説明

電流検出器

【目的】 絶縁板に配置され、精度の高い電流検出器を提供する。
【構成】 絶縁板の一方の面に設けられた2つの銅回路11,12と、この2つの銅回路11,12のそれぞれの近傍に上記銅回路と分離された検出用銅回路13,14と、一方の上記銅回路11及びその近傍の上記検出用銅回路13と、他方の上記銅回路12及びその近傍の上記検出用銅回路14との間に渡されたシャントにより構成した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電流検出器に関するもので、特に半導体モジュール又はプリント配線板中に流れる電流を検出する電流検出器の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電力制御装置に用いられるサイリスタモジュールは、図4に示すようにサイリスタ41,42が逆並列に接続されて、この回路に流れる電流がシャント43等の電流検出器を介して負荷に交流電流を供給している。そして、この電流検出器により検出された検出信号が電力制御用、保護用、制御用等に用いられている。また、半導体モジュールとしては、一方の面にほぼ全面に銅回路が接着半田付けられ、他方の面の必要箇所に銅回路が接着半田付けられたセラミック等の絶縁板を金属板に半田付けされ、さらに上記他方の面の銅回路にサイリスタ等の電力用半導体チップと制御部品とが搭載された後半田付けされ、さらにシリコンゴム、エポキシ樹脂などによりモールドされて、モジュール化されたものがある。
【0003】そして、この種の半導体モジュールに使用される電流検出器は図5に示すようなものがある。すなわち、セラミックス等の絶縁板1上の他方の面に銅回路2,3が接着、半田付けされている。この銅回路2,3の一部にクリーム半田を印刷し、銅回路上に電力用半導体チップ、又は抵抗、コンデンサ等の電子部品、外部引き出し端子等とともにシャント51を搭載してからリフロー炉により全部品の半田付けが行われる。そしてシャント51に流れる電流は、検出端子54,55により検出されている。なお、図中52,53は銅回路2,3とシャント51とを半田付けする半田層である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような半導体モジュールの電流検出器は、図6に示すようにシャント51の抵抗61の他に、半田層52,53の抵抗62,63及び半田層52,53と検出端子54,55との間の銅回路の抵抗64,65とを加算された抵抗に流れる電流による電圧を検出するため、シャント51の両端電圧を検出することができず、精度の悪い電流検出器であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明の電流検出器は、絶縁板の一方に設けられた2つの銅回路と、上記2つの銅回路のそれぞれの近傍に上記銅回路と分離された検出用銅回路と、一方の上記銅回路及びその近傍の検出用銅回路と他方の銅回路及びその近傍の検出用銅回路との間に渡されたシャントにより構成されている。
【0006】上記銅回路の一部に電力用半導体チップを搭載し、上記絶縁板が他方の面に設けられた裏面銅回路を介して金属基板に半田付けされた半導体モジュールに搭載されている。
【0007】
【作用】絶縁板上に銅回路と、この銅回路の近傍に検出用銅回路とを2組分離して設け、一方の銅回路及び及び検出用銅回路と、他方の銅回路及び検出用銅回路の間にシャントを渡し、両検出用銅回路間を電流検出端として電流検出を行う。これにより検出端の検出電圧は銅回路間に流れる電流の影響を受けることはない。
【0008】また、銅回路の一部に電力用チップを搭載し、他方の面に設けられた裏面銅回路を介して絶縁板を金属基板に半田付けしモールドを行い、半導体モジュールを形成する。シャントに発生した熱は、銅回路絶縁板を介して金属基板に伝わり、金属基板から放熱される。
【0009】
【実施例】以下、この発明をその実施例を示す図1に基づいて詳細に説明する。図1において、11,12は図示しない裏面に裏面銅回路を接着、半田付けられた絶縁板上の必要な箇所に設けられた銅回路で、その端部は中央が凹部11a,12aを有している。13,14は一端が凹部11a,12aに突入する突入部13a,14aを有し銅回路11,12の外部に引き出される電流検出用の検出用銅回路、15はシャントで検出用銅回路13、14を跨ぎ両端部16,17が半田付けによってそれぞれ銅回路11の凹部11aと検出用銅回路13の突入部13a及び銅回路12の凹部12aと検出用銅回路14の突入部14aを渡している。
【0010】例えば、電流検出器を内蔵させる半導体モジュールは、次のようにして形成される。すなわち図示しない金属基板にクリーム半田を印刷して絶縁板を搭載し、この絶縁板上の銅回路の必要箇所にクリーム半田を印刷して、このクリーム半田上に電力用半導体チップ、シャント15、外部接続用端子さらに必要であれば抵抗、IC等の制御部品を搭置する。これらを搭置後、リフロー炉で全部品を半田付けし、その後チップと他の回路間に必要なワイヤボンディングを行う。次に金属基板に図示しない樹脂ケースをシリコンゴム等の接着材で接着する。このとき、上部からシリコンゴムを樹脂ケース内に充填し、加熱硬化させる。さらに上部からエポキシ樹脂を充填し、加熱硬化させて半導体モジュールを得る。
【0011】このように形成された電流検出器は次のように動作する。すなわち、例えば銅回路11に流れている電流は銅回路11、シャント15、銅回路12に流れてシャント15の両端が電圧降下する。シャント15の端部16,17と接続された検出用銅回路13,14の突入部13a,14aによってシャント両端の電圧降下が検出される。
【0012】この検出用銅回路には、銅回路11から12に流れる大きな電流が流れないため、図2に示すようにシャントの抵抗分21と、検出用銅回路13とシャント15及び検出用銅回路14とシャント15とを接続させる半田による抵抗分24,25を検出する。しかし、検出用銅回路に流れる電流は小さく、抵抗分24による検出誤差は小さい。なお、22は銅回路11とシャント15の半田付け幅による抵抗分を、23は配線上の抵抗分を示す。
【0013】図3は他の実施例であり、図1では銅回路11,12の端部に凹部11a,12aを設け、この凹部11a,12aに検出用銅回路13,14の突入部13a,14aを入れていたが、この実施例では銅回路31,32の端部の近傍に銅回路31,32と並行して検出用銅回路33,34を設けシャント35の両端部36,37をそれぞれ銅回路31の端部と検出用銅回路33の端部とを、また、銅回路32の端部と検出用銅回路34の端部とを半田付けしたものであり、図1のものと同様の動作をする。
【0014】上記実施例は、銅回路と検出用銅回路とを絶縁板を介して金属基板に半田付けしているが、プリント配線板に上記の銅回路と検出用銅回路を配置しシャントを設けてもよい。
【0015】
【発明の効果】以上のように本発明の電流検出器は絶縁板上に銅回路とこの銅回路の近傍に検出用銅回路とを2組分離して設け、一方の銅回路及び検出用銅回路と他方の銅回路及び検出用銅回路との間にシャントを渡し、両検出用銅回路間を電流検出端として電流検出を行っており、検出端の検出電圧は銅回路間に流れる電流の影響を受けることがなく正確な電流検出を行うことができる。
【0016】又、シャントに発生した熱は銅回路、絶縁板を介して金属基板に伝わり、金属基板が放熱されシャントを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の電流検出器の一実施例を示す概略図である。
【図2】図1の電流検出の説明図である。
【図3】この発明の電流検出器の他の実施例を示す概略図である。
【図4】この発明の電流検出器が使用される電力制御装置の概略ブロック図である。
【図5】従来の電流検出器の概略図である。
【図6】図5の電流検出の説明図である。
【符号の説明】
1 絶縁板
11,12,31,32 銅回路
11a,12a 凹部
13,14,33,34 検出用銅回路
13a,14a 突入部
15,35 シャント
16,17,36,37 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁板の一方の面に設けられた2つの銅回路と、上記2つの銅回路のそれぞれの近傍に上記銅回路と分離された検出用銅回路と、一方の上記銅回路及びその近傍の上記検出用銅回路と他方の上記銅回路及びその近傍の上記検出用銅回路との間に渡されたシャントにより構成された電流検出器。
【請求項2】 上記銅回路の一部に電力用半導体チップを搭載し、上記絶縁板が他方の面に設けられた裏面銅回路を介して金属基板に半田付けされた半導体モジュールに搭載された請求項1記載の電流検出器。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図1】
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