説明

靴の踵固定具

【課題】既存のヒールを有する婦人靴の多くに装着することができ、踵骨の内反や外反、外反母趾、及び靴擦れを防止することができ、さらに靴のフィット感を向上させることができる靴の踵固定具を提供する。
【解決手段】靴の踵固定具10は、全体が環状の基ベルト部11として形成されるとともに、その一方側を装着時に婦人靴21の踵部付近に外装される装着ベルト部12として形成し、その他方側を装着時に使用者の足の甲に架け渡されるネックベルト部14として形成し、装着ベルト部12とネックベルト部14との二つの連続部分付近各々を連結する半環状の装着補助ベルト部13を基ベルト部11に形成し、装着ベルト部12とネックベルト部14との二つの連続部分のいずれか一方又は双方に、両者を着脱可能に固定する固定手段15を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒールを有する婦人靴を履いた使用者の踵を固定して、歩行時などにおいて踵を安定させることができる靴の踵固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヒールを有するパンプス等の婦人靴では、機能性、特に正常な歩行を補助することよりもファッション性が優先されており、靴先が狭く、ヒールが高く形成されている。このため、このような婦人靴では、歩行時などに踵が安定せず、足の踵骨が内反や外反したり、また、歩行時又は起立時などにつま先側に荷重がかかり、外反母趾になったり、さらに、靴擦れを起こしたりすることがあった。
ところで、正常な歩行を行うためには、踵、特に踵骨を安定させることが必要である。踵骨を安定させるためには、図6に示すように、踵骨32の上方に位置する距骨33を安定させることが必要であるが、従来のヒールを有する婦人靴の多くはヒールが高く形成されているため、歩行時又は起立時などにおいては、距骨33が不安定な状態になり易くなっていた。
【0003】
このような問題に対して、ハイヒール本体と、踵固定ベルト1aと、踵固定ベルトをハイヒール本体に留めるための留め金2aと、を備えるハイヒールが知られている(特許文献1参照)。
また、従来から、履き口にネックベルトを備えるパンプス等も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3119293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のパンプス等におけるネックベルトは、装飾的な意味合いから設けられており、踵を固定して正常な歩行を補助する等の機能を必ずしも果たすものではなかった。また、結果として正常な歩行を補助する等の機能を果たすような、ネックベルトを備えるパンプス等であっても、ネックベルトが破損して靴本体から取れてしまった場合には、踵を固定して正常な歩行を補助する等の機能を果たすことができなくなるものであった。
また、特許文献1に開示されたハイヒールでは、留め金2aが破損すると、踵固定ベルト1aをハイヒール本体に留めることができなくなり、そうすると、踵を固定して正常な歩行を補助する等の機能を果たすことができなくなるものであった。また、女性は、一般に、TPOに応じて履く靴を選ぶものであり、特許文献1に開示されたハイヒールが履かれない場合もあり、そうすると足の踵骨が内反や外反したり、外反母趾になったり、靴擦れを起こしたりすることがあった。
【0006】
そこで、本発明は、既存のヒールを有する婦人靴の多くに装着することができ、踵骨の内反や外反、外反母趾、及び靴擦れを防止することができ、さらに靴のフィット感を向上させることができる靴の踵固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
下記の発明は、上記した目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(第1の発明)
第1の発明は、ソール22の裏面にヒール23を有する婦人靴21に着脱自在に装着される靴の踵固定具10であって、全体が環状の基ベルト部11として形成されるとともに、その一方側の半環状の部分が装着時に婦人靴21の踵部付近に外装される装着ベルト部12として形成され、かつ、その他方側の半環状の部分が装着時に使用者の足の甲に架け渡されるネックベルト部14として形成され、装着ベルト部12とネックベルト部14との二つの連続部分付近各々を連結する半環状の装着補助ベルト部13が基ベルト部11に形成され、装着補助ベルト部13は、装着時に婦人靴21の踵部付近に外装されるように形成され、装着ベルト部12とネックベルト部14との二つの連続部分のいずれか一方又は双方に、両者を着脱可能に固定する固定手段15が設けられていることを特徴とする。
【0008】
ここで、「基ベルト部」は、全体が環状に形成されるとともに、その一方側の半環状の部分が装着時に婦人靴21の踵部付近に外装される装着ベルト部12として形成され、かつ、その他方側の半環状の部分が装着時に使用者の足の甲に架け渡されるネックベルト部14として形成されるものである。また、基ベルト部11は、装着ベルト部12とネックベルト部14とが、同一の材料又は異なる材料により形成されるもののいずれをも含むものである。
また、「固定手段」は、装着ベルト部12とネックベルト部14との二つの連続部分のいずれか一方又は双方に設けられるものであって、両者を着脱可能に固定するものである。たとえば、固定手段15は、ボタン16とボタンホール17、ホックとホック留め部、または雄面ファスナーと雌面ファスナー等とすることができる。
【0009】
すなわち、本発明は、全体が環状に形成された基ベルト部11と、基ベルト部11に形成された半環状の装着補助ベルト部13との2本のベルトにより形成されている。
そして、基ベルト部11は、一方側の半環状の部分が、装着時に婦人靴21の踵部付近に外装される装着ベルト部12として形成され、他方側の半環状の部分が、装着時に使用者の足の甲に架け渡されるネックベルト部14として形成されている。また、装着補助ベルト部13は、装着時に婦人靴21の踵部付近に外装されるように形成されている。
さらに、装着ベルト部12とネックベルト部14との二つの連続部分のいずれか一方又は双方には、装着ベルト部12とネックベルト部14とを着脱可能に固定する固定手段15が設けられている。
【0010】
(第2の発明)
第2の発明は、上記第1の発明の特徴に加え、装着ベルト部12及び装着補助ベルト部13のいずれか一方又は双方は、伸縮性を有する材料により形成されていることを特徴とする。
ここで、「伸縮性を有する材料」としては、たとえば、天然ゴム、合成ゴム、又は合成樹脂材料などが挙げられる。
(第3の発明)
第3の発明は、上記第2の発明の特徴に加え、婦人靴21は、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有する靴であり、装着ベルト部12は、装着時にヒール23の反つま先側の外面に当接して外装されるように形成され、装着補助ベルト部13は、装着時にヒールカップ24に外装されるように形成され、ネックベルト部14は、固定手段15によって固定すると使用者の足の舟状骨31に対応する位置を経由して架け渡されるように形成されていることを特徴とする。
【0011】
(第4の発明)
第4の発明は、上記第2の発明の特徴に加え、婦人靴21は、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない靴であり、装着ベルト部12は、ソール22の裏面であって、ヒール23のつま先側付近に当接して外装されるように形成され、装着補助ベルト部13は、ヒール23の反つま先側の外面に当接して外装されるように形成され、ネックベルト部14は、固定手段15によって固定すると使用者の足の舟状骨31に対応する位置を経由して架け渡されるように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、本発明によれば、既存のヒールを有する婦人靴の多くに装着することができ、ヒールを有する婦人靴を履いた使用者の踵を固定して踵骨を安定させることができることによって、踵骨の内反や外反を防止することができ、歩行時又は起立時につま先側にかかる荷重を、装着ベルト部及び装着補助ベルト部により支持することができることによって、外反母趾を防止することができ、さらに、基ベルト部及び装着補助ベルト部により使用者の踵と婦人靴とを一体に固定することができることによって、靴擦れを防止することができるとともに、靴のフィット感を向上させることができる靴の踵固定具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態であって、靴の踵固定具を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態であって、ヒールカップを有する婦人靴に装着した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態であって、ヒールカップを有さない婦人靴に装着した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態であって、ヒールカップを有さない婦人靴であって、ヒールの反つま先側に切り欠き部が形成された婦人靴に装着した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態であって、足の骨を示す説明図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態であって、基ベルト部を説明するための説明図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の変形例であって、ヒールカップを有する婦人靴に装着した状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態の変形例であって、ヒールカップを有する婦人靴に装着した状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態であって、靴の踵固定具を示す斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態であって、ヒールカップを有さない婦人靴に装着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を、図1〜図6に基づいて説明する。
また、本発明に係る靴の踵固定具10は、既存のソール22の裏面にヒール23を有する婦人靴21の多くに装着することができるものである。以下、ソール22の裏面にヒール23を有する婦人靴21については、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有する婦人靴21(図2参照)、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21(図3参照)、及びソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21であって、ヒール23の反つま先側の上部付近に切り欠き部25が形成された婦人靴21(図4参照)を例に挙げて説明する。
【0015】
(靴の踵固定具10)
靴の踵固定具10は、図1及び図2に示すように、全体が環状に形成されるとともに、その一方側の半環状の部分が装着時に婦人靴21の踵部付近に外装される装着ベルト部12として形成され、かつ、その他方側の半環状の部分が装着時に使用者の足の甲に架け渡されるネックベルト部14として形成された基ベルト部11と、装着ベルト部12とネックベルト部14との二つの連続部分付近各々を連結するように形成された半環状の装着補助ベルト部13と、装着ベルト部12とネックベルト部14との二つの連続部分の一方側に設けられるとともに、装着ベルト部12とネックベルト部14とを着脱可能に固定する固定手段15とを備えている。
【0016】
また、本実施の形態では、基ベルト部11及び装着補助ベルト部13は、伸縮性を有する材料により形成されている。すなわち、装着ベルト部12、ネックベルト部14及び装着補助ベルト部13は、伸縮性を有する材料により形成されている。たとえば、基ベルト部11及び装着補助ベルト部13は、天然ゴム、合成ゴム、又は合成樹脂材料などにより形成することができる。本実施の形態では、基ベルト部11及び装着補助ベルト部13は、合成樹脂材料により形成されているとともに、半透明に形成されている。
(基ベルト部11)
基ベルト部11は、全体が環状に形成されるとともに、その一方側の半環状の部分が装着ベルト部12として形成され、その他方側の半環状の部分がネックベルト部14として形成されるものである。本実施の形態では、基ベルト部11は、図1及び図2に示すように、装着ベルト部12とネックベルト部14との二つの連続部分の一方側が、固定手段15により両者が着脱可能に固定されるように形成されているとともに、他方側が、両者が連続して一体に形成されている。すなわち、装着ベルト部12とネックベルト部14とは、基ベルト部11における二つの連続部分において、固定手段15が設けられていない他方側で連続して一体に形成されている。
【0017】
(装着ベルト部12)
装着ベルト部12は、装着時に婦人靴21の踵部付近に外装されるものである。具体的には、図1及び図2に示すように、全体が環状に形成された基ベルト部11における一方側の半環状の部分が装着ベルト部12として形成されている。
また、本実施の形態では、装着ベルト部12の中央部付近には、図1及び図2に示すように、婦人靴21に装着した際に、滑ってずれないようにするための滑り止め部18が形成されている。具体的には、滑り止め部18は、蛇腹状に形成されている。
また、本実施の形態では、装着ベルト部12は、図2に示すように、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有する婦人靴21に対しては、ヒール23の反つま先側の外面に当接して外装されるように形成されている。具体的には、装着ベルト部12は、ヒール23の反つま先側における上部付近の外面に当接して外装されるように形成されている。より具体的には、装着ベルト部12は、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有する婦人靴21に装着して、固定手段15によって固定すると、図6に示すように、使用者の足の舟状骨31に対応する位置と、使用者の足の踵とを通るように足を囲うラインである足囲ヒールL1に沿って、婦人靴21に外装されるように形成されている。
【0018】
また、本実施の形態では、装着ベルト部12は、図3及び図4に示すように、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21に対しては、ソール22の裏面であって、ヒール23のつま先側付近に当接して外装されるように形成されている。具体的には、装着ベルト部12は、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21に装着して、固定手段15によって固定すると、図6に示すように、使用者の足の舟状骨31に対応する位置と、使用者の足の土踏まずとを通るように足を囲うラインである足囲インステップL2に沿って、婦人靴21に外装されるように形成されている。
【0019】
(ネックベルト部14)
ネックベルト部14は、装着時に使用者の足の甲に架け渡されるものである。具体的には、図1及び図2に示すように、全体が環状に形成された基ベルト部11における他方側の半環状の部分がネックベルト部14として形成されている。
また、本実施の形態では、ネックベルト部14は、図5に示すように、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有する婦人靴21、またはソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21に装着して、固定手段15によって固定すると、使用者の足の舟状骨31に対応する位置を経由して架け渡されるように形成されている。
【0020】
具体的には、ネックベルト部14は、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有する婦人靴21に装着して、固定手段15によって固定すると、図6に示すように、足囲ヒールL1に沿って、使用者の足の甲に架け渡されるように形成されている。すなわち、装着ベルト部12とネックベルト部14とにより構成される基ベルト部11は、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有する婦人靴21に装着して、固定手段15によって固定すると、足囲ヒールL1に沿って、婦人靴21に装着されるように形成されている。
また、ネックベルト部14は、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21に装着して、固定手段15によって固定すると、図6に示すように、足囲インステップL2に沿って、使用者の足の甲に架け渡されるように形成されている。すなわち、装着ベルト部12とネックベルト部14とにより構成される基ベルト部11は、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21に装着して、固定手段15によって固定すると、足囲インステップL2に沿って、婦人靴21に装着されるように形成されている。
【0021】
(装着補助ベルト部13)
装着補助ベルト部13は、装着時に婦人靴21の踵部付近に外装されるものである。本実施の形態では、装着補助ベルト部13は、図1に示すように、装着ベルト部12とネックベルト部14との二つの連続部分付近各々を連結するように半環状に形成されている。具体的には、装着補助ベルト部13は、装着補助ベルト部13の長手方向の中心線と、装着ベルト部12の長手方向の中心線とによって成す角αが略直角となるように形成されている。
また、本実施の形態では、装着補助ベルト部13の中央部付近には、図1及び図2に示すように、婦人靴21に装着した際に、滑ってずれないようにするための滑り止め部18が形成されている。具体的には、滑り止め部18は、蛇腹状に形成されている。
【0022】
また、本実施の形態では、装着補助ベルト部13は、図2に示すように、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有する婦人靴21に対しては、ヒールカップ24に外装されるように形成されている。
また、本実施の形態では、装着補助ベルト部13は、図3に示すように、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21に対しては、ヒール23の反つま先側の外面に当接して外装されるように形成されている。具体的には、装着補助ベルト部13は、ヒール23の反つま先側における上部付近の外面に当接して外装されるように形成されている。
【0023】
また、本実施の形態では、装着補助ベルト部13は、図4に示すように、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21であって、ヒール23の反つま先側の上部付近に切り欠き部25が形成された婦人靴21に対しては、ヒール23の反つま先側の上部付近に形成された切り欠き部25の外面に当接して外装されるように形成されている。
(固定手段15)
固定手段15は、装着ベルト部12とネックベルト部14との二つの連続部分の一方側に設けられるとともに、装着ベルト部12とネックベルト部14とを着脱可能に固定するものである。上述の如く、本実施の形態では、基ベルト部11における装着ベルト部12とネックベルト部14との二つの連続部分の他方側は、両者が連続して一体に形成されている。そして、本実施の形態では、固定手段15は、図1に示すように、装着ベルト部12の端部付近に設けられたボタン16と、ネックベルト部14の端部付近に形成されたボタンホール17とにより構成されている。そして、ボタンホール17にボタン16を挿通させることで、装着ベルト部12とネックベルト部14とが着脱可能に固定されるものとなっている。また、本実施の形態では、ボタンホール17は、ネックベルト部14の端部付近にベルトの長手方向に沿って、並列して複数個(たとえば、3個)形成されている。これにより、ネックベルト部14を装着ベルト部12に固定する固定位置を調整することができるものとなっている。
【0024】
(靴の踵固定具10の装着方法)
次に、ヒール23を有する婦人靴21に靴の踵固定具10を装着する方法について説明する。具体的には、(1)ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有する婦人靴21に装着する場合、(2)ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21に装着する場合、および(3)ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21であって、ヒール23の反つま先側の上部付近に切り欠き部25が形成された婦人靴21に装着する場合について、順に説明する。
上記(1)のソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有する婦人靴21に靴の踵固定具10を装着する場合には、当該婦人靴21を履いた後に、図2に示すように、装着ベルト部12をヒール23の反つま先側における上部付近の外面に当接させて外装するとともに、装着補助ベルト部13をヒールカップ24に外装する。このとき、装着ベルト部12及び装着補助ベルト部13は、伸縮性を有する材料により形成されているので、婦人靴21に装着しやすくなっている。そして、ネックベルト部14の端部付近に形成されたボタンホール17に装着ベルト部12の端部付近に設けられたボタン16を挿通させる。これにより、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有する婦人靴21に靴の踵固定具10が装着される。このとき、ネックベルト部14は、使用者の足の舟状骨31に対応する位置を経由して、使用者の足の甲に架け渡される。
【0025】
上記(2)のソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21に装着する場合には、当該婦人靴21を履いた後に、図3に示すように、装着ベルト部12をソール22の裏面であって、ヒール23のつま先側付近に当接させて外装するとともに、装着補助ベルト部13をヒール23の反つま先側における上部付近の外面に当接させて外装する。このとき、装着ベルト部12及び装着補助ベルト部13は、伸縮性を有する材料により形成されているので、婦人靴21に装着しやすくなっている。そして、ネックベルト部14の端部付近に形成されたボタンホール17に装着ベルト部12の端部付近に設けられたボタン16を挿通させる。これにより、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21に靴の踵固定具10が装着される。このとき、ネックベルト部14は、使用者の足の舟状骨31に対応する位置を経由して、使用者の足の甲に架け渡される。
【0026】
上記(3)のソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21であって、ヒール23の反つま先側の上部付近に切り欠き部25が形成された婦人靴21に靴の踵固定具10を装着する場合には、当該婦人靴21を履いた後に、図4に示すように、装着ベルト部12をソール22の裏面であって、ヒール23のつま先側付近に当接させて外装するとともに、装着補助ベルト部13をヒール23の反つま先側の上部付近に形成された切り欠き部25の外面に当接させて外装する。このとき、装着ベルト部12及び装着補助ベルト部13は、伸縮性を有する材料により形成されているので、婦人靴21に装着しやすくなっている。そして、ネックベルト部14の端部付近に形成されたボタンホール17に装着ベルト部12の端部付近に設けられたボタン16を挿通させる。これにより、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21であって、ヒール23の反つま先側の上部付近に切り欠き部25が形成された婦人靴21に靴の踵固定具10が装着される。このとき、ネックベルト部14は、使用者の足の舟状骨31に対応する位置を経由して、使用者の足の甲に架け渡される。
【0027】
(作用・効果)
以上説明したように、本実施の形態では、全体が環状に形成された基ベルト部11における一方側の半環状の部分が装着時に婦人靴21の踵部付近に外装される装着ベルト部12として形成されるとともに、他方側の半環状の部分が装着時に使用者の足の甲に架け渡されるネックベルト部14として形成される。また、基ベルト部11には、装着時に婦人靴21の踵部付近に外装される装着補助ベルト部13が一体に形成される。具体的には、装着補助ベルト部13は、装着ベルト部12とネックベルト部14との二つの連続部分付近各々を連結するように半環状に形成される。また、装着ベルト部12の端部付近には固定手段15を構成するボタン16が設けられ、ネックベルト部14の端部付近には固定手段15を構成するボタンホール17が形成される。また、固定手段15は、ネックベルト部14を装着ベルト部12に固定する固定位置を調整できるように形成される。さらに、基ベルト部11及び装着補助ベルト部13は、伸縮性を有する材料により形成される。
【0028】
そして、装着ベルト部12は、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部付近にヒールカップ24を有する婦人靴21に対しては、ヒール23の反つま先側における上部付近の外面に当接して外装されるように形成される。具体的には、装着ベルト部12は、足囲ヒールL1に沿って、婦人靴21に外装されるように形成される。また、装着ベルト部12は、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部付近にヒールカップ24を有さない婦人靴21、及びソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部付近にヒールカップ24を有さない婦人靴21であって、ヒール23の反つま先側の上部付近に切り欠き部25が形成された婦人靴21に対しては、ソール22の裏面であって、ヒール23のつま先側付近に当接して外装されるように形成される。具体的には、装着ベルト部12は、足囲インステップL2に沿って、婦人靴21に外装されるように形成される。
【0029】
また、装着補助ベルト部13は、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部付近にヒールカップ24を有する婦人靴21に対しては、ヒールカップ24に外装されるように形成される。また、装着補助ベルト部13は、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部付近にヒールカップ24を有さない婦人靴21に対しては、ヒール23の反つま先側における上部付近の外面に当接して外装されるように形成される。また、装着補助ベルト部13は、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部付近にヒールカップ24を有さない婦人靴21であって、ヒール23の反つま先側の上部付近に切り欠き部25が形成された婦人靴21に対しては、ヒール23の反つま先側の上部付近に形成された切り欠き部25の外面に当接して外装されるように形成される。
【0030】
これにより、本実施の形態によれば、ソール22の表面の踵部付近にヒールカップ24を有する婦人靴21や、ソール22の表面の踵部付近にヒールカップ24を有さない婦人靴21などの既存のヒール23を有する婦人靴21の多くに装着することができる。また、本実施の形態によれば、基ベルト部11及び装着補助ベルト部13を伸縮性を有する材料により形成するとともに、固定手段15を、ネックベルト部14を装着ベルト部12に固定する固定位置を調整可能に形成することで、ヒール23を有する婦人靴21のサイズ、使用者の足の大きさや形状などに応じて、調整して装着することができる。
また、本実施の形態によれば、基ベルト部11及び装着補助ベルト部13を、伸縮性を有する材料により形成することで、ヒール23を有する婦人靴21に容易に装着することができる。
【0031】
また、本実施の形態では、ネックベルト部14は、ヒール23を有する婦人靴21に装着して、固定手段15によって固定すると、使用者の足の舟状骨31に対応する位置を経由して架け渡されるように形成される。これにより、ヒール23を有する婦人靴21に装着して、固定手段15によって固定すると、基ベルト部11、すなわち装着ベルト部12とネックベルト部14とにより、使用者の踵を固定することができ、踵骨32を安定させることができる。
具体的には、基ベルト部11により舟状骨31を固定することで、ヒール23を有する婦人靴21を履いた使用者の歩行時又は起立時などに舟状骨31の踵側に位置する距骨33を安定させることができ、ひいては踵骨32を安定させることができる。したがって、本実施の形態によれば、正常な歩行を補助して、踵骨32の内反や外反を防止することができる。さらに、本実施の形態によれば、図5に示すように、踵骨32及び距骨33と、舟状骨31との間の関節であるショパール関節34、並びに舟状骨31のつま先側に位置する楔状骨36と、楔状骨36のつま先側に位置する中足骨37との間の関節であるリスフラン関節35の動きを制限することがない。
【0032】
また、本実施の形態では、たとえば、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部付近にヒールカップ24を有する婦人靴21に装着すると、装着ベルト部12はヒール23の反つま先側における上部付近の外面に当接して外装され、装着補助ベルト部13はヒールカップ24に外装される。これにより、本実施の形態によれば、歩行時又は起立時などにつま先側にかかる荷重を、装着ベルト部12と装着補助ベルト部13とにより、支持することができる。したがって、外反母趾を防止することができる。さらに、本実施の形態によれば、装着補助ベルト部13により、基ベルト部11、特にネックベルト部14がずれるのを防止することができる。
【0033】
また、本実施の形態では、装着ベルト部12及び装着補助ベルト部13のそれぞれの中央部には、滑り止め部18が形成されている。これにより、たとえば、ヒール23を有する婦人靴21の外装が合成皮革などにより形成され、表面が滑りやすくなっている場合であっても、婦人靴21に装着した靴の踵固定具10が滑ってずれないようにすることができる。
また、本実施の形態によれば、基ベルト部11及び装着補助ベルト部13によって使用者の踵と婦人靴21とを一体に固定することができる。これにより、靴擦れを防止することができるとともに、靴のフィット感を向上させることができる。
また、本実施の形態では、靴の踵固定具10は、半透明に形成されている。これにより、婦人靴21の外観を損なうことがない。
【0034】
以上より、本実施の形態によれば、既存のヒール23を有する婦人靴21の多くに装着することができ、ヒール23を有する婦人靴21を履いた使用者の踵を固定して踵骨32を安定させることができることによって、踵骨32の内反や外反を防止することができ、歩行時又は起立時につま先側にかかる荷重を、装着ベルト部12及び装着補助ベルト部13により支持することができることによって、外反母趾を防止することができ、さらに、基ベルト部11及び装着補助ベルト部13により使用者の踵と婦人靴21とを一体に固定するができることによって、靴擦れを防止することができるとともに、靴のフィット感を向上させることができる。
(変形例)
上記実施の形態では、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部付近にヒールカップ24を有する婦人靴21に対しては、装着ベルト部12は、ヒール23の反つま先側の外面に当接して外装されるように形成されるとともに、装着補助ベルト部13は、ヒールカップ24に外装されるように形成されるものであるが、これに限られるものではない。たとえば、図7に示すように、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部付近にヒールカップ24を有する婦人靴21に対しては、装着ベルト部12を、ソール22の裏面であって、ヒール23のつま先側付近に当接して外装されるようにし、装着補助ベルト部13を、ヒールカップ24に外装されるようにすることができる。
【0035】
また、上記実施の形態では、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部付近にヒールカップ24を有する婦人靴21、及びソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部付近にヒールカップ24を有さない婦人靴21のいずれにも装着することができるものであるが、これに限られるものではない。たとえば、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部付近にヒールカップ24を有する婦人靴21に装着する靴の踵固定具10と、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部付近にヒールカップ24を有さない婦人靴21に装着する靴の踵固定具10とを、別々の製品とすることができる。
【0036】
また、上記実施の形態では、基ベルト部11を構成する装着ベルト部12とネックベルト部14とは、同一の材料により連続して一体に形成されるものであるが、これに限られるものではない。たとえば、ネックベルト部14を合成皮革や天然皮革で形成し、装着ベルト部12を、伸縮性を有する材料により形成し、これらを固着して連続して一体に形成することにより、基ベルト部11を構成するようにすることができる。
また、上記実施の形態では、装着ベルト部12及び装着補助ベルト部13は、伸縮性を有する材料により形成されるものであるが、これに限られるものではない。たとえば、装着ベルト部12及び装着補助ベルト部13のそれぞれの滑り止め部18を、伸縮性が大きい材料により形成し、他の部分を伸縮性が小さい材料により形成し、ヒール23を有する婦人靴21のサイズ、使用者の足の大きさや形状などに応じて、滑り止め部18で調整して装着することができるようにすることができる。
【0037】
また、たとえば、装着ベルト部12及び装着補助ベルト部13は、いずれか一方のみを伸縮性を有する材料により形成するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、図8に示すように、装着補助ベルト部13を固定するための装着補助ベルト固定部50を、婦人靴21の一方又は双方の側面に設けることもできる。具体的には、装着補助ベルト固定部50は、婦人靴21に取り付けると、ベルト通しのように形成され、これによって、装着補助ベルト部13を婦人靴21に固定することができるように形成することができる。また、装着補助ベルト固定部50は、両面テープ等により、着脱可能に取り付けることができる。このようにすることで、装着補助ベルト部13が滑ってずれるのをより確実に防止することができ、靴の踵固定具10をより安定して婦人靴21に装着することができる。
【0038】
また、上記実施の形態では、固定手段15は、装着ベルト部12とネックベルト部14との二つの連続部分の一方側に設けられるものであるが、これに限られるものではなく、他方側にも固定手段15を設けるようにしてもよい。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態を、図9及び図10に基づいて説明する。
図9及び図10は、本発明の第2の実施の形態を示す図である。また、図9は、靴の踵固定具10を示す斜視図である。また、図10は、ヒールカップ24を有さない婦人靴21に装着した状態を示す斜視図である。
【0039】
本実施の形態では、靴の踵固定具10は、使用者の足首のくるぶしの上側付近に巻き付けて装着されるアンクルベルト部43と、ヒール23に巻き付けて外装されるヒールベルト部41と、アンクルベルト部43及びヒールベルト部41のそれぞれに一体に形成され、アンクルベルト部43とヒールベルト部41とを連結する連結部42とを備えている。
また、本実施の形態では、アンクルベルト部43、ヒールベルト部41及び連結部42は、伸縮性を有する材料により形成されている。たとえば、アンクルベルト部43、ヒールベルト部41及び連結部42は、天然ゴム、合成ゴム、又は合成樹脂材料などにより形成することができる。本実施の形態では、アンクルベルト部43、ヒールベルト部41及び連結部42は、合成樹脂材料により形成されているとともに、半透明に形成されている。
【0040】
(アンクルベルト部43)
アンクルベルト部43は、使用者の足首のくるぶしの上側付近に巻き付けて装着されるものである。本実施の形態では、アンクルベルト部43は、図9及び図10に示すように、開閉可能な環状に形成されるとともに、使用者の足首に着脱可能に装着する固定手段15が設けられている。具体的には、アンクルベルト部43は、ベルト状の一端部付近に固定手段15を構成するボタン16が設けられ、他端部付近に固定手段15を構成するボタンホール17が形成されている。そして、ボタンホール17にボタン16を挿通させることで、アンクルベルト部43の一端部付近と、アンクルベルト部43の他端部付近とが着脱可能に固定されるものとなっている。また、本実施の形態では、ボタンホール17は、アンクルベルト部43の他端部付近にベルトの長手方向に沿って、並列して複数個(たとえば、3個)形成されている。これにより、アンクルベルト部43の一端側をアンクルベルト部43の他端側に固定する固定位置を調整することができるものとなっている。
【0041】
また、本実施の形態では、アンクルベルト部43は、図10に示すように、使用者の足首のくるぶしの上側付近に巻き付けて装着されるように形成されている。
(ヒールベルト部41)
ヒールベルト部41は、ヒール23に巻き付けて外装されるものである。本実施の形態では、ヒールベルト部41は、図9及び図10に示すように、つま先側に開口部を有する非連続の環状に形成されている。言い換えれば、ヒールベルト部41は、略C字状に形成されている。また、本実施の形態では、ヒールベルト部41は、アンクルベルト部43の下方に配置されている。
【0042】
(連結部42)
連結部42は、アンクルベルト部43及びヒールベルト部41のそれぞれに一体に形成され、アンクルベルト部43とヒールベルト部41とを連結するものである。本実施の形態では、連結部42は、図9及び図10に示すように、上方に開口部を有する非連続の環状、具体的には、つま先側から見て、略U字状に形成されている。より具体的には、連結部42は、ヒールベルト部41よりも下方に位置する底ベルト部44と、底ベルト部44の両端部のそれぞれから、上方に向かって延在する側ベルト部45とを備えている。
そして、連結部42は、側ベルト部45のそれぞれの上端部が、アンクルベルト部43をつま先側と踵側とに等分する位置付近各々を、それぞれ連結するようにアンクルベルト部43に連続して一体に形成されている。また、連結部42の側ベルト部45における各々の下端部付近には、ヒールベルト部41のつま先側の端部各々が、それぞれ連続して一体に形成されている。
【0043】
以上のように構成された靴の踵固定具10を、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21に装着する場合には、図10に示すように、当該婦人靴21を履いた後に、ヒールベルト部41をヒール23に巻き付けて外装する。このとき、ヒールベルト部41は、伸縮性を有する材料により形成されているので、ヒール23の形状などに応じて、調整して装着することができる。そして、アンクルベルト部43を、使用者の足首のくるぶしの上側付近に巻き付け、アンクルベルト部43の一端部付近に設けられたボタン16をアンクルベルト部43の他端部付近に形成されたボタンホール17に挿通させる。これにより、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21に靴の踵固定具10が装着される。このとき、アンクルベルト部43及び連結部42は、伸縮性を有する材料により形成されているので、当該婦人靴21に容易に装着することができる。
【0044】
(作用・効果)
以上説明したように、本実施の形態では、使用者の足首のくるぶしの上側付近に巻き付けて装着されるアンクルベルト部43と、ヒール23に巻き付けて外装されるヒールベルト部41と、ヒールベルト部41及びアンクルベルト部43のそれぞれに一体に形成され、ヒールベルト部41とアンクルベルト部43とを連結する連結部42とを備える。そして、アンクルベルト部43は、開閉可能な環状に形成されるとともに、使用者の足首に着脱可能に装着する固定手段15が設けられる。また、ヒールベルト部41は、アンクルベルト部43の下方に配置されるとともに、つま先側に開口部を有する非連続の環状、言い換えれば略C字状に形成される。また、連結部42は、つま先側から見て、略U字状に形成されるとともに、ヒールベルト部41よりも下方に位置する底ベルト部44と、底ベルト部44の両端部のそれぞれから、上方に向かって延在する側ベルト部45とを備える。そして、連結部42は、側ベルト部45のそれぞれの上端部が、アンクルベルト部43をつま先側と踵側とに等分する位置付近各々を、それぞれ連結するようにアンクルベルト部43に連続して一体に形成される。また、連結部42の側ベルト部45における各々の下端部付近には、ヒールベルト部41のつま先側の端部各々が、それぞれ連続して一体に形成される。さらに、アンクルベルト部43、ヒールベルト部41、及び連結部42は、伸縮性を有する材料により形成される。
【0045】
これにより、本実施の形態によれば、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21に装着することができる。また、本実施の形態によれば、アンクルベルト部43、ヒールベルト部41、及び連結部42を伸縮性を有する材料により形成するとともに、固定手段15を、アンクルベルト部43の一端側をアンクルベルト部43の他端側に固定する固定位置を調整可能に形成することで、ヒール23の形状、使用者の足首の大きさや形状などに応じて、調整して装着することができる。
また、本実施の形態によれば、アンクルベルト部43、ヒールベルト部41、及び連結部42を、伸縮性を有する材料により形成することで、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21に容易に装着することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、アンクルベルト部43は、ヒール23を有する婦人靴21に装着して、固定手段15によって固定すると、使用者の足のくるぶしの上側付近に装着されるように形成される。このため、ヒール23を有する婦人靴21に装着して、固定手段15によって固定すると、アンクルベルト部43により、使用者の踵を固定することができ、踵骨32を安定させることができる。
具体的には、アンクルベルト部43により使用者の足のくるぶしの上側付近を固定することで、ヒール23を有する婦人靴21を履いた使用者の歩行時又は起立時などに距骨33を安定させることができ、ひいては踵骨32を安定させることができる。
【0047】
また、本実施の形態では、ソール22の裏面にヒール23を有するとともに、ソール22の表面の踵部にヒールカップ24を有さない婦人靴21に装着すると、ヒールベルト部41は、ヒール23に外装され、アンクルベルト部43は、連結部42によりヒールベルト部41と連結される。このため、歩行時又は起立時などにつま先側にかかる荷重を、ヒールベルト部41と連結部42とにより支持することができる。したがって、本実施の形態によれば、外反母趾を防止することができる。
また、本実施の形態によれば、アンクルベルト部43とヒールベルト部41とを連結部42により連結し、連続して一体に形成することで、使用者の踵と婦人靴21とを一体に固定することができる。これにより、靴擦れを防止することができるとともに、靴のフィット感を向上させることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、靴の踵固定具10は、半透明に形成されている。これにより、婦人靴21の外観を損なうことがない。
以上より、本実施の形態によれば、ヒール23を有する婦人靴21を履いた使用者の踵を固定して踵骨32を安定させることができることによって、踵骨32の内反や外反を防止することができ、歩行時又は起立時につま先側にかかる荷重を、ヒールベルト部41及び連結部42により支持することができることによって、外反母趾を防止することができ、さらに、アンクルベルト部43とヒールベルト部41とを連結部42により連結して連続して一体に形成することにより使用者の踵と婦人靴21とを一体に固定するができることによって、靴擦れを防止することができるとともに、靴のフィット感を向上させることができる。
【0049】
(他の実施の形態)
上述した実施の形態では、固定手段15は、ボタン16とボタンホール17とにより構成されるものであるが、これに限られるものではなく、たとえば、ホックとホック留め部や、雄面ファスナーと雌面ファスナー等とすることもできる。
また、上述した実施の形態では、靴の踵固定具10は、半透明に形成されるものであるが、これに限られるものではなく、たとえば、有色、無色透明、又は有色透明などとすることもできる。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲における変形および改良なども含むものである。また、本発明は、上述した実施の形態を適宜組み合わせる、または組み替えることもできる。
【符号の説明】
【0050】
10 靴の踵固定具 11 基ベルト部
12 装着ベルト部 13 装着補助ベルト部
14 ネックベルト部 15 固定手段
16 ボタン 17 ボタンホール
18 滑り止め部
21 婦人靴 22 ソール
23 ヒール 24 ヒールカップ
25 切り欠き部
31 舟状骨 32 踵骨
33 距骨 34 ショパール関節
35 リスフラン関節 36 楔状骨
37 中足骨
41 ヒールベルト部 42 連結部
43 アンクルベルト部 44 底ベルト部
45 側ベルト部
50 装着補助ベルト固定部
L1 足囲ヒール L2 足囲インステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソールの裏面にヒールを有する婦人靴に着脱自在に装着される靴の踵固定具であって、
全体が環状の基ベルト部として形成されるとともに、その一方側の半環状の部分が装着時に婦人靴の踵部付近に外装される装着ベルト部として形成され、かつ、その他方側の半環状の部分が装着時に使用者の足の甲に架け渡されるネックベルト部として形成され、
装着ベルト部とネックベルト部との二つの連続部分付近各々を連結する半環状の装着補助ベルト部が基ベルト部に形成され、
装着補助ベルト部は、装着時に婦人靴の踵部付近に外装されるように形成され、
装着ベルト部とネックベルト部との二つの連続部分のいずれか一方又は双方に、両者を着脱可能に固定する固定手段が設けられていることを特徴とする靴の踵固定具。
【請求項2】
装着ベルト部及び装着補助ベルト部のいずれか一方又は双方は、伸縮性を有する材料により形成されていることを特徴とする請求項1記載の靴の踵固定具。
【請求項3】
婦人靴は、ソールの表面の踵部にヒールカップを有する靴であり、
装着ベルト部は、装着時にヒールの反つま先側の外面に当接して外装されるように形成され、
装着補助ベルト部は、装着時にヒールカップに外装されるように形成され、
ネックベルト部は、固定手段によって固定すると使用者の足の舟状骨に対応する位置を経由して架け渡されるように形成されていることを特徴とする請求項2記載の靴の踵固定具。
【請求項4】
婦人靴は、ソールの表面の踵部にヒールカップを有さない靴であり、
装着ベルト部は、ソールの裏面であって、ヒールのつま先側付近に当接して外装されるように形成され、
装着補助ベルト部は、ヒールの反つま先側の外面に当接して外装されるように形成され、
ネックベルト部は、固定手段によって固定すると使用者の足の舟状骨に対応する位置を経由して架け渡されるように形成されていることを特徴とする請求項2記載の靴の踵固定具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−240073(P2011−240073A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117093(P2010−117093)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(510141800)PERSOFIT株式会社 (1)
【Fターム(参考)】