39で貯えることによって、ユーザーが、例えば携帯電話の充電を行うといった時のように必要に応じて電力を使用することが出来る。このため、省エネルギー化を図ることが出来る。
【0046】
尚、実施の形態1〜3では、電圧を100Vに昇圧する昇圧部が設けられていたが、電圧が高い場合には設けられていなくても良い。
【0047】
又、実施の形態1では、振動を電気エネルギーに変換する方法を用いているが、この方法を実施の形態2に適用しても良い。この場合、圧電素子91をテレビ20のスピーカー212に設けることにより、スピーカー212の振動から発電を行うことが可能となる。更に、圧電素子91をステレオのスピーカーに取り付けても良い。
【0048】
又、実施の形態2では、テレビ20に光起電力素子23が設けられていたが、パーソナルコンピュータのモニターに設けられていても良い。
【0049】
又、実施の形態3では、冷蔵庫30に熱電変換素子38が設けられていたが、パーソナルコンピュータの本体の放熱部に設けられていても良い。尚、パーソナルコンピュータでは、本体にコンセントを有する場合もあるので、本実施の形態で述べた省エネ機能を有するコンセントと区別するために、適宜シールなどを付与することがより好ましい。
【0050】
又、上記実施の形態1〜3において、蓄電量を示すインジケーターがコンセントの上部等に設けられていても良い。このようにインジケーターを設けることによって、よりユーザーが使用し易くなる。
【0051】
又、本実施の形態1〜3において、蓄電器102、24、39に蓄電量を検知するセンサーを設け、蓄電量が減少した場合には、電気製品に供給しているインフラからの電気をコンセント11、25、40に供給できるように、インフラとコンセントの間を結ぶ配線を更に設けていても良い。上記センサーの検知によって、このコンセントへの電力の供給元が、蓄電器からインフラへとスイッチによって切り替えられる。
【0052】
又、本発明は、家庭で用いられている電気製品であって、振動、光、熱などのエネルギーを発生するいずれのものについても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の電気製品は、動作時に発生するエネルギーを有効に利用することが可能な効果を有し、家庭用等の電気製品などとして有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 洗濯機
2 水槽
3 回転ドラム
4 防振ダンパー
5 フレーム
6、7 バネ
8 振動伝達部
9 発電部
10 蓄電部
11 コンセント
41 コイルバネ
81 棒状部
82 球状部
91 圧電素子
92 圧電体
93 電極
101 AC/DCコンバータ
102 蓄電器
103 DC/ACインバータ
104 昇圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭で用いられる電気製品であり、
動作時に振動、光、又は熱を発生するエネルギー発生部と、
前記エネルギー発生部のエネルギーを利用して発電する発電部と、
前記発電部で発生した電気を貯める蓄電部と、
前記蓄電部に貯めた電気を取り出し可能なコンセントとを備えた、電気製品。
【請求項2】
前記エネルギー発生部は、動作時に振動する振動部であって、
前記発電部は、前記振動部の振動を利用して発電する圧電素子である、請求項1記載の電気製品。
【請求項3】
前記電気製品は、洗濯機であり、
円筒形状であって、底部を有する水槽と、
前記水槽内に配置され、円筒形状であって底部を有し、洗濯及び脱水を行う回転ドラムと、
前記振動部の振動を前記圧電素子に伝達するための振動伝達部とを備え、
前記振動部は、前記水槽及び前記回転ドラムであり、
前記振動伝達部は、前記水槽に設けられている、請求項2記載の電気製品。
【請求項4】
前記振動伝達部は、
一端が前記水槽に固定された棒状部と、
前記棒状部の他端に設けられた球状部とを有し、
前記球状部は、複数の前記圧電素子によって囲まれている、請求項3記載の電気製品。
【請求項5】
前記電気製品は、テレビであり、
前記振動部は、スピーカーであり、
前記圧電素子は、前記スピーカーに設けられている、請求項2記載の電気製品。
【請求項6】
前記電気製品は、テレビ又はパーソナルコンピュータであり、
前記エネルギー発生部は、動作時に光を発する画面であり、
前記発電部は、光を電気に変換する光起電力素子である、請求項1記載の電気製品。
【請求項7】
前記電気製品は、冷蔵庫であり、
前記エネルギー発生部は、前記冷蔵庫内の熱を外部へと放熱する放熱部であり、
前記発電部は、前記放熱部に設けられており、熱を電気に変換する熱電変換素子である、請求項1記載の電気製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−288427(P2010−288427A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142761(P2009−142761)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(509169398)
【Fターム(参考)】