説明

電磁誘導加熱調理器の冷却方法とそれに用いる冷却構造

【課題】 かさ張らないヒートシンクによりファンなしに十分な冷却ができるようにする。
【解決手段】 発熱電子部品63、64に熱結合させかつこの発熱電子部品63、64よりも熱伝導性が高いヒートシンク201に、前記発熱電子部品63、64よりも熱容量が大きい無垢部分201a、201bを設けて、この無垢部分201a、201bが前記発熱電子部品63、64よりも熱伝導性が高くかつ熱容量が大きいことによって、前記発熱電子部品63、64からの熱の移行を図って冷却しながらその熱を蓄熱して前記冷却を持続するようにして、上記の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電磁誘導によって鍋や調理盤などの調理器を発熱させて炊飯、煮炊き、焼き物、炒め物、揚げ物など各種の加熱調理を行う電磁誘導加熱調理器の冷却方法に関し、詳しくは、ワークコイルにより電磁誘導にて発熱させ加熱調理を行うのに、ワークコイルの通電・制御回路における発熱電子部品をヒートシンクにより冷却する電磁誘導加熱調理器の冷却方法とそれに用いる冷却構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電磁誘導加熱は、半導体スイッチング素子(IGBT)のスイッチング機能によってワークコイルに交番磁界を発生させ、この交番磁界により対向する調理器に渦電流を生じさせて発熱させて行う。この際、IGBTやこれの入力を制御するダイオードブリッジ(DB)などが発熱して昇温する発熱電子部品をなし、これらを所定温度以下に保たないとそれ自体の機能不全や半田付け部分の溶け外れなど故障の原因になる。
【0003】そこで従来、図7に示すようにこれら発熱電子部品a、bにアルミニウム製のヒートシンクcを接触させて熱を奪いフィンdを通じて放熱させることにより冷却することが一般に行われている。なお図7に示す従来例はヒートシンクcはコードリールeや調理器中央の温度センサfなどを避けて配置する形状を有している場合の一例である。一方、特開平08−154815号公報は半導体スイッチング素子を熱伝導性を有する放熱板を介して器体ケースの金属製部分に伝熱的に当接させ、ファンおよびヒートシンクなしに冷却する技術を開示している。図8に別な従来例を示しているが、ヒートシンクcおよび発熱電子部品a、bと、これら発熱電子部品a、bを持った制御基板gとの具体的な位置関係を示している以外は図7の従来例と特に変わるところはない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のフィン付きのヒートシンクcを用いる冷却方式では、ヒートシンクcをファンによる送風にて強制冷却すると加熱容量が大きな電磁誘導加熱調理器でも有効である。しかし、省エネルギーに対応するのにファンを省略すると冷却効果が大きく低下し、加熱容量の小さなものにしか適用できなくなる。これは、ファン無しでのヒートシンクcの冷却では、まわりの空気の自然な対流や流動が勢い緩慢となり、狭いフィンd間で空気が滞留しがちなため、フィンdによる冷却効果が低下することに原因すると思われる。これにファン無しで対応するにはフィンdを大きく、かつ多くし、しかもフィンdの間隔も大きくする必要があり、ヒートシンクcが相当かさ高くなり実用的でなくなる。
【0005】また、上記従来の金属製の器体ケースとの熱結合構造を利用した冷却方式では、ファンなしに十分な冷却ができても、器体ケースが金属製部分を持っていることの制約を受けるので不便であるし、器体ケースの金属製部分が昇温するので使用者に不安感や不信感を与えかねない。
【0006】本発明の目的は、かさ張らないヒートシンクによりファンなしに十分な冷却ができる電磁誘導加熱調理器の冷却方法とそれに用いる冷却構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成するために、本発明の電磁誘導加熱調理器は、鍋や調理盤などの調理器をワークコイルにより電磁誘導にて発熱させ加熱調理を行うのに、ワークコイルの通電・制御回路における発熱電子部品をヒートシンクにより冷却する電磁誘導加熱調理器の冷却方法において、発熱電子部品に熱結合させかつこの発熱電子部品よりも熱伝導性が高いヒートシンクに、前記発熱電子部品よりも熱容量が大きい無垢部分を設けて、この無垢部分が前記発熱電子部品よりも熱伝導性が高くかつ熱容量が大きいことによって、前記発熱電子部品からの熱の移行を図って冷却しながらその熱を蓄熱して前記冷却を持続するようにしたことを特徴とするものである。ここに、熱結合とは互いの間で熱移動可能なように直接または間接に接触させ合うことをいい、間接的な接触は例えば熱移動や機械的結合に有利なように用いればよい。
【0008】このように、ヒートシンクに設けた無垢部分と発熱電子部品とを熱結合させることによって、ヒートシンクの無垢部分が発熱電子部品よりも熱伝導性が高くかつ熱容量が大きいことを利用し、発熱電子部品の熱をヒートシンクの無垢部分にこの無垢部分がまわりへの静的な放熱を伴い熱的に飽和しない間移行させ続けて、ファンによる強制送風は勿論、空気の自然な動き無しでも発熱電子部品を冷却し続け、無垢部分の熱容量によっては十分に冷却することができる。ファン無しで十分な冷却効果を発揮させるべく設けられる従来のフィンがなすかさ張り域前後の体積程度で前記十分な冷却を達成することができるので、電磁誘導加熱調理器が特に大型化することはなく実用性は損なわれない。
【0009】ヒートシンクの無垢部分を複数の発熱電子部品に対し個々に対応させて前記冷却を行うようにすると、各無垢部分が対応する発熱電子部品を冷却するのに、互いの蓄熱や、対応する発熱電子部品以外の発熱電子部品の熱が影響して、それぞれの無垢部分における対応する発熱電子部品との間の熱的容量の関係が不用意に崩れるようなことを防止し、冷却性能の安定を図ることができる。
【0010】ヒートシンクの熱を、このヒートシンクに熱結合させた放熱板により奪ってまわりに放熱させ前記冷却を続行させるようにすると、ヒートシンクの熱が放熱板によって奪われる分だけ、ヒートシンクの無垢部分が、必要な熱容量ないしは体積の小さな小型なものとなり、放熱板はまわりに適応した形状での面の広がりによって場所を余り取らずにまわりの空気と広い面積にて熱結合し合うとともに、まわりの空気を拘束したり滞留させたりせず温度差などによる対流や流動を自由に行わせてファン無しでも効率のよい冷却を図り、ヒートシンクの冷却による前記小型化を促進するので、冷却効果が低減したり全体が大型化するようなことなくヒートシンクを小型化し、軽量化することができる。
【0011】上記のような方法を達成する電磁誘導加熱調理器の冷却構造は、鍋や加熱調理盤などの調理器をワークコイルにより電磁誘導にて発熱させ加熱調理を行うのに、ワークコイルの通電・制御回路における発熱電子部品をヒートシンクにより冷却する電磁誘導加熱調理器の冷却構造において、発熱電子部品に熱結合させかつこの発熱電子部品よりも熱伝導性が高いヒートシンクに、前記発熱電子部品よりも熱容量が大きい無垢部分を設け、このヒートシンクに放熱板を熱結合させたことを特徴とするもので足り、放熱板は、炊飯器器体の外ケース内の外気の自然導入、自然排出が行われる空気通路に位置しているのが好適である。
【0012】ヒートシンクが、発熱電子部品との熱結合面積よりも放熱板との熱結合面積の方が大きい構成であると、ヒートシンクは発熱電子部品から奪った熱を、ヒートシンクの大きさを生かして発熱電子部品との間よりも大きくした放熱板との熱結合面を通じ、冷却効率の高い放熱板側に速やかに移行させられるので、発熱電子部品の冷却効果を高められる。
【0013】ヒートシンクの無垢部分の体積が、対応する発熱電子部品の体積以上であると、発熱電子部品の全熱容量分の熱を受け入れても、まわりへの静的な放熱を含んで飽和せず、静的な熱移動だけでも発熱電子部品を長く冷却し続けられる利点があり、無垢部分が発熱電子部品との熱結合面積よりも、残る表面積の方が大きい構成とすることにより、静的な熱移動による冷却持続効果を高められるし、放熱板などとの熱結合面積をさらに多くすることもできる。
【0014】ヒートシンクが、加熱調理工程の加熱操作が行われている間、温度平衡ないしは昇温が生じない熱容量ないしは体積を有していると、ファンは勿論、空気の自然な対流や流動をも利用しない、純静的な熱移動だけで発熱電子部品を加熱調理工程の間終始冷却し続けられるので、必要な冷却性能を保証しやすい。
【0015】以上各場合のヒートシンクはアルミニウム材料よりなるのが、冷却、軽量化上好適である。しかし、これに限られることはない。
【0016】さらに、発熱電子部品を持った回路基板と放熱板とが、ヒートシンクを介した熱結合部にて双方がほぼL型をなして連結されている構成では、発熱電子部品、ヒートシンク、放熱板の順に熱移動させて発熱電子部品を冷却するヒートシンクを介した熱結合が、回路基板および放熱板が互いにほぼL型になる連結構造にて満足し、電磁誘導加熱調理器の器体内に形成される底部と胴部とがなす断面ほぼL型のデッドスペースを利用して配置しやすくするとともに、放熱板は回路基板が被さったり、ほぼ平行に近接したりせずに器体内で開放され、まわりの空気を拘束せず流動しやすくするので冷却効果が向上する。
【0017】本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴は、それ単独で、あるいは可能な限り種々な組合せで複合して用いることができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明に係る電磁誘導加熱調理器の実施例について、図1〜図4を参照しながら詳細に説明し本発明の理解に供する。
【0019】本実施例の電磁誘導加熱調理器は、電磁誘導加熱により炊飯および保温を行う電磁誘導炊飯器の場合の一例である。しかし、これに限られることはなく、電磁誘導によって鍋や調理盤などの調理器を発熱させて炊飯、煮炊き、焼き物、炒め物、揚げ物など各種の加熱調理を行う各種の電磁誘導加熱調理器一般に適用して有効であり、いずれも本発明の範疇に属する。
【0020】本実施例の電磁誘導炊飯器は図1〜図3に1つの例を示し、図4に別の例を示している。それらの全体構成は図1、図4にそれぞれ示してあるようにほぼ共通しており、鍋3と、この鍋3を着脱できるように収容する中空の器体1と、この器体1の鍋収容部をなす内壁6の外回りに設けられ鍋3の底部の中央部および外周部に対向する底部内側ワークコイル4および底部外側ワークコイル10aと、鍋3の胴部に対向する胴部ヒータ13と、器体1の肩部に設けられた肩ヒータ33と、を備え、底部内側ワークコイル10b、底部外側ワークコイル10a、胴部ヒータ13、および肩ヒータ33を炊飯工程、炊飯量、および炊飯と保温の違いに応じて種々の駆動状態を制御し、かつ、操作スイッチを有する操作基板43が、器体1の前部に設けられた操作パネル44の内側に設けられている。また、胴部ヒータ13および肩ヒータ33の図3に示すような駆動回路59、60や、IGBT63やそれの駆動入力を制御するダイオードブリッジ(BD)64などの発熱素子をもった駆動回路62が制御基板143に設けられている。器体1は合成樹脂製の外壁5と内壁6とを合成樹脂製の肩部材7により結合して形成されている。しかし、器体1の部分的な、あるいは全体的な材質は特に問わない。外壁5には鍋3の発熱や前記IGBT63、DB64の発熱などにより器体1内の空気が昇温して対流や流動を起こすのを利用して、器体1の胴部5aまわりの適所、例えば底部5bとの間などに設けられた排気口41から排気し、底部5bに設けられた吸気口15から吸気を図るようにしてあり、この排気と吸気とによって器体1内に空気が流通する空気通路14を形成するようにしている。
【0021】器体1に施された蓋2は器体1の後部にヒンジピン101により起伏できるように枢支されたヒンジ片20に対し着脱できるように嵌め合わされ、ヒンジ片20と一体になった回動によって器体1の上端を開閉できるようになっている。ヒンジ片20には蓋2を開き方向に付勢するばね102が器体1との間に働かされている。ばね102の付勢による開き動作を制動する制動機構が必要に応じて設けられるし、蓋2が勝手に開かないように閉じ位置にロックするよう図示しないばねにて付勢したロック爪42が設けられ、ロック爪42をばねに抗して回動させることにより蓋2がばね102の付勢によって自動的に開かれる。
【0022】肩ヒータ33は器体1の肩部上面に形成した溝31内に収容して金属カバー32が施され、蓋2の内側に設けた金属製の二重の内蓋28、34の上側内蓋28の外周部が金属カバー32に当接して肩ヒータ33の熱を伝導されて鍋3の開口部全域に下側内蓋34を介して行き渡らせ、炊き上がったご飯を上部からむら無く加熱するようにしている。蓋2の中央部には蒸気を適度に外部に逃がしながら炊飯時の鍋3内を調圧する調圧弁23が設けられ美味しいご飯が炊けるようにしている。器体1の外壁5と内壁6とはそれらの上端部が肩部材7によって連結され、一体化し合成樹脂製の器体を構成している。なお、合成樹脂は透磁性を有し、ワークコイル10a、10bなどが鍋3を電磁誘導加熱させる範囲に設ければ有効であるが、他の部分にそのような有効性はなく、他の部材と代替することができる。
【0023】蓋2は合成樹脂製の上板16と下板17の間の空間18に断熱材19を充填した断熱構造をなし、その中央部の貫通孔21に上側の金属製内蓋28の中央部に設けた調圧弁23が下方から貫通し、着脱できるように弾性ブッシュ104によって弾性係合している。調圧弁23は上側の金属製内蓋28に上方からねじ止めないしはカシメ止めなどされ、調圧弁23の中央部から内蓋28の下方に突出した吊持ピン35に、下側の金属製蓋34の中央部に設けた弾性ブッシュ36が弾性的に嵌まり合って着脱できるように装着されている。
【0024】上側の内蓋28は蓋2に装着されたとき、外周部が蓋2側に設けられているシールパッキング30と圧着して互いの外周部間がシールされ、また、蓋2の閉じ状態において、内蓋28はそれの下面外周部の溝内に装着してあるシール部材29が鍋3の口部3aの口縁に圧着して鍋3を閉じるとともに、下側の内蓋34の外周にも外回りから圧着するようにしてある。
【0025】この状態で、鍋3内で発生する蒸気は、下側の内蓋34とシール部材29の圧着部を自身の圧力で抜けるなどして上側の内蓋28との間に入って後、内蓋28の蒸気孔25、調圧弁23の蒸気流入孔26、調圧弁23内の蒸気通路22途中にあるボール弁24を経て、調圧弁23の外部に臨んでいる蒸気流出口27から外部に逃がされる。このとき、ボール弁24が蒸気の逃げを適度に抑制し、鍋3内を所定の炊飯圧力に保つ。このような調圧のための蒸気の放出において、蒸気に随伴しているオネバは、内蓋34の上、および内蓋28の上に溜まるが、蓋2を含めていずれも単独に分離できるので、それぞれ丸洗いができ長期に清潔に保てる。
【0026】二重の器体1における内壁6の底部まわりには、合成樹脂製の放射状をしたコイル台11が配置され、ワークコイル10a、10bを下方から保持するようにしている。コイル台11の各放射状部に形成した下向きの凹部11a内にはフェライトコア12が設けられてワークコイル10a、10bの働きを助けている。コイル台11の中央部には内壁6の中央穴9を貫通して鍋3の底部に当接し鍋3の温度を検出する温度センサ8が設けられている。
【0027】操作パネル44には炊飯や保温のメニューや動作状態、時刻、その他のメッセージを表示する図3に示すような液晶表示部53が中央部に設けられ、これの左右両側まわり、および前側まわりに炊飯をスタートさせるスタートキー45、炊飯の時間予約を行う予約キー46、各種入力の取消キー47、保温を人為的にスタートさせる保温キー48、喫食や殺菌のためなどに保温温度以上の温度に再加熱を行う再加熱キー49、炊飯や保温のメニューを設定するメニューキー50、時間設定用の時キー51、分キー52などの各種設定に必要な操作キーが設けられる。
【0028】双方の例において制御回路は、図3に代表して示してあり、制御基板143を中心に構成されている。これにつき説明すると、交流電源54が電源ヒューズ55を介し、胴部ヒータ13および肩ヒータ33と、整流回路56とに給電する。胴部ヒータ13および肩ヒータ33への給電はそれぞれの駆動回路59、60を通じて行われる。整流回路56は前記IGBT63を持った駆動回路62に平滑コンデンサ57を介し給電し、共振コンデンサ58を介してワークコイル10a、10bを駆動し交番磁界を発生させる。このとき電磁誘導によって発熱する鍋3の温度がセンサ8によってモニタされる。
【0029】制御基板143上のマイコン61の入力ポートにはセンサ8、および操作パネル44上のスタートキー45〜分キー52のそれぞれが接続され、入出力ポートには液晶表示部53が接続され、出力部に前記駆動回路59、60、62のそれぞれが接続されている。
【0030】図1〜図3に示す例、および図4に示す例のいずれも、調理器の一例である鍋3を底部外側、内側各ワークコイル10a、10bにより電磁誘導にて発熱させ加熱調理を行うのに、底部外側、内側各ワークコイル10a、10bの通電・制御回路としての前記制御基板143における発熱電子部品の一例である前記IGBT63、DB64をヒートシンク201により冷却するが、これらIGBT63、DB64に熱結合させかつIGBT63、DB64よりも熱伝導性が高いヒートシンク201に、IGBT63、DB64よりも熱容量が大きい無垢部分201a、201bを設けて、この無垢部分201a、201bがIGBT63、DB64よりも熱伝導性が高くかつ熱容量が大きいことによって、IGBT63、DB64からの熱の移行を図って冷却しながらその熱を蓄熱して前記冷却を持続することを基本的な特徴としている。
【0031】このように、ヒートシンク201に設けた無垢部分201a、201bとIGBT63、DB64とを対応するものどうし熱結合させることによって、ヒートシンク201の無垢部分201a、201bがIGBT63、DB64よりも熱伝導性が高くかつ熱容量が大きいことを利用し、IGBT63、DB64の熱をヒートシンク201の無垢部分201a、201bにこの無垢部分IGBT63、DB64がまわりへの静的な放熱を伴い熱的に飽和しない間移行させ続けて、ファンによる強制送風は勿論、空気204の自然な動き無しでもIGBT63、DB64を冷却し続けられる。従って、無垢部分201a、201bの熱容量によっては十分に冷却することができる。特に、ファン無しで十分な冷却効果を発揮させるべく設けられる従来のフィンがなすかさ張り域前後の体積程度で前記十分な冷却を達成することができるので、電磁誘導炊飯器等の電磁誘導加熱調理器が特に大型化することはなく実用性は損なわれない。要するに、無垢部分201a、201bは前記従来のフィンに代替して形成するもので、全体のかさ張りとしては特に大きく変わるようなことはない。しかし、一例として従来のフィン付きヒートシンクが200g程度にあったのが、無垢部分201a、201bを形成した本実施例のヒートシンク201では494g程度となった。この重さの違いは双方熱容量、体積の違いである。
【0032】また、図2で代表して示すようにヒートシンク201の無垢部分201a、201bは複数の発熱電子部品としてのIGBT63、DB64に対し個々に対応させて前記冷却を行うようにしてあって、各無垢部分201a、201bが対応するIGBT63、DB64を冷却するのに、互いの蓄熱が影響し合ったり、対応するIGBT63、DB64以外の発熱電子部品の熱、具体的には無垢部分201aは対応する発熱電子部品としてのIGBT63以外の発熱電子部品であるDB64の熱、無垢部分201bは対応する発熱電子部品としてのDB64以外の発熱電子部品であるIGBT63の熱、がそれぞれ影響するようなことがなく、それぞれの無垢部分201a、201bにおける対応するIGBT63、DB64との間の熱的容量の関係が不用意に崩れるようなことを防止することができ、これによって冷却性能が設計通りに安定化する。
【0033】さらに、図1、図2に示し、図4に示すように、ヒートシンク201の熱を、このヒートシンク201に熱結合させた放熱板202により奪ってまわりに放熱させ前記冷却を続行させるようにしている。このようにすると、ヒートシンク201の熱が放熱板202によって奪われる分だけ、ヒートシンク201の無垢部分201a、201bが、必要な熱容量ないしは体積の小さな小型なものとなり、放熱板202はまわりに適応した形状での面の図1や図4に示す広がりによって場所を余り取らずにまわりの空気204と広い面積にて熱結合し合うとともに、まわりの空気204を拘束したり滞留させたりせず温度差などによる対流や流動を自由に行わせてファン無しでも効率のよい冷却を図り、ヒートシンク201の冷却による前記小型化を促進するので、冷却効果が低減したり全体が大型化するようなことなくヒートシンク201を小型化し、軽量化することができる。
【0034】以上のような冷却方法を達成する冷却構造として、図1〜図3に示す例では、図1、図2に示すように制御基板143上のIGBT63、DB64に前記ヒートシンク201の無垢部分201a、201bをそれぞれ対応させて直接接触させて熱結合させてあり、ヒートシンク201はアルミニウム系の材料としてIGBT63、DB64よりも熱伝導性の高いものとし、IGBT63、DB64側の熱がヒートシンク201側の無垢部分201a、201bに移動する、つまり熱伝導されるようにしている。また、ヒートシンク201はそれの無垢部分201a、201bを含み放熱板202と直接接触させて熱結合している。さらに具体的には、ヒートシンク201の上下両側に制御基板143および放熱板202を当てがってねじ203により同時あるいは個別にねじ止めして一体化し、相互の熱結合状態を確固に保てるようにしている。しかし、そのような一体化は、挟み付け、溶接、接着など種々な方法で行えるし、種々な方法を複合して採用することもできる。前記ねじ止めのためにヒートシンク201には取り付け孔205が設けられている。
【0035】ヒートシンク201は図2に示すように、器体1の底部内中央に設けられる温度センサ8やコードリール206を避けた両側に2つの無垢部分201a、201bを振り分けることで、器体1の底部中央まわりの小さな平面スペースにて設け、それを上下から挟む状態の制御基板143および放熱板202が器体1の底部内の横に広がったスペースを有効に利用して配置できるようにしてあり、特に、一方の無垢部分201bは図2に示すようにDB64の隣接する2つの面に接する2つの方向に分岐して形成し、DB64の熱を2つの無垢部分201bにより二方向から奪ってより早期に冷却できるようにしている。このように、1つの発熱電子部品に対し複数の無垢部分が対応して熱結合を図ると冷却がより早期に達成される。発熱電子部品からヒートシンク201へのより速やかな熱移動を直接接触によって図るのに、ねじ止めなどして接触部での互いの密着度を高めるのが好適である。しかし、互いの接触部間に熱伝導性のよい充填材を充填して熱結合上の密着を間接的に図ることもできる。
【0036】図4に示す例では、特に、IGBT63、DB64を持った制御基板143と放熱板202とが、ヒートシンク201を介した熱結合部207にて双方がほぼL型をなして連結されている。具体的にはヒートシンク201の例えば下向きの面201cに放熱板202の一端側を当てがってねじ203によりねじ止めし、放熱板202がヒートシンク201から延びている側のヒートシンク201の縦向きの面201dに制御基板143の下端を当てがってねじ203によりねじ止めすることにより連結している。
【0037】このように、IGBT63、DB64、ヒートシンク201、放熱板202の順に熱移動させてIGBT63、DB64を冷却するヒートシンク201を介した熱結合が、制御基板143および放熱板202が互いにほぼL型になる連結構造にて満足し、電磁誘導炊飯器の器体1内に形成される図4に示すような底部と胴部とがなす断面ほぼL型のデッドスペースを利用して配置しやすくする。同時に、放熱板202は制御基板143が被さったり、ほぼ平行に近接したりせずに器体1内で開放され、まわりの空気204を拘束せず流動しやすくするので冷却効果が向上する。
【0038】図1〜図3に示す例、および図4に示す例のいずれにおいても、放熱板202は図1、図4に示すように、器体1の外壁5における前記吸気口15と排気口41との間に形成される空気通路14に位置している。これにより、器体1外に自然に排出され、器体1内に自然に吸入される空気204の流れに放熱板202が曝され、ヒートシンク201、延いてはIGBT63、DB64が放熱板202を介し空気204の流れを利用した動的な冷却が図れる。空気通路14はどのような経路に形成されてもよいが、空気204のより活発な対流ないしは流動を利用できれば好適である。
【0039】なお、ヒートシンク201が、IGBT63、DB64などの発熱電子部品との熱結合面積(本例では接触面積)よりも放熱板202との熱結合面積(本例では接触面積)の方が大きくなるようにすることにより、ヒートシンク201はそれら発熱電子部品から奪った熱を、ヒートシンク201の大きさを生かして発熱電子部品との間よりも大きくした放熱板202との熱結合面を通じ、冷却効率の高い放熱板202側に速やかに移行させられるので、IGBT63、DB64などの発熱電子部品の冷却効果を高められる。
【0040】また、ヒートシンク201の無垢部分201a、201bの体積が、対応するIGBT63、DB64などの発熱電子部品の体積以上であることにより、発熱電子部品の全熱容量分の熱を受け入れても、まわりへの静的な放熱を含んで飽和せず、静的な熱移動だけでも発熱電子部品を長く冷却し続けられる利点があり、無垢部分201a、201bが発熱電子部品との熱結合面積よりも、残る表面積の方が大きい構成とすることにより、静的な熱移動による冷却持続効果を高められるし、放熱板202などとの熱結合面積をさらに多くすることもできる。
【0041】また、ヒートシンク201が、加熱調理工程の加熱操作が行われている間、温度平衡ないしは昇温が生じない熱容量ないしは体積を有しているようにすると、ファンは勿論、空気204の自然な対流や流動をも利用しない、純静的な熱移動だけでIGBT63、DB64などの発熱電子部品を炊飯工程の間、つまり加熱調理工程の間終始冷却し続けられるので、必要な冷却性能を保証しやすい。
【0042】以上のようにヒートシンク201がアルミニウム材料であると冷却、軽量化上好適である。しかし、これに限られることはなく胴などの熱伝導性の高い他の材料を用いることもできる。
【0043】ここで、530Wの出力での実験例を示すと、下記の表1に示すデータ■は、本実施例での494gのヒートシンク201を用いて冷却構造にて、白米3合の実炊飯をしたときの各電子部品などの温度であり、■はDBセンサが常温であるときに炊飯を開始した例、■は■の炊飯後にDBセンサが59℃に降温するのを待って炊飯を開始した例である。これは、炊飯を開始するためのDBセンサの上限温度が60℃程度であることによる。
【0044】
【表1】


データ■では炊飯終了時のDBセンサの温度は61.8℃であって、DBセンサの温度が59℃まで降温するのに4分00秒係り、この時間経過後にデータ■の実炊飯を行った。なお、■の実炊飯をノーマルモードであるのに対し■の実炊飯は早炊きモードによった。ここに、前記4分00秒は先の炊飯とその後に連続して行いたい炊飯との間に必要な待ち時間となる。連続炊飯は電磁誘導炊飯器の容量が必要な炊飯量に対し不足し、数回に分けて炊飯する場合、あるいは白ご飯と炊き込み御飯、ピラフご飯といった異種の炊飯に使い分ける場合などに必要になるが、IGBT63、DB64などの発熱電子部品の冷却が十分に行えないと連続炊飯の場合の待ち時間が長くなる。
【0045】なお、640Wの出力にしたときのデータを示すと下記の表2に示す通りであった。
【0046】
【表2】


これに対し、下記の表3に示すデータ■は、従来のフィン付きヒートシンク200gタイプを用いた冷却構造にて、表1の場合に対応する530Wの出力とし、白米3合を実炊飯したときの各電子部品の温度である。なお■での炊飯はノーマルモードである。
【0047】
【表3】


炊飯終了時のDBセンサの温度は64.6℃と表1のデータ■の場合よりも3℃弱高い。このため、DBセンサの温度が59℃にまで降温するのに9分30秒要し、連続炊飯の待ち時間が■の場合の倍強である。
【0048】以上から明らかなように本実施例のヒートシンク201は従来のフィン付きヒートシンクに比し発熱電子部品の冷却効果が高く、連続炊飯性能、ないしは連続加熱調理性能が格段に向上する。
【0049】ここで、DBセンサの温度などの連続炊飯、連続加熱調理の可否を決定する温度をモニタしておき、これが所定値を上回っている間連続した炊飯や加熱調理を制限する制御を制御基板143などにおいて行うと、間違った炊飯が行われてしまうことを自動的に防止することができる。このような制限を行う場合はその旨をユーザに警告するのが好適である。警告はブザー音、擬音、文字表示、ランプ表示などいずれでもよいし、それらを複合して用いてもよい。
【0050】なお、本実施例のヒートシンク201は、前記従来のフィン設置域に見合う体積を無垢部分201a、201bに確保した上で、冷却効果を高めるフィンを設けてもよいし、放熱板202や制御基板143には冷却を高めるための通気孔や折り曲げ部などを設けてもよい。さらに、図1、図4に示すように器体1の内壁6の外回りを囲う遮熱や断熱を目的とした保護壁211を設けて、制御基板143や放熱板202に鍋3側の熱が及ぶのを防止するのが発熱電子部品の昇温を防止する上で好適であるし、保護壁211が遮熱板など金属材料よりなるような場合、これの一部を放熱板202に共用することができるし、保護壁211に放熱板202を熱結合して保護壁211を発熱電子部品の冷却に役立てるようにすることもできる。
【0051】図5、図6は本発明の別の実施例を示し、器体1における外壁5の底部に吸気口15、胴部5bの上部に排気口41を設けるとともに、空気通路14を広くすることにより、器体1内の空気の対流を活発化し、ヒートシンク201を放熱板なしに十分に冷却できるようにしている。また、制御基板143の下面に当てがったヒートシンク201は広くなった空気通路14による余裕分一杯に下方に延ばして、熱容量またはおよび空気204との接触面積を拡大し、発熱電子部品から吸熱しやすく、また冷却されやすくしている。
【0052】他は、胴部ヒータが省略され、外壁5の胴部5bに器体1の肩部7aを一体成形して内壁6との接続を行い肩部材を省略し、蓋16の特に内蓋構造を簡略化した以外は特に変わるところはなく、前記実施例の場合と共通する部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、鍋や調理盤などの調理器をワークコイルにより電磁誘導にて発熱させ加熱調理を行うのに、ワークコイルの通電・制御回路における発熱電子部品をヒートシンクにより冷却する電磁誘導加熱調理器の冷却方法において、発熱電子部品に熱結合させかつこの発熱電子部品よりも熱伝導性が高いヒートシンクに、前記発熱電子部品よりも熱容量が大きい無垢部分を設けて、この無垢部分が前記発熱電子部品よりも熱伝導性が高くかつ熱容量が大きいことによって、前記発熱電子部品からの熱の移行を図って冷却しながらその熱を蓄熱して前記冷却を持続するようにしたことを特徴とするものである。
【0054】このように、ヒートシンクに設けた無垢部分と発熱電子部品とを熱結合させることによって、ヒートシンクの無垢部分が発熱電子部品よりも熱伝導性が高くかつ熱容量が大きいことを利用し、発熱電子部品の熱をヒートシンクの無垢部分にこの無垢部分がまわりへの静的な放熱を伴い熱的に飽和しない間移行させ続けて、ファンによる強制送風は勿論、空気の自然な動き無しでも発熱電子部品を冷却し続け、無垢部分の熱容量によっては十分に冷却することができる。ファン無しで十分な冷却効果を発揮させるべく設けられる従来のフィンがなすかさ張り域前後の体積程度で前記十分な冷却を達成することができるので、電磁誘導加熱調理器が特に大型化することはなく実用性は損なわれない。
【0055】ヒートシンクの無垢部分を複数の発熱電子部品に対し個々に対応させて前記冷却を行うようにすると、各無垢部分が対応する発熱電子部品を冷却するのに、互いの蓄熱や、対応する発熱電子部品以外の発熱電子部品の熱が影響して、それぞれの無垢部分における対応する発熱電子部品との間の熱的容量の関係が不用意に崩れるようなことを防止し、冷却性能の安定を図ることができる。
【0056】ヒートシンクの熱を、このヒートシンクに熱結合させた放熱板により奪ってまわりに放熱させ前記冷却を続行させるようにすると、ヒートシンクの熱が放熱板によって奪われる分だけ、ヒートシンクの無垢部分が、必要な熱容量ないしは体積の小さな小型なものとなり、放熱板はまわりに適応した形状での面の広がりによって場所を余り取らずにまわりの空気と広い面積にて熱結合し合うとともに、まわりの空気を拘束したり滞留させたりせず温度差などによる対流や流動を自由に行わせてファン無しでも効率のよい冷却を図り、ヒートシンクの冷却による前記小型化を促進するので、冷却効果が低減したり全体が大型化するようなことなくヒートシンクを小型化し、軽量化することができる。
【0057】上記のような方法を達成する電磁誘導加熱調理器の冷却構造は、鍋や加熱調理盤などの調理器をワークコイルにより電磁誘導にて発熱させ加熱調理を行うのに、ワークコイルの通電・制御回路における発熱電子部品をヒートシンクにより冷却する電磁誘導加熱調理器の冷却構造において、発熱電子部品に熱結合させかつこの発熱電子部品よりも熱伝導性が高いヒートシンクに、前記発熱電子部品よりも熱容量が大きい無垢部分を設け、このヒートシンクに放熱板を熱結合させたことを特徴とするもので足り、放熱板は、炊飯器器体の外ケース内の外気の自然導入、自然排出が行われる空気通路に位置しているのが好適である。
【0058】ヒートシンクが、発熱電子部品との熱結合面積よりも放熱板との熱結合面積の方が大きい構成であると、ヒートシンクは発熱電子部品から奪った熱を、ヒートシンクの大きさを生かして発熱電子部品との間よりも大きくした放熱板との熱結合面を通じ、冷却効率の高い放熱板側に速やかに移行させられるので、発熱電子部品の冷却効果を高められる。
【0059】ヒートシンクの無垢部分の体積が、対応する発熱電子部品の体積以上であると、発熱電子部品の全熱容量分の熱を受け入れても、まわりへの静的な放熱を含んで飽和せず、静的な熱移動だけでも発熱電子部品を長く冷却し続けられる利点があり、無垢部分が発熱電子部品との熱結合面積よりも、残る表面積の方が大きい構成とすることにより、静的な熱移動による冷却持続効果を高められるし、放熱板などとの熱結合面積をさらに多くすることもできる。
【0060】ヒートシンクが、加熱調理工程の加熱操作が行われている間、温度平衡ないしは昇温が生じない熱容量ないしは体積を有していると、ファンは勿論、空気の自然な対流や流動をも利用しない、純静的な熱移動だけで発熱電子部品を加熱調理工程の間終始冷却し続けられるので、必要な冷却性能を保証しやすい。
【0061】以上各場合のヒートシンクはアルミニウム材料よりなるのが、冷却、軽量化上好適である。しかし、これに限られることはない。
【0062】さらに、発熱電子部品を持った回路基板と放熱板とが、ヒートシンクを介した熱結合部にて双方がほぼL型をなして連結されている構成では、発熱電子部品、ヒートシンク、放熱板の順に熱移動させて発熱電子部品を冷却するヒートシンクを介した熱結合が、回路基板および放熱板が互いにほぼL型になる連結構造にて満足し、電磁誘導加熱調理器の器体内に形成される底部と胴部とがなす断面ほぼL型のデッドスペースを利用して配置しやすくするとともに、放熱板は回路基板が被さったり、ほぼ平行に近接したりせずに器体内で開放され、まわりの空気を拘束せず流動しやすくするので冷却効果が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施例を示す電磁誘導炊飯器の断面図である。
【図2】図1の炊飯器の冷却構造部を示す要部の平面図である。
【図3】図1の炊飯器の制御回路図である。
【図4】本発明の今1つの実施例を示す電磁誘導炊飯器の断面図である。
【図5】本発明の別の実施例を示す電磁誘導炊飯器の断面図である。
【図6】図5の電磁誘導炊飯器の別の向きで見た断面図である。
【図7】従来のフィン付きヒートシンクによる冷却構造を示す要部の平面図である。
【図8】別の従来例を示す電磁誘導炊飯器の横断下面図である。
【符号の説明】
1 器体
3 鍋
10a、10b ワークコイル
14 空気通路
143 制御基板
63 IGBT
64 DB
201 ヒートシンク
201a、201b 無垢部分
202 放熱板
203 ねじ
204 空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】 鍋や調理盤などの調理器をワークコイルにより電磁誘導にて発熱させ加熱調理を行うのに、ワークコイルの通電・制御回路における発熱電子部品をヒートシンクにより冷却する電磁誘導加熱調理器の冷却方法において、発熱電子部品に熱結合させかつこの発熱電子部品よりも熱伝導性が高いヒートシンクに、前記発熱電子部品よりも熱容量が大きい無垢部分を設けて、この無垢部分が前記発熱電子部品よりも熱伝導性が高くかつ熱容量が大きいことによって、前記発熱電子部品からの熱の移行を図って冷却しながらその熱を蓄熱して前記冷却を持続するようにしたことを特徴とする電磁誘導加熱調理器の冷却方法。
【請求項2】 無垢部分は複数の発熱電子部品に対し個々に対応させて前記冷却を行う請求項1に記載の電磁誘導加熱調理器の冷却方法。
【請求項3】 ヒートシンクの熱は、このヒートシンクに熱結合させた放熱板によって奪いまわりに放熱し前記冷却を続行させる請求項1、2のいずれか1項に記載の電磁誘導加熱調理器の冷却方法。
【請求項4】 鍋や加熱調理盤などの調理器をワークコイルにより電磁誘導にて発熱させ加熱調理を行うのに、ワークコイルの通電・制御回路における発熱電子部品をヒートシンクにより冷却する電磁誘導加熱調理器の冷却構造において、発熱電子部品に熱結合させかつこの発熱電子部品よりも熱伝導性が高いヒートシンクに、前記発熱電子部品よりも熱容量が大きい無垢部分を設け、このヒートシンクに放熱板を熱結合させたことを特徴とする電磁誘導加熱調理器の冷却構造。
【請求項5】 放熱板は、炊飯器器体の外ケース内の外気の自然導入、自然排出が行われる空気通路に位置している請求項4に記載の電磁誘導加熱調理器の冷却構造。
【請求項6】 ヒートシンクは、発熱電子部品との熱結合面積よりも放熱板との熱結合面積の方が大きい請求項4、5のいずれか1項に記載の電磁誘導加熱調理器の冷却構造。
【請求項7】 無垢部分は、複数の発熱電子部品に対し個別に対応して設けられている請求項4〜6のいずれか1項に記載の電磁誘導加熱調理器の冷却構造。
【請求項8】 無垢部分の体積は、対応する発熱電子部品の体積以上である請求項4〜7のいずれか1項に記載の電磁誘導加熱調理器の冷却構造。
【請求項9】 無垢部分は発熱電子部品との熱結合面積よりも、残る表面積の方が大きい請求項4〜8のいずれか1項に記載の電磁誘導加熱調理器の冷却構造。
【請求項10】 ヒートシンクは、加熱調理工程の加熱操作が行われている間、温度平衡ないしは昇温が生じない熱容量ないしは体積を有している請求項4〜9のいずれか1項に記載の電磁誘導加熱調理器の冷却構造。
【請求項11】 ヒートシンクはアルミニウム材料よりなる請求項4〜10のいずれか1項に記載の電磁誘導加熱調理器の冷却構造。
【請求項12】 発熱電子部品を持った回路基板と放熱板とは、ヒートシンクを介した熱結合部にて双方がほぼL型をなして連結されている請求項4〜11のいずれか1項に記載の電磁誘導加熱調理器の冷却構造。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【公開番号】特開2003−45630(P2003−45630A)
【公開日】平成15年2月14日(2003.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−236151(P2001−236151)
【出願日】平成13年8月3日(2001.8.3)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】