電気駆動眼内レンズ
【課題】電気駆動眼内レンズ
【解決手段】個別に制御可能な複数のゾーンまたはピクセルを備える電気駆動レンズと、遠隔プログラム可能な制御器とを備える眼内レンズシステムが提示される。
【解決手段】個別に制御可能な複数のゾーンまたはピクセルを備える電気駆動レンズと、遠隔プログラム可能な制御器とを備える眼内レンズシステムが提示される。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2004年11月2日付で出願された仮出願第60/623,946号および、2004年12月17日付で出願された仮出願第60/636,490号の利益を主張し、これら両方はその全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0002】
以下の出願、仮出願および特許は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。2005年9月22日付出願の米国特許出願第11/232,551号、2005年7月19日付発行の米国特許第6,918,670号、2005年7月18日付出願の米国特許出願第11/183,454号、2005年7月21日付出願の米国特許仮出願第60/692,270号、2005年6月6日付出願の米国特許仮出願第60/687,342号、2005年6月6日付出願の米国特許仮出願第60/687,341号、2005年5月31日付出願の米国特許仮出願第60/685,407号、2005年5月10日付出願の米国特許仮出願第60/679,241号、2005年4月26日付出願の米国特許仮出願第60/674,702号、2005年4月22日付出願の米国特許仮出願第60/673,758号、2005年4月19日付出願の米国特許出願第11/109,360号、2005年4月8日付出願の米国特許仮出願第60/669,403号、2005年4月1日付出願の米国特許仮出願第60/667,094号、2005年3月30日付出願の米国特許仮出願第60/666,167号、2005年3月29日付発行の米国特許第6,871,951号、2005年3月28日付出願の米国特許出願第11/091,104号、2005年3月16日付出願の米国特許仮出願第60/661,925号、2005年3月9日付出願の米国特許仮出願第60/659,431号、2005年2月22日付出願の米国特許出願第11/063,323号、2005年2月22日付発行の米国特許第6,857,741号、2005年2月8日付発行の米国特許第6,851,805号、2005年1月14日付出願の米国特許出願第11/036,501号、2005年1月6日付出願の米国特許出願第11/030,690号、2004年11月24日付出願の米国特許出願第10/996,781号、2004年11月2日付出願の米国特許仮出願第60/623,947号、2004年8月24日付出願の米国特許出願第10/924,619号、2004年8月13日付出願の米国特許出願第10/918,496号、2004年6月9日付出願の米国特許出願第10/863,949号、2004年5月11日付発行の米国特許第6,733,130号、2004年2月5日付出願の米国特許出願第10/772,917号、2003年9月16日付発行の米国特許第6,619,799号、2003年8月20日付出願の米国特許出願第10/664,112号、2003年7月25日付出願の米国特許出願第10/627,828号、2003年3月12日付出願の米国特許出願第10/387,143号、2003年2月11日付発行の米国特許第6,517,203号、2002年12月10日付発行の米国特許第6,491,391号、2002年12月10日付発行の米国特許第6,491,394号、2002年10月4日付出願の米国特許出願第10/263,707号。
【技術分野】
【0003】
本発明は、眼内レンズ(IOL)の分野に関する。詳細には、本発明は、電気駆動素子がIOLの屈折力の少なくとも一部、またはプリズム屈折力、または着色の少なくとも一部を提供する眼内レンズに関する。
【背景技術】
【0004】
眼内レンズ(IOL)は、通常、眼の本来の水晶体を置換または補足するために、眼球の内部に手術で埋め込まれる恒久的なプラスチックレンズである。眼内レンズは、白内障の患者が視力を回復するために、1960年代後半から米国で用いられ、最近になって、いくつかの種類の眼の屈折矯正手術で用いられている。
【0005】
本来の水晶体は、眼の複雑な光学システムのうち重要な構成要素である。水晶体は、健康な眼の屈折力の全60ジオプトリーのうち約17ジオプトリーを提供する。さらに、健康な水晶体は、水晶体の周囲を取り囲む筋肉毛様体によって変形することで、焦点を調節することができる。眼が老化するにつれて、水晶体の柔軟性が低下し、この調節可能な焦点調節機能が損なわれる。このように、この重要な水晶体は、年齢とともにほとんど決まって柔軟性を失い、白内障や他の疾患によって年齢とともに透明度を失うことが多い。
【0006】
白内障手術で用いられているほとんどの眼内レンズは、折り曲げられ、本来の水晶体を取り除くのに用いられた同じ小さな穴を通して挿入される。眼の中に入ると、レンズはフルサイズに広がる。眼の穴は極めて小さいため、レンズは縫合せずともすぐに自己回復する。眼内レンズは、体が拒絶反応を引き起こさない不活性材料で作られる。
【0007】
ほとんどの場合、IOLは恒久的である。IOLは、手術前の眼の測定によって、IOLに必要な焦点調節能力が正確に決定されていなかった場合を除いて、交換の必要はほとんどない。また、手術そのものによって眼の光学特性が変化することもある。ほとんどの場合、白内障の手術中に埋め込まれた眼内レンズは単焦点レンズであり、IOLの屈折力は、眼の屈折力が遠距離視力に設定されるように選択される。したがって、ほとんどの場合、患者は手術後にも依然として読書用眼鏡を必要とするであろう。眼内レンズの埋め込み物は静的な多焦点レンズであってもよく、これによって、老眼の患者に、遠方でははっきりと見えるようにし、また、近距離の範囲では適度に焦点合わせすることによって、眼の本来のレンズにより似た働きをするよう試みられている。全ての患者が、多焦点レンズに適する候補者というわけではない。しかし、多焦点レンズを使用できる患者は、結果に満足している一部の人である。
【0008】
最近になって、調節性のIOLが導入されてきた。これらの調節性IOLは、筋肉毛様体が脳からの調節性刺激に反応すると、本来の水晶体が焦点を合わせるのと同様の方法で、運動(眼の軌道内での物理的変形および/または移動)によって、実際に焦点を変化させる。これらは正常に機能するが、調節性IOLはまだ完全ではない。このように成功する場合を限定するにもかかわらず、多焦点IOLおよび現在の調節性IOLは、健康な本来の水晶体と比較すると、やはり性能がかなり低下する。
【0009】
老眼を直すのに期待できる他の接眼レンズは、小径角膜内レンズ(SDCI)である。小径角膜内レンズ(SDCI)は、二重焦点コンタクトレンズと同様の効果を生成する角膜組織内に挿入される処方レンズである。角膜内レンズ(SDCI)は、開発されて間がなく、これらがどのように良好に機能するか、またこれらがどのように効果を発揮するかについて理解するにはまだ早すぎる。
【0010】
これらの新しい外科的処置は全て利点を有しているが、これらは全て、若くて健康的な本来の水晶体と比較すると、性能はかなり低下する。本発明は、本来の水晶体と同様に機能する眼内レンズを提供することによって、これらの欠点に対処する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の例示的な態様では、個別に制御可能な複数のゾーンまたはピクセルと、遠隔プログラム可能な制御器とを有する、電気駆動レンズを備える眼内レンズシステムが提供される。
【0013】
本発明の別の態様は、以下の図面に関連してなされる以下の説明から明らかとなるであろうが、本開示の新規の概念の精神と範囲を逸脱することなく、いくつかの変形形態および修正形態が実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、添付図面と合わせた以下の詳細な説明を読むことによってより十分に理解できる。図では、同様の参照符号は、同様の構成要素を示すのに用いられている。
【0015】
以後、本発明の種々の実施形態について説明する。本明細書では、単数形のいずれの用語も複数形に解釈され、あるいは、複数形のいずれの用語も単数形と解釈される。
【0016】
電気駆動材料は、電気制御によって変化する光学特性を備えている。例えば、光透過率を制御して、着色またはサングラス効果を生むことができる。さらに、屈折率を電気的に制御して、焦点調節および/またはプリズム効果を得ることができる。電気駆動材料の1つのクラスは液晶である。液晶は、結晶固体とアモルファス液体との間の中間の凝集状態を備えている。液晶の特性は、電気的、熱的、または化学的に制御されてもよい。多くの液晶は、棒状分子で構成され、ネマチック、コレステリックおよびスメクチックとして広く分類されている。
【0017】
IOLで有用な電気駆動材料にはいくつかの特徴がある。第1に、薄層によって(厚いレンズを必要とすることがある従来のレンズの曲率によってではなく)、光学特性が生じる。これらの薄層は、従来のレンズを配置するには難しい位置、例えば、前眼房内(虹彩と水晶体との間の)に配置できる。さらに、電気駆動層を積み重ねる(光学的に直列に配置する)ことにより、前眼房または後眼房のいずれか内に配置される薄層構造で、従来の屈折異常または高次の収差補正を含む、全体の屈折力を生成するための追加の効果を得ることができる。
【0018】
第2に、光学特性は効果的に制御できる。例えば、電気駆動レンズは、明るい光条件の下でより暗くなる(より強く着色され、より光を透過しない)ように設計することができる。この着色は、例えば、フォトダイオードまたは太陽電池を用いて、輝度を測定することによって自動的に生成してもよい。代わりに、この着色は、遠隔制御によってユーザの判断で制御することもできる。
【0019】
同様に、電気駆動レンズの焦点は電気的に制御できる。例えば、距離計または傾斜計または両眼の方向や眼の筋肉によってレンズに加わる力に基づいた三角測量を用いて、焦点を自動的に制御することができる。あるいは、焦点は遠隔制御によるユーザの判断によって制御することもできる。
【0020】
第3に、電気制御によって、複雑で高次の視覚欠損を補正する可能性が得られる。従来の眼内レンズは、様々な製造上の理由で、ある特定の視覚欠損に対処するのに限定されている。しかし、個別にアドレス可能な、制御された、大量の小さい素子(例えば、極めて小さいピクセルアレイ)を備える電気駆動レンズは、極めて複雑で高次の視覚欠損に対応できる。さらに、任意の構成(例えば、一連の同心円、または一連の略同心の楕円、または視覚欠損を効率よく補正する特化した所望の構成)で、個別にアドレス可能な素子を形成することによって、制御を簡略化されてもよい。小さなピクセルアレイの設計、製造および制御は、液晶表示装置(LCD)の製造と類似している。眼の高次収差といった複雑な視覚欠損の補正によって、「超人的な」視力の可能性が生じる。「超人的な」視力では、視力がレンズ(生体または矯正のいずれかの)によって制限されるのではなく、網膜内の光受容細胞の固有の解剖学的および物理学的特性によって制限される。倍率の拡大を考慮する前であっても、20/10の視力かそれ以上が可能である。さらに、電気駆動レンズは望遠鏡または顕微鏡として作用することもできる。
【0021】
第4に、電気制御によって、電気駆動IOLの光学特性を所望通りに変更する可能性が得られる。例えば、所望の光学特性は、IOLが手術で埋め込まれた後に、手術中に生じる何らかの変化、または詳細には、手術後の屈折異常を算出または推定する際の誤差を補償するために、決定されてもよい。同様に、IOLの光学特性を、時間経過に伴って変化させ、ユーザの眼の変化を補償することもできる。例えば、ユーザが網膜の一部に影響を及ぼす変性疾患を有している場合、埋め込まれた電気駆動IOLを遠隔制御して、プリズム屈折力を生成するか、または電気駆動するIOLのプリズム屈折力を変化させて、損傷を受けていない網膜の一部に像を移動させることができる。単に例示目的で、最高密度の光受容細胞を備える、網膜のうちの残りの損傷を受けていない部分に、毎月(または必要に応じて)、像を移動することもできる。この変更は、手術後および遠隔制御で(すなわち、さらに手術せずに)達成することができる。
【0022】
第5に、電気制御によって、ユーザが自動的または本能的に焦点を制御する可能性が得られる。例えば、筋肉毛様体の収縮は、圧電素子によって測定することができる(歪ゲージとして)。その後、これらの収縮を制御入力として利用して、毛様体が物理的変形によって本来の水晶体を焦点調節できるのと同様の方法で、IOLの焦点を電気的に調節できる。さらに、理論上は、焦点は、脳からの直接の電気信号によって制御できる。最近の義肢の開発はこの技術を利用している。
【0023】
第6に、電気制御により視野を移動させることによって、眼球の運動を妨げる疾患を取り除く可能性が得られる。疾患筋肉(眼を動かすことができない)への神経信号を、取込み、翻訳、および利用して、視野を電気的に移動させることができる。
【0024】
第7に、電気駆動素子の構成には多くの種類がある。これらの構成には、ピクセル化(典型的には、コンピュータ上の液晶モニターと同様のピクセルの二次元アレイ)、回転対称ピクセル化(例えば、一連の同心円)および回折が含まれている。個々にアドレス可能なピクセル化された電気駆動回折レンズは、同心のリング状電極を用いることにより、レンズの表面に回折素子を物理的に機械加工、成形、またはエッチングすることなく、屈折率を変化させることにより、レンズの回折力を生成することができる。
【0025】
電気駆動素子は、従来のレンズと組み合わせて用いることもでき、この場合には、従来のレンズはベース屈折力を提供することができる。電気駆動素子は、機械加工、成形またはエッチングされた表面または形状を有する回折レンズと組み合わせて用いられることもできる。電気駆動素子は、第2の電気駆動素子と組み合わせて用いることもでき、各素子は異なった機能を果たすことができる。例えば、第1の電気駆動素子は焦点調節を実行し、第2の電気駆動素子は着色することができるか、もしくは電気的に制御された開口として作用することができ、または第2の電気駆動素子によって、疾患のある眼の網膜のうち健康な領域に像をプリズム移動することもできる。
【0026】
第8に、上述のとおり、本来の眼の数多くの光学機能を電気的に置き換えることができる。着色は、虹彩の収縮の効果を低減する光に置き換わり、または光を増加させることができ;焦点調節は水晶体の本来の変形に置き換わり;焦点調節およびプリズム移動は、眼球の動きに置き換わることができる等である。他の要因の中でも特に、本発明は、IOL、エネルギー貯蔵、エネルギー再充電、パワー発生、制御、眼の屈折力を変化させる網膜の目標領域の位置に向けた操縦、水晶体の調節力を増加または置き換え、電気駆動IOLの術後の遠隔調整、に対処する。調整は、IOLの能力を変化させることおよび/またはIOLの網膜上の焦点位置を変化させることを備える。
【0027】
図1は、人間の眼の主な解剖学的構成要素を表している。主な解剖学的構成要素とは、結膜110、毛様体112、虹彩114、眼房水116、瞳孔118、前眼房120、水晶体122、角膜124、外眼筋126、強膜128、脈絡膜130、黄斑132、視神経134、網膜136および硝子体液138である。人間の眼について説明しているが、本発明は、馬や犬など人間以外の眼にも適用可能である、
背景として、眼の光学構成要素について詳細に説明する。眼に入った光はまず角膜124に入る。角膜124は透明で、およそ60ジオプトリーの眼の全屈折力のうち約40ジオプトリーを提供する。その後、光は瞳孔118を通過する。瞳孔118は開口であり、直径は1mmから少なくとも8mmまで変化可能である。これによって、開口にf20〜f2.5を超えた範囲と、眼に入ることが可能な光量に対して32:1の割合を可能にする。虹彩114は、瞳孔118を形成する調節可能な隔膜として機能する。その後、光は水晶体122を通過する。水晶体122は、透明な封入された両凸体であって、これの円周部は毛様体112に固定されている。水晶体122は、弛緩状態の眼の全屈折力に約17ジオプトリー寄与する。水晶体122の屈折力は、毛様体112内の毛様体筋の収縮によって変化する。収縮によって、水晶体122が変形し、屈折力が変化する。その後、光は硝子体液138を通過し、最終的に網膜136に当たる。網膜136は、眼球の感覚神経層であり、脳の突出部と考えることができ、視神経134を介して脳に接続されている。網膜136の中心近くでは、黄斑132は、中心窩または小窩(図7参照)と呼ばれる、視覚感度が最も高く、直径がおよそ0.4mmの中心領域を含み、そこでは眼の分解能が最も高い。小窩の直径の小さいことが、良好な視力を得るために、光軸が極めて正確に向けられなければならない理由のうちの1つである。
【0028】
このように、人間の眼は、調節可能な隔膜(虹彩11)と、調節可能な屈折力(毛様体112が水晶体124を変形させることによる)とを有している。
【0029】
IOLは、3つの位置、すなわち、角膜124と虹彩114との間にある前眼房120内、または虹彩114と水晶体122との間にある後眼房内(図示せず)、または水晶体122の置換物、のうちの1つに置くことができる。
【0030】
一般的に、水晶体が病気または損傷を受けた場合、IOLは水晶体と置き換えるために用いることができる。この水晶体へのIOLの置換は、調節性または非調節性であってもよい。水晶体と置換することによって、IOLは、以前は本来の水晶体を保持していた透明な袋状のカプセル中に、都合よく位置付けることができ、また、この透明な袋状のカプセルの周囲を取り囲む筋肉毛様体と相互作用して、ある程度の可変焦点調節能力を保持することができる。他の場合、IOLは、別のカプセルに配置される(袋状のカプセルなしに)。
【0031】
しかし、水晶体が依然として機能する場合、水晶体をそのままにして、眼の後眼房か前眼房120のいずれか、または上述の小径角膜内レンズ(SDCI)と似た角膜組織内に、電気駆動IOLを配置することが好ましい。これらの実施形態では、電気駆動IOLは、単に例示目的であるが、従来の屈折異常を補正し、従来にはない屈折異常を補正し、焦点位置を網膜のより健康な領域に移動させるプリズム像移動効果を生み出し、これ以外の健康な水晶体の屈折力を元に戻すのではなく、着色を追加する、屈折力を実現できる。
【0032】
従来の屈折異常は、近視、遠視、老眼、および正乱視のうちの1つまたは複数として定義される。従来にはない(または高次の)屈折異常は、従来の屈折異常ではない他の全ての屈折異常または収差として定義される。
【0033】
多くの場合、既存の水晶体に欠陥がある場合、電気駆動IOLは、白内障手術中に用いることができる。この場合、電気駆動IOLは、実際には、除去された既存の欠陥水晶体に置き換わり、従来および/または従来にはない屈折異常を含む、ある範囲の電気駆動光学補正を提供し、ならびに、水晶体除去で生じた屈折力の損失を補う屈折力を提供できる。さらに、電気駆動IOLは、表面形状の運動、移動または変化を必要とせずに調節することができる。これは、電気駆動IOLの屈折率の変化を局所的にプログラムすることによって達成される。
【0034】
最も一般的で進んだ白内障手術の技術は水晶体超音波吸引術、すなわち「phoco法」である。この手術は、まず、角膜の端部を小さく切開し、その後、白内障損傷のレンズの回りの膜に穴を形成する。この薄い膜はカプセルと呼ばれる。次に、小型の超音波プローブが、角膜とカプセルの穴に挿入される。プローブの振動する先端部によって、曇ったレンズを極めて小さな破片に砕き、すなわち「乳化」する。破片は、プローブの先端に付着することによってカプセルから吸引される。レンズが完全に除去された後、プローブは、透明な(すでに空っぽの)袋状のカプセルだけを残して引き抜かれる。カプセルは、眼内レンズ(IOL)の支持体として作用する。
【0035】
水晶体超音波吸引によって、角膜を極めて小さく切開して白内障手術を実施することができる。この小さな入口を閉じるのに縫合する必要はほとんどない。これは、他の外科手術を用いる場合よりも不快感がなく、より早く視力が回復することを意味している。切開が小さいと、通常、角膜の曲率が変化しない(従来の外科的技術に必要とされたより大きな切開と異なる)。切開が小さいと、視力の回復もより速く、良好な遠方視力のために眼鏡により依存しなくなる可能性がある。
【0036】
白内障損傷のレンズを除去した後、人工の眼内レンズ(IOL)が埋め込まれる。IOLは、柔軟なアクリルまたは硬い医療品質のシリコンから作ることができる。IOLは折り曲げることができるため、小型の注入器で埋め込むことができる。注入器は、phacoプローブがこの手順の最初で挿入されたのと同じ切開を用いる。IOLが埋め込まれると、IOLは開かれ、眼の瞳孔の後ろで、残っている透明なカプセルの上方にしっかりと固定される。埋め込まれるIOLは、手術前に実施される屈折力の計算に基づいて選択することができる。本発明の場合、電気駆動IOLもまた、必要な電気駆動補正の範囲、治療される他の種類の眼疾患、および患者の何らかの特別な必要性に基づいて選択できる。
【0037】
ほとんどの場合、電気駆動素子は、典型的には、屈折力の+2.5ジオプトリー、+2.75ジオプトリー、+3.0ジオプトリーまたは+3.25ジオプトリーを提供する。水晶体によって通常提供される約17ジオプトリーのうち、全てではないが大部分を与えるレンズの基礎部分(電気駆動素子が光結合する)が手術前に測定され選択されることになる。しかし、従来のIOLとは異なり、(例えば、手術前に実施される計算が、手術後に最適ではない場合に)電気駆動IOLは、IOLの屈折力を遠隔調節することができる。
【0038】
図2Aおよび図2Bは、本発明の実施形態によるIOLアセンブリ部200を示している。図2Aは、IOLアセンブリの正面図を表している。IOLアセンブリは、電気駆動レンズ素子218の周囲に配置された薄い環状の電荷蓄積キャパシタ216によって電力が供給される、電気駆動レンズ素子218を含んでいる。電荷蓄積キャパシタ216は、圧電膜212によって充電される。圧電膜212は、毛様体(図示せず)が機械的力を加えた結果、この電荷を発生させる。圧電膜212は、毛様体取付タブ210によって毛様体に取り付けられる。
【0039】
眼が近くから遠くに、および遠くから近くに焦点合わせしようとするときに、毛様体は拡大収縮する。この毛様体の動きが圧電膜212を伸張および/または圧縮して、電気を発生する。電気は充電リード線220を通して伝送され、電荷蓄積キャパシタ216(または充電式バッテリ)を充電するために用いられる。電荷蓄積キャパシタ216は、電気駆動レンズ素子218と任意の関連制御回路(図示せず)に電力を供給できる。典型的には、電気駆動レンズ素子218は、約1.0〜5.0ボルト、好ましい範囲は1.5〜2.5ボルトを必要とする。これらの比較的低い電圧によって、手術での電気装置の装着に伴う危険性が低減される。
【0040】
伸張または圧縮を受ける圧電膜212の電気特性は、所望の視野距離を決定する測定器として用いることができ、電気駆動レンズの焦点を調節するために用いることができる。このように、ユーザは、筋肉毛様体を用いて、電気駆動IOL200の焦点を無意識で自動的に制御することができる。これまでは、筋肉毛様体の収縮によって、水晶体を物理的に変形することで、患者の水晶体の焦点を調節していた。電気駆動IOL200を用いると、筋肉毛様体の無意識で自動的な収縮によって、圧電膜212の電気特性が変化し、これらの電気変化は、例えば、先端部(図示せず)に配置されたプロセッサによって監視され、電気駆動IOL200の焦点を電気的、可変的に調節するのに用いることができる。あるいは、圧電膜212は、焦点を調節するための測定器として単独で用いることもでき、この場合、電気駆動IOL200には別の電源が設けられる。
【0041】
いくつかの実施形態では、圧電膜を複数の(3つ以上の)取付タブによって毛様体の周辺に取り付けることにより、周囲の毛様体の本来の周辺方向の収縮および拡大を利用することができる。
【0042】
1つまたは複数のレンズ固定部214を用いて、電気駆動レンズを所望の位置で安定させることができる。例えば、レンズ固定部214を用いて、以前は本来の水晶体を含んでいたカプセルまたは「袋」または膜の内部で、電気駆動レンズの中心合わせをすることができる(嚢内ILOを形成する)。あるいは、レンズ固定部214は、毛様体筋に直接取り付けることもでき、したがって、カプセルの外側にあってもよい(嚢外ILOを形成する)。
【0043】
複数のレンズ固定部214を用いてもよい。例えば、3つまたは4つのレンズ固定部214を用いてもよい。レンズ固定部214は、特定の用途に特化された種々の形状を有していてもよい。
【0044】
光学ベースレンズ252は、従来のレンズ構成を用いてベースとなる屈折力を実現することができ、屈折力において、調節を必要としないときの水晶体と等価にできる。ベースレンズ252はまた、気密封止したケース中に電気駆動素子を封入する手段としても機能することができる。カースは、単に例示目的であるが、IOLを柔らかいアクリルまたは固い医療品質のシリコンとするために現在用いられている生体適合性の材料と似た材料から成る。
【0045】
図2Bは、電気駆動レンズと電源としての圧電材料とを備える眼内レンズの実施形態の側面図を表している。詳細には、図2Bは、電気駆動レンズ素子218を取り囲み、一定またはベースとなる屈折力を与える光学ベースレンズ252を示している。特定の実施形態では、一定またはベースとなる屈折力は、電気駆動素子が動作していないときに、近距離で眼の焦点を合わせるように適合されてもよい。他の実施形態では、固定またはベースレンズは、電気駆動する素子が動作していないときに、遠距離で眼の焦点を合わせるように適合されてもよい。光学ベースレンズ252は複数の焦点を有してもよく、および/または着色されていてもよい。
【0046】
他の電源には、太陽電池、誘導充電、伝導充電、レーザ、熱伝作用、まばたきによる機械的エネルギーの利用が含まれ得る。キャパシタ216(または任意に、バッテリ)は、特定の眼鏡(メガネ)で誘導的に充電できる。眼鏡は、バッテリが充電されている間、電気駆動レンズを遠隔でオフにできる。特定の眼鏡は、バッテリが充電されている間、視力を矯正するように構成されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、電気駆動IOL200内のキャパシタ216は、電流が流れる極めて細いゲージワイヤを有する特殊な枕を用いて充電できる。このように、枕を用いて、夜間に患者が眠っている間に電気駆動IOL200の内部バッテリを充電することができる。このタイプの例示的な配置が図5に示され、以下により詳細に説明される。電力調節回路が、電圧を低減し、小電力充電のため電流を安全なレベルに制限し、より効率よく充電するために周波数を調節するのに利用される。
【0048】
あるいは、電気駆動IOLは、キャパシタ216またはバッテリを有するのではなく、外部に位置するバッテリによって常に導電的に電力供給されてもよく、または外部に位置し、誘導的に結合された電源、または太陽電池、または適切に調節されたレーザに結合された太陽電池、または体温(典型的には98°F(約36.6℃))を比較的冷たい周囲空気(典型的には70°F(約21.1℃))に放熱することで電気を生成する熱電電源によって、常に誘導的に電力供給されてもよい。
【0049】
図3Aおよび図3Bは、電気駆動する回折レンズ素子326と充電式バッテリ・リング324とを有する眼内レンズシステム300を表している。図3Aは、電気駆動回折レンズ素子326の正面図である。この回折レンズ素子は、円形の同心電極で電気的に回折することができるか、または屈折率整合および不整合による制御で電気的に活性化されるエッチング表面で、機械的に回折することができる。回折レンズは、電力接続部322によって、充電式バッテリ・リング324に接続されている。レンズ固定部314を用いて、電気駆動回折レンズ素子326を所望の位置および向きで、安定させおよび位置合わせすることができる。充電式バッテリ・リング324は、図2Aおよび図2Bの眼内レンズシステム200のキャパシタと同様のキャパシタで電力を供給されてもよい。さらに、充電式バッテリ324は、異なった形状とされ、レンズ固定部314の内側にまたは隣接して位置してもよく、したがって、光学素子から離れる位置に移動してもよい。
【0050】
図3Bは、眼内レンズ300の側面図を表している。詳細には、図3Bは、図2Aおよび図2Bの眼内レンズシステム200のベースレンズ252と同様の光学ベースレンズ352を示している。このベースレンズ352は、ベースまたは一定の屈折力を備えるか、または屈折力を備えずに、単に保護カプセルまたは基板として機能してもよい。
【0051】
図4Aおよび図4Bは、ピクセル化された、電気駆動レンズ素子430と充電式バッテリ・リング424とを有する眼内レンズシステム400を表している。図4Aは、ピクセル化された、電気駆動レンズ素子430の正面図を示している。レンズ素子430は、電力接続部422によって、充電式バッテリ・リング424に接続されている。レンズ固定部414は、電気駆動回折レンズ素子430を所望の位置および向きで、安定させおよび位置合わせするために用いることができる。充電式バッテリ・リング424は、図2からのキャパシタ216と同じ方法で、電力が供給されてもよい。
【0052】
図4Bは、これまでの実施形態のベースレンズと同様のベースレンズ452を有する、眼内レンズ400の側面図を表している。
【0053】
図5は、本発明のいくつかの実施形態による、IOLの内部電源を充電する際に用いられる外部電源500を表している。電源500では、電力調節器532が壁コンセント530に電気接続されている。電力調節器532は、充電可能な電気駆動IOLのキャパシタまたはバッテリを誘導充電するために、枕536の内部にある細いゲージワイヤ誘導コイル534に接続されている。電力調節器532は、電圧を低減し、小電力充電のために、電流を安全なレベルに制限し、およびより効率よく充電するために周波数を調節するように構成できる。電源500は、患者が頭を枕536の上または近くに置いている間に、電気駆動IOLが充電されるように構成することができる。あるいは、誘導コイル534は、患者の布団、またはヘッドレスト、背もたれ内に置くか、または患者の頭に極めて近い他の位置に長時間置かれることもある、ことは理解されよう。
【0054】
図6は、電気駆動レンズ素子618と、制御チップ640と、無線プログラミングユニット660用のアンテナ622とを備える眼内レンズアセンブリ600を表している。無線プログラミングユニット660は、電波を介して制御チップ640と通信するよう構成されている。電波は、制御チップ640と通信するミニアンテナ642によって捕らえられる。制御チップ640はこれらの電波を利用して遠隔で調整することもできる。このような調整には、電気駆動レンズ素子618の光学特性を設定または調節することが含まれてもよい。制御チップ640は、電気駆動レンズ素子618を制御し、無線プログラミングユニット660と双方向に通信できる。例えば、制御チップ640は、バッテリ624の電圧が低い無線プログラミングユニット660を警告するように構成できる。あるいは、電波を介する代わりにレーザ(光波)を介して、制御チップ640とプログラム通信することもできる。
【0055】
電気駆動レンズ素子618は、電力接続部622によって、充電式バッテリ・リング624、またはキャパシタ(図示せず)に接続されてもよく、先に記載した実施形態におけるように、誘導コイルまたは圧電素子によって充電することもできる。
【0056】
いくつかの実施形態では、電気駆動IOLによりなされる補正は、患者の必要性や所望の結果によって変わることもある。いくつかの実施形態では、電気駆動素子は、老眼のための補正だけに提供されてもよい。いくつかの実施形態では、電気駆動IOLは、遠隔で微調整された従来の補正を提供することができる。いくつかの実施形態では、電気駆動IOLは、単に例示目的ではあるが、コマ、球面収差、トレフォイルおよび他のより高次な収差など、高次の(従来にはない)収差の補正を提供することができる。いくつかの実施形態では、電気駆動素子は、像のプリズム移動を電子的に行うことによって、網膜上の像の位置を調節することもできる。高次の収差を補正または、像が網膜上に位置するプリズム移動を補正する場合、電気駆動するIOLは、複数のピクセルを利用することができる。像のプリズム移動は、単に例示目的ではあるが、網膜の黄斑変性(黄斑の疾患または特定の変性による色の変化を含む)、黄斑円孔、網膜裂傷および、特に視覚路の部分での暗点または視力損失の原因となる神経的異常(例えば、視野内の盲目またはダークスポットおよび視力障害)といった症状を有する患者に極めて有用である。上述の各使用実施形態において、本発明の電気駆動IOLは、所望の最適な効果を達成するために、術後に遠隔で調整可能であることが指摘されるべきである。
【0057】
図7Aは、健康な中心窩720と健康な黄斑710とを備える健康な網膜の像を示している。図7Bは、通常は網膜の膜を横切って移動する網膜の背後から出血することによって生じる、「非滲出性」黄斑変性によって損傷を受けた黄斑730の領域を示している。図7Cは、「滲出性」黄斑変性によって損傷を受けた黄斑740の領域を示している。この領域は、黄斑領域内の網膜上で結晶腔を形成することによって生じる。像を網膜上の別の位置に移すことによって、黄斑変性を病む患者の視力を回復することができる。像の位置を0.25mm〜3.00mm変化させることによって、黄斑または網膜が疾患または損傷を受けている場合に、人々の視力を大幅に改善することができる。好ましい範囲は、0.50mm〜2.00mmである。
【0058】
図8は、眼の糖尿病性網膜症の効果を示している。先と同様に、網膜上の像をプリズムIOLで向けなおすことによって、視覚的な明瞭さにおけるこの疾患の影響の一部を軽減できる。
【0059】
図9は、一実施形態を概略的に示しており、この実施形態によって、線状電極を備える電気駆動レンズを積み重ねて、網膜上の像の垂直および水平方向の移動を組み合わせてもよい。第1のレンズ910は、垂直方向のプリズム屈折力を生成するのに用いられる水平電極を有する。第2のレンズ920は、水平方向のプリズム屈折力を生成するのに用いられる垂直電極を有する。組み合わせレンズ930は、垂直方向および水平方向の像の移動を組み合わせることができる。各電極の電圧を変化させ、位相ラッピング(phase−wrapping)として公知の技術を利用することによって、さまざまなプリズム屈折力がよってこのようなレンズによって生成することができる。またより大きな値のプリズム屈折力を実現するために、複数のレンズを積み重ねてもよい。必要なプリズム屈折力の量および結果として生じる像の移動量とは、疾患の程度によって変化する。像の移動の好ましい範囲は0.1mm〜3.0mmで、望ましい範囲は、0.5mm〜2.0mmである。
【0060】
図10は、非電気駆動調節性IOLと光結合する、電気駆動IOLを示している。素子1010は、非電気駆動調節性IOL素子1020と光結合する電気駆動レンズである。なお、素子1010と1020は、光学的に直列であるが、物理的には相互に接触していない。
【0061】
電気駆動レンズに電力を供給するために多くのことが考慮されてきたが、電気駆動材料によっては、電気が印加されない場合に屈折力を保持するものもある(例えば、単に例示目的ではあるが、双安定液晶など)。この種の電気駆動材料を用いると、プリズム屈折力、IOLのベース屈折力に加算または減算した、追加または減少屈折力、および/またはより高次の補正が、装置に電力が与えられている間に設定されることができ、その後、電力が除去された後も、設定を維持することになろう。これにより、IOLにおいて電源を再充電する必要性をなくすることができる。患者の視力が変化し、新しく補正しなければならない場合、患者は眼科専門医のところに戻り、IOLをプリズムおよび/または高次の補正の新しい組み合わせで調節してもらうことができる。変化には、外部から遠隔で電力を供給することもできる。例えば、外部電源は、RFIDタグが今日機能するのと同様にRFエネルギーであってもよく、この場合、読取装置がRFIDタグに誘導的に電力を供給し、これにより、RFIDはタグの情報をRFID読取機に送信することができる。
【0062】
RFIDタグと同じ方法で、IOLの電力を変更する調整装置によって、電気駆動IOL上の制御器に電力を供給することができ、これにより制御器は、IOLの電極の電圧を変化させて、電気駆動IOLの光学特性を決定する局所的な屈折率が設定できる。
【0063】
あるいは、眼の中および電気駆動IOL内に形成された光電池の上に、明るい光またはアイセーフレーザを照射することによって、電力を光学的に供給してもよい。この電力は必要とされる一時的な電力を供給して、電気駆動IOLの屈折力を調節する。このシステムは、電力の供給に加えて、通信するために使用することもできる。
【0064】
双安定のツイステッド・ネマチック、コレステリックおよび強誘電体液晶が、柔軟な低価格のLCD表示装置で用いられてきており、同様の材料をIOLの電気駆動素子内で用いてもよい。この種の電気的に調節された(しかし電力が供給されていない)、網膜疾患の調整または高次収差の補正に対するプリズム屈折力の調整、加算または減算が、老眼を補正する、調節性で、電気駆動しない任意のIOLに追加(すなわち、光学系内に配置)されてもよい。例えば、電気駆動素子を非電気的または電力供給されないIOLに光学的直列にして、例えば、1つまたは複数の表面曲率および/または眼の中のIOLの位置を変化させることによって、IOLの屈折力を機械的に変化させるようにすることができる。
【0065】
電気駆動レンズまたは電気駆動素子は、少なくとも3つの方法で追加することができる。第1に、別個の電気駆動IOLを、非電気駆動の調節性IOLとの非接触光結合(光学的に直列)状態に置くことができる。第2に、電気駆動素子は、調整中に外形が変化しないIOLの表面のうちの1つに形成可能である。第3に、電気駆動素子は、積み重ねた非電気駆動素子の内部に置くことができる。
【0066】
例えば、電気駆動素子は、前眼房で追加され、個々に機能する水晶体に光学的に直列にして用いることができる。この場合、水晶体は本来の調節を行い、電気駆動IOLは、網膜のより健康な部分に像を移動し、または非電気駆動IOLを調整し、またはより高次な収差に対して補正することもできる。
【0067】
上述のとおり、いくつかの実施形態では、電気駆動IOLを遠隔で調整または調節することは大きな利点となり得る。電気駆動IOLを眼の中に挿入した後、屈折力とプリズム屈折力は、遠隔で微調整されて、従来の屈折異常、または高次収差、または網膜上の像の正確な位置を補正するための最適な視力矯正を達成することができる。さらに、後日にIOLを再び調整することにより、疾患または加齢によって時間経過に伴って生じる眼の中の変化を補償することができる。従来の屈折異常を単独で補正する場合、電気駆動IOLは、回折もしくはピクセル化のいずれか、または両方を利用することができる。電気駆動素子はまた、患者の症状および眼科専門医の裁量で必要に応じて、これらの機能を任意の数で組み合わせることもできる。
【0068】
いくつかの実施形態では、電気駆動レンズは、本発明で説明したとおり、視力を矯正するのに使用してもよいが、電気駆動レンズを利用して、電気駆動でサングラスまたは着色効果を持たせてもよい。特定の液晶層または他のエレクトロクロミック材料を用いることによって、本発明の電気駆動IOLは、周囲環境の光レベルが不快なほどに高くなり、眼に危険となるレベルに達した場合に、網膜に当たる光量を低減することができる。IOL内に形成された光センサが特定のしきい値を超えた光強度を受ける場合、サングラス効果を自動的に起動してもよい。あるいは、サングラス効果は、IOL内の制御回路に結合された無線通信装置を用いて、ユーザによって遠隔でスイッチが入れられてもよい。この電気駆動サングラス効果は、ミリ秒台以内に以下で生じ、これは、従来のレンズにおける市販の感光化学着色おける数秒間(またはこれ以上)の相対的に遅い反応とは対照的である。電気駆動レンズの反応時間を決定する1つの要因は、液晶層の厚さである。例えば、5ミクロン層の液晶は、ミリ秒台で反応することができる。
【0069】
同様に、電気駆動素子の焦点調節は、距離計または傾斜計(下を向いたときの近距離、真っ直ぐ向いたときの遠距離)を用いることによって自動的に実行してもよく、または、無線通信装置を用いて、ユーザが遠隔で制御してもよい。
【0070】
多数のエレクトロクロミック材料が存在する。1つの種類は、イオン交換を可能にする内側層を有する導電性膜の透明な外側層から成る。電圧が外側の導電層間に印加される場合、イオンは、一方の内側層から他方に移動して、エレクトロクロミック材料の着色を変化させる。電圧を逆にすると、層は再び透明になる。エレクトロクロミック層は、作動中に、約5〜80%の可変の光透過率を有することができる。この種のエレクトロクロミックのグレージングは「メモリ」を有し、変化し始めた後、電圧を一定にする必要がない。さらに、赤外線(熱)エネルギーなど、特定の波長を遮断するように調節できる。
【0071】
別のエレクトロクロミック技術は、懸濁粒子表示装置(SPD)と呼ばれている。この材料は、ガラス板の間の溶液に懸濁された分子粒子を含んでいる。これらの自然状態においては、粒子はランダム運動して衝突し、光の直進経路を遮る。スイッチが入れられると、粒子は急速に整列し、グレージングは透明になる。このタイプの切り換え可能グレージングは、最大、光の約90%を遮断することができる。また、エレクトロクロミック効果をサングラスに与えるために、液晶が用いられてきた。
【0072】
本明細書で開示したとおり、本発明のシステムおよび方法は、上述の問題点および従来の技術に存在する他の問題点に関する。種々の製品、方法または装置および、背景技術の項目で述べた、これらに伴う不具合の全ての説明は、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、または、本発明が、1つの形態または別の形態において、既知の製品、方法および装置の種々の要素のうちのいくつかまたは全てを含まないことを意味するものでもない。実際、本発明の種々の実施形態は、1つの形態または別の形態において、既知の製品、方法および装置の種々の要素のうちのいくつかまたは全てを依然として保持しつつ、背景技術の項目で述べた不具合のいくつかを克服することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】人間の眼の主な解剖学的構成部分を表している。
【図2A】電気駆動レンズおよび電源として圧電材料を備える、眼内レンズの実施形態の正面図を表している。
【図2B】電気駆動レンズおよび電源として圧電材料を備える、眼内レンズの実施形態の側面図を表している。
【図3A】電気駆動回折レンズおよび充電式バッテリ・リングを備える眼内レンズの実施形態の正面図を表している。
【図3B】電気駆動回折レンズおよび充電式バッテリ・リングを備える眼内レンズの実施形態の側面図を表している。
【図4A】ピクセル化された電気駆動レンズおよび充電式バッテリ・リングを備える眼内レンズの実施形態の正面図を表している。
【図4B】ピクセル化された電気駆動レンズおよび充電式バッテリ・リングを備える眼内レンズの実施形態の側面図を表している。
【図5】枕の内部に誘導充電素子を備える外部電源を表している。
【図6】電気駆動レンズと、無線プログラミングユニットで使用するアンテナとを備える制御チップとを備える眼内レンズの実施形態を表している。
【図7A】網膜上の黄斑と中心窩の位置を示した健康的な網膜の像である。
【図7B】「非滲出性」の黄斑変性によって損傷を受けた黄斑の領域を示している。
【図7C】「滲出性」の黄斑変性によって損傷を受けた黄斑の領域を示している。
【図8】糖尿病性網膜症の種々の症状を示している。
【図9】網膜上の像の垂直および水平移動のあらゆる組み合わせを作り出す、線状電極を備える、2つのプリズムレンズの重ね合わせを示している。
【図10】電気駆動式でない調節性IOLと光結合する、電気駆動IOLを示している。
【関連出願】
【0001】
本出願は、2004年11月2日付で出願された仮出願第60/623,946号および、2004年12月17日付で出願された仮出願第60/636,490号の利益を主張し、これら両方はその全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0002】
以下の出願、仮出願および特許は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。2005年9月22日付出願の米国特許出願第11/232,551号、2005年7月19日付発行の米国特許第6,918,670号、2005年7月18日付出願の米国特許出願第11/183,454号、2005年7月21日付出願の米国特許仮出願第60/692,270号、2005年6月6日付出願の米国特許仮出願第60/687,342号、2005年6月6日付出願の米国特許仮出願第60/687,341号、2005年5月31日付出願の米国特許仮出願第60/685,407号、2005年5月10日付出願の米国特許仮出願第60/679,241号、2005年4月26日付出願の米国特許仮出願第60/674,702号、2005年4月22日付出願の米国特許仮出願第60/673,758号、2005年4月19日付出願の米国特許出願第11/109,360号、2005年4月8日付出願の米国特許仮出願第60/669,403号、2005年4月1日付出願の米国特許仮出願第60/667,094号、2005年3月30日付出願の米国特許仮出願第60/666,167号、2005年3月29日付発行の米国特許第6,871,951号、2005年3月28日付出願の米国特許出願第11/091,104号、2005年3月16日付出願の米国特許仮出願第60/661,925号、2005年3月9日付出願の米国特許仮出願第60/659,431号、2005年2月22日付出願の米国特許出願第11/063,323号、2005年2月22日付発行の米国特許第6,857,741号、2005年2月8日付発行の米国特許第6,851,805号、2005年1月14日付出願の米国特許出願第11/036,501号、2005年1月6日付出願の米国特許出願第11/030,690号、2004年11月24日付出願の米国特許出願第10/996,781号、2004年11月2日付出願の米国特許仮出願第60/623,947号、2004年8月24日付出願の米国特許出願第10/924,619号、2004年8月13日付出願の米国特許出願第10/918,496号、2004年6月9日付出願の米国特許出願第10/863,949号、2004年5月11日付発行の米国特許第6,733,130号、2004年2月5日付出願の米国特許出願第10/772,917号、2003年9月16日付発行の米国特許第6,619,799号、2003年8月20日付出願の米国特許出願第10/664,112号、2003年7月25日付出願の米国特許出願第10/627,828号、2003年3月12日付出願の米国特許出願第10/387,143号、2003年2月11日付発行の米国特許第6,517,203号、2002年12月10日付発行の米国特許第6,491,391号、2002年12月10日付発行の米国特許第6,491,394号、2002年10月4日付出願の米国特許出願第10/263,707号。
【技術分野】
【0003】
本発明は、眼内レンズ(IOL)の分野に関する。詳細には、本発明は、電気駆動素子がIOLの屈折力の少なくとも一部、またはプリズム屈折力、または着色の少なくとも一部を提供する眼内レンズに関する。
【背景技術】
【0004】
眼内レンズ(IOL)は、通常、眼の本来の水晶体を置換または補足するために、眼球の内部に手術で埋め込まれる恒久的なプラスチックレンズである。眼内レンズは、白内障の患者が視力を回復するために、1960年代後半から米国で用いられ、最近になって、いくつかの種類の眼の屈折矯正手術で用いられている。
【0005】
本来の水晶体は、眼の複雑な光学システムのうち重要な構成要素である。水晶体は、健康な眼の屈折力の全60ジオプトリーのうち約17ジオプトリーを提供する。さらに、健康な水晶体は、水晶体の周囲を取り囲む筋肉毛様体によって変形することで、焦点を調節することができる。眼が老化するにつれて、水晶体の柔軟性が低下し、この調節可能な焦点調節機能が損なわれる。このように、この重要な水晶体は、年齢とともにほとんど決まって柔軟性を失い、白内障や他の疾患によって年齢とともに透明度を失うことが多い。
【0006】
白内障手術で用いられているほとんどの眼内レンズは、折り曲げられ、本来の水晶体を取り除くのに用いられた同じ小さな穴を通して挿入される。眼の中に入ると、レンズはフルサイズに広がる。眼の穴は極めて小さいため、レンズは縫合せずともすぐに自己回復する。眼内レンズは、体が拒絶反応を引き起こさない不活性材料で作られる。
【0007】
ほとんどの場合、IOLは恒久的である。IOLは、手術前の眼の測定によって、IOLに必要な焦点調節能力が正確に決定されていなかった場合を除いて、交換の必要はほとんどない。また、手術そのものによって眼の光学特性が変化することもある。ほとんどの場合、白内障の手術中に埋め込まれた眼内レンズは単焦点レンズであり、IOLの屈折力は、眼の屈折力が遠距離視力に設定されるように選択される。したがって、ほとんどの場合、患者は手術後にも依然として読書用眼鏡を必要とするであろう。眼内レンズの埋め込み物は静的な多焦点レンズであってもよく、これによって、老眼の患者に、遠方でははっきりと見えるようにし、また、近距離の範囲では適度に焦点合わせすることによって、眼の本来のレンズにより似た働きをするよう試みられている。全ての患者が、多焦点レンズに適する候補者というわけではない。しかし、多焦点レンズを使用できる患者は、結果に満足している一部の人である。
【0008】
最近になって、調節性のIOLが導入されてきた。これらの調節性IOLは、筋肉毛様体が脳からの調節性刺激に反応すると、本来の水晶体が焦点を合わせるのと同様の方法で、運動(眼の軌道内での物理的変形および/または移動)によって、実際に焦点を変化させる。これらは正常に機能するが、調節性IOLはまだ完全ではない。このように成功する場合を限定するにもかかわらず、多焦点IOLおよび現在の調節性IOLは、健康な本来の水晶体と比較すると、やはり性能がかなり低下する。
【0009】
老眼を直すのに期待できる他の接眼レンズは、小径角膜内レンズ(SDCI)である。小径角膜内レンズ(SDCI)は、二重焦点コンタクトレンズと同様の効果を生成する角膜組織内に挿入される処方レンズである。角膜内レンズ(SDCI)は、開発されて間がなく、これらがどのように良好に機能するか、またこれらがどのように効果を発揮するかについて理解するにはまだ早すぎる。
【0010】
これらの新しい外科的処置は全て利点を有しているが、これらは全て、若くて健康的な本来の水晶体と比較すると、性能はかなり低下する。本発明は、本来の水晶体と同様に機能する眼内レンズを提供することによって、これらの欠点に対処する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の例示的な態様では、個別に制御可能な複数のゾーンまたはピクセルと、遠隔プログラム可能な制御器とを有する、電気駆動レンズを備える眼内レンズシステムが提供される。
【0013】
本発明の別の態様は、以下の図面に関連してなされる以下の説明から明らかとなるであろうが、本開示の新規の概念の精神と範囲を逸脱することなく、いくつかの変形形態および修正形態が実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、添付図面と合わせた以下の詳細な説明を読むことによってより十分に理解できる。図では、同様の参照符号は、同様の構成要素を示すのに用いられている。
【0015】
以後、本発明の種々の実施形態について説明する。本明細書では、単数形のいずれの用語も複数形に解釈され、あるいは、複数形のいずれの用語も単数形と解釈される。
【0016】
電気駆動材料は、電気制御によって変化する光学特性を備えている。例えば、光透過率を制御して、着色またはサングラス効果を生むことができる。さらに、屈折率を電気的に制御して、焦点調節および/またはプリズム効果を得ることができる。電気駆動材料の1つのクラスは液晶である。液晶は、結晶固体とアモルファス液体との間の中間の凝集状態を備えている。液晶の特性は、電気的、熱的、または化学的に制御されてもよい。多くの液晶は、棒状分子で構成され、ネマチック、コレステリックおよびスメクチックとして広く分類されている。
【0017】
IOLで有用な電気駆動材料にはいくつかの特徴がある。第1に、薄層によって(厚いレンズを必要とすることがある従来のレンズの曲率によってではなく)、光学特性が生じる。これらの薄層は、従来のレンズを配置するには難しい位置、例えば、前眼房内(虹彩と水晶体との間の)に配置できる。さらに、電気駆動層を積み重ねる(光学的に直列に配置する)ことにより、前眼房または後眼房のいずれか内に配置される薄層構造で、従来の屈折異常または高次の収差補正を含む、全体の屈折力を生成するための追加の効果を得ることができる。
【0018】
第2に、光学特性は効果的に制御できる。例えば、電気駆動レンズは、明るい光条件の下でより暗くなる(より強く着色され、より光を透過しない)ように設計することができる。この着色は、例えば、フォトダイオードまたは太陽電池を用いて、輝度を測定することによって自動的に生成してもよい。代わりに、この着色は、遠隔制御によってユーザの判断で制御することもできる。
【0019】
同様に、電気駆動レンズの焦点は電気的に制御できる。例えば、距離計または傾斜計または両眼の方向や眼の筋肉によってレンズに加わる力に基づいた三角測量を用いて、焦点を自動的に制御することができる。あるいは、焦点は遠隔制御によるユーザの判断によって制御することもできる。
【0020】
第3に、電気制御によって、複雑で高次の視覚欠損を補正する可能性が得られる。従来の眼内レンズは、様々な製造上の理由で、ある特定の視覚欠損に対処するのに限定されている。しかし、個別にアドレス可能な、制御された、大量の小さい素子(例えば、極めて小さいピクセルアレイ)を備える電気駆動レンズは、極めて複雑で高次の視覚欠損に対応できる。さらに、任意の構成(例えば、一連の同心円、または一連の略同心の楕円、または視覚欠損を効率よく補正する特化した所望の構成)で、個別にアドレス可能な素子を形成することによって、制御を簡略化されてもよい。小さなピクセルアレイの設計、製造および制御は、液晶表示装置(LCD)の製造と類似している。眼の高次収差といった複雑な視覚欠損の補正によって、「超人的な」視力の可能性が生じる。「超人的な」視力では、視力がレンズ(生体または矯正のいずれかの)によって制限されるのではなく、網膜内の光受容細胞の固有の解剖学的および物理学的特性によって制限される。倍率の拡大を考慮する前であっても、20/10の視力かそれ以上が可能である。さらに、電気駆動レンズは望遠鏡または顕微鏡として作用することもできる。
【0021】
第4に、電気制御によって、電気駆動IOLの光学特性を所望通りに変更する可能性が得られる。例えば、所望の光学特性は、IOLが手術で埋め込まれた後に、手術中に生じる何らかの変化、または詳細には、手術後の屈折異常を算出または推定する際の誤差を補償するために、決定されてもよい。同様に、IOLの光学特性を、時間経過に伴って変化させ、ユーザの眼の変化を補償することもできる。例えば、ユーザが網膜の一部に影響を及ぼす変性疾患を有している場合、埋め込まれた電気駆動IOLを遠隔制御して、プリズム屈折力を生成するか、または電気駆動するIOLのプリズム屈折力を変化させて、損傷を受けていない網膜の一部に像を移動させることができる。単に例示目的で、最高密度の光受容細胞を備える、網膜のうちの残りの損傷を受けていない部分に、毎月(または必要に応じて)、像を移動することもできる。この変更は、手術後および遠隔制御で(すなわち、さらに手術せずに)達成することができる。
【0022】
第5に、電気制御によって、ユーザが自動的または本能的に焦点を制御する可能性が得られる。例えば、筋肉毛様体の収縮は、圧電素子によって測定することができる(歪ゲージとして)。その後、これらの収縮を制御入力として利用して、毛様体が物理的変形によって本来の水晶体を焦点調節できるのと同様の方法で、IOLの焦点を電気的に調節できる。さらに、理論上は、焦点は、脳からの直接の電気信号によって制御できる。最近の義肢の開発はこの技術を利用している。
【0023】
第6に、電気制御により視野を移動させることによって、眼球の運動を妨げる疾患を取り除く可能性が得られる。疾患筋肉(眼を動かすことができない)への神経信号を、取込み、翻訳、および利用して、視野を電気的に移動させることができる。
【0024】
第7に、電気駆動素子の構成には多くの種類がある。これらの構成には、ピクセル化(典型的には、コンピュータ上の液晶モニターと同様のピクセルの二次元アレイ)、回転対称ピクセル化(例えば、一連の同心円)および回折が含まれている。個々にアドレス可能なピクセル化された電気駆動回折レンズは、同心のリング状電極を用いることにより、レンズの表面に回折素子を物理的に機械加工、成形、またはエッチングすることなく、屈折率を変化させることにより、レンズの回折力を生成することができる。
【0025】
電気駆動素子は、従来のレンズと組み合わせて用いることもでき、この場合には、従来のレンズはベース屈折力を提供することができる。電気駆動素子は、機械加工、成形またはエッチングされた表面または形状を有する回折レンズと組み合わせて用いられることもできる。電気駆動素子は、第2の電気駆動素子と組み合わせて用いることもでき、各素子は異なった機能を果たすことができる。例えば、第1の電気駆動素子は焦点調節を実行し、第2の電気駆動素子は着色することができるか、もしくは電気的に制御された開口として作用することができ、または第2の電気駆動素子によって、疾患のある眼の網膜のうち健康な領域に像をプリズム移動することもできる。
【0026】
第8に、上述のとおり、本来の眼の数多くの光学機能を電気的に置き換えることができる。着色は、虹彩の収縮の効果を低減する光に置き換わり、または光を増加させることができ;焦点調節は水晶体の本来の変形に置き換わり;焦点調節およびプリズム移動は、眼球の動きに置き換わることができる等である。他の要因の中でも特に、本発明は、IOL、エネルギー貯蔵、エネルギー再充電、パワー発生、制御、眼の屈折力を変化させる網膜の目標領域の位置に向けた操縦、水晶体の調節力を増加または置き換え、電気駆動IOLの術後の遠隔調整、に対処する。調整は、IOLの能力を変化させることおよび/またはIOLの網膜上の焦点位置を変化させることを備える。
【0027】
図1は、人間の眼の主な解剖学的構成要素を表している。主な解剖学的構成要素とは、結膜110、毛様体112、虹彩114、眼房水116、瞳孔118、前眼房120、水晶体122、角膜124、外眼筋126、強膜128、脈絡膜130、黄斑132、視神経134、網膜136および硝子体液138である。人間の眼について説明しているが、本発明は、馬や犬など人間以外の眼にも適用可能である、
背景として、眼の光学構成要素について詳細に説明する。眼に入った光はまず角膜124に入る。角膜124は透明で、およそ60ジオプトリーの眼の全屈折力のうち約40ジオプトリーを提供する。その後、光は瞳孔118を通過する。瞳孔118は開口であり、直径は1mmから少なくとも8mmまで変化可能である。これによって、開口にf20〜f2.5を超えた範囲と、眼に入ることが可能な光量に対して32:1の割合を可能にする。虹彩114は、瞳孔118を形成する調節可能な隔膜として機能する。その後、光は水晶体122を通過する。水晶体122は、透明な封入された両凸体であって、これの円周部は毛様体112に固定されている。水晶体122は、弛緩状態の眼の全屈折力に約17ジオプトリー寄与する。水晶体122の屈折力は、毛様体112内の毛様体筋の収縮によって変化する。収縮によって、水晶体122が変形し、屈折力が変化する。その後、光は硝子体液138を通過し、最終的に網膜136に当たる。網膜136は、眼球の感覚神経層であり、脳の突出部と考えることができ、視神経134を介して脳に接続されている。網膜136の中心近くでは、黄斑132は、中心窩または小窩(図7参照)と呼ばれる、視覚感度が最も高く、直径がおよそ0.4mmの中心領域を含み、そこでは眼の分解能が最も高い。小窩の直径の小さいことが、良好な視力を得るために、光軸が極めて正確に向けられなければならない理由のうちの1つである。
【0028】
このように、人間の眼は、調節可能な隔膜(虹彩11)と、調節可能な屈折力(毛様体112が水晶体124を変形させることによる)とを有している。
【0029】
IOLは、3つの位置、すなわち、角膜124と虹彩114との間にある前眼房120内、または虹彩114と水晶体122との間にある後眼房内(図示せず)、または水晶体122の置換物、のうちの1つに置くことができる。
【0030】
一般的に、水晶体が病気または損傷を受けた場合、IOLは水晶体と置き換えるために用いることができる。この水晶体へのIOLの置換は、調節性または非調節性であってもよい。水晶体と置換することによって、IOLは、以前は本来の水晶体を保持していた透明な袋状のカプセル中に、都合よく位置付けることができ、また、この透明な袋状のカプセルの周囲を取り囲む筋肉毛様体と相互作用して、ある程度の可変焦点調節能力を保持することができる。他の場合、IOLは、別のカプセルに配置される(袋状のカプセルなしに)。
【0031】
しかし、水晶体が依然として機能する場合、水晶体をそのままにして、眼の後眼房か前眼房120のいずれか、または上述の小径角膜内レンズ(SDCI)と似た角膜組織内に、電気駆動IOLを配置することが好ましい。これらの実施形態では、電気駆動IOLは、単に例示目的であるが、従来の屈折異常を補正し、従来にはない屈折異常を補正し、焦点位置を網膜のより健康な領域に移動させるプリズム像移動効果を生み出し、これ以外の健康な水晶体の屈折力を元に戻すのではなく、着色を追加する、屈折力を実現できる。
【0032】
従来の屈折異常は、近視、遠視、老眼、および正乱視のうちの1つまたは複数として定義される。従来にはない(または高次の)屈折異常は、従来の屈折異常ではない他の全ての屈折異常または収差として定義される。
【0033】
多くの場合、既存の水晶体に欠陥がある場合、電気駆動IOLは、白内障手術中に用いることができる。この場合、電気駆動IOLは、実際には、除去された既存の欠陥水晶体に置き換わり、従来および/または従来にはない屈折異常を含む、ある範囲の電気駆動光学補正を提供し、ならびに、水晶体除去で生じた屈折力の損失を補う屈折力を提供できる。さらに、電気駆動IOLは、表面形状の運動、移動または変化を必要とせずに調節することができる。これは、電気駆動IOLの屈折率の変化を局所的にプログラムすることによって達成される。
【0034】
最も一般的で進んだ白内障手術の技術は水晶体超音波吸引術、すなわち「phoco法」である。この手術は、まず、角膜の端部を小さく切開し、その後、白内障損傷のレンズの回りの膜に穴を形成する。この薄い膜はカプセルと呼ばれる。次に、小型の超音波プローブが、角膜とカプセルの穴に挿入される。プローブの振動する先端部によって、曇ったレンズを極めて小さな破片に砕き、すなわち「乳化」する。破片は、プローブの先端に付着することによってカプセルから吸引される。レンズが完全に除去された後、プローブは、透明な(すでに空っぽの)袋状のカプセルだけを残して引き抜かれる。カプセルは、眼内レンズ(IOL)の支持体として作用する。
【0035】
水晶体超音波吸引によって、角膜を極めて小さく切開して白内障手術を実施することができる。この小さな入口を閉じるのに縫合する必要はほとんどない。これは、他の外科手術を用いる場合よりも不快感がなく、より早く視力が回復することを意味している。切開が小さいと、通常、角膜の曲率が変化しない(従来の外科的技術に必要とされたより大きな切開と異なる)。切開が小さいと、視力の回復もより速く、良好な遠方視力のために眼鏡により依存しなくなる可能性がある。
【0036】
白内障損傷のレンズを除去した後、人工の眼内レンズ(IOL)が埋め込まれる。IOLは、柔軟なアクリルまたは硬い医療品質のシリコンから作ることができる。IOLは折り曲げることができるため、小型の注入器で埋め込むことができる。注入器は、phacoプローブがこの手順の最初で挿入されたのと同じ切開を用いる。IOLが埋め込まれると、IOLは開かれ、眼の瞳孔の後ろで、残っている透明なカプセルの上方にしっかりと固定される。埋め込まれるIOLは、手術前に実施される屈折力の計算に基づいて選択することができる。本発明の場合、電気駆動IOLもまた、必要な電気駆動補正の範囲、治療される他の種類の眼疾患、および患者の何らかの特別な必要性に基づいて選択できる。
【0037】
ほとんどの場合、電気駆動素子は、典型的には、屈折力の+2.5ジオプトリー、+2.75ジオプトリー、+3.0ジオプトリーまたは+3.25ジオプトリーを提供する。水晶体によって通常提供される約17ジオプトリーのうち、全てではないが大部分を与えるレンズの基礎部分(電気駆動素子が光結合する)が手術前に測定され選択されることになる。しかし、従来のIOLとは異なり、(例えば、手術前に実施される計算が、手術後に最適ではない場合に)電気駆動IOLは、IOLの屈折力を遠隔調節することができる。
【0038】
図2Aおよび図2Bは、本発明の実施形態によるIOLアセンブリ部200を示している。図2Aは、IOLアセンブリの正面図を表している。IOLアセンブリは、電気駆動レンズ素子218の周囲に配置された薄い環状の電荷蓄積キャパシタ216によって電力が供給される、電気駆動レンズ素子218を含んでいる。電荷蓄積キャパシタ216は、圧電膜212によって充電される。圧電膜212は、毛様体(図示せず)が機械的力を加えた結果、この電荷を発生させる。圧電膜212は、毛様体取付タブ210によって毛様体に取り付けられる。
【0039】
眼が近くから遠くに、および遠くから近くに焦点合わせしようとするときに、毛様体は拡大収縮する。この毛様体の動きが圧電膜212を伸張および/または圧縮して、電気を発生する。電気は充電リード線220を通して伝送され、電荷蓄積キャパシタ216(または充電式バッテリ)を充電するために用いられる。電荷蓄積キャパシタ216は、電気駆動レンズ素子218と任意の関連制御回路(図示せず)に電力を供給できる。典型的には、電気駆動レンズ素子218は、約1.0〜5.0ボルト、好ましい範囲は1.5〜2.5ボルトを必要とする。これらの比較的低い電圧によって、手術での電気装置の装着に伴う危険性が低減される。
【0040】
伸張または圧縮を受ける圧電膜212の電気特性は、所望の視野距離を決定する測定器として用いることができ、電気駆動レンズの焦点を調節するために用いることができる。このように、ユーザは、筋肉毛様体を用いて、電気駆動IOL200の焦点を無意識で自動的に制御することができる。これまでは、筋肉毛様体の収縮によって、水晶体を物理的に変形することで、患者の水晶体の焦点を調節していた。電気駆動IOL200を用いると、筋肉毛様体の無意識で自動的な収縮によって、圧電膜212の電気特性が変化し、これらの電気変化は、例えば、先端部(図示せず)に配置されたプロセッサによって監視され、電気駆動IOL200の焦点を電気的、可変的に調節するのに用いることができる。あるいは、圧電膜212は、焦点を調節するための測定器として単独で用いることもでき、この場合、電気駆動IOL200には別の電源が設けられる。
【0041】
いくつかの実施形態では、圧電膜を複数の(3つ以上の)取付タブによって毛様体の周辺に取り付けることにより、周囲の毛様体の本来の周辺方向の収縮および拡大を利用することができる。
【0042】
1つまたは複数のレンズ固定部214を用いて、電気駆動レンズを所望の位置で安定させることができる。例えば、レンズ固定部214を用いて、以前は本来の水晶体を含んでいたカプセルまたは「袋」または膜の内部で、電気駆動レンズの中心合わせをすることができる(嚢内ILOを形成する)。あるいは、レンズ固定部214は、毛様体筋に直接取り付けることもでき、したがって、カプセルの外側にあってもよい(嚢外ILOを形成する)。
【0043】
複数のレンズ固定部214を用いてもよい。例えば、3つまたは4つのレンズ固定部214を用いてもよい。レンズ固定部214は、特定の用途に特化された種々の形状を有していてもよい。
【0044】
光学ベースレンズ252は、従来のレンズ構成を用いてベースとなる屈折力を実現することができ、屈折力において、調節を必要としないときの水晶体と等価にできる。ベースレンズ252はまた、気密封止したケース中に電気駆動素子を封入する手段としても機能することができる。カースは、単に例示目的であるが、IOLを柔らかいアクリルまたは固い医療品質のシリコンとするために現在用いられている生体適合性の材料と似た材料から成る。
【0045】
図2Bは、電気駆動レンズと電源としての圧電材料とを備える眼内レンズの実施形態の側面図を表している。詳細には、図2Bは、電気駆動レンズ素子218を取り囲み、一定またはベースとなる屈折力を与える光学ベースレンズ252を示している。特定の実施形態では、一定またはベースとなる屈折力は、電気駆動素子が動作していないときに、近距離で眼の焦点を合わせるように適合されてもよい。他の実施形態では、固定またはベースレンズは、電気駆動する素子が動作していないときに、遠距離で眼の焦点を合わせるように適合されてもよい。光学ベースレンズ252は複数の焦点を有してもよく、および/または着色されていてもよい。
【0046】
他の電源には、太陽電池、誘導充電、伝導充電、レーザ、熱伝作用、まばたきによる機械的エネルギーの利用が含まれ得る。キャパシタ216(または任意に、バッテリ)は、特定の眼鏡(メガネ)で誘導的に充電できる。眼鏡は、バッテリが充電されている間、電気駆動レンズを遠隔でオフにできる。特定の眼鏡は、バッテリが充電されている間、視力を矯正するように構成されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、電気駆動IOL200内のキャパシタ216は、電流が流れる極めて細いゲージワイヤを有する特殊な枕を用いて充電できる。このように、枕を用いて、夜間に患者が眠っている間に電気駆動IOL200の内部バッテリを充電することができる。このタイプの例示的な配置が図5に示され、以下により詳細に説明される。電力調節回路が、電圧を低減し、小電力充電のため電流を安全なレベルに制限し、より効率よく充電するために周波数を調節するのに利用される。
【0048】
あるいは、電気駆動IOLは、キャパシタ216またはバッテリを有するのではなく、外部に位置するバッテリによって常に導電的に電力供給されてもよく、または外部に位置し、誘導的に結合された電源、または太陽電池、または適切に調節されたレーザに結合された太陽電池、または体温(典型的には98°F(約36.6℃))を比較的冷たい周囲空気(典型的には70°F(約21.1℃))に放熱することで電気を生成する熱電電源によって、常に誘導的に電力供給されてもよい。
【0049】
図3Aおよび図3Bは、電気駆動する回折レンズ素子326と充電式バッテリ・リング324とを有する眼内レンズシステム300を表している。図3Aは、電気駆動回折レンズ素子326の正面図である。この回折レンズ素子は、円形の同心電極で電気的に回折することができるか、または屈折率整合および不整合による制御で電気的に活性化されるエッチング表面で、機械的に回折することができる。回折レンズは、電力接続部322によって、充電式バッテリ・リング324に接続されている。レンズ固定部314を用いて、電気駆動回折レンズ素子326を所望の位置および向きで、安定させおよび位置合わせすることができる。充電式バッテリ・リング324は、図2Aおよび図2Bの眼内レンズシステム200のキャパシタと同様のキャパシタで電力を供給されてもよい。さらに、充電式バッテリ324は、異なった形状とされ、レンズ固定部314の内側にまたは隣接して位置してもよく、したがって、光学素子から離れる位置に移動してもよい。
【0050】
図3Bは、眼内レンズ300の側面図を表している。詳細には、図3Bは、図2Aおよび図2Bの眼内レンズシステム200のベースレンズ252と同様の光学ベースレンズ352を示している。このベースレンズ352は、ベースまたは一定の屈折力を備えるか、または屈折力を備えずに、単に保護カプセルまたは基板として機能してもよい。
【0051】
図4Aおよび図4Bは、ピクセル化された、電気駆動レンズ素子430と充電式バッテリ・リング424とを有する眼内レンズシステム400を表している。図4Aは、ピクセル化された、電気駆動レンズ素子430の正面図を示している。レンズ素子430は、電力接続部422によって、充電式バッテリ・リング424に接続されている。レンズ固定部414は、電気駆動回折レンズ素子430を所望の位置および向きで、安定させおよび位置合わせするために用いることができる。充電式バッテリ・リング424は、図2からのキャパシタ216と同じ方法で、電力が供給されてもよい。
【0052】
図4Bは、これまでの実施形態のベースレンズと同様のベースレンズ452を有する、眼内レンズ400の側面図を表している。
【0053】
図5は、本発明のいくつかの実施形態による、IOLの内部電源を充電する際に用いられる外部電源500を表している。電源500では、電力調節器532が壁コンセント530に電気接続されている。電力調節器532は、充電可能な電気駆動IOLのキャパシタまたはバッテリを誘導充電するために、枕536の内部にある細いゲージワイヤ誘導コイル534に接続されている。電力調節器532は、電圧を低減し、小電力充電のために、電流を安全なレベルに制限し、およびより効率よく充電するために周波数を調節するように構成できる。電源500は、患者が頭を枕536の上または近くに置いている間に、電気駆動IOLが充電されるように構成することができる。あるいは、誘導コイル534は、患者の布団、またはヘッドレスト、背もたれ内に置くか、または患者の頭に極めて近い他の位置に長時間置かれることもある、ことは理解されよう。
【0054】
図6は、電気駆動レンズ素子618と、制御チップ640と、無線プログラミングユニット660用のアンテナ622とを備える眼内レンズアセンブリ600を表している。無線プログラミングユニット660は、電波を介して制御チップ640と通信するよう構成されている。電波は、制御チップ640と通信するミニアンテナ642によって捕らえられる。制御チップ640はこれらの電波を利用して遠隔で調整することもできる。このような調整には、電気駆動レンズ素子618の光学特性を設定または調節することが含まれてもよい。制御チップ640は、電気駆動レンズ素子618を制御し、無線プログラミングユニット660と双方向に通信できる。例えば、制御チップ640は、バッテリ624の電圧が低い無線プログラミングユニット660を警告するように構成できる。あるいは、電波を介する代わりにレーザ(光波)を介して、制御チップ640とプログラム通信することもできる。
【0055】
電気駆動レンズ素子618は、電力接続部622によって、充電式バッテリ・リング624、またはキャパシタ(図示せず)に接続されてもよく、先に記載した実施形態におけるように、誘導コイルまたは圧電素子によって充電することもできる。
【0056】
いくつかの実施形態では、電気駆動IOLによりなされる補正は、患者の必要性や所望の結果によって変わることもある。いくつかの実施形態では、電気駆動素子は、老眼のための補正だけに提供されてもよい。いくつかの実施形態では、電気駆動IOLは、遠隔で微調整された従来の補正を提供することができる。いくつかの実施形態では、電気駆動IOLは、単に例示目的ではあるが、コマ、球面収差、トレフォイルおよび他のより高次な収差など、高次の(従来にはない)収差の補正を提供することができる。いくつかの実施形態では、電気駆動素子は、像のプリズム移動を電子的に行うことによって、網膜上の像の位置を調節することもできる。高次の収差を補正または、像が網膜上に位置するプリズム移動を補正する場合、電気駆動するIOLは、複数のピクセルを利用することができる。像のプリズム移動は、単に例示目的ではあるが、網膜の黄斑変性(黄斑の疾患または特定の変性による色の変化を含む)、黄斑円孔、網膜裂傷および、特に視覚路の部分での暗点または視力損失の原因となる神経的異常(例えば、視野内の盲目またはダークスポットおよび視力障害)といった症状を有する患者に極めて有用である。上述の各使用実施形態において、本発明の電気駆動IOLは、所望の最適な効果を達成するために、術後に遠隔で調整可能であることが指摘されるべきである。
【0057】
図7Aは、健康な中心窩720と健康な黄斑710とを備える健康な網膜の像を示している。図7Bは、通常は網膜の膜を横切って移動する網膜の背後から出血することによって生じる、「非滲出性」黄斑変性によって損傷を受けた黄斑730の領域を示している。図7Cは、「滲出性」黄斑変性によって損傷を受けた黄斑740の領域を示している。この領域は、黄斑領域内の網膜上で結晶腔を形成することによって生じる。像を網膜上の別の位置に移すことによって、黄斑変性を病む患者の視力を回復することができる。像の位置を0.25mm〜3.00mm変化させることによって、黄斑または網膜が疾患または損傷を受けている場合に、人々の視力を大幅に改善することができる。好ましい範囲は、0.50mm〜2.00mmである。
【0058】
図8は、眼の糖尿病性網膜症の効果を示している。先と同様に、網膜上の像をプリズムIOLで向けなおすことによって、視覚的な明瞭さにおけるこの疾患の影響の一部を軽減できる。
【0059】
図9は、一実施形態を概略的に示しており、この実施形態によって、線状電極を備える電気駆動レンズを積み重ねて、網膜上の像の垂直および水平方向の移動を組み合わせてもよい。第1のレンズ910は、垂直方向のプリズム屈折力を生成するのに用いられる水平電極を有する。第2のレンズ920は、水平方向のプリズム屈折力を生成するのに用いられる垂直電極を有する。組み合わせレンズ930は、垂直方向および水平方向の像の移動を組み合わせることができる。各電極の電圧を変化させ、位相ラッピング(phase−wrapping)として公知の技術を利用することによって、さまざまなプリズム屈折力がよってこのようなレンズによって生成することができる。またより大きな値のプリズム屈折力を実現するために、複数のレンズを積み重ねてもよい。必要なプリズム屈折力の量および結果として生じる像の移動量とは、疾患の程度によって変化する。像の移動の好ましい範囲は0.1mm〜3.0mmで、望ましい範囲は、0.5mm〜2.0mmである。
【0060】
図10は、非電気駆動調節性IOLと光結合する、電気駆動IOLを示している。素子1010は、非電気駆動調節性IOL素子1020と光結合する電気駆動レンズである。なお、素子1010と1020は、光学的に直列であるが、物理的には相互に接触していない。
【0061】
電気駆動レンズに電力を供給するために多くのことが考慮されてきたが、電気駆動材料によっては、電気が印加されない場合に屈折力を保持するものもある(例えば、単に例示目的ではあるが、双安定液晶など)。この種の電気駆動材料を用いると、プリズム屈折力、IOLのベース屈折力に加算または減算した、追加または減少屈折力、および/またはより高次の補正が、装置に電力が与えられている間に設定されることができ、その後、電力が除去された後も、設定を維持することになろう。これにより、IOLにおいて電源を再充電する必要性をなくすることができる。患者の視力が変化し、新しく補正しなければならない場合、患者は眼科専門医のところに戻り、IOLをプリズムおよび/または高次の補正の新しい組み合わせで調節してもらうことができる。変化には、外部から遠隔で電力を供給することもできる。例えば、外部電源は、RFIDタグが今日機能するのと同様にRFエネルギーであってもよく、この場合、読取装置がRFIDタグに誘導的に電力を供給し、これにより、RFIDはタグの情報をRFID読取機に送信することができる。
【0062】
RFIDタグと同じ方法で、IOLの電力を変更する調整装置によって、電気駆動IOL上の制御器に電力を供給することができ、これにより制御器は、IOLの電極の電圧を変化させて、電気駆動IOLの光学特性を決定する局所的な屈折率が設定できる。
【0063】
あるいは、眼の中および電気駆動IOL内に形成された光電池の上に、明るい光またはアイセーフレーザを照射することによって、電力を光学的に供給してもよい。この電力は必要とされる一時的な電力を供給して、電気駆動IOLの屈折力を調節する。このシステムは、電力の供給に加えて、通信するために使用することもできる。
【0064】
双安定のツイステッド・ネマチック、コレステリックおよび強誘電体液晶が、柔軟な低価格のLCD表示装置で用いられてきており、同様の材料をIOLの電気駆動素子内で用いてもよい。この種の電気的に調節された(しかし電力が供給されていない)、網膜疾患の調整または高次収差の補正に対するプリズム屈折力の調整、加算または減算が、老眼を補正する、調節性で、電気駆動しない任意のIOLに追加(すなわち、光学系内に配置)されてもよい。例えば、電気駆動素子を非電気的または電力供給されないIOLに光学的直列にして、例えば、1つまたは複数の表面曲率および/または眼の中のIOLの位置を変化させることによって、IOLの屈折力を機械的に変化させるようにすることができる。
【0065】
電気駆動レンズまたは電気駆動素子は、少なくとも3つの方法で追加することができる。第1に、別個の電気駆動IOLを、非電気駆動の調節性IOLとの非接触光結合(光学的に直列)状態に置くことができる。第2に、電気駆動素子は、調整中に外形が変化しないIOLの表面のうちの1つに形成可能である。第3に、電気駆動素子は、積み重ねた非電気駆動素子の内部に置くことができる。
【0066】
例えば、電気駆動素子は、前眼房で追加され、個々に機能する水晶体に光学的に直列にして用いることができる。この場合、水晶体は本来の調節を行い、電気駆動IOLは、網膜のより健康な部分に像を移動し、または非電気駆動IOLを調整し、またはより高次な収差に対して補正することもできる。
【0067】
上述のとおり、いくつかの実施形態では、電気駆動IOLを遠隔で調整または調節することは大きな利点となり得る。電気駆動IOLを眼の中に挿入した後、屈折力とプリズム屈折力は、遠隔で微調整されて、従来の屈折異常、または高次収差、または網膜上の像の正確な位置を補正するための最適な視力矯正を達成することができる。さらに、後日にIOLを再び調整することにより、疾患または加齢によって時間経過に伴って生じる眼の中の変化を補償することができる。従来の屈折異常を単独で補正する場合、電気駆動IOLは、回折もしくはピクセル化のいずれか、または両方を利用することができる。電気駆動素子はまた、患者の症状および眼科専門医の裁量で必要に応じて、これらの機能を任意の数で組み合わせることもできる。
【0068】
いくつかの実施形態では、電気駆動レンズは、本発明で説明したとおり、視力を矯正するのに使用してもよいが、電気駆動レンズを利用して、電気駆動でサングラスまたは着色効果を持たせてもよい。特定の液晶層または他のエレクトロクロミック材料を用いることによって、本発明の電気駆動IOLは、周囲環境の光レベルが不快なほどに高くなり、眼に危険となるレベルに達した場合に、網膜に当たる光量を低減することができる。IOL内に形成された光センサが特定のしきい値を超えた光強度を受ける場合、サングラス効果を自動的に起動してもよい。あるいは、サングラス効果は、IOL内の制御回路に結合された無線通信装置を用いて、ユーザによって遠隔でスイッチが入れられてもよい。この電気駆動サングラス効果は、ミリ秒台以内に以下で生じ、これは、従来のレンズにおける市販の感光化学着色おける数秒間(またはこれ以上)の相対的に遅い反応とは対照的である。電気駆動レンズの反応時間を決定する1つの要因は、液晶層の厚さである。例えば、5ミクロン層の液晶は、ミリ秒台で反応することができる。
【0069】
同様に、電気駆動素子の焦点調節は、距離計または傾斜計(下を向いたときの近距離、真っ直ぐ向いたときの遠距離)を用いることによって自動的に実行してもよく、または、無線通信装置を用いて、ユーザが遠隔で制御してもよい。
【0070】
多数のエレクトロクロミック材料が存在する。1つの種類は、イオン交換を可能にする内側層を有する導電性膜の透明な外側層から成る。電圧が外側の導電層間に印加される場合、イオンは、一方の内側層から他方に移動して、エレクトロクロミック材料の着色を変化させる。電圧を逆にすると、層は再び透明になる。エレクトロクロミック層は、作動中に、約5〜80%の可変の光透過率を有することができる。この種のエレクトロクロミックのグレージングは「メモリ」を有し、変化し始めた後、電圧を一定にする必要がない。さらに、赤外線(熱)エネルギーなど、特定の波長を遮断するように調節できる。
【0071】
別のエレクトロクロミック技術は、懸濁粒子表示装置(SPD)と呼ばれている。この材料は、ガラス板の間の溶液に懸濁された分子粒子を含んでいる。これらの自然状態においては、粒子はランダム運動して衝突し、光の直進経路を遮る。スイッチが入れられると、粒子は急速に整列し、グレージングは透明になる。このタイプの切り換え可能グレージングは、最大、光の約90%を遮断することができる。また、エレクトロクロミック効果をサングラスに与えるために、液晶が用いられてきた。
【0072】
本明細書で開示したとおり、本発明のシステムおよび方法は、上述の問題点および従来の技術に存在する他の問題点に関する。種々の製品、方法または装置および、背景技術の項目で述べた、これらに伴う不具合の全ての説明は、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、または、本発明が、1つの形態または別の形態において、既知の製品、方法および装置の種々の要素のうちのいくつかまたは全てを含まないことを意味するものでもない。実際、本発明の種々の実施形態は、1つの形態または別の形態において、既知の製品、方法および装置の種々の要素のうちのいくつかまたは全てを依然として保持しつつ、背景技術の項目で述べた不具合のいくつかを克服することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】人間の眼の主な解剖学的構成部分を表している。
【図2A】電気駆動レンズおよび電源として圧電材料を備える、眼内レンズの実施形態の正面図を表している。
【図2B】電気駆動レンズおよび電源として圧電材料を備える、眼内レンズの実施形態の側面図を表している。
【図3A】電気駆動回折レンズおよび充電式バッテリ・リングを備える眼内レンズの実施形態の正面図を表している。
【図3B】電気駆動回折レンズおよび充電式バッテリ・リングを備える眼内レンズの実施形態の側面図を表している。
【図4A】ピクセル化された電気駆動レンズおよび充電式バッテリ・リングを備える眼内レンズの実施形態の正面図を表している。
【図4B】ピクセル化された電気駆動レンズおよび充電式バッテリ・リングを備える眼内レンズの実施形態の側面図を表している。
【図5】枕の内部に誘導充電素子を備える外部電源を表している。
【図6】電気駆動レンズと、無線プログラミングユニットで使用するアンテナとを備える制御チップとを備える眼内レンズの実施形態を表している。
【図7A】網膜上の黄斑と中心窩の位置を示した健康的な網膜の像である。
【図7B】「非滲出性」の黄斑変性によって損傷を受けた黄斑の領域を示している。
【図7C】「滲出性」の黄斑変性によって損傷を受けた黄斑の領域を示している。
【図8】糖尿病性網膜症の種々の症状を示している。
【図9】網膜上の像の垂直および水平移動のあらゆる組み合わせを作り出す、線状電極を備える、2つのプリズムレンズの重ね合わせを示している。
【図10】電気駆動式でない調節性IOLと光結合する、電気駆動IOLを示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別に制御可能な複数のゾーンまたはピクセルを備える電気駆動レンズと、
遠隔プログラム可能な制御器と、
を備える眼内レンズシステム。
【請求項2】
前記電気駆動レンズに電気伝達する電源をさらに備える、請求項1に記載の眼内レンズシステム。
【請求項3】
前記電源は、前記電気駆動レンズに近接して位置するエネルギー蓄積素子を備える、請求項2に記載の眼内レンズシステム。
【請求項4】
前記エネルギー蓄積素子は、バッテリおよびキャパシタから成る一連の素子を少なくと1つ備える、請求項3に記載の眼内レンズシステム。
【請求項5】
前記エネルギー蓄積素子に選択的に電気を供給するように適合された充電機構をさらに備える、請求項3に記載の眼内レンズシステム。
【請求項6】
前記充電機構は、前記エネルギー蓄積素子に電気伝達する圧電素子を備える、請求項5に記載の眼内レンズシステム。
【請求項7】
前記圧電素子は、患者の眼の毛様体に取り付けられるように適合され、前記毛様体の動きに応じて電気を生成するように適合された、請求項6に記載の眼内レンズシステム。
【請求項8】
前記充電機構は、前記患者の眼の外側に位置しながら、前記エネルギー蓄積素子を誘導により充電するように適合された外部誘導素子を備える、請求項5に記載の眼内レンズシステム。
【請求項9】
前記外部誘電素子は、少なくとも部分的に枕の内部に配置されている、請求項8に記載の眼内レンズシステム。
【請求項10】
前記外部誘電素子は、眼鏡アセンブリに取り付けられている、請求項7に記載の眼内レンズシステム。
【請求項11】
前記充電機構は、太陽電池を備える、請求項4に記載の眼内レンズシステム。
【請求項12】
前記充電機構は、前記エネルギー蓄積素子に、電気バスによって導電結合された外部電源を備える、請求項4に記載の眼内レンズシステム。
【請求項13】
前記制御器に接続されているアンテナと、
前記アンテナを介して前記制御器と無線通信するように適合された無線プログラミングユニットと、
をさらに備える、請求項1に記載の眼内レンズシステム。
【請求項14】
前記電気駆動レンズは、前記電気駆動レンズに取り付けられたベースレンズ素子を備える、請求項1に記載の眼内レンズシステム。
【請求項15】
前記ベースレンズ素子は、一定のベース屈折力を提供するように構成されている、請求項14に記載の眼内レンズシステム。
【請求項16】
前記電気駆動レンズは、少なくとも1つの従来の屈折異常を選択的に補正するように適合されている、請求項1に記載の眼内レンズシステム。
【請求項17】
前記電気駆動レンズは、少なくとも1つの従来にはない屈折異常を選択的に補正するように適合されている、請求項1に記載の眼内レンズシステム。
【請求項18】
前記電気駆動レンズに取り付けられ、前記眼内レンズを患者の眼の前記膜内に位置合わせし、安定させるように適合された、少なくとも1つの固定部をさらに備える、請求項1に記載の眼内レンズシステム。
【請求項19】
電気駆動レンズ素子を備える眼内レンズシステムであって、前記電気駆動素子は双安定性の液体分子を含む、眼内レンズシステム。
【請求項20】
電気駆動レンズ素子を備える眼内レンズシステムであって、前記電気駆動レンズ素子は、遠隔で充電式電源によって電力を供給される、眼内レンズシステム。
【請求項21】
電気駆動レンズと非電気駆動調整レンズの両方を備える眼内レンズシステムであって、前記電気駆動レンズと前記非電気駆動調整レンズと光結合する、眼内レンズシステム。
【請求項1】
個別に制御可能な複数のゾーンまたはピクセルを備える電気駆動レンズと、
遠隔プログラム可能な制御器と、
を備える眼内レンズシステム。
【請求項2】
前記電気駆動レンズに電気伝達する電源をさらに備える、請求項1に記載の眼内レンズシステム。
【請求項3】
前記電源は、前記電気駆動レンズに近接して位置するエネルギー蓄積素子を備える、請求項2に記載の眼内レンズシステム。
【請求項4】
前記エネルギー蓄積素子は、バッテリおよびキャパシタから成る一連の素子を少なくと1つ備える、請求項3に記載の眼内レンズシステム。
【請求項5】
前記エネルギー蓄積素子に選択的に電気を供給するように適合された充電機構をさらに備える、請求項3に記載の眼内レンズシステム。
【請求項6】
前記充電機構は、前記エネルギー蓄積素子に電気伝達する圧電素子を備える、請求項5に記載の眼内レンズシステム。
【請求項7】
前記圧電素子は、患者の眼の毛様体に取り付けられるように適合され、前記毛様体の動きに応じて電気を生成するように適合された、請求項6に記載の眼内レンズシステム。
【請求項8】
前記充電機構は、前記患者の眼の外側に位置しながら、前記エネルギー蓄積素子を誘導により充電するように適合された外部誘導素子を備える、請求項5に記載の眼内レンズシステム。
【請求項9】
前記外部誘電素子は、少なくとも部分的に枕の内部に配置されている、請求項8に記載の眼内レンズシステム。
【請求項10】
前記外部誘電素子は、眼鏡アセンブリに取り付けられている、請求項7に記載の眼内レンズシステム。
【請求項11】
前記充電機構は、太陽電池を備える、請求項4に記載の眼内レンズシステム。
【請求項12】
前記充電機構は、前記エネルギー蓄積素子に、電気バスによって導電結合された外部電源を備える、請求項4に記載の眼内レンズシステム。
【請求項13】
前記制御器に接続されているアンテナと、
前記アンテナを介して前記制御器と無線通信するように適合された無線プログラミングユニットと、
をさらに備える、請求項1に記載の眼内レンズシステム。
【請求項14】
前記電気駆動レンズは、前記電気駆動レンズに取り付けられたベースレンズ素子を備える、請求項1に記載の眼内レンズシステム。
【請求項15】
前記ベースレンズ素子は、一定のベース屈折力を提供するように構成されている、請求項14に記載の眼内レンズシステム。
【請求項16】
前記電気駆動レンズは、少なくとも1つの従来の屈折異常を選択的に補正するように適合されている、請求項1に記載の眼内レンズシステム。
【請求項17】
前記電気駆動レンズは、少なくとも1つの従来にはない屈折異常を選択的に補正するように適合されている、請求項1に記載の眼内レンズシステム。
【請求項18】
前記電気駆動レンズに取り付けられ、前記眼内レンズを患者の眼の前記膜内に位置合わせし、安定させるように適合された、少なくとも1つの固定部をさらに備える、請求項1に記載の眼内レンズシステム。
【請求項19】
電気駆動レンズ素子を備える眼内レンズシステムであって、前記電気駆動素子は双安定性の液体分子を含む、眼内レンズシステム。
【請求項20】
電気駆動レンズ素子を備える眼内レンズシステムであって、前記電気駆動レンズ素子は、遠隔で充電式電源によって電力を供給される、眼内レンズシステム。
【請求項21】
電気駆動レンズと非電気駆動調整レンズの両方を備える眼内レンズシステムであって、前記電気駆動レンズと前記非電気駆動調整レンズと光結合する、眼内レンズシステム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2008−543350(P2008−543350A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540354(P2007−540354)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/039101
【国際公開番号】WO2006/050171
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(501079602)イー・ビジョン・エルエルシー (13)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/039101
【国際公開番号】WO2006/050171
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(501079602)イー・ビジョン・エルエルシー (13)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]