説明

非ハロゲン樹脂系積層体

【課題】 耐候性、耐熱性、耐変色性に優れている非ハロゲン系樹脂製積層体を提供することである。
【解決手段】 非ハロゲン系樹脂100重量部に対して、光安定剤を0.05〜3.0重量部と酸化防止剤を0.01〜2.0重量部とを含有してなる非ハロゲン系樹脂製シートを最表面に有してなる非ハロゲン系樹脂製積層体としたことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非ハロゲン系樹脂製積層体に関するものであり、さらに詳しくは耐候性を必要とする建築物、屋外などに使用する積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンションや住宅等の建築物などに用いられる積層体は、施工作業性の点から柔軟性が、耐久性の点から耐摩耗性および耐汚染性が、そして装飾性の点から意匠性が重要な機能として求められ、これらの機能を個々に満足させるものとして従来では、ポリ塩化ビニル樹脂またはポリオレフィン系樹脂を用いた積層体がある。
しかし、ポリ塩化ビニル等のハロゲン系樹脂を使用した積層体は、柔軟性に優れているので施工性は良いが、焼却時に塩酸ガス等の有害ガスを発生したり、使用中に可塑剤が滲み出す等の問題があった。
更に、ハロゲン系樹脂を用いた積層体は、揮発性有機化合物(以下、VOCと称する。)が比較的多く含まれているため、シックハウス症候群等の問題も指摘されている。
一方、ポリオレフィン系樹脂を単独またはブレンドした製品の研究も数多くされている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、特許文献1のものは、耐候性は優れているが耐変色性が悪いという問題があった。
【0003】
【特許文献1】特開2001−239625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記のような問題点を解決し、耐候性、耐熱性、耐変色性に優れた非ハロゲン系樹脂製積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために成した本発明の手段は、非ハロゲン系樹脂100重量部に対して、光安定剤を0.05〜3.0重量部と酸化防止剤を0.01〜2.0重量部とを含有してなる非ハロゲン系樹脂製シートを最表面に有してなる非ハロゲン系樹脂製積層体としたことである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光安定剤を0.05〜3.0重量部と酸化防止剤を0.01〜2.0重量部とを含有する非ハロゲン系樹脂製シートとしたため、非ハロゲン系樹脂製シートでありながら耐候性、耐熱性が優れていると共に耐変色性に優れる非ハロゲン系樹脂製積層体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明の好ましい実施の形態を説明する。
本発明に係る非ハロゲン系樹脂製シートは、シート単体でも使用可能であるが、裏面に用途に応じて各種の層を設けて積層体として使用することができる。例えば、基材のガラスクロスに非ハロゲン系樹脂製の裏層、意匠層、本発明の非ハロゲン系樹脂製シートを順に積層すれば床材とすることができる。また、本発明の非ハロゲン系樹脂製シートを表層に積層して用いれば屋上の防水シート、バルコニー、マンション開放廊下、テント等にも使用することができる。
【0008】
本発明に使用する非ハロゲン系樹脂としては、ハロゲン原子を実質的に含まない樹脂であれば特に制限はない。例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、非晶性α−オレフィンの共重合体、エチレンと炭素数が3〜12のα−オレフィンの共重合体、エチレンプロピレンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ブチルゴム、二トリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、スチレン系共重合体(例えば、スチレン−エチレン−スチレンブロック共重合体(SES)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等]、水素添加スチレン系共重合体[例えば、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBBS)、水素添加スチレン−ブタジエンゴム(HSBR)等]、メタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等から選ばれた一種または二種以上をブレンドしたものを挙げることができる。
【0009】
本発明の非ハロゲン系樹脂製積層体は、施工性等の取扱い性を考慮するとその曲げこわさが1〜300MPaの範囲にあるものが好ましい曲げこわさが1MPa未満の場合にはシートの強度が小さくなり、300MPaを超える場合には硬くなるため、強度、施工性の取り扱い性の面から曲げこわさは1〜300MPaの範囲が適当である。
【0010】
本発明に使用する非ハロゲン系樹脂の流動特性(MFR)は、加工性の面から0.1〜100g/10minが好ましい。MFRが0.1g/10min未満の場合は加工時の樹脂温が高くなったり成形機への負荷が大きくなったりし、100g/10minを超える場合には成形品が引き取れなかったりする場合があるためMFRは0.1〜100g/10minが適当である。
【0011】
光安定剤としてのN−置換ヒンダードアミン化合物には、N−水素置換ヒンダードアミン化合物、N−メチル置換ヒンダードアミン化合物やN−アルコキシル置換ヒンダードアミン化合物がある。
【0012】
本発明に使用するN−水素置換ヒンダードアミン化合物(N−H型)としては、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,6−ヘキサジアミン,N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)n−,2,4−ジクロロ−6−(4−モルフォリニル)−1,3,5−トリアジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−C12〜C21及びC18不飽和脂肪酸エステル、等が挙げられる。
【0013】
本発明に使用するN−メチル置換ヒンダードアミン化合物(N−Me型)としては、N,N′,N″,N″′−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,6−ヘキサジアミン,N,N′−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)n−,モルフォリニル−2,4,6−トリクロロ−1,3,5トリアジン、等が挙げられる。
【0014】
本発明に使用するN−アルコキシル置換ヒンダードアミン化合物(N−OR型)としては、ヒンダードアミン化合物中に含まれる窒素原子にアルコキシル基が結合している化合物であり、デカン酸二ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、過酸化処理した4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン、及びシクロヘキサン、N,N‘−エタン−1,2−ジイルビス(1,3−プロパンジアミン)との反応性生物等が挙げられる。
【0015】
光安定剤の添加量は0.05〜3.0重量部の範囲であり、好ましくは0.1〜2.0重量部で、より好ましくは0.2〜1.0重量部である。0.05重量部未満では耐候性が劣り、3.0重量部を超えると耐変色性が悪化する。
【0016】
さらに耐候性を向上させる目的で、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等をブレンドして使用することができる。
【0017】
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−ベンゾトリアゾール2−イル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェニル、等が挙げられる。
【0018】
上記トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕−フェノール、2−〔4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−5−(オクチルオキシ)−フェノール、等が挙げられる。
【0019】
上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、等が挙げられる。
【0020】
上記ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5,−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0021】
本発明に使用する酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、ヒドロキシルアミン系等の酸化防止剤が例示でき、1種または2種以上を併用して使用することが可能であり、その添加量は非ハロゲン系樹脂100重量部に対して0.01〜2.0重量部の範囲であり、好ましくは0.1〜1.0重量部であり、より好ましくは0.1〜0.5重量部である。酸化防止剤の添加量が0.01重量部未満の場合は成形時の耐熱性が劣り、2.0重量部を超えると耐変色性が悪化する。
【0022】
上記フェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
【0023】
上記リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4‘−ジイルビスフォスファナイト等が挙げられる。
【0024】
上記ヒドロキシルアミン系酸化防止剤としては、N,N−ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクチルヒドロキシルアミン、N,N−ジテトラデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジヘキサデシルヒドロキシルアミン、N−ヘキサデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、水素化した獣脂アミンから誘導したN,N−ジアルキルヒドロキシルアミン等が挙げられる。
【0025】
また、本発明に係わる非ハロゲン系樹脂製シートには性能、透明性等を害さない範囲で、滑剤(脂肪酸の金属石鹸、脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪族アルコール、パラフィン、ポリエチレンワックス、ビスアマイド等)、難燃剤、抗菌剤、防バイ剤、加工助剤、消臭剤などを添加することができる。
【0026】
更に、本発明に係わる非ハロゲン系樹脂製シートには、意匠性を向上させるためにエンボス加工を施したり、衝撃吸収性を付与するために非ハロゲン系樹脂発泡体を積層することができる。発泡体に用いる非ハロゲン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0027】
非ハロゲン系樹脂製積層体には、寸法安定性と床下地面に対する接着性を向上させるために、樹脂層の裏面または樹脂層の中間のいずれかに基布を積層してもよい。基布としては、ガラス繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維等の合成繊維、或いは綿、麻等の天然繊維からなる繊維の単独または混紡による織布または不織布を用いることができる。
基布には樹脂層との接着性を向上させるために、アクリル系、スチレン系、アクリル−スチレン系、酢酸ビニル系、エチレン−酢酸ビニル系、ウレタン系、エポキシ系、スチレン−ブタジエン系、ポリエステル系等の各種処理剤を塗布することができる。
【0028】
また、上記樹脂発泡体の種類としては架橋タイプと非架橋タイプがあり、どちらも使用することができる。発泡体のセルの大きさとしては、衝撃吸収性の面から10〜1000μmがよい。発泡体の気泡構造は独立気泡、連続気泡のどちらでもよい。発泡体の厚さは0.5〜5mm程度のものが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0029】
本発明の非ハロゲン系樹脂製シートには、上記発泡体、基布の他に非ハロゲン系の樹脂層を積層して非ハロゲン系樹脂製積層体とすることができる。本発明に係わる非ハロゲン系樹脂製シート、非ハロゲン系樹脂製積層体は、カレンダー成形法や押出成形法等により成形することができ、中でも生産性のよいカレンダー成形法が好ましい。
また、本発明の非ハロゲン系樹脂製積層体は、通常、0.8〜7.0mm程度の厚さ、500〜2500mm程度の幅のものが使用され、長さについても、定尺のカットものでもよいし長尺の巻物でもよい。
【実施例】
【0030】
実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。本発明に係る樹脂層を形成する組成の配合割合を表1、表2、表3に示す。実施例の各層に使用する配合Noを表4、比較例の各層に使用する配合Noを表5に示す。配合割合の単位は重量部である。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】





【0033】
【表3】

(1)EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製 UE634)
(2)TPO:オレフィン系熱可塑性エラストマー(Basell社製 KS353P)
(3)LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン(ダウ・ケミカル社製 EG−8200)
(4)ランダムPP:ランダムポリプロピレン
(日本ポリオレフィン社製 PM620A)
(5)酸化防止剤:フェノール系酸化防止剤(旭電化社製 AO−60)
(6)酸化防止剤:リン系
(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製 IRGAFOS168)
(7)酸化防止剤:ヒドロキシルアミン系
(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製 IRGASTAB FS 042)
(8)酸化防止剤:ラクトン系
(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製 HP−136)
(9)光安定剤:N−水素置換ヒンダードアミン系光安定剤
(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製 キマソーブ944)
(10)光安定剤:N−メチル置換ヒンダードアミン系光安定剤
(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製 キマソーブ119)
(11)光安定剤:N−アルコキシル置換ヒンダードアミン系光安定剤
(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製 チヌビン123S)
(12)光安定剤:N−アルコキシル置換ヒンダードアミン系光安定剤
(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製 FLAMESTAB NOR116FF)
(13)紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製 チヌビン326)
(14)充填剤:炭酸カルシウム(三共精粉社製 SCPE−810A)
(15)滑剤:ステアリン酸亜鉛(耕正製 Zn−st)
【0034】
<実施例1〜8>
上記表1に示した配合No1の組成物を、170〜180℃でカレンダーにて幅1950mm、厚み0.7mmに形成し、ポリエステル繊維からなる基布にラミネートして、その上面(基布と反対面)に上層として、表2に示した配合No2〜9の組成物をそれぞれ170〜180℃でカレンダーにて幅1950mm、厚み0.5mmで熱ラミネートして、非ハロゲン系樹脂製積層体を得た。
【0035】
<比較例1〜6>
上記表1に示した配合No1の組成物を、170〜180℃でカレンダーにて幅1950mm、厚み0.7mmに形成し、ポリエステル繊維からなる基布にラミネートして、その上面(基布と反対面)に上層として、表3に示した配合No10〜15の組成物をそれぞれ170〜180℃でカレンダーにて幅1950mm、厚み0.5mmで熱ラミネートして、非ハロゲン系樹脂製積層体を得た。
【0036】
実施例及び比較例から得られた非ハロゲン系樹脂製積層体の評価は以下の評価方法及び評価基準にて行い、その評価結果を表4に示す。
<評価方法及び評価基準>
[耐候性]
成形したシートをサンシャインウェザオメーター(ブラックパネル温度:63℃ 雨:18分/120分)による促進試験を1000時間実施後、表面をマイクロスコープ(200倍)で観察し評価した。
◎:クラックなし
○:クラックが僅かに認められるが使用上問題ない程度
×:クラックがあり、使用上問題となる
[耐変色性]
成形したシートを40℃のオーブンに入れ90日後に表面の変色程度を目視評価した。
◎:変色なし
○:僅かに変色が認められるが使用上問題ない程度
×:変色があり、使用上問題となる
[耐熱性]
実施例、比較例の各配合を170℃の2本ロールで混練し、60分後のロールへの粘着性を評価した。
◎:粘着なし
○:僅かに粘着あり
×:粘着あり
【0037】
【表4】











【0038】
【表5】

【0039】
表4、表5から、実施例1〜7の方が比較例1、5よりも耐候性が良いことが理解され、また、実施例1〜7の方が比較例2、4、6よりも耐変色性が良いことが理解される。さらに実施例1〜7の方が比較例3よりも耐熱性が良いことが理解される。これは、樹脂層に非ハロゲン系樹脂100重量部に対して、光安定剤0.05〜3重量部と酸化防止剤を0.01〜2重量部とを含有することの効果である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の非ハロゲン系樹脂製シートは、非ハロゲン系樹脂シートでありながら、耐候性、耐変色性に優れているため防水材、床材等の建築分野、レジャーシート等の屋外で使用するシートなどに広く利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ハロゲン系樹脂100重量部に対して、光安定剤を0.05〜3.0重量部と酸化防止剤を0.01〜2.0重量部とを含有してなる非ハロゲン系樹脂製シートを最表面に有してなることを特徴とする非ハロゲン系樹脂製積層体。

【公開番号】特開2008−230079(P2008−230079A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73819(P2007−73819)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000010010)ロンシール工業株式会社 (84)
【Fターム(参考)】