説明

電池用温度調節機構

【課題】電変換素子が駆動されていないときの電池の温度調節の効率を向上すること。
【解決手段】電池パック11と送風機21は、ダクト22により接続されている。ダクト22内には、送風機21により送風された外気の加熱又は冷却を行うペルチェ素子23が固定されている。ダクト22内には、ペルチェ素子23が搭載されている基板により第1面23aを介して外気が流通する第1流路24と、第2面23bを介して外気が流通する第2流路25が形成されている。ダクト22には、第2流路25を閉塞状態と開放状態に切り替える切替弁27が設けられている。切替弁27は、ペルチェ素子23を駆動して電池パック11を温度調節するときは、第2流路25を閉塞状態に切り替える。また、切替弁27は、ペルチェ素子23を駆動せずに電池パック11の温度調節するときは、第2流路25を開放状態に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電変換素子を用いて電池の温度調節を行う電池用温度調節機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ハイブリッド車や電気自動車等の車両に搭載される電池を温度調節するため、空気により電池を温度調節する電池用温度調節装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1において、電池が収容されるケースには、ケース内に空気を取り込むための取込口が形成されている。ケース内には、取込口からケース内に流入した空気を電池を介してケース外へ排出させる第1流路と、取込口からケース内に流入した空気を電池を介さずにケース外に排出させる第2流路が形成されている。取込口と各流路の間には、ペルチェ素子が配設されており、ペルチェ素子の第1面により熱交換された空気は第1流路を流通し、ペルチェ素子の第2面により熱交換された空気は第2流路を流通するように構成されている。そして、電池を冷却する場合には、ペルチェ素子の第1面が空気を冷却するようにペルチェ素子が制御される。第1流路を流通する空気は、ペルチェ素子の第1面により冷却されているため、電池が冷却される。一方で、ペルチェ素子の第2面は、第2流路を流通する空気を加熱するが、第2流路を流通する空気は、電池を介さずにケース外に排出されるため、電池が加熱されることがない。同様に、電池を加熱する場合には、ペルチェ素子の第1面が空気を加熱し、ペルチェ素子の第2面が空気を冷却するようにペルチェ素子の制御が行われる。
【0004】
また、空気の温度が電池の温度を調節するための最適温度である場合は、ケース内に取り込まれた空気を加熱又は冷却しないようにペルチェ素子を制御する。すなわち、ペルチェ素子を駆動せずに、電池を温度調節する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−110829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、ペルチェ素子の第2面により温度調節される空気を電池を介さずにケース外に排出させるため、ケース内に第2流路を形成している。ペルチェ素子を駆動せずに電池の温度調節を行う場合、取込口から流入した空気の一部は、第2流路を流通し電池の温度調節を行うことなく、ケース外に排出される。このため、取込口から流入した空気の流量に対して、電池を温度調節する空気の流量が少なく、温度調節の効率が低減されている。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱電変換素子が駆動されていないときの電池の温度調節の効率を向上することができる電池用温度調節機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、電池の温度を調節する電池用温度調節機構であって、通電の極性に応じて放熱と吸熱の相反する作用を行う第1面及び第2面を有する熱電変換素子と、前記第1面を介して流入する第1熱媒体が流通するとともに前記電池に前記第1熱媒体を供給する第1流路と、前記第2面を介して流入する第2熱媒体が流通するとともに前記電池に前記第2熱媒体を供給する第2流路と、前記第2流路から前記電池に単位時間当たりに供給される前記第2熱媒体の量を調節する調節手段と、を備え、前記調節手段は、前記熱電変換素子を駆動して電池の温度を調節するときに前記第2流路から前記電池に単位時間当たりに供給される前記第2熱媒体の量より、前記熱電変換素子を駆動せずに電池の温度を調節するときに前記第2流路から前記電池に単位時間当たりに供給される前記第2熱媒体の量が多くなるように調節することを要旨とする。
【0009】
これによれば、熱電変換素子を駆動して電池の温度調節を行うときに比べて、熱電変換素子を駆動せずに電池の温度調節を行うときに、第2流路から電池に単位時間当たりに供給される第2熱媒体の量が多くなる。このため、熱電変換素子を駆動していないときには、電池に多くの熱媒体が供給される。したがって、熱電変換素子が駆動されていないときの電池の温度調節の効率を向上させることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電池用温度調節機構において、前記第1流路と前記第2流路は単一のダクト内に形成されることを要旨とする。
これによれば、第1流路及び第2流路は単一のダクト内に形成されるため、各流路を形成するためのダクトを複数設ける必要がなく、部品点数が削減される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熱電変換素子が駆動されていないときの電池の温度調節の効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態における電池モジュールを示す概要図。
【図2】実施形態における電池モジュールを示す概要図。
【図3】実施形態における制御装置が行う処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図1〜図3にしたがって説明する。
図1に示すように電池モジュール10は、複数の電池(図示略)からなる電池パック11に電池用温度調節機構20を設けることにより構成されている。電池用温度調節機構20は、送風機21による送風により電池パック11の温度調節を行う電池用温度調節機構である。
【0014】
電池パック11と送風機21は、熱媒体としての外気が流通するダクト22により接続されている。送風機21は、図示しない取込口を備えており、取込口から流入した外気を熱媒体としてダクト22に送風する。送風機21としては、例えば、ファンやブロワなどが用いられる。ダクト22内には、送風機21により送風された外気の加熱又は冷却を行う熱電変換素子としてのペルチェ素子23が固定されている。ペルチェ素子23は、図示しない基板に搭載されている。ペルチェ素子23は、通電の極性に応じて放熱と吸熱の相反する作用を行う第1面23aと第2面23bを有している。そして、ダクト22内には、ペルチェ素子23が搭載される基板により第1流路24と第2流路25が形成されている。具体的には、ダクト22内においてペルチェ素子23の固定されている部分は、ペルチェ素子23が搭載されている基板により、図1において上側となる第1流路24と図1において下側となる第2流路25に分割されている。したがって、第1流路24を流通する第1熱媒体は、ペルチェ素子23の第1面23aを介してダクト22内を流通し、電池パック11に供給される。一方、第2流路25を流通する第2熱媒体は、ペルチェ素子23の第2面23bを介してダクト22内を流通し、電池パック11に供給される。
【0015】
ダクト22の一側面には、第2流路25を流通した第2熱媒体をダクト22の外部に排出するための開口部26が形成されている。開口部26は、送風機21による送風方向(外気の流通方向)においてペルチェ素子23よりも下流側に形成されている。また、ダクト22において開口部26よりも下流側には、第2流路25を、電池パック11に第2熱媒体が流通されない閉塞状態と、電池パック11に第2熱媒体が流通される開放状態に切り替える調節手段としての板状の切替弁27が設けられている。切替弁27は、基端となる可動部27aがダクト22に固定されるとともに、先端部27bがペルチェ素子23に当接することにより第2流路25を閉塞状態にする。切替弁27は、先端部27bがペルチェ素子23に当接した状態で、切替弁27の壁面とペルチェ素子23の当接面(第2面23b)とのなす角が、鈍角をなすように設けられている。また、図2に示すように、切替弁27は、可動部27aが駆動されることにより、切替弁27がダクト22の内周面と密着するように切り替えられることで、開口部26を閉塞するとともに第2流路25を開放状態にする。そして、切替弁27は、第2流路25の開放状態と閉塞状態を切り替えることにより、電池パック11に単位時間当たりに供給される第2熱媒体の量を調節する。
【0016】
ペルチェ素子23及び切替弁27は、制御装置30に接続され、制御装置30によりペルチェ素子23の駆動及び切替弁27の可動部27aの駆動が制御される。また、制御装置30には、外気の温度を計測する外気温度計測手段31及び、電池パック11の温度を計測する電池温度計測手段32が接続されている。制御装置30は、外気温度計測手段31の計測結果を入力する。また、制御装置30は、電池温度計測手段32の計測結果を入力する。
【0017】
制御装置30は、ペルチェ素子23を駆動して電池パック11の温度を調節するときには、第2流路25を閉塞状態に切り替える。また、制御装置30は、ペルチェ素子23を駆動せずに電池パック11の温度を調節するときには、第2流路25を開放状態に切り替える。すなわち、切替弁27は、ペルチェ素子23を駆動して電池パック11の温度を調節するときに第2流路25から電池パック11に単位時間当たりに供給される第2熱媒体の量より、ペルチェ素子23を駆動せずに電池パック11の温度を調節するときに第2流路25から電池パック11に単位時間当たりに供給される第2熱媒体の量が多くなるように切り替えられる。
【0018】
次に、電池用温度調節機構20の作用について図3にしたがって説明する、
図3に示すように、制御装置30は、電池モジュール10が駆動されると、電池パック11の温度を計測し(ステップS10)、ステップS20に移行する。ステップS20において、制御装置30は、ステップS10において計測された電池パック11の温度から電池パック11の温度調節が必要か否かを判定する。具体的には、制御装置30は、電池温度計測手段32により計測された電池パック11の温度が予め設定された一定範囲内の温度か否かを判断し、一定範囲内の温度であれば温度調節は不要と判定し、一定範囲内の温度でなければ温度調節が必要と判定する。この一定範囲の温度は、電池パック11を適切に駆動することのできる温度の範囲であり、電池パック11の温度が上限より高くなった場合、あるいは電池パック11の温度が下限より低くなった場合には、電池パック11の性能が低下する。したがって、制御装置30は、電池パック11の温度が上限より高ければ、電池パック11の冷却が必要であり、電池パック11の温度が下限より低ければ電池パック11の加熱が必要と判定する。ステップS20の判定結果が否定の場合、制御装置30は、ステップS10からの処理を繰り返す。一方、ステップS20の判定結果が肯定の場合、制御装置30は、ステップS30に移行する。
【0019】
ステップS30において、制御装置30は、外気温度計測手段31により外気の温度を計測し、ステップS40に移行する。ステップS40において、制御装置30は、ペルチェ素子23を駆動する必要があるか否かを判定する。詳細には、制御装置30は、外気の温度が、ある閾値以上(あるいはある閾値以下)の場合、ペルチェ素子23を駆動する必要があると判定する。この閾値は、電池パック11の温度、外気の温度、ペルチェ素子23の出力及び送風機21からの風量等の情報から決定される値である。例えば、電池パック11を冷却する場合、電池パック11の温度より外気の温度が高い場合、制御装置30は、ペルチェ素子23を駆動させて電池パック11の温度調節を行う。電池パック11の温度より外気の温度が低い場合、制御装置30はペルチェ素子23により外気を冷却するか、外気を冷却せずに電池パック11の温度調節を行う。外気を冷却する場合、第2流路25が閉塞されるため、ダクト22に流入した外気の流量に比べて電池パック11に流通する熱媒体の流量が減る一方で、ペルチェ素子23により外気が冷却される。また、外気を冷却しない場合、ペルチェ素子23の第1面23aを介して第1流路24に流入した外気及びペルチェ素子23の第2面23bを介して第2流路25に流入した外気が電池パック11に供給されるが、ペルチェ素子23により外気が冷却されない。ペルチェ素子23を駆動して第1流路24を流通する第1熱媒体で温度調節を行う場合と、ペルチェ素子23を駆動しないで第1流路24及び第2流路25を流通する第1熱媒体及び第2熱媒体で温度調節を行う場合のどちらが温度調節の効率が良いかは、ペルチェ素子23の出力や、電池パック11の温度、送風機21からの風量により異なる。したがって、閾値は、これらの要素を総合的に考慮して定められることが好ましい。ステップS40において、電池パック11の温度が上限より高い(冷却が必要)ときであって外気のみで冷却できるとき、及び電池パック11の温度が下限より低い(加熱が必要)ときであって外気のみで加熱できるときはステップS80に移行する。一方、電池パック11の温度が上限より高い(冷却が必要)ときであって外気のみで冷却できないとき、及び電池パック11の温度が下限より低い(加熱が必要)ときであって外気のみで加熱できないときには、ステップS50に移行する。
【0020】
ステップS50において、制御装置30は、ペルチェ素子23を駆動する。電池パック11を加熱する場合、制御装置30は、第1面23aが放熱を行い、第2面23bが吸熱を行うようにペルチェ素子23に通電を行う。一方、電池パック11を冷却する場合、制御装置30は、第1面23aが吸熱を行い、第2面23bが放熱を行うようにペルチェ素子23に通電を行う。そして、制御装置30は、ステップS60に移行する。
【0021】
ステップS60において、制御装置30は、送風機21を駆動し、ステップS70に移行する。ステップS70において、制御装置30は、切替弁27により第2流路25を閉塞状態(図1に示す状態)に切り替える。ステップS60及びステップS70の処理により、第1面23aにより加熱又は冷却された第1熱媒体は、第1流路24を流通し電池パック11に供給され、電池パック11の温度調節を行う。一方、第2面23bにより加熱又は冷却された第2熱媒体は、電池パック11の温度調節に対して反する作用を与える熱媒体(不要な熱媒体)であるため、切替弁27により開口部26に誘導され、開口部26からダクト22の外部に排出される。この際、第2熱媒体は、切替弁27の壁面とペルチェ素子23の当接面(第2面23b)とのなす角が鈍角をなすように設けられているため、適切に開口部26に誘導される。
【0022】
ステップS80において、制御装置30は送風機21を駆動し、ステップS90に移行する。ステップS90において、制御装置30は第2流路25を開放状態(図2に示す状態)に切り替える。第2流路25が開放状態の場合にあっては、開口部26が閉塞されるとともに、ペルチェ素子23の第2面23bを介して第2流路25に流入した第2熱媒体は、第2流路25を流通し電池パック11に供給される。したがって、ペルチェ素子23の第1面23aを介して第1流路24に流入した第1熱媒体及びペルチェ素子23の第2面23bを介して第2流路25に流入した第2熱媒体により電池パック11の温度調節が行われる。なお、第1流路24を流通する第1熱媒体は第1面23aを介して、第2流路25を流通する第2熱媒体は第2面23bを介して、それぞれ電池パック11に供給されるが、ペルチェ素子23が駆動されていないため、ペルチェ素子23により加熱又は冷却されていない第1熱媒体及び第2熱媒体により電池パック11の温度調節がされる。
【0023】
なお、制御装置30は、電池パック11の温度を監視しており、電池パック11の温度調節が必要なくなると、送風機21及びペルチェ素子23を停止する。そして、制御装置30は、図3に示すように電池パック11の温度調節が必要になると、再度電池パック11の温度調節を行う。
【0024】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ダクト22内には、ペルチェ素子23の第1面23aを介して第1熱媒体が流通する第1流路24と、ペルチェ素子23の第2面23bを介して第2熱媒体が流通する第2流路25が形成されている。ペルチェ素子23を駆動して電池パック11の温度調節を行う場合、ペルチェ素子23の第1面23aにより加熱又は冷却された第1熱媒体は第1流路24を流通する。一方、ペルチェ素子23の第2面23bにより加熱又は冷却された第2熱媒体は、切替弁27により第2流路25が閉塞状態に切り替えられるため、開口部26からダクト22の外部に排出される。したがって、第1面23aにより加熱又は冷却された第1熱媒体により、電池パック11の温度調節が行われる。ペルチェ素子23を駆動せずに電池パック11の温度調節を行う場合、第1流路24及び第2流路25を流通する第1熱媒体及び第2熱媒体が電池パック11に供給され、電池パック11の温度調節を行う。この結果、ペルチェ素子23を駆動せずに電池パック11の温度調節を行う際には、第1流路24及び第2流路25を流れる第1熱媒体及び第2熱媒体により電池パック11の温度調節が行われるため、電池パック11の温度調節を行う外気の流量が減らず、ペルチェ素子23が駆動されていないときの温度調節の効率が向上される。このため、ペルチェ素子23を駆動しなくても、外気のみで電池パック11を温度調節する機会が増加し、ペルチェ素子23による電力消費を抑制することができる。
【0025】
(2)第1流路24及び第2流路25は単一のダクト22内に形成されている。このため、第1流路24及び第2流路25を形成するためのダクト22を複数設ける必要がなく、部品点数が削減される。
【0026】
(3)ペルチェ素子23が搭載されている基板によりダクト22内を第1流路24と第2流路25に分割することにより、ダクト22内を第1流路24と第2流路25に分割するための部材を別途必要とせず、部品点数が削減される。
【0027】
(4)第2流路25が開放状態の場合にあっては、切替弁27が開口部26を閉塞するようにしている。このため、開口部26を閉塞するための部材を別途設ける必要がなく、部品点数が削減されている。
【0028】
(5)また、第2流路25が開放状態の場合に開口部26を閉塞することにより、開口部26からの第2熱媒体の流出が防止されるとともに、第2流路25を流通する第2熱媒体も電池パック11に供給される。
【0029】
(6)送風機21から送風される外気により、ペルチェ素子23の第1面23a及び第2面23bは熱交換される。このため、ペルチェ素子23の第1面23aとペルチェ素子23の第2面23bの温度差は、小さくなる。ペルチェ素子23の第1面23aとペルチェ素子23の第2面23bの温度差は、小さいことが望ましく、ペルチェ素子23の第1面23aとペルチェ素子23の第2面23bの温度差が大きくなることにより熱電変換効率が低減される。このため、ペルチェ素子23の第1面23aとペルチェ素子23の第2面23bの温度差を小さくすることにより、熱電変換効率が向上されている。
【0030】
(7)切替弁27は、先端部27bがペルチェ素子23に当接した状態で、切替弁27の壁面とペルチェ素子23の当接面(第2面23b)とのなす角が、鈍角をなすように設けられている。このため、第2流路25が閉塞状態の場合、ペルチェ素子23の第2面23bと熱交換を行った第2流路25を流通する第2熱媒体は、切替弁27に衝突することにより、開口部26に誘導される。このため、第2熱媒体は、適切にダクト22外部に排出され、第2流路25を流通する第2熱媒体の逆流が防止される。
【0031】
なお、上記各実施形態は、以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、熱媒体として二酸化炭素などの、他の気体状の熱媒体を用いてもよい。
【0032】
○ 実施形態において、第1流路24と第2流路25を別々のダクト22で構成してもよい。
○ 実施形態において、調節手段として、絞りなどを用いてもよい。
【0033】
○ 実施形態において、ステップS50〜ステップS70の各処理の順番を変更してもよい。例えば、制御装置30は、ステップS50→ステップS70→ステップS60の順番や、ステップS70→ステップS60→ステップS50の順番で処理を行っても良い。また、ステップS50〜ステップS70の処理は、同期して行われるようにしてもよい。すなわち、制御装置30は、ペルチェ素子23の駆動、送風機21の駆動及び第2流路25の閉塞状態への切り替えを同時に行うようにしてもよい。
【0034】
○ 実施形態において、ステップS90とステップS80の処理の順番を入れ替えてもよい。また、ステップS80及びステップS90の処理は、同期して行われてもよい。すなわち、制御装置30は、送風機21の駆動と第2流路25の開放を同時に行うようにしてもよい。
【0035】
○ 実施形態において、開放状態は、図2に示すように切替弁27がダクト22の内周面と密着している状態だけでなく、第2流路25を流通する第2熱媒体が電池パック11に供給される状態であればよい。すなわち、切替弁27の駆動量を調整することにより電池パック11に供給される第2熱媒体の量を調節してもよい。例えば、ペルチェ素子23を駆動せずに電池パック11の温度調節を行う場合、電池パック11に供給される熱媒体の量が多く、電池パック11を冷却しすぎる場合や、加熱しすぎる場合に第2流路25を流通する第2熱媒体の量を調節することにより、適切な温度調節を行うことができる。また、ペルチェ素子23を駆動して電池パック11の温度調節を行う場合、第1流路24を流通する第1熱媒体に第2流路25を流通する第2熱媒体を混合することにより電池パック11に供給される熱媒体の温度を適切な温度に調節することができる。
【0036】
○ 実施形態において、閉塞状態は、第2流路25が完全に閉塞されている状態が望ましいが、第2流路25を完全に閉塞していない状態、すなわち製造上の誤差などの原因により切替弁27の先端部27bとペルチェ素子23が当接せず、先端部27bとペルチェ素子23の間にわずかに隙間が空いている状態でもよい。すなわち、第1流路24から電池パック11に供給される熱媒体の温度に影響を及ぼさない範囲内で第2流路25を流通する熱媒体が電池パック11に漏れることが許容される。例えば、電池パック11を冷却する場合には、電池パック11に供給される熱媒体の温度が、電池パック11よりも高い温度にならなければよい。また、電池パック11を加熱する場合には、電池パック11に供給される熱媒体の温度が、電池パック11よりも低くならなければよい。
【0037】
○ 実施形態において、単数の電池を温度調節してもよい。
○ 実施形態において、送風機21を設けなくてもダクト22内に外気を導入できる場合、送風機21を設けなくてもよい。例えば、本実施形態の電池用温度調節機構20を車両に搭載する場合、車両の走行に伴いダクト22内に外気が導入されるようにすればよい。
【0038】
○ 実施形態において、第1流路24及び第2流路25に切替弁を設けるとともに、第1流路24及び第2流路25の開放状態及び閉塞状態を切り替えることにより、電池パック11に供給される第1流路24を流通する第1熱媒体と第2流路25を流通する第2熱媒体の量を調節してもよい。この場合、ペルチェ素子23への通電の極性を変更することなく、電池パック11の冷却と加熱を切り替えることができる。また、第1流路24を流通する第1熱媒体と第2流路25を流通する第2熱媒体の量が同じになるように、第1流路24の径と第2流路25の径を同一にすることが好ましい。
【0039】
○ 実施形態において、第2流路25の開放状態の継続時間と、第2流路25の閉塞状態の維持時間を調節することにより電池パック11に単位時間当たりに供給される第2熱媒体の量を調節してもよい。
【0040】
○ 実施形態において、第2流路25の径を第1流路24の径よりも小さくしてもよい。特に、第1流路24を流通する第1熱媒体を主として電池パック11の温度調節を行う場合、第2流路25の径を小さくすることでペルチェ素子23の駆動時において、電池パック11の温度調節を行う第1熱媒体の量を多くすることができる。また、第2流路25の開放状態の継続時間と、第2流路25の閉塞状態の維持時間を調節することにより電池パック11の温度を調節する場合には、第1流路24を流通する第1熱媒体の量に比べて第2流路25を流通する第2熱媒体の量が少なくなるため、電池パック11の温度調節を行いやすい。
【符号の説明】
【0041】
11…電池パック、20…電池用温度調節機構、21…送風機、22…ダクト、23…ペルチェ素子、23a…第1面、23b…第2面、24…第1流路、25…第2流路、27…切替弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の温度を調節する電池用温度調節機構であって、
通電の極性に応じて放熱と吸熱の相反する作用を行う第1面及び第2面を有する熱電変換素子と、
前記第1面を介して流入する第1熱媒体が流通するとともに前記電池に前記第1熱媒体を供給する第1流路と、
前記第2面を介して流入する第2熱媒体が流通するとともに前記電池に前記第2熱媒体を供給する第2流路と、
前記第2流路から前記電池に単位時間当たりに供給される前記第2熱媒体の量を調節する調節手段と、を備え、
前記調節手段は、前記熱電変換素子を駆動して電池の温度を調節するときに前記第2流路から前記電池に単位時間当たりに供給される前記第2熱媒体の量より、
前記熱電変換素子を駆動せずに電池の温度を調節するときに前記第2流路から前記電池に単位時間当たりに供給される前記第2熱媒体の量が多くなるように調節することを特徴とする電池用温度調節機構。
【請求項2】
前記第1流路と前記第2流路は単一のダクト内に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電池用温度調節機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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