説明

非イオン性粉末洗浄剤組成物

【目的】 高水温で洗浄を行っても、溶解性及び分散性が劣化せず、更に多湿下に保存されても非ケーキング性が良好な非イオン性粉末洗浄剤組成物、及び常温で液体の非イオン界面活性剤のしみだしがなく、粉末の流動性及び非ケーキング性に優れ、かつ高温洗濯時に水不溶物を生成せず、洗浄性能の優れた非イオン性粉末洗浄剤組成物を提供する。
【構成】 (a) 融点が40℃以下である非イオン界面活性剤を12〜40重量%と、(b) 吸油能が100ml/100g以上で、含有される水分量が5重量%以上20重量%以下であり、細孔径0.1μm未満の細孔の容積が全細孔容積の20%以下であり、細孔径0.1μm以上2.0μm以下の細孔の容積が全細孔容積の50%以上であり、且つ特定の組成を有する非晶質アルミノケイ酸塩を5〜60重量%含有し、成分(a) が成分(b) を含む粉粒体洗剤原料に吸蔵されてなる非イオン性粉末洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、洗浄剤組成物に関し、さらに詳しくは、非イオン界面活性剤が主基剤である粉末洗浄剤組成物であって、特に、常温で液体である非イオン界面活性剤のしみだしがなく、粉末の流動性及び非ケーキング性に優れ、かつ高温洗濯時に水不溶物を生成せず洗浄性能の優れたものに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】非イオン界面活性剤は、耐硬水性が良好であるうえ、洗浄力、汚れ分散力が際だっており、さらに生分解性が非常に良好であるなどの特長を有しているため、洗浄用界面活性剤として重要視されている。しかしながら、通常、洗浄用に用いられる非イオン界面活性剤は、常温で液体のものが多い。そのため、そのような非イオン界面活性剤を液体状態のまま多量に粉末洗剤に配合した場合、経日により非イオン界面活性剤が徐々にしみだしてきて、紙製容器の内面にしみこんだり、粉末洗剤の流動性が著しく損なわれたり、さらにはケーキングを起こして洗剤が固まってしまい、著しく商品価値が損なわれるという問題点を有している。
【0003】特開昭50−119813号公報には、ゼオライト、またはゼオライトおよび水中で過酸化水素を生じる無機過酸化物からなる混合物の上に非イオン界面活性剤を微細に分配した予備混合物(予備混合物中には、4重量%以下の高分散性ケイ酸が含有されていてもよい)30〜100 重量%と、噴霧乾燥洗剤0〜70重量%を含有する流動性洗剤が開示されている。また、特開昭61−89300 号公報には、流動性が良好でケーキングも防止できる洗剤として、水溶性粉粒体とシリカ粉末とを混合した後、得られた混合物に非イオン界面活性剤を噴霧し、ついでゼオライト粉末を添加し、造粒して調製された造粒物と、陰イオン界面活性剤を含む粒状洗剤とを混合してなる粒状洗剤が開示されている。
【0004】しかし、これらの記述は、主として、陰イオン界面活性剤を主洗浄基剤とする噴霧乾燥洗剤に後配合される、非イオン界面活性剤を含有する洗剤添加剤に関する研究結果についてのものであり、本発明のような、非イオン界面活性剤を主洗浄基剤とする洗浄剤については、未だ十分な検討がなされていないのが実状である。
【0005】更に、特開昭51−41708 号公報には、合成非晶質シリカ誘導体の多孔質凝集体と非イオン界面活性剤を含む、自由流動性の洗浄剤組成物が開示されている。
【0006】これらの例にも示されているように、非イオン界面活性剤含有洗剤の流動性を改良するために、シリカ物質を使用することは知られている。しかしながら、ゼオライト含有洗剤に更に他のシリカ系物質を配合すると、多湿条件下での保存により、経時的に洗剤の溶解性が劣化する傾向が認められるため、更なる改良が必要とされている。
【0007】本発明者らは、先に、特定のシリカ誘導体、非イオン界面活性剤及びゼオライトを含有してなる非イオン性粉末洗剤組成物が、上記多湿条件下での保存における経時的な溶解性の低下の問題を解決するものであることを見出した。また、非イオン界面活性剤、ゼオライト、特定の性質を持つ非晶質シリカ系物質及び炭酸ソーダを特定の比率で配合することにより、上記の欠点が著しく改善されることを見出した(EP477974号)。しかしながら、かかる洗剤組成物は、夏場などや、米国、ヨーロッパ等で行われているように、洗濯液が高温の場合において、溶解性、分散性が劣化する傾向が認められ、更なる改良が必要とされた。
【0008】
【課題を解決するための手段】斯かる実状において、本発明者らは、非イオン界面活性剤を主洗浄基剤とする洗浄浄剤組成物について、特に上記問題点の解決のために鋭意研究を続けた。その結果、本発明者らは、非イオン界面活性剤に、特定の物性を有する非晶質アルミノケイ酸塩と、アルカリ性及び/又は中性の塩とを併用することにより、多湿下における粉末の耐ケーキング性だけでなく、高水温時における粉末の溶解性、分散性が著しく改善された非イオン性粉末洗浄浄剤組成物が得られることを見出し本発明を完成した。また、本発明者らは、非イオン界面活性剤に、特定の製造方法により得られる非晶質アルミノケイ酸塩を併用することにより、常温で液体である非イオン界面活性剤の耐しみだし性、粉末の流動性及び吸湿条件下での経時溶解性が著しく改善されるだけでなく、高水温時の溶解性、分散性も著しく改善された非イオン性粉末洗浄浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、下記(1)〜(3)の非イオン性粉末洗浄剤組成物を提供するものである。
【0010】(1)下記の成分(a) を12〜40重量%、好ましくは12〜35重量%、成分(b) を5〜60重量%、好ましくは5〜40重量%含有し、成分(a) が成分(b) を含む粉粒体洗剤原料に吸蔵されてなる非イオン性粉末洗浄剤組成物。
(a) 融点が40℃以下である非イオン界面活性剤(b) 吸油能が 100ml/100 g以上で、含有される水分量が5重量%以上、20重量%以下であり、細孔径 0.1μm 未満の細孔の容積が全細孔容積の20%以下であり、細孔径0.1 μm 以上、 2.0μm 以下の細孔の容積が全細孔容積の50%以上であり、組成が次式(I) で示される非晶質アルミノケイ酸塩x(M2O)・y(MeO)・Al2O3・z(SiO2) (I)
(式中、M はアルカリ金属原子、Meはアルカリ土類金属原子、x 、y 、z は各成分のモル数を表し、0.2≦x≦2.0 、0≦y≦0.1、1.5≦z≦6.0である。)。
【0011】(2)下記の成分(a) を12〜35重量%、成分(b) を5〜40重量%及び成分(c) を5〜70重量%含有し、成分(a) が成分(b) を含む粉粒体洗剤原料に吸蔵されてなる非イオン性粉末洗浄剤組成物。
(a) 融点が40℃以下である非イオン界面活性剤(b) 吸油能が 100ml/100 g以上で、含有される水分量が5重量%以上、20重量%以下であり、細孔径 0.1μm 未満の細孔の容積が全細孔容積の20%以下であり、細孔径0.1 μm 以上、 2.0μm 以下の細孔の容積が全細孔容積の50%以上であり、組成が次式(I)で示される非晶質アルミノケイ酸塩x(M2O)・y(MeO)・Al2O3・z(SiO2) (I)(式中、M はアルカリ金属原子、Meはアルカリ土類金属原子、x 、y 、z は各成分のモル数を表し、0.2≦x≦2.0 、0≦y≦0.1 、1.5≦z≦6.0である。)(c) アルカリ性及び/又は中性の塩。
【0012】(3)下記の成分(a) を12〜35重量%、成分(b) を5〜40重量%、成分(c) を5〜70重量%及び成分(d)を10〜60重量%含有し、成分(a) が成分(b) を含む粉粒体洗剤原料に吸蔵されてなる非イオン性粉末洗浄剤組成物。
【0013】(a) 融点が40℃以下である非イオン界面活性剤(b) 吸油能が 100ml/100 g以上で、含有される水分量が5重量%以上、20重量%以下であり、細孔径 0.1μm 未満の細孔の容積が全細孔容積の20%以下であり、細孔径0.1 μm 以上、 2.0μm 以下の細孔の容積が全細孔容積の50%以上であり、組成が次式(I)で示される非晶質アルミノケイ酸塩x(M2O)・y(MeO)・Al2O3・z(SiO2) (I)(式中、M はアルカリ金属原子、Meはアルカリ土類金属原子、x 、y 、z は各成分のモル数を表し、0.2≦x≦2.0 、0≦y≦0.1 、1.5≦z≦6.0である。)(c) アルカリ性及び/又は中性の塩(d) 結晶性アルミノケイ酸塩。
【0014】上記非イオン性粉末洗浄剤組成物(1)〜(3)においては、成分(a) の非イオン界面活性剤として、アルキル基の炭素数10〜20でエチレンオキサイド平均付加モル数5〜15のポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いるのが好ましい。
【0015】また、本発明の非晶質アルミノケイ酸塩は、製造に際し、アルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩の反応時に、無機酸、有機酸および酸性塩より選ばれる1種以上の酸剤を添加して、反応系のpHを8〜14とすることにより製造されるのが好ましい。
【0016】この製造方法において、原料として、M2O (Mはアルカリ金属原子)と Al2O3のモル比が M2O/Al2O3 =1.0 〜6.0 の範囲内にあるアルミン酸アルカリ金属塩と、SiO2とM2O のモル比がSiO2/M2O =1.0 〜4.0 の範囲内にあるケイ酸アルカリ金属塩を用いるのが好ましい。また、アルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩の反応は、一次反応温度15〜60℃、二次反応(いわゆる熟成)温度15〜100 ℃の二段階で行う、および/または、水溶性でかつ溶解度パラメーターが 7.5〜20である溶剤を0.5 〜50重量%含有する反応系で行うのが好ましい。
【0017】さらに、この製造方法は、アルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩の反応によって得られるスラリーに、無機酸、有機酸および酸性塩より選ばれる1種以上の酸剤を添加し、スラリーのpHを、アルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩の反応時の系のpHより1以上酸性側に調整し、pH5〜13とするという工程を経ることが好ましい。
【0018】以下に本発明に用いられる各成分を更に詳細に説明する。
【0019】本発明の成分(a) である非イオン界面活性剤は、融点が40℃以下のものであるが、一般的に洗浄剤組成物の成分として使用可能なものであり、40℃以下で溶液状もしくはスラリー状となるものが好ましい。本発明では、非イオン界面活性剤の主基剤として、エチレンオキサイド付加型非イオン界面活性剤を用いるのが好ましく、エチレンオキサイド付加型非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル;グリセリン脂肪酸エステル;高級脂肪酸アルカノールアミド;アルキルグルコシド;アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。 特にこれらのエチレンオキサイド付加型非イオン界面活性剤のうち、アルキル基の平均炭素数が好ましくは10〜20、さらに好ましくは12〜18の、直鎖または分岐鎖の、1級または2級のアルコールに、エチレンオキサイドが平均付加モル数で好ましくは5〜15、さらに好ましくは6〜12、特に好ましくは6〜10モル付加させて得られるポリオキシエチレンアルキルエーテルを使用するのが望ましい。
【0020】もちろん本発明ではエチレンオキサイド付加型非イオン界面活性剤を主基剤とし、それ以外の非イオン界面活性剤を併用してもよい。特に、上記エチレンオキサイド付加型非イオン界面活性剤を、全非イオン界面活性剤の60重量%以上用いると、汚れ落ち、泡立ち、泡切れに優れた洗浄剤組成物が得られ、より好ましい。なお、非イオン界面活性剤中の水分は水不溶物の原因にもなるので、少ない方が好ましい。
【0021】成分(a) は、本発明の組成物中に12〜40重量%、好ましくは12〜35重量%、さらに好ましくは15〜30重量%配合される。成分(a) の配合量が12重量%未満では、十分な洗浄力が得られず、汚れ落ち性が低い。一方、40重量%を越えて配合すると、洗浄剤組成物保存時に非イオン界面活性剤がしみ出し、ケーキングが起きやすくなり、溶解性が低下する。
【0022】本発明の成分(b) である非晶質アルミノケイ酸塩は、吸油能が100 ml/100 g以上、好ましくは150 ml/100 g以上で、含有される水分量が5重量%以上、20重量%以下、好ましくは7重量%以上、15重量%以下であり、細孔径0.1μm未満の細孔の容積が全細孔容積の20%以下、好ましくは15%以下であり、細孔径 0.1μm 以上、 2.0μm 以下の細孔の容積が全細孔容積の50%以上、好ましくは60%以上であり、組成が次式(I) で示される非晶質アルミノケイ酸塩である。
x(M2O)・y(MeO)・Al2O3・z(SiO2) (I)(式中、M はアルカリ金属原子、Meはアルカリ土類金属原子、x 、y 、z は各成分のモル数を表し、 0.2≦x ≦2.0 、0≦y ≦0.1 、 1.5≦z ≦6.0 、好ましくは、 0.7≦x ≦1.7 、0≦y ≦0.1 、 1.8≦z ≦4.5 である。)なお、本発明では、吸油能はJIS K 6220法により測定し、細孔径分布の測定には、島津製作所製ポロメーターポアサイザー9320を使用した。
【0023】また、含有水分量は、一般的には、800 ℃での乾燥前後の重量差から求めるが、800 ℃で乾燥を行うと、非晶質アルミノケイ酸塩中のシラノール基などが脱水反応するため、この方法により求められる水分含有量は、非晶質アルミノケイ酸塩の実際の水分含有量以上の値となってしまう。そこで、正確な含有水分量を求めるため、本発明では、以下の方法により含有水分量を測定した。
【0024】即ち、精秤したアルミノケイ酸塩サンプルを一定量の重水(D2O) に懸濁させ、次式の如く生成するDHO を 1H-NMR により測定し、市販重水中に含まれるDHO を差し引いたDHO ピーク積分強度と、あらかじめ加えた内部標準物質のピーク積分強度との比を読みとることにより、アルミノケイ酸塩サンプルの含有水分量を算出した。
H2O + D2O → 2DHOなお、本発明では、用いる非晶質アルミノケイ酸塩の含有水分量を所定の値とするために、乾燥条件(温度、時間)を調整する。
【0025】成分(b) は、本発明の組成物中に、5〜60重量%、好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜40重量%、特に好ましくは10〜30重量%、最も好ましくは10〜20重量%配合される。成分(b) の配合量が5重量%未満では、非イオン界面活性剤を十分に吸蔵させることができず、非イオン界面活性剤のしみ出しにより、洗浄剤組成物の非ケーキング性、溶解性、分散性が劣化する。また、60重量%を越えると、成分(b) は水不溶物のため、すすぎ性が悪くなり、洗浄剤組成物が衣類などに残留する原因となる。
【0026】本発明の成分(b) である非晶質アルミノケイ酸塩は、その製造工程におけるアルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩の反応時に、無機酸、有機酸および酸性塩より選ばれる1種以上の酸剤を反応系に添加し、反応系のpHを8〜14としてアルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩を反応させることにより得られるものを使用するのが好ましく、長期保存においても水不溶物の生成をおさえることができる。
【0027】本発明の成分(b) である非晶質アルミノケイ酸塩の製造においては、原料として、M2O (Mはアルカリ金属原子)と Al2O3のモル比が M2O/Al2O3 =1.0 〜6.0の範囲内にあるアルミン酸アルカリ金属塩と、SiO2とM2O のモル比がSiO2/M2O=1.0 〜4.0 の範囲内にあるケイ酸アルカリ金属塩を用いるのが望ましい。また、アルミン酸アルカリ金属塩は、水溶液として用いるのが好ましい。
【0028】本発明の成分(b) である非晶質アルミノケイ酸塩の上記製造において、酸剤として使用する無機酸、有機酸および酸性塩のうち、無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、炭酸、燐酸等が挙げられ、有機酸としては、蟻酸、酢酸、酪酸、カプロン酸、アクリル酸、蓚酸、琥珀酸、アジピン酸、安息香酸、クエン酸等が挙げられる。また、酸性塩としては、前記無機酸又は有機酸の酸性塩が挙げられ、具体的には、燐酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、琥珀酸ナトリウム等の不完全中和塩が挙げられる。酸剤は、これらに限定されるものではなく、また、1種のみを用いても、2種以上の混合物を用いてもかまわない。特に、硫酸、炭酸、燐酸、クエン酸等の、その中和後の塩が洗浄剤組成物に配合された時に問題のないものを用いるのがより望ましい。なお、酸剤として炭酸を用いる場合は、反応系への炭酸ガスの吹き込みによっても、その目的が達成される。
【0029】本発明の成分(b) である非晶質アルミノケイ酸塩の製造において、アルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩を反応させる際の反応系のpHは、8〜14であるが、9.5 〜13.5がより望ましい。
【0030】この様な方法で製造された非晶質アルミノケイ酸塩に、非イオン界面活性剤を吸蔵させ、それを洗浄剤組成物に配合すると、長期保存後においても高水温時の洗浄剤組成物の溶解性、分散性が著しく改善される。
【0031】さらに、アルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩を反応させる時の温度(一次反応温度)は15℃〜60℃が望ましく、特に30〜50℃が望ましい。また、一次反応時間は3〜120 分間が望ましい。また、一次反応後、温度15〜100 ℃で1分間以上、望ましくは30分間以上、二次反応(いわゆる熟成)を行なうことが望ましい。
【0032】更に、本発明の成分(b) である非晶質アルミノケイ酸塩の製造は、アルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩の反応によって得られるスラリーに、無機酸、有機酸および酸性塩より選ばれる1種以上の酸剤を添加し、スラリーのpHをアルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩の反応時のpHより1以上酸性側に調整し、pH5〜13とするという工程を経ることが望ましい。ここで用いる酸剤として、反応時に添加される酸剤と同様のものを挙げることができる。具体的には、無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、炭酸、燐酸等が挙げられ、有機酸としては、蟻酸、酢酸、酪酸、カプロン酸、アクリル酸、蓚酸、琥珀酸、アジピン酸、安息香酸、クエン酸等が挙げられる。また、酸性塩としては、前記無機酸又は有機酸の酸性塩、たとえば燐酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、琥珀酸ナトリウム等の不完全中和塩が挙げられる。酸剤は、これらに限定されるものではなく、また、1種のみを用いても、2種以上の混合物を用いてもかまわない。特に、硫酸、炭酸、燐酸、クエン酸等の、その中和後の塩が洗浄剤組成物に配合された時に問題のないものがより望ましい。
【0033】この様にして得られた非晶質アルミノケイ酸塩は、より高水温時の溶解性が改善されており、また、このような方法によると、高吸油能を持つものが得られる。
【0034】本発明に係る非晶質アルミノケイ酸塩の製造においては、更に好ましくは、反応系に、水溶性でかつ溶解度パラメーター[C. M. Hansen, J. Paint Tech., 39,104 (1967) に記載されているものであり、SP値と略す]が7.5 〜20である溶剤を反応系に対して0.5 〜50重量%(全反応容積に対する割合)添加して、アルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩を反応させる。これにより、吸油能が更に高い非晶質アルミノケイ酸塩が得られる。このような溶剤は、反応前の各原料溶液中に添加してもよいし、反応時に溶液(懸濁液)に添加してもよい。このような溶剤として好ましいものは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、エチレングリコール等である。
【0035】上記製造条件によって得られる非晶質アルミノケイ酸塩の中で、特に以下の構造式(II)で示されるものは、カルシウム捕捉能が120 CaCO3 mg/g以上であるという性能を持つため、ビルダーとしても優れている。
x"(M2O)・y"(MeO)・Al2O3・z"(SiO2) (III)(式中、M はアルカリ金属原子、Meはアルカリ土類金属原子、x"、y"、z"は各成分のモル数を表し、 0.5≦x"≦1.7 、0≦y"≦0.1 、 1.8≦z"≦4.5 である。)尚、カルシウム捕捉能の測定は、次のように行う。即ち、非晶質アルミノケイ酸塩サンプル約0.1 gを精秤し、それを塩化カルシウム水溶液(炭酸カルシウムとして計算して500ppm)100ml 中に加え、得られた混合物を25℃で15分攪拌した後、東洋濾紙No.5C にて吸引濾過を行い、得られた濾液中のカルシウムイオンをEDTAを用いて測定し、算出する。
【0036】本発明において、成分(b) として用いられる非晶質アルミノケイ酸塩の吸油能は100 ml/100 g以上であり、好ましくは150 ml/100 g以上である。非晶質アルミノケイ酸塩の吸油能が100 ml/100 g未満では、十分に非イオン界面活性剤を吸蔵できず、そのために、非イオン界面活性剤がしみ出し、それが洗浄剤組成物のケーキングの原因となり、またその溶解性が低下する。
【0037】本発明の粉末洗浄剤組成物には、上記成分(a) 及び(b) の他に、成分(c) として、アルカリ性及び/又は中性の塩を配合することが望ましい。アルカリ性及び/又は中性の塩は、無機塩または有機塩のいずれかであり、水溶液中で7以上のpH値を示すものである。具体的には、無機塩として、アルカリ金属の各種の硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、ケイ酸塩、層状ケイ酸塩、ほう酸塩、4ほう酸塩、燐酸塩、ポリ燐酸塩、トリポリ燐酸塩、ピロ燐酸塩等が挙げられる。また、有機塩としては、2−ホスホノブタン−1,2 −ジカルボン酸塩等のホスホカルボン酸塩;アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等のアミノ酸塩;アミノトリ(メチレンスルホン酸)塩、1−ヒドロキシエチリデン−1,1 −ジスルホン酸塩、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)塩、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)塩、ニトリロ3酢酸塩、エチレンジアミン4酢酸塩等のアミノポリ酢酸塩;クエン酸塩;ポリアクリル酸塩;ポリアコニット酸塩;ジグリコール酸塩;オキシカルボン酸塩;特開昭54−52196 号公報記載のポリアセタールカルボン酸重合体の塩;パラトルエンスルホン酸塩;スルホコハク酸塩等が挙げられる。
【0038】本発明の粉末洗浄剤組成物に、これらの塩を加えることにより、高水温下での洗剤粒子の溶解性、分散性が向上する。また、これらは、アルカリ塩として、あるいはビルダーとしても働く。アルカリ性及び/又は中性の塩は、上記例示中から選択されることが好ましく、本発明の組成物中に、好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは10〜70重量%、特に好ましくは10〜50重量%配合される。5重量%未満では、上記の効果が得られず、一方、70重量%を越えるということは、他成分の配合量を制約することになり、それにより、洗浄剤組成物の洗浄力低下が生じる。
【0039】本発明においては、上記成分(a) 、(b) 及び(c) の他に、更に、成分(d) として、結晶性アルミノケイ酸塩を加えることにより、粒子の分散性、洗浄剤組成物の非ケーキング性を更に向上させることができる。結晶性アルミノケイ酸塩(ゼオライト)としては、下記の式(1) で示されるA型、X型、P型ゼオライトに代表される、平均一次粒子径が 0.1〜20μm 、好ましくは1〜10μm の合成ゼオライトが好適に使用され、特に、下記一般式(2) で表されるものが好ましく用いられる。
u(M2O)・Al2O3・v(SiO2)・w(H2O) (1)(式中、M はアルカリ金属原子、u 、v 、w は各成分のモル数を表し、一般的には、 0.7≦u≦1.5 、 0.8≦v≦6、w は任意の正数である。)
Na2O・Al2O3・n(SiO2)・m(H2O) (2)(式中、n は 1.8〜3.0 、m は1〜6の任意の正数を表す。)
このようなゼオライトは、粉末及び/又はゼオライトスラリーを乾燥して得られるゼオライト凝集乾燥粒子として、洗浄剤組成物中に配合される。結晶性アルミノケイ酸塩は、本発明の組成物中に10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは30〜50重量%配合することができる。
【0040】従来の非晶質アルミノケイ酸塩や、従来の製造方法で製造された非晶質アルミノケイ酸塩を、非イオン性粉末洗浄剤組成物の製造に用いると、具体的には、従来の非晶質アルミノケイ酸塩に非イオン界面活性剤を吸蔵させ、それを用いて非イオン性粉末洗浄剤組成物を製造すると、得られた洗浄剤組成物は、高温下に保存されることにより、30℃以上の高温水に溶解させられたときの溶解性、分散性が著しく悪化した。この原因としては、次のことが推測される。即ち、細孔径の小さい非晶質アルミノケイ酸塩に非イオン界面活性剤を吸蔵させると、それを30℃以上の高温水に溶解させたとき、細孔からの非イオン界面活性剤の溶け出し性が悪いこと、更に、非晶質アルミノケイ酸塩に含有される水分量が多いと、非晶質アルミノケイ酸塩の細孔内で非イオン界面活性剤がゲル化し、粒子間で凝集が起こり、粒子の分散性が悪化し、溶解性が低下することが原因と推測される。一方、非晶質アルミノケイ酸塩の含有水分量が非常に少ない場合には、非晶質アルミノケイ酸塩が非常に高い吸湿性を持ち、そのために、高湿下において、そのような非晶質アルミノケイ酸塩が配合されてなる洗浄剤組成物がケーキングを生じる事がわかった。そこで、本発明者らが、これらの問題点について鋭意検討した結果、成分(b) として示した特定の非晶質アルミノケイ酸塩を非イオン界面活性剤の吸蔵体として使用し、好ましくは成分(c) のアルカリ性及び/又は中性の塩をも配合して洗浄剤組成物を調製することにより、上記のような問題が生じないことを見いだした。更に、成分(d) の結晶性アルミノケイ酸塩をも加えることにより、洗浄剤組成物の非ケーキング性もより向上させることができる。
【0041】本発明の粉末洗浄剤組成物には、上記の成分に加え、任意成分として、慣用の補助添加剤、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース等の再汚染防止剤;プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼなどの酵素;タルク、カルシウム等のケーキング防止剤;第3ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール等の酸化防止剤;蛍光染料;青味付剤;香料等を配合することができるが、これらについては特に限定されず、目的に応じた配合がなされてよい。更に、柔軟洗浄剤組成物とする場合には陽イオン性界面活性剤など、漂白洗浄剤組成物とする場合には過炭酸ナトリウムや過ホウ酸ナトリウムの1又は4水和物等の漂白剤など、泥汚れに対する洗浄力を高めたい場合には陰イオン性界面活性剤などを少量配合してもよい。
【0042】本発明の粉末洗浄剤組成物の製造方法は、特に限定されないが、成分(b) の非晶質アルミノケイ酸塩を、そして、必要ならばアルカリ性及び/又は中性塩や結晶性アルミノケイ酸塩をも混合しながら、そこに液体の非イオン界面活性剤を徐々に添加ないし噴霧し、均一混合物を得、次いで香料、酵素などの少量成分、さらには、漂白洗浄剤組成物とする場合には漂白剤などを混合することにより、容易に得ることができる。
【0043】
【実施例】次に、本発明を実施例をもって説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0044】なお、本発明の成分(b) である非晶質アルミノケイ酸塩の合成例も以下に示す。
【0045】合成例A−1アルミン酸ナトリウム水溶液(Na2O 1.55 重量%、Al2O3 2.30重量%、Na2O/Al2O3=1.11 (モル比) )1010gを40℃に加熱し、1500rpm の回転数で攪拌しながら、そこに、ケイ酸ナトリウム水溶液(Na2O 2.75 重量%、SiO2 7.88 重量%、SiO2/Na2O=2.96(モル比))700 gと塩化カルシウム2水和物 1.2gを20分間かけて滴下しつつ反応させた。滴下終了後、さらに15分間加熱処理を行い、その後、固体を濾別、洗浄した。得られた湿潤ケーキを、 105℃、300torr で10時間乾燥し、粉砕することによって、X線的に非晶質のアルミノケイ酸塩微粉末を得た。
【0046】得られた非晶質アルミノケイ酸塩の組成は、原子吸光分析及びプラズマ発光分析の結果、 Al2O3=21.1重量%、SiO2=57.2重量%、Na2O=20.8重量%、CaO =0.9 重量%であった(1.65Na2O・0.08CaO・Al2O3・4.75SiO2)。また、その吸油能は210 ml/100 g、0.1μm未満の細孔径を持つ細孔容積の比率は12.3%、0.1μm 以上 2.0μm 以下の細孔径を持つ細孔容積の比率は72.1%、含有水分量は11重量%であった。
【0047】合成例A−2アルミン酸ナトリウム水溶液(Na2O:Al2O3 =20.3:28.2(重量比)のアルミン酸ナトリウム 100重量部にイオン交換水2000重量部を加えて調製したもの、Na2O=1.99重量%、 Al2O3=2.77重量%)800 gに、2倍の水で希釈した3号水ガラス溶液(市販3号水ガラス100 重量部にイオン交換水200 重量部を加えて調製したもの)100 gを20分間かけて滴下しつつ反応させた。滴下終了後、さらに60℃で20分間加熱処理を行い、その後、固体を濾別、洗浄した。得られた湿潤ケーキを120 ℃で12時間乾燥し、解砕機で微粉化して非晶質アルミノケイ酸塩を得た。
【0048】得られた非晶質アルミノケイ酸塩の組成は、原子吸光分析及びプラズマ発光分析の結果、 Al2O3=27.2重量%、SiO2=51.2重量%、Na2O=21.6重量%であった(1.31 Na2O・Al2O3・3.2 SiO2) 。また、その吸油能は 200ml/100g、 0.1μm未満の細孔径を持つ細孔容積の比率は 8.2%、 0.1μm 以上、 2.0μm 以下の細孔径を持つ細孔容積の比率は78.8%、含有水分量は9重量%であった。
【0049】比較合成例A−1イオン交換水55gに、合成例A−1と同様のアルミン酸ナトリウム水溶液51.05gを加え、得られた溶液に、合成例A−2と同様に2倍の水で希釈した3号水ガラス水溶液 268.3gを、撹拌下、40℃にて、20分間かけて滴下しつつ反応させた。滴下終了後、50℃まで加熱し、同温度で30分間、さらに反応させた。得られた湿潤ケーキを 200℃にて6時間乾燥後、解砕機で微粉化し、アルミノケイ酸塩を得た。
【0050】得られた粉体の組成は、原子吸光分析及びプラズマ発光分析の結果、Al2O3 =29.7重量%、SiO2=52.5重量%、Na2O=17.8重量%であった (0.99Na2O・Al2O3・3.0SiO2)。また、その吸油能は 210ml/ 100g、 0.1μm 未満の細孔径を持つ細孔容積の比率は43%、0.1 μm 以上、2.0 μm 以下の細孔径を持つ細孔容積の比率は45%、含有水分量は12重量%であった。
【0051】比較合成例A−2合成例A−2と同様に湿潤ケーキを調製し、得られた湿潤ケーキを 100℃、6時間乾燥し、解砕機で微粉化して非晶質アルミノケイ酸塩を得た。得られた非晶質アルミノケイ酸塩の組成は原子吸光分析及びプラズマ発光分析の結果、Al2O3=27.2重量%、SiO2=51.2重量%、Na2O=21.6重量%となった(1.31Na2O・Al2O3・3.2SiO2)。吸油能は 200ml/100 g、 0.1μm 未満の細孔径を持つ細孔容積の比率は 8.2%、 0.1μm以上、 2.0μm以下の細孔径を持つ細孔容積の比率は78.8%、含有水分量は28.5重量%であった。
【0052】比較合成例A−3比較合成例A−1と同様に湿潤ケーキを調製した。得られた湿潤ケーキを 200℃にて15時間乾燥し、解砕機で微粉化し、非晶質アルミノケイ酸塩を得た。
【0053】得られた非晶質アルミノケイ酸塩の組成は、原子吸光分析及びプラズマ発光分析の結果、 Al2O3=29.7重量%、SiO2=52.5重量%、Na2O=17.8重量%であった(0.99 Na2O・Al2O3・3.0 SiO2) 。また、その吸油能は 210ml/100g、 0.1μm未満の細孔径を持つ細孔容積の比率は43%、 0.1μm 以上、 2.0μm 以下の細孔径を持つ細孔容積の比率は45%、含有水分量は 3.5重量%であった。
【0054】実施例1牛脂脂肪酸ソーダ3重量%、表1及び表2に示す量の各種非晶質アルミノケイ酸塩、ゼオライト及び各種塩と、蛍光染料 0.5重量%とを、攪拌転動造粒機(レディゲミキサー)に入れ、そこに、液状非イオン界面活性剤(融点が15℃で、エチレンオキサイド平均付加モル数7、アルコールの炭素数12〜14のポリオキシエチレン合成アルコールエーテル)を徐々に導入し、次いでポリオキシエチレングリコール溶融物2重量%を添加し、さらに酵素 0.5重量%、香料 0.5重量%及び水2重量%を加えて混合し、表1及び表2に示す組成の粉末洗浄剤組成物を得た。
【0055】これらの粉末洗浄剤組成物について、溶解性、非ケーキング性を、以下の方法により測定した。表1及び表2にその結果を示す。
【0056】<評価方法>1. 溶解性試験粉末洗浄剤組成物をサンプル瓶に入れ、完全密閉後、30℃、70%RHに3日間放置した。その後、粉末洗浄剤組成物 1.0gをサンプリングし、10℃、30℃あるいは40℃の水道水1リットル中に加え、マグネチックスターラーにて10分攪拌した。得られた混合物を 200メッシュの金網を用いて濾過し、濾過残を乾燥させ、乾燥後の濾過残量比率(%)を求めた。
【0057】2. 非ケーキング性試験(1) 濾紙(東洋濾紙 NO.2)で、長さ10.2cm×幅6.2 cm×高さ4cmの天部のない箱を作った。なお。四隅はホッチキスで止めた。
(2) この箱に試料(粉末洗浄剤組成物)50gを入れ、試料の上にアクリル樹脂板と鉛板(または鉄板)(重量合計:265g(250g+15g))をのせた。
(3) この状態で、温度30℃、湿度80%の高温高湿器中に放置し、7日後に、試料のケーキング状態について判定を行なった。
非ケーキング性の判定は、以下のようにして、試料の通過率を求めることにより行った。
【0058】<通過率>試験後の試料を金網(またはフルイ、網目5mm×5mm)上に静かにあけ、金網を通過した粉末の重量を測り、下記式により試験後の試料の通過率を求める。
【0059】
【数1】


【0060】
【表1】


【0061】
【表2】


【0062】合成例B−1イオン交換水に炭酸ソーダを溶解させ、6重量%濃度の水溶液を用意した。この水溶液132 gとアルミン酸ソーダ水溶液38.28 gを容量1000mlの邪魔板付き反応槽に入れた。得られた混合溶液に、強攪拌下、2倍の水で希釈した3号水ガラス201.4 gを、40℃にて、20分間かけて滴下しつつ反応させた。この際、CO2 ガスを吹き込むことによって反応系のpHをコントロールし(pH=10.5)、反応速度を最適化した。このような一次反応終了後、反応系を50℃まで加熱し、同温度で30分間、二次反応を行わせた。その後、反応系にCO2 ガスを吹き込み、過剰アルカリを中和した(pH=9.0 )。得られた中和スラリーを、濾紙(東洋濾紙(株)製 No.5C)を用いて、減圧下に濾過した。濾過ケーキを、1000倍の水で洗浄し、濾過乾燥(105 ℃、300 torr、10時間)し、残部はそのまま(洗浄せずに)同条件で乾燥した。更に、解砕を行い、本発明の非晶質アルミノケイ酸塩粉体を得た。なおアルミン酸ソーダ水溶液は1000ccの4つ口フラスコにAl(OH)3 243 gと48%NaOH水溶液298.7 gを入を混合し、攪拌下110 ℃まで加熱し、30分間溶解して調製した。
【0063】得られた非晶質アルミノケイ酸塩の組成は、原子吸光分析及びプラズマ発光分析の結果、Al2O3=29.6重量%、SiO2=52.4重量%、Na2O=18.0重量%であった(1.0 Na2O・Al2O3 ・3.01 SiO2)。また、Caイオン捕捉能は165 CaCO3 mg/g、吸油能は265 ml/100 g、0.1 μm 未満の細孔径を持つ細孔容積の比率は 9.4%、0.1 μm 以上 2.0μm 以下の細孔径を持つ細孔容積の比率は76.3%、含有水分量は11.2重量%であった。
【0064】合成例B−2合成例B−1で準備した炭酸ソーダの6重量%水溶液55gと、アルミン酸ソーダ水溶液51.04 gとエタノール25gを、容量1000mlの邪魔板付き反応槽に入れた。得られた混合溶液に、強攪拌下、2倍の水で希釈した3号水ガラス268.5 gと塩化カルシウム2水和物0.5 gを、40℃にて、20分間かけて滴下しつつ反応させた。この際、反応系にクエン酸を加え、反応系のpHが11となるようにコントロールした。このような一次反応終了後、反応系を40℃とし、同温度で30分間二次反応を行わせた。その後、反応系にCO2 ガスを吹き込み、過剰アルカリを中和した(pH=9.8 )。得られた中和スラリーを、合成例B−1と同様に、濾過、乾燥、解砕し、本発明の非晶質アルミノケイ酸塩粉末を得た。
【0065】得られた非晶質アルミノケイ酸塩の組成は、原子吸光分析及びプラズマ発光分析の結果、 Al2O3=29.3重量%、SiO2=52.2重量%、Na2O=17.7重量%、CaO =0.8 重量%であった(0.99 Na2O・0.05 CaO・Al2O3 ・3.03 SiO2)。また、Caイオン捕捉能は164 CaCO3 mg/g、吸油能は310 ml/100 g、 0.1μm 未満の細孔径を持つ細孔容積の比率は10.3%、0.1 μm 以上2.0 μm 以下の細孔径を持つ細孔容積の比率は74.2%、含有水分量は10.9重量%であった。
【0066】比較合成例B−1イオン交換水55gとアルミン酸ソーダ水溶液51.04 gを、容量1000mlの邪魔板付き反応槽に入れた。得られた混合溶液に、強攪拌下、2倍の水で希釈した3号水ガラス268.5 gを、40℃にて、20分間かけて滴下しつつ反応させた。このような一次反応終了後、反応系を50℃まで加熱し、同温度で30分間二次反応を行わせた。得られた反応スラリーを、合成例B−1と同様に、濾過、乾燥、解砕した。
【0067】得られた粉体の組成は、原子吸光分析及びプラズマ発光分析の結果、 Al2O3=29.8重量%、SiO2=52.5重量%、Na2O=17.7重量%であった(0.98 Na2O・Al2O3・3.00 SiO2)。また、Caイオン捕捉能は133 CaCO3 mg/g、吸油能は150ml/100g、 0.1μm 未満の細孔径を持つ細孔容積の比率は40%、0.1 μm 以上2.0 μm以下の細孔径を持つ細孔容積の比率は44%、含有水分量は11.3重量%であった。
【0068】実施例2牛脂脂肪酸ソーダ3重量%、表3に示す量の各種非晶質アルミノケイ酸塩、ゼオライト、塩および蛍光染料 0.5重量%を攪拌転動造粒機 (レディゲミキサー)に入れ、そこに、液状非イオン界面活性剤(融点が15℃で、エチレンオキサイド平均付加モル数7、アルコールの炭素数12〜14のポリオキシエチレン合成アルコールエーテル)を徐々に導入し、次いで、ポリオキシエチレングリコール溶融物2重量%を添加し、さらに、酵素 0.5重量%、香料 0.5重量%及び水2重量%を加えて混合し、表3に示す組成の粉末洗浄剤組成物を得た。
【0069】これらの粉末洗浄剤組成物について、実施例1に記載の方法により、溶解性試験を行った。表3にその結果を示す。
【0070】
【表3】


【0071】実施例3実施例1の表1中、組成物1−3で使用した非晶質アルミノケイ酸塩(合成例A−2)の代わりに、合成例B−1で得られた非晶質アルミノケイ酸塩を使用して、組成物1−3’を調製した。この組成物1−3’と組成物1−3を用いて実施例1と同様に溶解性を評価した。ただし、保存期間は30日とした。その結果を表4に示す。
【0072】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記の成分(a) を12〜40重量%、成分(b) を5〜60重量%含有し、成分(a) が成分(b) を含む粉粒体洗剤原料に吸蔵されてなる非イオン性粉末洗浄剤組成物。
(a) 融点が40℃以下である非イオン界面活性剤(b) 吸油能が 100ml/100 g以上で、含有される水分量が5重量%以上、20重量%以下であり、細孔径 0.1μm 未満の細孔の容積が全細孔容積の20%以下であり、細孔径0.1 μm 以上、 2.0μm 以下の細孔の容積が全細孔容積の50%以上であり、組成が次式(I) で示される非晶質アルミノケイ酸塩x(M2O)・y(MeO)・Al2O3・z(SiO2) (I)(式中、M はアルカリ金属原子、Meはアルカリ土類金属原子、x 、y 、z は各成分のモル数を表し、0.2≦x≦2.0 、0≦y≦0.1 、1.5≦z≦6.0である。)
【請求項2】 成分(a) を12〜35重量%、成分(b) を5〜40重量%含有する請求項1記載の非イオン性粉末洗浄剤組成物。
【請求項3】 成分(a) の非イオン界面活性剤がアルキル基の平均炭素数が10〜20でエチレンオキサイド平均付加モル数5〜15のポリオキシエチレンアルキルエーテルである請求項1又は2記載の非イオン性粉末洗浄剤組成物。
【請求項4】 (b) 非晶質アルミノケイ酸塩が、その製造工程におけるアルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩の反応時に、無機酸、有機酸および酸性塩より選ばれる1種以上の酸剤を反応系に添加し、反応系のpHを8〜14としてアルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩を反応させることにより得られるものである請求項1〜3の何れか1項記載の非イオン性粉末洗浄剤組成物。
【請求項5】 (b) 非晶質アルミノケイ酸塩が、一次反応温度15〜60℃、二次反応温度15〜100 ℃で、アルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩を反応させることにより得られたものである請求項4記載の非イオン性粉末洗浄剤組成物。
【請求項6】 (b) 非晶質アルミノケイ酸塩が、アルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩の反応によって得られるスラリーに、無機酸、有機酸および酸性塩より選ばれる1種以上の酸剤を添加し、スラリーのpHをアルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩の反応時の系のpHより1以上酸性側に調整し、pH5〜13とするという工程を経て得られたものである請求項4記載の非イオン性粉末洗浄剤組成物。
【請求項7】 (b) 非晶質アルミノケイ酸塩が、水溶性でかつ溶解度パラメーターが 7.5〜20である溶剤を反応系に対して0.5 〜50重量%添加してアルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩を反応させることにより得られたものである請求項4記載の非イオン性粉末洗浄剤組成物。
【請求項8】 (b) 非晶質アルミノケイ酸塩が、吸油能が 150ml/100 g以上であり、カルシウム捕捉能が120 CaCO3 mg/g以上のものである請求項4記載の非イオン性粉末洗浄剤組成物。
【請求項9】 下記の成分(a) を12〜35重量%、成分(b) を5〜40重量%及び成分(c) を5〜70重量%含有し、成分(a) が成分(b) を含む粉粒体洗剤原料に吸蔵されてなる非イオン性粉末洗浄剤組成物。
(a) 融点が40℃以下である非イオン界面活性剤(b) 吸油能が 100ml/100 g以上で、含有される水分量が5重量%以上、20重量%以下であり、細孔径 0.1μm 未満の細孔の容積が全細孔容積の20%以下であり、細孔径0.1 μm 以上、 2.0μm 以下の細孔の容積が全細孔容積の50%以上であり、組成が次式(I)で示される非晶質アルミノケイ酸塩x(M2O)・y(MeO)・Al2O3・z(SiO2) (I)(式中、M はアルカリ金属原子、Meはアルカリ土類金属原子、x 、y 、z は各成分のモル数を表し、0.2≦x≦2.0 、0≦y≦0.1 、1.5≦z≦6.0である。)(c) アルカリ性及び/又は中性の塩
【請求項10】 下記の成分(a) を12〜35重量%、成分(b) を5〜40重量%、成分(c) を5〜70重量%及び成分(d) を10〜60重量%含有し、成分(a) が成分(b) を含む粉粒体洗剤原料に吸蔵されてなる非イオン性粉末洗浄剤組成物。
(a) 融点が40℃以下である非イオン界面活性剤(b) 吸油能が 100ml/100 g以上で、含有される水分量が5重量%以上、20重量%以下であり、細孔径 0.1μm 未満の細孔の容積が全細孔容積の20%以下であり、細孔径0.1 μm 以上、 2.0μm 以下の細孔の容積が全細孔容積の50%以上であり、組成が次式(I)で示される非晶質アルミノケイ酸塩x(M2O)・y(MeO)・Al2O3・z(SiO2) (I)(式中、M はアルカリ金属原子、Meはアルカリ土類金属原子、x 、y 、z は各成分のモル数を表し、0.2≦x≦2.0 、0≦y≦0.1 、1.5≦z≦6.0である。)(c) アルカリ性及び/又は中性の塩(d) 結晶性アルミノケイ酸塩