説明

電磁波遮蔽用フィルムおよびシート

【課題】 本発明の目的は、通気性と透視性に優れた電磁波遮蔽用フィルムおよびシートを安価で提供することにある。また、本発明は、低周波、高周波のような異なる周波数に対して同時に遮蔽することが可能な電磁波遮蔽用フィルムおよびシートを提供することも目的とする。
【解決手段】 本発明の電磁波遮蔽用フィルムおよびシートは、高分子樹脂フィルムに形成されたクレーズ領域に、Ni、Fe、Co、Ti、Zn、Cr、Sn、Cu、およびこれらの金属の少なくとも1種を含む合金からなる導電性物質をnm程度の粒子の状態で含浸させることにより通気性と透視性に優れるとともに異なる周波数に対して同時に遮蔽することを可能とした電磁波遮蔽用フィルムおよびシートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波による機械の誤作動を防止するための、電磁波遮蔽用フィルムおよびシートに関する。さらに詳しくは、通信機器、電子機器、家電製品あるいは電線等に装着して、これらから発生する各種の電磁波を外部に放出しないよう遮蔽するとともに、他の発生源から発生する電磁波を遮蔽して、各種機器の誤作動を防止することを目的とする、電磁波遮蔽用フィルムおよびシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電磁波を遮蔽するフィルムとしては、合成樹脂フィルム面に、導電性の金属薄膜をスパッタリング法や真空蒸着法等により形成させたもの、さらに金属薄膜に1層或いは複数層の金属酸化物層を積層したものが開示されている。(特開平9‐219597号公報参照)
【0003】
また、ポリマーフィルムの表面に、Ni、Fe、Co、Ti、Zn、Cr、Sn、Cu等の金属を、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかの方法により、厚さ1〜8μm程度に、1層または2層以上に分けて形成させたたことを特徴とする、電磁波シールド材が開示されている。(特開2004‐128158号公報参照)
【特許文献1】特開平9‐219597号公報
【特許文献2】特開2004‐128158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の、高周波、電磁波等を遮蔽する電磁波シールド材は、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法等をもちいて、合成樹脂フィルムの面に、導電性の金属薄膜を形成させたものである。これらの方法は何れも、設備投資と、製造工程が数次に及ぶことなどから製造コストの高いものとなっている。
【0005】
本発明は、これらの実情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、製造が容易であり、かつ、通気性と透視性に優れるとともに、低周波、高周波のような異なる周波数に対して高い遮蔽能を有する電磁波遮蔽用フィルムおよびシートを安価で提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の電磁波遮蔽用フィルムおよびシートは、図1の電磁波遮蔽層の概略断面図に示すように、高分子樹脂フィルム2に形成された微細な連通孔8或いは貫通孔に、導電性物質10をnm粒子の状態で含浸させ、フィルム中に電磁波遮蔽層12を設けることを第一の特徴とするもので、製造工程を簡素化することにより製造コストの低減をなし得たものである。
【0007】
本発明に使用される導電性物質は、低い電気抵抗値を示す金属ほど電磁波を遮蔽する効果が大きいことと、物質の導電率を考慮すると次に挙げる金属が使用に適したものといえる。しかし、電磁波遮蔽能を有する物質であれば、他の金属でもよく、さらには、電磁波遮蔽能を有するものであれば、合成樹脂、鉱石などの物質でもよい。
【0008】
本発明で導電性物質として用いられる金属としては、金、銀、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)さらに亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、アルミ(Al)、白金(Pt)、およびこれらの金属からなる合金が挙げられる。
【0009】
本発明の電磁波遮蔽用フィルムおよびシートの電磁波遮蔽能は、前記導電性物質である金属の単体又はこれらの合金からなる50nm程度の粒子を1種、或いは数種選定して、高分子樹脂フィルムに形成された微細な連通孔に含浸させ、フィルム中に電磁遮蔽層を形成させることにより発現される。
【0010】
導電性物質の選定は、遮蔽対象物の発生する周波数、環境等を考慮して、高周波数の電磁波遮蔽を目的とする場合には銅(Cu)、低周波数の電磁波遮蔽を目的とする場合にはニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)などの金属が選定されことが望ましく、低周波、高周波のような異なる周波数に対して同時に遮蔽することを目的とする場合には、これらの金属を分離、或いは混合して高分子樹脂フィルムに形成された微細な連通孔に含浸させるとよい。
【0011】
上記高分子樹脂フィルムの電磁波遮蔽能を効率よく向上させる方法としては、電磁波遮蔽用フィルムを用途に応じて複数回重ね合わせてもよく、電磁波遮蔽用フィルムを複数枚積層して用いてもよい。
【0012】
高分子樹脂フィルムが透明性を有するものであれば、クレージング処理を用いてフィルムに微細な連通孔或いは貫通孔を調節して生成することにより、フィルム中に電磁波遮蔽層が設けられた後も透視能が損なわれることはない。これは、フィルム中に含浸される導電性物質が極めて微細なnm程度の粒子の状態であることと、フィルムに生成される微細な連通孔或いは貫通孔がクレーズの場合、フィルムの厚み方向に生成されているという特性によるものである。高明度の高分子樹脂フィルムを用いることによりさらに透明性に優れた電磁波遮蔽用フィルムおよびシートが得られる。
【0013】
また、導電性物質を含有する高分子樹脂フィルムが透明性を有するものであれば、このフィルムにクレージング処理を施すことでも、通気性と透視性に優れた電磁波遮蔽用フィルムが得られる。これはクレーズが、フィブリル(分子束)とボイド(連通孔)から構成され、このうちボイドがフィルムの厚み方向に連通して貫通することによるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電磁波遮蔽用フィルムおよびシートは、製造工程を簡素化することにより製造コストの低減をなし得るとともに、低周波、高周波など異なる電磁波に対しても同時に遮蔽することができる電磁波遮蔽能、気圧調整の容易な通気性、透湿性、透視性、さらに、柔軟性をもつ高分子樹脂素材を特定することにより可撓性をも併せもつことから、内圧調整用器具にも適応できるなど、使用用途の広範囲に及ぶものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
電磁波遮蔽用フィルム
本発明の電磁波遮蔽用フィルムおよびシートは、基本的に高分子樹脂フィルムに施された微細な連通孔或いは貫通孔に、導電性物質からなる50nm程度の粒子を含浸させることにより、該フィルムに電磁波遮蔽層を設けて各種の高周波、電磁波等を遮蔽することを目的とするものである。以下、この発明の各構成についてさらに詳しく説明する。もちろんこの発明は以下の実施の形態によって限定されるものではない。
【0016】
高分子樹脂
本発明の電磁波遮蔽用フィルムに、素材として用いられる高分子樹脂としては、フィルムへの形成が可能な熱可塑性樹脂であれば、特に制限されるものではなく、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、スチレン系樹脂、ポリカーボネート、ハロゲン含有熱可塑性樹脂、ニトリル樹脂等が例示できる。これらの熱可塑性樹脂は、廃プラスチックから再資源化されたものであってもよい。
【0017】
これらの熱可塑性樹脂の中でも、フィルムへの成形性や経済的観点から、ポリオレフィン、ポリエステル、スチレン系樹脂、ハロゲン含有熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、単独でも複合した組成物として用いても、或いは、別の高分子樹脂をブレンドしたりしても良く、さらには二種以上の樹脂を多層化して用いても良い。
【0018】
また、前記導電性物質からなる極めて微細なnm粒子を含浸させるための、微細な連通孔或いは貫通孔の形成の容易さから、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が−45℃以上、好ましくは−30℃以上、特に好ましくは−15℃以上の樹脂を使用することが望ましい。組成物として使用するときや多層化して使用するときは、主な構成成分である熱可塑性樹脂のガラス転移温度が、上記範囲内にあることが好ましい。これより低いガラス転移温度を示す熱可塑性樹脂の場合は、柔軟過ぎるために、微細な連通孔或いは貫通孔の効率的な形成が難しい。
【0019】
ポリオレフィン
前記ポリオレフィンとしては、α‐オレフィンの単独重合体又は他のα‐オレフィン及び/又はα‐オレフィンを主成分として、他のエチレン性不飽和単量体との共重合体である。ここで共重合体とはブロック、ランダム、グラフト等或いはこれらの複合物でも良い。該エチレン性不飽和単量体としては、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、マレイン酸等の不飽和カルボン酸又は無水物等を挙げることができる。有用なポリオレフィンの具体例としては、低密度分岐ポリエチレン、高密度線状ポリエチレン、低密度線状ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリ(1‐ブテン)、ポリ(4‐メチル‐1‐ペンテン)等を挙げることができる。
【0020】
ポリアミド
ポリアミドとしては、芳香族又は/及び脂肪族アミド基を有する繰り返しユニットを必須成分として含む縮合生成物である。有用なポリアミドとしては、ナイロン‐4、ナイロン‐6、ナイロン‐6,6、ナイロン‐4,6、ナイロン‐12、非晶性ナイロン等を挙げることができる。中でも、好ましいポリアミドは、ナイロン‐6、ナイロン‐6,6、非晶性ナイロンである。
【0021】
ポリエステル
ポリエステルとしては、例えば、その一つとして、通常の方法に従って、ジカルボン酸又はその低級アルキルエステル、酸ハライド若しくは酸無水物誘導体とグリコール又はニ価フェノールとを縮合させて製造した熱可塑性ポリエステルを挙げることができる。これらポリエステルの中でも飽和ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレートを使用することが好適である。
【0022】
スチレン系樹脂
スチレン系樹脂としては、ビニル芳香族化合物の重合体であり、該ビニル芳香族化合物の具体例としては、スチレン、α‐メチルスチレン、パラメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等を挙げることができ、スチレン系樹脂は、これらビニル芳香族化合物のホモポリマー及び共重合体である。これらの中でもポリスチレンが好ましく、更に、ゴムグラフトポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体を用いることが好適である。
【0023】
ポリカーボネート
ポリカーボネートは、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族・芳香族ポリカーボネート等を挙げることができる。これらの中でも、2,2‐ビス(4‐オキシフェニル)アルカン系、ビス(4‐オキシフェニル)エーテル系、ビス(4‐オキシフェニル)スルフォン、スルフィド又はスルフォキサイド系のビスフェノール類からなる芳香族ポリカーボネートを用いることが好適である。
【0024】
ハロゲン含有熱可塑性樹脂
ハロゲン含有熱可塑性樹脂は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ビニルフルオライド等のホモ重合体及び共重合体を挙げることができる。この他にも、ビニリデンクロライドから導かれたホモ重合体及び共重合体を挙げることができる。これらの中でも好ましいハロゲン含有熱可塑性樹脂は、ポリ弗化ビニリデンのホモ重合体及びテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレンとの共重合体並びビニリデンクロライドを挙げることができる。
【0025】
ニトリル樹脂
ニトリル樹脂としては、α,β‐オレフィン系不飽和モノニトリルを50重量%以上含むものである。これらの不飽和モノニトリルの中でも、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル及びそれらの混合物を使用することが好ましい。
【0026】
フィルムの成形
上記熱可塑性樹脂を用いて得られる高分子樹脂フィルム又はシートは、その製造方法に於いて特別な制約はなく、各種の成形方法を適用することにより得ることができるが、一般に広く行なわれているTダイ押出成形法やブローアップを行なうインフレーション成形法を適用して得られたものが工業的には有利である。
【0027】
フィルムの厚み
また、高分子樹脂フィルムの厚みは、一般に0.5〜1,000nm、好ましくは1〜800nm、特に好ましくは2〜500nmのものが使用される。
【0028】
フィルムの配向
上記高分子樹脂フィルムは、配向度が、複屈折率で0.5×10−3以上、好ましくは1×10−3以上、特に好ましくは1.5×10−3以上にある分子配向度を有することが、微細な連通孔或いは貫通孔の形成には有効である。この複屈折率が上記範囲外の分子配向を有するフィルムでは、目的とするクレーズを容易に形成され難い。配向度は、該フィルムの成形時の、樹脂温度、引き取り速度、冷却速度、樹脂の分子量、分子量分布、タクティスティ等の分子構造を、特にTダイ法であればドロー比を、特にインフレーション法であればブローアップ比等を変えることにより制御することができるので、これらを適当に制御して目的とする好ましい範囲の配向度のフィルムを製造することができる。
【0029】
ここで言う複屈折率とは、主屈折率間の差として表現されるもので、例えば、フィルムの成形方向の屈折率(n1)とそれと直角方向の屈折率(n2)の差(n1−n2)であり、分子配向の程度を表現するインデックスの一つである。これら複屈折率は、実際には、偏光顕微鏡とコンペンセーターを用いることにより測定することができ、この値が大きいほど異方性が大きくなり、連通孔或いは貫通孔が生じ易くなる。
【0030】
連通孔・貫通孔
本発明の電磁波遮蔽用フィルムおよびシートは、高分子樹脂フィルムに導電性物質からなるnm粒子を含浸させるための微細な連通孔或いは貫通孔が形成されている。この微細な連通孔或いは貫通孔は高分子樹脂フィルムにクレージング処理をを施すことによっても得られる。
【0031】
クレージング処理により高分子樹脂フィルムに形成されたクレーズは、基本的に、高分子樹脂フィルムの分子配向の方向と略平行に、幅が一般に0.5〜100nm、好ましくは1〜50nmのものである。この縞状クレーズが、フィルムの厚み方向に連通して貫通しているクレーズの数の割合が全クレーズの数に対して10%以上、好ましくは20%以上、特に好ましくは40%以上必要であり、連通して貫通している割合が上記範囲未満であると十分な通気性が得られ難くなる。該クレーズを分子配向の方向と略平行の方向に形成するのは、分子鎖の配向の方向と直角の方向に引っ張ることによってクレーズが形成され、分子鎖の配向の方向と直角の方向にクレーズを形成することが難しいからである。
【0032】
クレーズの構造
高分子樹脂フィルムに形成されるクレーズを、図2に示し詳しく説明する。クレーズ4は、高分子樹脂フィルム2の表面に現れる表面クレーズと内部に発生する内部クレーズを含むものであって、微細なひび状の模様を有する領域を言う。このクレーズは分子束(フィブリル)6と(ボイド)8から構成され、このうち連通孔がフィルムの厚み方向に貫通することにより、フィルムに通気性がもたらされる。
【0033】
ボイド(連通孔)
ボイド(連通孔)は、ひび割れに似た多数の微細な連通孔であり、この連通孔は一定ではなくとも0.02〜0.15nm程度に、高分子樹脂フィルムの厚み方向に連通して発現させることにより、通常の状態で、気体は通すが水などの液体は通さないという特徴を持つ通気性フィルムが得られる。
【0034】
クレーズの量
上記クレーズは高分子樹脂フィルムに形成されるクレーズは、一般に0.1〜1,000nm、好ましくは1〜800nmの間隔で形成され、縞状の領域として認識できる程度の量である。
【0035】
通気性フィルムの性能
上記の様な通気性フィルムは、用いる樹脂の種類により異なるが、例えばポリ弗化ビニリデンのホモ重合体を用いると、酸素及び窒素ガスのガス透過度で一般に0.3〜100,000×10cm/m・24hr・atmの範囲内のものに、透湿度で一般に10〜100,000×10g/m・24hrの範囲内のものに、透明性が一般に1〜99.5へイズ、好ましくは2〜90へイズ、特に好ましくは5〜80へイズの範囲内のものに、引張強度で一般に5〜50MPa、好ましくは6〜50MPa、特に好ましくは7.5〜50MPaの範囲内のものにすることができる。
【0036】
通気性の機能
本発明の電磁波遮蔽用フィルムおよびシートは、フィルム中にクレーズを形成させることにより、通気性、透湿性の機能をもつもので、その機構はフィルム中に形成されたクレーズが、フィルムやシートの厚み方向を連通し貫通することにより、酸素や窒素或いは水蒸気等の気体がこのクレーズ域を拡散しながら透過して通気性が発現する。更に、クレーズ中に存在するボイドが光の波長に比べて顕著に小さいため、光の散乱は起こらず、従って、充填剤を添加した樹脂組成物を延伸して細孔を設けた従来技術における通気性フィルムが不透明であるのに対して、本発明の電磁波遮蔽用フィルムは透明性を損なわずに通気性が付与されたものとなっている。
【0037】
通気性の調節
本発明の電磁波遮蔽用フィルムの通気性の程度は、高分子樹脂フィルム中に形成されたクレーズの幅、クレーズ間の隔たり、クレーズの連通し貫通された数の割合を変えることで調節することができる。具体的には、高分子樹脂フィルムの分子配向の度合いやクレーズを形成させる時の温度、高分子樹脂フィルムの緊張度(緊張状態における張力)、フィルムの折り曲げ角度等を調節することで、容易に通気性をコントロールすることができ、使用目的に応じた通気性を有する電磁波遮蔽用フィルムを提供することができる。
【0038】
例えば、クレーズを形成させる時の緊張度を増大させたり、折り曲げ角度を小さくすると、生成するクレーズの間隔は小さくなり、クレーズの連通或いは貫通された数の割合が増大し、その結果、通気性は増大する。この様なクレーズの幅、クレーズ間の隔たり、連通して貫通されたクレーズの割合を変えることで調節された通気性を有する電磁波遮蔽用フィルムは、前記酸素及び窒素ガスのガス透過度、透湿度、透明性、引張強度等をコントロールすることができる。
【0039】
電磁波遮蔽層
本発明の電磁波遮蔽層は、遮蔽しようとする電磁波の周波数に応じて用いる金属の種類を選択することが好ましい。低周波数の電磁波に対しては、Ni、Co、Fe等の金属およびこれらの金属からなる合金、高周波数の電磁波に対しては、Cuを選択することが好ましい。この場合、酸化防止効果を有する酸化防止剤を使用することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】導電性物質がクレーズに含浸されてなる、電磁波遮蔽層の概略断面図
【図2】高分子樹脂フィルムに形成された、クレーズの概略断面図。
【符号の説明】
【0041】
2 高分子樹脂フィルム
4 クレーズ
6 分子束(フィブリル)
8 連通孔(ボイド)
10 導電性物質
12 電磁波遮蔽層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子樹脂フィルムに形成されてなるクレーズ領域のボイド内に、導電性物質をnm粒子の状態で充填されてなる電磁波遮蔽層を設けたことを特徴とする、電磁波遮蔽用フィルムおよびシート。
【請求項2】
高分子樹脂フィルムに施された微細な連通孔或いは貫通孔に、導電性物質をnm粒子の状態で含浸させて電磁波遮蔽層を設けたことを特徴とする、電磁波遮蔽用フィルムおよびシート。
【請求項3】
導電性物質を含有する高明度の熱可塑性合成樹脂フィルムに、クレーズを生成させたことを特徴とする、電磁波遮蔽用フィルムおよびシート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−152129(P2006−152129A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345325(P2004−345325)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(397010446)有限会社中島工業 (28)
【Fターム(参考)】