説明

靴下

【課題】着用者の右足と左足を左右非対称に保持することが可能で、ゴルフや野球、バレーボールなど、左右の足に非対称に負荷の掛かるスポーツや作業をする際に好適に着用することのできる靴下を提供する。
【解決手段】右足1に着用するための右足用靴下10と、左足2に着用するための左足用靴下20とで構成された一組の靴下のうち、右足用靴下10のつま先に、親指、人差し指、中指及び薬指を一まとめに挿入するための内側指袋11と、小指を単独で挿入するための外側指袋12とを形成するとともに、左足用靴下20のつま先に、親指を単独で挿入するための内側指袋21と、人差し指、中指、薬指及び小指を一まとめに挿入するための外側指袋22とを形成し、右足用靴下10と左足用靴下20とが左右非対称となるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、右足に着用するための右足用靴下と、左足に着用するための左足用靴下とで構成された一組の靴下に関する。特に、ゴルフ、テニス、バトミントン、野球、バレーボールなど、右足と左足に左右非対称な荷重の掛かりやすい利き足依存型のスポーツや作業をする際に着用するのに適した靴下に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフで生じうるミスショットとして、スライスや、トップや、ダフリなどが知られている。これらのミスショットが発生する原因は様々であるが、蹴り足(右打ちのゴルファーでは右足、左打ちのゴルファーでは左足)から軸足(右打ちのゴルファーでは左足、左打ちのゴルファーでは右足)への体重移動が上手くできなくなり、スイングのタイミングが狂ったことなどが影響している場合も多い。
【0003】
このようなミスショットは、なにも初心者に限った話ではなく、トップアマチュアやプロゴルファーにも起こりうる。例えば、トーナメントを戦うプロゴルファーでも、大会最終日(通常、大会四日目)ともなると、蹴り足から軸足への体重移動が上手くできなくなり、スコアを大きく崩すことがある。これは、疲労などによって、右足と左足の感覚が鈍ったことなどが影響していると思われる。
【0004】
どのような状況下でも右足と左足の感覚を保つことができ、蹴り足から軸足への体重移動が上手くできるようになれば、スライスやトップやダフリなどのミスショットの発生を防ぐことができ、スコアアップに繋げることができるのであろうが、これを実践することは必ずしも容易ではなかった。というのも、右足と左足の感覚は、ゴルファーがいくら保とうと意識しても、肉体的疲労や精神的緊張によって不可避的に鈍ってしまうからである。
【0005】
スライスやトップやダフリなどのミスショットの発生を抑えることを目的とした器具は、これまでに、クラブに取り付けるものや、人体に装着するものなど、各メーカーから様々なタイプのものが提案されているが、試合での使用がルールで認められるもので、簡素で安価ながらも、実効性のあるものは殆ど見当たらなかった。特に、右足と左足の感覚を適正に保つことにより、蹴り足から軸足への体重移動を上手くできるようにするものは見当たらなかった。
【0006】
ところで、特許文献1には、親指を収納するための親指収納部と、他の四指を収納するための四指収納部とを分離して形成した靴下が記載されている。これにより、素足に近い状態で親指を保持することが可能になり、靴下の運動機能を高めることができるとされている。この靴下は、ゴルフで着用することを想定したものとなっている。
【0007】
また、特許文献2には、アキレス腱を締め付けるための第一締付部と、土踏まずを締め付けるための第二締付部とからなり、第一締付部と第二締付部をクロスさせ、足首を固定できるようにしたことを特徴とするテーピング機能付きの靴下が記載されています。これにより、歩行や運動に際して、足の甲やアキレス腱を保護することが出来るとされている。この靴下も、ゴルフで着用することを想定したものとなっている。
【0008】
さらに、特許文献3には、靴下における最下方の第一箇所の締付圧力を20〜30hPaとし、第一箇所よりも上方の第二箇所の締付圧力を15〜23hPaとし、第二箇所よりも上方の第三箇所の締付圧力を13〜19hPaとし、最上方の第四箇所の締付圧力を11〜18hPaとし、足底から足を挿入するための開口部が形成された上端部にかけて、締付圧力が弱くなるように形成した靴下が記載されている。これにより、適度なフィット感を得ることができ、疲労の回復や軽減をしたり、あるいは足のむくみを抑制したりすることも可能になる。この靴下は、野球やサッカー、ラグビーなどのスポーツで着用することを想定したものとなっている。
【0009】
【特許文献1】特開平11−279803号公報([0014]、図3)
【特許文献2】実登第3090737号公報(実用新案登録請求の範囲、[0011]、図1)
【特許文献3】特開2005−240222号公報(特許請求の範囲、[0007]、[0032]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1〜3に記載された靴下は、着用するだけで、運動機能の向上、足の甲やアキレス腱の保護、疲労の軽減、足のむくみの抑制など、様々な効果を期待できるものではあった。しかし、これらの靴下はいずれも、ゴルフ、テニス、バトミントン、野球、バレーボールなど、右足と左足に左右非対称な荷重の掛かりやすい利き足依存型のスポーツや作業をする際に着用するものとしては物足りなかった。これらの利き足依存型のスポーツや作業は、荷重を受ける箇所や疲労度が右足と左足で大きく異なる(左右非対称となる)のが一般的であるが、特許文献1〜3の靴下では、右足と左足を同じような力(左右対称な力)でサポートすることしかできなかったからである。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、着用者の右足と左足を左右非対称にサポートすることが可能で、ゴルフ、テニス、バトミントン、野球、バレーボールなど、右足と左足に左右非対称な荷重の掛かりやすい利き足依存型のスポーツや作業をする際に好適に着用することのできる靴下を提供するものである。特に、スライスやトップやダフリなど、ゴルフにおけるミスショットの発生を抑えることのできる靴下を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、右足に着用するための右足用靴下と、左足に着用するための左足用靴下とで構成された一組の靴下であって、右足用靴下と左足用靴下とが左右非対称であることを特徴とする靴下を提供することによって解決される。これにより、着用者の右足と左足を左右非対称にサポートすることが可能で、ゴルフなどの利き足依存型のスポーツや作業をする際に好適に着用することのできる靴下を提供することが可能になる。
【0013】
ここで、「右足用靴下と左足用靴下とが左右非対称である」とは、右足用靴下と左足用靴下の形状、寸法、付属品、素材又は製法などが、左右非対称であることをいう。「右足用靴下と左足用靴下とが左右非対称である靴下」の好適な例としては、右足用靴下のつま先に形成された指袋と、左足用靴下のつま先に形成された指袋とを左右非対称に形成した靴下(以下においては、この靴下を「指袋非対称型の靴下」と呼ぶことがある。)が挙げられる。これにより、右足と左足に左右非対称な感覚刺激を与えることが可能になる。したがって、荷重を受ける箇所や疲労度が右足と左足で大きく異なる場合であっても、右足と左足の感覚を鋭敏に保つこともできるようになる。
【0014】
指袋非対称型の靴下は、指袋の配置、形状、寸法、素材、製法又は仕組みなどが右足用靴下と左足用靴下とで左右非対称なものであれば特に限定されない。指袋非対称型の靴下としては、右足用靴下のつま先に、親指、人差し指、中指及び薬指を一まとめに挿入するための内側指袋と、小指を単独で挿入するための外側指袋とを形成し、左足用靴下のつま先に、親指を単独で挿入するための内側指袋と、人差し指、中指、薬指及び小指を一まとめに挿入するための外側指袋とを形成したものが例示される。この形態の指袋非対称型の靴下は、右打ちのゴルファーやバッターなど、利き足が右足の着用者が着用するものとして好適なものとなっている。
【0015】
指袋非対称型の靴下としては、右足用靴下のつま先に、親指を単独で挿入するための内側指袋と、人差し指、中指、薬指及び小指を一まとめに挿入するための外側指袋とを形成し、左足用靴下のつま先に、親指、人差し指、中指及び薬指を一まとめに挿入するための内側指袋と、小指を単独で挿入するための外側指袋とを形成したものも例示される。この形態の指袋非対称型の靴下は、上記(前段落)の指袋非対称型の靴下とは逆に、左打ちのゴルファーやバッターなど、利き足が左足の着用者が着用するものとして好適なものとなっている。
【0016】
また、「右足用靴下と左足用靴下とが左右非対称である靴下」の好適な例としては、上記の指袋非対称型の靴下の他にも、右足用靴下と左足用靴下のそれぞれにテーピング加工を施し、右足用靴下に施されたテーピング加工部のパターンと、左足用靴下に施されたテーピング加工部のパターンとを左右非対称に形成した靴下(以下においては、この靴下を「テーピング非対称型の靴下」と呼ぶことがある。)が挙げられる。これによっても、右足と左足に左右非対称な感覚刺激を与えることが可能になる。
【0017】
テーピング非対称型の靴下としては、右足用靴下における足被覆部の外側縁に沿った箇所と左足用靴下における足被覆部の内側縁に沿った箇所のそれぞれに連続したテーピング加工部を形成し、右足用靴下における足被覆部の内側縁に沿った箇所と左足用靴下における足被覆部の外側縁に沿った箇所のそれぞれに分断されたテーピング加工部を形成したものが例示される。この形態のテーピング非対称型の靴下は、右打ちのゴルファーやバッターなど、利き足が右足の着用者が着用するものとして好適なものとなっている。
【0018】
テーピング非対称型の靴下としては、右足用靴下における内側縁に沿った箇所と左足用靴下における外側縁に沿った箇所のそれぞれに連続したテーピング加工部を形成し、右足用靴下における外側縁に沿った箇所と左足用靴下における内側縁に沿った箇所のそれぞれに分断されたテーピング加工部を形成したものも例示される。この形態のテーピング非対称型の靴下は、上記(前段落)のテーピング非対称型の靴下とは逆に、左打ちのゴルファーやバッターなど、利き足が左足の着用者が着用するものとして好適なものとなっている。
【0019】
本発明の靴下において、着用者の足を締め付けるための締付力は、右足用靴下と左足用靴下のそれぞれにおける足先側から足元側にかけて一定であってもよいが、足先側から足元側にかけて段階的又は連続的に弱まるよう形成されていると好ましい。これにより、長時間に亘って歩行や運動を続けても、足に疲労を感じにくい靴下を得ることが可能になる。また、靴下を、足の静脈還流障害などの疾患予防に対しても有効なものとすることも可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によって、着用者の右足と左足を左右非対称にサポートすることが可能で、ゴルフ、テニス、バトミントン、野球、バレーボールなど、右足と左足に左右非対称な荷重の掛かりやすい利き足依存型のスポーツや作業をする際に好適に着用することが可能になる。特に、スライスやトップやダフリなど、ゴルフにおけるミスショットの発生を抑えることのできる靴下を提供することも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の靴下の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。以下においては、右打ちのゴルファーが着用するものとして適した第一実施態様の靴下と、左打ちのゴルファーが着用するものとして適した第二実施態様の靴下とを例に挙げて説明するが、本発明の靴下は、これらの態様に限定されるものではなく、適宜変更を加えることができる。また、第一実施態様の靴下と、第二実施態様の靴下の用途もゴルフに限定されない。
【0022】
1.第一実施態様の靴下
まず、第一実施態様の靴下について説明する。図1は、第一実施態様の靴下を着用した人の足元を前方から見た状態を示した斜視図である。図2は、第一実施態様の靴下における内側指袋と外側指袋の内部を示した平面図である。図3は、非着用時における第一実施態様の靴下を甲側から見た状態を示した平面図である。図4は、非着用時における第一実施態様の靴下を足裏側から見た状態を示した底面図である。
【0023】
第一実施態様の靴下は、指袋非対称型のものとなっており、図1〜図4に示すように、右足1に着用するための右足用靴下10と、左足2に着用するための左足用靴下20とで構成され、右足用靴下10のつま先に形成された内側指袋11及び外側指袋12と、左足用靴下20のつま先に形成された内側指袋21及び外側指袋22とが左右非対称に形成されたものとなっている。
【0024】
右足用靴下10における内側指袋11及び外側指袋12と、左足用靴下20における内側指袋21及び外側指袋22の配置は、特に限定されない。第一実施態様の靴下においては、図2に示すように、右足用靴下10における内側指袋11及び外側指袋12の配置と、左足用靴下20における内側指袋21及び外側指袋22の配置は左右非対称となっている。
【0025】
より具体的に説明すると、右足用靴下10のつま先には、親指1a、人差し指1b、中指1c及び薬指1dを一まとめに挿入するための内側指袋11と、小指1eを単独で挿入するための外側指袋12とが形成されているのに対して、左足用靴下20のつま先には、親指2aを単独で挿入するための内側指袋21と、人差し指2b、中指2c、薬指2d及び小指2eを一まとめに挿入するための外側指袋22とが形成されている。
【0026】
このように、右足1の小指1eを右足1の他の四指から隔離して収納し、左足2の親指2aを左足2の他の四指から隔離して収納することによって、右足1の小指1eや左足2の親指2aをその他の指よりも強く締め付けることができるようになっている。このため、第一実施態様の靴下の着用者は、右足1の外側縁(右側縁)と、左足2の内側縁(右側縁)に強い感覚刺激を付与することができるようになっている。
【0027】
また、第一実施態様の靴下は、指袋非対称型であるだけでなく、テーピング非対称型のものともなっており、図3と図4に示すように、右足用靴下10と左足用靴下20のそれぞれにテーピング加工が施され、右足用靴下10に施されたテーピング加工部のパターンと、左足用靴下20に施されたテーピング加工部のパターンとが左右非対称に形成されたものとなっている。
【0028】
テーピング加工部のパターンは、靴下の用途などに応じて適宜決定される。第一実施態様の靴下において、テーピング加工部は、右足用靴下10の内側縁に設けられたテーピング加工部13と、右足用靴下10の外側縁に設けられたテーピング加工部14と、右足用靴下10の裏面に設けられたテーピング加工部15と、左足用靴下20の内側縁に設けられたテーピング加工部23と、左足用靴下20の外側縁に設けられたテーピング加工部24と、左足用靴下20の裏面に設けられたテーピング加工部25とで構成されている。
【0029】
このうち、右足用靴下10におけるテーピング加工部13は、着用者の右足1の親指1aの付根付近に配されたテーピング加工部13aと、右足1の土踏まず付近に配されたテーピング加工部13bと、右足1の足首の後方やや内側からアキレス腱に沿うように配されたテーピング加工部13cと、右足1の足首の前方内側で足首の周方向に沿って配されたテーピング加工部13dとで構成されている。
【0030】
テーピング加工部13aとテーピング加工部13bは、右足1の足裏側から内側縁を通って甲側へ延在するように設けられている。したがって、トップスイングからダウンスイングへと移行する切り返し時において、蹴り足である右足1の内側縁に掛かる負担を軽減することができるようになっている。
【0031】
また、左足用靴下20におけるテーピング加工部24は、着用者の左足2の小指2eの付根付近に配されたテーピング加工部24aと、左足2の土踏まずの外側に配されたテーピング加工部24bと、左足2の足首の後方やや外側からアキレス腱に沿うように配されたテーピング加工部24cと、左足2の足首の前方外側で足首の周方向に沿って配されたテーピング加工部24dとで構成されている。
【0032】
テーピング加工部24aとテーピング加工部24bは、左足2の足裏側から外側縁を通って甲側へ延在するように設けられている。したがって、ダウンスイングからインパクトを経てフィニッシュとなるまでの間に左足2の外側縁に加えられる衝撃をテーピング加工部24aとテーピング加工部24bで受け止め、フィニッシュで重心が左に流れるのを防ぐこと(左側に壁を作ること)ができるようになっている。
【0033】
第一実施態様の靴下においては、右足用靴下10におけるテーピング加工部13aとテーピング加工部13bとテーピング加工部13cは互いに分断されている。このため、着用者の右足1の内側縁(左側縁)では前後方向(右足1の親指1aの中足骨の軸線方向)にあまり強いテンションがかからないようになっている。
【0034】
また、左足用靴下20におけるテーピング加工部24aとテーピング加工部24bとテーピング加工部24cも互いに分断されている。このため、着用者の左足2の外側縁(左側縁)では前後方向(左足2の小指2eの中足骨の軸線方向)にあまり強いテンションがかからないようになっている。
【0035】
一方、右足用靴下10におけるテーピング加工部14は、着用者の右足1の小指1eの付根付近から右足1の外側の踝付近まで配されたテーピング加工部14aと、右足1の足首の前方外側で足首の周方向に沿ってに配されたテーピング加工部14bと、右足1の足首の後方やや外側からアキレス腱に沿うように配されたテーピング加工部14cとで構成されている。このうち、テーピング加工部14cは、テーピング加工部13cと対になって右足1のアキレス腱を両側からサポートするようになっている。このため、ゴルフスイング時における右足1の足首の動きが安定するようになっている。
【0036】
また、左足用靴下20におけるテーピング加工部23は、着用者の左足2の親指2aの付根付近から左足2の内側の踝付近まで配されたテーピング加工部23aと、左足2の足首の前方内側で足首の周方向に沿って配されたテーピング加工部23bと、左足2の足首の後方やや内側からアキレス腱に沿うように配されたテーピング加工部23cとで構成されている。このうち、テーピング加工部23cは、テーピング加工部24cと対になって左足2のアキレス腱を両側からサポートするようになっている。このため、ゴルフスイング時における左足2の足首の動きが安定するようになっている。
【0037】
第一実施態様の靴下においては、右足用靴下10におけるテーピング加工部14aとテーピング加工部14bとテーピング加工部14cは連続して一体的に形成されている。このため、着用者の右足1の外側縁(右側縁)では、前後方向(右足1の小指1eの中足骨の軸線方向)にテンションがかかりやすくなっている。このため、外側指袋12と相まって、右足1の外側縁に加えられる感覚刺激をより際立たせることができるようになっている。
【0038】
左足用靴下20におけるテーピング加工部23aとテーピング加工部23bとテーピング加工部23cも連続して一体的に形成されている。このため、着用者の左足2の内側縁(右側縁)では、前後方向(左足2の親指2aの中足骨の軸線方向)にテンションがかかりやすくなっている。このため、内側指袋21と相まって、左足2の内側縁に加えられる感覚刺激をより際立たせることができるようになっている。
【0039】
さらに、第一実施態様の靴下は、図4に示すように、右足用靴下10の裏面における踵の前方となる部分に、テーピング加工部13とテーピング加工部14とを連結するテーピング加工部15が設けられている。同様に、左足用靴下20の裏面における踵の前方となる部分に、テーピング加工部23とテーピング加工部24とを連結するテーピング加工部25が設けられている。このため、右足1や左足2の足裏のアーチを保ちやすく、ゴルフスイングを安定させることができるようになっている。また、靴下を着用者の足にフィットさせて、足の疲労を軽減することも可能なものとなっている。
【0040】
ところで、第一実施態様の靴下においては、図1に示すように、右足用靴下10におけるテーピング加工部14aの前端に、外側指袋12を外側(右足1の小指1eを開く側)に付勢するためのテーピング加工部14dを設け、左足用靴下20におけるテーピング加工部23aの前端に、内側指袋21を内側(左足1の親指1aを開く側)に付勢するためのテーピング加工部13dを設けることも好ましい。
【0041】
バックスイングで重心が右足1に移動する際には、右足1の小指1eが薬指1dの下側に入り込んだり、左足2の親指2aが人差し指2bの下側に入り込んだりしてバランスを崩すおそれもある。しかし、このように、テーピング加工部14dとテーピング加工部23dを設けておくことによって、右足1の小指1eと左足2の親指2aを開く方向に付勢することが可能になるので、この問題を解決することが可能になる。
【0042】
また、靴下へのテーピング加工の施し方は、所望のテーピング効果を奏させることができるのであれば特に限定されない。例えば、靴下本体を形成している生地とは別体からなるテーピング材を靴下本体における所定箇所に固着することによって設けてもよいし、靴下本体の生地を形成している糸(以下においては、「本体形成糸」と呼ぶことがある。)とは別の糸(以下においては、「テーピング形成糸」と呼ぶことがある。)を靴下本体における所定箇所に縫い込むことによって設けてもよいし、靴下本体における所定箇所の生地を他の生地(通常、靴下の生地よりも伸縮性のない生地)で切り替えることによって設けてもよい。
【0043】
第一実施態様の靴下においては、右足用靴下10におけるテーピング加工部13〜15と左足用靴下20におけるテーピング加工部23〜25の全てを、靴下本体における所定箇所にテーピング形成糸を縫い込むことによって設けている。このため、テーピング加工部13〜15及びテーピング加工部23〜25を靴下本体に一体的に形成することができるようになっている。靴下本体におけるテーピング形成糸が縫い込まれた部分は、テーピング形成糸が縫い込まれている分、他の部分よりも生地が厚手になっており、伸縮しにくくなっている。このため、着用者の足を局所的に締め付けることができるようになっており、所望のテーピング効果を得ることが可能となっている。
【0044】
また、第一実施態様の靴下においては、着用者の足を締め付けるための締付力が、右足用靴下と左足用靴下のそれぞれにおける足先側から足元側にかけて弱まるよう形成されている。具体的には、図1、図3又は図4に示すように、靴下を、その長手方向に略均等に分割する環状仮想線をC〜Cとし、最も足先側にある環状仮想線Cから最も足元側にある環状仮想線Cまでのそれぞれの環状仮想線C〜Cに沿った靴下の締付力をそれぞれ順にF〜Fとすると、F<F<F<F<Fの関係が成立している。これにより、足が疲れにくいだけでなく、足の静脈還流障害などの疾患予防に有効な靴下を得ることも可能になる。
【0045】
この場合、締付力F〜Fの具体的な値は特に限定されない。しかし、締付力F〜Fが小さすぎると、靴下のフィット感がなくなって靴下がずれ落ちやすくなるだけでなく、テーピング加工によるテーピング効果も奏されにくくなるおそれがある。一方、締付力F〜Fが強すぎると、靴下の圧迫感が強くなって足が疲れを感じやすくなるだけでなく、足の血行が悪くなるおそれもある。締付力F〜Fは、靴下の用途などに応じて適宜調整される。
【0046】
以上で説明した第一実施態様の靴下を着用してゴルフスイングをすると、テーピング加工部13〜15及びテーピング加工部23〜25によって右足1及び左足2の縦アーチと横アーチが保たれやすくなっているので、アドレスでしっかりとした安定感を得ることができる。また、バックスイングからトップスイングを経てダウンスイングとなる切り返し時には、テーピング加工部13aによって蹴り足である右足1に負担が掛からないようにすることが可能になっている。さらに、オーバースイングを防いで切り返しのタイミングを合わせやすいので、ゴルフスイングをパワーロスのない効率的なものとして、体の負担を軽減することも可能である。さらにまた、ダウンスイングからインパクトとフォロースルーを経てフィニッシュとなるまでの体重移動をスムーズに行うこともできるようになる。
【0047】
3.第二実施態様の靴下
続いて、第二実施態様の靴下について説明する。図5は、第二実施態様の靴下における内側指袋と外側指袋の内部を示した平面図である。図6は、非着用時における第二実施態様の靴下を甲側から見た状態を示した平面図である。図7は、非着用時における第二実施態様の靴下を足裏側から見た状態を示した底面図である。
【0048】
第二実施態様の靴下も、第一実施態様の靴下と同様、指袋非対称型であるだけでなく、テーピング非対称型のものとなっている。第二実施態様の靴下における右足用靴下30は、図5〜図7に示すように、内側指袋3と外側指袋32とテーピング加工部33〜35のそれぞれの配置が、第一実施態様の靴下における右足用靴下10(図2〜図6)の内側指袋11と外側指袋12とテーピング加工部13〜15の配置と左右が逆になっている。同様に、第二実施態様の靴下における左足用靴下40は、図5〜図7に示すように、内側指袋41と外側指袋42とテーピング加工部43〜45の配置が、第一実施態様の靴下における左足用靴下20(図2〜図6)の内側指袋21と外側指袋22とテーピング加工部23〜25の配置と左右が逆になっている。
【0049】
第二実施態様の靴下における指袋やテーピング加工部は、第一実施態様の靴下の説明における「右」と「左」を置換し、符号を付け直しただけのものとほぼ同様であるために説明を割愛する。第二実施態様の靴下におけるテーピング加工の施し方や締付力などについても、第一実施態様の靴下とほぼ同様であるために説明を割愛する。第二実施態様の靴下は、第一実施態様の靴下の着用者と利き腕(利き足)の異なる人に着用されることを想定したものとなっている。例えば、左打ちのゴルファーは、第二実施態様の靴下を着用すると、第一実施態様の靴下を着用した右打ちのゴルファーとほぼ同じ感触を得ることができ、スライスやトップやダフリなどのミスショットの発生を抑えることができる。
【0050】
4.用途
本発明の靴下は、その用途を限定されるものではなく、幅広い場面で使用することができる。なかでも、ゴルフ、テニス、バトミントン、野球、バレーボールなど、右足と左足に左右非対称な荷重の掛かりやすい利き足依存型のスポーツや作業をする際に着用するものとして好適である。特に、ゴルフ用靴下として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第一実施態様の靴下を着用した人の足元を前方から見た状態を示した斜視図である。
【図2】第一実施態様の靴下における内側指袋と外側指袋の内部を示した平面図である。
【図3】非着用時における第一実施態様の靴下を甲側から見た状態を示した平面図である。
【図4】非着用時における第一実施態様の靴下を足裏側から見た状態を示した底面図である。
【図5】第二実施態様の靴下における内側指袋と外側指袋の内部を示した平面図である。
【図6】非着用時における第二実施態様の靴下を甲側から見た状態を示した平面図である。
【図7】非着用時における第二実施態様の靴下を足裏側から見た状態を示した底面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 右足
1a 親指(第一指)
1b 人差し指(第二指)
1c 中指(第三指)
1d 薬指(第四指)
1e 小指(第五指)
2 左足
2a 親指(第一指)
2b 人差し指(第二指)
2c 中指(第三指)
2d 薬指(第四指)
2e 小指(第五指)
10 右足用靴下(第一実施態様)
11 内側指袋
12 外側指袋
13 テーピング加工部
14 テーピング加工部
15 テーピング加工部
20 左足用靴下(第一実施態様)
21 内側指袋
22 外側指袋
23 テーピング加工部
24 テーピング加工部
25 テーピング加工部
30 右足用靴下(第二実施態様)
31 内側指袋
32 外側指袋
33 テーピング加工部
34 テーピング加工部
40 左足用靴下(第二実施態様)
41 内側指袋
42 外側指袋
43 テーピング加工部
44 テーピング加工部
環状仮想線
環状仮想線
環状仮想線
環状仮想線
環状仮想線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
右足に着用するための右足用靴下と、左足に着用するための左足用靴下とで構成された一組の靴下であって、右足用靴下と左足用靴下とが左右非対称であることを特徴とする靴下。
【請求項2】
右足用靴下のつま先に形成された指袋と、左足用靴下のつま先に形成された指袋とが左右非対称である請求項1記載の靴下。
【請求項3】
右足用靴下のつま先に、親指、人差し指、中指及び薬指を一まとめに挿入するための内側指袋と、小指を単独で挿入するための外側指袋とが形成され、左足用靴下のつま先に、親指を単独で挿入するための内側指袋と、人差し指、中指、薬指及び小指を一まとめに挿入するための外側指袋とが形成された請求項2記載の靴下。
【請求項4】
右足用靴下のつま先に、親指を単独で挿入するための内側指袋と、人差し指、中指、薬指及び小指を一まとめに挿入するための外側指袋とが形成され、左足用靴下のつま先に、親指、人差し指、中指及び薬指を一まとめに挿入するための内側指袋と、小指を単独で挿入するための外側指袋とが形成された請求項2記載の靴下。
【請求項5】
右足用靴下と左足用靴下のそれぞれにテーピング加工が施され、右足用靴下に施されたテーピング加工部のパターンと、左足用靴下に施されたテーピング加工部のパターンとが左右非対称である請求項1記載の靴下。
【請求項6】
右足用靴下における足被覆部の外側縁に沿った箇所と左足用靴下における足被覆部の内側縁に沿った箇所のそれぞれに連続したテーピング加工部が形成され、右足用靴下における足被覆部の内側縁に沿った箇所と左足用靴下における足被覆部の外側縁に沿った箇所のそれぞれに分断されたテーピング加工部が形成された請求項5記載の靴下。
【請求項7】
右足用靴下における足被覆部の内側縁に沿った箇所と左足用靴下における足被覆部の外側縁に沿った箇所のそれぞれに連続したテーピング加工部が形成され、右足用靴下における足被覆部の外側縁に沿った箇所と左足用靴下における足被覆部の内側縁に沿った箇所のそれぞれに分断されたテーピング加工部が形成された請求項5記載の靴下。
【請求項8】
着用者の足を締め付けるための締付力が、右足用靴下と左足用靴下のそれぞれにおける足先側から足元側にかけて段階的又は連続的に弱まるよう形成された請求項1〜7いずれか記載の靴下。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−287140(P2009−287140A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140466(P2008−140466)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(591016460)ダイヤ工業株式会社 (14)
【出願人】(508160727)
【Fターム(参考)】