説明

非帯電性着色樹脂粒子及びその用途

【課題】着色泳動粒子の電気泳動を阻害しない非帯電性着色樹脂粒子を提供することを課題とする。
【解決手段】表面処理剤で処理された金属酸化物からなる顔料粒子の表面に対して、非極性溶剤の存在下、シリコーンマクロモノマー、極性基を有しないビニル系単量体、及び、α−メチルスチレンダイマーを重合して得られる反応性分散剤と、極性基を有しない芳香族系単量体との重合体により被覆させてなる非帯電性着色樹脂粒子であって、動的粘度が100センチストークス以下のシリコーンオイル中に固形分濃度10重量%にて分散させた状態で、電極間距離を50μmとした並行平板となるITO電極間に封入し、15Vの電圧を60秒間印加した際に20nC/cm2以下の帯電量を示すことを特徴とする非帯電性着色樹脂粒子により上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非帯電性着色樹脂粒子及びその用途に関する。更に詳しくは、本発明は、安定して非帯電性を示す非帯電性着色樹脂粒子、それを用いた非帯電性着色樹脂粒子分散体及び電気泳動表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、帯電性を示す着色樹脂粒子の電気泳動を利用した画像表示装置(電気泳動表示装置)が注目されている。この装置は、視野角が通常の印刷物並みに広い、消費電力が少ない、電源オフにしても表示された情報が消えないというメモリー性を有する等、従来の表示装置にない特徴を有することから、安価な表示装置として普及することが期待されている。
ここで、着色樹脂粒子が画像表示装置の画像表示用素子として用いられる一例を紹介する。スペーサーを介して対向配置された、少なくとも一方が透明である2枚の電極基板の間に、画像表示素子として正及び/又は負の帯電性を示す着色樹脂粒子が分散媒中に分散された表示液を封入して表示パネルを構成する。この表示パネルの2枚の電極基板間に電界を印加することにより、帯電性を示す着色樹脂粒子を電気泳動させて表示を得ることができる(特許文献1〜4)。
【0003】
最近、このような画像表示装置を多色表示化する試みが行われている。
多色表示に関する従来技術としては、例えば、特許文献2に記載されているような、染料等を溶解させて着色した分散媒を用いる方法が知られている。しかしながら、特許文献2の方法では、電圧の印加によって電気泳動性を示す着色粒子(以下「着色泳動粒子」ともいう)が表示面となる透明電極基板上に配列されるときに、着色粒子同士の隙間に色調の異なる分散媒が入り込むことで混色が発生し、所望の色表示がされないという問題があった。
特許文献2の問題を解決する技術としては、例えば、特許文献3に記載されているような、電界に対応して分散媒中を移動する着色粒子(帯電性着色粒子)と、電界に対応して分散媒中を移動しない非帯電性の着色粒子(「非帯電性着色粒子」ともいう)とを組み合わせて用いる、すなわち紙に相当するベース色を非帯電性着色粒子に表示させ、紙の上に描かれた文字や絵に相当する画像の色を帯電性着色粒子に表示させる方法が知られている。
【0004】
しかしながら、特許文献3の技術では、帯電性着色粒子を表示面とは反対の電極基板上に移動させて非帯電性着色粒子による発色(ベース色)を表示させようとすると、反対の電極に配列された帯電性着色粒子の色が表示面から見えてしまうという問題があった。
特許文献3の問題を解決する技術としては、例えば、特許文献4に記載されているような、分散媒との屈折率の差が大きい樹脂で着色剤としての酸化チタンの表面を均一に被覆した白色の非帯電性着色粒子を用いる方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−293028号公報
【特許文献2】特許第2551783号公報
【特許文献3】特開2001−188269号公報
【特許文献4】特開2008−122468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の発明者等は、特許文献3及び4のような非帯電性着色粒子を溶媒に分散させて発色させる技術において、更に非帯電性着色粒子による発色を強める方策を模索すべく予備試験を行った。
特許文献4に記載の非帯電性着色粒子では帯電量が十分に低いものが得られず、また非極性溶媒中における電気泳動時において、着色顔料を被覆している樹脂に含まれる極性基が帯電性着色粒子との凝集を促進してしまい、所望の表示色が得られないことがわかった。
本発明は、上記の問題を解決するものであり、帯電性着色粒子の電気泳動を阻害せず混色の発生の少ない非泳動の非帯電性着色樹脂粒子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者等は、鋭意検討の結果、表面処理剤で処理された金属酸化物からなる顔料粒子の表面に対して、非極性溶剤の存在下、シリコーンマクロモノマー、極性基を有しないビニル系単量体、及び、α−メチルスチレンダイマーを重合して得られる反応性分散剤と、極性基を有しない芳香族系単量体との重合体により被覆させてなる非帯電性着色樹脂粒子は、電界に対応して分散媒中を移動する着色粒子(帯電性着色粒子)との凝集を生じず、混色の発生を抑制できることを意外にも見出すことで、本発明に至った。
【0008】
かくして本発明によれば、表面処理剤で処理された金属酸化物からなる顔料粒子の表面に対して、非極性溶剤の存在下、シリコーンマクロモノマー、極性基を有しないビニル系単量体、及び、α−メチルスチレンダイマーを重合して得られる反応性分散剤と、極性基を有しない芳香族系単量体との重合体により被覆させてなる非帯電性着色樹脂粒子であって、動的粘度が100センチストークス以下のシリコーンオイル中に固形分濃度10重量%にて分散させた状態で、電極間距離を50μmとした並行平板となるITO電極間に封入し、15Vの電圧を60秒間印加した際に20nC/cm2以下の帯電量を示すことを特徴とする非帯電性着色樹脂粒子が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、上記非帯電性着色樹脂粒子と、前記非帯電性着色樹脂粒子を分散させた非極性溶媒とを含む非帯電性着色樹脂粒子分散体が提供される。
更に、本発明によれば、上記非帯電性着色樹脂粒子分散体を用いて得られる電気泳動表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、帯電量が低く(20nC/cm2以下)、非帯電性着色樹脂粒子自体に極性が実質的に無いため、泳動時に帯電性着色樹脂粒子を持つ極性基との相互作用が低減される。その結果、帯電極性を壊したり、静電的な凝集も抑制し、極性基を持つ帯電性着色樹脂粒子との凝集による混色が発生しない非帯電性着色樹脂粒子を提供できる。
非帯電性着色樹脂粒子が、反応性分散剤と、芳香族系単量体と、反応性分散剤の重合による製造時に使用されたシリコーンマクロモノマーと同一又は異なるシリコーンマクロモノマーとの重合体により、顔料粒子の表面を被覆した粒子である場合、より帯電性着色樹脂粒子との凝集による混色の発生を抑制可能な非帯電性着色樹脂粒子を提供できる。
【0011】
また、シリコーンマクロモノマーが、下記一般式(1)
【0012】
【化1】

【0013】
(R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数2〜4のアルキレン基、R3は同一又は異なった炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、nは整数)で表される化合物である場合、より帯電性着色樹脂粒子との凝集による混色の発生を抑制可能な非帯電性着色樹脂粒子を提供できる。
更に、表面処理剤が、カップリング剤である場合、より帯電性着色樹脂粒子との凝集による混色の発生を抑制可能な非帯電性着色樹脂粒子を提供できる。
【0014】
また、表面処理剤が、下記一般式(2)、(3)又は(4)
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、R1は炭素数8〜20のアルキル基、R2は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、R3は炭素数1〜6のアルコキシ基である)
で表される化合物である場合、より帯電性着色樹脂粒子との凝集による混色の発生を抑制可能な非帯電性着色樹脂粒子を提供できる。
更に、非帯電性着色樹脂粒子が、50〜1000nmの平均粒子径を有する場合、より帯電性着色樹脂粒子との凝集による混色の発生を抑制可能な非帯電性着色樹脂粒子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の非帯電性着色樹脂粒子の概略図である。
【図2】非帯電性着色樹脂粒子の帯電量の測定装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(非帯電性着色樹脂粒子)
本発明の非帯電性着色樹脂粒子は、表面処理剤で処理された金属酸化物からなる顔料粒子の表面に対して、非極性溶剤の存在下、シリコーンマクロモノマー、極性基を有しないビニル系単量体、及び、α−メチルスチレンダイマーを重合して得られる反応性分散剤と、極性基を有しない芳香族系単量体との重合体により被覆されている。この非帯電性着色樹脂粒子は、表面処理剤で処理された金属酸化物からなる顔料粒子を内包し、反応性分散剤、重合開始剤及び芳香族系単量体の混合物の重合体からなる被覆層を備えている。
なお、本発明において「非帯電性」とは、極性の評価方法において正、負のいずれの反応も示さず、かつ上記の帯電量を有することを意味する。極性の評価方法及び帯電量の測定方法については、実施例において説明する。
【0019】
(1)顔料粒子
顔料粒子は、当該技術分野で顔料として用いられる金属酸化物の粒子であれば特に限定されず、例えば、雲母状酸化鉄、鉄黒等の酸化鉄系顔料、鉛丹、気鉛等の酸化鉛系顔料;チタンホワイト、チタンイエロー、チタンブラック等の酸化チタン系顔料;酸化コバルト、亜鉛黄のような酸化亜鉛系顔料;モリブデン赤、モリブデンホワイト等の酸化モリブデン系顔料等が挙げられる。
顔料粒子は、電気泳動表示装置からの要求に応じて、適宜平均粒子径が設定される。一般に、50〜300nmの平均粒子径の顔料粒子が用いられる。
また、顔料粒子の形状は、特に限定されないが、分散媒への分散安定性を考慮すると、できるだけ球形に近いことが好ましい。
更に、顔料粒子は、0.5〜300m2/gの比表面積を有していることが好ましい。
【0020】
上記顔料粒子の含有量としては特に限定されないが、後述する芳香族系単量体100重量部に対して好ましい下限が10重量部、好ましい上限が800重量部である。顔料粒子の含有量が10重量部未満であると、非帯電性着色樹脂粒子製造時に非帯電性着色樹脂粒子同士の凝集が起こることがある。顔料粒子の含有量が800重量部を超えると、得られる非帯電性着色樹脂粒子が繊維状となり、所望する非帯電性着色樹脂粒子が得られないことがある。より好ましい下限は20重量部、より好ましい上限は400重量部である。
【0021】
顔料粒子は、その表面が表面処理剤で処理されている。
表面処理剤としては、アルミニウム(アルミネート)系カップリング剤、チタニウム(チタネート)系カップリング剤、ジルコニウム(ジルコネート)系カップリング剤、リン系カップリング剤、ケイ素(シラン)系カップリング剤等のカップリング剤が好ましい。
アルミネート系カップリング剤としては、例えば、アセトオクタデシルオキシアルミニウムジイソプロピオネート、次式(I):
【0022】
【化3】

【0023】
(式中、R1は炭素数8〜20のアルキル基、R2は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、R3は炭素数1〜6のアルコキシ基である)で示されるアルミニウム含有有機化合物が好適に用いられる。
【0024】
チタネート系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(n−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート、ビス(ジオクチルパオロホスフェート)エチレンチタネート、ビス(ジオクチルパオロホスフェート)ジイソプロピルチタネート、テトラメチルオルソチタネート、テトラエチルオルソチタネート、テトラプロピルオルソチタネート、テトライソプロピルテトラエチルオルソチタネート、テトラブチルオルソチタネート、ブチルポリチタネート、テトライソブチルオルソチタネート、2−エチルヘキシルチタネート、ステアリルチタネート、クレシルチタネートモノマー、クレシルチタネートポリマー、ジイソプロポキシ−ビス−(2,4−ペンタジオネート)チタニウム(IV)、ジイソプロピル−ビス−トリエタノールアミノチタネート、オクチレングリコールチタネート、チタニウムラクテート、アセトアセティックエスチルチタネート、ジイソプロポキシビス8アセチルアセトナト)チタン、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアルミナト)チタン、ジヒドロキシビス(ラクタト)チタン、チタニウム−イソプロポキシオクチレングリコレート、テトラ−n−ブトキシチタンポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートポリマー、ブチルチタネートダイマー、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
【0025】
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブチレート、ジルコニウムラクテート、ステアリン酸ジルコニウムブチレート、テトラ(トリエタノールアミン)ジルコネート、テトライソプロピルジルコネート等が挙げられる。
【0026】
リン系カップリング剤としては、例えば、アクリロイルオキシエチルフタルオキシエチルジエチルホスフェート、ジ(メタクリロイルオキシエチルフタルオキシエチル)ジエチルピロホスフェート、ジ(メタクリロイルオキシエチルフタルオキシエチル)メチルホスファイト、ジ(メタクリロイルオキシエチルフタルオキシエチル)ホスフェート、ジ(アクリロイルオキシエチルフタルオキシエチル)ピロホスフェート、ジ(メタクリロイルオキシエチルフタルオキシエチル)ホスファイト、メタクリロイルオキシエチルマレオキシエチルジエチルホスフェート、ジ(アクリロイルオキシエチルマレオキシエチル)ジエチルピロホスフェート、ジ(メタクリロイルオキシエチルマレオキシエチル)エチルホスファイト、ジ(アクリロイルオキシエチルマレオキシエチル)ホスフェート、ジ(メタクリロイルオキシエチルマレオキシエチル)ピロホスフェート、ジ(アクリロイルオキシエチルマレオキシエチル)ホスファイト、メタクリロイルオキシエチルスクシンオキシエチルジエチルホスフェート、ジ(メタクリロイルオキシエチルスクシンオキシエチル)ジメチルピロホスフェート、ジ(メタクリロイルオキシエチルスクシンオキシエチル)エチルホスファイト、ジ(メタクリロイルオキシエチルスクシンオキシエチル)ホスフェート、ジ(メタクリロイルオキシエチルスクシンオキシエチル)ピロホスフェート、ジ(メタクリロイルオキシエチルスクシンオキシエチル)ホスファイト、ジ(N−アクリルアミノメチル)ホスファイト、ジ(N−アクリルアミノメチル)ピロホスフェート、ジ(N−アクリルアミノメチル)ホスフェート等が挙げられる。
【0027】
また、表面処理剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸やそれらの金属塩や、シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物を用いることもできる。
上記表面処理剤の内、式(I)のアルミネート系カップリング剤が好適に用いられる。
式(I)中、R1は炭素数8〜20のアルキル基、R2は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、R3は炭素数1〜6のアルコキシ基である。
上記の構造式におけるR1の炭素数8〜20のアルキル基としては、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等が挙げられ、R2の炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル等が挙げられ、R3は炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ等が挙げられる。
【0028】
このような式で表されるアルミネート系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等が挙げられる。
【0029】
表面処理剤の使用量は、顔料粒子や表面処理剤の種類や使用量等にもよるが、通常、顔料粒子100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは2〜15重量部である。
表面処理剤の使用量が上記の範囲であれば、本発明に適した表面状態を顔料粒子に与えることができる。表面処理剤の使用量が1重量部未満では、分散安定性の向上の効果が十分に期待できないことがあり、また20重量部を超えると、使用量を増加させてもその効果はさほど向上しない場合が多い。
【0030】
(2)被覆層
被覆層は、顔料粒子を内包し、反応性分散剤、重合開始剤及び芳香族系単量体の混合物の重合体からなる。
(2−1)反応性分散剤
反応性分散剤は、非極性溶剤の存在下、シリコーンマクロモノマー、極性基を有しないビニル系単量体、及び、α−メチルスチレンダイマーを重合して得られる分散剤である。
極性基に由来する構成を被覆層が含まないことにより、帯電性着色樹脂粒子と非帯電性着色樹脂粒子との凝集を防止できる。
シリコーンマクロモノマーとしては、片末端に重合性不飽和基を有し、かつシリコーン単位(ジメチルポリシロキサン単位等のオルガノシロキサン単位)を有する種々の化合物を使用できる。
【0031】
(a)シリコーンマクロモノマーとしては、例えば、次式:
【0032】
【化4】

【0033】
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜4のアルキレン基であり、R3は互いに同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、nは整数である)で示される構造を有するものが挙げられる。
上記の構造式におけるR2の炭素数2〜4のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、プロピレン、エチルエチレン等が挙げられ、R3の炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。
上式で示される構造を有する具体的なシリコーンマクロモノマーとしては、例えば、α−ブチル−ω−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
シリコーンマクロモノマーの分子量は、数平均分子量500〜40000の範囲が好ましく、より好ましくは1000〜20000である。シリコーンマクロモノマーは、二種以上混合して用いられてもよい。上記の構造式におけるnは、この数平均分子量を与えうる数である。
【0034】
(b)ビニル系単量体は、極性基を有しないビニル系単量体である。
ビニル系単量体が極性基を有しないことにより、本発明の非帯電性着色樹脂粒子の帯電量を十分に低下させることができる。なお、極性基としては、より具体的には、シアノ基、アミノ基、アンモニウム基、ヒドロキシル基、カルボニル基、ニトロ基、チオール基、スルホニル基、ホスホニル基、ハロゲン基、及びグリシジル基を含まないビニル系単量体である。
【0035】
このようなビニル系単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−n−ブチルスチレン、m−n−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、o−tert−ブチルスチレン、m−tert−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、o−n−ヘキシルスチレン、m−n−ヘキシルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、o−n−オクチルスチレン、m−n−オクチルスチレン、p−n−オクチルスチレン、o−n−ノニルスチレン、m−n−ノニルスチレン、p−n−ノニルスチレン、o−n−デシルスチレン、m−n−デシルスチレン、p−n−デシルスチレン、o−n−ドデシルスチレン、m−n−ドデシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、n−メトキシスチレン、o−フェニルスチレン、m−フェニルスチレン、p−フェニルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、イソプレン、イソブテン、プロピレン、エチレン及びその誘導体が挙げられる。
【0036】
ビニル系単量体の使用量は、シリコーンマクロモノマー100重量部に対して、2〜50重量部が好ましい。より好ましくは、5〜25重量部である。
ビニル系単量体の使用量が2重量部未満では、顔料粒子と反応性分散剤との親和性が悪くなるため化学的に結合することが難しく、その結果、非帯電性着色樹脂粒子の分散安定性が悪くなることがある。一方、50重量部を超えると、顔料粒子と非極性溶媒との親和性が悪くなり、非帯電性着色樹脂粒子の分散安定性が悪くなることがある。
【0037】
(c)α−メチルスチレンダイマーとしては、次式で表される構造を有する付加開裂型の連鎖移動剤が好ましい。
【0038】
【化5】

【0039】
α−メチルスチレンダイマーとシリコーンマクロモノマーとビニル系単量体との共重合により、分子量が制御された、かつ末端にα−メチルスチレンダイマーに由来する反応性の二重結合を有する重合性共重合体が得られる。
α−メチルスチレンダイマーの使用量は、反応性分散剤の数平均分子量によって異なるが、一般にはシリコーンマクロモノマー100重量部に対して0.1〜10重量部である。
α−メチルスチレンダイマーの使用量が0.1重量部未満では、得られる反応性分散剤の数平均分子量が大きくなりすぎることがある。一方、10重量部を超えると、α−メチルスチレンダイマーによる分子量制御が難しくなり、数平均分子量の低下が行えず、添加に見合った効果が得られないことがある。
【0040】
反応性分散剤とビニル系単量体との分散重合を行うことにより、重合時の粒子同士の合着による凝集を防ぎながらシリコーンマクロモノマー由来のシリコーン鎖が表面へ化学的に固定化された非帯電性着色樹脂粒子を得ることができる。
反応性分散剤の分子量は特に限定されるものではないが、重量平均分子量3000〜200000の範囲であることが好ましい。より好ましい範囲は、5000〜100000である。
【0041】
本発明の非帯電性着色樹脂粒子における反応性分散剤の含有量としては特に限定されないが、後述する芳香族系単量体100重量部に対して好ましい下限が1重量部、好ましい上限が150重量部である。反応性分散剤の含有量が1重量部未満であると、所望の着色性を得ることができないことがある。反応性分散剤の含有量が150重量部を超えてもそれ以上の効果は得られない。
より好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は120重量部であり、さらに好ましい下限は20重量部、さらに好ましい上限は100重量部である。
【0042】
(d)反応性分散剤の製造方法
反応性分散剤は、例えば、シリコーンマクロモノマーと極性基を有しないビニル系単量体とα−メチルスチレンダイマーとを、非極性溶剤に添加し、公知の方法により攪拌しながら加熱することにより、共重合させて得ることができる。共重合には、重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤は、通常ビニル系単量体に予め溶解されて用いられる。
【0043】
非極性溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン等のパラフィン系炭化水素;イソヘキサン、イソオクタン、イソドデカン等のイソパラフィン系炭化水素;流動パラフィン等のアルキルナフテン系炭化水素;ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジアルキルシリコーンオイル、アルキルフェニルシリコーンオイル、環状ポリジアルキルシロキサン及び環状ポリアルキルフェニルシロキサン等のシリコーンオイル等が挙げられる。
【0044】
これらのうち、作業環境等の環境への影響を考慮して、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジアルキルシリコーンオイル、アルキルフェニルシリコーンオイル、環状ポリジアルキルシロキサン及び環状ポリアルキルフェニルシロキサン等のシリコーンオイルが好ましい。
また、反応性分散剤の製造において、超音波による分散を効率よく行うため、使用されるシリコーンオイルは、JIS K 2283で測定した動粘度が100センチストークス以下のオイルであることが更に好ましい。
反応性分散剤としての共重合体の調製に用いられる非極性溶剤の量は、単量体組成物100重量部に対し、20〜400重量部が好ましい。より好ましくは、50〜200重量部である。
【0045】
重合に用いる重合開始剤としては、油溶性の過酸化物系あるいはアゾ系開始剤等が用いられる。一例を挙げると、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,
2−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,3,3−トリアゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。特にシアノ基、カルボキシル基、アミド基、アンモニウム基、スルホン酸基などの極性基を含まない重合開始剤である過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの有機過酸化物、ジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系開始剤が好ましい。
重合開始剤は、単量体組成物(シリコーンマクロモノマーとビニル系単量体との混合物)中に0.1〜5重量%程度の量で含有されることが好ましい。
【0046】
上記の共重合における反応温度及び時間は、特に限定されるものではなく、例えば、用いられる重合開始剤の種類や使用量及び使用するシリコーンマクロモノマーとビニル系単量体とα−メチルスチレンダイマーとの反応性等により適時調整することが可能である。例えば、反応温度40〜150℃、反応時間0.5〜50時間の範囲で行うことが好ましい。より好ましくは、反応温度40〜80℃、反応時間2〜25時間の範囲である。
また、共重合における重合雰囲気は、大気雰囲気でも不活性ガス雰囲気でもよいが、雰囲気中の酸素による重合速度の遅延及び重合阻害を防止するために、不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。このような不活性ガスとしては、窒素ガス及びアルゴンガスが挙げられるが、経済性の面から窒素ガスが好ましい。
【0047】
ここで、反応性分散剤は、反応性分散剤の製造後に、使用した非極性溶剤から分離されても、分離されなくてもよい。分離されない場合は、非極性溶剤に分散又は溶解した反応性分散剤を、非帯電性着色樹脂粒子の製造にそのまま使用できる。
【0048】
(2−2)極性基を有しない芳香族系単量体
極性基を有しない芳香族系単量体は、芳香族基を有し、シアノ基、アミノ基、アンモニウム基、ヒドロキシル基、カルボニル基、ニトロ基、チオール基、スルホニル基、ホスホニル基、ハロゲン基、及びグリシジル基を含まない単量体である。極性基に由来する構成を被覆層が含まないことにより、帯電性着色樹脂粒子と非帯電性着色樹脂粒子との凝集を防止できる。
【0049】
極性基を有しない芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−n−ブチルスチレン、m−n−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、o−tert−ブチルスチレン、m−tert−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、o−n−ヘキシルスチレン、m−n−ヘキシルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、o−n−オクチルスチレン、m−n−オクチルスチレン、p−n−オクチルスチレン、o−n−ノニルスチレン、m−n−ノニルスチレン、p−n−ノニルスチレン、o−n−デシルスチレン、m−n−デシルスチレン、p−n−デシルスチレン、o−n−ドデシルスチレン、m−n−ドデシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、n−メトキシスチレン、o−フェニルスチレン、m−フェニルスチレン、p−フェニルスチレン、m−エチルベンゼン、p−エチルベンゼン、ジビニルベンゼン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン及びその誘導体が挙げられる。
【0050】
本発明の非帯電性着色樹脂粒子は、反応性分散剤の製造時に使用されたシリコーンマクロモノマー由来の成分に加えて、反応性分散剤及び芳香族系単量体と共に新たにシリコーンマクロモノマーを添加して重合させた成分を含むことが好ましい。新たにシリコーンマクロモノマーを添加することにより、得られる非帯電性着色樹脂粒子は、他の極性基を持つ帯電性着色樹脂粒子とより凝集せず、より混色しにくくなる。
ここで、新たに添加するシリコーンマクロモノマーは、反応性分散剤の製造時に用いられるシリコーンマクロモノマーと同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0051】
新たに添加するシリコーンマクロモノマーの添加量としては、特に限定されないが、上記芳香族系単量体100重量部に対して200重量部以下であることが好ましい。添加量が200重量部を超えて用いても、それ以上の効果は得られない。より好ましい上限は150重量部である。また、添加量の下限としては特に限定されないが、上記芳香族系単量体100重量部に対して30重量部以上であることが好ましい。
【0052】
(2−3)被覆層の形成方法
被覆層は、反応性分散剤と極性基を有しない芳香族系単量体とを、重合開始剤の存在下で、重合させることにより形成できる。この重合は、非極性溶剤中での分散重合であることが好ましい。
重合時の合着を防ぐため、分散重合は超音波の照射下で行うことが好ましい。また。マグネチックスターラー等の機械的攪拌装置を併用してもよい。
分散重合は、反応性分散剤の製法と同じ理由から、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。より好ましい不活性ガス雰囲気は、窒素ガス雰囲気である。
【0053】
(2−4)重合開始剤
上記被覆層を重合するための重合開始剤としては、油溶性の過酸化物系あるいはアゾ系開始剤等が用いられる。一例を挙げると、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,3,3−トリアゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4−アゾビス (4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。特にシアノ基、カルボキシル基、アミド基、アンモニウム基、スルホン酸基等の極性基を含まない重合開始剤である過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の有機化酸化物、ジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系開始剤が好ましい。
【0054】
分散重合における反応温度及び時間については特に限定されるものではなく、用いる重合開始剤の種類や使用量及び反応に使用するビニル系単量体の量等により適時調整して用いることが可能である。好ましくは反応温度40〜120℃、反応時間0.5〜50時間の範囲で行うことができる。より好ましくは、反応温度は40〜80℃、反応時間は2〜12時間である。
非極性溶剤としては、反応性分散剤の製造の説明で挙げたものをいずれも使用できる。
【0055】
被覆層は、反応性分散剤の量及び芳香族系単量体の選択により被覆厚さ及び被覆割合を調整することができ、それにより非帯電性着色樹脂粒子の粒子径を制御することが可能である。
例えば、芳香族系単量体に対して、反応性分散剤の割合を増やすことにより、粒子径を小さくすることができる。また、非極性溶媒に対する親和性が高い芳香族系単量体を選択して用いることによって、非帯電性着色樹脂粒子の粒子径を小さくすることができる。
【0056】
(3)非帯電性着色樹脂粒子の性状
非帯電性着色樹脂粒子は、図1に示す構成を有していると発明者等は考えている。即ち、顔料粒子1の表面に、表面処理剤由来層2が存在する。更に、表面処理剤由来層2の表面には、被覆層3が存在する。この非帯電性着色樹脂粒子では、表面処理剤由来層2が、顔料粒子1と被覆層3とを結合させ、被覆層3の剥離を抑制する役割を有すると発明者等は考えている。
なお、図1は、顔料粒子が1つの場合を示しているが、1つのみに限定されるものではなく、顔料粒子が複数非帯電性着色樹脂粒子中に存在していてもよい。
非帯電性着色樹脂粒子は、動的粘度が100センチストークス以下であるシリコーンオイル中に固形分濃度10%重量で分散した状態で、電極間距離を50μmとした並行平板となるITO電極間に15Vの電圧を60秒間印加した際に20nC/cm2以下の帯電量を示す。この帯電量を示すことで、電気泳動表示装置中で非帯電性着色樹脂粒子が泳動することによる表示の変動を抑制できる。
【0057】
非帯電性着色樹脂粒子の平均粒子径は、0.1〜1.0μmが好ましい。より好ましくは、0.2〜0.8μmである。
平均粒子径が0.1μm未満では、重合時に非極性溶剤の粘度が上昇し、その結果安定した平均粒子を有する非帯電性着色樹脂粒子の製造が行えないことがある。一方、1.0μmを超えると、非極性溶剤中での分散安定性が悪くなることがある。
非帯電性着色樹脂粒子の比重は、1.0〜3.0が好ましい。より好ましくは1.2〜2.5である。
比重が1.0未満では、顔料濃度が低くなるため、発色が悪くなることがある。一方、3.0を超えると、非極性溶剤への分散性が悪化することがある。
【0058】
(非帯電性着色樹脂粒子分散体)
非帯電性着色樹脂粒子分散体は、上記非帯電性着色樹脂粒子と、非帯電性着色樹脂粒子を分散させた非極性溶剤とを含む。
非極性溶剤としては、反応性分散剤の製造の説明で挙げたものをいずれも使用できる。
非帯電性着色樹脂粒子と非極性溶剤との割合は、特に限定されず、分散体の用途に応じて適宜設定できる。例えば、電気泳動表示装置の用途の場合、分散体100重量部中の非帯電性着色樹脂粒子の含有量は、例えば2〜40重量部程度、好ましくは5〜30重量部である。
非帯電性着色樹脂粒子分散体は、本発明の効果を阻害しない範囲で公知の添加剤が配合されていてもよい。
【0059】
(電気泳動表示装置)
電気泳動表示装置は、非帯電性着色樹脂粒子分散体を用いて得られる。
電気泳動表示装置では、非帯電性着色樹脂粒子がベース色を発色し、帯電性着色樹脂粒子が電気泳動により所望の形状で発色することにより、画像を表示する。
帯電性着色樹脂粒子の含有量は、非帯電性着色樹脂粒子分散体100重量部に対して、好ましくは0.2〜30重量部であり、より好ましくは0.5〜20重量部である。
電気泳動表示装置の構造は、特に限定されない。例えば、電極を有する一対の基板間に、非帯電性着色樹脂粒子分散体からなる表示層を挟んだ構造が挙げられる。電極間に電圧を印加することで、印加された電圧の極性に応じて、組み合わせて用いられる帯電性着色樹脂粒子が、一対の基板の内の片側に移動する。この装置では、帯電性着色樹脂粒子の移動を利用して情報が表示される。
【実施例】
【0060】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
平均粒子径、平均分子量、樹脂量及び帯電量の測定方法と、混色駆動評価方法とを下記する。
(平均粒子径)
平均粒子径は、動的光散乱法と呼ばれる方法を利用して測定したZ平均粒子径を意味する。
具体的には、着色樹脂粒子のシリコーンオイル分散液にレーザー光を照射し、着色樹脂粒子から散乱される散乱光強度をマイクロ秒単位の時間変化で測定する。検出された着色樹脂粒子に起因する散乱強度分布を正規分布に当てはめて、平均粒子径を算出するためのキュムラント解析法によりZ平均粒子径を求める。
この平均粒子径は、例えば、本実施例及び比較例で使用したマルバーン社(malvern Instruments LTD)の「ゼータサイザーナノZS」のような、市販の測定装置で簡便に測定できる。
通常、市販の測定装置にはデータ解析ソフトが搭載されており、測定データを自動的に解析することで、Z平均粒子径を算出できる。
【0061】
(平均分子量)
平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した、ポリスチレン(PS)換算重量平均分子量を意味する。
具体的には、試料4mgをテトラヒドロフラン(THF)4mLに溶解させ(浸透時間:6.0±0.5hr(完全溶解))、非水系0.45μmのクロマトディスクで濾過した上で、次の条件でクロマトグラフを用いて測定する。予め測定し、作成しておいた標準ポリスチレンの検量線から試料の平均分子量を求める。
液体クロマトグラフ:東ソー社製、商品名「ゲルパーミエーションクロマトグラフ HLC−8320」
ガードカラム:東ソー社製、商品名「TSKguardSuperMP(HZ)−HX」1本(4.6mmI.D.×2cm)
カラム:東ソー社製、商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−HX」2本(4.6mmI.D.×15cm)
カラム温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン(THF)
移動相流量:0.2mL/min
検出:RI
試料濃度:0.5g/mL THF
注入量:20マイクロリットル
測定時間:25min
検量線用標準ポリスチレン:昭和電工社製、商品名「shodex」重量平均分子量:5620000、3120000、1250000、442000、131000、54000、20000、7590、3450、1320
検量線の作成方法において、上記検量線用標準ポリスチレンをA,Bにグループ分けし、約1重量%濃度(0.1g/L)になるように、THFで溶解し、20μL注入する。これらの保持時間から較正曲線(一次式)を作成し、分子量分布測定に用いる。
【0062】
(着色樹脂粒子の樹脂量)
着色樹脂粒子を秤量する。秤量後の着色樹脂粒子を熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製TG/DTA6200型)中の白金セル中に入れる。白金セル中の着色樹脂粒子を、窒素雰囲気下、室温から800℃まで10℃/分の速度での昇温で加熱処理することで、樹脂を熱分解させる。取り出した粒子を秤量する。着色樹脂粒子の秤量値Aと加熱処理後の粒子の秤量値Bを以下の式に代入することで顔料粒子100重量部に対する樹脂量を算出する。
樹脂割合(重量%)=(秤量値A−秤量値B)×100/秤量値A
樹脂量(重量部)=樹脂割合/(100−樹脂割合)×100
【0063】
(帯電量の評価方法)
固形分10重量%の着色樹脂粒子を測定用試料とする。
片面に酸化インジウムスズ(ITO)をコートしたガラス板(幅20mm、長さ100mm、厚み0.7mm:松浪硝子工業社製、ITOコートガラス EAGLE XG)2枚を用意する。図2に示すように、一方のガラス基板のコート面にスペーサーとして厚み50μmのテフロン(登録商標)フィルム(幅20mm、長さ25mm)を貼り付け、2枚のガラス板をコート面が内側になるようにした状態でスペーサーを介して挟み込んだ平行平板(冶具)とする。2枚のガラス板の酸化インジウムスズ(ITO)のコート面のすき間(幅25mm、長さ20mm、厚み50μm)に、シリンジを用いて測定用試料を毛細管現象により浸透させる。次に、冶具の両側を測定装置(KEITHLEY社製:KEITHLEY6514)に接続し、+15Vの電圧を60秒間印加させて得られた測定値を測定面積で除し、これを帯電量(nC/cm2)とする。
【0064】
(混色駆動評価方法)
着色樹脂粒子の10重量%のシリコーンオイル分散体2.7gを20mLのガラス瓶に計り取り、更に、固形分が8重量%の負帯電性を示すマゼンダ粒子を更に0.3g加えて測定用試料を得る。
次に、片面に酸化インジウムスズ(ITO)をコートしたガラス板(幅20mm、長さ100mm、厚み0.7mm:松浪硝子工業社製、ITOコートガラス EAGLE XG)2枚を用意する。図1に示すように、一方のガラス基板のコート面にスペーサーとして厚み50μmのテフロン(登録商標)フィルム(幅20mm、長さ25mm)を貼り付け、2枚のガラス板をコート面が内側になるようにした状態でスペーサーを介して挟み込んだ平行平板(冶具)とする。2枚のガラス板の酸化インジウムスズ(ITO)のコート面のすき間(幅25mm、長さ20mm、厚み50μm)に、シリンジを用いて測定用試料を毛細管現象により浸透させる。次に、冶具の両側を測定装置(KEITHLEY社製:KEITHLEY6514)に接続し、+15Vの電圧を上部ITOコートガラスに印加する。
上部ITOコートガラス側にマゼンダ粒子が泳動し、上部ITOコートガラス面から見ると、マゼンダ色に見えた状態を○とする。一方、マゼンダ粒子と着色樹脂粒子が凝集し、マゼンダ色と着色樹脂粒子が混色して見えた状態を×とする。
【0065】
(着色樹脂粒子の極性評価)
着色樹脂粒子の固形分が10重量%の動粘度が2センチストークスのシリコーンオイル分散体5gを20mLのガラス瓶に計り取り、着色樹脂粒子の固形分が5重量%となるように動粘度が2センチストークスのシリコーンオイル(信越化学社製、KF−96L−2CS、以下「2csシリコーン」という)をさらに5g加えて測定用試料を得る。
次に、片面に酸化インジウムスズ(ITO)をコートしたガラス板(幅8mm、長さ100mm、厚み0.7mm:松浪硝子工業社製、ITOコートガラス EAGLE XG)2枚を、コート面を内側にし、銅テープを貼り付けたスペーサーをガラス板間に挟んでガラス板の間隔を1mmとした平行平板(冶具)を用意する。この冶具を測定用試料に浸漬し、冶具の左側(一)に+100Vの電圧を印加して10秒間静置する。10秒経過後、測定用試料から冶具を引き上げ、左側(一方)のガラス板に粒子が付着していればその粒子極性を負、右側(他方)のガラス板に粒子が付着していればその粒子極性を正と判断する。
【0066】
(沈降速度の評価方法:シリコーンオイル中での着色樹脂粒子の分散安定性の評価方法)
本発明でいう「分散安定性」は、光透過式遠心沈降法と呼ばれる方法を利用して測定した着色樹脂粒子のシリコーンオイル中での沈降速度を用いて評価する。
具体的には、着色樹脂粒子の10重量%のシリコーンオイル分散体2.7gを20mLのガラス瓶に計り取り、更に、固形分が8重量%の負帯電性を示すシアン粒子を更に0.3g加えて測定用試料を得る。測定用試料を入れたサンプルセルを遠心加速度1000×gで高速回転させ、セル中央における粒子の分離現象を経過時間によって解析することにより、シアン粒子との沈降速度を算出する。
この沈降速度は、LUM社(LUM GmbH)から市販されている測定装置「LUMiSizer 611」で簡便に測定できる。
通常、上記測定装置にはデータ解析ソフトが搭載されており、測定データを自動的に解析することで、沈降速度を算出できる。
【0067】
実施例1
(反応性分散剤1の作製)
シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)100重量部に、開始剤としてラウロイルパーオキサイド(日本油脂社製:パーロイルL、LPO、以下)2.0重量部、スチレン(日本オキシラン:スチレンモノマー、以下St)8.0重量部、シリコーンマクロモノマー(サイラプレーンFM−0721、チッソ社製)91重量部及び α−メチルスチレンダイマー(ノフマーMSD、日本油脂社製)1.0重量部を添加し、窒素雰囲気下70℃にて撹拌を行いながら20時間溶液重合を行い、反応性分散剤1を得た。得られた反応性分散剤1の重量平均分子量は42800であった。
ここでラウロイルパーオキサイドは予めスチレンに溶解させて添加した。
なお、反応分散剤1は、以下の着色樹脂粒子の作製前に、その製造時に使用したシリコーンオイルを除去する工程に付した。
【0068】
(着色樹脂粒子の作製)
直径1mmのジルコニアビーズを600g入れたガラス製のビーズポットに反応性分散剤1を40重量部、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)100重量部、顔料としての酸化チタン(石原産業社製:PT−401M 比表面積18.5m2/g)20重量部を添加し、室温にて72時間ビーズミルによる分散を行った後、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)を200重量部添加し、顔料分散液を得た。得られた顔料分散液360重量部にアルミニウム系カップリング剤(味の素ファインテクノ社製:プレンアクトAL−M)1.0重量部添加し、室温にて16時間攪拌し、カップリング剤で表面処理された顔料分散液を得た。
【0069】
シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)600重量部、重合開始剤としてラウロイルパーオキサイド(日本油脂社製:パーロイルL、LPO)8.0重量部、スチレン(日本オキシラン:スチレンモノマー、以下St)30重量部、ジビニルベンゼン(新日鐡化学社製:以下DVB)10重量部、上記の顔料分散液360重量部を添加し、窒素雰囲気下、60℃で7時間、超音波照射して分散重合させた。ここでラウロイルパーオキサイドは予めスチレンに溶解させて添加した。
【0070】
分散重合終了後、着色樹脂粒子を遠心分離により沈降分離し、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)に再度分散させた。この操作を4回繰り返し、着色樹脂粒子を洗浄することで重合開始剤等の反応残渣を除去した後に更にシリコーンオイルに分散し、固形分10%の着色樹脂粒子シリコーンオイル分散体を得た。
着色樹脂粒子の平均粒子径は、310nm、着色樹脂粒子に占める樹脂割合は51.1重量%であった。帯電量測定を行った結果、6.2nC/cm2であった。また、混色駆動評価は○であった。
【0071】
実施例2
反応性分散剤は、実施例1の(反応性分散剤1の作製)と同様の操作で作製した。
(着色樹脂粒子の作製)
直径1mmのジルコニアビーズを600g入れたガラス製のビーズポットに反応性分散剤1を40重量部、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)100重量部、顔料としての酸化チタン(石原産業社製:PT−401M 比表面積18.5m2/g)20重量部を添加し、室温にて72時間ビーズミルによる分散を行った後、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)を200重量部添加し、顔料分散液を得た。得られた顔料分散液360重量部にアルミニウム系カップリング剤(味の素ファインテクノ社製:プレンアクトAL−M)1.0重量部を添加し、室温にて16時間攪拌し、カップリング剤で表面処理された顔料分散液を得た。
【0072】
シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)590重量部、ラウロイルパーオキサイド(日本油脂社製:パーロイルL、以下LPO)8.0重量部、スチレン(日本オキシラン:スチレンモノマー、以下St)30重量部、ジビニルベンゼン(新日鐡化学社製:以下DVB)10重量部、上記の反応性分散剤1を10重量部、上記の顔料分散液を360重量部添加し、窒素雰囲気下、60℃で7時間、超音波照射して分散重合させた。ここでラウロイルパーオキサイドは予めスチレンに溶解させて添加した。
【0073】
分散重合終了後、着色樹脂粒子を遠心分離により沈降分離し、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)に再度分散させた。この操作を4回繰り返し、着色樹脂粒子を洗浄することで重合開始剤等の反応残渣を除去した後に更にシリコーンオイルに分散し、固形分10%の着色樹脂粒子シリコーンオイル分散体を得た。
着色樹脂粒子の平均粒子径は、272nm、着色樹脂粒子に占める樹脂割合は50.7重量%であった。帯電量測定を行った結果、19.1nC/cm2であった。また、混色駆動評価は○であった。
【0074】
実施例3
反応性分散剤は、実施例1の(反応性分散剤1の作製)と同様の操作で作製した。
(着色樹脂粒子の作製)
実施例1と同様にしてカップリング剤で表面処理された顔料分散液を得た。
シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)600重量部、重合開始剤としてラウロイルパーオキサイド(日本油脂社製:パーロイルL、LPO)8.0重量部、スチレン(日本オキシラン:スチレンモノマー、以下St)20重量部、ジビニルベンゼン(新日鐡化学社製:以下DVB)20重量部、上記の顔料分散液を360重量部添加し、窒素雰囲気下、60℃で7時間、超音波照射して分散重合させた。ここでラウロイルパーオキサイドは予めスチレンに溶解させて添加した。
【0075】
分散重合終了後、着色樹脂粒子を遠心分離により沈降分離し、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)に再度分散させた。この操作を4回繰り返し、着色樹脂粒子を洗浄することで重合開始剤等の反応残渣を除去した後に更にシリコーンオイルに分散し、固形分10%の着色樹脂粒子シリコーンオイル分散体を得た。
着色樹脂粒子の平均粒子径は、286nm、着色樹脂粒子に占める樹脂割合は53.2重量%であった。帯電量測定を行った結果、8.2nC/cm2であった。また、混色駆動評価は○であった。
【0076】
実施例4
反応性分散剤は、実施例1の(反応性分散剤1の作製)と同様の操作で作製した。
(着色樹脂粒子の作製)
実施例1と同様にしてカップリング剤で表面処理された顔料分散液を得た。
シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)590重量部、重合開始剤としてラウロイルパーオキサイド(日本油脂社製:パーロイルL、LPO)8.0重量部、スチレン(日本オキシラン:スチレンモノマー、以下St)30重量部、ジビニルベンゼン(新日鐡化学社製:以下DVB)20重量部、上記の顔料分散液を360重量部添加し、窒素雰囲気下、60℃で7時間、超音波照射して分散重合させた。ここでラウロイルパーオキサイドは予めスチレンに溶解させて添加した。
【0077】
分散重合終了後、着色樹脂粒子を遠心分離により沈降分離し、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)に再度分散させた。この操作を4回繰り返し、着色樹脂粒子を洗浄することで重合開始剤等の反応残渣を除去した後に更にシリコーンオイルに分散し、固形分10%の着色樹脂粒子シリコーンオイル分散体を得た。
着色樹脂粒子の平均粒子径は、354nm、着色樹脂粒子に占める樹脂割合は59.5重量%であった。帯電量測定を行った結果、3.4nC/cm2であった。また、混色駆動評価は○であった。
【0078】
実施例5
反応性分散剤は、実施例1の(反応性分散剤1の作製)と同様の操作で作製した。
(着色樹脂粒子の作製)
直径1mmのジルコニアビーズを600g入れたガラス製のビーズポットに反応性分散剤1を30重量部、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)110重量部、顔料としての酸化チタン(石原産業社製:PT−401M 比表面積18.5m2/g)20重量部を添加し、室温にて72時間ビーズミルによる分散を行った後、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)200重量部添加し、顔料分散液を得た。得られた顔料分散液360重量部にアルミニウム系カップリング剤(味の素ファインテクノ社製:プレンアクトAL−M)1.0重量部添加し、室温にて16時間攪拌し、カップリング剤で表面処理された顔料分散液を得た。
【0079】
シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)600重量部、重合開始剤としてラウロイルパーオキサイド(日本油脂社製:パーロイルL、LPO)8.0重量部、スチレン(日本オキシラン:スチレンモノマー、以下St)30重量部、ジビニルベンゼン(新日鐡化学社製:以下DVB)10重量部、上記の顔料分散液を360重量部添加し、窒素雰囲気下、60℃で7時間、超音波照射して分散重合させた。ここでラウロイルパーオキサイドは予めスチレンに溶解させて添加した。
分散重合終了後、着色樹脂粒子を遠心分離により沈降分離し、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)に再度分散させた。この操作を4回繰り返し、着色樹脂粒子を洗浄することで重合開始剤等の反応残渣を除去した後に更にシリコーンオイルに分散し、固形分10%の着色樹脂粒子シリコーンオイル分散体を得た。
着色樹脂粒子の平均粒子径は、254nm、着色樹脂粒子に占める樹脂割合は49.4重量%であった。帯電量測定を行った結果、11.4nC/cm2であった。また、混色駆動評価は○であった。
【0080】
実施例6
反応性分散剤は、実施例1の(反応性分散剤1の作製)と同様の操作で作製した。
(着色樹脂粒子の作製)
直径1mmのジルコニアビーズを600g入れたガラス製のビーズポットに反応性分散剤1を40重量部、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)100重量部、着色剤としての酸化チタン(テイカ社製:MT-600B 比表面積32.1m2/g)20重量部を添加し、室温にて72時間ビーズミルによる分散を行った後、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)200重量部添加し、顔料分散液を得た。得られた顔料分散液を360重量部、アルミニウム系カップリング剤(味の素ファインテクノ社製:プレンアクトAL−M)1.2重量部添加し、室温にて16時間攪拌し、カップリング剤で表面処理された顔料分散液を得た。
【0081】
シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)600重量部、重合開始剤としてラウロイルパーオキサイド(日本油脂社製:パーロイルL、LPO)8.0重量部、スチレン(日本オキシラン:スチレンモノマー、以下St)30重量部、ジビニルベンゼン(新日鐡化学社製:以下DVB)10重量部、上記の顔料分散液を360重量部添加し、窒素雰囲気下、60℃で7時間、超音波照射して分散重合させた。ここでラウロイルパーオキサイドは予めスチレンに溶解させて添加した。
【0082】
分散重合終了後、着色樹脂粒子を遠心分離により沈降分離し、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)に再度分散させた。この操作を4回繰り返し、着色樹脂粒子を洗浄することで重合開始剤等の反応残渣を除去した後に更にシリコーンオイルに分散し、固形分10%の着色樹脂粒子シリコーンオイル分散体を得た。
着色樹脂粒子の平均粒子径は、237nm、着色樹脂粒子に占める樹脂割合は50.9重量%であった。帯電量測定を行った結果、18.2nC/cm2であった。また、混色駆動評価は○であった。
【0083】
実施例7
反応性分散剤は、実施例1の(反応性分散剤1の作製)と同様の操作で作製した。
(着色樹脂粒子の作製)
直径1mmのジルコニアビーズを600g入れたガラス製のビーズポットに反応性分散剤1を40重量部、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)100重量部、顔料としての酸化チタン(石原産業社製:PT−401M 比表面積18.5m2/g)20重量部を添加し、室温にて72時間ビーズミルによる分散を行った後、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)200重量部添加し、顔料分散液を得た。得られた顔料分散液360重量部にチタネート系カップリング剤(味の素ファインテクノ社製:プレンアクトKR−TTS)1.0重量部添加し、室温にて16時間攪拌し、カップリング剤で表面処理された顔料分散液を得た。
【0084】
シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)600重量部、重合開始剤としてラウロイルパーオキサイド(日本油脂社製:パーロイルL、LPO)8.0重量部、スチレン(日本オキシラン:スチレンモノマー、以下St)30重量部、ジビニルベンゼン(新日鐡化学社製:以下DVB)10重量部、上記の顔料分散液を360重量部添加し、窒素雰囲気下、60℃で7時間、超音波照射して分散重合させた。ここでラウロイルパーオキサイドは予めスチレンに溶解させて添加した。
【0085】
分散重合終了後、着色樹脂粒子を遠心分離により沈降分離し、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)に再度分散させた。この操作を4回繰り返し、着色樹脂粒子を洗浄することで重合開始剤等の反応残渣を除去した後に更にシリコーンオイルに分散し、固形分10%の着色樹脂粒子シリコーンオイル分散体を得た。
着色樹脂粒子の平均粒子径は、342nm、着色樹脂粒子に占める樹脂割合は53.9重量%であった。帯電量測定を行った結果、15.3nC/cm2であった。また、混色駆動評価は○であった。
【0086】
実施例8
反応性分散剤は、実施例1の(反応性分散剤1の作製)と同様の操作で作製した。
(着色樹脂粒子の作製)
実施例1と同様にしてカップリング剤で表面処理された顔料分散液を得た。
200mlサンプル管にシリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)600重量部、重合開始剤としてラウロイルパーオキサイド(日本油脂社製:パーロイルL、LPO)8.0重量部、p-メチルスチレン(和光純薬会社:p−メチルスチレン)30重量部、ジビニルベンゼン(新日鐡化学社製:以下DVB)10重量部、上記の顔料分散液を360重量部添加し、窒素雰囲気下、60℃で7時間、超音波照射して分散重合させた。ここでラウロイルパーオキサイドは予めスチレンに溶解させて添加した。
【0087】
分散重合終了後、着色樹脂粒子を遠心分離により沈降分離し、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)に再度分散させた。この操作を4回繰り返し、着色樹脂粒子を洗浄することで重合開始剤等の反応残渣を除去した後に更にシリコーンオイルに分散し、固形分10%の着色樹脂粒子シリコーンオイル分散体を得た。
着色樹脂粒子の平均粒子径は、335nm、着色樹脂粒子に占める樹脂割合は52.9重量%であった。帯電量測定を行った結果、5.2nC/cm2であった。また、混色駆動評価は○であった。
【0088】
比較例1
実施例1の(着色樹脂粒子の作製)において、スチレン(日本オキシラン社製:スチレンモノマー)をメタクリル酸メチル(三菱レイヨン社製:MMA)とジビニルベンゼン(新日鐡化学社製:以下DVB)をエチレングリコールジメタクリレート(共栄社化学社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により着色樹脂粒子を作製した。
得られた着色樹脂粒子の平均粒子径は、293nm、着色樹脂粒子に占める樹脂割合は54.3重量%であった。着色樹脂粒子の帯電量は19.7nC/cm2であり、混色泳動性評価は×となった。
【0089】
比較例2
実施例1の(反応性分散剤1の作製)において、スチレン(日本オキシラン社製:スチレンモノマー)8.0重量部をスチレン(日本オキシラン社製:スチレンモノマー)6.0重量部とジエチルアミノエチルメタクリレート(共栄社化学社製:ライトエステルDE)2.0重量部に変更して得た反応性分散剤2を使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により着色樹脂粒子を作製した。得られた反応性分散剤の重量平均分子量は45200であった。
得られた着色樹脂粒子の平均粒子径は、283nm、着色樹脂粒子に占める樹脂割合は49.3重量%であった。着色樹脂粒子の帯電量は27.4nC/cm2であり、混色泳動性評価は×となった。
【0090】
実施例9
反応性分散剤は、実施例1の(反応性分散剤1の作製)と同様の操作で作製した。
(着色樹脂粒子の作製)
直径1mmのジルコニアビーズを600gを入れたガラス製のビーズポットに反応性分散剤1を40重量部、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)100重量部、顔料としての酸化チタン(石原産業社製:PT−401M 比表面積18.5m2/g)20重量部を添加し、室温にて72時間ビーズミルによる分散を行った後、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)を200重量部添加し、顔料分散液を得た。得られた顔料分散液360重量部にアルミニウム系カップリング剤(味の素ファインテクノ社製:プレン
アクトAL−M)1.0重量部を添加し、室温にて16時間攪拌し、カップリング剤で表面処理された顔料分散液を得た。
【0091】
シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)590重量部、ラウロイルパーオキサイド(日本油脂社製:パーロイルL、以下LPO)8.0重量部、ジビニルベンゼン(新日鐡化学社製:以下DVB)40重量部、上記の顔料分散液を360重量部添加し、窒素雰囲気下、60℃で7時間、超音波照射して分散重合させた。ここでラウロイルパーオキサイドは予めジビニルベンゼンに溶解させて添加した。
【0092】
分散重合終了後、着色樹脂粒子を遠心分離により沈降分離し、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)に再度分散させた。この操作を4回繰り返し、着色樹脂粒子を洗浄することで重合開始剤等の反応残渣を除去した後に更にシリコーンオイルに分散し、固形分10%の着色樹脂粒子シリコーンオイル分散体を得た。
着色樹脂粒子の平均粒子径は、520nm、着色樹脂粒子に占める樹脂割合は57.3重量%であった。帯電量測定を行った結果、2.6nC/cm2であった。混色駆動評価は○であった。また、負帯電性を示すシアン粒子との沈降速度は、4.57μm/secであった。
【0093】
実施例10
反応性分散剤は、実施例1の(反応性分散剤1の作製)と同様の操作で作製した。
(着色樹脂粒子の作製)
直径1mmのジルコニアビーズを600gを入れたガラス製のビーズポットに反応性分散剤1を40重量部、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)100重量部、顔料としての酸化チタン(石原産業社製:PT−401M 比表面積18.5m2/g)20重量部を添加し、室温にて72時間ビーズミルによる分散を行った後、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)を200重量部添加し、顔料分散液を得た。得られた顔料分散液360重量部にアルミニウム系カップリング剤(味の素ファインテクノ社製:プレン
アクトAL−M)1.0重量部を添加し、室温にて16時間攪拌し、カップリング剤で表面処理された顔料分散液を得た。
【0094】
シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)590重量部、ラウロイルパーオキサイド(日本油脂社製:パーロイルL、以下LPO)8.0重量部、ジビニルベンゼン(新日鐡化学社製:以下DVB)40重量部、シリコーンマクロモノマー(サイラプレーンFM−0721、チッソ社製)10重量部、上記の顔料分散液を360重量部添加し、窒素雰囲気下、60℃で7時間、超音波照射して分散重合させた。ここでラウロイルパーオキサイドは予めジビニルベンゼンに溶解させて添加した。
【0095】
分散重合終了後、着色樹脂粒子を遠心分離により沈降分離し、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)に再度分散させた。この操作を4回繰り返し、着色樹脂粒子を洗浄することで重合開始剤等の反応残渣を除去した後に更にシリコーンオイルに分散し、固形分10%の着色樹脂粒子シリコーンオイル分散体を得た。
着色樹脂粒子の平均粒子径は、516nm、着色樹脂粒子に占める樹脂割合は57.8重量%であった。帯電量測定を行った結果、1.7nC/cm2であった。混色駆動評価は○であった。また、負帯電性を示すシアン粒子との沈降速度は、4.00μm/secであった。
【0096】
実施例11
反応性分散剤は、実施例1の(反応性分散剤1の作製)と同様の操作で作製した。
(着色樹脂粒子の作製)
直径1mmのジルコニアビーズを600gを入れたガラス製のビーズポットに反応性分散剤1を40重量部、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)100重量部、顔料としての酸化チタン(石原産業社製:PT−401M 比表面積18.5m2/g)20重量部を添加し、室温にて72時間ビーズミルによる分散を行った後、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)を200重量部添加し、顔料分散液を得た。得られた顔料分散液360重量部にアルミニウム系カップリング剤(味の素ファインテクノ社製:プレン
アクトAL−M)1.0重量部を添加し、室温にて16時間攪拌し、カップリング剤で表面処理された顔料分散液を得た。
【0097】
シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)590重量部、ラウロイルパーオキサイド(日本油脂社製:パーロイルL、以下LPO)8.0重量部、ジビニルベンゼン(新日鐡化学社製:以下DVB)40重量部、シリコーンマクロモノマー(サイラプレーンFM−0721、チッソ社製)20重量部、上記の顔料分散液を360重量部添加し、窒素雰囲気下、60℃で7時間、超音波照射して分散重合させた。ここでラウロイルパーオキサイドは予めジビニルベンゼンに溶解させて添加した。
【0098】
分散重合終了後、着色樹脂粒子を遠心分離により沈降分離し、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)に再度分散させた。この操作を4回繰り返し、着色樹脂粒子を洗浄することで重合開始剤等の反応残渣を除去した後に更にシリコーンオイルに分散し、固形分10%の着色樹脂粒子シリコーンオイル分散体を得た。
着色樹脂粒子の平均粒子径は、423nm、着色樹脂粒子に占める樹脂割合は57.8重量%であった。帯電量測定を行った結果、3.1nC/cm2であった。混色駆動評価は○であった。また、負帯電性を示すシアン粒子との沈降速度は、2.93μm/secであった。
【0099】
実施例12
反応性分散剤は、実施例1の(反応性分散剤1の作製)と同様の操作で作製した。
(着色樹脂粒子の作製)
直径1mmのジルコニアビーズを600gを入れたガラス製のビーズポットに反応性分散剤1を40重量部、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)100重量部、顔料としての酸化チタン(石原産業社製:PT−401M 比表面積18.5m2/g)20重量部を添加し、室温にて72時間ビーズミルによる分散を行った後、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)を200重量部添加し、顔料分散液を得た。得られた顔料分散液360重量部にアルミニウム系カップリング剤(味の素ファインテクノ社製:プレン
アクトAL−M)1.0重量部を添加し、室温にて16時間攪拌し、カップリング剤で表面処理された顔料分散液を得た。
【0100】
シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)590重量部、ラウロイルパーオキサイド(日本油脂社製:パーロイルL、以下LPO)8.0重量部、ジビニルベンゼン(新日鐡化学社製:以下DVB)40重量部、シリコーンマクロモノマー(サイラプレーンFM−0721、チッソ社製)40重量部、上記の顔料分散液を360重量部添加し、窒素雰囲気下、60℃で7時間、超音波照射して分散重合させた。ここでラウロイルパーオキサイドは予めジビニルベンゼンに溶解させて添加した。
【0101】
分散重合終了後、着色樹脂粒子を遠心分離により沈降分離し、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96L−1CS、動粘度:1センチストークス)に再度分散させた。この操作を4回繰り返し、着色樹脂粒子を洗浄することで重合開始剤等の反応残渣を除去した後に更にシリコーンオイルに分散し、固形分10%の着色樹脂粒子シリコーンオイル分散体を得た。
着色樹脂粒子の平均粒子径は、331nm、着色樹脂粒子に占める樹脂割合は55.9重量%であった。帯電量測定を行った結果、5.9nC/cm2であった。混色駆動評価は○であった。また、負帯電性を示すシアン粒子との沈降速度は、1.37μm/secであった。
実施例1〜8及び比較例1〜2の使用原料種、原料使用量及び結果を表1にまとめて示す。表1中、原料使用量は重量部である。
【0102】
【表1】

【0103】
実施例9〜12の使用原料種、原料使用量及び結果を表2にまとめて示す。表2中、原料使用量は重量部である。
【0104】
【表2】

【0105】
表1の結果より、被覆層に特定種の極性基を有していない反応性分散剤、重合開始剤及び芳香族系単量体の混合物の重合体を使用することで、得られた着色樹脂粒子は、帯電量が低く、帯電性着色樹脂粒子と混色せず、分散安定性を有していることが分かる。
また、表2の結果より、以下のことが分かる。
実施例9、10、11及び12から、反応性分散剤の製造時に用いられているシリコーンマクロモノマーとは別にシリコーンマクロモノマーを添加して重合させることにより着色樹脂粒子を得ることで、沈降速度が遅くなっていることから、分散安定性がより高くなっていることが分かる。特に、着色樹脂粒子製造時にシリコーンマクロモノマーを20重量部以上使用することで、沈降速度をより遅くできることが分かる。
【符号の説明】
【0106】
1 顔料粒子、2 表面処理剤由来層、3 被覆層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理剤で処理された金属酸化物からなる顔料粒子の表面に対して、非極性溶剤の存在下、シリコーンマクロモノマー、極性基を有しないビニル系単量体、及び、α−メチルスチレンダイマーを重合して得られる反応性分散剤と、極性基を有しない芳香族系単量体との重合体により被覆させてなる非帯電性着色樹脂粒子であって、
動的粘度が100センチストークス以下のシリコーンオイル中に固形分濃度10重量%にて分散させた状態で、電極間距離を50μmとした並行平板となるITO電極間に封入し、15Vの電圧を60秒間印加した際に20nC/cm2以下の帯電量を示すことを特徴とする非帯電性着色樹脂粒子。
【請求項2】
前記非帯電性着色樹脂粒子が、前記反応性分散剤と、前記芳香族系単量体と、前記反応性分散剤の重合による製造時に使用されたシリコーンマクロモノマーと同一又は異なるシリコーンマクロモノマーとの重合体により、前記顔料粒子の表面を被覆した粒子である請求項1に記載の非帯電性着色樹脂粒子。
【請求項3】
前記シリコーンマクロモノマーが、下記一般式(1)
【化1】

(R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数2〜4のアルキレン基、R3は同一又は異なった炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、nは整数)で表される化合物である請求項1又は2に記載の非帯電性着色樹脂粒子。
【請求項4】
前記表面処理剤が、カップリング剤である請求項1〜3のいずれか1つに記載の非帯電性着色樹脂粒子。
【請求項5】
前記表面処理剤が、下記一般式(2)、(3)又は(4)
【化2】

(式中、R1は炭素数8〜20のアルキル基、R2は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、R3は炭素数1〜6のアルコキシ基である)で表される化合物である請求項1〜4のいずれか1つに記載の非帯電性着色樹脂粒子。
【請求項6】
平均粒子径が、50〜1000nmの範囲である請求項1〜5のいずれか1つに記載の非帯電性着色樹脂粒子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の非帯電性着色樹脂粒子を非極性溶媒中に分散させて得られる非帯電性着色樹脂粒子分散体。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の非帯電性着色樹脂粒子、又は、請求項7に記載の非帯電性着色樹脂粒子分散体を用いて得られる電気泳動用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−82875(P2013−82875A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−52173(P2012−52173)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】