説明

静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体、静電容量方式タッチパネルおよび画像表示装置

【課題】透明電極のパターンが目立たず、透明性の高い静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体、これを用いた静電容量方式タッチパネルおよび画像表示装置を提供する。
【解決手段】入力面Sに接近または接触した導電体(指、金属等)の位置を静電容量の変化として検出する静電容量方式タッチパネルに用いられる導電性透明積層体10であって、入力面Sを有する透明部材20と、透明部材20を挟んで入力面Sの反対側に配置され、かつパターニングされた第1の透明電極44と、第1の透明電極44から透明絶縁層30を介して離間して配置され、かつパターニングされた第2の透明電極46とを有し、第2の透明電極46が、表面に凸部間の平均間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有し、第2の透明電極46に隣接する透明絶縁層30が、第2の透明電極46に接する側の表面に凸32部間の平均間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体、静電容量方式タッチパネルおよび表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、液晶パネル等の画像表示装置本体の前面に配置され、画像表示装置本体に表示されたボタン等に相当する領域を指等で押さえることで、タッチパネルおよび画像表示装置本体が接続された各種機器(パーソナルコンピュータ、携帯電話、ATM等)を操作する入力装置である。
【0003】
タッチパネルとしては、入力面を有する透明部材(カバーガラス等)と、透明部材を挟んで入力面の反対側に配置され、かつパターニングされた第1の透明電極と、第1の透明電極から透明絶縁層を介して離間して配置され、かつパターニングされた第2の透明電極と、第1の透明電極および第2の透明電極に電気的に接続した検出部とを備え、最表面である入力面に接近または接触した導電体(指、金属等)の位置を、導電体と、第1の透明電極および第2の透明電極との間の静電容量の変化として、第1の透明電極および第2の透明電極を介して検出部にて検出する静電容量方式タッチパネルが知られている。
【0004】
ところで、静電容量方式タッチパネルにおいては、透明電極の屈折率と、他の層(透明部材、透明絶縁層等)や空気の屈折率との差が大きいため、透明電極の表面(すなわち透明電極層と他の層や空気との界面)にて光の反射が大きくなる。そのため、パターニングされた透明電極が存在する領域と、透明電極が存在しない領域との間で、光の透過率の差が大きくなり、透明電極のパターンが目立つという問題がある。
【0005】
透明電極のパターンが目立たない静電容量方式タッチパネルとしては、凹凸を表面に有する透明基材の表面に透明電極を形成することによって、透明電極の表面に、透明基材の凹凸が反映された凹凸を形成したものが提案されている(特許文献1)。
【0006】
この静電容量方式タッチパネルにおいては、凹凸の凸部間の平均間隔が10μm程度であるため、光の散乱によって透明電極のパターンが目立たなくなっている。しかし、凹凸による光の散乱によって、静電容量方式タッチパネルの透明性が低下し、画像表示装置本体に表示された画像等の視認性が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−053894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、透明電極のパターンが目立たず、かつ透明性の高い静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体、これを用いた静電容量方式タッチパネル、およびこれを備えた画像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体は、入力面に接近または接触した導電体の位置を静電容量の変化として検出する静電容量方式タッチパネルに用いられる導電性透明積層体であって、前記入力面を有する透明部材と、前記透明部材を挟んで前記入力面の反対側に配置され、かつパターニングされた第1の透明電極と、前記第1の透明電極から透明絶縁層を介して離間して配置され、かつパターニングされた第2の透明電極とを有し、前記第1の透明電極および前記第2の透明電極の少なくとも一方の透明電極が、少なくとも一方の表面に凸部間の平均間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有する凹凸透明電極であり、前記凹凸透明電極に隣接する層が、前記凹凸透明電極に接する側の表面のうち、少なくとも前記凹凸透明電極が形成されていない部分に、凸部間の平均間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体においては、前記透明絶縁層が、透明基材と、前記透明基材の表面に形成された前記微細凹凸構造を表面に有する凹凸樹脂層とを有し、前記凹凸透明電極が、前記凹凸樹脂層の前記微細凹凸構造側の表面に形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明の静電容量方式タッチパネルは、本発明の静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体と、前記静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体の透明電極に電気的に接続し、前記入力面に前記導電体が接近または接触した際の静電容量の変化を検出する検出部とを備えたものであることを特徴とする。
本発明の画像表示装置は、本発明の静電容量方式タッチパネルと、画像表示装置本体と を備えたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体は、透明電極のパターンが目立たず、かつ透明性が高い。
本発明の静電容量方式タッチパネルは、透明電極のパターンが目立たず、かつ透明性が高い。
本発明の画像表示装置は、静電容量方式タッチパネルにおける透明電極のパターンが目立たず、かつ静電容量方式タッチパネルによる画像の視認性の低下が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体に用いる電極基板の一例を示す拡大断面図である。
【図3】電極基板用の透明絶縁層の製造装置の一例を示す構成図である。
【図4】陽極酸化アルミナを表面に有するモールドの製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明の静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体に用いる電極基板の他の例を示す断面図である。
【図6】本発明の静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体に用いる電極基板の他の例を示す断面図である。
【図7】本発明の静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体に用いる電極基板の他の例を示す断面図である。
【図8】本発明の静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体に用いる電極基板の他の例を示す断面図である。
【図9】本発明の静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体に用いる電極基板の他の例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびまたはメタクリレートを意味する。
本明細書において、「活性エネルギー線」は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。
【0015】
<導電性透明積層体>
本発明の静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体(以下、単に導電性透明積層体と記す。)は、入力面に接近または接触した導電体の位置を静電容量の変化として検出する静電容量方式タッチパネルに用いられる導電性透明積層体であって、最表面に入力面を有し、かつ入力面から離間して設けられた透明電極を有するものである。
【0016】
導電性透明積層体としては、具体的には、入力面を有する透明部材(カバーガラス等)と、透明部材を挟んで入力面の反対側に配置され、透明絶縁層(ガラス基板、樹脂フィルム基板、絶縁性接着剤、樹脂塗膜等)を介して離間した第1の透明電極および第2の透明電極とを備えたものが挙げられる。
【0017】
図1は、本発明の導電性透明積層体の一例を示す断面図である。導電性透明積層体10は、入力面Sを有する透明部材20と、透明部材20を挟んで入力面Sの反対側に、接着剤層12を介して貼り合わされた電極基板40とを備えたものである。
【0018】
(接着剤層)
接着剤層12の接着剤としては、光学用途に用いられる公知の透明接着剤、透明粘着剤等が挙げられる。
【0019】
(透明部材)
透明部材20は、入力面Sとなる表面を有する、透明な板、フィルム、シート等からなる。透明部材20の材料としては、ガラス、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、ポリエステル、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、脂環式ポリオレフィン等が挙げられる。
【0020】
(電極基板)
電極基板40は、一方の表面が平滑面であり、他方の表面が微細凹凸構造を有する透明絶縁層30と、透明絶縁層30の平滑面に形成された、第1の方向に延びる複数の電極パターンからなるストライプ状の第1の透明電極44と、透明絶縁層30の微細凹凸構造側の表面に形成された、第1の方向に交差する第2の方向に延びる複数の電極パターンからなるストライプ状の第2の透明電極46(凹凸透明電極)とを備えたものである。
【0021】
(透明絶縁層)
透明絶縁層30は、図2に示すように、透明基材34と、透明基材34の表面に形成された、複数の凸部32からなる微細凹凸構造を第2の透明電極46に接する側の表面に有する凹凸樹脂層36とを有する。
【0022】
(透明基材)
透明基材34は、透明な板、フィルム、シート等からなる。透明基材34の材料としては、ガラス、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、ポリエステル、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、脂環式ポリオレフィン等が挙げられる。
【0023】
(凹凸樹脂層)
凹凸樹脂層36は、後述の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる透明膜であり、複数の凸部32からなる微細凹凸構造を、第2の透明電極46に接する側の表面に有する。
【0024】
略円錐形状、角錐形状等の凸部32が可視光線の波長以下(400nm以下)の平均間隔で複数並んだ微細凹凸構造(いわゆるモスアイ構造)は、空気の屈折率から材料の屈折率に連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となることが知られている。
【0025】
凹凸樹脂層36の微細凹凸構造は、後述する陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して形成されたものであることが好ましい。陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して形成された微細凹凸構造は、容易に高さの高い凸部32を形成することができることから良好な低反射性を発現できる。また、低コストで形成でき、かつ大面積化が可能である。
【0026】
凸部32の高さHcは、80〜500nmが好ましく、120〜400nmがより好ましく、150〜300nmが特に好ましい。凸部32の高さHcが80nm以上であれば、反射率が十分に低くなり、かつ反射率の波長依存性が少ない。凸部32の高さHcが500nm以下であれば、凸部32の耐擦傷性が良好となる。
凸部32の高さHcは、電子顕微鏡観察によって、凸部32の最頂部と、凸部32間に存在する凹部の最底部との間の距離を50点測定し、これらの値を平均したものである。
【0027】
凸部32間の平均間隔Pcは、透明性を落とさずに可視光線の反射率が十分に低くなる点から、可視光線の波長以下、すなわち400nm以下である。凸部32間の平均間隔Pcは100〜300nm程度となることから、300nm以下が好ましく、150nm以下が特に好ましい。
凸部32間の平均間隔Pcは、凸部32の形成のしやすさの点から、20nm以上が好ましい。
凸部32間の平均間隔Pcは、電子顕微鏡観察によって、隣接する凸部32間の間隔(凸部32の中心から隣接する凸部32の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
【0028】
凸部32のアスペクト比(凸部32の高さHc/凸部32間の平均間隔Pc)は、0.8〜5が好ましく、1.2〜4がより好ましく、1.5〜3が特に好ましい。凸部32のアスペクト比が0.8以上であれば、反射率が十分に低くなる。凸部32のアスペクト比が5以下であれば、凸部32の耐擦傷性が良好となる。
【0029】
凸部32の形状は、高さ方向と直交する方向の凸部断面積が最表面から深さ方向に連続的または断続的に増加する形状、すなわち、凸部32の高さ方向の断面形状が、三角形、台形、釣鐘型等の形状が好ましい。
【0030】
(第1の透明電極)
第1の透明電極44は、光を透過でき、かつ導電性を有する薄膜である。
第1の透明電極44としては、導電性金属酸化物薄膜等が挙げられる。導電性金属酸化物としては、スズがドープされた酸化インジウム(以下、ITOと記す。)等が挙げられる。
【0031】
(第2の透明電極)
第2の透明電極46は、光を透過でき、かつ導電性を有する薄膜である。
第2の透明電極46としては、導電性金属酸化物薄膜等が挙げられる。導電性金属酸化物としては、ITO等が挙げられる。
【0032】
第2の透明電極46(凹凸透明電極)は、凹凸樹脂層36の微細凹凸構造が反映された微細凹凸構造を、凹凸樹脂層36に接する側の表面および空気に接する側の表面に有する。
【0033】
凹凸樹脂層36の微細凹凸構造が反映された、第2の透明電極46における微細凹凸構造(いわゆるモスアイ構造)もまた、空気の屈折率から材料の屈折率に連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となる。
【0034】
第2の透明電極46の凸部間の平均間隔Peは、透明性を落とさずに可視光線の反射率が十分に低くなる点から、可視光線の波長以下、すなわち400nm以下である。第2の透明電極46の凸部間の平均間隔Peも100〜300nm程度となることから、300nm以下がより好ましく、150nm以下が特に好ましい。
第2の透明電極46の凸部間の平均間隔Peは、第2の透明電極46の形成のしやすさの点から、20nm以上が好ましい。
第2の透明電極46の凸部間の平均間隔Peは、電子顕微鏡観察によって、隣接する凸部間の間隔(凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
【0035】
(導電性透明積層体の製造方法)
導電性透明積層体10は、例えば、透明部材20の入力面Sとは反対側の表面に、接着剤層12を介して電極基板40を、第1の透明電極44が透明部材20の側となるように貼り合わせることによって製造できる。
【0036】
(電極基板の製造方法)
電極基板40は、例えば、ITO等の透明導電材料を透明基材34の表面に蒸着させて透明導電膜を形成した後、所望の電極パターンにパターニングして第1の透明電極44および第2の透明電極46とすることによって製造できる。
【0037】
(透明絶縁層の製造方法)
透明絶縁層30は、透明基材34がフィルムの場合、例えば、図3に示す製造装置を用いて、下記のようにして製造される。
複数の細孔(図示略)を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたロール状のモールド50の表面と、モールド50の回転に同期してモールド50の表面に沿って移動する帯状の透明基材34の表面との間に、タンク52から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物54を供給する。
また、透明基材34がガラスの場合、例えば、図3に示す製造装置を用いて上記のようにして製造されたフィルム(透明絶縁層)を透明基材34に貼り合わせて製造することもできる。
【0038】
モールド50と、空気圧シリンダ56によってニップ圧が調整されたニップロール58との間で、透明基材34および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物54をニップし、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物54を、透明基材34とモールド50との間に均一に行き渡らせると同時に、モールド50の細孔内に充填する。
【0039】
モールド50と透明基材34との間に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物54が挟まれた状態で、モールド50の下方に設置された活性エネルギー線照射装置60を用い、透明基材34側から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物54に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物54を硬化させることによって、モールド50の表面の複数の細孔が転写された、複数の凸部(図示略)からなる微細凹凸構造を表面に有する凹凸樹脂層36を形成する。
剥離ロール62により、凹凸樹脂層36が表面に形成された透明基材34を剥離することによって、透明絶縁層30を得る。
【0040】
活性エネルギー線照射装置60としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が好ましい。積算光量は、100〜10000mJ/cmが好ましい。
【0041】
(モールド)
モールド50は、陽極酸化アルミナを表面に有するモールドである。陽極酸化アルミナを表面に有するモールドは、大面積化が可能であり、作製が簡便である。
【0042】
陽極酸化アルミナは、アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト)であり、複数の細孔を表面に有する。
【0043】
陽極酸化アルミナを表面に有するモールドは、例えば、下記工程(a)〜(f)を経て製造できる。細孔の配列の規則性はやや低下するが、工程(a)、(b)を行わず、工程(c)から行ってもよい。
(a)アルミニウム基材を電解液中、陽極酸化して酸化皮膜を形成する工程。
(b)酸化皮膜を除去し、陽極酸化の細孔発生点を形成する工程。
(c)アルミニウム基材を電解液中、再度陽極酸化し、細孔発生点に細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
(d)細孔の径を拡大させる工程。
(e)工程(d)の後、電解液中、再度陽極酸化する工程。
(f)前記工程(d)と工程(e)を繰り返し行う工程。
【0044】
工程(a):
図4に示すように、アルミニウム基材64を陽極酸化すると、細孔66を有する酸化皮膜68が形成される。
アルミニウムの純度は、99%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましく、99.8%以上が特に好ましい。アルミニウムの純度が低いと、陽極酸化した時に、不純物の偏析により可視光線を散乱する大きさの凹凸構造が形成されたり、陽極酸化で得られる細孔の規則性が低下したりすることがある。
電解液としては、硫酸、シュウ酸水溶液、リン酸水溶液等が挙げられる。
【0045】
工程(b):
図4に示すように、酸化皮膜68を一旦除去し、これを陽極酸化の細孔発生点70にすることで細孔の規則性を向上することができる。
【0046】
酸化皮膜を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、酸化皮膜を選択的に溶解する溶液に溶解させて除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。
【0047】
工程(c):
図4に示すように、酸化皮膜を除去したアルミニウム基材64を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔66を有する酸化皮膜68が形成される。
電解液としては、工程(a)と同様のものが挙げられる。
【0048】
工程(d):
図4に示すように、細孔66の径を拡大させる処理(以下、細孔径拡大処理と記す。)を行う。細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。
【0049】
工程(e):
図4に示すように、再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔66の底部から下に延びる、直径の小さい円柱状の細孔66がさらに形成される。
電解液としては、工程(a)と同様のものが挙げられる。
【0050】
工程(f):
図4に示すように、工程(d)の細孔径拡大処理と、工程(e)の陽極酸化を繰り返すと、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔66を有する陽極酸化アルミナ(アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト))が形成されたモールド50が得られる。最後は工程(d)で終わることが好ましい。
繰り返し回数は、合計で3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。繰り返し回数が2回以下では、非連続的に細孔の直径が減少するため、このような細孔を有する陽極酸化アルミナを用いて形成された凹凸樹脂層36の反射率低減効果は不十分である。
【0051】
陽極酸化アルミナの表面は、凹凸樹脂層36との分離が容易になるように、離型剤で処理されていてもよい。処理方法としては、例えば、シリコーン樹脂またはフッ素含有ポリマーをコーティングする方法、フッ素含有化合物を蒸着する方法、フッ素含有シラン化合物をコーティングする方法等が挙げられる。
【0052】
細孔66の形状としては、略円錐形状、角錐形状、円柱形状等が挙げられ、円錐形状、角錐形状等のように、深さ方向と直交する方向の細孔断面積が最表面から深さ方向に連続的に減少する形状が好ましい。
【0053】
細孔66の深さは、80〜500nmが好ましく、120〜400nmがより好ましく、150〜300nmが特に好ましい。
細孔66間の平均間隔は、可視光線の波長以下、すなわち400nm以下であり、200nm以下が好ましく、150nm以下が特に好ましい。細孔66間の平均間隔は、20nm以上が好ましい。
細孔66のアスペクト比(細孔の深さ/細孔間の平均間隔)は、0.8〜5.0が好ましく、1.2〜4.0がより好ましく、1.5〜3.0が特に好ましい。
図4に示すような細孔66を転写して形成された凹凸樹脂層36の表面は、いわゆるモスアイ構造となる。
【0054】
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、重合性化合物および重合開始剤を含む。
重合性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、非反応性のポリマー、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物を含んでいてもよい。
【0055】
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、単官能モノマー、多官能モノマーが挙げられる。
単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0056】
多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等の二官能性モノマー;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の三官能モノマー;コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能以上のモノマー;二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレート、(メタ)アクリル酸変性シリコーン(X−22−1602(信越化学工業社製)等のシリコーン(ジ)(メタ)アクリレート等)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0057】
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられ、エポキシ基を有するモノマーが特に好ましい。
【0058】
オリゴマーまたは反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
【0059】
非反応性のポリマーとしては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
【0060】
アルコキシシラン化合物としては、下記式(1)の化合物が挙げられる。
11Si(OR12 ・・・(1)。
ただし、R11、R12は、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基を表し、x、yは、x+y=4の関係を満たす整数を表す。
【0061】
アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン等が挙げられる。
【0062】
アルキルシリケート化合物としては、下記式(2)の化合物が挙げられる。
21O[Si(OR23)(OR24)O]22 ・・・(2)。
ただし、R21〜R24は、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基を表し、zは、3〜20の整数を表す。
【0063】
アルキルシリケート化合物としては、メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケート等が挙げられる。
【0064】
光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0066】
熱硬化反応を利用する場合、熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。
【0067】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、帯電防止剤、離型剤、防汚性を向上させるためのフッ素化合物等の添加剤;微粒子、少量の溶剤を含んでいてもよい。
【0068】
(作用効果)
以上説明した導電性透明積層体10にあっては、第2の透明電極46が、凹凸樹脂層36に接する側の表面および空気と接する側の表面に、凸部間の平均間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有しているため、第2の透明電極46と凹凸樹脂層36との界面および第2の透明電極46と空気との界面にて光の反射が充分に小さくなる。また、第2の透明電極46に隣接する凹凸樹脂層36が、第2の透明電極46に接する側の表面のうち、第2の透明電極46が形成されている部分だけではなく、第2の透明電極46が形成されていない部分にも、凸部32間の平均間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有するため、凹凸樹脂層36と空気との界面にて光の反射が充分に小さくなる。その結果、パターニングされた第2の透明電極46が存在する領域と、第2の透明電極46が存在しない領域との間で、光の透過率の差が小さくなり、第2の透明電極46の電極パターンが目立たなくなる。また、微細凹凸構造が存在する界面にて光の反射が充分に小さくなるため、導電性透明積層体10全体で光の透過率が向上し、導電性透明積層体10の透明性が高くなる。
【0069】
(他の形態)
なお、本発明の導電性透明積層体は、図1の導電性透明積層体10に限定はされない。
例えば、微細凹凸構造は、導電性透明積層体10においては、透明絶縁層30の凹凸樹脂層36の表面に形成されているが、凹凸樹脂層36を設けることなく透明基材34の表面に直接形成されていてもよい。ただし、陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して効率よく微細凹凸構造を形成できる点から、透明絶縁層30の凹凸樹脂層36の表面に微細凹凸構造が形成されていることが好ましい。
【0070】
また、透明絶縁層30は、上述した製造方法で得られたものに限定はされず、公知の方法(ナノインプリント、切削加工、エッチング等)によって透明基材34の表面に微細凹凸構造を直接形成することによって製造されたものであってもよい。
【0071】
また、電極基板40は、図1に示すものに限定はされない。
例えば、図5に示すように、透明基材34および凹凸樹脂層36からなる透明絶縁層30と、透明絶縁層30の凹凸樹脂層36の表面に形成された、第2の方向に延びる複数の電極パターンからなるストライプ状の第2の透明電極46と、第2の透明電極46の上に製膜された樹脂からなる透明絶縁層47と、透明絶縁層47の表面に形成された、第2の方向に交差する第1の方向に延びる複数の電極パターンからなるストライプ状の第1の透明電極44とを備えた電極基板40であってもよい。
【0072】
また、図6に示すように、第1の方向に延びる複数の電極パターンからなるストライプ状の第1の透明電極44が透明基材48の表面に形成された第1の電極基板40aと、第1の方向に交差する第2の方向に延びる複数の電極パターンからなるストライプ状の第2の透明電極46が、透明基材34および凹凸樹脂層36からなる透明絶縁層30の凹凸樹脂層36の表面に形成された第2の電極基板40bとが、接着剤層49(透明絶縁層)を介して透明電極側の表面同士が対向するように貼り合わせた電極基板40であってもよい。
【0073】
また、図7に示すように、第1の方向に延びる複数の電極パターンからなるストライプ状の第1の透明電極44が透明基材48(透明絶縁層)の表面に形成された第1の電極基板40aと、第1の方向に交差する第2の方向に延びる複数の電極パターンからなるストライプ状の第2の透明電極46が、透明基材34および凹凸樹脂層36からなる透明絶縁層30の凹凸樹脂層36の表面に形成された第2の電極基板40bとが、接着剤層49(透明絶縁層)を介して透明絶縁層48側の表面と第2の透明電極46側の表面とが対向するように貼り合わせた電極基板40であってもよい。
【0074】
また、本発明の導電性透明積層体においては、第1の透明電極および前記第2の透明電極の少なくとも一方の透明電極が、凸部間の平均間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有していればよい。例えば、図1、図5〜図7に示すように、第2の透明電極46が微細凹凸構造を有し、第1の透明電極44が微細凹凸構造を有さなくてもよく;逆に、第1の透明電極が微細凹凸構造を有し、第2の透明電極が微細凹凸構造を有さなくてもよく;図8に示すように、第1の透明電極44および第2の透明電極46の両方が微細凹凸構造を有していてもよい(言い換えれば、透明基材34と、透明基材34の両面に形成された凹凸樹脂層36とを有する透明絶縁層30の両面に、第1の透明電極44および第2の透明電極46を形成してもよい)。第1の透明電極および第2の透明電極のパターンが目立たず、かつ導電性透明積層体の透明性がさらに高くなる点から、第1の透明電極44および第2の透明電極46の両方が微細凹凸構造を有することが好ましい。
【0075】
また、本発明の導電性透明積層体においては、凹凸透明電極に隣接する層が、凹凸透明電極に接する側の表面のうち、少なくとも凹凸透明電極が形成されていない部分に、凸部間の平均間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有していればよい。すなわち、図9に示すように、第2の透明電極46に隣接する凹凸樹脂層36が、第2の透明電極46に接する側の表面のうち、第2の透明電極46が形成されていない部分のみに、凸部32間の平均間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有していてもよい(言い換えれば、第1の透明電極および第2の透明電極の少なくとも一方の透明電極(図9の第2の透明電極46)が、一方の表面(空気に接する側の表面)に凸部間の平均間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有し、他方の表面(凹凸樹脂層36に接する側の表面)に凸部間の平均間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有さないものであってもよい)。凹凸透明電極と、これに隣接する層との界面における光の反射を抑える点から、凹凸透明電極に隣接する層は、凹凸透明電極に接する側の表面の全体に、凸部間の平均間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有することが好ましい(言い換えれば、第1の透明電極および第2の透明電極の少なくとも一方の透明電極が、両面に凸部間の平均間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有することが好ましい)。
【0076】
<静電容量方式タッチパネル>
本発明の静電容量方式タッチパネルは、本発明の導電性透明積層体と、導電性透明積層体の透明電極に電気的に接続し、入力面に導電体(指、金属等)が接近または接触した際の静電容量の変化を検出する検出部とを備えたものである。
【0077】
検出部は、例えば、透明電極に所定の電圧を印加しつつ、入力面に導電体が接近または接触した際の入力体と電極との間の静電容量の変化を検出し、いずれの箇所に導電体が接近または接触したかを検出するものである。
【0078】
以上説明した本発明の静電容量方式タッチパネルにあっては、透明電極のパターンが目立たず、かつ透明性が高い本発明の導電性透明積層体を備えているため、透明電極のパターンが目立たず、かつ透明性が高い。
【0079】
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、本発明の静電容量方式タッチパネルと、画像表示装置本体とを備えたものである。
静電容量方式タッチパネルは、最表面の入力面が画像表示装置本体側とは反対側となるように、画像表示装置本体の画像が表示される側に配置される。
【0080】
画像表示装置本体としては、フラットディスプレイパネル(液晶パネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等)、CRT等が挙げられる。
【0081】
以上説明した本発明の画像表示装置にあっては、透明電極のパターンが目立たず、かつ透明性が高い本発明の静電容量方式タッチパネルを備えているため、静電容量方式タッチパネルにおける透明電極のパターンが目立たず、かつ静電容量方式タッチパネルによる画像の視認性の低下が抑えられる。
【実施例】
【0082】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】
(陽極酸化アルミナの細孔)
陽極酸化アルミナの一部を削り、断面にプラチナを1分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用いて、加速電圧3.00kVの条件にて、断面を観察し、細孔間の間隔、細孔の深さを測定した。各測定は、それぞれ50点について行い、平均値を求めた。
【0084】
(凹凸樹脂層の凸部)
凹凸樹脂層の破断面にプラチナを10分間蒸着し、陽極酸化アルミナと同様に断面を観察し、凸部間の間隔、凸部の高さを測定した。各測定は、それぞれ50点について行い、平均値を求めた。
【0085】
〔実施例1〕
(モールドの製造)
上述した工程(a)〜(f)を行い、平均間隔180nm、深さ200nmの略円錐形状の複数の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成された板状のモールドaを得た。
モールドaを、オプツールDSX(ダイキン工業社製)の0.1質量%希釈溶液に浸漬し、一晩風乾して、陽極酸化アルミナの表面を離型剤で処理した。
【0086】
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の調製)
コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物の45質量部、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業社製)の45質量部、
ラジカル重合性シリコーンオイル(信越化学工業社製、X−22−1602)の10質量部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)184)の3質量部、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)819)の0.2質量部
を混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aを得た。
【0087】
(電極基板の製造)
アルゴンガスと酸素からなる0.4Paの雰囲気中で酸化インジウム97質量%および酸化スズ3質量%の焼結体材料を用いた反応性スパッタリング法によって、厚さ1mmのガラス板の片面に厚さ30nmのITO膜を形成した。
【0088】
モールドaの表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aを塗布し、この上にガラス板を、ITO膜が形成されていない面が活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aに接するように被せた。
紫外線照射機(フュージョンランプDバルブ)を用いて、積算光量1000mJ/cmでガラス板越しに紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aの硬化を行った後、モールドaから分離し、円錐台形状の複数の凸部からなる微細凹凸構造を表面に有する厚さ20μmの凹凸樹脂層が表面に形成されたガラス板(透明絶縁層)を得た。
凹凸樹脂層の凸部間の平均間隔は180nmであり、凸部の高さは190nmであり、凸部の底部の幅は180nmであり、凸部の頭頂部の曲率半径は40nmであった。
【0089】
アルゴンガスと酸素からなる0.4Paの雰囲気中で酸化インジウム97質量%および酸化スズ3質量%の焼結体材料を用いた反応性スパッタリング法によって、ガラス板の凹凸樹脂層側の表面に厚さ30nmのITO膜を形成した。ITO膜の凸部間の平均間隔は、凹凸樹脂層の凸部間の平均間隔と同じ180nmとなる。
次いで、ストライプ状にパターン化されているフォトレジストをITO膜の表面に塗布し、乾燥、硬化した後、25℃、5質量%の塩酸に1分間浸漬して両面のITO膜のエッチングを行い、ITO膜をパターン化した透明電極を形成した。
【0090】
(画像表示装置の製造)
電極基板および厚さ0.7mmのカバーガラス用のガラス板を用いて、図1に示すような導電性透明積層体を作製した。
次いで、導電性透明積層体の透明電極に検出部を接続し、静電容量方式タッチパネルを組み立てた。
次いで、静電容量方式タッチパネルを、液晶パネルの画像が表示される側に配置し、画像表示装置を組み立てた。
【0091】
〔比較例1〕
凹凸樹脂層を形成しない以外は、実施例1と同様にして導電性透明積層体を作製した。
次いで、導電性透明積層体の透明電極に検出部を接続し、静電容量方式タッチパネルを組み立てた。
次いで、静電容量方式タッチパネルを、液晶パネルの画像が表示される側に配置し、画像表示装置を組み立てた。
【0092】
〔評価〕
液晶パネルの輝度、入力面における室内光源からの照度、入力面に対する室内光源からの入射角が同一である条件にて、実施例1および比較例1の画像表示装置の入力面を目視比較した。その結果、実施例1の画像表示装置の方が、明るく、透明電極のパターンが目立たず、画像の視認性が良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の導電性透明積層体は、静電容量方式タッチパネルの部材として有用である。
【符号の説明】
【0094】
10 導電性透明積層体
20 透明部材
30 透明絶縁層
32 凸部(微細凹凸構造)
34 透明基材
36 凹凸樹脂層
44 第1の透明電極
46 第2の透明電極
Pc 平均間隔
Pe 平均間隔
S 入力面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力面に接近または接触した導電体の位置を静電容量の変化として検出する静電容量方式タッチパネルに用いられる導電性透明積層体であって、
前記入力面を有する透明部材と、
前記透明部材を挟んで前記入力面の反対側に配置され、かつパターニングされた第1の透明電極と、
前記第1の透明電極から透明絶縁層を介して離間して配置され、かつパターニングされた第2の透明電極と
を有し、
前記第1の透明電極および前記第2の透明電極の少なくとも一方の透明電極が、少なくとも一方の表面に凸部間の平均間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有する凹凸透明電極であり、
前記凹凸透明電極に隣接する層が、前記凹凸透明電極に接する側の表面のうち、少なくとも前記凹凸透明電極が形成されていない部分に、凸部間の平均間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有する、静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体。
【請求項2】
前記透明絶縁層が、透明基材と、前記透明基材の表面に形成された前記微細凹凸構造を表面に有する凹凸樹脂層とを有し、
前記凹凸透明電極が、前記凹凸樹脂層の前記微細凹凸構造側の表面に形成されている、請求項1に記載の静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体と、
前記静電容量方式タッチパネル用導電性透明積層体の透明電極に電気的に接続し、前記入力面に前記導電体が接近または接触した際の静電容量の変化を検出する検出部と
を備えた、静電容量方式タッチパネル。
【請求項4】
請求項3に記載の静電容量方式タッチパネルと、
画像表示装置本体と
を備えた、画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−73334(P2013−73334A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210666(P2011−210666)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】