説明

鞍乗型車両のフレーム構造

【課題】ブリッジの配置の自由度を高めて、高強度を維持しつつ適宜の剛性を容易に調整可能な鞍乗型車両のフレーム構造を提供する。
【解決手段】鞍乗型車両のフレーム構造45は、ヘッドパイプ12と、ヘッドパイプ12に接続して後方に延びるメインフレーム13と、メインフレーム13の中途に位置する第一固定部46と、ヘッドパイプ12に接続して下方に延びるダウンチューブ16と、ダウンチューブ16の中途に位置する第二固定部47と、第一固定部46および第二固定部47の間に架かる着脱自在なブリッジ19と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両のフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の鞍乗型車両、特にデュアルパーパスやモトクロッサーなどのオフロード車におけるフレーム構造は、ツインチューブ形式と呼ばれ、左右一対のメインフレームを備えるアルミニウム合金製のものが主流である。この種のフレーム構造は、ヘッドパイプに接続する左右一対のメインフレームと、ヘッドパイプに接続するダウンチューブと、左右のメインフレームおよびダウンチューブを連結補強するアーチ状のブリッジと、を備える。
【0003】
ブリッジは、フレーム構造へエンジンを搭載する際の邪魔にならないよう、エンジンよりもヘッドパイプに近い位置にある。ブリッジの前端はガセットを介してダウンチューブに接合し、ブリッジの後端はメインフレームに溶接される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−278159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フレーム構造は、エンジンを搭載しつつ走行に耐えうる高い強度を有すると同時に、適度に撓んで衝撃吸収性を発揮する剛性を有することが求められる。ブリッジの配置は、フレーム構造の剛性に大きく影響する。
【0006】
しかしながら、従来のフレーム構造は、エンジン搭載の作業性を確保するため、ブリッジの配置の自由度が低い。
【0007】
他方、従来のフレーム構造は、メインフレームおよびダウンチューブにブリッジを固着するため、ブリッジの交換や配置変更が困難であり、フレーム構造の試作段階などで剛性の調整を行う場合、複数の試作品を準備する必要が生じて非効率、かつ高コストであった。 また、従来のフレーム構造は、ヘッドパイプの近くにブリッジを配置するため、エンジンを搭載する領域において高強度、高剛性を備えつつ軽量化を図ることが難しい。
【0008】
そこで、本発明は、ブリッジの配置の自由度を高めて、高強度を維持しつつ適宜の剛性を容易に調整可能な鞍乗型車両のフレーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するため本発明に係る鞍乗型車両のフレーム構造は、ヘッドパイプと、前記ヘッドパイプに接続して後方に延びるメインフレームと、前記メインフレームの中途に位置する第一固定部と、前記ヘッドパイプに接続して下方に延びるダウンチューブと、前記ダウンチューブの中途に位置する第二固定部と、前記第一固定部および前記第二固定部の間に架かる着脱自在なブリッジと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ブリッジの配置の自由度を高めて、高強度を維持しつつ適宜の剛性を容易に調整可能な鞍乗型車両のフレーム構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る鞍乗型車両としての自動二輪車を示す左側面図。
【図2】本発明の第1実施形態に係るフレーム構造を示す左側面図。
【図3】本発明の第1実施形態に係るフレーム構造とエンジンとを示す左側面図。
【図4】本発明の第1実施形態に係るフレーム構造を示す斜視図。
【図5】本発明の第1実施形態に係るフレーム構造を示す斜視図。
【図6】本発明の第2実施形態に係るフレーム構造を示す左側面図。
【図7】本発明の第2実施形態に係るフレーム構造とエンジンとを示す左側面図。
【図8】本発明の第2実施形態に係るフレーム構造を示す斜視図。
【図9】本発明の第2実施形態に係るフレーム構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る鞍乗型車両のフレーム構造の実施形態について図面を参照して説明する。 [第1の実施形態]
本発明に係る鞍乗型車両のフレーム構造の第1実施形態について図1から図5を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1実施形態に係る鞍乗型車両としての自動二輪車を示す左側面図である。
【0014】
なお、本実施形態において、前後、上下、左右の表現は、自動二輪車1に乗車するライダーを基準にする。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る鞍乗型車両は自動二輪車1である。自動二輪車1は、車両の前後に延びる車体フレーム2と、車体フレーム2の前方に位置する前輪5と、車体フレーム2の前方に位置して前輪5を回転自在に支持するステアリング機構6と、車体フレーム2の後方に位置する後輪7と、車体フレーム2の後方に延びて後輪7を回転自在に支持するスイングアーム8と、車体中央下部に位置する内燃機関としてのエンジン11と、を備える。
【0016】
車体フレーム2は、所謂クレードルタイプである。車体フレーム2は、前上端部に位置するヘッドパイプ12と、ヘッドパイプ12に接続して後ろ斜め下方へ傾斜して延びる左右一対のメインフレーム13と、左右それぞれのメインフレーム13の後端部に接続して下方へ垂下する左右一対のピボットフレーム15と、ヘッドパイプ12に接続して下方に延びるダウンチューブ16と、ダウンチューブ16に接続して二股に分岐するジョイント部材17と、ジョイント部材17の分岐端部に接続して下方に延び後方に屈曲してエンジン11の下方を保護するとともにピボットフレーム15の下端部に接続する左右一対のロアチューブ18と、左右それぞれのメインフレーム13とダウンチューブ16との間に架かるブリッジ19と、ピボットフレーム15に接続して後方に延びるリアフレーム21と、を備える。
【0017】
ヘッドパイプ12はステアリング機構6の回転中心であり、ステアリング機構6を車体フレーム2に支える。
【0018】
左右のメインフレーム13は、タンクレールを兼ね、その上方に位置する燃料タンク22を支持するとともに燃料タンク22の下方にエンジン11を懸架する。
【0019】
左右のピボットフレーム15はスイングアーム8の回転中心であるピボット軸23を支える。
【0020】
リアフレーム21は、左右それぞれのピボットフレーム15の頂部から後ろ斜め上方に傾斜して延びる左右一対のシートレール25と、左右それぞれのピボットフレーム15の中央部後ろ側から後ろ斜め上方に延びてシートレール25の後部に連結する左右一対のシートピラーチューブ26と、を備える。シートレール25は、シート27と、シート27の後方に延びて後輪7の上方を覆うリアフェンダ28と、を支持する。
【0021】
ステアリング機構6は、サスペンション機構(図示省略)を内装して前輪5を回動自在に支持する左右一対のフロントフォーク31と、前輪5の上方を覆うフロントフェンダ32と、フロントフォーク31の頂部に接続するハンドル33と、を備える。ライダーは、ハンドル33によって前輪5を左右に操舵する。
【0022】
スイングアーム8は、後輪7を上下揺動自在に支持する。リアクッションユニット35は、スイングアーム8と車体フレーム2との間に介在して後輪7から車体フレーム2に伝わる力を緩衝する。
【0023】
エンジン11は、例えば4サイクルの内燃機関であり、シリンダ(図示省略)の中心線を自動二輪車1の上下方向に向けてメインフレーム13およびダウンチューブ16に挟まり位置する。エンジン11は、車体の後方に延びてエンジン11の排気ガスを排出する排気マフラ36に接続する。
【0024】
後輪7は、ドリブンスプロケット37を備える。後輪7は、ドライブチェーン38は、ドリブンスプロケット37に巻掛かり、エンジン11から後輪7へ駆動力を伝達する。
【0025】
さらに、自動二輪車1は、燃料タンク22の左右を覆うタンクカバー39と、シート27の下方空間の左右を覆うフレームカバー42と、を備える。
【0026】
次に、本実施形態に係るフレーム構造について詳細に説明する。
【0027】
図2は、本発明の第1実施形態に係るフレーム構造を示す左側面図である。
【0028】
図3は、本発明の第1実施形態に係るフレーム構造とエンジンとを示す左側面図である。
【0029】
図4および図5は、本発明の第1実施形態に係るフレーム構造を示す斜視図である。
【0030】
図4はブリッジ19を左後ろ下方から示す図であり、図5はブリッジ19を左後ろ上方から示す図である。
【0031】
図2から図5に示すように、本実施形態に係るフレーム構造45は、ヘッドパイプ12と、ヘッドパイプ12に接続して後方に延びるメインフレーム13と、メインフレーム13の中途に位置する第一固定部46と、ヘッドパイプ12に接続して下方に延びるダウンチューブ16と、ダウンチューブ16の中途に位置する第二固定部47と、第一固定部46および第二固定部47の間に架かる着脱自在なブリッジ19と、を備える。
【0032】
メインフレーム13およびダウンチューブ16はアルミニウム合金製の中空管である。 第一固定部46はメインフレーム13の下面の中途に溶接などの接合方法で固定されるブラケットであり、ブリッジ19を締結する締結部材としてのボルト48を通す貫通口49を有する。貫通口49は複数あり、ブリッジ19の締結位置を任意に選択できる。第一固定部46は、左右それぞれのメインフレーム13に一対ある。
【0033】
第二固定部47はダウンチューブ16の背面に溶接などの接合方法で固定されるブラケットであり。ブリッジ19を締結する締結部材としてのボルト51を締め付けるボルト穴52を有する。ボルト穴52は複数あり、ブリッジ19の締結位置を任意に選択できる。
【0034】
ブリッジ19は、メインフレーム13およびダウンチューブ16を連結補強する構造材である。ブリッジ19は、略U文字形状に湾曲する中空管であり、U文字が開く左右の先端部に位置する耳片53と、U文字の腹の部分に位置するブラケット55と、を備える。耳片53は、第一固定部46の貫通口49を通るボルト48を締結するボルト穴56を有する。ブラケット55は、ボルト51を通す貫通口(図示省略)を有する。
【0035】
なお、ブリッジ19は、中空管の他にコ文字形状やC文字形状、H文字形状など開放する断面形状を有していても良い。
【0036】
他方、エンジン11は、メインフレーム13およびダウンチューブ16に挟まる位置へ搭載可能であり、メインフレーム13の下方かつダウンチューブ16の後方に位置して着脱可能に搭載される。
【0037】
また、エンジン11は、ロアチューブ18に近い下方側からクランクシャフト(図示省略)を収容するクランクケース58と、クランクケース58の前半部頂部に接合するシリンダ59と、シリンダ59の頂部に接合して吸気ポート(図示省略)および排気ポート(図示省略)を有するシリンダヘッド61と、シリンダヘッド61の頂部を覆うヘッドカバー62と、を備える。
【0038】
自動二輪車1は、エンジン11の他に、エンジン11前方に位置してダウンチューブ16に固定されるラジエータ63と、シリンダヘッド61前方に接続しエンジンの右側方を迂回して排気マフラ36へエンジン11の排気を案内するエキゾーストパイプ65と、シート27の下方に位置してエンジン11の吸気を濾過するエアクリーナ66と、エアクリーナ66に接続して吸気流量を調整するバルブ(図示省略)有するスロットルボディ67と、スロットルボディ67からシリンダヘッド61へ混合気を案内するインテークマニホールド68と、メインフレーム13に固定されてエンジン11のマグネットロータ(図示省略)の出力を整流するレギュレータ69と、を備える。
【0039】
燃料タンク22は、左右のメインフレーム13に挟まり、またはメインフレーム13の上方に位置する。
【0040】
フレーム構造45は、ブリッジ19の断面形状を適宜変更することでブリッジ19の剛性を変更し、フレーム構造45全体の剛性を適宜変更し、調整できる。
【0041】
また、フレーム構造45は、ブリッジ19の素材をアルミニウム合金の他に非鉄金属材料を用いる合金や鋼など適宜の素材を使用することでブリッジ19の剛性を変更し、フレーム構造45全体の剛性を適宜変更し、調整できる。
【0042】
さらに、フレーム構造45は、第一固定部46および第二固定部47の少なくとも一方がブリッジ19の装着箇所を複数備えることで、ブリッジ19の取付位置を変更し、フレーム構造45全体の剛性を適宜変更し、調整できる。具体的には、フレーム構造45は、第一固定部46の貫通口49および第二固定部47のボルト穴52の少なくとも一方を複数箇所備えることでブリッジ19の取付位置を変更できる。なお、ブリッジ19は取付位置毎に変更しても良いし、取付位置に共通していても良い。
【0043】
本実施形態に係るフレーム構造45は、材質や形状(長さや太さ、断面形状など)の異なる複数のブリッジ19を準備し、適宜交換することで、フレーム構造45全体の剛性を変更し、適宜に調整することができる。また、本実施形態に係るフレーム構造45は、材質や形状(長さや太さ、断面形状など)の異なる複数のブリッジ19を準備し、適宜交換することで、フレーム構造45全体の強度を変更し、適宜に調整することもできる。
【0044】
したがって、本実施形態に係る鞍乗型車両のフレーム構造45は、メインフレーム13およびダウンチューブ16にブリッジ19を着脱することができるため、ブリッジ19を取り外すことによって着脱時におけるエンジン11上部の空間を確保し易くなり、ブリッジ19がエンジン11の搭載作業の邪魔になることがない。
【0045】
また、本実施形態に係る鞍乗型車両のフレーム構造45は、ブリッジ19の材質や形状、取付位置を容易に変更できるので、フレーム構造45ひいては車体フレーム2の剛性を容易に変更し、調整できる、このことは、鞍乗型車両のシリーズ展開や、車種のマイナーチェンジにおいて、車体フレーム2の強度および剛性の変更による乗り心地や操作感の変更を容易化する。また、このことは、車種の異なる鞍乗型車両間でブリッジ19を除く車体フレーム2の共通化率を向上し、生産性やコスト効率を向上する。
【0046】
[第2の実施形態]
本発明に係る鞍乗型車両のフレーム構造の第2実施形態について、図6から図9を参照して説明する。
【0047】
なお、本実施形態に係るフレーム構造45Aにおいて第1実施形態のフレーム構造45と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0048】
図6は、本発明の第2実施形態に係るフレーム構造を示す左側面図である。
【0049】
図7は、本発明の第2実施形態に係るフレーム構造とエンジンとを示す左側面図である。
【0050】
図8および図9は、本発明の第2実施形態に係るフレーム構造を示す斜視図である。
【0051】
図8はブリッジ73を左下方から示す図であり、図9はブリッジ73を左後方から示す図である。
【0052】
図6から図9に示すように、本実施形態に係るフレーム構造45Aは、ヘッドパイプ12と、ヘッドパイプ12に接続して後方に延びるメインフレーム13と、メインフレーム13の中途に位置する第一固定部75と、ヘッドパイプ12に接続して下方に延びるダウンチューブ16と、ダウンチューブ16の中途に位置する第二固定部76と、第一固定部75および第二固定部76の間に架かる着脱自在なブリッジ73と、を備える。
【0053】
第一固定部75はメインフレーム13の下面の中途に溶接などの接合方法で固定されるブラケットであり、ブリッジ73を締結する締結部材としてのボルト48を締結するボルト穴77を有する。ボルト穴77は複数あり、ブリッジ73の締結位置を任意に選択できる。第一固定部75は、左右それぞれのメインフレーム13に一対ある。
【0054】
第二固定部76はダウンチューブ16の背面に溶接などの接合方法で固定されるブラケットであり、ブリッジ73を締結する締結部材としてのボルト51のボルト穴78を有する。ボルト穴78は複数あり、ブリッジ73の締結位置を任意に選択できる。
【0055】
ブリッジ73は、メインフレーム13およびダウンチューブ16を連結補強する構造材である。ブリッジ73は、第一固定部75から第二固定部76に渡り弧状に湾曲する帯状の板材である。ブリッジ73は右側に位置するメインフレーム13aとダウンチューブ16との間および左側に位置するメインフレーム13bとダウンチューブ16との間それぞれに架かり、左右に一対ある。ブリッジ73は、左右それぞれ個別に着脱できる。
【0056】
また、ブリッジ73は、メインフレーム13およびダウンチューブ16に挟まる位置へ搭載可能なエンジン11に対し側面視において重なる。
【0057】
さらに、ブリッジ73は、エンジン11の懸架を分担するエンジン固定部79を備える。エンジン固定部79は、メインフレーム13とダウンチューブ16とを連結する帯状部分に一体、または一体化し、エンジン11の慣性力をメインフレーム13およびダウンチューブ16へ伝える。
【0058】
なお、ブリッジ73は、帯状の板材の他にコ文字形状やC文字形状、H文字形状など開放する断面形状を有していても良いし、管状に閉じる断面形状を有していても良い。
【0059】
フレーム構造45Aは、ブリッジ73の断面形状を適宜変更することでブリッジ73の剛性を変更し、フレーム構造45A全体の剛性を適宜変更し、調整できる。
【0060】
また、フレーム構造45Aは、ブリッジ73の素材をアルミニウム合金の他に非鉄金属材料を用いる合金や鋼など適宜の素材を使用することでブリッジ73の剛性を変更し、フレーム構造45A全体の剛性を適宜変更し、調整できる。
【0061】
さらに、フレーム構造45Aは、第一固定部75および第二固定部76の少なくとも一方がブリッジ73の装着箇所を複数備えることで、ブリッジ73の取付位置を変更し、フレーム構造45A全体の剛性を適宜変更し、調整できる。具体的には、フレーム構造45Aは、第一固定部75のボルト穴77および第二固定部76のボルト穴78の少なくとも一方を複数箇所備えることでブリッジ73の取付位置を変更できる。なお、ブリッジ73は取付位置毎に変更しても良いし、取付位置に共通していても良い。また、第一固定部75のボルト穴77および第二固定部76のボルト穴78を複数設けることに代えて、ブリッジ73にボルト51の貫通口(図示省略)を複数有していても良い。
【0062】
本実施形態に係るフレーム構造45Aは、材質や形状(長さや太さ、断面形状など)の異なる複数のブリッジ73を準備し、適宜交換することで、フレーム構造45A全体の剛性を変更し、適宜に調整することができる。
【0063】
したがって、本実施形態に係る鞍乗型車両のフレーム構造45Aは、メインフレーム13およびダウンチューブ16にブリッジ73を着脱することができるため、ブリッジ73を取り外すことによって着脱時におけるエンジン11上部の空間を確保し易くなり、ブリッジ19がエンジン11の搭載作業の邪魔になることがない。
【0064】
また、本実施形態に係る鞍乗型車両のフレーム構造45Aは、ブリッジ73の材質や形状、取付位置を容易に変更できるので、フレーム構造45Aひいては車体フレーム2の剛性を容易に変更し、調整できる、このことは、鞍乗型車両のシリーズ展開や、車種のマイナーチェンジにおいて、車体フレーム2の強度および剛性の変更による乗り心地や操作感の変更を容易化する。また、このことは、車種の異なる鞍乗型車両間でブリッジ73を除く車体フレーム2の共通化率を向上し、生産性やコスト効率を向上する。
【0065】
さらに、本実施形態に係る鞍乗型車両のフレーム構造45Aは、側面視においてエンジン11に対しブリッジ73を重ねて配置することが可能であるため、エンジン11側方に車体フレーム2の側方からエンジン11を着脱するための大きな開口(エンジン11の投影と略同形状の開口)を必要とせず、当該開口領域を狭めて車体フレーム2の強度および剛性を容易に高める調整を行うことができる。また、フレーム構造45Aは、側面視においてエンジン11に対しブリッジ73を重ねて配置することが可能であるため、ヘッドパイプ12とエンジン11との間にブリッジ73を配置する領域を必要とせず、燃料タンク22やレギュレータ69をエンジン11により近づけて配置して車両の小型化を図ったり、燃料タンク22の容量を増やしたりすることができる。他方、上下方向におけるブリッジ73の形状選択の自由度が増し、強度および剛性の変更幅を拡大可能であり、調整範囲を広げ易い。
【0066】
さらにまた、本実施形態に係る鞍乗型車両のフレーム構造45Aは、左右一対のブリッジ73をそれぞれ個別に着脱可能であるため、エンジン11やラジエータ63、レギュレータ69、燃料タンク22の着脱作業が容易であり作業性に優れる。また、左右一対のブリッジ73をそれぞれ個別に着脱可能であることから、左右のメインフレーム13およびダウンチューブ16へ一体に組み付ける場合に比べて第一固定部75および第二固定部76の位置精度を緩和することが可能になり、生産性を向上できる。
【0067】
また、本実施形態に係る鞍乗型車両のフレーム構造45Aは、エンジン固定部79を備えるため、エンジン11自体を補強部材として兼用し剛性を調整できる。
【0068】
なお、車体フレーム2は、クレードルタイプ型に限定しない。また、車体フレーム2は、ダウンチューブ16を左右一対有するもので良く、メインフレーム13を車両の中心に沿って1つだけ備えるものでも良い。
【0069】
ブリッジ19、73は、展伸材、鋳造品、鍛造品のいずれでも良い。また、ブリッジ19、73は艤装部品、電装部品、補機類等の取付部を有しても良い。この場合、車体フレーム2よりも比較的成形し易いブリッジ19、73に、タンクカバー39やレギュレータ69、イグニションコイル(図示省略)等の取付部を設けることで、メインフレーム13やダウンチューブ16に別途のブラケットを設ける必要が無くなり、コスト低減や作業性の向上に寄与できる。
【0070】
したがって、本実施形態に係る鞍乗型車両のフレーム構造45、45Aによれば、ブリッジ19、73の配置の自由度を高めて、高強度を維持しつつ適宜の剛性を容易に調整できる。
【符号の説明】
【0071】
1 自動二輪車
2 車体フレーム
5 前輪
6 ステアリング機構
7 後輪
8 スイングアーム
11 エンジン
12 ヘッドパイプ
13、13a、13b メインフレーム
15 ピボットフレーム
16 ダウンチューブ
17 ジョイント部材
18 ロアチューブ
19 ブリッジ
21 リアフレーム
22 燃料タンク
23 ピボット軸
25 シートレール
26 シートピラーチューブ
27 シート
28 リアフェンダ
31 フロントフォーク
32 フロントフェンダ
33 ハンドル
35 リアクッションユニット
36 排気マフラ
37 ドリブンスプロケット
38 ドライブチェーン
39 タンクカバー
42 フレームカバー
45、45A フレーム構造
46 第一固定部
47 第二固定部
48 ボルト
49 貫通口
51 ボルト
52 ボルト穴
53 耳片
55 ブラケット
56 ボルト穴
58 クランクケース
59 シリンダ
61 シリンダヘッド
62 ヘッドカバー
63 ラジエータ
65 エキゾーストパイプ
66 エアクリーナ
67 スロットルボディ
68 インテークマニホールド
69 レギュレータ
73 ブリッジ
75 第一固定部
76 第二固定部
77、78 ボルト穴
79 エンジン固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプと、
前記ヘッドパイプに接続して後方に延びるメインフレームと、
前記メインフレームの中途に位置する第一固定部と、
前記ヘッドパイプに接続して下方に延びるダウンチューブと、
前記ダウンチューブの中途に位置する第二固定部と、
前記第一固定部および前記第二固定部の間に架かる着脱自在なブリッジと、を備えることを特徴とする鞍乗型車両のフレーム構造。
【請求項2】
前記メインフレームは左右に一対あり、
前記ブリッジは、右側に位置する前記メインフレームと前記ダウンチューブとの間および左側に位置する前記メインフレームと前記ダウンチューブとの間それぞれに架かり左右に一対あって前記メインフレームおよび前記ダウンチューブに挟まる位置へ搭載可能なエンジンに対し側面視において重なることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両のフレーム構造。
【請求項3】
前記ブリッジは、前記エンジンを懸架するエンジン固定部を備えることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗型車両のフレーム構造。
【請求項4】
前記ブリッジは左右それぞれ個別に着脱可能であることを特徴とする請求項2または3に記載の鞍乗型車両のフレーム構造。
【請求項5】
前記第一固定部および前記第二固定部の少なくとも一方は、前記ブリッジの装着箇所を複数備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の鞍乗型車両のフレーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−103565(P2013−103565A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247735(P2011−247735)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】