説明

非刺激組成物

【課題】非刺激化粧用および/または皮膚科用組成物の処方を可能にする基礎組成物を提供する。
【解決手段】当該基礎組成物は、一以上の電解質、緩衝剤、穏やかな保存剤、潤滑剤または何れかのその組み合わせを含む。一以上の上記成分は目に安全および/または目に適合性であることが好ましい。基礎組成物および一以上の日焼け止め活性組成物を含み哺乳類の目に対して非刺激性である光防護用化粧用および/または皮膚科用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本発明は、2005年6月20日に出願された米国仮出願60/692,106の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
1.発明の分野
本発明は、一般的には非刺激化粧用組成物に関する。より詳しくは、本発明は、非刺激性化粧用組成物の配合において使用するための基礎組成物に関する。
【0003】
2.関連技術の記載
化粧用および皮膚科的な組成物は、種々の形態、例えば、ローション、スプレー、クリーム、ゲル、ミルクなどにおいて、商業的に入手可能であり、当該技術分野において周知である。これらの組成物において使用される多くの成分、特に活性成分は、皮膚および/または目に対して刺激がある。光防御性組成物を製造するために一以上の日焼け止め活性成分を化粧用または皮膚科用組成物中に含むことが一般的である。
【0004】
光防御性組成物、例えば、日焼け止め(サンスクリーン)組成物は、皮膚に適用し、皮膚を紅斑、サンバーンとしても知られる赤色化を導く太陽の紫外線から保護する。UV−B範囲の日光または紫外線は、290nmから320nmの波長を有し、サンバーン(日焼け、sunburn)の主な原因として知られている。320nmから400nmの波長の紫外線は、UV−A照射として知られ、タンニング(日焼け、tanning)を作る。しかしながら、その過程で、UV−A線は皮膚を傷害したり損傷したりする。
【0005】
サンバーンの即時の弊害に加えて、過剰な日光照射は皮膚障害を引き起こす。例えば、長くおよび絶え間ない日光照射は、光化学作用による光線性角化症および癌を導き得る。もう一つの長期の効果は皮膚の早発性の加齢である。この状態は、皺、ひび割れた、弾力性のない皮膚により特徴付けられる。
【0006】
上記の状況から、日焼け止めは典型的に日光からの皮膚の損傷を防ぐことを目的として配合される。日焼け止め組成物は、皮膚を傷害し、損傷を与える有害なUV−AおよびUV−Bのフィルターとなったり、それらをブロックしたりする。日焼け止め剤はUV−Aおよび/またはUV−Bを吸収することにより達成すると考えられている。日焼け止め組成物は、典型的に、一以上の日焼け止め活性剤を配合し、UVAおよびUVB照射を吸収および/またはブロックする。当該組成物のSPFは、通常、当該組成物中に存在する日焼け止め活性剤の量により調節される。一般的には、当該組成物に含まれる日焼け止め活性剤が多ければ多いほど、SPFは高くなる。
【0007】
しかしながら、光防護組成物は、適用および使用時に肌および目に刺激を生じることが知られており、それは当該組成物中の多くの部分が一以上の有機性の日焼け止め活性剤であるためである。従来技術の組成物は、有機性日焼け止めを殆ど使わないか、含まずに、且つ非有機性の日焼け止め活性剤、例えば、二酸化チタンおよび/または酸化亜鉛などを単独または大部分として含む光防護組成物を再構成することによりこの問題を解決する試みをしてきた。非有機性日焼け止め活性剤のみを含む日焼け止めの例は、ツナミ・サン・ティアレス・サンスクリーン・ローション・SPF30(Tsunami Sun Tearless Sunscreen Lotion SPF 30)およびSPF45およびカリビアン・キッズ・サンブロック・SPF25(Karibbean Kidz Sunbolck SPF25)である。しかしながら、非有機性日焼け止めの主な使用または排他的な使用は、重大な問題または制限があり、これに限定するものではないが、例えば、皮膚の白色化、UVA保護の制限、コストの拘束、および高SPF値の組成物を形成することの困難の可能性がある。
【0008】
従来技術において明確に認められていないものが、本発明により予想外に達成され、それは一以上の有機日焼け止め活性剤を含む非刺激化粧用光防護組成物である。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、哺乳類の目に対して非刺激性の化粧用および/または皮膚科用組成物を処方することにおいて使用することが可能な基礎組成物を提供することである。
【0010】
本発明の更なる目的は、哺乳類の目に対して非刺激性の光防護化粧用および/または皮膚科用組成物の処方を可能にする前記基礎組成物を提供することである。
【0011】
本発明のもう一つの目的は、哺乳類の皮膚に対して非刺激性の光防護化粧用および/または皮膚科用組成物の処方を可能にする前記基礎組成物を提供することである。
【0012】
本発明のもう一つの目的は、電解質、緩衝剤、穏やかな保存剤、潤滑剤または何れかのそれらの組み合わせの少なくとも一つを含む前記基礎組成物を提供することである。
【0013】
更なる本発明の目的は、基礎組成物および一以上の日焼け止め活性剤を含む非刺激性の光防護性化粧用および/または皮膚科用組成物を提供することである。
【0014】
先の目的および利点を達成するために、本発明は、簡単な概要において、非刺激性化粧用および/または皮膚科用組成物の処方を可能にする基礎組成物である。当該基礎組成物は、一以上の電解質、緩衝剤、穏やかな保存剤、潤滑剤または何れかのそれらの組み合わせを含む。一以上の上記組成物は、目に安全および/または目に適合性であることが好ましい。本発明はまた、当該基礎組成物および一以上の日焼け止め活性成分を含み、哺乳類の目および/または哺乳類の皮膚に対して非刺激的である光防護性化粧用および/または皮膚科用組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、非刺激性化粧用組成物の処方のために許容される基礎組成物である。当該基礎組成物は、一以上の電解質、緩衝剤、穏やかな保存剤、潤滑剤または何れかのそれらの組み合わせを含有する。一以上の上記成分は目に安全および/または目に適合性であることが好ましい。
【0016】
本発明の明細書における当該用語「非刺激性」は、哺乳類の目の状態のことをいい、これに限定するものではないが、非流涙性(ノン−ティアリング(non-tearing)、ティアフリー(tear-free))を含み;目がヒリヒリすること、灼熱通または掻痒を含まず;眼球結膜刺激、眼瞼結膜刺激またはそれらの何れの組み合わせも含まないことをいう。
【0017】
当該用語「化粧用組成物」は、これらに限定するものではないが、以下を含んでよい:日焼け止め(サンスクリーン)、皮膚科用組成物、メーキャップ用組成物、メーキャップ除去剤、クレンジング、ローション、ゲル、クリーム、固着剤、パウダー、ミルク、コンディショナー、スプレー、アイライナー、溶液またはセーラム(serums)。
【0018】
本発明に従う当該基礎組成物の化粧用組成物の処方における使用が、消費者の目に対して非刺激性である組成物を導くことは予想外の発見である。本発明の当該基礎組成物は特に、非刺激性光防護化粧用組成物の処方において有益である。
【0019】
本発明の基礎組成物は、少なくとも1の以下の成分を含む:電解質、緩衝剤、穏やかな保存剤、潤滑剤、およびそれらの組み合わせ。好ましくは、当該基礎組成物は、少なくともこれらの成分の少なくとも2つを、および更に好ましくは全4成分を含む。また、上記の成分の一以上が目に安全、および/または目に適合することが好ましい。
【0020】
本発明の基礎組成物における使用のための適切な電解質は、これに制限するものではないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、EDTA二ナトリウム、またはそれらの何れかの組み合わせを含む。好ましい電解質は塩化ナトリウムである。上記の成分は目に安全、および/または目に適合性である。
【0021】
当該電解質は、当該基礎組成物において、当該基礎組成物の総重量の約10重量パーセント(wt.%)から約100wt.%の間の量で含まれてよい。好ましくは、当該組成生物の総重量の約20wt.%から約50wt.%の間の量、より好ましくは30wt.%から約40wt.%の間の量で存在する。
【0022】
本発明の当該基礎組成物において使用するための適切な緩衝剤は、これらに限定するものではないが、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸、炭酸水素ナトリウム、乳酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸、フマル酸カルシウム、コハク酸ナトリウム、tris−マレイン酸またはそれらの何れかの組み合わせを含む。好ましい緩衝液はクエン酸三ナトリウムである。上記の成分は、目に安全および/または目に適合性である。
【0023】
当該緩衝剤は、当該基礎組成物の総重量の約1重量パーセント(wt.%)から約100wt.%の間の量で当該基礎組成物に含まれてよい。好ましくは、それは当該基礎組成物の総重量の約1wt.%から約20wt.%、より好ましくは当該基礎組成物の総重量の約3wt.%から約10wt.%の量で存在する。
【0024】
本発明の当該基礎組成物において使用するための適切な穏やかな保存剤は、これらに限定されるものではないが、エステル、フェノール、フェノキシエタノール、パラベン、メチルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、イソブチルパラベン、イソプロピルパラベン、ポリクアテルニウム−1、塩化ベンザルコニウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ポリアミノプロピルビグアニジン、ジアゾリジニルウレア、またはそれらの混合物を含む。好ましくは、当該保存剤は、登録商標、PHENONIPとしてクラリアント(Clariant)により販売されているフェノキシエタノール、メチルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンおよびイソブチルパラベンの混合物である。上述の成分は、目に安全、および/または目に適合性である。
【0025】
当該穏やかな保存剤は、当該基礎組成物の総重量の約5wt.%から約100wt.%の量で当該基礎組成物に含まれてもよい。好ましくは、それは当該基礎組成物の総重量の約10wt.%から約35wt.%の量、より好ましくは約15wt.%から約28wt.%の量で含まれる。
【0026】
本発明の当該基礎組成物において使用されてよい適切な潤滑剤は、これに限定するものではないが、ポリオール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、PEG−400、PEG−8およびその組み合わせを含む。好ましくは当該潤滑剤は、グリセリン、PEG−8、PEG−400およびその組み合わせからなる群より選択される。上述の成分は、目に安全、および/または目に適合性である。
【0027】
当該潤滑剤は、本発明の当該基礎組成物において、当該基礎組成物の総重量の約10wt.%から約100wt.%の間の量で含まれてよい。好ましくは、当該潤滑剤は、当該基礎組成物の総重量の約25wt.%から約60wt.%の量、最も好ましくは約35wt.%から約50wt.%の量で存在する。
【0028】
当該基礎組成物中または当該基礎組成物と一緒に含有されるのに適切な任意の成分は、例えば、一以上の緩衝剤、非イオン性界面活性剤、タンパク質、糖タンパク質、極性脂質、アミノ酸、グリシン、ポリマー、亜硫酸水素ナトリウム、メタバイスルファイトナトリウム、チオウレア、セルロール誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースなど、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ソルビトール、マンニトール、リノール酸エステル、リノール酸ヘペス、または何れかのそれらの組み合わせを含む。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースおよび/またはポリビニルアルコールは、粘度を増大し、および幾らかの潤滑効果を提供する。
【0029】
理論に結び付けられるべきであると意図するものではないが、化粧用組成物の処方における本発明の基礎組成物の使用は、哺乳類の目と同様な生理学的な状態を有する化粧用組成物に帰着すると考えられる。結果として、本発明の基礎組成物で処方された化粧用組成物は目に対して非刺激的である。
【0030】
少なくとも3つの公知の性質、即ち、張度(浸透度)、緩衝剤の能力、およびpHが、哺乳類の目のそれと同様な生理学的な状態および性質を有する化粧用組成物に帰着する化粧用組成物における本発明の基礎組成物の使用に関連する。
【0031】
浸透度は、完全な半透過性膜を横切る溶液により生じる浸透圧の単位であり、水の自由な通過を可能にし、且つ水に比較して溶質の動きを妨げる。浸透度は、溶液中の粒子の数に依存するが、当該粒子の性質には依存しない。
【0032】
張度は、物質が、例えば、天然の涙または血漿などの生物学的流体に比較して、細胞膜を横切って発揮する浸透圧の単位である。涙流体は、0.15mol/lのNaClまたは0.9%のNaCl溶液が涙流体と等張であると言えることから、約0.3osm/lの浸透度を有する。
【0033】
張度(浸透度)は、目の快適性のために非常に重要である。浸透度を調整するために使用される薬剤は、NaClおよび/またはマンニトールであってよい。血漿のように、涙液は一般的に通常の生理食塩水(0.9%)の張度を有する。約0.5から約2%の広い範囲のNaCl当量も許容可能である。
【0034】
同じ濃度の粒子を含み、従って、等しい浸透圧を示す溶液を等浸透性であると称する。NaClの0.9%溶液(生理食塩水)は血液および涙と等浸透性である。等しい緊張を意味する用語、等緊張性は、用語、等浸透性と交換可能に使用される。
【0035】
当該化粧用組成物の水相の浸透度は、また、直接的に本発明の基礎組成物の使用により影響を受け、約175mOsm/kgから約700mOsm/kgの間であるべきである。これは、電解質および緩衝剤が、製品の水相または最終配合物(即ち、製品)において約0.5から約2%の塩化ナトリウム溶液により形成される浸透圧と同様の浸透圧を形成し得るような量で含まれるべきことを意味する。水相が約30%から約90%で最終製品に含まれると仮定すると、当該基礎組成物と上述の浸透度の水相を伴う化粧用組成物は消費者の目に対して良好に許容され且つ非刺激性である。
【0036】
当該化粧用組成物の水相のpHは、直接的に本発明の基礎組成物の使用により影響を受けるが、約5.5から約8.5の間であるべきである。より好ましくは、当該pH範囲は、約6.0から約7.6である。結果として、当該基礎組成物および約6.0から約7.6の間のpHの水相を有する化粧用組成物は、涙液の生理学的な状態に類似し、消費者の目に対して良好に許容され、且つ非刺激性である。製品の最適なpHが分かれば、当該溶液のpHを調整し維持するための機構が必要である。
【0037】
緩衝能は、pHの変化に抵抗することにおける緩衝剤の有効性の単位である。緩衝剤の能力は、1単位によりそのpHを変化するための当該溶液の1リッターに対して添加されるべきグラム当量における強酸または塩基の量として表される。
【0038】
緩衝剤または緩衝系は、緩衝塩単独で、または酸との組み合わせにおいて含まれてよい。弱酸の塩、例えば、クエン酸三ナトリウム、乳酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムが適切な緩衝塩である。異なる組み合わせの酸および塩もまた緩衝剤として使用されてよい。緩衝剤は、当該製品またはその水相のpHにおける変動を減少する。
【0039】
水相の緩衝能は、当該製品との接触において生理的なpHへの涙液の迅速な再調整を可能にするべきであり、約0.002から約0.05、より好ましくは約0.004から約0.01の範囲であり得る。
【0040】
本発明の好ましい態様において、当該基礎組成物は、当該基礎組成物の総重量を基礎にして、約30wt.%から約40wt.%の目に安全な電解質;約3wt.%から約10wt.%の目に安全な緩衝液;約15wt.%から約28wt.%の穏やかな保存剤;および約35wt.%から約50wt.%の目に安全な潤滑剤を含む。この基礎組成物を有する化粧用組成物は、好ましくは上述の緩衝能、水相pHおよび水相浸透度を有する。
【0041】
当該基礎組成物が何れの非刺激性化粧用組成物を形成するために使用されてよいことが上記の開示を基に理解されるべきであると同時に、本発明は、有機性の日焼け止め活性剤が多く部分に使用されているために哺乳類の目に刺激的であることがよく知られた光保護用化粧用組成物の配合に関連してより詳細に以下の記載される。以下の開示は本発明の範囲を限定することを意味するものではない。
【0042】
以下に詳述するとおり、本発明の当該基礎組成物を含む日焼け止め組成物は、有機性日焼け止め活性剤、無機性日焼け止めまたはその何れかの組み合わせで処方され、依然として目に対して非刺激性であることが予想外に見出されている。結果として、所望の高SPFを有する非刺激性日焼け止め組成物は、容易に形成され、従来の全ての欠点および涙の出ない日焼け止め組成物を形成することに関する複雑性を克服する。
【0043】
また、予想外に発見されたとおり、本発明の基礎組成物で形成された非刺激性日焼け止め組成物は、涙が出ない(即ち、非流涙性)であるばかりではなく、それらは哺乳類の目に対して何れの顕著な目のヒリヒリ感、眼球の刺激または眼瞼の刺激の原因とならない。
【0044】
光保護用化粧品組成物および/または日焼け止め組成物の形成に使用される場合、上述の本発明の当該基礎組成物は、当該化粧品組成物の総重量の約0.5wt.%から約10wt.%の量で存在してよい。好ましくは、それは当該化粧品組成物の総重量の約1wt.%から約6wt.%の量、より好ましくは約2wt.%から約4wt.%の量で存在する。
【0045】
当該基礎組成物に加えて、日焼け止め組成物は、1以上の次の更なる成分を含んでもよい:薬学的に許容される担体、乳化剤、軟化剤、スキンフィール添加剤、加湿剤、フィルム形成剤/ウォータープルーフ剤、pH調整剤/キレート剤、保存剤、カロチノイドまたはその何れかの組み合わせ。
【0046】
紫外線の有害な効果を吸収または遮断することが可能である1以上の日焼け止め剤を本発明において使用してもよい。加えて、それらは、皮膚に適用した際に非毒性および非刺激性であるべきである。当該日焼け止め組成物において使用してよい適切な日焼け止め剤は、これに限定するものではないが、パラ−アミノ安息香酸(PABA)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)、ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−8、ベンゾフェノン−12、メトキシナメート、エチルジヒドロキシプロピル−PABA、グリセリルPABA、ホモサレート、メチルアントラニレート、オクトクリレーン、オクチルジメチルPABA、オクチルメトキシシナメート、オクチルサリチラート、PABA、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホニックアシッド、トリエタノールアミンサリチラート、3−(4−メチルベンジリデン)−カンファー、赤色ワセリン、酸化亜鉛、二酸化チタン、3−(4−メチルベンジルジン)ボロン−2−オン(メチルベンズインジンカンファー)、ベンゾトリアゾール、フェニルベンズイミダゾール−5−スルホニックアシッド、メチレンビス−ベンゾトリゾリルテトラメチルブチルフェノール、またはそれらの何れかの組み合わせを含む。
【0047】
好ましい日焼け止め剤は、オクチルメトキシシナメート、オクチルサリチラート、ホモサレート、二酸化チタンまたはそれらの何れかの組み合わせである。好ましい態様において、ベンゾフェノンの使用は明らかに排除される。
【0048】
1以上の日焼け止め剤は、本組成物に、当該組成物の総重量を基本にして約1重量%(wt.%)から約40wt.%の量で含まれる。好ましくは、1以上の日焼け止め剤は、約4wt.%から約35wt.%の量で含まれて、約2から約50のSPFを達成する。より好ましくは、それらは約20wt.%から約35wt.%の量で存在し、約30から約50のSPFを達成する。
【0049】
当該日焼け止め組成物において使用されてよい適切な乳化剤は、これらに限定されるものではないが、ブチル化されたPVP、セチルアルコール、セチルジメチコンコポリオール、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウレートナトリウムコポリマー、ジエチルヘキシルナフタレート、ソルビタンオレエート、ソルビタンセスキオレート、ソルビタンイソステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリグリセリル−3−ジイソステアレート、オレイン酸/イソステアリン酸のポリグリセロールエステル、ポリグリセリル−6ヘキサリシノレート、ポリグリセリル−4−オレエート、ポリグリセリル−4オレエート/PEG−8プロピレングリコールココエート、オレアミドDEA、ソディウムグリセリルオレエートホスフェート、水素化ベジタブルグリセリドホスフェート、セテアリルグルコシド、ココイルグルコシド、ココイルエチルグルコシド、ジソディウムココグルコシドシトレート、ジソディウムココグルコシドスルホスクシネート、ラウロイルエチルグルコシド、ミリストイルエチルグルコシド、オクチルジメチコンエトキシグリコシド、オレオイルエチルグルコシド、ソディウムココグルコシドタートレートまたはそれらの何れかの組み合わせを含む。好ましい乳化剤はセチルジメチコンコポリオールである。
【0050】
当該日焼け止め組成物に存在する乳化剤の量は、当該組成物の総重量の約1wt.%から約15wt.%である。好ましくは、当該乳化剤は、当該組成物の総重量の約2.5wt%から約7.5wt.%の量で存在する。
【0051】
当該日焼け止め組成物はまた、水を含む。水は当該日焼け止め組成物の総重量の約45wt.%から約75wt%、好ましくは約50wt.%から約65wt.%の量で存在する。
【0052】
当該日焼け止め組成物は1以上の軟化剤を含んでもよい。軟化剤は、当該皮膚表面に軟化または鎮静化効果を提供し、一般的に局所使用のために安全であるとみなされる。それはまた、当該日焼け止め組成物の蒸発速度および粘着性の調節を助ける。
【0053】
適切な軟化剤は、これらに限定するものではないが、シクロメチコン、ジメチコン、ジカプリルマレート、カプリリック/カプリックトリグリセリド、鉱油、ラノリンオイル、ココナッツオイル、ココアバター、オリーブオイル、アロエ抽出物、例えば、アロエベラ、アロエ・バルバデンシスの葉汁など、ホホバオイル、ヒマシ油、脂肪酸、例えば、オレイン酸、ステアリン酸など、脂肪アルコール、例えば、セチル、ヘキサデシル(ENJAY)など、ジイソプロピルアジペート、ヒドロキシベンゾエートエステル、C−C15アルコールの安息香酸エステル、イソノニルイソノナノエート、アルカン、例えば、鉱油、シリコーン、例えば、ジメチルポリシロキサン、エーテル、例えば、ポリオキシプロピレンブチルエーテルおよびポリオキシプロピレンセチルエーテル、C12−C15アルキルベンゾエート、イソヘキサデカン、ジブチルアジペート、またはそれらの何れかの組み合わせを含む。好ましい軟化剤はイソヘキサデカン、ジブチルアジペート、アロエベラまたはそれらの組み合わせである。
【0054】
当該日焼け止め組成物に存在する軟化剤の総量は、当該組成物の総重量を基礎として典型的に約0.10wt.%から約30wt.%である。軟化剤の好ましい量は、約1wt.%から約20wt.%であり、約5wt.%から約10wt.%がより好ましい。
【0055】
皮膚に対する適用における当該日焼け止め組成物の触感は、日焼け止めを購入する際に消費者が考慮することであってよい。更に、滑らかで、シルキーな日焼け止め組成物は、より均一に皮膚一面に適用されてよい。皮膚に適用された際に、本発明の日焼け止め組成物の触感を更に向上するために、スキンフィール添加物が含まれてもよい。適切なスキンフィール添加物は、これに限定されるものではないが、合成ポリマー、シリコーン、エステル、微粒子またはこれらの組み合わせを含む。
【0056】
スキンフィール添加物は、当該日焼け止め組成物に、当該組成物の総重量を基礎として約0.10wt.%から約5wt.%の量で存在してもよい。より好ましくは、それは当該組成物の総重量の約0.30wt.%から約0.70wt.%の量で存在する。
【0057】
本発明の組成物のpHは、1以上の塩基性のpH調節剤および/またはキレート剤により調整されてよい。例えば、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、EDTA二ナトリウム、EDTA三ナトリウム、またはそれらの組み合わせが、適切なpH調整剤/キレート剤であり、本発明の日焼け止め組成物において含まれてよい。
【0058】
pH調整剤および/またはキレート剤の効果的な量が最終組成物のpHを約5から約9に調整するために含まれてよい。好ましくはpHは約6から約7.6に調整される。
【0059】
加湿剤、例えば、湿潤剤が本発明の組成物において使用されてもよい。適切な湿潤剤は、これらに限定されるものではないが、ペンチレングリコール、カプリリルグリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコールまたはそれらの何れかの組み合わせを含む。
【0060】
1以上の加湿剤が、任意に本発明の組成物に、当該組成物の総重量の約0.1wt.%から約1wt.%の量で含まれる。好ましくは、約0.25wt.%から0.75wt.%の1以上の加湿剤が当該組成物において使用されてもよい。
【0061】
本発明の日焼け止め組成物において使用されてもよいもう一つの成分は、フィルム形成剤/ウォータープルーフ剤である。フィルム形成剤/ウォータープローフ剤は、乳液に対してフィルム形成およびウォータープローフ特性を与える疎水性物質である。そのような薬剤の1つは、ポリエチレンであり、これはニュー・フェーズ・テクノロジー(New Phaswe Technologies)からPERFORMALENE(登録商標)400として入手でき、これは分子量400のポリエチレンである。もう一つの適切なウォータープルーフ剤は、ポリエチレン2000(分子量2000)であり、ニュー・フェーズ・テクノロジーからPERFORMALENE(登録商標)2000として入手可能である。更なるもう一つの適切なフィルム形成剤/ウォータープルーフ剤は合成ワックスであり、これもまたニュー・フェーズ・テクノロジーからPERFORMA(登録商標)V−825として入手可能である。もう一つの適切なフィルム形成剤/ウォータープルーフ剤はC30−38オレフィン/イソプロピルマレート/MAコポリマーであり、これはニュー・フェーズ・テクノロジーからPERFORMA V−1608として入手可能である。1以上のフィルム形成剤/ウォータープルーフ剤が本発明の組成物において、当該組成物の総重量を基礎として約0.1wt.%から約5wt.%の量で存在してもよい。
【0062】
カロチノイドも当該日焼け止め組成物において存在してもよい。本発明において使用するために適切なカロチノイドは、これらに限定するものではないが、1以上のルテイン、ルテインエステル、キサントフィル、アルファ−カロチン、ベータ−カロチン、ガンマ−カロチン、リコピン、ゼアキサンチン、イソゼアキサンチン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、タナキサンチン、クリプトキサンチン、ロウドキサンチン、カプキサンチン、またはその何れかの組み合わせを含む。好ましくは、1以上のカロチノイドは、1以上のルテイン、ルテインエステルまたはその何れかの組み合わせである。
【0063】
カロチノイドは、当該日焼け止め組成物の総重量を基礎として約0.00001wt.%から約0.03wt.%の量で存在してもよい。好ましくは、当該カロチノイドは、約0.00001wt.%から約0.02wt.%、より好ましくは約0.00001wt.%から約0.011wt.%の量で存在してよい。
【0064】
本発明の日焼け止め組成物は、また、他の任意の添加物を含んでもよい。例えば、光安定剤、SPFおよびPFA増強剤、例えば、カプリリルグリコールなど、1以上の芳香剤、着色剤、植物抽出物、吸収剤、濃厚剤、ワックス、サリチル酸、アルファおよびベータヒドロキシ酸、ビタミン、例えば、ビタミンA、CおよびE、レチノール、レチノールパルミテート、ビタミンEアセテート、トコフェロール、ビタミンAパルミテート、ビタミンEパルミテートまたはそれらの何れかの組み合わせが当該日焼け止め組成物中に含まれてもよい。
【0065】
上述の組成物は、安定な油中水乳剤、水中油乳剤または分散剤を形成するために組み合わされてもよい。好ましい態様において、当該日焼け止め組成物は油中水乳剤として形成される。
【0066】
本発明の一つの好ましい態様において、当該日焼け止め組成物は、約2.5wt.%から約3wt.%の基礎組成物、および約20wt.%から約35wt.%の1以上の以下からなる群より選択される日焼け止め剤:オクチルメトキシシナメート、オクチルサリチラート、ホモサラート、二酸化チタンまたはその何れかの組み合わせを含む。好ましくは、当該日焼け止め組成物は油中水乳剤として形成され、ここで、当該基礎組成物は水相に含まれ、当該水相は約5.8から約8のpH、約175から約330の浸透度を有する。得られた日焼け止め組成物は、哺乳類の目において眼刺激、ヒリヒリ感および/または流涙を誘導しない。
【0067】
日焼け止め組成物中に本発明の基礎組成物を含むことの予期しない利益は以下の例において立証される。
【0068】
[例]
多数の市販の日焼け止め剤について、目に対する眼刺激、ヒリヒリ感および/または流涙を誘導する可能性を評価するために試験した。
【表1】

【表2】

【0069】
表1に列挙した市販の日焼け止めの点眼試験を行い、化粧品/OTC試験物質のために適切な以下に示すプロトコールに従ってヒト対象における眼刺激、ヒリヒリ感および/または流涙を誘導する可能性を評価した。
【0070】
各試験物質は、試験の開示前にUSP無菌試験に合格するべきである。コントロールは滅菌蒸留水である。使用してよい他の適切なコントロールは、これに限定するものではないが、等浸透性の塩水溶液または、哺乳類の涙液に生理的に類似の何れの他の溶液を含む。液体について、新しい滅菌した使い捨ての点眼器を各製品のために使用し、使用後に直ちに処分する。ローションについては、新しい滅菌使い捨てコットンチップアプリケーターをそれぞれの製品について使用し、使用後は直ちに処分する。
【0071】
被験者は、10から20人のヒト対象からなり、管理されたダブルブラインド無作為試験において試験された。全ての対象は、試験開始時には、ヒリヒリ感、流涙、眼球結膜炎症および眼瞼結膜炎症のスコアがゼロ(0)でなくてはならない。スコアリング系は以下に示す。
【0072】
試験物質は、個々に当該対象の目に滴下され、眼科的試験は眼科学研究者により行われる。当該対象および眼科学研究者は、どの試験物質で目が処理されたかということと、先の評価スコアについては知らない。スコアリング系に従って処理する直前に眼科学研究者により目が検査される。無作為化スケジュール毎に、適切な溶液/物質(温度36℃)の1点眼または塗付を、対象の右目に点眼し、続いて、左目に適切な試験物質またはコントロールを点眼する。全ての点眼は、訓練された技術者により行われる。2つのティッシュペーパー(各目に付いて1つ)が提供され、目から落ちる何れの過剰なものを吸い取る。
【0073】
点眼から30秒以内に、目を検査し、スコアリング系に従ってスコアをつけた。目を検査し、5分で再度スコアをつけ、次に目を洗ってそれらを洗い流した。点眼後15分および60分後に再度目を検査し、スコアをつけた。持続的な結膜炎または他の処理に関連する有害な症状が試験1時間で認められる場合には、当該対象者の目を洗浄し、状態がなくなるまで、10から15分間隔で洗浄し、検査する。症状が2時間持続するイベントにおいては、当該対象者を当該症状がなくなるまで24時間間隔で再検査する。
【0074】
スコアリング系:評価される反応において、滅菌蒸留水コントロールが、試験物質により誘導されるのと等しい反応を引き起こす場合、当該反応は、何れの化学的要素ではなく「機械的炎症」によると判断される。
【0075】
流涙
0=正常範囲内
1=過剰な湿気(涙と識別できず)
2=幾らか形成された涙(眼窩に含まれる)
3=激しい流涙(眼窩を離れる)
ヒリヒリ感(痛み、ヒリヒリするなど)
0=正常範囲内
1=穏やか、非常に僅か
2=中程度
3=重度
眼球結膜の炎症
0=正常範囲内
1=僅かにピンク
2=中程度にピンク、幾らかの拡張
3=激しく赤い血管
眼瞼結膜の炎症
0=正常範囲内
1=僅かにピンク
2=中程度のピンク
3=さくらんぼ色から深い赤色。
【0076】
試験結果は表3−6に示す(対応のある両側t−検定(paired difference two tailed t-test)を使用して試験品とコントロールの間の有意な差を決定した)。コントロールのスコアに比べて有意な差(p>0.05)のないスコアは表において有意差なし(n.s.)として示す。
【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【0077】
結果は、試験された全ての市販の日焼け止めが点眼後30秒後および/または5分後に眼球結膜炎症および眼瞼結膜炎症反応の伴う統計学的に有意な流涙反応およびヒリヒリ感が引き起こされた。いくつかの例において、これらの反応は、ヒリヒリ感についてスコア2レベルの反応であり、いくつかの反応は5分またはそれ以上の間持続した。
【0078】
追加の試験を市販のツナミ・ティアレス(TsunamiTearless)SPF30 およびSPF45組成物について試みた。これらの何れも無機日焼け止め活性成分、即ち、二酸化チタンおよび酸化亜鉛のみを含む。上記の試験プロトコールと一致して、ツナミ・サン組成物(Tsunami Sun composition)が、ヒトに先駆けた前臨床試験を通して第一に評価された。これらの組成物は、最初の評価の間の前臨床試験をこれらの組成物が通過したのに対して、それは第二の評価における前臨床試験に失敗し、これはヒト点眼試験におけるそれらの第二の評価を妨げるものである。
【0079】
また、パグリーズ・ファーマシューティカルズ(Pugliese Pharmaceuticals)により処方されたSPF30日焼け止め処方(有機および無機日焼け止め活性剤の両方を含む(アボベンゾン−2.5%、オクチノキセート−6.5%、オクチサレート−4%、二酸化チタン−1.6%))も試験した。この組成物は流涙なしの特性を示した一方で、ヒリヒリ感のスコア2(中程度のヒリヒリ感)の値がこの組成物により得られた。
【表7】

【0080】
好ましい技術を示す日焼け止めの点眼試験が、上述のプロトコールに従ってヒト対象において眼炎症、ヒリヒリ感および/または流涙の誘導するそれらの可能性について評価するために行われた。
【0081】
試験結果を表8から11に示す。対応のある両側t−検定を試験品とコントロール(滅菌水)の間の有意差を求めるために使用した。
【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【0082】
結果は、明らかに、本発明の基礎組成物で形成した日焼け止め組成物が流涙反応を起こさないことを示す。それらはまた、点眼した後の全ての間隔でコントロール(滅菌水)に比較して統計学的に有意なヒリヒリ感、眼球結膜炎症または眼瞼結膜炎症を生じない。それらはまた、スコア2反応を生じない。従って、本発明に従う基礎組成物を含む化粧用組成物は、点眼試験30秒での全ての点眼において、上記で認められたとおり、1未満のスコアを達成することが好ましい。より好ましくは、本発明の基礎組成物を含む化粧用組成物は、点眼に続く、30秒でのスコアが:ゼロ流涙;約0.2未満のヒリヒリ感;約0.4未満の眼球結膜炎症;約0.4未満の眼瞼結膜炎症を達成することがより好ましい。
【0083】
本発明の基礎組成物で処方される化粧用組成物のもう一つの特徴は、皮膚に対して穏やかであることである。当該基礎組成物を用いて形成された化粧用組成物は、累積的な皮膚炎症スコアまたは累積刺激総量(Cumulative Irritation Total; CIT)が14日の累積炎症評価または累積パッチテストにおいて約35未満を有することが明らかにされている。
【0084】
本発明の組成物(PS1およびPS2)の皮膚累積炎症ポテンシャルは、28例の対象、即ち、20から73歳までの年齢の男性および女性における14日の累積炎症パッチテストにおいて評価された。肩甲骨の間の背中上部が処置領域として使用された。約0.2gの試験物質が、吸収包帯剤(TruMed Technologies, Inc., Burnsville, MNによって製造)の3/4x3/4インチの吸収パッド部分に適用された。これらは次に閉塞されたパッチを形成するために適切な処置部位に適用された。
【0085】
各組成物は、適切な処置部位に適用され、月曜日から金曜日まで、14日間の連続した日数に亘り、直接に皮膚に接触させることを維持した。金曜日に適用されたパッチは、次の月曜日まで同じ場所に維持された。試験部位の評価が、各パッチの適用に先駆けて行われた。試験部位が評価スコアの「3」を示すことが観察された場合、試験物質の適用は中止され、観察されたスコア「3」が持続した試験日数について記録された。
【0086】
評価スコア:
0−肉眼で見える皮膚反応なし;
+−僅かに知覚できる、または紅斑あり
1−試験部位の殆どを覆う軽い紅斑
2−中程度の紅斑、軽度の浮腫がありうるエビデンス;
3−顕著な紅斑、浮腫がありうる;
4−重症な紅斑、浮腫、小胞形成、水泡および/または潰瘍がありうる。
【0087】
14日間の累積的刺激総量(CIT)スコアを各被験者について測定し、日毎を基礎に炎症スコアを得た。CITは、上述した試験条件下での最も刺激ないものから最も刺激のあるものに従う試験品の順位付けを可能にする。最大に可能なCITスコアは1120であり、以下の式から計算される:
(10[観察数]X28[完了した対象数]X4[最大炎症スコア]=1120)。
【0088】
試験CITスコアの0から49は、軽度の物質、実験に基づく刺激ではない、使用した条件下での累積刺激の本質的なエビデンスなしである。表12は、PS1およびPS2で得られた比較CITスコアの一覧である。
【表12】

【0089】
この試験の条件下で、PS1およびPS2は共にCITスコアが49未満を達成し、従って、それらは累積皮膚刺激の可能性は示されなかった。
【0090】
従って、その好ましい態様についての特別な参照を用いて本発明を記載したが、種々の変更および修飾が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくここにおいて行われてよいことは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非刺激性化粧用組成物を製造するための基礎組成物であって、前記基礎組成物が一以上の電解質、緩衝剤、穏やかな保存剤、潤滑剤およびその何れかの組み合わせを含む組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の基礎組成物であって、前記一以上の電解質、緩衝剤、穏やかな保存剤および潤滑剤が目に安全または目に適合性である組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の基礎組成物であって、前記電解質が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、二ナトリウムEDTAおよびその何れかの組み合わせからなる群より選択される組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の基礎組成物であって、前記電解質が塩化ナトリウムである組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の基礎組成物であって、前記電解質が前記基礎組成物の総重量の約10重量%(wt.%)から約100wt.%の量で存在する組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の基礎組成物であって、前記電解質が当該基礎組成物の総重量の約20wt.%から約50wt.%の量で存在する組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の基礎組成物であって、前記緩衝剤が、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸、重炭酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸、フマル酸カルシウム、コハク酸ナトリウム、トリスマレエート、およびそれらの何れかの組み合わせからなる群より選択される組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の基礎組成物であって、前記緩衝剤がクエン酸三ナトリウムである組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の基礎組成物であって、前記緩衝剤が当該基礎組成物の総重量の約1wt.%から約100wt.%の量で存在する組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の基礎組成物であって、前記緩衝剤が当該基礎組成物の総重量の約20wt.%から約50wt.%の間の量で存在する組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の基礎組成物であって、前記穏やかな保存剤が、エステル、フェノール、フェノキシエタノール、パラベン、メチルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、イソブチルパラベン、イソプロピルパラベン、ポリクアテルニウム−1、塩化ベンザルコニウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ポリアミノプロピルビグアニジン、ジアゾリジニルウレア、およびそれらの何れかの組み合わせからなる群より選択される組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の基礎組成物であって、前記保存剤がフェノキシエタノール、メチルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、プルピルパラベンおよびイソブチルパラベンの組み合わせである組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の基礎組成物であって、前記穏やかな保存剤が、当該基礎組成物の総重量の約5wt.%から約35wt.%の量で存在する組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の基礎組成物であって、前記穏やかな保存剤が、当該基礎組成物の総重量の約10wt.%から約30wt.%の量で存在する組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の基礎組成物であって、前記潤滑剤が、ポリオール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、PEG−400、PEG−8およびそれらの何れかの組み合わせからなる群より選択される組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の基礎組成物であって、前記潤滑剤が、グリセリン、PEG−8、PEG−400およびそれら何れかの組み合わせからなる群より選択される組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の基礎組成物であって、前記潤滑剤が、当該基礎組成物の総重量の約10wt.%から約70wt.%の量で存在する組成物。
【請求項18】
請求項1に記載の基礎組成物であって、前記潤滑剤が、当該基礎組成物の総重量の約30wt.%から約60wt.%の量で存在する組成物。
【請求項19】
請求項1に記載の基礎組成物であって、非イオン性界面活性剤、タンパク質、糖タンパク質、極性脂質、アミノ酸、グリシン、ポリマー、亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムメタビスルフェート、チオウレア、セルロース誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ソルビトール、マンニトール、リノール酸エステル、ヘペスリノレート、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される一以上の成分を更に含む組成物;ここで、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースおよび/またはポリビニルアルコールは粘度を上昇しおよび幾らかの潤滑効果を提供する。
【請求項20】
非刺激性化粧組成物を製造するための基礎組成物であって、前記基礎組成物が約30wt.%から約40wt.%の電解質;約30wt.%から約40wt.%の緩衝剤;約18wt.%から約28wt.%の穏やかな保存剤;および約40wt.%から約50wt.%の潤滑剤を当該基礎組成物の総重量に対して含有する組成物;ここで、前記電解質、緩衝剤、穏やかな保存剤および潤滑剤は目に安全であるか、または目に適合性である。
【請求項21】
一以上の電解質、緩衝剤、緩やかな保存剤、潤滑剤およびその何れかの組み合わせを含む基礎組成物を有する水相を具備する非刺激性化粧用組成物であって、前記化粧用組成物が哺乳類の目に対して非刺激性である組成物。
【請求項22】
請求項21に記載の非刺激性化粧用組成物であって、前記基礎組成物が当該光防護化粧用組成物の総重量の約1wt.%から約6wt.%で存在する組成物。
【請求項23】
請求項21に記載の非刺激性化粧用組成物であって、前記基礎組成物が当該光防護化粧用組成物の総重量の約2wt.%から約4wt.%の量で存在する組成物。
【請求項24】
請求項21に記載の非刺激性化粧用組成物であって、前記水相が約175mOsm/kgから約700mOsm/kgの間の浸透度を有する組成物。
【請求項25】
請求項21に記載の非刺激性化粧用組成物であって、前記水相が約5.5から約8.5のpHである組成物。
【請求項26】
請求項21に記載の非刺激性化粧用組成物であって、前記水相が約6.0から約7.6のpHである組成物。
【請求項27】
請求項21に記載の非刺激性化粧用組成物であって、前記水相が約0.002から約0.005の緩衝能力を有する組成物。
【請求項28】
請求項21に記載の非刺激性化粧用組成物であって、前記水相が約0.004から約0.01の緩衝能力を有する組成物。
【請求項29】
請求項21に記載の非刺激性化粧用組成物であって、前記化粧用組成物が、日焼け止め剤、薬学的に許容される担体、乳化剤、柔軟剤、スキンフィール添加剤、加湿剤、フィルム形成剤/耐水性剤、pH調整剤/キレート剤、保存剤、カロテノイドおよびその何れかの組み合わせからなる群より選択される更に一以上の成分を含む組成物。
【請求項30】
請求項21に記載の非刺激性化粧用組成物であって、前記化粧用組成物が、14日間の累積刺激評価または累積パッチテストにおいて49未満のCITスコアを有する組成物。
【請求項31】
請求項21に記載の非刺激性化粧用組成物であって、前記化粧用組成物が、14日間の累積刺激評価または累積パッチテストにおいて約35未満のCITスコアを有する組成物。
【請求項32】
点眼試験において30秒間で測定した場合、0の流涙スコアと約0.2未満のヒリヒリ感スコアを有する非刺激性光防御化粧用組成物。
【請求項33】
請求項32に記載の非刺激性光防御化粧用組成物であって、更に、眼球結膜炎症スコアが、点眼試験における30秒で測定した場合に約0.4未満を有する非刺激性光防御化粧用組成物。
【請求項34】
請求項32に記載の非刺激性光防御化粧用組成物であって、更に、眼瞼結膜炎症スコアが、点眼試験における30秒で測定した場合に、約0.4未満を有する非刺激性光防御化粧用組成物。
【請求項35】
非刺激性光防御化粧用組成物であって、
一以上の電解質、緩衝剤、緩やかな保存剤、潤滑剤およびそれらの何れかの組み合わせを有する基礎組成物を含む水相;および
一以上の日焼け止め剤を含み、
ここで、前記光防御化粧用組成物は哺乳類の目に対して非刺激性である組成物。
【請求項36】
請求項35に記載の非刺激性光防御化粧用組成物であって、前記基礎組成物が当該光防御化粧用組成物の総重量の約1wt.%から約6wt.%の量で存在する組成物。
【請求項37】
請求項35に記載の非刺激性光防御化粧用組成物であって、前記基礎組成物が当該光防御化粧用組成物の総重量の約2wt.%から約4wt.%で存在する組成物。
【請求項38】
請求項35に記載の非刺激性光防御化粧用組成物であって、前記水相が約175mOsm/kgから約700mOsm/kgの間の浸透度である組成物。
【請求項39】
請求項35に記載の非刺激性光防御化粧用組成物であって、前記水相が約5.5から約8.5のpHである組成物。
【請求項40】
請求項35に記載の非刺激性光防御化粧用組成物であって、当該水相が約6.0から約7.6のpHである組成物。
【請求項41】
請求項35に記載の非刺激性光防御化粧用組成物であって、前記水相が約0.002から約0.05の間の緩衝能力を有する組成物。
【請求項42】
請求項35に記載の非刺激性光防御化粧用組成物であって、前記水相が約0.004から約0.01の緩衝能力を有する組成物。
【請求項43】
請求項35の非刺激性光防御化粧用組成物であって、前記一以上の日焼け止め剤が、パラアミノ安息香酸(PABA)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾーン)、ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−8、ベンゾフェノン−12、メトキシシンナメート、エチルジヒドロキシプロピル−PABA、グリセリルPABA、ホモサレート、メチルアントラニレート、オクトクリレーン、オクチルジメチルPABA、オクチルメトキシシンナメート、オクチルサリシレート、PABA、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、トリエタノールアミンサリチレート、3−(4−メチルベンジルアイデン)−カムフォール、赤色ワセリン、酸化亜鉛、二酸化チタン、3−(4−メチルベンジルジン)ボラン−2−オン(メチルベンズインジンカムファー)、ベンゾトリアゾール、フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、メチレンビス−ベンゾトリゾイルテトラメチルブチルフェノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される組成物。
【請求項44】
請求項35に記載の非刺激性光防御化粧用組成物であって、前記一以上の日焼け止め剤が、オクチルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、ホモサレート、二酸化チタンおよびその何れかの組み合わせからなる群より選択される組成物。
【請求項45】
請求項35に記載の非刺激性光防御化粧用組成物であって、前記一以上の日焼け止め剤が、当該光防御組成物の総重量の約1wt.%から約40wt.%の量で存在する組成物。
【請求項46】
請求項35に記載の非刺激性光防御化粧用組成物であって、前記一以上の日焼け止め剤が、当該光防御組成物の総重量の約4wt.%から約35wt.%の量で存在し約2から約50のSPFを達成する組成物。
【請求項47】
請求項35に記載の非刺激性光防御化粧用組成物であって、前記光防御化粧用組成物が薬学的に許容される担体、乳化剤、柔軟剤、スキンフィール添加物、加湿剤、フィルム形成剤/防水剤、pH調整剤/キレート剤、保存剤、カロチノイドおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される一以上の組成物を更に含む組成物。
【請求項48】
請求項35に記載の非刺激性光防御化粧用組成物であって、前記光防御化粧用組成物が14日間の累積刺激評価または累積パッチテストにおいて49未満のCITスコアを有する組成物。
【請求項49】
請求項35に記載の非刺激光防御化粧用組成物であって、前記光防御化粧用組成物が、14日間の累積刺激評価または累積パッチテストにおいて35未満のCITスコアを有する組成物。

【公開番号】特開2013−56903(P2013−56903A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−232106(P2012−232106)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【分割の表示】特願2008−518122(P2008−518122)の分割
【原出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(500365915)プレイテックス プロダクツ エルエルシー (56)
【Fターム(参考)】