説明

靴の製造方法

【課題】不良品の発生率を確実に下げることができる靴の製造方法を提供する。
【解決手段】靴の型10は、剛性材質によって異なる靴のサイズに応じて形成される。靴ユニット20は、靴本体201、中間物202、および環状物203を有する。中間物202および環状物203は、熱可塑性プラスチック材質から形成され、熱エネルギーを伝導可能な靴底の型30によって覆われて加熱され、靴本体201の靴底面2011に緊密に溶着する。靴底の型30は、超音波電源に接続され、伝導部位301および非伝導部位302を有する。超音波によって靴底の型30を振動させ、摩擦熱を発生させ、中間物202および環状物203に熱エネルギーを生じさせ、靴ユニット20の寸法に合わせて、中間物202および環状物203を靴本体201にぴったり溶着する。これにより、不良品の発生率を確実に下げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、従来、靴の製造方法において、靴底3は、ゴムを靴本体1に接着する方式、または注入成形方式によって形成される。靴底3を形成する前に、靴本体1と環状帯2とを結合させなければならない。業界において、一般的に使用される方式は、接着方法または縫い合わせ方法である。
なお、靴の製造方法は例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−082432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の製造過程においては、環状帯2に寸法の誤差が発生することを免れることができない。つまり環状帯2を靴本体1の周りに完全に嵌めるか、又は接着することができない。従って、環状帯2が靴本体1の周りに接着されるか、又は縫い合わせされると、突起が発生するため、ミシン縫いのスピードを徐行させてしまうだけでなく、ミシン縫いが完了した後、不整な状態を呈し、縫い目に隙間が生じる。縫い目に隙間があり、不整な状態を呈した状態で、靴底3を接着するか、又は注入成形すると、靴底の緊密度が足りないか、又は形が不整であるという欠点が発生するため、不良品の発生率を下げることができないことは、業界において非常に悩ましいことである。
【0005】
上記問題を解決するため、本発明者は上述した欠点に鑑みながら、長年の靴関連製造経験によって研究、実験および改良を進めた結果、本発明を完成させた。
【0006】
本発明の目的は、不良品の発生率を確実に下げることができる靴の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による靴の製造方法は、異なる靴のサイズに応じて、剛性材質によって形成される靴の型を用いて、靴本体の靴底面に、中間物及び環状物を順に装着して、靴ユニットを組み立てる組立工程と、靴の型、及び靴ユニットに靴底の型を被せ、靴底の型を超音波振動させることにより生成した熱エネルギーによって、中間物及び環状物を靴本体に溶着させる溶着工程と、を含む。靴底の型は、超音波の熱エネルギーの伝導に用いられ、靴ユニットを覆う。中間物、及び環状物は、熱可塑性プラスチック材質から形成される。
【0008】
超音波によって靴底の型を振動させ、摩擦熱を発生させ、続いて靴底の型によって中間物および環状物に熱エネルギーを生じさせ、靴ユニットの寸法に合わせて、中間物および環状物を靴本体にぴったり溶着する。
これにより、靴の製造速度を速め、後続の縫製工程をスムーズに進行させ、不良品の発生率を確実に下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来の靴の製造方法によって組み立てを行う状態を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による靴の製造方法においての製造工程を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による靴の製造方法によって組み立てを行う状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による靴の製造方法を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
図2および図3に示すように、本発明の一実施形態による靴の製造方法において、靴の型10は、剛性材質によって異なる靴のサイズに応じて形成され、底部101が靴ユニット20の組み立てに用いられる。
【0011】
靴ユニット20は、靴本体201、中間物202、および環状物203を有する。靴本体201は、靴底面2011およびボディ部2012を有する。中間物202および環状物203は、靴底面2011に順に装着される。中間物202および環状物203は、熱可塑性プラスチック材質から形成され、かつ熱エネルギーを伝導可能な靴底の型30によって覆われて加熱され、靴本体201の靴底面2011に緊密に溶着する。
【0012】
靴底の型30は、一端によって超音波電源に接続され、かつ伝導部位301および非伝導部位302を有する。伝導部位301は、超音波の熱エネルギーを伝導可能である。
【0013】
靴の製造過程において、サイズが適宜な靴の型10に、設計サイズに応じる靴本体201を被せ、続いて、靴の型10および靴ユニット20に、靴底の型30を被せる。このとき、靴底の型30は、一秒あたり1万5千回以上2万回以下振動する超音波によって、熱エネルギーを生成し、生成した熱エネルギーによって、中間物202と環状物203とを溶かして結合および収縮させ、かつ靴本体201の底面に緊密に溶着させる。
【0014】
続いて、溶着工程が完了した靴ユニット20を、靴の型10から取り外す。このとき、中間物202および環状物203は、靴本体201に完全に被さるように収縮および溶着するため、靴ユニット20に縫い合わせ工程を行う(即ち環状物203の周りにミシン縫いを行い、環状物203と靴本体201との結合力を増加させる)時、縫い目に隙間が生じたり、不整な状態が生じたりすることを避けることができるだけでなく、ミシン縫いのスピードを速め、不良品の発生を抑制することが可能である。
【0015】
上述した通り、本発明による靴の製造方法は、斬新な構成及び絶好の効果を有し、刊行物または市販の製品により公知になっておらず、この技術に熟知した人でも容易に思い付くことができないため、まちがいなく新規性及び進歩性を有すると考えられる。また本発明は、従来の靴の製造過程においてのミシン縫いのスピードが遅過ぎる、ミシン縫い工程が完了した環状物および靴本体に不整な状態および隙間が生じる、完成した靴の形が歪み、靴本体の接着が緊密ではないという欠点を確実に解決することが可能である。
【符号の説明】
【0016】
従来の技術
1 ・・・靴本体、
2 ・・・環状帯、
3 ・・・靴底、
本発明
10 ・・・靴の型、
101 ・・・底部、
20 ・・・靴ユニット、
201 ・・・靴本体、
2011・・・靴底面、
2012・・・ボディ部、
202 ・・・中間物、
203 ・・・環状物、
30 ・・・靴底の型、
301 ・・・伝導部位、
302 ・・・非伝導部位。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる靴のサイズに応じて剛性材質によって形成される靴の型を用いて、靴本体の靴底面に中間物及び環状物を順に装着して靴ユニットを組み立てる組立工程と、
前記靴の型、及び前記靴ユニットに靴底の型を被せ、前記靴底の型を超音波振動させることにより生成した熱エネルギーによって前記中間物及び前記環状物を前記靴本体に溶着させる溶着工程と、
を含むことを特徴とする靴の製造方法。
【請求項2】
前記中間物は、熱可塑性プラスチック材質から形成されることを特徴とする請求項1に記載の靴の製造方法。
【請求項3】
前記環状物は、熱可塑性プラスチック材質から形成されることを特徴とする請求項1に記載の靴の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−36669(P2011−36669A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180015(P2010−180015)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(510185022)
【Fターム(参考)】