説明

静電駆動・容量検出型のジャイロセンサのセンサ回路

【課題】 自励発振が早く開始されるようにする。
【解決手段】 センサ回路の電源投入時には昇圧回路21の昇圧クロックが起動クロック発生回路25で形成されるようにし、振動子10および駆動回路20で構成されるフィードバックループにて自励発振が開始されるとその後はチャージアンプ回路22の出力信号が昇圧クロックに用いられるようにする。このように、起動クロック発生回路25が発生させる安定した所定の周波数の出力信号を昇圧クロックとして用いることで、昇圧回路21で高電圧が早く形成されるようにすることが可能となる。そして、このように高電圧が早く形成されることから、振動子10および駆動回路20で構成されるフィードバックループにて、早くから自励発振を開始させることも可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電駆動・容量検出型のセンサエレメントから送られる容量で示された検出信号に基づいて物理量の検出を行う静電駆動・容量検出型のジャイロセンサのセンサ回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ジャイロセンサでは、振動子と駆動回路とでフィードバックループを構成し、自励発振と呼ばれる固有の周波数で振動子を駆動することで検出信号を得ている。このジャイロセンサとして、静電駆動・容量検出型のマイクロジャイロセンサがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
マイクロジャイロセンサでは、例えば左右一対の振動子からなるセンサエレメントが備えられ、例えば、各振動子それぞれの容量で示された検出信号をチャージアンプで電圧変換させたのち、差動増幅回路によって電圧変換後のそれぞれの検出信号の差動出力を得て、その後、同期検波回路等やローパスフィルタおよび0点・感度温度特性調整回路を通過させることでセンサ出力を得ている。
【特許文献1】特許2084567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のマイクロジャイロセンサでは、通常、外部から供給される5V電源で振動子を駆動して検出信号を得ようとしても、自励発振しなかったり十分な検出信号が得られなかったりする。このため、振動子を駆動する電圧を高電圧(5V以上)に昇圧しなければならない。
【0005】
また、マイクロジャイロセンサではない従来のジャイロセンサでは、電源投入後、5V系の何らかのノイズに基づいて自励発振が開始されるが、マイクロジャイロセンサでは5V系のノイズに基づいて自励発振が開始されない。このため、マイクロジャイロセンサでは、5V電源が昇圧された高電圧を振動子に印加しなければ自励発振が始まらないという問題がある。特に、マイクロジャイロセンサでは、自励発振のクロックが5V電源を昇圧するために用いられるクロック(昇圧クロック)にも用いられることから、自励発振しないと早く昇圧しないし、逆に早く昇圧しないと早く自励発振が開始しないという状況に陥ることになる。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、所定電圧を昇圧した高電圧を振動子の駆動に用いる静電駆動・容量検出型のジャイロセンサのセンサ回路において、自励発振が早く開始されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の特徴によれば、昇圧回路(21)に対して所定の周波数の信号を入力する場合と、昇圧回路(21)に対してフィードバックループにおける制御信号を入力する場合とを切替える切替スイッチ(26)を備え、この切替スイッチ(26)にて、電源投入の際には昇圧回路(21)に対して所定の周波数の信号が入力され、自励発振が開始されると昇圧回路(21)に対してフィードバックループにおける制御信号が入力されるように、昇圧回路(21)に入力される昇圧クロックが切替えられるようにする。
【0008】
このように、センサ回路の電源投入時には昇圧回路(21)の昇圧クロックとして所定の周波数の信号が用いられ、振動子(10)および駆動回路(20)で構成されるフィードバックループにて自励発振が開始されるとその後はフィードバックループにおける制御信号が昇圧クロックに用いられるようにしている。つまり、安定する前のフィードバックループにおける制御信号ではなく、安定した所定の周波数の出力信号を昇圧クロックとして用いるようにしている。このため、昇圧回路(21)で高電圧が早く形成されるようにすることが可能となる。そして、このように高電圧が早く形成されることから、振動子(10)および駆動回路(20)で構成されるフィードバックループにて、早くから自励発振を開始させることも可能となる。
【0009】
例えば、切替スイッチ(26)にて、電源投入から所定時間が経過すると自動的にスイッチ切替が行われるように構成し、所定時間が経過するまでの間は、昇圧回路(21)に対して所定の周波数の信号が入力され、所定時間の経過後は、昇圧回路(21)に対してフィードバックループにおける制御信号が入力されるように、切替スイッチ(26)の切替えを行うことができる。
【0010】
また、自励発振が開始されているか否かの検出を行うモニタ回路(27)を備え、自励発振が開始されたことが検出された場合にモニタ回路(27)からスイッチ切替信号が出力されることで切替スイッチ(26)の切替えが行われるようにしても良い。
【0011】
本発明の第1の特徴において、振動子(10)が出力する駆動振動検知信号を増幅するチャージアンプ回路(22)が備えられる場合、切替スイッチ(26)にて、昇圧回路(21)に対して所定の周波数の信号を入力する場合と、チャージアンプ回路(22)の出力信号を入力する場合とを切替えることができる。
【0012】
また、本発明の第1の特徴において、所定の周波数の信号を発生させる起動クロック発生回路(25)を備え、切替スイッチ(26)の切替えにより、起動クロック発生回路(25)が発生させる信号が昇圧回路(21)に入力されるように構成することができる。
【0013】
このように、センサ回路内に起動クロック発生回路(25)を設け、この起動クロック発生回路(25)が発生させるクロックを昇圧回路(21)の昇圧クロックに用いることができる。この場合、例えば、起動クロック発生回路(25)をCR発振器とすることができる。
【0014】
また、所定の周波数の信号が外部から入力されるような構成とし、切替スイッチ(26)の切替えにより、外部からの信号が昇圧回路(21)に入力されるように構成することも可能である。例えば、静電駆動・容量検出型のジャイロセンサがイナーシャセンサとして用いられる場合、外部からの信号として、加速度センサもしくはマイクロコンピュータからのクロックが昇圧回路(21)に入力されるように構成することもできる。
【0015】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0017】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態を適用した静電駆動・容量検出型のジャイロセンサのセンサ回路のブロック構成を図1に示す。以下、この図を参照して本実施形態におけるセンサ回路について説明する。
【0018】
図1に示されるように、振動子10と、駆動回路20と、ヨー検出回路30とが備えられ、これらによりセンサ回路が構成されている。
【0019】
振動子10は、センサエレメントとして備えられるもので、駆動用およびヨー検出用のセンサエレメント(図示せず)を備えており、駆動用のセンサエレメントが駆動振動を行っている際にヨーが発生すると、コリオリ力によって一対で構成された検出用のセンサエレメントが振動するようになっている。この振動子10は、一対の検出用のセンサエレメントそれぞれでの振動に応じた出力(第1、第2検知信号)を発生させると共に、駆動用のセンサエレメントが的確に駆動振動しているかを検出するために駆動振動に応じた出力を発生させるようになっている。
【0020】
駆動回路20は、振動子10における駆動用センサエレメントを振動させるためのものである。この駆動回路20には、センサ駆動電源を含む昇圧回路21、チャージアンプ回路22、位相シフタ23および振幅一定制御部24が含まれている。
【0021】
昇圧回路21は、センサ駆動電源からの電圧を昇圧することで振動子10における駆動用のセンサエレメントを振動させるための電圧を形成するもので、駆動用のセンサエレメントを所定振幅かつ所定周波数で駆動するために、センサ駆動電源が発生させる電圧を昇圧し、所定の周波数の電圧を駆動信号として駆動用のセンサエレメントに対して出力する。具体的には、チャージアンプ回路22を介してフィードバックされる駆動信号と振幅一定制御部24からの信号に基づいて、昇圧回路21が発生させる駆動信号を調整するようになっている。
【0022】
チャージアンプ回路22は、振動子10から、振動子10における駆動用のセンサエレメントの駆動振動に応じた検知信号(以下、駆動振動検知信号という)を受け取り、それを電圧変換するものである。このチャージアンプ回路22での電圧変換後の駆動振動検知信号が昇圧回路21、振幅一定制御部24および位相シフタ23に入力されるようになっている。
【0023】
位相シフタ23は、駆動信号の位相を調整するためのものである。上記したように昇圧回路21により駆動振動検知信号に基づいて駆動信号が形成されることになるため、駆動振動検知信号の位相が実際に駆動用のセンサエレメントに出力したい駆動信号の位相とずれている。この位相のズレを修復するために、駆動振動検知信号の位相を調整し、駆動信号の位相に合わせなければならない。このため、位相シフタ23によって、駆動振動検知信号の位相が補正され、その結果、それに基づいて形成される駆動信号の位相が調整されるようになっている。これにより、駆動信号の周波数がfdとされる。
【0024】
振幅一定制御部24は、駆動振動検知信号から現在の駆動用のセンサエレメントの振幅を検知すると共に、その振幅が一定となるように補正するための信号を昇圧回路21に出力するものである。
【0025】
なお、本実施形態の場合、振動子10および昇圧回路21に加え、上記チャージアンプ回路22、位相シフタ23および振幅一定制御部24によってフィードバックループが構成され、このフィードバックループでのフィードバック結果に応じて昇圧回路21で発生させられる駆動信号(高電圧)が制御される。このフィードバックループにおけるチャージアンプ回路22、位相シフタ23および振幅一定制御部24の出力信号がフィードバック結果を示す制御信号に相当するものとなる。
【0026】
さらに、本実施形態では、駆動回路20に、起動クロック発生回路25および切替スイッチ26が備えられている。
【0027】
起動クロック発生回路25は、CR発振器のように安定して所定の周波数のクロック信号を発生させるものである。この起動クロック発生回路25は、低電圧で自励発振周波数よりも高周波で発振するようになっている。
【0028】
切替スイッチ26は、起動クロック発生回路25とチャージアンプ回路22のいずれの出力信号を昇圧回路21の昇圧クロックとして伝えるかの切替えを行うものである。この切替スイッチ26は、センサ回路が駆動されてから所定時間が経過するまでの間は起動クロック発生回路25の出力信号が昇圧回路21の昇圧クロックとして伝えられ、その後にチャージアンプ回路22の出力信号が昇圧回路21の昇圧クロックとして伝えられるように、センサ回路が駆動されてから所定時間経過後に自動的に切替るようになっている。
【0029】
ここで、切替スイッチ26の切替えが行われる所定時間とは、昇圧回路21で高電圧に昇圧され、さらにその昇圧された高電圧を振動子10に伝えたときに、振動子10および駆動回路20によって形成されるフィードバックループにおいて、起動クロック発生回路25の出力信号に基づいて自励発振が開始されるまでに要する時間に相当し、例えば、予め実験データ等によって求められる。
【0030】
また、ヨー検出回路30は、振動子10の検出信号に基づいてセンサ出力を得るためのものである。このヨー検出回路30には、2つのチャージアンプ回路31、32と、差動増幅回路33と、同期検波回路34、LPF35および0点・感度温特調整回路36が備えられている。
【0031】
2つのチャージアンプ回路31、32は、一対の振動子10それぞれから、検出用センサエレメントに対してヨーが加わったときに発生する振動に応じた検知信号(以下、ヨー検知信号という)を受け取り、それを電圧変換するものである。これら各チャージアンプでの電圧変換後のヨー検知信号が差動増幅回路33に入力されるようになっている。
【0032】
差動増幅回路33は、各チャージアンプ回路31、32で電圧変化されたヨー検知信号の差動出力を発生させる差動増幅手段に相当するものである。この差動増幅回路33の差動出力が同期検波回路34に入力されるようになっている。
【0033】
同期検波回路34は、位相シフタ23によって調整された位相に基づいて、差動増幅回路33の差動出力から周波数fdと同期する成分を通過させ、LPF35に出力するものである。
【0034】
LPF35は、同期検波回路34を通過後の信号のうち、所定周波数以下の成分のみを抽出するものである。
【0035】
0点・感度温特調整回路36は、LPF35を通過した後の信号にも、出力オフセットや感度の温度特性が含まれていることから、それを調整するものであり、この0点・感度温特調整回路36で調整された後の信号がセンサ出力として用いられる。
【0036】
次に、上記のように構成されるセンサ回路の作動について説明する。
【0037】
センサ回路の電源が投入されると、まず、切替スイッチ26により起動クロック発生回路25の出力信号が昇圧回路21に入力される。このため、昇圧回路21は、起動クロック発生回路25の出力信号を昇圧クロックとして用いて、センサ回路に印加される所定電圧(例えば5V)を昇圧して高電圧を形成する。
【0038】
このとき、起動クロック発生回路25にて安定した所定の周波数の出力信号が発生させられているため、昇圧回路21は高電圧を早く形成することが可能となる。そして、このような所定の周波数の出力信号に基づいて高電圧が早く形成されることから、その高電圧を振動子10に印加することで、振動子10および駆動回路20で構成されるフィードバックループにて、早くから自励発振を開始させることも可能となる。
【0039】
続いて、センサ回路の電源を投入してから所定時間が経過すると、つまり、自励発振が開始される頃に、切替スイッチ26による切り替えが行われ、チャージアンプ回路22の出力信号が昇圧回路21に入力されることになる。
【0040】
このため、この後は、既に開始されている自励発振に基づき、振動子10に対して所定周期の高電圧を印加し、振動子10からの駆動振動検知信号をフィードバックすることですることで、チャージアンプ回路22、位相シフタ23および振幅一定制御部24を介して、振動子10の振動が所定振幅・所定周波数となるように昇圧回路21の出力信号が調整される。このとき、起動クロック発生回路25でのCR発振を止めることで、通常動作時のクロックノイズも最小にすることができる。
【0041】
そして、このように振動子10が振動させられている際に検出用センサエレメントに対してヨーが加わると、ヨー検出回路30では、そのヨーに応じたヨー検知信号を受け取り、それがチャージアンプ回路31、32で電圧変換される。このチャージアンプ回路31、32で電圧変換された後のヨー検知信号が差動増幅回路33に入力され、それらの差動出力が同期検波回路34に入力される。
【0042】
さらに、同期検波回路34で、位相シフタ23によって調整された位相に基づいて、差動増幅回路33の差動出力から周波数fdと同期する成分が通過させられ、LPF35に出力されたのち、LPF35で通過後の信号のうち所定周波数以下の成分のみが抽出される。その後、0点・感度温特調整回路36で出力オフセットや感度の温度特性について調整されたものがセンサ出力として出力される。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のセンサ回路によれば、センサ回路の電源投入時には昇圧回路21の昇圧クロックが起動クロック発生回路25で形成されるようにし、振動子10および駆動回路20で構成されるフィードバックループにて自励発振が開始されるとその後はチャージアンプ回路22の出力信号が昇圧クロックに用いられるようにしている。
【0044】
このように、起動クロック発生回路25が発生させる安定した所定の周波数の出力信号を昇圧クロックとして用いることで、昇圧回路21で高電圧が早く形成されるようにすることが可能となる。そして、このように高電圧が早く形成されることから、振動子10および駆動回路20で構成されるフィードバックループにて、早くから自励発振を開始させることも可能となる。
【0045】
したがって、早くから自励発振させられると共に、その自励発振に基づいてヨーを検知することが可能となる。
【0046】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。上記実施形態では、切替スイッチ26がセンサ回路への電源投入から所定時間経過後に自動的に切替えられるものについて説明したが、本実施形態は、センサ回路中のいずれかの信号に基づいて自励発振が開始されたか否かを判定し、それに基づいて切替スイッチ26での切替えが行われるようにするものである。
【0047】
図2は、本実施形態が適用された静電駆動・容量検出型のジャイロセンサのセンサ回路のブロック構成である。この図に示されるように、本実施形態のセンサ回路は、図1に示した第1実施形態のセンサ回路に対してモニタ回路27を備えたものである。なお、本実施形態のセンサ回路のうちモニタ回路27以外の部分に関しては、第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0048】
モニタ回路27は、チャージアンプ回路22の出力信号を受け取り、その出力信号に基づいて自励発振が開始されているか否かを判定し、自励発振が開始されていると判定した場合に、切替スイッチ26に対してスイッチ切替信号を出力するものである。
【0049】
例えばモニタ回路27は所定の参照電圧Vrefとチャージアンプ回路22の出力信号とを比較するコンパレータで構成される。そして、チャージアンプ回路22の出力信号が所定の振幅、つまり自励発振が開始されたときに想定される振幅になっている場合には参照電圧Vrefを超え、それ未満の場合には参照電圧Vrefを超えないようになっており、コンパレータで参照電圧Vrefとチャージアンプ回路22の出力信号とを大小比較することで、自励発振が開始されたか否かが判定できるようになっている。
【0050】
このように、モニタ回路27によって切替スイッチ26での切替えを制御することも可能である。これにより、モニタ回路27が必要になるものの、より確実に自励発振が開始されたか否かを判定することが可能となる。したがって、確実に自励発振が開始された後に、昇圧クロックの切り替えが行われるようにすることが可能となる。
【0051】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、センサ回路内に起動クロック発生回路25を備えた構成としたが、必ずしもセンサ回路内に備えた構成とする必要はなく、ジャイロセンサのセンサ回路の外部から発振信号を受け取ることも可能である。例えば、ジャイロセンサが車両搭載用として用いられるような場合において、ジャイロセンサがイナーシャセンサとして使用される場合には、G(加速度)センサやマイコンなどからクロック供給を受けることも可能である。この場合には、ジャイロセンサのセンサ回路内に起動クロック発生回路25を作りこまなくても済むため、センサ回路の面積削減などが可能となり、センサ回路の製品コストの削減を図ることも可能となる。
【0052】
上記第1実施形態では、切替スイッチ26がセンサ回路の電源投入から所定時間経過後に自動的に切替えられるようになっており、第2実施形態では、切替スイッチ26がモニタ回路27での判定結果に基づいて切替えられるようになっているが、これらを組み合わせることも可能である。
【0053】
また、上記第2実施形態では、モニタ回路27での自励発振の判定がチャージアンプ回路22の出力信号に基づいて行うようにしているが、センサ回路中において自励発振の判定が行える場所であればどこの信号であっても自励発振の判定を行うことが可能である。この場合の自励発振の判定が行える場所としては、駆動回路20中だけでなくヨー検出回路30中のいずれかの場所であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施形態における容量式ジャイロセンサのセンサ回路の回路図である。
【図2】本発明の第2実施形態における容量式ジャイロセンサのセンサ回路の回路図である。
【符号の説明】
【0055】
10…振動子、20…駆動回路、22…チャージアンプ回路、
25…起動クロック発生回路、26…切替スイッチ、27…モニタ回路、
30…ヨー検出回路、31、32…チャージアンプ回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自励発振に基づいて振動させられることでヨーに応じた容量値で示されるヨー検知信号を出力すると共に、前記振動の振幅および周波数に応じた駆動振動検知信号を出力するように構成された振動子(10)と、
所定の電圧を昇圧することで高電圧を発生させる昇圧回路(21)を含み、該昇圧回路(21)で発生させられる高電圧を前記振動子(10)に印加することで前記振動子(10)を振動させると共に、この振動中における前記振動子(10)の前記駆動振動検知信号をフィードバックし、フィードバック結果に応じた制御信号を前記昇圧回路(21)に対して入力することで、前記振動子(10)が所定振幅かつ所定周波数で振動するように前記昇圧回路(21)が前記振動子(10)に印加する前記高電圧を制御するという自励発振のフィードバックループを構成する駆動回路(20)と、
前記振動子(10)が出力するヨー検知信号に基づいて、ヨーに応じた出力信号をセンサ出力として発生させるヨー検出回路(30)とを備えてなる静電駆動・容量検出型の物理量センサのセンサ回路であって、
前記昇圧回路(21)に対して所定の周波数の信号を入力する場合と、前記昇圧回路(21)に対して前記フィードバックループにおける前記制御信号を入力する場合とを切替える切替スイッチ(26)を備え、
前記切替スイッチ(26)にて、電源投入の際には前記昇圧回路(21)に対して所定の周波数の信号が入力され、前記自励発振が開始されると前記昇圧回路(21)に対して前記フィードバックループにおける前記制御信号が入力されるように、前記昇圧回路(21)に入力される昇圧クロックが切替えられるように構成されていることを特徴とする静電駆動・容量検出型のジャイロセンサのセンサ回路。
【請求項2】
前記切替スイッチ(26)は、前記電源投入から所定時間が経過すると自動的にスイッチ切替を行うように構成されており、前記所定時間が経過するまでの間は、前記昇圧回路(21)に対して所定の周波数の信号が入力され、前記所定時間の経過後は、前記昇圧回路(21)に対して前記フィードバックループにおける前記制御信号が入力されるように、切替えが行われるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の静電駆動・容量検出型のジャイロセンサのセンサ回路。
【請求項3】
前記自励発振が開始されているか否かの検出を行うモニタ回路(27)を備え、前記自励発振が開始されたことが検出された場合に前記モニタ回路(27)からスイッチ切替信号が出力されることで前記切替スイッチ(26)の切替えが行われるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の静電駆動・容量検出型のジャイロセンサのセンサ回路。
【請求項4】
前記振動子(10)が出力する駆動振動検知信号を増幅するチャージアンプ回路(22)を有し、
前記切替スイッチ(26)にて、前記昇圧回路(21)に対して前記所定の周波数の信号を入力する場合と、前記チャージアンプ回路(22)の出力信号を入力する場合とを切替えるようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の静電駆動・容量検出型のジャイロセンサのセンサ回路。
【請求項5】
所定の周波数の信号を発生させる起動クロック発生回路(25)を有し、前記切替スイッチ(26)の切替えにより、前記起動クロック発生回路(25)が発生させる信号が前記昇圧回路(21)に入力されるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の静電駆動・容量検出型のジャイロセンサのセンサ回路。
【請求項6】
前記起動クロック発生回路(25)はCR発振器であることを特徴とする請求項5に記載の静電駆動・容量検出型のジャイロセンサのセンサ回路。
【請求項7】
前記所定の周波数の信号は外部から入力されるように構成され、前記切替スイッチ(26)の切替えにより、前記外部からの信号が前記昇圧回路(21)に入力されるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の静電駆動・容量検出型のジャイロセンサのセンサ回路。
【請求項8】
請求項7に記載の静電駆動・容量検出型のジャイロセンサのセンサ回路において、前記ジャイロセンサがイナーシャセンサとして用いられ、前記外部からの信号として、加速度センサもしくはマイクロコンピュータからのクロックが前記昇圧回路(21)に入力されるように構成されていることを特徴とする静電駆動・容量検出型のイナーシャセンサのセンサ回路。

【図1】
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【図2】
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