説明

音声案内装置

【課題】 スイッチや人体検知センサと連動して音声案内をするものでは、一度に複数の機器の位置、操作方法を説明してしまうため、最初の説明を最後まで覚えていなければならず、また、最初に複数の機器の位置を説明された場合、使用者が説明を受けた場所を基準にしての位置関係であり、使用者が各機器を使用するに伴い、使用者と機器との位置関係は変化するため、最初の説明を最後まで覚えても、位置関係の把握は複雑であった。
【解決手段】 本発明では、機器の使用終了を検知する使用終了検知手段と、前記機器の位置、および操作方法を説明する音声案内装置とが備えられており、機器の使用終了が検知されると、使用終了が検知された機器の位置を基準として、別の機器の位置を音声にて案内することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレルーム内の音声案内装置に係り、特に視覚障害者に対して使い勝手の良い音声案内装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来のトイレルーム内の音声案内装置では、スイッチを操作することによりトイレルーム内の機器の位置、および操作方法を音声にて案内しており、音声にて記録されている内容は、洋式か和式かの便器の種類、洋式の場合には温水洗浄便座が装着されているかどうか、温水洗浄便座が装着されている場合には、操作ボタンの種類と配置、トイレットペーパーホルダの位置、便器洗浄用のハンドルやボタンの位置と操作方法、手洗い器がついている場合には、その位置と使用方法などである(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3097791号公報(第3頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような場合、スイッチを操作しないと音声での説明を開始しないため、視覚障害者にとっては必ずしも使い勝手の良いものではなかった。また、上記スイッチの代わりに人体検知センサと連動して音声案内を開始したとしても、一度に複数の機器の位置、操作方法を説明してしまうため、最初の説明を最後まで覚えていなければならないという問題があり、最初に複数の機器の位置を説明される場合、使用者が説明を受けた場所を基準にしての位置関係であり、使用者が各機器を使用するに伴い、使用者と機器との位置関係は変化するため、最初の説明を最後まで覚えていたとしても、位置関係の把握は複雑であり非常に困難であった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、、トイレルームのような複数の機器が設置された場所を使用するような場合に、機器の使用終了を判断して、その機器の位置を基準として次に使用する機器の案内をすることで、誰もが使い勝手の良い音声案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、
複数の機器が備わっているトイレルームにおいて、
前記機器の使用終了を検知する使用終了検知手段と、
前記機器の位置、および操作方法を説明する音声案内装置とが備えられており、
機器の使用終了が検知されると、
使用終了が検知された機器の位置を基準として、
別の機器の位置を音声にて案内することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2記載の発明によれば、
機器の使用終了が検知されると、
使用終了が検知された機器の設置向きを基準として、
別の機器の位置を音声にて案内することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3記載の発明によれば、
トイレルーム扉の位置を基準として便器の位置、便器の位置を基準として手洗い器の位置、手洗い器の位置を基準としてトイレルーム扉の位置を音声にて案内することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4記載の発明によれば、
機器はトイレルーム扉であり、
その使用終了検知手段はトイレルーム扉の鍵であり、前記鍵が施錠されたことで、トイレルーム扉の使用終了を検知することを特徴とする。
【0009】
また、請求項5記載の発明によれば、
機器は便器であり、
その使用終了検知手段は温水洗浄便座の人体検知センサであり、前記人体検知センサが人体を検知した状態から非検知状態になったことで、前記便器の使用終了を検知することを特徴とする。
【0010】
また、請求項6記載の発明によれば、
機器は便器であり、
その使用終了検知手段は温水洗浄便座の着座センサであり、前記着座センサが着座を検知した状態から非検知状態になったことにより、前記便器の使用終了を検知することを特徴とする。
【0011】
また、請求項7記載の発明によれば、
機器は便器であり、
その使用終了検知手段は便器洗浄ボタンであり、前記便器洗浄ボタンが押されたことにより、前記便器の使用終了を検知することを特徴とする。
【0012】
また、請求項8記載の発明によれば、
機器は便器であり、
その使用終了検知手段は温水洗浄便座の着座センサと便器洗浄ボタンであり、前記着座センサが着座を検知した状態から非検知状態になったことと、前記便器洗浄ボタンが押されたことの両方を検知することで、前記便器の使用終了を検知することを特徴とする。
【0013】
また、請求項9記載の発明によれば、
機器は手洗い器であり、
その使用終了検知手段は手洗い器に設置してある自動水栓の人体検知センサであり、前記自動水栓の人体検知センサが人体を検知した状態から非検知状態になったことで、前記手洗い器の使用終了を検知することを特徴とする。
【0014】
また、請求項10記載の発明によれば、
機器は手洗い器であり、
その使用終了検知手段は手洗い器に設置してある水栓の流量センサであり、前記水栓の流量センサが水流を検知している状態から非検知状態になったことで、前記手洗い器の使用終了を検知することを特徴とする。
【0015】
また、請求項11記載の発明によれば、
使用終了検知手段は機器と別体に取り付けられた人体検知センサであることを特徴とする音声案内装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、トイレルームのような複数の機器を使用するような場合であっても、次に使用する機器の位置や操作方法を案内するタイミングを使用終了検知手段の検知情報に基づいて、今まで使用していた機器の位置を基準に案内するため、
使用者がトイレルーム内の機器の位置情報や操作方法をすべて把握していなくても、ある機器の使用終了後に、次に使用する機器の情報を入手するため、迷うことなく安心してトイレルームを使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明の要旨である音声案内装置の構成図を示す。
【0019】
音声案内装置10は、制御手段12と、音声再生手段13と、音声データ14とスピーカ15から構成される。
制御手段12は、機器等に設けられた使用終了検知手段11からの信号に基づいてトイレルーム内のどの機器の使用を終了したのか否かを判断し、機器の使用を終了したと判断した場合には、次に音声案内する音声データ12を選択し、音声再生手段13に対して音声再生の要求をするものである。また、音声データ14は、各機器の操作方法や、ある機器に対して別の機器がどの位置にあるのか等の情報が記録されたものであり、音声再生手段13は前記音声データ14を音声信号に変換し、スピーカ15を介して外部に音声として出力するものである。
ここで、音声案内装置10と使用終了検知手段11との接続は、有線であっても、赤外線や電波、超音波などの無線であっても構わない。特に、音声案内装置10や使用終了検知手段11を既設のトイレルームに後付けする場合などは、無線タイプの方が配線の取り回し等を気にすることなく設置することが可能である。
また、音声再生手段13にて再生する音声データ14は、録音再生ICのようなLSIに音声データを録音して利用してもよいし、音声再生手段13に音声合成機能を持たせ、音声データ14としては、テキストベースのデータを有し、音声再生手段13にて音声信号に変換してスピーカ15より出力する方式を用いてもよい。特に、再生する音声量が多い場合は、音声データを録音する方式では、録音時間に比例したメモリが必要になり、回路規模が大きくなるだけでなく、価格の上昇も考えられるため、音声再生手段13に音声合成機能を持たせ、できるだけ音声データ14の容量を少なくする方式の方が、回路規模もメモリ容量も抑えることが可能となる。
図1の音声案内装置の構成図では、音声案内装置10内にスピーカ15を有する一体構造としたが、別体であっても構わない。特にオフィスや公共施設等では、非常連絡用等の使用目的でトイレルーム内にスピーカが既設されている場合もあるため、別体構造とすることにより、既設スピーカを流用することが可能となる。
【0020】
図2に、本発明の一実施形態にかかる音声案内装置を備えたトイレルームの平面レイアウトの一例を示し、本発明の音声案内装置の詳細な動作について、使用者の行動をもとに説明する。
【0021】
トイレルーム20には、トイレルーム扉21、便器22、温水洗浄便座23、手洗い器24、ベビーチェア27、ベビーシート28など、複数の機器と音声案内装置10が備わっており、使用者はトイレルーム扉21を開けてトイレルーム20内に入室する。その後使用者は、トイレルーム扉21を閉め、使用中であることを示す意味と、他人に入室されない意味から施錠をする。
トイレルーム扉21の鍵が施錠されたとを使用終了検知手段11にて検出することにより、制御手段12は、使用者によりトイレルーム扉21の鍵が施錠されたと判断し、次に音声にて案内する便器22に関する情報を音声データ14より選択し、音声再生手段13に音声再生の要求を出すことにより、音声再生手段13はスピーカ15を介して、指定された音声を再生する。≪案内1≫
ここで音声案内の内容としては、「便器は、トイレルーム扉を背にして、左斜め前方に洋式で後ろ向きにあります。」など、使用した機器(ここでは、トイレルーム扉21)の位置を基準にして便器22の設置位置、設置向き、和洋式の違い等の案内をすればよく、これに限定されるものではない。また、本実施例では後述するが、便器の位置と同時に、便器の洗浄方法(ボタンなのか、レバー式なのか、手かざし式なのか、足踏み式なのか等)
および位置を、案内しても構わない。
【0022】
一般的に使用者は、トイレルーム20に入りまずトイレルーム扉21の鍵を閉めるため、その扉の鍵を閉めた検知信号により使用者の使用終了を検知し、使用していた機器の位置を基準として音声案内をすることにより、使用者がトイレルーム20に入室したことが確実に検知可能であるとともに、入室したタイミングで案内を開始することができるため、視覚障害者等の使用者が使用する機器を探し始める前に前もって情報を発信することが可能であり、使用者は迷うことなく安心してトイレルームを使用することが可能である。
【0023】
上記実施例ではトイレルーム扉21の鍵を使用終了検知手段11としたが、トイレルーム扉21近傍に設置する人体検知センサの出力信号を元に、使用終了判断手段12で使用
者のトイレルーム20への入室を判断してもよい。
上記人体検知センサとしては、人体の有無を検知する反射型のセンサであっても、人体の通過を検知する透過型のセンサであっても構わない。例えば、人体の有無を検出する反射型センサの場合であれば、人体の存在によりセンサが検知するため、検知状態から非検知状態に変化することにより、使用者は人体検知センサ近傍から離れたことが分かる。すなわち、使用者は人体検知センサ近傍の機器の使用を終了し、次に使用したい機器に向かっていることが分かる。
上記構成において、便器22の使用、或いは手洗い器24の使用の終了検知であれば、人体検知センサが検知状態から非検知状態に変化することで、使用を終了と判断して問題ないが、トイレルーム扉21の場合などは、使用終了して、トイレルーム20内に入る場合とトイレルーム20外に出る場合があるため、そのような場合には、人体検知センサを複数個設け、その反応順序、すなわち、トイレルーム20内側の人体検知センサが先に検知状態から非検知状態に変化したのか、或いはにトイレルーム20外側の人体検知センサが先に検知状態から非検知状態に変化したのかにより、入室か或いは退室かを判断することが可能であり、確実に機器の使用終了を検知することができる。
上記構成とすることにより、既設の機器の入れ替え、或いは改造といったことをすることなく、後付け設置も容易である。また、万が一にトイレルーム扉21の施錠を忘れた場合であっても、人体検知センサにて入室を判断出来るため、使用者は音声案内を聞くことができる。
【0024】
また、本発明の音声案内装置10はスピーカ15が別体構造であってもよいため、スピーカ15を便器近傍に設置する(例えば、便器近傍の壁面への設置や、擬音装置で使用しているスピーカと兼用する)ことにより、音声の内容により位置情報を把握するだけでなく、特に視覚障害者は健常者よりも聴覚に優れている人が多いため、例えば「便器は、音声のする方向にあります。」のような、機器は、音の発生源近傍に設置されている旨の内容を案内することにより、より使い勝手が良いものになる。その場合、便器近傍に設置してある人体検知センサや、温水洗浄便座23の人体検知センサの出力信号を使用して、便器22近傍に近付いたのを検知するまでブザー音を鳴らしつづけることにより、視覚障害者等の使用者にとって、機器の位置はより明確になる。
【0025】
さらに、使用者が便器22を目指して歩いている際、使用終了検知手段11としての温水洗浄便座23の人体検知センサや、便器22近傍に設置してある人体検知センサにより、使用者が便器22近傍に近付いたのを検知することにより、制御手段12は音声再生手段13に対して音声案内要求を出してもよい。
ここでの音声案内としては、「洗浄ボタンは、便器に向かって左壁に、タッチ式です。」のように、機器に対しての位置関係と、洗浄方式(タッチ式なのか、手かざし式なのか、レバー式なのか、足踏み式なのか)等を案内すればよく、これに限定されるものではなく、トイレットペーパー26の設置位置等の案内を含めてもよい。
別の実施形態としては、温水洗浄便座23の人体検知センサや、便器22近傍に設置してある人体検知センサにて、使用者を検知したときには、「着座することにより洗浄ボタンの位置を案内します。」程度の案内に留めておき、温水洗浄便座23の着座センサの検知信号により、着座を検知することにより、「洗浄ボタンは、右壁に、タッチ式です。」のように案内することで、「便器に向かって・・・」のような説明をしなくても、使用者にとっての「右」は一意的に定まるため、使用者に容易に洗浄ボタン25の位置を案内することが可能となる。
視覚障害者だけでなく、一般の使用者であっても便座に座る前に、洗浄ボタン25の位置の確認や、トイレットペーパー26の残量等の確認をしたいため、使用者が便器22に近付くことで音声案内をすることにより、使用者は安心して使用することが出来るだけでなく、使用者は便器近傍に近付いたことも確認できるため、安心感を得ることも可能であ
る。
【0026】
次に使用者は、便器22で用を足し終わることにより、洗浄ボタン25を用いて便器洗浄を行う。ここで、使用終了検知手段11である便器22の洗浄ボタン25が押されたことにより、制御手段12が使用者が便器22の使用を終了した、すなわち便器洗浄を行ったと判断することにより、使用者の便器22使用終了を確実に検知可能であり、音声再生手段13は手洗い器24の設置位置、使用方法に関する情報を音声にて案内する。≪案内2≫
ここでの音声案内としては、「手洗い器は、便器前方、突き当たりを右壁に設置。手をかざすことにより自動で吐水します。」のように、使用していた機器(便器)に対しての位置関係と、吐水方式(手かざしによる自動吐水なのか、蛇口タイプなのか)等の案内をすればよく、これに限定されるものではない。
同様に、使用者は便器22で用を足し終わることにより、便器22から離れるため、使用終了検知手段11である、温水洗浄便座23の着座センサが検知状態から非検知状態に変化することや、温水洗浄便座23の人体検知センサが検知状態から非検知状態に変化することでも、使用者が便器22より立ち去ろうとしていることを確実に検知可能であり、そのタイミングで音声案内を開始することで、使用者は次に使用する機器を探し始める前に情報を入手することが可能であり、迷うことなく安心してトイレルームを使用することが可能である。
また、使用者が洗浄ボタンを押すタイミングは使用後だけとは限らず、使用前に音消しの意味で洗浄を行う場合もあるため、使用終了検知手段11として、温水洗浄便座23の人体検知センサや着座センサ、また便器22近傍に設置されている人体検知センサと併用することにより、使用者の用足し終了を確実に検知することが可能となる。
また、使用終了検知手段11として、洗浄ボタンと温水洗浄便座23の着座センサの2つの検知信号を使用することにより、着座センサが着座を検知していないにも関わらず洗浄ボタンが押された場合や、着座センサが着座を検知した状態で洗浄ボタンが押されたにも関わらず、着座センサがずっと着座を検知し続けるような場合は、使用者が音消し等、洗浄以外の目的で洗浄ボタンを押した可能性が高いため、制御手段12は機器の使用終了を判断せず、音声再生手段13は音声案内を行わず、しばらく着座センサが着座状態を検知し続けた後、非着座状態となり、洗浄ボタンを押された信号を検知した場合には、使用者が洗浄目的で洗浄ボタンを押していると制御手段12は判断し、音声再生手段13は音声再生を行うことで、使用者の用足し終了を確実に判断することが可能である。
特に、温水洗浄便座23の着座センサの離座の検知、すなわち着座検知状態から着座非検知状態に変化するタイミングに合わせて音声案内することにより、使用者の離座動作の向きは、便器の設置向き、すなわち便器ボール面先端方向と同じため、「洗面器は、便器のボール先端方向正面に突き当たり、右壁に設置」のように使用していた機器の設置の向きに対して、別の機器の案内をすることにより、使用者はトイレルーム内での自分の位置関係を気にすることなく感覚的に手洗い器の方向を認識することが可能となる。すなわち、使用者はトイレルーム内を動き回ることにより、機器を基準にした位置案内だけでなく、さらに機器の設置向き(方向)を基準に案内することで、使用者は次に使用する機器の位置をより正確に把握することが可能となり、迷うことなく安心してトイレルームを使用することが可能となる。
上記実施例では、便器洗浄ボタン25と温水洗浄便座23の着座センサとの組み合わせにて、使用者の用足し終了を判断した例を記したが、この2つに限定されるものではなく、温水洗浄便座23の人体検知センサや便器22近傍に設置された人体検知センサなどと組み合わせて判断することにより、より確実に使用者の用足し終了を判断することができるものである。
例えば、便器洗浄ボタン25と便器22近傍に設置された人体検知センサとの組み合わせの場合には、便器洗浄ボタン25が押されたにも関わらず、便器22近傍の人体検知センサが検知状態に場合には、使用者が音消し等、洗浄以外の目的で洗浄ボタンを押した可能性が高いため、制御手段12は機器の使用終了とは判断せず、音声再生手段13への音声案内要求は行わないが、便器洗浄ボタン25が押された後、便器22近傍の人体検知センサが検知状態から非検知状態に変化することにより、使用者が便器洗浄を完了し、便器22から離れようとしている、すなわち、便器の使用を終了したと制御手段12は判断し、音声再生手段13へ音声案内要求を出す。
同様に、温水洗浄便座23の人体検知センサと着座センサを組み合わせた場合には、人体検知センサ、着座センサともに検知状態から非検知状態に変化することにより、使用者が便器22の使用を終了し、便器22から離れようとしている、すなわち、便器の使用を終了したと制御手段12は判断し、音声再生手段13へ音声案内の要求を出す。
【0027】
次に用を足し終わった使用者は、手洗い器24に向かい、手洗い動作を行う。ここで、使用終了検知手段11である手洗い器の自動水栓の人体検知センサの検知信号に基づいて、自動水栓の使用終了を判断する、すなわち、自動水栓の人体検知センサは、使用者が手洗い動作を行っているときに人体検知センサがONし、手洗い動作を行っていないときに人体検知センサがOFFするため、人体検知センサがONし、その後OFFすることにより、使用終了判断手段12は使用者の手洗い動作が終了したと判断し、音声再生手段13はトイレルーム扉21に関する情報を音声にて案内する。≪案内3≫
ここでの音声案内としては、「トイレルーム扉は、洗面器を背にして正面、突き当たり右にあります。扉取っ手部の押しボタンを押すことで、自動で開きます。」のように、使用していた機器(手洗い器)に対しての位置関係と、扉の開錠および開扉方法等を案内すればよく、これに限定されるものではない。上記実施例では、手洗い器24の自動水栓の人体検知センサを用いて説明したが、蛇口方式の水栓などは、給水側に取り付けられた流量センサを用いることでも、流量センサが水流を検知している状態から、流れない状態に変化することにより、同様に使用者の手洗い器の使用終了を判断できる。また、手洗い器24近傍に設置された人体検知センサを用いることでも、人体を検知している状態から、非検知状態に変化することにより、使用者の手洗い器の使用終了を判断することが可能であり、手洗い器24の使用終了のタイミングで、使用していた機器の位置を基準して、次に使用する機器の情報を入手することが可能であり、使用者は迷うことなく安心してトイレルームを使用することが可能である。
また、上記実施例のように一般的なトイレルーム使用順序にしたがって、それぞれの機器の情報を、使用終了のタイミングで、使用していた機器の位置を基準にして、音声案内を行うことで、使用者は迷うことなく安心してトイレルームを使用することが可能である。
【0028】
上記実施例では、音声案内後に使用者が案内した機器に向かうことを前提に述べたが、使用者は必ずしも音声案内の通りに向かうとは限らず、例えば、使用者がトイレルーム20に入室したことを使用終了検知手段11であるトイレルーム扉21の鍵の施錠を検知することにより、音声案内装置10は便器22の位置および操作方法に関する情報をトイレルーム扉21の位置を基準として音声にて案内した場合であっても、使用者は必ずしも便器22に向かうとは限らず、トイレルームを使用する人の中には、用を足しに来たわけではなく、手洗い器24にて手洗いを行いに来た場合もあれば、用を足す前に手洗いを欠かせない使用者もいる。そこで、便器を案内したにも関わらず手洗い器を使用した使用者に対しては、手洗い器の使用終了検知手段11である自動水栓の人体検知センサが検知状態から非検知状態になることにより、制御手段12は使用者が手洗い器24の使用を終了したと判断し、音声再生手段13は手洗いを行った後に便器22を使用する人と、手洗いのみを行いに来た人のために、便器22およびトイレルーム扉21の両方に関する情報を手洗い器24の位置を基準にして音声にて案内してもよい。
ここで、音声案内としては、「便器は、手洗い器に向かって右方面に、洋式で後ろ向き。トイレルーム扉は洗面器正面方向、突き当たりを右にあります。」のように、使用していた機器(手洗い器24)に対しての位置関係と、操作方法(便器であれば、洗浄ボタンの位置や洗浄方法について、トイレルーム扉であれば、扉の開錠方法)などを案内すればよく、これに限定されるものではない。
【0029】
図3に、本発明の一実施形態にかかる音声案内装置を備えたトイレルームの平面レイアウトの一例を示し、本発明の音声案内装置の別な動作について、使用者の行動をもとに説明する。
【0030】
トイレルームに入室する使用者には、入室後に必ず便器22に向かうとは限らず、用を足す前に手洗い器24を使用したい場合もあれば、手洗い器24のみを使用するために入室する場合も考えられる。そこで、使用者がトイレルーム20に入室したことを使用終了検知手段11であるトイレルーム扉21の鍵の施錠を検知することにより、音声案内装置10は、便器22の位置および操作方法に関する情報と、手洗い器24の位置および操作方法に関する情報を、トイレルーム扉21の位置を基準として音声にて案内する。≪案内4≫
同様に、使用者が便器22の使用を終了したことを、例えば使用終了検知手段11である便器洗浄ボタン25を押したことにより判断した場合には、音声案内装置10は、トイレルーム扉21の位置および操作方法に関する情報と、手洗い器24の位置および操作方法に関する情報を、便器22の位置を基準として音声にて案内し、≪案内5≫
使用者が手荒い器24の使用を終了したことを、例えば使用終了検知手段11である自動水栓の人体検知センサが検知状態から非検知状態になることにより判断した場合には、音声案内装置10は、便器22の位置と操作方法に関する情報と、トイレルーム扉21の位置と操作方法に関する情報を、手洗い器24の位置を基準として音声にて案内する。≪案内6≫
という風に、使用終了を検知した機器の位置を基準として、トイレルーム内にある別の複数の機器の位置をそれぞれ案内してもよい。このように案内することによって、様々な使い方をされるトイレルームの使用ニーズに対応することが可能となる。
【0031】
図4に、上記実施形態にかかる音声案内装置の制御手段のフローチャートを示し、本発明の音声案内装置の制御手段の動作について説明する。
【0032】
制御手段12は、何の機器の音声案内を行うかを決定する変数「info」を有し、前記「info」の値により決定された音声データ14の内容を、音声再生手段13にて再生することとなる。
すなわち、使用終了検知手段11により、使用を終了した機器は何であるかを判断(S1)し、その判断結果が、トイレルーム扉21であれば「info=1」、便器22であれば「info=2」、手洗い器24であれば「info=3」のように変数値(info)を書き替え、その変数値に応じた音声案内処理(S2)を行う。
変数値(info)の値に応じた音声案内内容としては、「info=1」のときは、トイレルーム扉21の使用後なので、便器および手洗い器に関する案内。「info=2」のときは、便器22の使用後なので、手洗い器24およびトイレルーム扉21に関する案内。「info=3」のときは、手洗い器24の使用後なので、トイレルーム扉21および便器22に関する案内を行う。
【0033】
また、本実施例では、トイレルーム内に音声案内装置を1台有し、各機器からの使用終了検知手段からの検知信号に基づいて音声案内手段による音声案内を行っていたが、別の使用形態として、各機器に音声再生手段およびスピーカを設け、それぞれの機器に音声案内装置が内蔵されている形態でも構わない。
さらに、本実施例では、トイレルーム内の機器をトイレルーム扉、便器、手洗い器の3台にて説明したが、機種および台数はこれに限定されるものではなく、機種変更および台数の増減があった場合であっても構わない。
【0034】
本実施例によれば、トイレルームのような複数の機器を使用するような場合であっても、次に使用する機器の位置や操作方法を案内するタイミングを使用終了検知手段の検知情報に基づいて、使用していた機器を基準にして案内するため、
使用者がトイレルーム内の機器の位置情報や操作方法をすべて把握していなくても、ある機器の使用終了後に、次に使用する機器の情報を入手するため、迷うことなく安心してトイレルームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の音声案内装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる音声案内装置を備えたトイレルームの平面レイアウトを示すレイアウト図である。
【図3】本発明の別の実施形態にかかる音声案内装置を備えたトイレルームの平面レイアウトを示すレイアウト図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる音声案内装置の制御手段を示したフローチャート図である。
【符号の説明】
【0036】
10…音声案内装置
11…使用終了検知手段
12…制御手段
13…音声再生手段
14…音声データ
15…スピーカ
20…トイレルーム
21…トイレルーム扉
22…便器
23…温水洗浄便座
24…手洗い器
25…便器洗浄ボタン
26…トイレットペーパー
27…ベビーチェア
28…ベビーシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器が備わっているトイレルームにおいて、
前記機器の使用終了を検知する使用終了検知手段と、
前記機器の位置を説明する音声案内装置とが備えられており、
機器の使用終了が検知されると、
使用終了が検知された機器の位置を基準として、
別の機器の位置を音声にて案内することを特徴とする音声案内装置。
【請求項2】
前記請求項1記載の音声案内装置において、
機器の使用終了が検知されると、
使用終了が検知された機器の設置向きを基準として、
別の機器の位置を音声にて案内することを特徴とする音声案内装置。
【請求項3】
前記請求項1または2記載の音声案内装置において、
トイレルーム扉の位置を基準として便器の位置、便器の位置を基準として手洗い器の位置、手洗い器の位置を基準としてトイレルーム扉の位置を音声にて案内することを特徴とする音声案内装置。
【請求項4】
前記請求項1乃至3記載の音声案内装置において、
機器はトイレルーム扉であり、
その使用終了検知手段はトイレルーム扉の鍵であり、前記鍵が施錠されたことで、トイレルーム扉の使用終了を検知することを特徴とする音声案内装置。
【請求項5】
前記請求項1乃至3記載の音声案内装置において、
機器は便器であり、
その使用終了検知手段は温水洗浄便座の人体検知センサであり、前記人体検知センサが人体を検知した状態から非検知状態になったことで、前記便器の使用終了を検知することを特徴とする音声案内装置。
【請求項6】
前記請求項1乃至3記載の音声案内装置において、
機器は便器であり、
その使用終了検知手段は温水洗浄便座の着座センサであり、前記着座センサが着座を検知した状態から非検知状態になったことにより、前記便器の使用終了を検知することを特徴とする音声案内装置。
【請求項7】
前記請求項1乃至3記載の音声案内装置において、
機器は便器であり、
その使用終了検知手段は便器洗浄ボタンであり、前記便器洗浄ボタンが押されたことにより、前記便器の使用終了を検知することを特徴とする音声案内装置。
【請求項8】
前記請求項1乃至3記載の音声案内装置において、
機器は便器であり、
その使用終了検知手段は温水洗浄便座の着座センサと便器洗浄ボタンであり、前記着座センサが着座を検知した状態から非検知状態になったことと、前記便器洗浄ボタンが押されたことの両方を検知することで、前記便器の使用終了を検知することを特徴とする音声案内装置。
【請求項9】
前記請求項1乃至3記載の音声案内装置において、
機器は手洗い器であり、
その使用終了検知手段は手洗い器に設置してある自動水栓の人体検知センサであり、前記自動水栓の人体検知センサが人体を検知した状態から非検知状態になったことで、前記手洗い器の使用終了を検知することを特徴とする音声案内装置。
【請求項10】
前記請求項1乃至3記載の音声案内装置において、
機器は手洗い器であり、
その使用終了検知手段は手洗い器に設置してある水栓の流量センサであり、前記水栓の流量センサが水流を検知している状態から非検知状態になったことで、前記手洗い器の使用終了を検知することを特徴とする音声案内装置。
【請求項11】
前記請求項1乃至3記載の音声案内装置において、
使用終了検知手段は機器と別体に取り付けられた人体検知センサであることを特徴とする音声案内装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−282954(P2007−282954A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115325(P2006−115325)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】