説明

電話装置及び電話システム

【課題】録音された音声を通知先で確認するための通信時間を短縮できるとともに、通話料金を節約することのできる電話装置及び電話システムを提供する。
【解決手段】通話録音機能を有し、通知先に録音された音声を転送可能な電話装置1において、着信があったとき、少なくとも発信元の音声を録音する録音手段11aと、着信の通知先を登録する通知先登録手段12と、着信があったことを前記通知先に通知する着信通知手段15と、前記通知先からの転送指示に基づき、録音された前記音声を音声ファイルとして前記通知先に転送するファイル転送手段15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話装置及び電話システムに関するものであり、特に、通話録音機能を有し、所定の通知先に録音された音声を転送可能な電話装置及び電話システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電話装置には、例えば、利用者が不在で着信に応答できない場合のため、発信元の電話番号や着信日時とともに音声を録音し、後で利用者が録音された音声を再生してメッセージを確認できるようにした録音機能(留守電機能)を備えたものがある。
【0003】
また、下記の特許文献1(特開2011−24087号公報)には、通知先の電話番号を予め登録しておき、利用者が不在である電話装置に着信があったとき、登録されている通知先に着信を通知するように構成した電話装置が開示されている。
【0004】
これらの技術を利用し、例えば、留守電機能を有する自宅の電話装置に利用者の携帯電話番号を登録しておき、自宅の電話装置に着信があったとき、登録されている携帯電話装置に着信通知を行い、着信通知を受けた利用者が、携帯電話装置から自宅の電話装置に発呼し、録音されたメッセージを再生して聴取することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−24087号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記技術では、録音されたメッセージを再生する際、自宅の電話装置と電話回線を接続し、通話状態を確立してメッセージを再生することになるため、メッセージの再生中は、電話回線が占有され、自宅の電話装置及び携帯電話装置の双方が話中の状態になってしまう。従って、この間、着信及び発信ができないだけでなく、再生のための通話料金が発生する問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解消することを課題とするものであり、録音された音声を通知先で確認するための通信時間を短縮できるとともに、通話料金を節約することのできる電話装置及び電話システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、通話録音機能を有し、通知先に録音された音声を転送可能な電話装置において、着信があったとき、少なくとも発信元の音声を録音する録音手段と、着信の通知先を登録する通知先登録手段と、着信があったことを前記通知先に通知する着信通知手段と、前記通知先からの転送指示に基づき、録音された前記音声を音声ファイルとして前記通知先に転送するファイル転送手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる電話装置において、前記通知先からの再生指示に基づき、録音された前記音声を再生する音声再生手段を備えることを特徴とする。
【0010】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかる電話装置において、着信があったとき、発信元の動画像を録画する録画手段を備え、前記ファイル転送手段は、前記動画像を動画像ファイルとして前記通知先に転送することを特徴とする。
【0011】
本願の請求項4にかかる発明は、通話録音機能を有し、通知先に録音された音声を転送可能な電話システムにおいて、着信があったとき、少なくとも発信元の音声を録音する録音手段と、着信の通知先を登録する通知先登録手段と、着信があったことを前記通知先に通知する着信通知手段と、前記通知先からの転送指示に基づき、録音された前記音声を音声ファイルとして前記通知先に転送するファイル転送手段とを有する第1電話装置と、前記第1電話装置から着信通知を受信したとき、前記第1電話装置に前記音声ファイルの転送指示を送信する転送指示送信手段と、前記音声ファイルを受信するファイル受信手段とを有する第2電話装置と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項4にかかる電話システムにおいて、前記第1電話装置は、着信があったとき、発信元の動画像を録画する録画手段を備え、前記ファイル転送手段は、前記動画像を動画像ファイルとして前記通知先に転送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1にかかる発明においては、通話録音機能を有し、通知先に録音された音声を転送可能な電話装置において、着信があったとき、少なくとも発信元の音声を録音する録音手段と、着信の通知先を登録する通知先登録手段と、着信があったことを前記通知先に通知する着信通知手段と、前記通知先からの転送指示に基づき、録音された前記音声を音声ファイルとして前記通知先に転送するファイル転送手段と、を備える。
【0014】
また、請求項4にかかる発明においては、通話録音機能を有し、通知先に録音された音声を転送可能な電話システムにおいて、着信があったとき、少なくとも発信元の音声を録音する録音手段と、着信の通知先を登録する通知先登録手段と、着信があったことを前記通知先に通知する着信通知手段と、前記通知先からの転送指示に基づき、録音された前記音声を音声ファイルとして前記通知先に転送するファイル転送手段とを有する第1電話装置と、前記第1電話装置から着信通知を受信したとき、前記第1電話装置に前記音声ファイルの転送指示を送信する転送指示送信手段と、前記音声ファイルを受信するファイル受信手段とを有する第2電話装置と、を備える。
【0015】
このように構成することにより、録音された音声は、音声ファイルとして通知先に転送可能であり、通知先の電話装置が音声ファイルを受信する機能を有している場合、通話録音機能を有する電話装置と通知先の電話装置との間の電話回線が音声の再生のために長時間占有されることがない。従って、音声を通知先で確認するための通信時間を短縮できるとともに、通話料金を節約することができる。
【0016】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる電話装置において、前記通知先からの再生指示に基づき、録音された前記音声を再生する音声再生手段を備えることにより、通知先の電話装置が音声ファイルの受信機能を有していない場合であっても、着信した電話装置側で音声を再生し、その内容を通知先で聴取することができる。
【0017】
請求項3又は5にかかる発明においては、請求項1にかかる電話装置又は請求項4にかかる電話システムにおいて、着信があったとき、発信元の動画像を録画する録画手段を備え、前記ファイル転送手段は、前記動画像を動画像ファイルとして前記通知先に転送することにより、音声及び動画像を通知先で確認するための通信時間を短縮できるとともに、通話料金を節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例における電話システムの構成ブロック図である。
【図2】図1に示すIP電話装置及び電話装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例にかかる電話システムの処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための電話装置及び電話システムを例示するものであって、本発明をこの電話装置及び電話システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の電話装置及び電話システムにも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0020】
図1は、本実施例における電話システムの構成ブロック図である。この電話システムは、少なくとも、IP電話装置1(第1電話装置)、有線LAN41、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、ゲートウェイ53、IP電話網61、インターネット62、PSTN網63(Public Switched Telephone Network:公衆電話交換網)、及び、加入者電話装置71(第2電話装置)を備える。
【0021】
IP電話装置1は、通話録音機能及び動画像録画機能を有し、IP電話網61に接続可能な電話装置である。IP電話装置1は、有線LAN41に接続されることにより、音声通信及び動画像通信が可能である。なお、IP電話装置1の内部構造の詳細については後述する。
【0022】
有線LAN41は、IP電話装置1、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、及び、ゲートウェイ53が有線接続されたローカルネットワークである。これらの各装置は、有線LAN41に接続されることにより、相互に通信が可能となっている。なお、有線LAN41を構成する物理的な手段としては、例えばツイストペアケーブルを用いた10BASE−T(IEEE802.3iとして標準化)や100BASE−TX(IEEE802.3uとして標準化)等があげられる。
【0023】
IP電話ルータ51及びブロードバンドルータ52は、複数のIPネットワークを相互接続するためのネットワーク中継装置である。具体的には、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルのネットワーク層(第3層)やトランスポート層(第4層)の一部のプロトコルを解析して転送を行う。
【0024】
本実施例では、IP電話ルータ51は、有線LAN41とIP電話網61との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。また、ブロードバンドルータ52は、有線LAN41とインターネット62との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を有する。
【0025】
ゲートウェイ53は、プロトコル体系が異なるネットワーク間を相互接続するためのプロトコル変換器である。ゲートウェイ53は、例えば、有線LAN41とPSTN網63とを接続し、SIP等のシグナリングプロトコルを用いてシグナル変換を行うことにより、両ネットワーク間での通信を可能とする。
【0026】
IP電話網61は、電話網の一部又は全てにVoIP(Voice over Internet Protocol)技術を利用した通信網であり、用いる通信回線としてはFTTH(Fiber To The Home)やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)等の、いわゆるブロードバンド回
線が利用される。
【0027】
なおVoIPとは、音声を各種符号化方式で圧縮してパケットに変換し、IPネットワークでリアルタイム伝送する技術である。これによりIP電話網61は音声通話サービスの他、画像の送受信を行うテレビ電話サービス等も提供可能である。
【0028】
インターネット62は、通信プロトコルによるネットワークを相互接続して構築された広域通信網である。大小様々なコンピュータネットワークを相互に連結させて、国際的な通信ネットワークが構築されている。通信プロトコルとしては、主に、TCP/IPが標準的なプロトコルとして採用されている。
【0029】
PSTN網63は、一般の加入者電話回線ネットワークである。末端に加入者電話装置71を接続し、回線交換方式で通信相手に接続して、音声通話及び動画像の送受信を行うのに用いられる。
【0030】
加入者電話装置71は、電話加入者がPSTN網63を用いて、他の電話装置やテレビ電話装置と音声通話及び動画像の送受信を行うことができるとともに、音声ファイルや動画像ファイルの送受信を行うことができる。加入者電話装置71としては、一般のデジタル電話装置、デジタルコードレス電話装置、携帯電話装置等とすることができる。加入者電話装置71は、IP電話装置1に対して、音声ファイル又は動画像ファイルの転送指示を送信することのできる転送指示送信手段としての機能と、IP電話装置1から音声ファイル又は動画像ファイルを受信することのできるファイル受信手段としての機能とを備える。
【0031】
図2は、図1に示すIP電話装置1の構成を示すブロック図である。IP電話装置1は、少なくとも、制御部11、メモリ12、表示部13、操作部14、通信制御部15、カメラ16、音声信号処理部17、スピーカ18、マイク19を備える。カメラ16は、動画像を撮像するものであっても、所定の時間間隔で静止画像を撮像するものであってもよい。
【0032】
制御部11は、IP電話装置1の各部を制御することにより通信制御処理を統括制御するための中央処理装置である。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、録音・録画制御部11a、受付部11b、送信制御部11c及び画像制御部11dを備えている。
【0033】
録音・録画制御部11aは、操作部14によって通話録音機能(留守電機能)が設定されているとき、発信元の音声を録音する制御を行うとともに(録音手段)、必要に応じて、発信元から送信された動画像の録画制御を行う(録画手段)。録音された音声データは、音声ファイルとしてメモリ12に圧縮して記憶され、また、録画された動画像データは、動画像ファイルとしてメモリ12に圧縮して記憶される。
【0034】
受付部11bは、利用者が送信したい文字情報の指定を行うための操作(以下、「情報送信操作」という)を操作部14より受け付ける。具体的には、例えば、受付部11bは、メモリ12に記録されている電話帳データを表示部13に表示することにより、情報送信操作の待ち受け状態に移行する。この状態で、表示された電話帳データの中に含まれる情報、例えば、メールアドレスやURL等が選択されると、選択内容を送信制御部11cに通知する。
【0035】
送信制御部11cは、受付部11bから供給されたメールアドレスやURL等に従い、通信制御部15を制御して対応する通信先の電話装置との回線を接続し、音声データ及び
画像データ、又は、音声ファイル及び動画像ファイルの送信処理を行う。
【0036】
画像制御部11dは、表示部13を制御し、各種情報の表示制御や、接続先の電話装置から受信した動画像の表示制御を行う。
【0037】
メモリ12は、IP電話装置1が保持する各種データを記録する媒体であり、例えば、書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成される。
【0038】
メモリ12は、通話相手に関する情報を記録した電話帳データや、制御部11によって各種通信制御処理が行われる際の処理データ、利用者から受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を有する。また、メモリ12は、通知先登録手段として機能し、着信があった旨を通知する通知先の電話番号やアドレスを記憶する。さらに、メモリ12は、発信元から送信された音声データ及び動画像データを音声ファイル及び動画像ファイルとして記憶する。
【0039】
表示部13は、IP電話装置1が保持する各種情報、例えば、他のIP電話装置においてカメラ16で撮像された画像を受信し利用者に対して表示する。なお、通話相手方の電話装置は、IP電話装置に限られるものでなく、一般の固定電話装置やコードレス電話装置であってもよい。表示部13としては、例えば、液晶パネル等の小型で消費電力の少ない表示装置を用いることが好ましい。
【0040】
操作部14は、利用者がIP電話装置1を用いて通信を行うための各種操作、例えば、通話を行う相手の電話番号の入力等や、通話録音機能の設定を行うためのものである。操作部14は、通常、数字ボタンやリダイヤルボタン等の複数の操作ボタンから構成されている。
【0041】
操作部14は、留守電機能を含む通話録音機能や動画像録画機能の選択ボタンを有しており、通話録音機能又は動画像録画機能が選択されていると、着信があった際に、発信元の電話番号、着信日時、音声、動画像等をデータとしてメモリ12に記憶させることができる。なお、表示部13がタッチパネル機能を有している場合には、表示部13を操作部14として機能させ、これらの機能の選択を表示部13に表示したソフトキーに割り当てることもできる。
【0042】
通信制御部15は、IP電話装置1を有線LAN41に接続するための通信インタフェースである。通信制御部15は、有線LAN41に接続された呼制御サーバ(不図示)と通信を行うことにより、IP電話システムにおける着信処理や発信処理等を実施することが可能である。通信制御部15は、着信があったときに、登録されている通知先に着信通知を行う着信通知手段として機能する。また、通信制御部15は、登録されている通知先からの転送指示に基づき、録音した音声にかかる音声ファイルや、録画した動画像にかかる動画像ファイルを通知先に転送するファイル転送手段として機能する。
【0043】
音声信号処理部17は、通信制御部15から入力された音声データの復号処理を行い、音声信号としてスピーカ18に供給する。また、音声信号処理部17は、マイク19より入力された音声信号に所定の符号化処理を施し、生成した音声データを通信制御部15に供給する。これにより、音声データは、有線LAN41から、IP電話網61又はPSTN網63を通じて接続される他の電話装置へ送信される。
【0044】
次に、図3に示す処理フローに基づき、上述した電話システムの動作について説明する。
【0045】
図3において、Aは通話録音機能及び動画像録画機能を有するIP電話装置1、BはIP電話装置1から音声データ及び動画像データを音声ファイル及び動画像ファイルとして受信可能な通知先の加入者電話装置71、Cは用件メッセージをIP電話装置1に伝える発信元の電話装置、DはIP電話装置1に録音された用件メッセージを音声としてのみ再生可能な通知先の電話装置である。以下、電話装置A〜Dとして説明する。
【0046】
電話装置A(IP電話装置1)は、利用者が操作部14を操作することで、通話の音声を録音する通話録音機能(留守電機能)を起動させ、また、動画像がある場合には、必要に応じてその動画像を録画する動画像録画機能を起動させておく。
【0047】
電話装置Aは、IP電話網61又はPSTN網63を介して、通信制御部15が電話装置Cからの着信信号を受信すると(C1)、発信元である電話装置Cに対して、留守応答の信号を送信するとともに(C2)、応答メッセージを再生する(C3)。そこで、電話装置Cの発信者は、応答メッセージに従い、用件メッセージを電話装置Aに伝える。電話装置Aの録音・録画制御部11aは、発信者からの用件メッセージを音声データとしてメモリ12に記憶させた後(C4)、通信を切断する(C5)。なお、電話装置Cから音声とともに動画像が送信された場合、録音・録画制御部11aは、その動画像データをメモリ12に記憶させることもできる。
【0048】
次に、電話装置Aは、メモリ12に着信の通知先が登録されている場合、外部の電話装置から着信があった旨をその通知先に通知する。
【0049】
先ず、登録されている通知先が、電話装置Aに録音された用件メッセージを音声としてのみ再生可能な電話装置Dである場合について説明する。
【0050】
電話装置Dは、電話装置Aから着信通知を受信すると(D1)、電話装置Aに対して着信通知を受信したことを示す応答信号を送信する(D2)。電話装置Aは、応答信号を電話装置Dから受信すると、用件メッセージを再生するか否かを問い合わせる転送ガイダンスを再生する(D3)。転送ガイダンスに従い、通知先である電話装置Dの利用者が再生指示の信号を電話装置Aに送信すると(D4)、電話装置Aは、メモリ12に録音されている音声データを読み出し、通常の音声として、電話装置Cの発信者からの用件メッセージを再生する(D5)。電話装置Dの利用者は、用件メッセージを聴取した後、通信を切断する(D6)。
【0051】
この場合、電話装置Aにより用件メッセージが再生されている間、電話装置Aと電話装置Dとの間の電話回線が占有されるため、他の利用者との着信及び発信を行うことはできない。なお、電話装置Cから動画像が送信され、メモリ12に録画されている場合においても、同様にして再生することができるが、動画像を再生する間、電話回線が占有される。
【0052】
次に、電話装置Aに登録されている通知先が、音声データ及び動画像データを音声ファイル及び動画像ファイルとして受信可能な電話装置Bである場合について説明する。
【0053】
電話装置Bは、電話装置Aから着信通知を受信すると(B1)、電話装置Aに対して着信通知を受信したことを示す応答信号を送信する(B2)。電話装置Aは、応答信号を電話装置Bから受信すると、用件メッセージを再生するか否かを問い合わせる転送ガイダンスを再生する(B3)。転送ガイダンスに従い、通知先である電話装置Bの利用者が転送指示の信号を電話装置Aに送信すると(B4)、電話装置Aは、メモリ12に録音されている音声データにかかる音声ファイルを読み出し、電話装置Cの発信者からの用件メッセージを音声ファイルとして電話装置Bに転送する(B5)。電話装置Bの利用者は、音声
ファイルを受信した後、通信を切断する(B6)。なお、電話装置Cから電話装置Aに動画像が送信されている場合も同様に、動画像データにかかる動画像ファイルをメモリ12から読み出し、その動画像ファイルを電話装置Bに転送した後、通信を切断する。
【0054】
この場合、電話装置Aと電話装置Bとの間の電話回線は、電話装置Aと電話装置Dとの間で用件メッセージを音声で再生する時間(D5)に比較すると、圧縮された音声ファイル又は動画像ファイルを転送している極めて短い時間(B5)だけ占有されるのみであるため、通話料金を大幅に節約することができる。また、これらのファイルの転送処理が終了した後、電話回線が直ちに開放されるため、電話装置A及びBを速やかに着信及び発信可能な状態にすることができる。その一方で、電話装置Bの利用者は、転送された音声ファイル又は動画像ファイルをメモリ(図示せず)に記憶させておき、任意の時間に再生して確認することができる。
【0055】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0056】
例えば、上記の説明では、通話録音機能が起動されている場合、発信元から着信があったときに、留守応答を送信するとともに、発信元に対して応答メッセージを再生するものとして説明したが、応答メッセージを再生しないで、利用者が発信元と通常の通話を行うとともに、その通話を録音するようにしてもよい。このようにして録音された通話内容を、登録されている通知先の家族等の関係者が確認することにより、例えば、高齢者が振り込め詐欺等に遭遇する事態に対して、迅速に対処することが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1・・・IP電話装置
11・・・制御部
11a・・・録音・録画制御部
11b・・・受付部
11c・・・送信制御部
11d・・・画像制御部
12・・・メモリ
13・・・表示部
14・・・操作部
15・・・通信制御部
16・・・カメラ
17・・・音声信号処理部
18・・・スピーカ
19・・・マイク
41・・・有線LAN
51・・・IP電話ルータ
52・・・ブロードバンドルータ
63・・・PSTN網
71・・・加入者電話装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話録音機能を有し、通知先に録音された音声を転送可能な電話装置において、
着信があったとき、少なくとも発信元の音声を録音する録音手段と、
着信の通知先を登録する通知先登録手段と、
着信があったことを前記通知先に通知する着信通知手段と、
前記通知先からの転送指示に基づき、録音された前記音声を音声ファイルとして前記通知先に転送するファイル転送手段と、
を備えることを特徴とする電話装置。
【請求項2】
前記通知先からの再生指示に基づき、録音された前記音声を再生する音声再生手段を備えることを特徴とする請求項1記載の電話装置。
【請求項3】
着信があったとき、発信元の動画像を録画する録画手段を備え、
前記ファイル転送手段は、前記動画像を動画像ファイルとして前記通知先に転送することを特徴とする請求項1記載の電話装置。
【請求項4】
通話録音機能を有し、通知先に録音された音声を転送可能な電話システムにおいて、
着信があったとき、少なくとも発信元の音声を録音する録音手段と、着信の通知先を登録する通知先登録手段と、着信があったことを前記通知先に通知する着信通知手段と、前記通知先からの転送指示に基づき、録音された前記音声を音声ファイルとして前記通知先に転送するファイル転送手段とを有する第1電話装置と、
前記第1電話装置から着信通知を受信したとき、前記第1電話装置に前記音声ファイルの転送指示を送信する転送指示送信手段と、前記音声ファイルを受信するファイル受信手段とを有する第2電話装置と、
を備えることを特徴とする電話システム。
【請求項5】
前記第1電話装置は、着信があったとき、発信元の動画像を録画する録画手段を備え、
前記ファイル転送手段は、前記動画像を動画像ファイルとして前記通知先に転送することを特徴とする請求項4記載の電話システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−110675(P2013−110675A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256083(P2011−256083)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】