説明

靴の光装着具

【課題】 歩いたり走ったりする動作で無電源で起電できて発光でき、既存する靴を何ら加工することなく、その靴の狭いスペース内に起電部を設けて、如何なる靴にも着脱可能に装着でき、その起電した電気で発光する可視光の光を靴の外方向へ、靴の側方から後方の間の所望方向に設定して装着でき、従来に無い「靴の光装着具」を提供すること。
【解決手段】 歩いたり走ったりする動作で足を踏み下ろす圧力が加わると、その圧力によって起電する起電部を靴内の狭いスペースに起電部を設けられるように平板状に形成し、その平板状の起電部上に前記足を踏み下ろす圧力が加わることで、その圧力に追従して圧電体が歪んで起電でき、その起電部によって起電する電気を靴の外側へと給電する配線材を設けて、その配線材にLEDを接続して発光するようにし、その給電する配線材を固定具によって靴の所望する開口部分や部位に固定させることで、着脱可能に装着できるようにした構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行や走行動作で無電源で起電して光り、その起電した電気で靴の周りに発光させて視覚させる靴の光装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、靴に発光装置を設けて靴の周りに発光させて存在を視覚させる靴の提案は幾つもされている。例えば靴内に電源となる電池を設け、その電池で供給される電気でLED等を光らせる靴として、特開2005−13314号公報、登録実用新案3038468号、登録実用新案3047473号、特開平8−33210号公報、特開平11−32813号公報等が提案されてる。しかしそれらに共通する問題として、靴内に電池を内蔵する発光装置を組み込み製作するのは非常に困難で、その実現には例えば発光装置を靴内に組み込んで収容スペースの問題、製作上かなりコスト高になる問題、靴を洗濯できない問題、電池が切れたら発光しなくなるため電池を交換しなければならない問題等があり、さらに靴を発光させるには必ずその発光装置を内蔵した靴を履かなければならないし、靴が消耗した場合には、発光させるにはまた同じ靴を買わなければならない。また構造上の問題として、従来の発光靴の構造では一方方向にしか光らせられない問題もあった。
【0003】
また靴内に圧電素子を設け、圧電素子で起電させて光らせる靴として、特願2000−022061号公報、特開平8−168272号公報、特開公表平5−504283号公報、特開平6−209807号公報、特開2001−308405号公報、特開2005−183275号公報、特開2006−107859号公報等が提案されており、それらの各構成、起電方法、問題点を表1にまとめている。それらの共通する問題として、やはりどの構成も靴内に圧電素子と発光体の発光装置を設ける構成であるため、いずれも製作が非常に難しく、また同様にその構造ではその発光体が靴の外に発光する方向は、一方方向(靴の底で後方、側方、前方のいずれか)に固定されて発光することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−13314号公報、登録実用新案3038468号、登録実用新案3047473号、特開平8−33210号公報、特開平11−32813号公報、特願2000−022061号公報、特開平8−168272号公報、特開公表平5−504283号公報、特開平6−209807号公報、特開2001−308405号公報、特開2005−183275号公報、特開2006−107859号公報
【0005】
【表1】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述した従来の問題に鑑みて発明したもので、歩いたり走ったりする動作で無電源で起電できて発光でき、既存する靴を何ら加工することなく、その靴の狭いスペース内に起電部を設けて、如何なる靴にも着脱可能に装着でき、その起電した電気で発光する可視光の光を靴の外方向へ、靴の側方から後方の間の所望方向に設定して装着でき、従来に無い「靴の光装着具」を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために、歩いたり走ったりする動作で足を踏み下ろす圧力が加わると、その圧力によって起電する起電部を靴内の狭いスペースに起電部を設けられるように平板状に形成し、その平板状の起電部上に前記足を踏み下ろす圧力が加わることで、その圧力に追従して圧電体が歪んで起電でき、その起電部によって起電する電気を靴の外側へと給電する配線材を設けて、その配線材にLEDを接続して発光するようにし、その給電する配線材を固定具によって靴の所望する開口部分や部位に固定させることで、着脱可能に装着できるようにした構成である。
【0008】
その平板状の起電部を構成するのに、その起電部は圧電起電部を可撓性のある平板状の基板面に平薄状の圧電体を設けた構成で実施でき、その平板状の基板面上に前記圧力が加わってその基板が撓んで変形することで、その変形に追従して平薄状の圧電体も歪んで起電できる構成である。
【0009】
本発明は、歩行や走行の運動のエネルギーを電気エネルギーに変換して発光できるため、電池が不要であり、靴を履き替えてもいつまでも無電源で半永久的に使用できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の靴の光装着具は、どんな狭い靴内でも靴底上に起電部を載置して起電でき、そして如何なる既存の靴でも何ら加工することなく、固定具により靴に着脱可能に固定して装着でき実施できる。そして本発明の靴の光装着具は、装着する人の所望する靴の部位に装着できるため、その装着する部位でLEDの照射方向を側方から後方の間で任意に設定でき、視覚させたい方向を側方から後方の間の範囲にいる人に発光させて視覚させることができる。特に本発明を45°斜め後方に向けて装着すれば、靴の側方と後方にいる全て人を同時に視覚させることができる。そして靴を履き替えてもいつまでも無電源で半永久的に使用できる。また本発明の起電部は、嵩張らずに上からの圧力や衝撃に対して、その力の大きさに比例して適当に撓むことができるため、その力を吸収して衝撃を和らげるクッションの役目を果たす効果を既存の靴に装着して同時にもたらすことができる
【実施例】
【0011】
本発明の実施例の構成を図面を元に詳細に説明する。図1、図2は本発明の「靴の光装着具」の実施例の全体図を示し、図3は本発明の「靴の光装着具」の起電部の実施例の構成を示すものである。
【0012】
図1において、起電部2の外形を略円状で平板状に形成し、その起電部2で起電する電気を給電する配線材3を接続して具備し、その配線材3として靴内から靴の外側へと給電する平行2芯ケーブルを約10cmの長さに形成し、その配線材3を靴の所望の位置に固定する固定具4としてクリップ4aを設け、そのクリップ4aの内側に溝4dを形成して、その溝4dに配線材3を嵌合して設け、その配線材3の先端に露呈した芯線に、LED6の各端子をそれぞれはんだ付け等で接続する。固定具4としてクリップ4aを適当に可撓する樹脂材でU字状に形成し、そのU字状に形成したクリップ4aの内側に前記溝部4dと開口する開口部4eを形成し、その開口部4eからLED6を嵌合して外側に突出させている。図1(b)はクリップ4aが通常の負荷をかけてない状態を示し、そのクリップ4aは可撓性があるため、矢印の方向へ撓ませて図1(c)の状態にすると、クリップ4aは図1(b)の元の形状に戻ろうとして、常に内側へと力が加わる状態になる。そのため靴の開口の淵にクリップ4aで挟むことで、その可撓性の性質で固定できる。
【0013】
図4は、図1に示した本発明の「靴の光装着具」の実施例の構成を実際に既存の靴へ、固定具4のクリップ4aで挟んで装着した状態を示したものである。図のようにクリップ4aを靴の開口の淵に挟ませれば、前記したクリップ4aの可撓性によって、その淵上にしっかり固定でき図4(b)の状態にして固定できる。
【0014】
図5は、図1に示した本発明の「靴の光装着具」を靴に装着した状態の縦断面図を示す。図5(a)に示すように、本発明の「靴の光装着具」を構成する起電部2は平薄で平板状であり、靴内の狭いスペースの靴底上に載置して装備することができ、実際に靴を履いて歩いても邪魔にならないし違和感が無い。そして図5(b)の靴を履いた状態になると、踵が起電部2上に載った状態で歩いたり走ったりする度に、平板状の起電部2上に体の荷重が加わることになり、その荷重で起電部2を構成する圧電起電部2Aの圧電体2bには、その圧力で歪みの変形が起き、その歪みの変形によって圧電体2bから起電流を発生する。その実際の起電原理については図7で後述する。尚、図1の構成において、クリップ4aはアルミ等の金属板で形成してもよいし、また図1(e)で示すように開口部4eを縦長に形成し、その開口部4e内でLED6を上下(↑↓)方向に適当に位置をずらして固定するようにしてもよい。また開口した開口部4eを縦にそれぞれ幾つか設けておき、そのひとつの開口部4eからLED6を突出して固定するように構成してもよい。
【0015】
次に本発明の「靴の光装着具」の装着について、図4(c)に示すように、靴の開口した淵の側方から後方の間(XとZの間)の所望の位置に、クリップ4aを挟んで固定することができる。そのためその固定する位置によって、側方(X方向)から後方(Z方向)の間のどの方向にもLED6を向けて発光させられ、その方向に照射することができる。またLED6を斜め45°後方(Y方向)に向けて固定でき、そのLED6の発光方向によって、側方と後方の人に対し同時に視覚させることができるため、その視覚範囲が非常に広がる。尚、図4(c)の実施構成においては、起電部2を靴の底面上に貼って固定し、配線材3を予め長めにしておくことで、図5(b)に示す様に踵の後ろと靴内の後端部域の空いたスペース内に、その長めの余った配線材3を沿わすことで、固定具4の固定位置を所望の位置で設定して装着できるようにして実施してもよい。
【0016】
図2は、本発明の「靴の光装着具」の固定具4の他の実施例の構成を示すものである。図2(a)(b)は、固定具4として係着材4bで構成し実施するもので、LED6をPWB等の基台5上に固定しておき、その基台5の底面に係着材4bを具備させた構成である。その係着材4bとしては、例えば接着材を塗付しておき、その接着材面から剥離紙を剥がして靴の所望の位置に、その係着材4bを接着して実施してもよいし、また図2(b)に示すように、互いに係着する係着材4b、4bを具備しておき、図6に示すように、靴の所望の位置に一方の係着材4bを適当な大きさで貼っておき、もう一方の係着材4bをその係着材4bに互いに係着させて実施してもよい。この構成であれば、係着材4bを係着させる位置を一方の係着材4bの大きさによって幾らか可変でき、LED6の発光位置を適当に可変して固定できる。ここで互いに係着する係着材4b、4bとしては、例えば面ファスナーやマグネット同士やマグネットと鉄板等で実施できる。図2(c)(d)は、固定具4としてテープ材4cで構成し実施するものである。テープ材4cを縦幅8cm、横幅2cm位の大きさに形成し、そのテープ材4cによって配線材3を覆い、靴の淵の内側から外側にかけて貼り付けて固定するもので、この固定方法であれば配線材3に遊びが無くしっかりと固定できる。このテープ材4cの実施方法としては、例えばテープ材4cから剥離紙を剥がして、靴の淵に貼って固定することができる。テープ材4cとしては、例えばビニルテープ、布粘着テープ、アルミ箔テープ等で実施できる。その他の実施例としては、固定具4として配線材3の面上に予め塗付した接着材で構成して実施してもよい。
【0017】
図3は、本発明の「靴の光装着具」を構成する起電部2において、その構成の各実施例を示すものである。「靴の光装着具」を構成する起電部2は、その起電する平板状の構成として圧電起電部2Aでなり、その圧電起電部2Aは図8に示す構成で実施するものであり、その圧電起電部2Aの構成について、次に詳述する。本発明を構成する圧電起電部2Aは、適当な厚みで可撓性があり好ましくは金属板でなる平板状の基板2aで構成し、その基板2aの面上に設けた適当な大きさと厚みでなる平薄状の圧電体2bと、その圧電体2bの上面に電極面2cを設けて構成する構造である。一般に圧電セラミックの圧電体は、弾性が無く強い衝撃や曲げによって割れてしまうが、その圧電セラミックを平薄状に形成することで、その平薄状にした圧電セラミックには、ある程度弾性が出てある程度割れずに曲げることができる。そのため図8に示す構造にして、平板状で可撓性のある金属板でなる基板2a上に、圧電セラミックでなる圧電体2bを平薄状に設けることで、その圧電体2bが割れない範囲内で撓ませて起電させることができる。そのため本発明を構成する圧電起電部2Aは、可撓性がある基板2aと、その面上に平薄状に設けた圧電体2bによって構成することで、適当に撓んで割れずに曲げられ、その構造は非常に平薄状に構成できて嵩張らずに上からの圧力や衝撃に対して、その力の大きさに比例して適当に撓むことができ、その力を吸収して衝撃を和らげるクッションの役目を果たすことができるため、靴内に設けても違和感が無く実施できる。本発明の実施例として、圧電起電部2Aを構成する基板2aは、適当な厚みで可撓性がある金属等で構成でき、実施例としては黄銅、アルミ、銅や、合金でなる42ALLOY等で実施できる。また基板2aを薄いプラスチック材でその面上にアルミ蒸着して形成したり、導電性のカーボン等を成膜して構成してもよい。また基板2a全体を導電ゴムや導電性プラスチック材で形成して構成してもよい。基板2aの厚みとしては、適当に撓んで可撓性を持つ厚さであればよく、金属板で形成した場合は実施例として、その金属の材質にもよるが、例として2〜1mm以下から0.5〜0.3mm以下で0.2mm以下であればさらによい。圧電体2bは、圧電セラミックとしては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の他に、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛、ニオブ酸鉛、ニオブ酸リチウム等を焼結して分極処理したもので構成でき、実施例として0.2〜0.06mmの厚みで実施できる。また圧電フィルムとしては、フィルム状のポリフッ化ビニリデン(PVDF)等で構成して実施できる。いずれの物質も圧力を加えることで、物質内に電気分極が生じて起電流を発生する。
【0018】
図3で本発明の「靴の光装着具」を構成する起電部2の各実施例を順に説明する。図3(a)は、起電部2が圧電起電部2Aだけでなる構成である。圧電起電部2Aの構造は前述した通りで、配線材3の先端に露出した各芯線を基板2aと可撓性を持つ電極板2Bの面に、それぞれはんだ付け等で接続しており、その接続した電極板2Bの面と圧電体2bの電極面2cを互いに接面させて構成したものである。この図3(a)の構成で、図5に示すように靴底上に載置して設けても、靴底には元々若干弾性があるため、基板2aと電極板2Bはその可撓性によって、踵から受ける荷重を吸収して適当に撓む変形が起き、その撓む変形に追従して圧電体2bも適当に撓む歪みが起きて起電でき、本発明をこの構成によって実施できる。尚、前記電極板2Bに配線材3の一方の芯線をはんだ付け等で接続する替わりに、圧電体2bの電極面2cに直接配線材3の一方の芯線をはんだ付け等で接続して構成してもよいし、同様に実施可能である。図3(b)は、図3(a)で示した構成にさらに弾性がある上敷き2Dを重ねて設けて構成するものである。この構成であれば弾性がある上敷き2Dによって、さらに踵から受ける荷重を吸収できるため、実際に靴内に載置して履いた状態でも、違和感無く実施できる。図3(c)は、図3(b)で示した構成にさらに弾性のある下敷き2Eを下に重ねて、その下敷き2E上に電極板2Bを配線材3の一方の芯線をはんだ付け等で接続し構成したものである。この構成であれば弾性のある上敷き2Dと下敷き2Eによって、さらにもっと踵に加わる荷重を吸収できるため、実際に靴を履いてても全く違和感が無くさらに心地感も得られる。弾性のある上敷き2D及び下敷き2Eとしては、ゴム材や発泡プラスチック等で実施でき、その厚みも例えば0.5〜2mm程度に実施できる。尚、図3(b)で示した構成において、上敷き2Dを設ける替わりに、下敷き2Eのみ基板2aの下に設けて構成して実施してもよい。図3(d)は、上敷き2Dと下敷き2Eを導電性ゴムで構成して実施するものである。導電性ゴムは弾性と導電性があるため、その導電性ゴムでなる上敷き2Dと下敷き2Eに配線材3の各芯線を接続し、その上敷き2Dと下敷き2Eによって圧電起電部2Aをサンドイッチ状態に挟んで構成することで、下敷き2Eの上面と基板2aの下面が接面して導通状態になり、同様に上敷き2Dの下面と圧電体2bの電極面2cとが接面して導通状態になり、
その上敷き2Dと下敷き2Eから直接通電できて実施できるため、はんだ付け等の工程が無くなり製作が非常に簡単にできる。尚、この構成で上敷き2Dと下敷き2Eとを互いに絶縁状態にするため、それより若干大きめの紙等でなるドーナツ形状の絶縁材2Cで、図のように介在させて設けている。この絶縁材2Cによって、その中央に開口した部分から上敷き2Dの下面と、電極面2cのみが電気的に導通状態に接面することになる。尚、各起電部2の構成で、各圧電起電部2Aを上下逆さまにして、圧電体2bと電極面2cが下向きで、その上に基板2aが上向きになるように、図3(a)〜(d)で示す各起電部2の構成を上下反転して構成して実施してもよい。また本発明を構成する起電部2の外形の形状も、実施例で示した略円形に限らず角形状でも良いし、中敷き(インソール)大の大きさに形成して実施してもよい。また靴内に載置して設ける起電部2の位置も、踵が当接する位置に限らず土踏まずからつま先の間で当接するように載置して設けても良い。また本発明は、サンダルやスリッパにも装着できるため、本発明の「靴の光装着具」はサンダルやスリッパ等も対象に含まれる。
【0019】
図7は、本発明の起電原理を示すものである。図7(a)は圧電起電部2Aで起電する原理を示し、図7(b)〜(e)は図3(d)に示した起電部2によって起電する原理を示すものである。図7(a)において、基板2a上に設けた圧電体2bに下方向の矢印で示す圧力を加えると、その圧電体2bに撓みの歪みが起きると同時に、圧電体2bが起電流i(←)を発生してLED6aを発光させる。次にその歪ませた圧力を取り去ると、基板2aが持つその可撓性の性質によって元の形状に戻り、そしてそれに追従して圧電体2bも元の形状に戻り、同時にその際起電流i(→)を発生してLED6bを発光させる。この起電原理によって、図5(b)に示すように靴を履いて歩いたり走ったりすると、図7(b)(c)に示すように、足を下ろすごとに踵から受ける体重(荷重)によって、圧電起電部2Aにはその体重による下方向の矢印で示す荷重が加わり、基板2a及び圧電体2bには若干外側に撓む歪みが起き、その歪みの変形によって、圧電体2bが起電して起電流i(←)を発生する。そしてその起電流i(←)によって、LED6aが点灯して発光する。次に図7(d)(e)に示すように、地面に一旦下ろした足を上に持ち上げると、それまで踵から加わってた荷重が無くなり、同時に基板2aに加わってた圧力も無くなるため、その可撓性のある基板2aは自力で元の形状に戻り、その基板2aに追従して圧電体2bも元の形状に戻り、起電流i(→)を起電してLED6bが点灯し発光する。このため足を下ろして上げる動作の間に2回起電が起き、その起電ごとにLED6aとLED6bが交互に点灯して発光する。そのため例えばLED6aを赤いLEDで構成して、LED6bを緑色のLEDで構成すると、交互に光る2色の発光によって周りの人に視覚させられ、かなりの注意喚起の効果が出る。また例えば固定具4を2つ用意しておき、図4(c)の状態でひとつの各固定具4でLED6aをZ方向に向けて固定し、もうひとつの固定具4でLED6bをX方向に向けて固定すれば、ひとつの起電部2で、後方にも側方にも同時に発光させて、周りの人に視覚させることができる。
【0020】
図9は、図3で示した起電部2の構成で、足を降ろした時に基板2aと一体の圧電体2bが大きく屈曲し、大きな起電量が得られるようにした構成である。その実施例の図9(a)(b)(c)において、基板2aの下面と下敷き2Eの上面との間に、図のように弓形状の挿入板2Fを2枚を適当に離して平行に介在させ構成したものである。その構成にして足を踏み降ろせば、図のように基板2aと下敷き2Eとの間に隙間があるため、その隙間分基板2aが大きく屈曲し、同時に一体の圧電体2bも大きく屈曲するため大きな起電量が得られる。もうひとつの実施例の図9(d)(e)(f)は、下敷き2Eの下面と靴7の上面との間に、図のように弓形状の挿入板2Fを2枚適当に離して平行に介在させて構成するものである。この構成にして足を踏み降ろせば、図のように下敷き2Eと靴7との間に隙間があるため、その隙間分下敷き2Eとその上に載置した基板2aが大きく屈曲し、同時に圧電体2bも大きく屈曲するため大きな起電量が得られる。ここで介在する挿入板2Fの厚みとしては、実施例として0.5mm〜1.0mm位で実施できる。また図9(d)(e)(f)の構成で、挿入板2Fの左右2枚を一体に繋げる図示しない板で連結して構成してもよい。
【0021】
図10は、図2で示した本発明の「靴の装着具」において、靴への他の装着方法の実施例の構成を示したものである。起電部2で起電した電気を通電する配線材3として、適当に硬くて剛性があり屈曲する金属でなる固定式配線材3Aで構成したものである。金属の性質として剛性と屈曲性があり、一旦屈曲するとその剛性によってその形を保持する性質がある。そのため前実施例で示した配線材3を固定具4によって靴に装着しなくても、適当に剛性と屈曲性のある金属でなる固定式配線材3Aを通電する配線材3として構成することで、靴の縁にその固定式配線材3Aを屈曲させて挟んで固定でき本発明を実施することができる。固定式配線材3Aによる靴への固定方法としては、予め真直ぐ形状の固定式配線材3Aを靴の縁に合わせて屈曲して挟んで固定してもよいし、又は予めクリップ形状に屈曲しておいた固定式配線材3Aを靴の縁に挟んで固定するようにしてもよい。この固定式配線材3Aは起電部2で起電した電気を通電する役目と、靴の縁に挟んで固定させる2つの役目を果たすことができる。尚、実施例の構成として、通電する配線材3全体を固定式配線材3Aで構成してもよいし、靴の縁に固定させる部分のみ固定式配線材3Aで構成してもよい。固定式配線材3Aを形成する金属材としては、実施例として適当に剛性があって屈曲する鉄材等で実施でき、その形状も図のように短冊状の平薄状が望ましいが、断面が丸い線状でもよい。本実施例の構成では固定式配線材3Aの先端にコネクタ10が設けられており、図11で示すコネクタ10と抜き差しして実施することができる。
【0022】
図11は、靴の後面や側面で面状に発光させる本発明の実施例の構成である。アクリル材やシリコン材や塩化ビニル材等の透光性樹脂には導光性の性質があり、樹脂内に入射した光は樹脂内で反射拡散を繰り返し、樹脂内で均一化した光になって樹脂全体を光らせる性質がある。図11に示す構成は、実際に靴のロゴマークを面状に光らせる構成を示したもので、図10で示した起電部2から通電する配線材3や固定式配線材3Aに設けたコネクタ10によって、図11に示す配線材3とコネクタ10の抜き差しで接続でき、そのコネクタ10を接続した状態で足を踏み降ろすと、起電部2で起電した電気によってLED6が発光する。そのLED6が発光した光は、透光性樹脂で形成した面発光部9の導光式面発光部9b内に入射し、その入射した光は所望の面形状に形成した樹脂内で反射拡散を繰り返すため、その所望の面形状に光らすことが可能である。光る靴会社を示す導光式面発光部9bとして、図11ではプーマ社、ナイキ社、ニューバランス社のロゴマークを光らす構成になっている。所望の面形状に形成した導光式面発光部9bは、面ファスナー(マジックテープ(登録商標))等で靴の後面や側面に装着可能である。
【0023】
図12は、所望の文字や面状に光らせる他の実施例の構成を示したものであり、面発光部9としてフィルタ12で遮蔽してその開口部を発光させる遮蔽式面発光部9aで構成するものである。フィルタ12に予め所望の文字や面状の開口部を形成し、そのフィルタ12の後方から図示しないLED6で光らせると、その光は形成した開口部のみ通過するため、所望の文字や面状の部分のみが光って視覚できる。
【0024】
図13は、導光ファイバー11によって光を導光し、導光式面発光部9b内に光を入射させ導光させるようにした構成である。起電部2で起電した電気で発光したLED6の光を導光ファイバー11内に入射させると、その入射した光は導光ファイバー11内で反射拡散を繰り返して送られ導光式面発光部9b内へと入射される。その入射した光は導光式面発光部9b内で反射拡散を繰り返すため、図11で示した実施例と同様に所望の面形状に光らすことが可能である。導光ファイバー11は適当に屈曲する素材で形成することで、靴内に設けた起電部2が起電し発光したLED6の光を導光ファイバー11内に入射させ、その導光ファイバー11によって靴内で入射した光を靴の外へと導光することが可能である。
【0025】
尚、各実施例の構成において、LED6を覆ってその発光を拡散するカバーを設けてもよく、そのカバーを設けることで点状に光る発光を面状に光らせて発光でき、その面発光は夜間においては優しい疲れない発光で光らせることができる。また本発明において、起電部2で起電する起電流の電気信号を検出し、その電気信号によって歩数を計測する歩数計機能を具備してもよく、その歩数計機能の電源として例えばボタン電池を設けても、その電池の消耗は前記の電気信号を検出して表示するのみの消耗で済み、LED6を発光するための供給は全く必要無いため、その寿命をかなり伸ばすことができる。また前記上敷き2Dに足の裏を刺激する凸部を形成して構成しもよい。前述したように本発明の「靴の光装着具」であれば、既存のどんな靴にでも装着して、靴内に載置した平板状の起電部2を足踏みする運動によって、その圧電体で起電できて無電源で実施でき、しかもその起電する電気よって発光するLED6の方向を、装着する人の所望する方向に向けて装着し発光できるようになるため、従来、幾つも提案されてた「光る靴」の各発明と比べても、従来に無い格段の効果があり、そして本発明の「靴の光装着具」であれば、後方と側方の2方向で同時に視覚できるように向けて発光させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)本発明の1実施例の一部の縦断面図(c)(d)本発明の1実施例の縦断面図(e)本発明の1実施例の一部の斜視図
【図2】(a)(c)本発明の1実施例の斜視図(b)(d)本発明の1実施例の側面図
【図3】(a)(b)(c)(d)本発明の1実施例の一部分解の斜視図
【図4】(a)本発明の1実施例の側面図と斜視図(b)本発明を実施した一部の側面図(c)本発明を実施した平面図
【図5】(a)(b)本発明の1実施例の縦断面図
【図6】本発明を実施した一部の側面図と斜視図
【図7】(a)(b)(c)(d)(e)本発明の1実施例の一部の縦断面図と回路図
【図8】(a)本発明の1実施例の一部の側面図(b)本発明の1実施例の一部の平面図
【図9】(a)(d)本発明の1実施例の一部の側面図(b)(e)本発明の1実施例の一部の平面図(c)(f)本発明の1実施例の一部の縦断面図
【図10】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)本発明の1実施例の側面図
【図11】(a)(b)(c)本発明の1実施例の一部と靴の側面図
【図12】(a)(b)本発明の1実施例の一部の平面図
【図13】本発明の1実施例の一部と靴の側面図
【符号の説明】
【0027】
1 : 靴の光装着具
2 : 起電部
2A : 圧電起電部
2a : 基板
2b : 圧電体
2c : 電極面
2B : 電極板
2C : 絶縁材
2D : 上敷き
2E : 下敷き
2F : 挿入板
3 : 配線材
3A : 固定式配線材
4 : 固定具
4a : クリップ
4b : 係着材
4c : テープ材
4d : 溝部
4e : 開口部
5 : 基台
6 : LED(発光ダイオード)
6a : (足を下ろした時に発光する)LED
6b : (足を上げた時に発光する)LED
7 : 靴
8 : 足
9 : 面発光部
9a : 遮蔽式面発光部
9b : 導光式面発光部
10 : コネクタ
11 : 導光ファイバー(光ファイバー)
12 : フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の起電部(2)であって、該起電部(2)は圧電体を具備し足を載せると体の荷重で受ける圧力で起電し、該起電部(2)を靴内の底面に載置して該起電部(2)で起電する電気を靴の外へと給電する配線材(3)を設け、該配線材(3)にLED(6)を接続して該配線材(3)に靴の所望の位置で装着して固定する固定具(4)を設け、該靴を履いて歩行したり走行することで前記起電部(2)に足裏から加わる圧力で起電する電気で、前記LED(6)を発光させて視覚させることを特徴とする靴の光装着具。
【請求項2】
平板状の起電部(2)であって、該起電部(2)は圧電体を具備し足を載せると体の荷重で受ける圧力で起電し、該起電部(2)を靴内の底面に載置して該起電部(2)で起電する電気を靴の外へと給電する適当に剛性があり屈曲する固定式配線材(3A)を設け、該固定式配線材(3A)にLED(6)を接続して固定式配線材(3A)によって靴の所望の位置に挟んで装着して、該靴を履いて歩行したり走行することで前記起電部(2)に足裏から加わる圧力で起電する電気で、前記LED(6)を発光させて視覚させることを特徴とする靴の光装着具。
【請求項3】
前記起電部(2)が、適当に可撓性のある平板状の基板(2a)面に平薄状の圧電体(2b)を設けてる圧電起電部(2A)で少なくとも構成される請求項1又は2記載の靴の光装着具。
【請求項4】
前記圧電起電部(2A)に弾性材でなる上敷き(2D)と下敷き(2E)の少なくともどちらか一方を設けてなる請求項3記載の靴の光装着具。
【請求項5】
前記圧電起電部(2A)に導電性ゴム材でなる上敷き(2D)と下敷き(2E)の少なくともどちらか一方を設けてなる請求項3記載の靴の光装着具。
【請求項6】
平板状の起電部(2)であって、該起電部(2)は圧電体を具備し足を載せると体の荷重で受ける圧力で起電し、該起電部(2)を靴内の底面に載置して該起電部(2)で起電する電気で発光するLED(6)と、該LED(6)で発光する光を入射導光する導光ファイバー(11)を設け、該導光ファイバー(11)によって靴内で発光したLED(6)の光を靴外へと導光し、該靴を履いて歩行したり走行することで前記起電部(2)に足裏から加わる圧力で起電する電気で、前記LED(6)が発光した光を導光ファイバー(11)で導光して靴の外で視覚させることを特徴とする靴の光装着具。
【請求項7】
前記圧電体で起電する電気信号を検出し、その電気信号によって歩数を計測する歩数計機能を具備した請求項1〜6のいずれか1項に記載の靴の光装着具。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−167262(P2010−167262A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285975(P2009−285975)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(594195797)
【Fターム(参考)】