音響信号処理装置
【課題】 所望のchのchストリップを配置したユーザインタフェースを、容易に設定できるようにする。
【解決手段】 カレントメモリに記憶したパラメータの値に基づいて複数のチャンネルで信号処理を行う音響信号処理装置において、レイヤ選択キーuiの操作があった場合に、上記複数のチャンネルのうち、予めユーザがi番目のユーザレイヤについて指定しておいた条件を満たすチャンネルを抽出し(S15)、その抽出されたチャンネルの各々について、そのチャンネルが割り当てられた縦帯状のチャンネルストリップを用意し(S18)、それらのチャンネルストリップを横方向に連結した状態の、ユーザによるパラメータ変更操作を受け付けるチャンネルストリップ部を提供するようにした。
【解決手段】 カレントメモリに記憶したパラメータの値に基づいて複数のチャンネルで信号処理を行う音響信号処理装置において、レイヤ選択キーuiの操作があった場合に、上記複数のチャンネルのうち、予めユーザがi番目のユーザレイヤについて指定しておいた条件を満たすチャンネルを抽出し(S15)、その抽出されたチャンネルの各々について、そのチャンネルが割り当てられた縦帯状のチャンネルストリップを用意し(S18)、それらのチャンネルストリップを横方向に連結した状態の、ユーザによるパラメータ変更操作を受け付けるチャンネルストリップ部を提供するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カレントメモリに記憶したパラメータの値に基づいて複数のチャンネルで信号処理を行う音響信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カレントメモリに記憶したパラメータの値に基づいて複数のチャンネル(ch)で信号処理を行う音響信号処理装置として、例えば非特許文献1に記載のデジタルミキサが知られている。
このデジタルミキサにおいては、1つのchのパラメータの設定を受け付けるための操作子を集めた操作部であるchストリップを複数設けると共に、その各chストリップに所望のchを割り当て、そのchストリップを、割り当てたchのパラメータの値の編集に用いることができる。また、複数のchストリップに対してそれぞれ所望のchを割り当てる割り当て内容をレイヤとし、そのレイヤを複数登録可能である。そしてユーザは、レイヤを選択することにより、そのレイヤにおける割り当て内容を上記の複数のchストリップに反映させることができる。
【0003】
従って、ユーザは、chストリップに割り当てたいchの数がchストリップの数より多い場合でも、レイヤの選択により、chストリップに対するchの割り当てを簡単な操作で切り替えながら、chストリップに割り当てたchのパラメータの編集を行うことができる。
また、非特許文献1に記載のデジタルミキサでは、chストリップへのchの割り当て内容を予めメーカーが定めておくものだけでなく、ユーザが各chストリップに個別にchを選択して割り当てることができる「カスタムレイヤ」の機能を有するものも知られている。
また、特許文献1にも、ユーザが個別にchを選択してレイヤによる割り当て内容を定めることができるデジタルミキサが記載されている。
【0004】
また、これらとは別に、非特許文献2には、PC(パーソナルコンピュータ)のOS(オペレーティングシステム)上で動作するアプリケーションであって、該PCを、複数の音響信号の録音、再生、および編集を行うことができるDAW(デジタルオーディオワークステーション)として動作させるDAWアプリケーション(以下「DAWアプリ」という)が開示されている。Steinberg社のCubase(商標)、Nuendo(商標)等が代表的である。
【0005】
また、DAWアプリでは、音響信号の録音及び再生を行うオーディオトラック、音響信号を入力するオーディオ入力バス、音響信号を出力するオーディオ出力バス、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)信号の録音及び再生を行うMIDIトラック等のオブジェクトを、それぞれ、ユーザが所望する数だけ作成することができる。そして、各オブジェクトには、そのオブジェクトにおける音響信号ないしMIDI信号の特性を調整するための処理chが備えられている。
【0006】
非特許文献2に記載のDAWアプリにおいては、1つの操作画面(ミキサウィンドウ)に全てのchのchストリップが並んでおり、ユーザは、表示を所望しないchのchストリップに「Hide」を設定して、その操作画面においてそのchストリップの画像を非表示にすることができる。表示されている各chストリップ上には、回転ノブ、ボタン、フェーダ等の操作子の画像が配置されており、ユーザが所望の操作子の画像をポインティングデバイス(マウス等)で操作することにより、そのchストリップに割り当てられているchの、その操作子に割り当てられているパラメータの値を変更することができる。さらに、このDAWアプリでは、1つの操作画面の全chストリップに関する「Hide」の設定/解除を1つのビューセットとして、ビューセットを複数ストアしておき、任意の時点で、何れか1のビューセットを選択してリコールすることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3918676号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「PM5D/PM5D−RHV2 DSP5D取扱説明書」,ヤマハ株式会社,2004年,p.45−46,146−147
【非特許文献2】「Cubase5 Operation Manual」,[0nline],2009年1月7日,SteinbergMedia Technologies GmbH,[平成23年8月15日検索],インターネット<URL: ftp://ftp.steinberg.net/Download/Cubase_5/5.0.0.82/docs_english.zip>,特にそのp114−115
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、非特許文献1及び特許文献1に記載のデジタルミキサにおいては、ユーザがカスタムレイヤの各chストリップへの所望のchを割り当てようとする場合、各chストリップについてそのchストリップへ割り当てるchを個別に設定する必要があったため、操作が面倒であるという問題があった。特に、デジタルミキサが備えるch数が多かったり、外部接続の装置も含む複数の装置を1台の制御装置から制御しようとしたりする場合などでは、全てのchの用途を把握してどのchをchストリップに割り当てるべきかを判断するのが難しい場合もあるという問題があった。
【0010】
また、非特許文献2に記載のDAWアプリでは、ユーザが、任意の数のMIDIトラック(MIDIchを含む)、オーディオトラック(トラックchを含む)、オーディオ入力バス(入力chを含む)、オーディオ出力バス(出力chを含む)、ソフト音源トラック(楽器chを含む)を作成することができる。このため、DAWアプリの有するch数は膨大になりがちであり、その場合、その膨大な数のchのうちの所望のchのchストリップが、DAWアプリのミキサウィンドウに表示されるよう設定せねばならず、操作が面倒であるという問題があった。具体的操作としては、DAWの全chのchストリップのうち、DAWアプリのミキサウィンドウに表示したい各chストリップの「Hide」の設定を解除し、表示したくない各chストリップに「Hide」を設定せねばならなかった。
【0011】
これらの問題は、デジタルミキサやDAWアプリだけでなく、複数のchのうちの所望のchのchストリップを選択的に配置できる、ミキサの操作パネルに類似したユーザインタフェースを備えるあらゆる音響信号処理装置において発生するものである。
この発明は、このような問題を解決し、所望のchのchストリップを配置したユーザインタフェースを、容易に設定(準備)できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、この発明の音響信号処理装置は、複数のチャンネルを有する音響信号処理装置において、上記複数のチャンネルの各チャンネルごとに、複数のパラメータを記憶するカレントメモリと、上記複数のチャンネルに対応する複数の信号処理部であって、それぞれ、上記カレントメモリに記憶されたそのチャンネルのパラメータに基づいて、入力する音響信号に対して信号処理を行う複数の信号処理部と、ユーザによる条件設定操作に応じて、上記複数のパラメータのうちの所望のパラメータに関して、検索条件を設定する条件設定部と、上記条件設定部から供給される検索条件に基づいて検索を実行し、上記複数のチャンネルの中から、上記カレントメモリに記憶されたパラメータが上記条件設定部の設定した検索条件を満たすチャンネルを抽出する抽出部と、上記抽出部により抽出されたチャンネルの各々について、複数の操作部を備えており、かつ、そのチャンネルが割り当てられた縦帯状のチャンネルストリップを用意し、それらのチャンネルストリップを横方向に連結した状態で、ユーザによるパラメータ変更操作を受け付けるチャンネルストリップ部として提供する第1の用意部と、ユーザによる何れかのチャンネルストリップの1の操作部の操作に応じて、上記カレントメモリに記憶されたパラメータのうち、そのチャンネルストリップに割り当てられたチャンネルの、その操作部に割り当てられたパラメータの値を変更する変更部とを設けたものである。
【0013】
このような音響信号処理装置において上記音響信号処理装置に、物理的な入力デバイスである、所定数のチャンネルストリップを備えた操作パネルを設け、上記第1の用意部が、上記抽出部により抽出されたチャンネルを、上記操作パネルの所定数のチャンネルストリップに連続的に割り当てることにより、上記チャンネルストリップ部を提供するようにするとよい。
【0014】
さらに、上記抽出部が抽出したチャンネルの数が、上記所定数より多い場合、上記第1の用意部が、上記抽出部が抽出したチャンネルのうち上記所定数のチャンネルを、まず上記操作パネルの各チャンネルストリップに割り当て、ページ切り替え操作に応じて、上記抽出部が抽出したチャンネルのうち初めに割り当てなかったチャンネルを、上記操作パネルの各チャンネルストリップに割り当てるようにするとよい。
【0015】
また、上記条件設定部に、上記条件設定部が設定した検索条件を示す条件データを記憶する条件メモリを設け、ユーザによる上記条件データの呼出操作に応じて、上記条件メモリからその条件データを読み出し、読み出した条件データが示す検索条件を上記抽出部に供給するようにするとよい。
【0016】
あるいは、上記の音響信号処理装置において、ユーザによる構成データの保存操作に応じて、上記第1の用意部により用意されたチャンネルストリップのチャンネル構成を示す構成データを保存する構成メモリと、ユーザによる上記構成データの呼出操作に応じて、上記構成メモリから該構成データを読み出し、読み出された構成データの示すチャンネルの各々について、複数の操作部を備えており、かつ、そのチャンネルが割り当てられた縦帯状のチャンネルストリップを用意し、それらのチャンネルストリップを横方向に連結した状態で、ユーザによるパラメータ変更操作を受け付けるチャンネルストリップ部として提供する第2の用意部とを設けるとよい。
【0017】
このような音響信号処理装置において、ユーザの構成変更操作に応じて、上記構成メモリに記憶された構成データが示すチャンネル構成を変更する構成変更部を設けるとよい。
あるいは、上記音響信号処理装置に、物理的な入力デバイスである、所定数のチャンネルストリップを備えた操作パネルを設け、上記第1の用意部が、上記抽出部により抽出されたチャンネルを、上記操作パネルの所定数のチャンネルストリップに連続的に割り当てることにより、上記チャンネルストリップ部を提供するようにし、上記構成メモリに記憶される上記構成データを、操作パネルの各チャンネルストリップに対して割り当てられたチャンネルを示すデータとするとよい。
【0018】
あるいはまた、上記構成メモリに記憶される上記構成データを上記音響信号処理装置の各チャンネルについて、対応するチャンネルストリップを上記チャンネルストリップ部に用意するか否かを示すデータとするとよい。
また、上記の音響信号処理装置において、ディスプレイとポインティングデバイスとを設け、上記第1の用意部が、上記ディスプレイに、上記抽出されたチャンネルが割り当てられたチャンネルストリップを表示し、上記ポインティングデバイスにより、その表示されたチャンネルストリップに対するユーザの操作を受け付けることにより、上記チャンネルストリップ部を提供するようにするとよい。
【発明の効果】
【0019】
以上のようなこの発明の音響信号処理装置によれば、、所望のchのchストリップを配置したユーザインタフェースを、容易に設定(準備)できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の音響信号処理装置の実施形態であるデジタルミキサのハードウェア構成を示す図である。
【図2】図1に示したDSPで実行される信号処理の構成をより詳細に示す図である。
【図3】同じくDSPにおける信号処理のうち、入力chからSTバス及びMIXバスへの信号の入力に関する部分の構成を示す図である。
【図4】図1に示したデジタルミキサにおける入力chに関するパラメータの構成を示す図である。
【図5】この発明の音響信号処理装置の変形例である、図1に示したデジタルミキサを含むミキサシステムの構成を示す図である。
【図6】図1に示したデジタルミキサの操作パネルの概略構成を示す図である。
【図7】ユーザレイヤにおけるch割り当ての設定を受け付けるための画面の例を示す図である。
【図8】その別の例を示す図である。
【図9】図1に示したデジタルミキサが保持するユーザレイヤに関するデータの例を示す図である。
【図10】図1に示したデジタルミキサのCPUが、ユーザレイヤ選択キー群中のいずれかのレイヤ選択キーが押下された場合に実行する処理のフローチャートである。
【図11】物理的コントローラを用いてDAWアプリを操作する場合のハードウェアの接続状態の例を示す図である。
【図12】「Hide」の設定を利用する変形例において、DAWアプリを実行するPCのCPUが、いずれかのレイヤ選択ボタンが押下された場合に実行する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、図1に、この発明の音響信号処理装置の実施形態であるデジタルミキサのハードウェア構成を示す。
図1に示す通り、デジタルミキサ10は、CPU11,フラッシュメモリ12,RAM13,外部機器入出力部(I/O)14,表示器15,電動フェーダ16,その他操作子17,波形I/O18,オーディオネットワークI/O19,信号処理部(DSP)20を備え、これらがシステムバス21によって接続されている。
【0022】
そして、CPU11は、このデジタルミキサ10の動作を統括制御する制御部であり、フラッシュメモリ12に記憶された所要のプログラムを実行することにより、外部機器I/O14、波形I/O18及びオーディオネットワークI/O19におけるデータ及び信号の入出力や表示器15における表示を制御したり、電動フェーダ16及びその他操作子17の操作を検出してその操作に従ってパラメータの値の設定/変更や各部の動作を制御したりといった処理を行う。
【0023】
フラッシュメモリ12は、CPU11が実行する制御プログラム等を記憶する書き換え可能な不揮発性記憶部である。
RAM13は、一時的に記憶すべきデータを記憶したり、CPU11のワークメモリとして使用したりする記憶部である。
【0024】
外部機器I/O14は、種々の外部機器を接続し入出力を行うためのインタフェースであり、例えば外部のディスプレイ、マウス、文字入力用のキーボード、操作パネル等を接続するためのインタフェースが用意される。そして、本体の表示器や操作子をごく単純な構成にしたとしても、これらの外部機器を活用することによりパラメータの設定/変更や動作指示を行うことができるようにすることも考えられる。
【0025】
表示器15は、CPU11による制御に従って種々の情報を表示する表示部であり、例えば液晶パネル(LCD)や発光ダイオード(LED)によって構成することができる。ここで説明する例では、デジタルミキサ10は、表示器15として少なくともパラメータの値の参照や設定の受付を行うためのグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を表示できるサイズのLCDを備える。
【0026】
電動フェーダ16は、後述するフェーダのパラメータの操作を受け付けるための操作子であり、駆動部を備え、CPU11の制御によりつまみを自動で任意の位置に移動させることができる。
その他操作子17は、デジタルミキサ10に対する操作を受け付けるための電動フェーダ16以外の操作子であり、種々のキー、ボタン、ロータリーエンコーダ、スライダ等によって構成することができる。ここでは、表示器15であるLCDに積層したタッチパネルも用いている。
【0027】
波形I/O18は、DSP19で処理すべき音響信号の入力を受け付け、また処理後の音響信号を出力するためのインタフェースである。そして、この波形I/O18には、1枚で4チャンネル(ch)のアナログ入力が可能なA/D変換ボード,1枚で4chのアナログ出力が可能なD/A変換ボード,1枚で8chのデジタル入出力が可能なデジタル入出力ボードを適宜組み合わせて複数枚装着可能であり、実際にはこれらのボードを介して信号の入出力を行う。
オーディオネットワークI/O19は、後述するオーディオネットワークを介して他の装置との間で複数の伝送chでデジタル音響信号を送受信し、また制御信号を送受信するためのインタフェースである。
【0028】
DSP20は、信号処理回路を含み、波形I/O18あるいはオーディオネットワークI/O19から入力する音響信号に対し、カレントデータとして設定されている各種処理パラメータに従って、ミキシング、イコライジング等の各種信号処理を施して波形I/O18あるいはオーディオネットワークI/O19に出力する信号処理部である。この処理に用いるパラメータを含むカレントデータは、RAM13上あるいはDSP20自身に備えるメモリ上に設けられたカレントメモリに記憶されており、ユーザは、表示器15と電動フェーダ16及びその他操作子17とを用いて、そのデータの値を確認したり、変更したりすることができる。
【0029】
次に、図2に、図1に示したDSP20で実行される信号処理の構成をより詳細に示す。
この図に示すように、DSP20での信号処理は、入力パッチ34,入力ch40,ステレオ(ST)バス60,ミキシング(MIX)バス70,ST出力ch81,MIX出力ch82,出力パッチ35を有する。
【0030】
そして、DSP20においては、24chある入力ch40にそれぞれ、波形I/O18に入力端子と対応するように用意されたアナログ入力ポート31及びデジタル入力ポート32のいずれかをパッチ(結線)することができる。また、オーディオネットワークI/O19に伝送されてくる音響信号のうち任意の伝送ch33の音響信号を選択して入力ch40にパッチすることもできる。
各入力chでは、そのパッチされたポート又は伝送chから入力する信号に対してアッテネータ,イコライザ等により信号処理を行った後、STバス60及び16系統のMIXバス70のうちの任意のバスに対して処理後の信号を送出する。この送出については、入力ch40とバスの組み合わせ毎にオンオフ及びレベル調整を行うことが可能である。
【0031】
また、STバス60及び各MIXバス70では、各入力ch40から入力する信号をミキシングし、STバス60においてミキシングされた信号はST出力ch81に、MIXバス70においてミキシングされた信号はその各系統に対応して設けられる16chのMIX出力ch82に出力する。そして、各出力ch81,82では、対応するバスから入力する信号に対してイコライザ、コンプレッサ等により信号処理を行う。
【0032】
そして、出力パッチ35により、各出力ch81,82を、波形I/O18に出力端子と対応するように用意されたアナログ出力ポート36及びデジタル出力ポート37、あるいはオーディオネットワークI/O19の伝送ch33にパッチし、パッチ先の出力ポートあるいは伝送chに供給してそこから出力させる。
なお、DSP18に設けるこれらの各部による信号処理の態様は、カレントメモリに記憶される所定のパラメータの値を設定することにより制御可能であり、また、各部の機能は、ソフトウェアによって実現してもハードウェアによって実現してもよい。
【0033】
次に、図3に、DSP20における信号処理のうち、1つの入力chからSTバス60及びMIXバス70への信号の入力に関する部分の構成を示す。図4に、カレントメモリに記憶されている全パラメータのうちの、1つの入力chに関するパラメータの構成を示す。
【0034】
図4に示されるように、入力chのパラメータは、4つのパラメータグループ(「基本パラメータ(基本)」、「イコライザパラメータ(EQ)」、「ダイナミクスパラメータ(Dyna)」、「センド部のパラメータ(Send)」)にグループ分けされている。」
また、図3に示す通り、各入力ch40にはそれぞれ、アッテネータ41,イコライザ42,ダイナミクス43,chフェーダ44,オンスイッチ45を設けている。また、その先の、STバス60に信号を入力する経路には、TO_ST(トゥーステレオ)スイッチ46及びパン47を設けている。
【0035】
そして、このような入力ch40に、入力パッチ34におけるそのchの接続先から入力した音響信号は、アッテネータ41において、図4に示す基本パラメータに含まれるアッテネータパラメータに基づき信号処理に適したレベルに調整され、イコライザ42において、イコライザパラメータに基づきその周波数特性が調整され、ダイナミクス43において、ダイナミクスパラメータに基づきその振幅が動的な変化特性に基づき調整され、chフェーダ44において、フェーダパラメータに基づきSTバスでのミキシングに適したレベルに調整される。
【0036】
これらのうち、イコライザ42は、複数バンドのパラメトリックイコライザからなり、各バンド毎に中心周波数、Q値及びゲインのパラメータを持つ。ダイナミクス43は、コンプレッサとゲートのタイプがあり、タイプに応じて、閾値、レート、アタック、リリース等のパラメータを持つ。
chフェーダ44から出力される信号は、オンスイッチ45及びTO_STスイッチ46を、それぞれ、対応するオンパラメータがオンであれば通過し、パン47において、パンパラメータに基づきL用とR用に個別にレベル調整され、それぞれLとRのSTバス60に入力される。
【0037】
また、各MIXバス70に信号を送出する経路には、バス1本毎に、プリ/ポスト(PRE/POST)スイッチ51、センドレベルフェーダ52、およびセンドオンスイッチ53を含むセンド部を設けている。これらのセンド部では、送出先のバス毎に、PRE/POSTスイッチ51において、入力chの経路のうちのプリ/ポストパラメータに応じた位置(PREならchフェーダ44の前、POSTならオンスイッチ45の後)の信号が選択され、該選択された信号は、センドレベルフェーダ52において、センドレベルパラメータに基づき当該バスでのミキシングに適したレベルに調整され、センドオンスイッチ53を、対応するオンパラメータがオンであれば通過し、送出先のバスに入力される。
【0038】
入力chのパラメータには、チャンネル名、アイコン、各種マーク等の、そのchの信号処理の態様には直接関与しないパラメータも含まれる。ユーザは、そのchのチャンネル名として、任意の文字列を設定することができる。
また、ユーザは、そのchのアイコンとして、ボーカル、ギター、ピアノ等の複数のアイコンの中から所望のアイコンを1つ選択することができる。そして、タッチスクリーン102にそのchのパラメータを表示するときには、補助情報として、そのchのチャンネル名やアイコンが一緒に表示される。
【0039】
ユーザは、任意のマークを定義して、その定義されたマークを所望のchに付与することもできる。例えば、「要調整」、「ドラムセットA」、「バンドC」、「レコーダB」などのマークが考えられる。このマークは検索のために設けられており、チャンネルの検索条件としてユーザが所望のマークを指定することにより、そのマークが付与されたチャンネルを抽出される。入力chのパラメータとして、さらに、検索用の文字列であるキーワードを記憶し、各chに任意のキーワードを付与して、そのキーワードでチャンネルを検索できるようにしてもよい。
【0040】
なお、図3には、1つの入力chの構成のみを詳細に示したが、他の15の入力chも同様な構成を有し、STバス60及び各MIXバス70では、それら16の入力chから入力する信号を混合することができる。
また、ここでは図示は省略するが、MIX出力ch82は、入力ch40のアッテネータ41からオンスイッチ45までと同様な構成を有し、MIXバス70の対応する系統から出力される音響信号を、入力ch40の場合と同様な構成のパラメータ(センド部のパラメータを除く)に従って処理して、出力パッチによる接続先へ出力する。また、ST出力ch81も、L側とR側で信号処理に用いるパラメータが連動している点以外はMIX出力ch82と同様な構成である。
【0041】
ところで、以上説明してきたデジタルミキサ10は、オーディオネットワークI/O19を用いて、他の機器が接続されたオーディオネットワークに接続し、該ネットワークで接続された複数の機器を、全体として1つのミキサシステムとして動作させることができる。ここで、「1つのシステムとして動作」というのは、ネットワークで接続されている複数の機器の動作を、少なくとも1つの機器のユーザインタフェースを用いて制御できることを示す。
【0042】
図5に示すミキサシステムはその一例であり、ここでは、1台のPC(パーソナルコンピュータ)2と、デジタルミキサ10と同じハードウェア構成の2台のデジタルミキサ10A、10Bとを、オーディオネットワーク3で接続して、1つのミキサシステムを構成している。
【0043】
オーディオネットワーク3は、所望の機器から別の所望の機器へ、複数chのオーディオ信号をリアルタイムで伝送すると共に、所望の機器から別の所望の機器へ、パラメータ設定指示やパラメータ値取得等を行うための制御信号も伝送可能なネットワーク(例えば、特開2007−258966号公報に記載のネットワーク用インタフェース107を参照)である。
【0044】
通信規格は、任意のものを用いることができる。例えば、USB(商標)、IEEE1394(商標)、Dante(商標)、EtherSound(商標)等のいずれかを用いてもよい。また、制御信号の伝送だけを行い、オーディオ信号の伝送は行わないネットワークを用いて、オーディオ信号は、別のケーブルないしネットワークで伝送するようにしてもよい。
【0045】
さらに言えば、送信先の機器をアドレス指定できるネットワークである必要もない。例えば、ミキサのカスケード接続用のケーブル(例えば、特開2008−227761号公報のカスケードI/O17を参照)や、MADI(商標)のケーブルであっても、デジタルのオーディオ信号と制御信号の伝送は可能である。とにかく、ミキサシステムの構成には、何らかの通信媒体により、機器間で制御信号が伝送できていればよい。
【0046】
PC2は、ハードウェアとしては、CPU、ROM、RAM、HDD(ハードディスクドライブ)、通信I/F(インターフェース)等を備えた公知のものでよい。PC2のOS上でDAWアプリを実行させた場合、ネットワーク3等を介して、デジタルミキサ10A乃至10BからPC2に供給される音響信号や、オーディオトラックで再生された音響信号に対し、RAM中のカレントメモリに記憶した複数のパラメータの値に基づいてPC2で種々の信号処理を施して、その処理後の音響信号を、別のオーディオトラックに録音したり、ネットワーク3等を介して、PC2からデジタルミキサ10A乃至10Bに供給することができる。さらに、PC2自身にオーディオI/Fを設け、外部から音響信号を直接入力して信号処理したり、信号処理後の音響信号を直接外部へ出力できるようにしてもよい。
【0047】
ここで、PC2が実行する信号処理は、デジタルミキサ10A,10Bと同様な、或いは、規模乃至構成が異なるミキシング処理であってもよいし、イコライザ処理、コンプレッサ処理、リバーブ処理、3次元定位制御処理、等の各種エフェクト処理のうちの1乃至複数に特化したものであってもよい。
【0048】
また、デジタルミキサ10A(又は10B)は、それぞれ、波形I/O18を介して外部から入力する音響信号や、ネットワーク3等を介してデジタルミキサ10B(又は10A)乃至PC2から供給される音響信号に対し、当該デジタルミキサのカレントメモリに記憶した複数のパラメータの値に基づいて種々の信号処理を施して、その処理後の音響信号を、波形I/O18を介して外部に出力したり、ネットワーク3等を介して、デジタルミキサ10B(又は10A)乃至PC2に供給する。
【0049】
デジタルミキサ10A及び10Bが実行する信号処理は、図2及び図3を用いて説明したような1台ごとに個別のミキシング処理であってもよいし、1つのミキシング処理を複数台の機器で部分的に分担する(例えば、特開2007−258966号公報の図4や、特開2008−227761号公報の図4を参照)ようにしてもよい。何れのタイプの信号処理を行う場合であっても、PC2及びデジタルミキサ10A,10Bのそれぞれに、パラメータの値を調整すべき複数のch(入力ch及び出力ch)が存在している。
そして、このミキサシステムでは、PC2及びデジタルミキサ10A,10Bのうちの何れか1つの機器のユーザインタフェースを用いて、PC2及びデジタルミキサ10A,10Bの3機器のパラメータの値を変更することができる。
【0050】
次に、デジタルミキサ10の操作パネルの構成について説明する。
図6は、その操作パネルの概略構成を示す図である。
デジタルミキサ10は、図6に示すような構成の操作パネル100を有しており、この上に、センドレベル設定部101、タッチスクリーン102、複数のchストリップ120を備える割当chストリップ部110、各種キー130、出力レイヤ選択キー群140、入力レイヤ選択キー群150、ユーザレイヤ選択キー群160、カーソルキー181、増減キー182、ロータリーエンコーダ183、エンタキー184をはじめとする各種のユーザインタフェースを設けている。これらの各構成要素は、図2における表示器15、電動フェーダ16及びその他操作子17に対応するものである。
【0051】
このうちセンドレベル設定部101は、chストリップ120にそなえる選択キー122により現在選択されている入力chから各系統のMIXバス70への信号送出経路におけるセンドレベルフェーダ52についてのセンドレベルパラメータを設定するための16のロータリーエンコーダを備える。
このうちタッチスクリーン102は、LCDにタッチパネルを積層し、信号処理に使用するパラメータの値の参照や設定の受付を行うためのGUIを表示すると共に、ユーザからの操作を受け付ける受付部である。
【0052】
割当chストリップ部110は、入力ch又は出力chの1ch分のパラメータの値を編集するための縦帯状のchストリップ120を8つ横方向に連結した状態で有し、その各chストリップ120に、出力レイヤ選択キー群140、入力レイヤ選択キー群150及びユーザレイヤ選択キー群160のいずれかに含まれるレイヤ選択キーの操作により選択したレイヤのchを割り当てて、その割り当てられたchのパラメータを編集するための操作部として使用するセクションである。
【0053】
そして、各chストリップ120は、chノブ121、選択キー122、オンキー123、およびフェーダ124を備えている。
このうち、chノブ121は、ノブの回転量を操作量として検出することができるロータリーエンコーダである。そして、詳細な説明は省略するが、このchノブ121には、タッチスクリーン102に表示させる画面上の操作子を割り当て、その操作子と対応するパラメータの値の編集に使用することができる。
【0054】
選択キー122は、そのchストリップに割り当てられたchの選択/非選択を設定するための操作子である。デジタルミキサ10のCPU11は、ユーザによる選択キー122の操作に従って、操作された選択キー122が属するchストリップ120に割り当てられているchを選択すると共に、それまでに選択されていたchの選択を解除する。
オンキー123は、そのchストリップに割り当てられたchのオン/オフ(chストリップに入力chが割り当てられている場合には、図4に示したオンスイッチ45のオン/オフ)を設定するための操作子である。
【0055】
フェーダ124は、そのchストリップに割り当てられたchの信号レベル(chストリップに入力chが割り当てられている場合には、図4に示したchフェーダ44におけるレベルの調整内容)を設定するための操作子である。
また、フェーダ124のつまみはモータにより駆動可能であり、デジタルミキサ10のCPU11は、レイヤの変更、パラメータ値の読み出し、別の操作子によるパラメータの編集などにより、フェーダ124と対応するパラメータの値に変更があった場合に、モータを駆動して、つまみを変更後の値と対応する位置に移動させる。
【0056】
次に、出力レイヤ選択キー群140、入力レイヤ選択キー群150及びユーザレイヤ選択キー群160はそれぞれ、割当chストリップ部110の各chストリップ120に、入力ch40あるいはMIX出力ch82等のチャンネルを割り当てるレイヤを選択するためのレイヤ選択キーのグループである。
【0057】
出力レイヤ選択キー群140としては、16のMIX出力ch82を8つずつ2つのレイヤに分け、第1出力レイヤ(1〜8番目のMIX出力ch)及び第2出力レイヤ(9〜16番目のMIX出力ch)を選択するための、o1とo2の2つのレイヤ選択キーを設けている。
入力レイヤ選択キー群150としては、24の入力ch40を8つずつ3つのレイヤに分け、第1入力レイヤ(1〜8番目の入力ch)、第2入力レイヤ(9〜16番目の入力ch)、第3入力レイヤ(17〜24番目の入力ch)を選択するための、i1〜i3の3つのレイヤ選択キーを設けている。
【0058】
そして、ユーザによる、出力レイヤ選択キー群140及び入力レイヤ選択キー群150の何れか1のレイヤ選択キーの操作に応じて、操作された1のレイヤ選択キーに対応する1のレイヤが選択され、選択されたレイヤに属する8つのchが割当chストリップ部110の8つのchストリップに割り当てられる。
このとき、タッチスクリーン102には、該8つのchのパラメータを表示する8つのチャンネルストリップ画像を含むレイヤ画面が表示される。特開2007−074359号公報には、そのようなレイヤ画面の具体的な例(図7)が開示されている。そして、該レイヤ画面は、ユーザによるレイヤ選択操作に応じて、タッチスクリーン16に表示される(図11)。
【0059】
図5に示したように、複数の機器をネットワークで接続してミキサシステムを構成し、デジタルミキサ10(10A又は10B)のユーザインタフェースを用いてシステムを制御する場合には、出力レイヤ選択キー群140と入力レイヤ選択キー群150のレイヤ選択キーだけでは選択できるレイヤ数が不足するので、さらに、各種キー130の中にその各機器を選択する機器選択キーを設け、それらの組み合わせにより1つのレイヤを選択するようにすればよい。
【0060】
より具体的に説明すると、ユーザによる1の機器選択キーの操作に応じて、ミキサシステムの複数の機器のうちのその機器選択キーに対応した1の機器を制御対象機器として選択するとともに、ユーザによる1のレイヤ選択キーの操作に応じて、制御対象機器のレイヤのうちの1のレイヤを選択して、選択されたレイヤに属する8つのchを、割当chストリップ部110の8つのchストリップに割り当てるようにすればよい。
これにより、デジタルミキサ10Aの割当chストリップ部110の8つのchストリップに、ミキサシステムの所望の機器の所望のレイヤの8つのchを割り当てることができ、デジタルミキサ10Aのユーザインタフェースを用いてミキサシステムを制御することができるようになる。なお、これと同様のミキサシステムの制御は、特開2008−227761号公報の図13及び図15にも開示されている。
【0061】
また、ユーザレイヤ選択キー群160としては、ユーザの設定に従ったchを1〜8番目のchストリップ120に割り当てる6つのユーザレイヤを選択するための、u1〜u6の6つのレイヤ選択キーを設けている。
ここで、ユーザは、各レイヤにおいてchストリップ120に割り当てるchを、1chずつ個別に設定することもできるし、条件を設定してその条件に該当するchを抽出して設定することもできる。また、抽出結果をもとに割り当て内容を編集することもできる。このユーザレイヤの関する機能がこの実施形態の一つの特徴であり、この点については、後に詳述する。
【0062】
カーソルキー181は、タッチスクリーン102に表示されたGUI中でカーソルを移動させるためのキーである。増減キー182は、そのカーソルのある位置のパラメータの値を編集するためのキーである。ロータリーエンコーダ183も、同様にパラメータの値を編集するための操作子である。エンタキー184はその編集結果を確定させるためのキーである。
【0063】
次に、上述したユーザレイヤの機能について、より詳細に説明する。
まず図7及び図8に、各種キー130に含まれる画面選択キー、あるいはタッチスクリーン102に対する所定のユーザ操作に応じて、タッチスクリーン102に表示される画面であって、ユーザレイヤにおけるch割り当ての設定を受け付けるための画面の例を示す。
デジタルミキサ10において、ユーザレイヤは、抽出チャンネル(Extracted
Channel: EC)タイプと指定チャンネル(Designated Channel: DC)タイプの2つのタイプで用いることができる。ECタイプは、ユーザが設定した検索条件に該当するchを、デジタルミキサ10が備えるchやデジタルミキサ10から制御可能な他の機器が備えるchの中から抽出し、その抽出したchをchストリップ120に割り当てるタイプである。DCタイプは、chストリップ120に割り当てるchをユーザが個別に設定するタイプである。
【0064】
これらのタイプは、u1〜u6のキーと対応する6つのレイヤそれぞれについて、任意に選択可能である。図7に示すのが、レイヤをECタイプに設定した場合のユーザレイヤ設定画面の例、図8に示すのが、レイヤをDCタイプに設定した場合のユーザレイヤ設定画面の例である。
まず、図7に示すユーザレイヤ設定画面200には、レイヤ選択ボタン群210とレイヤ設定部220とを設けている。このうちレイヤ選択ボタン群210は、レイヤ設定部220において割り当て内容を設定するレイヤを選択するためのボタンであり、6つのユーザレイヤu1〜u6と対応する6つのボタンを設けている。また、各ボタンには、そのレイヤのタイプが現在DC
タイプとECタイプの何れに設定されているかが表示されている。
【0065】
図7では、ECタイプに設定されているユーザレイヤu3が選択された状態を示しており、レイヤ設定部220には、これに対応してECタイプの設定を受け付けるためのGUIが表示されている。
ECタイプにおいては、レイヤ設定部220には、DCタイプ選択ボタン221、ECタイプ選択ボタン222、割り当てch表示部223、スクロールボタン224,225、検索条件設定部230、検索範囲選択部241、アンド/オア選択部242を設けている。
【0066】
これらのうちDCタイプ選択ボタン221、ECタイプ選択ボタン222は、選択したユーザレイヤのタイプを選択するためのボタンであり、いずれかを押下することによりDCタイプとECタイプを択一的に選択して、当該ユーザレイヤu3のタイプとして設定することができる。ここではECタイプ選択ボタン222の太枠により、ECタイプが選択された状態を示している。ここでユーザがDCタイプ選択ボタン221を操作して、当該ユーザレイヤu3がECタイプからDCタイプに変更された場合には、レイヤ選択ボタン群210では、ユーザレイヤu3のレイヤ選択ボタンが選択された状態のまま、レイヤ設定部220の表示形式が、図7の形式から図8の形式に変化する。
【0067】
割り当てch表示部223は、当該ユーザレイヤu3に現在設定されている検索条件で検索した場合に、抽出されるchを表示する表示部である。図7のユーザレイヤ設定画面が表示されている場合及び、当該ユーザレイヤu3に対応するレイヤ選択キーをユーザが操作した場合には、この割り当てch表示部223に表示されているchが8つのchストリップ120にそれぞれ割り当てられることになる。
【0068】
スクロールボタン224,225は、chストリップ120に割り当てるchの候補として抽出されたchが8ch以上ある場合に、その中で実際にchストリップ120に割り当てるchを前方向、後方向に8chずつ切り替えるためのボタンである。
例えば、検索条件が変更されたとき(当該ユーザレイヤのレイヤ選択ボタンが初めて操作されたとき)、その検索条件で抽出されたchが22chであれば、最初はその中の1〜8番目のchをchストリップに割り当て、スクロールボタン225の繰り返し押下に応じて、9〜16番目、17〜22番目(最後2つのchストリップは余りでchが割り当てられない状態になる)と割り当て内容を変更し、次に1〜8番目に戻る(又は、最後の17〜22番目を保持する)というように、ページを順次後のページに切り替える感覚で割り当てを切り替えることができる。逆方向も同様であり、スクロールボタン224の繰り返し押下に応じて、17〜22番目、9〜16番目、1〜8番目と割り当て内容を変更し、次に17〜22番目に戻る(又は、最初の1〜8番目を保持する)ように順次前のページに切り替える。
図7の例では、抽出されたchは6つのみでスクロールは不要であるので、スクロールボタン224,225は無効化されている。
【0069】
検索条件設定部230は、chストリップ120に割り当てるchを抽出するための検索条件の設定を受け付けるためのエリアである。そしてここには、パラメータグループ選択欄231、パラメータ選択欄232、オプション選択欄233、値指定欄234、条件追加ボタン235及び条件削除ボタン236を設けている。図7に示す1行分の各欄が、1つの条件を示し、複数の条件を組み合わせて検索条件を設定することができる。
【0070】
まず、パラメータグループ選択欄231及びパラメータ選択欄232は、条件に用いるパラメータを選択するための欄である。ユーザは、パラメータグループ選択欄231で大まかにグループを選択し(「基本」、「EQ」、「Dyna」、「Send」の何れか1つを選択)、パラメータ選択欄232で、そのグループに属する個別のパラメータを選択することができる。
【0071】
オプション選択欄233及び値指定欄234は、パラメータグループ選択欄231及びパラメータ選択欄232で選択されたパラメータが満たすべき条件の詳細を設定するための欄である。オプション選択欄233では、図7に示す例の、「*と一致」、「オン状態」、「*と同類」、「*より大きい」のように、1つのchのパラメータが単独で満たすべきオプションの他、「*のchと同じ値」のように、他のchのパラメータとの関係が満たすべきオプションを設定することができるようにしてもよい。また、信号処理に用いるパラメータだけでなく、「チャンネル名が○○である」、「ドラムセットAのマークが付与されている」、「キーワードに△△を含む」、というように、信号処理に用いないパラメータが満たすべき条件を設定することも可能である。
【0072】
値指定欄234は、オプション選択欄233で選択したオプションの「*」に入る値を指定するための欄である。1行目及び3行目の条件のように、プルダウンメニューで選択させる場合も、4行目の条件のように、値を入力させる場合もあり、2行目の条件のように、値指定欄234における指定が不要な場合もある。
【0073】
オプション選択欄233に用意される選択肢は、パラメータの種類と対応させて予め規定しておき、パラメータ選択欄232におけるパラメータの選択に応じて変更する。値指定欄234における入力形式及び選択肢は、パラメータの種類及びオプション選択欄233におけるオプションの選択肢と対応させて予め規定しておき、パラメータ選択欄232におけるパラメータの選択及びオプション選択欄233におけるオプションの選択に応じて変更する。
条件追加ボタン235は、条件を1行追加するためのボタンである。
条件削除ボタン236は、対応する条件を1行削除するためのボタンである。
【0074】
また、検索範囲選択部241は、chを抽出する際の検索範囲の設定を受け付けるエリアである。図7の例では、入力ch40、MIX出力ch82、ST入力ch(図3では不図示)、およびST出力ch81につき、検索範囲に加えるか否かを個別に設定できるようにしている。図示は省略しているが、デジタルミキサ10がオーディオネットワーク3等を介して接続された外部の機器も制御可能である場合、機器毎に検索範囲に加えるか否かを設定できるようにしてもよい。
アンド/オア選択部242は、検索条件設定部230で設定した各行の検索条件を、アンドで組み合わせて検索するか(アンド)、それともオアで組み合わせて検索するか(オア)の選択を受け付けるエリアである。
【0075】
以上のレイヤ設定部220において設定することができる検索条件としては、例えば、「3番目のMIXバスへのセンドオンスイッチがオン状態に、かつ、同じ3番目のMIXバスへのセンドレベルが−10dB以上に設定されている」、「ドラム系のマークが付されていて、かつ、5番目のMIXバスへのセンドオンスイッチがオン状態に設定されている」、「入力chの入力が、特定のデバイスのs番目のスロット(のいずれかの入力ポート)に接続されている」等が考えられる。
【0076】
ユーザが以上のレイヤ設定部220において行った設定内容は、フラッシュメモリ12に保持される。そして、操作パネル100において対応するレイヤ選択キーが押下された場合に、その時点の検索条件を参照して、設定された条件に該当するchを抽出し、その抽出したchをchストリップ120に割り当てる。このとき、タッチスクリーン102には、該割り当てられたchのチャンネルストリップ画像を含むレイヤ画面が表示される。
【0077】
また、ユーザレイヤ設定画面200のレイヤ選択ボタン群210のボタンにより編集対象のレイヤが選択された場合にも、そのレイヤがECタイプであれば、選択時点で設定される条件に従ってchの検索を行い、chストリップ120へのchの割り当てや割り当てch表示部223の表示を更新するようにしてもよい。
【0078】
次に、図8においては、DCタイプに設定されているユーザレイヤu2が選択された状態を示しており、レイヤ選択ボタン群210の表示形式は図7の例と共通であるが、レイヤ設定部220には、DCタイプの設定を受け付けるためのGUIが表示されている。
DCタイプにおいては、レイヤ設定部220には、DCタイプ選択ボタン221、ECタイプ選択ボタン222、割り当てch表示部223、ch選択部250を設けている。
【0079】
これらのうちDCタイプ選択ボタン221及びECタイプ選択ボタン222は、図7に示したECタイプの場合と同じ機能であり、ここではDCタイプ選択ボタン221の太枠により、DCタイプが選択された状態を示している。ここでユーザがECタイプ選択ボタン222を操作して、当該ユーザレイヤu2がDCタイプからECタイプに変更された場合には、レイヤ選択ボタン群210ではユーザレイヤu2のレイヤ選択ボタンが選択された状態のまま、レイヤ設定部220の表示形式が、図8の形式から図7の形式に変化する。
【0080】
割り当てch表示部223は、表示位置がECタイプの場合と異なっているだけでなく、ここで表示されている8つのchが、検索により抽出された8つのchではなく、8つのchストリップ120に個別に設定された8つのchである点が、DCタイプでの表示と異なっている。ただし、当該ユーザレイヤu2に対応するレイヤ選択キーをユーザが操作した場合に、この表示部に表示されているチャンネルが8つのchストリップ120にそれぞれ割り当てられる点では、DCタイプでの表示と同じである。
ここでは、カーソル226により、ch選択部250でどのchストリップに割り当てるchの選択を受け付けるかを表示している。ユーザは、各chストリップと対応する枠をタッチ又はクリックすることにより、そのchストリップを、ch選択の対象とすることができる。
【0081】
また、ch選択部250は、chストリップに割り当てるchの選択を受け付けるためのエリアであり、機器選択欄251、chタイプ選択欄252及びch選択欄253を備える。
機器選択欄251は、デジタルミキサ10から制御可能な機器のうちどの機器のchを割り当てるかを選択するエリアである。デジタルミキサ10が、ネットワークを介して他の機器と接続されていない場合、ここにはデジタルミキサA(Mixer A)のみが表示される。図5のように、ネットワークを介して複数台の機器が接続されている場合には、2台のデジタルミキサ10A(Mixer
A)及び10B(Mixer B)と、PC2上で起動されているDAWアプリ(DAW)が選択肢として表示される。
【0082】
chタイプ選択欄252は、機器選択欄251で選択した機器が備えるchのうちどのタイプのchを割り当てるかを選択するエリアである。図8の例では、入力(IN)と出力(OUT)が選択可能となっている。この選択肢は、機器によって異なる。
ch選択欄253は、chタイプ選択欄252で選択したタイプのchのうちどのchを割り当てるかを選択するエリアである。図8の例では、5〜10番目の入力chが表示されているが、画面をスクロールさせて他の入力chを表示させることもできる。
【0083】
ch選択部250において現在選択されているchは、カーソル254〜256によって示されており、その内容は、割り当てch表示部223の表示にも反映される。
ユーザは、割り当てch表示部223において次々と割り当て対象のchストリップを選択し、ch選択部250で各chストリップに割り当てるchを個別に変更することができる。
【0084】
なお、あるユーザレイヤについてECタイプが選択されている状態でユーザがDCタイプ選択ボタン221をタッチすると、そのレイヤのタイプは直ちにDCタイプに切り替わり、レイヤ設定部220の表示内容も直ちに図8を用いて説明したものに切り替わるが、その際、DCタイプに設定変更された当該ユーザレイヤにおける、8つのchストリップへの割り当てchの初期値として、それまでECタイプの画面で割り当てch表示部223に表示されていた8つのchが自動設定される。そして、ユーザは、DCタイプのレイヤ設定部220を用いて、ECタイプでchの検索結果に基づいてなされた割り当て内容をchストリップ毎に編集することができる。
従って、ECタイプにおけるchの抽出結果が一部ユーザの意図と異なった場合には、レイヤをDCタイプに切り替えることにより、割り当て内容の微調整を行うことができる。
【0085】
なお、ここではDCタイプにおいてはECタイプのような割り当ての「ページ切り替え」は想定していないので、ECタイプでの検索において抽出されたchの数が8より多い場合、DCタイプに移行した時点でch表示部223に表示されていたchを、DCタイプでの割り当てchとして引き継ぐようにしている。しかし、DCタイプでも「ページ切り替え」を可能とする場合、ECタイプでの検索結果を全てDCタイプでの割り当て内容に引き継げるようにしてもよい。
【0086】
また、あるユーザレイヤについてDCタイプが選択されている状態でユーザがECタイプ選択ボタン222をタッチすると、そのレイヤのタイプは直ちにECタイプに切り替わり、レイヤ設定部220の表示内容も直ちに図7を用いて説明したものに切り替わるが、この場合には、検索条件が何も設定されていない状態に初期化される。
【0087】
なお、ユーザレイヤの設定を記憶するライブラリを設けて、ECタイプに設定されたユーザレイヤについては図7で設定される1乃至複数の検索条件を、DCタイプに設定されたユーザレイヤについては図8で設定される各チャンネルストリップへの割り当てch(チャンネル構成)を、それぞれ1のライブラリデータとしてストアし、所望のタイミングで、ライブラリから選択して、ユーザレイヤにリコールできるようにしてもよい。また、あるユーザレイヤのECタイプあるいはDCタイプの設定を、別のユーザレイヤにレイヤ間コピーできるようにしてもよい。また、ライブラリデータがリコールされた場合に、リコール先のユーザレイヤが選択されたものとして、ライブラリデータが示すタイプに応じた各chストリップへのchの割り当てを行うようにしてもよい。
【0088】
次に、図9に、デジタルミキサ10が保持するユーザレイヤに関するデータを示す。
デジタルミキサ10は、ユーザレイヤの設定データとして、図9(a)に示すユーザレイヤデータをフラッシュメモリ12に保持しており、また、一時的なデータとして、図9(b)に示す抽出chテーブルをRAM13に保持している。
ユーザレイヤデータは、1番目から6番目のユーザレイヤにぞれぞれ対応する6つのユーザレイヤデータを含む。そして、各ユーザレイヤデータは、そのユーザレイヤに設定されたタイプ(DC又はEC)を示すタイプデータを含んでおり、設定されたタイプに応じて異なるデータ形式を有する。
【0089】
まず、DCタイプに設定されたユーザレイヤの場合、そのユーザレイヤのユーザレイヤデータは、8つのchストリップのそれぞれに割り当てるchがどの機器のどのchであるかを特定するデータを、第1〜第8ch指定データとして含む。これら第1〜第8指定chデータが特定する8つのchは、図8に示したユーザレイヤ設定画面の割り当てch表示部223にて表示され、ch選択部250を用いて個別に変更することができる。
【0090】
また、ECタイプに設定されたユーザレイヤの場合、そのユーザレイヤデータは、割り当てるchを直接特定するデータではなく、割り当てるchの検索に用いる各種データを含む。このデータには、図7に示したユーザレイヤ設定画面において、検索範囲選択部241で設定された検索範囲を示す検索範囲データ、アンド/オア選択部242で設定されたアンド又はオアの選択を示すアンド/オアフラグ、及び、検索条件設定部230で設定された複数の検索条件を示す第1〜第n条件データが含まれる。
【0091】
また、抽出chテーブルは、ECタイプのユーザレイヤデータに含まれる検索条件に従って行った検索の結果を一時的に格納するテーブルである。抽出ch数ECNは、検索により抽出されたchの数を示し、抽出chデータECD(0)〜ECD(ECN−1)は、抽出されたECN個のchそれぞれを特定するデータである。ECタイプのレイヤにおけるchストリップへのchの割り当ては、この抽出chテーブルのデータに基づいて行う。
なお、ここではレイヤを切り替える毎に検索をやり直すようにしているため、抽出chテーブルは1つしか設けていない。
【0092】
次に、図10に、ユーザレイヤ選択キー群160中の何れかのレイヤ選択キーが押下された、すなわち、ユーザが1のユーザレイヤを選択した場合にデジタルミキサ10のCPU11が実行する処理のフローチャートを示す。
CPU11は、操作パネル100においてi番目のユーザレイヤと対応するレイヤ選択キーuiのオンイベントを検出すると、図10のフローチャートに示す処理を開始する。
【0093】
そして、まず図9(a)に示したi番目のユーザレイヤデータULiに含まれるタイプデータを参照し、i番目のユーザレイヤのタイプを判別する(S11)。
これがDCタイプであれば、ユーザレイヤデータULi中の第1〜第8ch指定データを参照し、該データが特定する最大8つのchを、8つのchストリップ120にそれぞれ割り当てる(S12)。その後、割り当てたchのパラメータの値に従い、各chストリップ120におけるフェーダ124のつまみの位置や、オンキー123のオンオフ状態の表示等を変更するとともに、タッチスクリーン102に、chストリップ120に割り当てた最大8chのチャンネルストリップ画像を含むレイヤ画面を表示して、処理を終了する(S13)。
【0094】
一方、ステップS11でECタイプであれば、今回のオンイベントが、同じレイヤ選択キーが続けてオンされたことに係るものであるか否か判断する(S14)。そして、これがNOであれば、ユーザレイヤデータULi中の検索範囲データ、アンド/オアフラグ、及び第1〜第n条件データを参照し、デジタルミキサ10(またはミキサシステム1)のうち検索範囲データが示す検索範囲に含まれる全chの中から、第1〜第n条件データが示すn個の検索条件をアンド/オアフラグが示すアンドまたはオアで結合した条件に合致する(該結合された条件を満たす)chを抽出し、抽出されたchの数を示す抽出ch数ECNと、抽出された各chを示す抽出chデータECD(0)〜ECD(ECN−1)とを図9(b)に示した抽出chテーブルに格納する(S15)。
【0095】
その後、ページ番号pに初期値として先頭ページ番号である0を、最終ページ番号PNに、ステップS15で抽出したchの数である抽出ch数ECNから1を引いた数をchストリップ部110に含まれるchストリップ数(ここでは8)で割った商を設定する(S16)。これは、抽出されたECN個のchをchストリップ数(8)ずつページ分割すると、第0ページ〜第PNページの、全(PN+1)ページに分割されるということを意味する。
【0096】
そして、抽出chテーブルの抽出データECD(0)〜ECD(ECN−1)のうちの第pページに属する抽出データ、すなわち、抽出データECD(8×p)から始まる最大8データを取り出し、該取り出された最大8データが示す最大8chを8つのchストリップ120に割り当てる(S18)。この割り当てを行うことにより、ステップS15で抽出したchが割り当てられたchストリップを用意することができる。その後、各chストリップのフェーダのつまみ位置等の調整や、割り当てた最大8chのchストリップ画像を含むレイヤ画面の表示を行い(S13)、処理を終了する。
【0097】
以上の処理は、直前のものと異なるECタイプのレイヤ選択キーが操作された場合に、設定されている抽出条件に従って抽出したchをchストリップ120に割り当てるためのものである。
なお、ステップS14における判定では、同じユーザ選択キーが続けて操作されたとしても、そのユーザレイヤ選択キーが操作された後に、何れかのchの何れかのパラメータの値が変更されてから、そのユーザレイヤ選択キーが再び操作された場合には、(その変更により検索結果が変化する可能性があるので)「NO」に分岐し、あるユーザレイヤ選択キーが操作された後に、何れのchのパラメータの値も変更されることなく、そのユーザレイヤ選択キーが再び操作された場合(すなわち、検索結果に変化が生じない場合)にのみ「YES」に分岐するようにするとよい。
【0098】
一方、ステップS14でYESの場合、ページ番号pをインクリメントし、最終ページ番号PNを超えたら0に戻す(S17)。その後、抽出chテーブルから第pページの抽出データ(ECD(8×p)から始まる最大8データ)を取り出し、該取り出された最大8データが示す最大8chを8つのchストリップ120に割り当てる(S18)。その後、各chストリップのフェーダのつまみ位置等の調整や、割り当てた最大8chのchストリップ画像を含むレイヤ画面の表示を行い(S13)、処理を終了する。
【0099】
以上の処理は、同じレイヤ選択キーが続けて操作された場合に、抽出をやり直すことなく、抽出結果のうち最初に割り当てきれなかったchをchストリップ120に割り当てるためのものである。なお、抽出結果が8ch以下であり、一度に全てのchを割り当てることができる場合(総ページ数PNが0である場合)、ステップS17の処理によってもpは0のままであるので、chの割り当て内容は変化しないことになる。
【0100】
以上の処理において、ステップS15ではCPU11が抽出部として機能し、ステップS18ではCPU11が第1の用意部として機能する。
デジタルミキサ10は、以上の処理を行うことにより、多数のchを制御する場合であっても、その中から所望の条件を満たすchをワンタッチでchストリップ120に割り当てることができるため、パラメータの編集を希望するchのchストリップを備えたチャンネルストリップ部を、簡単な操作でユーザに提供できる。なお、この割り当ては、連続的に(途中にchを割り当てないchストリップがないように)行うことが好ましい。
【0101】
また、抽出結果のch数がchストリップ数を超えている場合に、抽出結果の一部ずつを順次切り替えて割り当てることができるようにすれば、条件を満たすchの数を気にすることなく検索条件を設定することができる。
また、ECタイプのユーザレイヤにおいて抽出条件により抽出されたchを、DCタイプのユーザレイヤのch指定データの初期値として引き継げるようにすれば、その時点でその抽出条件により抽出され、chストリップ120に割り当てられたchを、DCタイプのユーザレイヤに(どのchのどのパラメータが変更されても変化しない)固定的な割り当てchとして定着させることができる。さらに、DCタイプのユーザレイヤであれば、各ch指定データを任意に変更できるため、検索ではユーザの望みどおりのchが抽出できなかった場合でも、望みどおりのchとなるようその一部を修正することができる。
【0102】
以上で実施形態の説明を終了するが、装置の構成や具体的な処理内容、画面の表示内容、操作方法等が上述の実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
例えば、上述した実施形態では、ECタイプのユーザレイヤについては、同じレイヤ選択キーを続けて押下することによりページの切り替えを行う例について説明したが、操作パネル100あるいは適当なGUIに、ページ切り替えの操作を受け付けるための操作部を設けてもよい。このようにする場合、同じレイヤ選択キーが続けて押下された場合でも、レイヤ選択キーを押下する毎にchの抽出処理を新規に行うようにすることができる。
【0103】
また、ECタイプのユーザレイヤにおけるchの検索を行うための検索条件を、複数のスイッチと対応させて設定しておき、スイッチの操作によりそれらの検索条件を任意に組み合わせて用いることができるようにしてもよい。スイッチA〜Cと対応させて条件A〜Cをそれぞれ登録しておき、スイッチA〜Cをトグルでオンオフできるようにし、オンになっているスイッチと対応する条件をアンドで用いて検索を行う等である。この場合、スイッチAのみがオンである場合、条件Aを用いて抽出を行う。そして、その状態でスイッチBをオンすることにより、条件Aと条件Bをアンドで用いて抽出を行い、初めの抽出結果を条件Bを用いて絞り込むことができる。同様に、スイッチCをオンすることにより、条件Cを用いて絞り込むことができる。もちろん、アンドに代えてオア検索を行うことができるようにしてもよい。
【0104】
また、PCで実行されるDAWアプリにおいても、ECタイプのユーザレイヤと同様に、ユーザが、検索条件を設定し、その後の抽出指示に応じて、該設定された検索条件でchの検索を行い、PCのディスプレイ上に、抽出されたchが割り当てられたchストリップのみからなるミキサウィンドウに表示させる(他のchが割り当てられたchストリップは、「Hide」の設定を有効化する)ようにしてもよい。
【0105】
そして、ユーザがディスプレイに表示された所望の操作子の画像をポインティングデバイス(マウス等)で操作することにより、そのchストリップに割り当てられているchの、その操作子に割り当てられているパラメータの値を変更することができる。この場合、各chストリップにおける「Hide」の設定及び解除を示すデータは、そのchストリップをchストリップ部に用意するか否かを定めるデータであるということができる。
また、ミキサウィンドウは横方向にスクロールできるので、横方向に並べる縦帯状のchストリップの数に制限はなく、検索条件により抽出された全てのchを、1つのミキサウィンドウに表示することができる。
【0106】
また、PC2でDAWアプリを使用するとき、しばしば、専用ユーザインタフェースとして、所定数のchストリップが備えられた物理的コントローラ4が接続される(図11参照)。例えば、Steinberg社のHouston(商標)や、Mackie社のMackie Control(商標)が代表的である。この場合のchの割り当ては、デジタルミキサ10の場合と同様であり、検索により抽出されミキサウィンドウにchストリップが表示されている複数chを、物理的コントローラの所定数のchストリップに、そのchストリップ数ずつ、複数ページにわたって、順次割り当てていくようにすればよい。
【0107】
このような構成を採用する場合でも、ユーザレイヤデータ及び抽出chテーブル(ここではトラックを抽出するので「抽出トラックテーブル」となる)は図9に示したものと同様でよい。しかし、DCタイプにおいて画面に表示させるchストリップの数に制限がないため、トラック数のデータと、そのトラック数分のトラック指定データを設けるとよい。
【0108】
図12に、上述のように「Hide」の設定を利用する場合にDAWアプリを実行するPCのCPUが行う処理の例を示す。
この場合PCのCPUは、所定のGUIにおいてi番目のユーザレイヤを選択するためのi番目のレイヤ選択ボタンのオンイベントを検出すると、図11のフローチャートに示す処理を開始する。
【0109】
そして、まずユーザレイヤデータを参照し、操作されたレイヤ選択ボタンと対応するi番目のユーザレイヤのタイプを判別する(S21)。これがDCタイプであれば、ユーザレイヤデータを参照し、i番目のユーザレイヤに設定されているトラックのchストリップについて、画面に表示させないことを示す「Hide」の設定を解除し、他のトラックのchストリップについて「Hide」を設定する(S22)。その後、変更後の設定に従って画面の表示を更新し(S23)、処理を終了する。
【0110】
一方、ステップS21でECタイプであれば、ユーザレイヤデータを参照し、i番目のユーザレイヤについて設定されている検索条件に従い、トラックの抽出を実行し、結果を抽出トラックテーブルに格納する(S24)。そして、抽出トラックテーブルに格納されているトラックのchストリップについて「Hide」の設定を解除し、他のトラックのchストリップについて「Hide」を設定し(S25)、変更後の設定に従って画面の表示を更新して(S23)、処理を終了する。
【0111】
以上の処理において、ステップS24ではCPU11が抽出部として機能し、ステップS23ではCPU11が表示制御部として機能する。また、ステップS25ではCPU11が第1の用意部として機能する。すなわち、ステップS25の処理により、ステップS24で抽出したトラックが割り当てられたchストリップを用意することができる。
DAWアプリを実行するPCのCPUが以上の処理を行うことにより、多数のトラックを制御する場合であっても、その中から所望の条件を満たすトラックのchストリップのみをワンタッチで画面に表示させることができるため、画面上に表示させるchストリップによりどのトラックのパラメータを編集するかを、容易に設定することができる。すなわち、パラメータの編集を希望するトラックのchストリップを備えたchストリップ部を、簡単な操作でユーザに提供できる。
【0112】
なお、同様なchストリップ部を、「Hide」の設定を用いずに提供することも可能である。例えば、ユーザレイヤに設定されているトラックのchストリップのオブジェクトや、抽出トラックテーブルに格納されているchストリップのオブジェクトを並べて配置した画面を新たに作成してもよい。この場合において、それまで表示されていた画面上のchストリップのオブジェクトは残したまま、新たな画面に配置するオブジェクトを追加で作成してもよいし、それまで表示されていた画面上のchストリップのオブジェクトのうち必要なものを新たな画面に移動させるようにしてもよい。
【0113】
また、図5に関して、PC2にDAWアプリを実行させた場合について説明したが、DAWアプリの代りに、デジタルミキサ10A,10Bをリモート制御するリモート制御アプリケーションを実行させるようにしてもよい。この場合、リモート制御アプリケーションの機能によりデジタルミキサ10A,10Bにおける信号処理パラメータの値を編集するために提供する、ディスプレイ上に表示させるchストリップについて、上述したユーザレイヤの機能に相当するchの割り当てを行うことが考えられる。
【0114】
また、上述した実施形態では、複数の各ユーザレイヤを、ECタイプとDCタイプの何れか1に選択的に設定できるようになっていたが、ECタイプに固定のユーザレイヤと、DCタイプに固定のユーザレイヤとを別々に設けて、タイプの切り替えをできないようにしてもよい。
【0115】
また、上述した実施形態では、図7のユーザレイヤ設定画面が表示されているとき、その画面で設定されている検索条件で抽出されたchが8つのchストリップ120に割り当てられるようになっていたが、ユーザレイヤ設定画面では抽出されたchのchストリップへの割り当ては行わず(検索条件の設定のみを行う)、対応するレイヤ選択キーのユーザ操作があったときに、該抽出されたチャンネルをchストリップへ割り当てるようにしてもよい。
【0116】
また、上述した実施形態では、ユーザが、あるユーザレイヤのタイプをECタイプからDCタイプに変更したとき、そのユーザレイヤがECタイプのときに設定されていた検索条件で検索され、8つのchストリップに割り当てられていたchを、DCタイプとなったユーザレイヤにおける8chストリップへのch割り当てに引き継ぐようになっていたが、ECタイプからDCタイプへの引き継ぎの方法はこれに限らない。
例えば、DCタイプに設定されたあるユーザレイヤの設定画面において、ユーザが、ECタイプに設定されている別のユーザレイヤからの引き継ぎを指定したのに応じて、その時点で、その別のユーザレイヤで設定されている検索条件で検索されたchを、当該ユーザレイヤにおける8chストリップへのch割り当てに引き継ぐようにしてもよい。
【0117】
また、上述した実施形態では、検索条件設定部230では、複数の検索条件を「アンド」で結合するか、それとも「オア」で結合するかを選択できるようになっていたが、これをアンドに固定してしまい、複数の検索条件が必ず「アンド」で結合されるようにしてもよい。
【0118】
また、本発明が、デジタルミキサ以外の、シンセサイザ、レコーダ、エフェクタ、音源装置等であっても、カレントメモリに記憶したパラメータの値に基づいて複数のチャンネルで信号処理を行う音響信号処理装置であれば、任意の装置に適用可能であることは、もちろんである。また、ネットワークに接続されず、単体で操作する装置にも適用可能であることは、もちろんである。
また、以上述べてきた構成及び変形例は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上の説明から明らかなように、この発明の音響信号処理装置によれば、所望のchのchストリップを配置したユーザインタフェースを、容易に設定(準備)できるようにすることができる。
従って、この発明を適用することにより、音響信号処理装置の操作性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0120】
1…ミキサシステム、2…PC、3…オーディオネットワーク、10(10A,10B)…デジタルミキサ、11…CPU、12…フラッシュメモリ、13…RAM、14…外部機器I/O、15…表示器、16…電動フェーダ、17…その他操作子、18…波形I/O、19…オーディオネットワークI/O、20…DSP、21…システムバス、40…入力ch、41…アッテネータ、42…イコライザ、43…ダイナミクス、44…chフェーダ、45…オンスイッチ、46…TO_STスイッチ、47…パン、51…PRE/POSTスイッチ、52…センドレベルフェーダ、53…センドオンスイッチ、70…MIXバス、82…MIX出力ch、100…操作パネル、101…センドレベル設定部、102…タッチスクリーン、110…割当chストリップ部、120…chストリップ、121…chノブ、122…選択キー、123…オンキー、124…フェーダ,130…各種キー、140…出力レイヤ選択キー群、150…入力レイヤ選択キー群、160…ユーザレイヤ選択キー群、200…ユーザレイヤ設定画面、210…レイヤ選択ボタン群、220…レイヤ設定部、221…DCタイプ選択ボタン、222…ECタイプ選択ボタン、223…割り当てch表示部、224,225…スクロールボタン、230…検索条件設定部、241…検索範囲選択部、242…アンド/オア選択部、250…ch選択部、251…機器選択欄、252…chタイプ選択欄、253…ch選択欄
【技術分野】
【0001】
この発明は、カレントメモリに記憶したパラメータの値に基づいて複数のチャンネルで信号処理を行う音響信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カレントメモリに記憶したパラメータの値に基づいて複数のチャンネル(ch)で信号処理を行う音響信号処理装置として、例えば非特許文献1に記載のデジタルミキサが知られている。
このデジタルミキサにおいては、1つのchのパラメータの設定を受け付けるための操作子を集めた操作部であるchストリップを複数設けると共に、その各chストリップに所望のchを割り当て、そのchストリップを、割り当てたchのパラメータの値の編集に用いることができる。また、複数のchストリップに対してそれぞれ所望のchを割り当てる割り当て内容をレイヤとし、そのレイヤを複数登録可能である。そしてユーザは、レイヤを選択することにより、そのレイヤにおける割り当て内容を上記の複数のchストリップに反映させることができる。
【0003】
従って、ユーザは、chストリップに割り当てたいchの数がchストリップの数より多い場合でも、レイヤの選択により、chストリップに対するchの割り当てを簡単な操作で切り替えながら、chストリップに割り当てたchのパラメータの編集を行うことができる。
また、非特許文献1に記載のデジタルミキサでは、chストリップへのchの割り当て内容を予めメーカーが定めておくものだけでなく、ユーザが各chストリップに個別にchを選択して割り当てることができる「カスタムレイヤ」の機能を有するものも知られている。
また、特許文献1にも、ユーザが個別にchを選択してレイヤによる割り当て内容を定めることができるデジタルミキサが記載されている。
【0004】
また、これらとは別に、非特許文献2には、PC(パーソナルコンピュータ)のOS(オペレーティングシステム)上で動作するアプリケーションであって、該PCを、複数の音響信号の録音、再生、および編集を行うことができるDAW(デジタルオーディオワークステーション)として動作させるDAWアプリケーション(以下「DAWアプリ」という)が開示されている。Steinberg社のCubase(商標)、Nuendo(商標)等が代表的である。
【0005】
また、DAWアプリでは、音響信号の録音及び再生を行うオーディオトラック、音響信号を入力するオーディオ入力バス、音響信号を出力するオーディオ出力バス、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)信号の録音及び再生を行うMIDIトラック等のオブジェクトを、それぞれ、ユーザが所望する数だけ作成することができる。そして、各オブジェクトには、そのオブジェクトにおける音響信号ないしMIDI信号の特性を調整するための処理chが備えられている。
【0006】
非特許文献2に記載のDAWアプリにおいては、1つの操作画面(ミキサウィンドウ)に全てのchのchストリップが並んでおり、ユーザは、表示を所望しないchのchストリップに「Hide」を設定して、その操作画面においてそのchストリップの画像を非表示にすることができる。表示されている各chストリップ上には、回転ノブ、ボタン、フェーダ等の操作子の画像が配置されており、ユーザが所望の操作子の画像をポインティングデバイス(マウス等)で操作することにより、そのchストリップに割り当てられているchの、その操作子に割り当てられているパラメータの値を変更することができる。さらに、このDAWアプリでは、1つの操作画面の全chストリップに関する「Hide」の設定/解除を1つのビューセットとして、ビューセットを複数ストアしておき、任意の時点で、何れか1のビューセットを選択してリコールすることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3918676号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「PM5D/PM5D−RHV2 DSP5D取扱説明書」,ヤマハ株式会社,2004年,p.45−46,146−147
【非特許文献2】「Cubase5 Operation Manual」,[0nline],2009年1月7日,SteinbergMedia Technologies GmbH,[平成23年8月15日検索],インターネット<URL: ftp://ftp.steinberg.net/Download/Cubase_5/5.0.0.82/docs_english.zip>,特にそのp114−115
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、非特許文献1及び特許文献1に記載のデジタルミキサにおいては、ユーザがカスタムレイヤの各chストリップへの所望のchを割り当てようとする場合、各chストリップについてそのchストリップへ割り当てるchを個別に設定する必要があったため、操作が面倒であるという問題があった。特に、デジタルミキサが備えるch数が多かったり、外部接続の装置も含む複数の装置を1台の制御装置から制御しようとしたりする場合などでは、全てのchの用途を把握してどのchをchストリップに割り当てるべきかを判断するのが難しい場合もあるという問題があった。
【0010】
また、非特許文献2に記載のDAWアプリでは、ユーザが、任意の数のMIDIトラック(MIDIchを含む)、オーディオトラック(トラックchを含む)、オーディオ入力バス(入力chを含む)、オーディオ出力バス(出力chを含む)、ソフト音源トラック(楽器chを含む)を作成することができる。このため、DAWアプリの有するch数は膨大になりがちであり、その場合、その膨大な数のchのうちの所望のchのchストリップが、DAWアプリのミキサウィンドウに表示されるよう設定せねばならず、操作が面倒であるという問題があった。具体的操作としては、DAWの全chのchストリップのうち、DAWアプリのミキサウィンドウに表示したい各chストリップの「Hide」の設定を解除し、表示したくない各chストリップに「Hide」を設定せねばならなかった。
【0011】
これらの問題は、デジタルミキサやDAWアプリだけでなく、複数のchのうちの所望のchのchストリップを選択的に配置できる、ミキサの操作パネルに類似したユーザインタフェースを備えるあらゆる音響信号処理装置において発生するものである。
この発明は、このような問題を解決し、所望のchのchストリップを配置したユーザインタフェースを、容易に設定(準備)できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、この発明の音響信号処理装置は、複数のチャンネルを有する音響信号処理装置において、上記複数のチャンネルの各チャンネルごとに、複数のパラメータを記憶するカレントメモリと、上記複数のチャンネルに対応する複数の信号処理部であって、それぞれ、上記カレントメモリに記憶されたそのチャンネルのパラメータに基づいて、入力する音響信号に対して信号処理を行う複数の信号処理部と、ユーザによる条件設定操作に応じて、上記複数のパラメータのうちの所望のパラメータに関して、検索条件を設定する条件設定部と、上記条件設定部から供給される検索条件に基づいて検索を実行し、上記複数のチャンネルの中から、上記カレントメモリに記憶されたパラメータが上記条件設定部の設定した検索条件を満たすチャンネルを抽出する抽出部と、上記抽出部により抽出されたチャンネルの各々について、複数の操作部を備えており、かつ、そのチャンネルが割り当てられた縦帯状のチャンネルストリップを用意し、それらのチャンネルストリップを横方向に連結した状態で、ユーザによるパラメータ変更操作を受け付けるチャンネルストリップ部として提供する第1の用意部と、ユーザによる何れかのチャンネルストリップの1の操作部の操作に応じて、上記カレントメモリに記憶されたパラメータのうち、そのチャンネルストリップに割り当てられたチャンネルの、その操作部に割り当てられたパラメータの値を変更する変更部とを設けたものである。
【0013】
このような音響信号処理装置において上記音響信号処理装置に、物理的な入力デバイスである、所定数のチャンネルストリップを備えた操作パネルを設け、上記第1の用意部が、上記抽出部により抽出されたチャンネルを、上記操作パネルの所定数のチャンネルストリップに連続的に割り当てることにより、上記チャンネルストリップ部を提供するようにするとよい。
【0014】
さらに、上記抽出部が抽出したチャンネルの数が、上記所定数より多い場合、上記第1の用意部が、上記抽出部が抽出したチャンネルのうち上記所定数のチャンネルを、まず上記操作パネルの各チャンネルストリップに割り当て、ページ切り替え操作に応じて、上記抽出部が抽出したチャンネルのうち初めに割り当てなかったチャンネルを、上記操作パネルの各チャンネルストリップに割り当てるようにするとよい。
【0015】
また、上記条件設定部に、上記条件設定部が設定した検索条件を示す条件データを記憶する条件メモリを設け、ユーザによる上記条件データの呼出操作に応じて、上記条件メモリからその条件データを読み出し、読み出した条件データが示す検索条件を上記抽出部に供給するようにするとよい。
【0016】
あるいは、上記の音響信号処理装置において、ユーザによる構成データの保存操作に応じて、上記第1の用意部により用意されたチャンネルストリップのチャンネル構成を示す構成データを保存する構成メモリと、ユーザによる上記構成データの呼出操作に応じて、上記構成メモリから該構成データを読み出し、読み出された構成データの示すチャンネルの各々について、複数の操作部を備えており、かつ、そのチャンネルが割り当てられた縦帯状のチャンネルストリップを用意し、それらのチャンネルストリップを横方向に連結した状態で、ユーザによるパラメータ変更操作を受け付けるチャンネルストリップ部として提供する第2の用意部とを設けるとよい。
【0017】
このような音響信号処理装置において、ユーザの構成変更操作に応じて、上記構成メモリに記憶された構成データが示すチャンネル構成を変更する構成変更部を設けるとよい。
あるいは、上記音響信号処理装置に、物理的な入力デバイスである、所定数のチャンネルストリップを備えた操作パネルを設け、上記第1の用意部が、上記抽出部により抽出されたチャンネルを、上記操作パネルの所定数のチャンネルストリップに連続的に割り当てることにより、上記チャンネルストリップ部を提供するようにし、上記構成メモリに記憶される上記構成データを、操作パネルの各チャンネルストリップに対して割り当てられたチャンネルを示すデータとするとよい。
【0018】
あるいはまた、上記構成メモリに記憶される上記構成データを上記音響信号処理装置の各チャンネルについて、対応するチャンネルストリップを上記チャンネルストリップ部に用意するか否かを示すデータとするとよい。
また、上記の音響信号処理装置において、ディスプレイとポインティングデバイスとを設け、上記第1の用意部が、上記ディスプレイに、上記抽出されたチャンネルが割り当てられたチャンネルストリップを表示し、上記ポインティングデバイスにより、その表示されたチャンネルストリップに対するユーザの操作を受け付けることにより、上記チャンネルストリップ部を提供するようにするとよい。
【発明の効果】
【0019】
以上のようなこの発明の音響信号処理装置によれば、、所望のchのchストリップを配置したユーザインタフェースを、容易に設定(準備)できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の音響信号処理装置の実施形態であるデジタルミキサのハードウェア構成を示す図である。
【図2】図1に示したDSPで実行される信号処理の構成をより詳細に示す図である。
【図3】同じくDSPにおける信号処理のうち、入力chからSTバス及びMIXバスへの信号の入力に関する部分の構成を示す図である。
【図4】図1に示したデジタルミキサにおける入力chに関するパラメータの構成を示す図である。
【図5】この発明の音響信号処理装置の変形例である、図1に示したデジタルミキサを含むミキサシステムの構成を示す図である。
【図6】図1に示したデジタルミキサの操作パネルの概略構成を示す図である。
【図7】ユーザレイヤにおけるch割り当ての設定を受け付けるための画面の例を示す図である。
【図8】その別の例を示す図である。
【図9】図1に示したデジタルミキサが保持するユーザレイヤに関するデータの例を示す図である。
【図10】図1に示したデジタルミキサのCPUが、ユーザレイヤ選択キー群中のいずれかのレイヤ選択キーが押下された場合に実行する処理のフローチャートである。
【図11】物理的コントローラを用いてDAWアプリを操作する場合のハードウェアの接続状態の例を示す図である。
【図12】「Hide」の設定を利用する変形例において、DAWアプリを実行するPCのCPUが、いずれかのレイヤ選択ボタンが押下された場合に実行する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、図1に、この発明の音響信号処理装置の実施形態であるデジタルミキサのハードウェア構成を示す。
図1に示す通り、デジタルミキサ10は、CPU11,フラッシュメモリ12,RAM13,外部機器入出力部(I/O)14,表示器15,電動フェーダ16,その他操作子17,波形I/O18,オーディオネットワークI/O19,信号処理部(DSP)20を備え、これらがシステムバス21によって接続されている。
【0022】
そして、CPU11は、このデジタルミキサ10の動作を統括制御する制御部であり、フラッシュメモリ12に記憶された所要のプログラムを実行することにより、外部機器I/O14、波形I/O18及びオーディオネットワークI/O19におけるデータ及び信号の入出力や表示器15における表示を制御したり、電動フェーダ16及びその他操作子17の操作を検出してその操作に従ってパラメータの値の設定/変更や各部の動作を制御したりといった処理を行う。
【0023】
フラッシュメモリ12は、CPU11が実行する制御プログラム等を記憶する書き換え可能な不揮発性記憶部である。
RAM13は、一時的に記憶すべきデータを記憶したり、CPU11のワークメモリとして使用したりする記憶部である。
【0024】
外部機器I/O14は、種々の外部機器を接続し入出力を行うためのインタフェースであり、例えば外部のディスプレイ、マウス、文字入力用のキーボード、操作パネル等を接続するためのインタフェースが用意される。そして、本体の表示器や操作子をごく単純な構成にしたとしても、これらの外部機器を活用することによりパラメータの設定/変更や動作指示を行うことができるようにすることも考えられる。
【0025】
表示器15は、CPU11による制御に従って種々の情報を表示する表示部であり、例えば液晶パネル(LCD)や発光ダイオード(LED)によって構成することができる。ここで説明する例では、デジタルミキサ10は、表示器15として少なくともパラメータの値の参照や設定の受付を行うためのグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を表示できるサイズのLCDを備える。
【0026】
電動フェーダ16は、後述するフェーダのパラメータの操作を受け付けるための操作子であり、駆動部を備え、CPU11の制御によりつまみを自動で任意の位置に移動させることができる。
その他操作子17は、デジタルミキサ10に対する操作を受け付けるための電動フェーダ16以外の操作子であり、種々のキー、ボタン、ロータリーエンコーダ、スライダ等によって構成することができる。ここでは、表示器15であるLCDに積層したタッチパネルも用いている。
【0027】
波形I/O18は、DSP19で処理すべき音響信号の入力を受け付け、また処理後の音響信号を出力するためのインタフェースである。そして、この波形I/O18には、1枚で4チャンネル(ch)のアナログ入力が可能なA/D変換ボード,1枚で4chのアナログ出力が可能なD/A変換ボード,1枚で8chのデジタル入出力が可能なデジタル入出力ボードを適宜組み合わせて複数枚装着可能であり、実際にはこれらのボードを介して信号の入出力を行う。
オーディオネットワークI/O19は、後述するオーディオネットワークを介して他の装置との間で複数の伝送chでデジタル音響信号を送受信し、また制御信号を送受信するためのインタフェースである。
【0028】
DSP20は、信号処理回路を含み、波形I/O18あるいはオーディオネットワークI/O19から入力する音響信号に対し、カレントデータとして設定されている各種処理パラメータに従って、ミキシング、イコライジング等の各種信号処理を施して波形I/O18あるいはオーディオネットワークI/O19に出力する信号処理部である。この処理に用いるパラメータを含むカレントデータは、RAM13上あるいはDSP20自身に備えるメモリ上に設けられたカレントメモリに記憶されており、ユーザは、表示器15と電動フェーダ16及びその他操作子17とを用いて、そのデータの値を確認したり、変更したりすることができる。
【0029】
次に、図2に、図1に示したDSP20で実行される信号処理の構成をより詳細に示す。
この図に示すように、DSP20での信号処理は、入力パッチ34,入力ch40,ステレオ(ST)バス60,ミキシング(MIX)バス70,ST出力ch81,MIX出力ch82,出力パッチ35を有する。
【0030】
そして、DSP20においては、24chある入力ch40にそれぞれ、波形I/O18に入力端子と対応するように用意されたアナログ入力ポート31及びデジタル入力ポート32のいずれかをパッチ(結線)することができる。また、オーディオネットワークI/O19に伝送されてくる音響信号のうち任意の伝送ch33の音響信号を選択して入力ch40にパッチすることもできる。
各入力chでは、そのパッチされたポート又は伝送chから入力する信号に対してアッテネータ,イコライザ等により信号処理を行った後、STバス60及び16系統のMIXバス70のうちの任意のバスに対して処理後の信号を送出する。この送出については、入力ch40とバスの組み合わせ毎にオンオフ及びレベル調整を行うことが可能である。
【0031】
また、STバス60及び各MIXバス70では、各入力ch40から入力する信号をミキシングし、STバス60においてミキシングされた信号はST出力ch81に、MIXバス70においてミキシングされた信号はその各系統に対応して設けられる16chのMIX出力ch82に出力する。そして、各出力ch81,82では、対応するバスから入力する信号に対してイコライザ、コンプレッサ等により信号処理を行う。
【0032】
そして、出力パッチ35により、各出力ch81,82を、波形I/O18に出力端子と対応するように用意されたアナログ出力ポート36及びデジタル出力ポート37、あるいはオーディオネットワークI/O19の伝送ch33にパッチし、パッチ先の出力ポートあるいは伝送chに供給してそこから出力させる。
なお、DSP18に設けるこれらの各部による信号処理の態様は、カレントメモリに記憶される所定のパラメータの値を設定することにより制御可能であり、また、各部の機能は、ソフトウェアによって実現してもハードウェアによって実現してもよい。
【0033】
次に、図3に、DSP20における信号処理のうち、1つの入力chからSTバス60及びMIXバス70への信号の入力に関する部分の構成を示す。図4に、カレントメモリに記憶されている全パラメータのうちの、1つの入力chに関するパラメータの構成を示す。
【0034】
図4に示されるように、入力chのパラメータは、4つのパラメータグループ(「基本パラメータ(基本)」、「イコライザパラメータ(EQ)」、「ダイナミクスパラメータ(Dyna)」、「センド部のパラメータ(Send)」)にグループ分けされている。」
また、図3に示す通り、各入力ch40にはそれぞれ、アッテネータ41,イコライザ42,ダイナミクス43,chフェーダ44,オンスイッチ45を設けている。また、その先の、STバス60に信号を入力する経路には、TO_ST(トゥーステレオ)スイッチ46及びパン47を設けている。
【0035】
そして、このような入力ch40に、入力パッチ34におけるそのchの接続先から入力した音響信号は、アッテネータ41において、図4に示す基本パラメータに含まれるアッテネータパラメータに基づき信号処理に適したレベルに調整され、イコライザ42において、イコライザパラメータに基づきその周波数特性が調整され、ダイナミクス43において、ダイナミクスパラメータに基づきその振幅が動的な変化特性に基づき調整され、chフェーダ44において、フェーダパラメータに基づきSTバスでのミキシングに適したレベルに調整される。
【0036】
これらのうち、イコライザ42は、複数バンドのパラメトリックイコライザからなり、各バンド毎に中心周波数、Q値及びゲインのパラメータを持つ。ダイナミクス43は、コンプレッサとゲートのタイプがあり、タイプに応じて、閾値、レート、アタック、リリース等のパラメータを持つ。
chフェーダ44から出力される信号は、オンスイッチ45及びTO_STスイッチ46を、それぞれ、対応するオンパラメータがオンであれば通過し、パン47において、パンパラメータに基づきL用とR用に個別にレベル調整され、それぞれLとRのSTバス60に入力される。
【0037】
また、各MIXバス70に信号を送出する経路には、バス1本毎に、プリ/ポスト(PRE/POST)スイッチ51、センドレベルフェーダ52、およびセンドオンスイッチ53を含むセンド部を設けている。これらのセンド部では、送出先のバス毎に、PRE/POSTスイッチ51において、入力chの経路のうちのプリ/ポストパラメータに応じた位置(PREならchフェーダ44の前、POSTならオンスイッチ45の後)の信号が選択され、該選択された信号は、センドレベルフェーダ52において、センドレベルパラメータに基づき当該バスでのミキシングに適したレベルに調整され、センドオンスイッチ53を、対応するオンパラメータがオンであれば通過し、送出先のバスに入力される。
【0038】
入力chのパラメータには、チャンネル名、アイコン、各種マーク等の、そのchの信号処理の態様には直接関与しないパラメータも含まれる。ユーザは、そのchのチャンネル名として、任意の文字列を設定することができる。
また、ユーザは、そのchのアイコンとして、ボーカル、ギター、ピアノ等の複数のアイコンの中から所望のアイコンを1つ選択することができる。そして、タッチスクリーン102にそのchのパラメータを表示するときには、補助情報として、そのchのチャンネル名やアイコンが一緒に表示される。
【0039】
ユーザは、任意のマークを定義して、その定義されたマークを所望のchに付与することもできる。例えば、「要調整」、「ドラムセットA」、「バンドC」、「レコーダB」などのマークが考えられる。このマークは検索のために設けられており、チャンネルの検索条件としてユーザが所望のマークを指定することにより、そのマークが付与されたチャンネルを抽出される。入力chのパラメータとして、さらに、検索用の文字列であるキーワードを記憶し、各chに任意のキーワードを付与して、そのキーワードでチャンネルを検索できるようにしてもよい。
【0040】
なお、図3には、1つの入力chの構成のみを詳細に示したが、他の15の入力chも同様な構成を有し、STバス60及び各MIXバス70では、それら16の入力chから入力する信号を混合することができる。
また、ここでは図示は省略するが、MIX出力ch82は、入力ch40のアッテネータ41からオンスイッチ45までと同様な構成を有し、MIXバス70の対応する系統から出力される音響信号を、入力ch40の場合と同様な構成のパラメータ(センド部のパラメータを除く)に従って処理して、出力パッチによる接続先へ出力する。また、ST出力ch81も、L側とR側で信号処理に用いるパラメータが連動している点以外はMIX出力ch82と同様な構成である。
【0041】
ところで、以上説明してきたデジタルミキサ10は、オーディオネットワークI/O19を用いて、他の機器が接続されたオーディオネットワークに接続し、該ネットワークで接続された複数の機器を、全体として1つのミキサシステムとして動作させることができる。ここで、「1つのシステムとして動作」というのは、ネットワークで接続されている複数の機器の動作を、少なくとも1つの機器のユーザインタフェースを用いて制御できることを示す。
【0042】
図5に示すミキサシステムはその一例であり、ここでは、1台のPC(パーソナルコンピュータ)2と、デジタルミキサ10と同じハードウェア構成の2台のデジタルミキサ10A、10Bとを、オーディオネットワーク3で接続して、1つのミキサシステムを構成している。
【0043】
オーディオネットワーク3は、所望の機器から別の所望の機器へ、複数chのオーディオ信号をリアルタイムで伝送すると共に、所望の機器から別の所望の機器へ、パラメータ設定指示やパラメータ値取得等を行うための制御信号も伝送可能なネットワーク(例えば、特開2007−258966号公報に記載のネットワーク用インタフェース107を参照)である。
【0044】
通信規格は、任意のものを用いることができる。例えば、USB(商標)、IEEE1394(商標)、Dante(商標)、EtherSound(商標)等のいずれかを用いてもよい。また、制御信号の伝送だけを行い、オーディオ信号の伝送は行わないネットワークを用いて、オーディオ信号は、別のケーブルないしネットワークで伝送するようにしてもよい。
【0045】
さらに言えば、送信先の機器をアドレス指定できるネットワークである必要もない。例えば、ミキサのカスケード接続用のケーブル(例えば、特開2008−227761号公報のカスケードI/O17を参照)や、MADI(商標)のケーブルであっても、デジタルのオーディオ信号と制御信号の伝送は可能である。とにかく、ミキサシステムの構成には、何らかの通信媒体により、機器間で制御信号が伝送できていればよい。
【0046】
PC2は、ハードウェアとしては、CPU、ROM、RAM、HDD(ハードディスクドライブ)、通信I/F(インターフェース)等を備えた公知のものでよい。PC2のOS上でDAWアプリを実行させた場合、ネットワーク3等を介して、デジタルミキサ10A乃至10BからPC2に供給される音響信号や、オーディオトラックで再生された音響信号に対し、RAM中のカレントメモリに記憶した複数のパラメータの値に基づいてPC2で種々の信号処理を施して、その処理後の音響信号を、別のオーディオトラックに録音したり、ネットワーク3等を介して、PC2からデジタルミキサ10A乃至10Bに供給することができる。さらに、PC2自身にオーディオI/Fを設け、外部から音響信号を直接入力して信号処理したり、信号処理後の音響信号を直接外部へ出力できるようにしてもよい。
【0047】
ここで、PC2が実行する信号処理は、デジタルミキサ10A,10Bと同様な、或いは、規模乃至構成が異なるミキシング処理であってもよいし、イコライザ処理、コンプレッサ処理、リバーブ処理、3次元定位制御処理、等の各種エフェクト処理のうちの1乃至複数に特化したものであってもよい。
【0048】
また、デジタルミキサ10A(又は10B)は、それぞれ、波形I/O18を介して外部から入力する音響信号や、ネットワーク3等を介してデジタルミキサ10B(又は10A)乃至PC2から供給される音響信号に対し、当該デジタルミキサのカレントメモリに記憶した複数のパラメータの値に基づいて種々の信号処理を施して、その処理後の音響信号を、波形I/O18を介して外部に出力したり、ネットワーク3等を介して、デジタルミキサ10B(又は10A)乃至PC2に供給する。
【0049】
デジタルミキサ10A及び10Bが実行する信号処理は、図2及び図3を用いて説明したような1台ごとに個別のミキシング処理であってもよいし、1つのミキシング処理を複数台の機器で部分的に分担する(例えば、特開2007−258966号公報の図4や、特開2008−227761号公報の図4を参照)ようにしてもよい。何れのタイプの信号処理を行う場合であっても、PC2及びデジタルミキサ10A,10Bのそれぞれに、パラメータの値を調整すべき複数のch(入力ch及び出力ch)が存在している。
そして、このミキサシステムでは、PC2及びデジタルミキサ10A,10Bのうちの何れか1つの機器のユーザインタフェースを用いて、PC2及びデジタルミキサ10A,10Bの3機器のパラメータの値を変更することができる。
【0050】
次に、デジタルミキサ10の操作パネルの構成について説明する。
図6は、その操作パネルの概略構成を示す図である。
デジタルミキサ10は、図6に示すような構成の操作パネル100を有しており、この上に、センドレベル設定部101、タッチスクリーン102、複数のchストリップ120を備える割当chストリップ部110、各種キー130、出力レイヤ選択キー群140、入力レイヤ選択キー群150、ユーザレイヤ選択キー群160、カーソルキー181、増減キー182、ロータリーエンコーダ183、エンタキー184をはじめとする各種のユーザインタフェースを設けている。これらの各構成要素は、図2における表示器15、電動フェーダ16及びその他操作子17に対応するものである。
【0051】
このうちセンドレベル設定部101は、chストリップ120にそなえる選択キー122により現在選択されている入力chから各系統のMIXバス70への信号送出経路におけるセンドレベルフェーダ52についてのセンドレベルパラメータを設定するための16のロータリーエンコーダを備える。
このうちタッチスクリーン102は、LCDにタッチパネルを積層し、信号処理に使用するパラメータの値の参照や設定の受付を行うためのGUIを表示すると共に、ユーザからの操作を受け付ける受付部である。
【0052】
割当chストリップ部110は、入力ch又は出力chの1ch分のパラメータの値を編集するための縦帯状のchストリップ120を8つ横方向に連結した状態で有し、その各chストリップ120に、出力レイヤ選択キー群140、入力レイヤ選択キー群150及びユーザレイヤ選択キー群160のいずれかに含まれるレイヤ選択キーの操作により選択したレイヤのchを割り当てて、その割り当てられたchのパラメータを編集するための操作部として使用するセクションである。
【0053】
そして、各chストリップ120は、chノブ121、選択キー122、オンキー123、およびフェーダ124を備えている。
このうち、chノブ121は、ノブの回転量を操作量として検出することができるロータリーエンコーダである。そして、詳細な説明は省略するが、このchノブ121には、タッチスクリーン102に表示させる画面上の操作子を割り当て、その操作子と対応するパラメータの値の編集に使用することができる。
【0054】
選択キー122は、そのchストリップに割り当てられたchの選択/非選択を設定するための操作子である。デジタルミキサ10のCPU11は、ユーザによる選択キー122の操作に従って、操作された選択キー122が属するchストリップ120に割り当てられているchを選択すると共に、それまでに選択されていたchの選択を解除する。
オンキー123は、そのchストリップに割り当てられたchのオン/オフ(chストリップに入力chが割り当てられている場合には、図4に示したオンスイッチ45のオン/オフ)を設定するための操作子である。
【0055】
フェーダ124は、そのchストリップに割り当てられたchの信号レベル(chストリップに入力chが割り当てられている場合には、図4に示したchフェーダ44におけるレベルの調整内容)を設定するための操作子である。
また、フェーダ124のつまみはモータにより駆動可能であり、デジタルミキサ10のCPU11は、レイヤの変更、パラメータ値の読み出し、別の操作子によるパラメータの編集などにより、フェーダ124と対応するパラメータの値に変更があった場合に、モータを駆動して、つまみを変更後の値と対応する位置に移動させる。
【0056】
次に、出力レイヤ選択キー群140、入力レイヤ選択キー群150及びユーザレイヤ選択キー群160はそれぞれ、割当chストリップ部110の各chストリップ120に、入力ch40あるいはMIX出力ch82等のチャンネルを割り当てるレイヤを選択するためのレイヤ選択キーのグループである。
【0057】
出力レイヤ選択キー群140としては、16のMIX出力ch82を8つずつ2つのレイヤに分け、第1出力レイヤ(1〜8番目のMIX出力ch)及び第2出力レイヤ(9〜16番目のMIX出力ch)を選択するための、o1とo2の2つのレイヤ選択キーを設けている。
入力レイヤ選択キー群150としては、24の入力ch40を8つずつ3つのレイヤに分け、第1入力レイヤ(1〜8番目の入力ch)、第2入力レイヤ(9〜16番目の入力ch)、第3入力レイヤ(17〜24番目の入力ch)を選択するための、i1〜i3の3つのレイヤ選択キーを設けている。
【0058】
そして、ユーザによる、出力レイヤ選択キー群140及び入力レイヤ選択キー群150の何れか1のレイヤ選択キーの操作に応じて、操作された1のレイヤ選択キーに対応する1のレイヤが選択され、選択されたレイヤに属する8つのchが割当chストリップ部110の8つのchストリップに割り当てられる。
このとき、タッチスクリーン102には、該8つのchのパラメータを表示する8つのチャンネルストリップ画像を含むレイヤ画面が表示される。特開2007−074359号公報には、そのようなレイヤ画面の具体的な例(図7)が開示されている。そして、該レイヤ画面は、ユーザによるレイヤ選択操作に応じて、タッチスクリーン16に表示される(図11)。
【0059】
図5に示したように、複数の機器をネットワークで接続してミキサシステムを構成し、デジタルミキサ10(10A又は10B)のユーザインタフェースを用いてシステムを制御する場合には、出力レイヤ選択キー群140と入力レイヤ選択キー群150のレイヤ選択キーだけでは選択できるレイヤ数が不足するので、さらに、各種キー130の中にその各機器を選択する機器選択キーを設け、それらの組み合わせにより1つのレイヤを選択するようにすればよい。
【0060】
より具体的に説明すると、ユーザによる1の機器選択キーの操作に応じて、ミキサシステムの複数の機器のうちのその機器選択キーに対応した1の機器を制御対象機器として選択するとともに、ユーザによる1のレイヤ選択キーの操作に応じて、制御対象機器のレイヤのうちの1のレイヤを選択して、選択されたレイヤに属する8つのchを、割当chストリップ部110の8つのchストリップに割り当てるようにすればよい。
これにより、デジタルミキサ10Aの割当chストリップ部110の8つのchストリップに、ミキサシステムの所望の機器の所望のレイヤの8つのchを割り当てることができ、デジタルミキサ10Aのユーザインタフェースを用いてミキサシステムを制御することができるようになる。なお、これと同様のミキサシステムの制御は、特開2008−227761号公報の図13及び図15にも開示されている。
【0061】
また、ユーザレイヤ選択キー群160としては、ユーザの設定に従ったchを1〜8番目のchストリップ120に割り当てる6つのユーザレイヤを選択するための、u1〜u6の6つのレイヤ選択キーを設けている。
ここで、ユーザは、各レイヤにおいてchストリップ120に割り当てるchを、1chずつ個別に設定することもできるし、条件を設定してその条件に該当するchを抽出して設定することもできる。また、抽出結果をもとに割り当て内容を編集することもできる。このユーザレイヤの関する機能がこの実施形態の一つの特徴であり、この点については、後に詳述する。
【0062】
カーソルキー181は、タッチスクリーン102に表示されたGUI中でカーソルを移動させるためのキーである。増減キー182は、そのカーソルのある位置のパラメータの値を編集するためのキーである。ロータリーエンコーダ183も、同様にパラメータの値を編集するための操作子である。エンタキー184はその編集結果を確定させるためのキーである。
【0063】
次に、上述したユーザレイヤの機能について、より詳細に説明する。
まず図7及び図8に、各種キー130に含まれる画面選択キー、あるいはタッチスクリーン102に対する所定のユーザ操作に応じて、タッチスクリーン102に表示される画面であって、ユーザレイヤにおけるch割り当ての設定を受け付けるための画面の例を示す。
デジタルミキサ10において、ユーザレイヤは、抽出チャンネル(Extracted
Channel: EC)タイプと指定チャンネル(Designated Channel: DC)タイプの2つのタイプで用いることができる。ECタイプは、ユーザが設定した検索条件に該当するchを、デジタルミキサ10が備えるchやデジタルミキサ10から制御可能な他の機器が備えるchの中から抽出し、その抽出したchをchストリップ120に割り当てるタイプである。DCタイプは、chストリップ120に割り当てるchをユーザが個別に設定するタイプである。
【0064】
これらのタイプは、u1〜u6のキーと対応する6つのレイヤそれぞれについて、任意に選択可能である。図7に示すのが、レイヤをECタイプに設定した場合のユーザレイヤ設定画面の例、図8に示すのが、レイヤをDCタイプに設定した場合のユーザレイヤ設定画面の例である。
まず、図7に示すユーザレイヤ設定画面200には、レイヤ選択ボタン群210とレイヤ設定部220とを設けている。このうちレイヤ選択ボタン群210は、レイヤ設定部220において割り当て内容を設定するレイヤを選択するためのボタンであり、6つのユーザレイヤu1〜u6と対応する6つのボタンを設けている。また、各ボタンには、そのレイヤのタイプが現在DC
タイプとECタイプの何れに設定されているかが表示されている。
【0065】
図7では、ECタイプに設定されているユーザレイヤu3が選択された状態を示しており、レイヤ設定部220には、これに対応してECタイプの設定を受け付けるためのGUIが表示されている。
ECタイプにおいては、レイヤ設定部220には、DCタイプ選択ボタン221、ECタイプ選択ボタン222、割り当てch表示部223、スクロールボタン224,225、検索条件設定部230、検索範囲選択部241、アンド/オア選択部242を設けている。
【0066】
これらのうちDCタイプ選択ボタン221、ECタイプ選択ボタン222は、選択したユーザレイヤのタイプを選択するためのボタンであり、いずれかを押下することによりDCタイプとECタイプを択一的に選択して、当該ユーザレイヤu3のタイプとして設定することができる。ここではECタイプ選択ボタン222の太枠により、ECタイプが選択された状態を示している。ここでユーザがDCタイプ選択ボタン221を操作して、当該ユーザレイヤu3がECタイプからDCタイプに変更された場合には、レイヤ選択ボタン群210では、ユーザレイヤu3のレイヤ選択ボタンが選択された状態のまま、レイヤ設定部220の表示形式が、図7の形式から図8の形式に変化する。
【0067】
割り当てch表示部223は、当該ユーザレイヤu3に現在設定されている検索条件で検索した場合に、抽出されるchを表示する表示部である。図7のユーザレイヤ設定画面が表示されている場合及び、当該ユーザレイヤu3に対応するレイヤ選択キーをユーザが操作した場合には、この割り当てch表示部223に表示されているchが8つのchストリップ120にそれぞれ割り当てられることになる。
【0068】
スクロールボタン224,225は、chストリップ120に割り当てるchの候補として抽出されたchが8ch以上ある場合に、その中で実際にchストリップ120に割り当てるchを前方向、後方向に8chずつ切り替えるためのボタンである。
例えば、検索条件が変更されたとき(当該ユーザレイヤのレイヤ選択ボタンが初めて操作されたとき)、その検索条件で抽出されたchが22chであれば、最初はその中の1〜8番目のchをchストリップに割り当て、スクロールボタン225の繰り返し押下に応じて、9〜16番目、17〜22番目(最後2つのchストリップは余りでchが割り当てられない状態になる)と割り当て内容を変更し、次に1〜8番目に戻る(又は、最後の17〜22番目を保持する)というように、ページを順次後のページに切り替える感覚で割り当てを切り替えることができる。逆方向も同様であり、スクロールボタン224の繰り返し押下に応じて、17〜22番目、9〜16番目、1〜8番目と割り当て内容を変更し、次に17〜22番目に戻る(又は、最初の1〜8番目を保持する)ように順次前のページに切り替える。
図7の例では、抽出されたchは6つのみでスクロールは不要であるので、スクロールボタン224,225は無効化されている。
【0069】
検索条件設定部230は、chストリップ120に割り当てるchを抽出するための検索条件の設定を受け付けるためのエリアである。そしてここには、パラメータグループ選択欄231、パラメータ選択欄232、オプション選択欄233、値指定欄234、条件追加ボタン235及び条件削除ボタン236を設けている。図7に示す1行分の各欄が、1つの条件を示し、複数の条件を組み合わせて検索条件を設定することができる。
【0070】
まず、パラメータグループ選択欄231及びパラメータ選択欄232は、条件に用いるパラメータを選択するための欄である。ユーザは、パラメータグループ選択欄231で大まかにグループを選択し(「基本」、「EQ」、「Dyna」、「Send」の何れか1つを選択)、パラメータ選択欄232で、そのグループに属する個別のパラメータを選択することができる。
【0071】
オプション選択欄233及び値指定欄234は、パラメータグループ選択欄231及びパラメータ選択欄232で選択されたパラメータが満たすべき条件の詳細を設定するための欄である。オプション選択欄233では、図7に示す例の、「*と一致」、「オン状態」、「*と同類」、「*より大きい」のように、1つのchのパラメータが単独で満たすべきオプションの他、「*のchと同じ値」のように、他のchのパラメータとの関係が満たすべきオプションを設定することができるようにしてもよい。また、信号処理に用いるパラメータだけでなく、「チャンネル名が○○である」、「ドラムセットAのマークが付与されている」、「キーワードに△△を含む」、というように、信号処理に用いないパラメータが満たすべき条件を設定することも可能である。
【0072】
値指定欄234は、オプション選択欄233で選択したオプションの「*」に入る値を指定するための欄である。1行目及び3行目の条件のように、プルダウンメニューで選択させる場合も、4行目の条件のように、値を入力させる場合もあり、2行目の条件のように、値指定欄234における指定が不要な場合もある。
【0073】
オプション選択欄233に用意される選択肢は、パラメータの種類と対応させて予め規定しておき、パラメータ選択欄232におけるパラメータの選択に応じて変更する。値指定欄234における入力形式及び選択肢は、パラメータの種類及びオプション選択欄233におけるオプションの選択肢と対応させて予め規定しておき、パラメータ選択欄232におけるパラメータの選択及びオプション選択欄233におけるオプションの選択に応じて変更する。
条件追加ボタン235は、条件を1行追加するためのボタンである。
条件削除ボタン236は、対応する条件を1行削除するためのボタンである。
【0074】
また、検索範囲選択部241は、chを抽出する際の検索範囲の設定を受け付けるエリアである。図7の例では、入力ch40、MIX出力ch82、ST入力ch(図3では不図示)、およびST出力ch81につき、検索範囲に加えるか否かを個別に設定できるようにしている。図示は省略しているが、デジタルミキサ10がオーディオネットワーク3等を介して接続された外部の機器も制御可能である場合、機器毎に検索範囲に加えるか否かを設定できるようにしてもよい。
アンド/オア選択部242は、検索条件設定部230で設定した各行の検索条件を、アンドで組み合わせて検索するか(アンド)、それともオアで組み合わせて検索するか(オア)の選択を受け付けるエリアである。
【0075】
以上のレイヤ設定部220において設定することができる検索条件としては、例えば、「3番目のMIXバスへのセンドオンスイッチがオン状態に、かつ、同じ3番目のMIXバスへのセンドレベルが−10dB以上に設定されている」、「ドラム系のマークが付されていて、かつ、5番目のMIXバスへのセンドオンスイッチがオン状態に設定されている」、「入力chの入力が、特定のデバイスのs番目のスロット(のいずれかの入力ポート)に接続されている」等が考えられる。
【0076】
ユーザが以上のレイヤ設定部220において行った設定内容は、フラッシュメモリ12に保持される。そして、操作パネル100において対応するレイヤ選択キーが押下された場合に、その時点の検索条件を参照して、設定された条件に該当するchを抽出し、その抽出したchをchストリップ120に割り当てる。このとき、タッチスクリーン102には、該割り当てられたchのチャンネルストリップ画像を含むレイヤ画面が表示される。
【0077】
また、ユーザレイヤ設定画面200のレイヤ選択ボタン群210のボタンにより編集対象のレイヤが選択された場合にも、そのレイヤがECタイプであれば、選択時点で設定される条件に従ってchの検索を行い、chストリップ120へのchの割り当てや割り当てch表示部223の表示を更新するようにしてもよい。
【0078】
次に、図8においては、DCタイプに設定されているユーザレイヤu2が選択された状態を示しており、レイヤ選択ボタン群210の表示形式は図7の例と共通であるが、レイヤ設定部220には、DCタイプの設定を受け付けるためのGUIが表示されている。
DCタイプにおいては、レイヤ設定部220には、DCタイプ選択ボタン221、ECタイプ選択ボタン222、割り当てch表示部223、ch選択部250を設けている。
【0079】
これらのうちDCタイプ選択ボタン221及びECタイプ選択ボタン222は、図7に示したECタイプの場合と同じ機能であり、ここではDCタイプ選択ボタン221の太枠により、DCタイプが選択された状態を示している。ここでユーザがECタイプ選択ボタン222を操作して、当該ユーザレイヤu2がDCタイプからECタイプに変更された場合には、レイヤ選択ボタン群210ではユーザレイヤu2のレイヤ選択ボタンが選択された状態のまま、レイヤ設定部220の表示形式が、図8の形式から図7の形式に変化する。
【0080】
割り当てch表示部223は、表示位置がECタイプの場合と異なっているだけでなく、ここで表示されている8つのchが、検索により抽出された8つのchではなく、8つのchストリップ120に個別に設定された8つのchである点が、DCタイプでの表示と異なっている。ただし、当該ユーザレイヤu2に対応するレイヤ選択キーをユーザが操作した場合に、この表示部に表示されているチャンネルが8つのchストリップ120にそれぞれ割り当てられる点では、DCタイプでの表示と同じである。
ここでは、カーソル226により、ch選択部250でどのchストリップに割り当てるchの選択を受け付けるかを表示している。ユーザは、各chストリップと対応する枠をタッチ又はクリックすることにより、そのchストリップを、ch選択の対象とすることができる。
【0081】
また、ch選択部250は、chストリップに割り当てるchの選択を受け付けるためのエリアであり、機器選択欄251、chタイプ選択欄252及びch選択欄253を備える。
機器選択欄251は、デジタルミキサ10から制御可能な機器のうちどの機器のchを割り当てるかを選択するエリアである。デジタルミキサ10が、ネットワークを介して他の機器と接続されていない場合、ここにはデジタルミキサA(Mixer A)のみが表示される。図5のように、ネットワークを介して複数台の機器が接続されている場合には、2台のデジタルミキサ10A(Mixer
A)及び10B(Mixer B)と、PC2上で起動されているDAWアプリ(DAW)が選択肢として表示される。
【0082】
chタイプ選択欄252は、機器選択欄251で選択した機器が備えるchのうちどのタイプのchを割り当てるかを選択するエリアである。図8の例では、入力(IN)と出力(OUT)が選択可能となっている。この選択肢は、機器によって異なる。
ch選択欄253は、chタイプ選択欄252で選択したタイプのchのうちどのchを割り当てるかを選択するエリアである。図8の例では、5〜10番目の入力chが表示されているが、画面をスクロールさせて他の入力chを表示させることもできる。
【0083】
ch選択部250において現在選択されているchは、カーソル254〜256によって示されており、その内容は、割り当てch表示部223の表示にも反映される。
ユーザは、割り当てch表示部223において次々と割り当て対象のchストリップを選択し、ch選択部250で各chストリップに割り当てるchを個別に変更することができる。
【0084】
なお、あるユーザレイヤについてECタイプが選択されている状態でユーザがDCタイプ選択ボタン221をタッチすると、そのレイヤのタイプは直ちにDCタイプに切り替わり、レイヤ設定部220の表示内容も直ちに図8を用いて説明したものに切り替わるが、その際、DCタイプに設定変更された当該ユーザレイヤにおける、8つのchストリップへの割り当てchの初期値として、それまでECタイプの画面で割り当てch表示部223に表示されていた8つのchが自動設定される。そして、ユーザは、DCタイプのレイヤ設定部220を用いて、ECタイプでchの検索結果に基づいてなされた割り当て内容をchストリップ毎に編集することができる。
従って、ECタイプにおけるchの抽出結果が一部ユーザの意図と異なった場合には、レイヤをDCタイプに切り替えることにより、割り当て内容の微調整を行うことができる。
【0085】
なお、ここではDCタイプにおいてはECタイプのような割り当ての「ページ切り替え」は想定していないので、ECタイプでの検索において抽出されたchの数が8より多い場合、DCタイプに移行した時点でch表示部223に表示されていたchを、DCタイプでの割り当てchとして引き継ぐようにしている。しかし、DCタイプでも「ページ切り替え」を可能とする場合、ECタイプでの検索結果を全てDCタイプでの割り当て内容に引き継げるようにしてもよい。
【0086】
また、あるユーザレイヤについてDCタイプが選択されている状態でユーザがECタイプ選択ボタン222をタッチすると、そのレイヤのタイプは直ちにECタイプに切り替わり、レイヤ設定部220の表示内容も直ちに図7を用いて説明したものに切り替わるが、この場合には、検索条件が何も設定されていない状態に初期化される。
【0087】
なお、ユーザレイヤの設定を記憶するライブラリを設けて、ECタイプに設定されたユーザレイヤについては図7で設定される1乃至複数の検索条件を、DCタイプに設定されたユーザレイヤについては図8で設定される各チャンネルストリップへの割り当てch(チャンネル構成)を、それぞれ1のライブラリデータとしてストアし、所望のタイミングで、ライブラリから選択して、ユーザレイヤにリコールできるようにしてもよい。また、あるユーザレイヤのECタイプあるいはDCタイプの設定を、別のユーザレイヤにレイヤ間コピーできるようにしてもよい。また、ライブラリデータがリコールされた場合に、リコール先のユーザレイヤが選択されたものとして、ライブラリデータが示すタイプに応じた各chストリップへのchの割り当てを行うようにしてもよい。
【0088】
次に、図9に、デジタルミキサ10が保持するユーザレイヤに関するデータを示す。
デジタルミキサ10は、ユーザレイヤの設定データとして、図9(a)に示すユーザレイヤデータをフラッシュメモリ12に保持しており、また、一時的なデータとして、図9(b)に示す抽出chテーブルをRAM13に保持している。
ユーザレイヤデータは、1番目から6番目のユーザレイヤにぞれぞれ対応する6つのユーザレイヤデータを含む。そして、各ユーザレイヤデータは、そのユーザレイヤに設定されたタイプ(DC又はEC)を示すタイプデータを含んでおり、設定されたタイプに応じて異なるデータ形式を有する。
【0089】
まず、DCタイプに設定されたユーザレイヤの場合、そのユーザレイヤのユーザレイヤデータは、8つのchストリップのそれぞれに割り当てるchがどの機器のどのchであるかを特定するデータを、第1〜第8ch指定データとして含む。これら第1〜第8指定chデータが特定する8つのchは、図8に示したユーザレイヤ設定画面の割り当てch表示部223にて表示され、ch選択部250を用いて個別に変更することができる。
【0090】
また、ECタイプに設定されたユーザレイヤの場合、そのユーザレイヤデータは、割り当てるchを直接特定するデータではなく、割り当てるchの検索に用いる各種データを含む。このデータには、図7に示したユーザレイヤ設定画面において、検索範囲選択部241で設定された検索範囲を示す検索範囲データ、アンド/オア選択部242で設定されたアンド又はオアの選択を示すアンド/オアフラグ、及び、検索条件設定部230で設定された複数の検索条件を示す第1〜第n条件データが含まれる。
【0091】
また、抽出chテーブルは、ECタイプのユーザレイヤデータに含まれる検索条件に従って行った検索の結果を一時的に格納するテーブルである。抽出ch数ECNは、検索により抽出されたchの数を示し、抽出chデータECD(0)〜ECD(ECN−1)は、抽出されたECN個のchそれぞれを特定するデータである。ECタイプのレイヤにおけるchストリップへのchの割り当ては、この抽出chテーブルのデータに基づいて行う。
なお、ここではレイヤを切り替える毎に検索をやり直すようにしているため、抽出chテーブルは1つしか設けていない。
【0092】
次に、図10に、ユーザレイヤ選択キー群160中の何れかのレイヤ選択キーが押下された、すなわち、ユーザが1のユーザレイヤを選択した場合にデジタルミキサ10のCPU11が実行する処理のフローチャートを示す。
CPU11は、操作パネル100においてi番目のユーザレイヤと対応するレイヤ選択キーuiのオンイベントを検出すると、図10のフローチャートに示す処理を開始する。
【0093】
そして、まず図9(a)に示したi番目のユーザレイヤデータULiに含まれるタイプデータを参照し、i番目のユーザレイヤのタイプを判別する(S11)。
これがDCタイプであれば、ユーザレイヤデータULi中の第1〜第8ch指定データを参照し、該データが特定する最大8つのchを、8つのchストリップ120にそれぞれ割り当てる(S12)。その後、割り当てたchのパラメータの値に従い、各chストリップ120におけるフェーダ124のつまみの位置や、オンキー123のオンオフ状態の表示等を変更するとともに、タッチスクリーン102に、chストリップ120に割り当てた最大8chのチャンネルストリップ画像を含むレイヤ画面を表示して、処理を終了する(S13)。
【0094】
一方、ステップS11でECタイプであれば、今回のオンイベントが、同じレイヤ選択キーが続けてオンされたことに係るものであるか否か判断する(S14)。そして、これがNOであれば、ユーザレイヤデータULi中の検索範囲データ、アンド/オアフラグ、及び第1〜第n条件データを参照し、デジタルミキサ10(またはミキサシステム1)のうち検索範囲データが示す検索範囲に含まれる全chの中から、第1〜第n条件データが示すn個の検索条件をアンド/オアフラグが示すアンドまたはオアで結合した条件に合致する(該結合された条件を満たす)chを抽出し、抽出されたchの数を示す抽出ch数ECNと、抽出された各chを示す抽出chデータECD(0)〜ECD(ECN−1)とを図9(b)に示した抽出chテーブルに格納する(S15)。
【0095】
その後、ページ番号pに初期値として先頭ページ番号である0を、最終ページ番号PNに、ステップS15で抽出したchの数である抽出ch数ECNから1を引いた数をchストリップ部110に含まれるchストリップ数(ここでは8)で割った商を設定する(S16)。これは、抽出されたECN個のchをchストリップ数(8)ずつページ分割すると、第0ページ〜第PNページの、全(PN+1)ページに分割されるということを意味する。
【0096】
そして、抽出chテーブルの抽出データECD(0)〜ECD(ECN−1)のうちの第pページに属する抽出データ、すなわち、抽出データECD(8×p)から始まる最大8データを取り出し、該取り出された最大8データが示す最大8chを8つのchストリップ120に割り当てる(S18)。この割り当てを行うことにより、ステップS15で抽出したchが割り当てられたchストリップを用意することができる。その後、各chストリップのフェーダのつまみ位置等の調整や、割り当てた最大8chのchストリップ画像を含むレイヤ画面の表示を行い(S13)、処理を終了する。
【0097】
以上の処理は、直前のものと異なるECタイプのレイヤ選択キーが操作された場合に、設定されている抽出条件に従って抽出したchをchストリップ120に割り当てるためのものである。
なお、ステップS14における判定では、同じユーザ選択キーが続けて操作されたとしても、そのユーザレイヤ選択キーが操作された後に、何れかのchの何れかのパラメータの値が変更されてから、そのユーザレイヤ選択キーが再び操作された場合には、(その変更により検索結果が変化する可能性があるので)「NO」に分岐し、あるユーザレイヤ選択キーが操作された後に、何れのchのパラメータの値も変更されることなく、そのユーザレイヤ選択キーが再び操作された場合(すなわち、検索結果に変化が生じない場合)にのみ「YES」に分岐するようにするとよい。
【0098】
一方、ステップS14でYESの場合、ページ番号pをインクリメントし、最終ページ番号PNを超えたら0に戻す(S17)。その後、抽出chテーブルから第pページの抽出データ(ECD(8×p)から始まる最大8データ)を取り出し、該取り出された最大8データが示す最大8chを8つのchストリップ120に割り当てる(S18)。その後、各chストリップのフェーダのつまみ位置等の調整や、割り当てた最大8chのchストリップ画像を含むレイヤ画面の表示を行い(S13)、処理を終了する。
【0099】
以上の処理は、同じレイヤ選択キーが続けて操作された場合に、抽出をやり直すことなく、抽出結果のうち最初に割り当てきれなかったchをchストリップ120に割り当てるためのものである。なお、抽出結果が8ch以下であり、一度に全てのchを割り当てることができる場合(総ページ数PNが0である場合)、ステップS17の処理によってもpは0のままであるので、chの割り当て内容は変化しないことになる。
【0100】
以上の処理において、ステップS15ではCPU11が抽出部として機能し、ステップS18ではCPU11が第1の用意部として機能する。
デジタルミキサ10は、以上の処理を行うことにより、多数のchを制御する場合であっても、その中から所望の条件を満たすchをワンタッチでchストリップ120に割り当てることができるため、パラメータの編集を希望するchのchストリップを備えたチャンネルストリップ部を、簡単な操作でユーザに提供できる。なお、この割り当ては、連続的に(途中にchを割り当てないchストリップがないように)行うことが好ましい。
【0101】
また、抽出結果のch数がchストリップ数を超えている場合に、抽出結果の一部ずつを順次切り替えて割り当てることができるようにすれば、条件を満たすchの数を気にすることなく検索条件を設定することができる。
また、ECタイプのユーザレイヤにおいて抽出条件により抽出されたchを、DCタイプのユーザレイヤのch指定データの初期値として引き継げるようにすれば、その時点でその抽出条件により抽出され、chストリップ120に割り当てられたchを、DCタイプのユーザレイヤに(どのchのどのパラメータが変更されても変化しない)固定的な割り当てchとして定着させることができる。さらに、DCタイプのユーザレイヤであれば、各ch指定データを任意に変更できるため、検索ではユーザの望みどおりのchが抽出できなかった場合でも、望みどおりのchとなるようその一部を修正することができる。
【0102】
以上で実施形態の説明を終了するが、装置の構成や具体的な処理内容、画面の表示内容、操作方法等が上述の実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
例えば、上述した実施形態では、ECタイプのユーザレイヤについては、同じレイヤ選択キーを続けて押下することによりページの切り替えを行う例について説明したが、操作パネル100あるいは適当なGUIに、ページ切り替えの操作を受け付けるための操作部を設けてもよい。このようにする場合、同じレイヤ選択キーが続けて押下された場合でも、レイヤ選択キーを押下する毎にchの抽出処理を新規に行うようにすることができる。
【0103】
また、ECタイプのユーザレイヤにおけるchの検索を行うための検索条件を、複数のスイッチと対応させて設定しておき、スイッチの操作によりそれらの検索条件を任意に組み合わせて用いることができるようにしてもよい。スイッチA〜Cと対応させて条件A〜Cをそれぞれ登録しておき、スイッチA〜Cをトグルでオンオフできるようにし、オンになっているスイッチと対応する条件をアンドで用いて検索を行う等である。この場合、スイッチAのみがオンである場合、条件Aを用いて抽出を行う。そして、その状態でスイッチBをオンすることにより、条件Aと条件Bをアンドで用いて抽出を行い、初めの抽出結果を条件Bを用いて絞り込むことができる。同様に、スイッチCをオンすることにより、条件Cを用いて絞り込むことができる。もちろん、アンドに代えてオア検索を行うことができるようにしてもよい。
【0104】
また、PCで実行されるDAWアプリにおいても、ECタイプのユーザレイヤと同様に、ユーザが、検索条件を設定し、その後の抽出指示に応じて、該設定された検索条件でchの検索を行い、PCのディスプレイ上に、抽出されたchが割り当てられたchストリップのみからなるミキサウィンドウに表示させる(他のchが割り当てられたchストリップは、「Hide」の設定を有効化する)ようにしてもよい。
【0105】
そして、ユーザがディスプレイに表示された所望の操作子の画像をポインティングデバイス(マウス等)で操作することにより、そのchストリップに割り当てられているchの、その操作子に割り当てられているパラメータの値を変更することができる。この場合、各chストリップにおける「Hide」の設定及び解除を示すデータは、そのchストリップをchストリップ部に用意するか否かを定めるデータであるということができる。
また、ミキサウィンドウは横方向にスクロールできるので、横方向に並べる縦帯状のchストリップの数に制限はなく、検索条件により抽出された全てのchを、1つのミキサウィンドウに表示することができる。
【0106】
また、PC2でDAWアプリを使用するとき、しばしば、専用ユーザインタフェースとして、所定数のchストリップが備えられた物理的コントローラ4が接続される(図11参照)。例えば、Steinberg社のHouston(商標)や、Mackie社のMackie Control(商標)が代表的である。この場合のchの割り当ては、デジタルミキサ10の場合と同様であり、検索により抽出されミキサウィンドウにchストリップが表示されている複数chを、物理的コントローラの所定数のchストリップに、そのchストリップ数ずつ、複数ページにわたって、順次割り当てていくようにすればよい。
【0107】
このような構成を採用する場合でも、ユーザレイヤデータ及び抽出chテーブル(ここではトラックを抽出するので「抽出トラックテーブル」となる)は図9に示したものと同様でよい。しかし、DCタイプにおいて画面に表示させるchストリップの数に制限がないため、トラック数のデータと、そのトラック数分のトラック指定データを設けるとよい。
【0108】
図12に、上述のように「Hide」の設定を利用する場合にDAWアプリを実行するPCのCPUが行う処理の例を示す。
この場合PCのCPUは、所定のGUIにおいてi番目のユーザレイヤを選択するためのi番目のレイヤ選択ボタンのオンイベントを検出すると、図11のフローチャートに示す処理を開始する。
【0109】
そして、まずユーザレイヤデータを参照し、操作されたレイヤ選択ボタンと対応するi番目のユーザレイヤのタイプを判別する(S21)。これがDCタイプであれば、ユーザレイヤデータを参照し、i番目のユーザレイヤに設定されているトラックのchストリップについて、画面に表示させないことを示す「Hide」の設定を解除し、他のトラックのchストリップについて「Hide」を設定する(S22)。その後、変更後の設定に従って画面の表示を更新し(S23)、処理を終了する。
【0110】
一方、ステップS21でECタイプであれば、ユーザレイヤデータを参照し、i番目のユーザレイヤについて設定されている検索条件に従い、トラックの抽出を実行し、結果を抽出トラックテーブルに格納する(S24)。そして、抽出トラックテーブルに格納されているトラックのchストリップについて「Hide」の設定を解除し、他のトラックのchストリップについて「Hide」を設定し(S25)、変更後の設定に従って画面の表示を更新して(S23)、処理を終了する。
【0111】
以上の処理において、ステップS24ではCPU11が抽出部として機能し、ステップS23ではCPU11が表示制御部として機能する。また、ステップS25ではCPU11が第1の用意部として機能する。すなわち、ステップS25の処理により、ステップS24で抽出したトラックが割り当てられたchストリップを用意することができる。
DAWアプリを実行するPCのCPUが以上の処理を行うことにより、多数のトラックを制御する場合であっても、その中から所望の条件を満たすトラックのchストリップのみをワンタッチで画面に表示させることができるため、画面上に表示させるchストリップによりどのトラックのパラメータを編集するかを、容易に設定することができる。すなわち、パラメータの編集を希望するトラックのchストリップを備えたchストリップ部を、簡単な操作でユーザに提供できる。
【0112】
なお、同様なchストリップ部を、「Hide」の設定を用いずに提供することも可能である。例えば、ユーザレイヤに設定されているトラックのchストリップのオブジェクトや、抽出トラックテーブルに格納されているchストリップのオブジェクトを並べて配置した画面を新たに作成してもよい。この場合において、それまで表示されていた画面上のchストリップのオブジェクトは残したまま、新たな画面に配置するオブジェクトを追加で作成してもよいし、それまで表示されていた画面上のchストリップのオブジェクトのうち必要なものを新たな画面に移動させるようにしてもよい。
【0113】
また、図5に関して、PC2にDAWアプリを実行させた場合について説明したが、DAWアプリの代りに、デジタルミキサ10A,10Bをリモート制御するリモート制御アプリケーションを実行させるようにしてもよい。この場合、リモート制御アプリケーションの機能によりデジタルミキサ10A,10Bにおける信号処理パラメータの値を編集するために提供する、ディスプレイ上に表示させるchストリップについて、上述したユーザレイヤの機能に相当するchの割り当てを行うことが考えられる。
【0114】
また、上述した実施形態では、複数の各ユーザレイヤを、ECタイプとDCタイプの何れか1に選択的に設定できるようになっていたが、ECタイプに固定のユーザレイヤと、DCタイプに固定のユーザレイヤとを別々に設けて、タイプの切り替えをできないようにしてもよい。
【0115】
また、上述した実施形態では、図7のユーザレイヤ設定画面が表示されているとき、その画面で設定されている検索条件で抽出されたchが8つのchストリップ120に割り当てられるようになっていたが、ユーザレイヤ設定画面では抽出されたchのchストリップへの割り当ては行わず(検索条件の設定のみを行う)、対応するレイヤ選択キーのユーザ操作があったときに、該抽出されたチャンネルをchストリップへ割り当てるようにしてもよい。
【0116】
また、上述した実施形態では、ユーザが、あるユーザレイヤのタイプをECタイプからDCタイプに変更したとき、そのユーザレイヤがECタイプのときに設定されていた検索条件で検索され、8つのchストリップに割り当てられていたchを、DCタイプとなったユーザレイヤにおける8chストリップへのch割り当てに引き継ぐようになっていたが、ECタイプからDCタイプへの引き継ぎの方法はこれに限らない。
例えば、DCタイプに設定されたあるユーザレイヤの設定画面において、ユーザが、ECタイプに設定されている別のユーザレイヤからの引き継ぎを指定したのに応じて、その時点で、その別のユーザレイヤで設定されている検索条件で検索されたchを、当該ユーザレイヤにおける8chストリップへのch割り当てに引き継ぐようにしてもよい。
【0117】
また、上述した実施形態では、検索条件設定部230では、複数の検索条件を「アンド」で結合するか、それとも「オア」で結合するかを選択できるようになっていたが、これをアンドに固定してしまい、複数の検索条件が必ず「アンド」で結合されるようにしてもよい。
【0118】
また、本発明が、デジタルミキサ以外の、シンセサイザ、レコーダ、エフェクタ、音源装置等であっても、カレントメモリに記憶したパラメータの値に基づいて複数のチャンネルで信号処理を行う音響信号処理装置であれば、任意の装置に適用可能であることは、もちろんである。また、ネットワークに接続されず、単体で操作する装置にも適用可能であることは、もちろんである。
また、以上述べてきた構成及び変形例は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上の説明から明らかなように、この発明の音響信号処理装置によれば、所望のchのchストリップを配置したユーザインタフェースを、容易に設定(準備)できるようにすることができる。
従って、この発明を適用することにより、音響信号処理装置の操作性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0120】
1…ミキサシステム、2…PC、3…オーディオネットワーク、10(10A,10B)…デジタルミキサ、11…CPU、12…フラッシュメモリ、13…RAM、14…外部機器I/O、15…表示器、16…電動フェーダ、17…その他操作子、18…波形I/O、19…オーディオネットワークI/O、20…DSP、21…システムバス、40…入力ch、41…アッテネータ、42…イコライザ、43…ダイナミクス、44…chフェーダ、45…オンスイッチ、46…TO_STスイッチ、47…パン、51…PRE/POSTスイッチ、52…センドレベルフェーダ、53…センドオンスイッチ、70…MIXバス、82…MIX出力ch、100…操作パネル、101…センドレベル設定部、102…タッチスクリーン、110…割当chストリップ部、120…chストリップ、121…chノブ、122…選択キー、123…オンキー、124…フェーダ,130…各種キー、140…出力レイヤ選択キー群、150…入力レイヤ選択キー群、160…ユーザレイヤ選択キー群、200…ユーザレイヤ設定画面、210…レイヤ選択ボタン群、220…レイヤ設定部、221…DCタイプ選択ボタン、222…ECタイプ選択ボタン、223…割り当てch表示部、224,225…スクロールボタン、230…検索条件設定部、241…検索範囲選択部、242…アンド/オア選択部、250…ch選択部、251…機器選択欄、252…chタイプ選択欄、253…ch選択欄
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンネルを有する音響信号処理装置であって、
前記複数のチャンネルの各チャンネルごとに、複数のパラメータを記憶するカレントメモリと、
前記複数のチャンネルに対応する複数の信号処理部であって、それぞれ、前記カレントメモリに記憶された当該チャンネルのパラメータに基づいて、入力する音響信号に対して信号処理を行う複数の信号処理部と、
ユーザによる条件設定操作に応じて、前記複数のパラメータのうちの所望のパラメータに関して、検索条件を設定する条件設定部と、
前記条件設定部から供給される検索条件に基づいて検索を実行し、前記複数のチャンネルの中から、前記カレントメモリに記憶されたパラメータが前記条件設定部の設定した検索条件を満たすチャンネルを抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出されたチャンネルの各々について、複数の操作部を備えており、かつ、そのチャンネルが割り当てられた縦帯状のチャンネルストリップを用意し、それらのチャンネルストリップを横方向に連結した状態で、ユーザによるパラメータ変更操作を受け付けるチャンネルストリップ部として提供する第1の用意部と、
ユーザによる何れかのチャンネルストリップの1の操作部の操作に応じて、前記カレントメモリに記憶されたパラメータのうち、当該チャンネルストリップに割り当てられたチャンネルの、当該操作部に割り当てられたパラメータの値を変更する変更部とを備えた音響信号処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音響信号処理装置であって、
前記音響信号処理装置は、物理的な入力デバイスである、所定数のチャンネルストリップを備えた操作パネルを備えており、
前記第1の用意部は、前記抽出部により抽出されたチャンネルを、前記操作パネルの所定数のチャンネルストリップに連続的に割り当てることにより、前記チャンネルストリップ部を提供することを特徴とする音響信号処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の音響信号処理装置であって、
前記抽出部が抽出したチャンネルの数が、前記所定数より多い場合、前記第1の用意部は、前記抽出部が抽出したチャンネルのうち前記所定数のチャンネルを、まず前記操作パネルの各チャンネルストリップに割り当て、ページ切り替え操作に応じて、前記抽出部が抽出したチャンネルのうち初めに割り当てなかったチャンネルを、前記操作パネルの各チャンネルストリップに割り当てることを特徴とする音響信号処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の音響信号処理装置であって、
前記条件設定部は、前記条件設定部が設定した検索条件を示す条件データを記憶する条件メモリを備えており、ユーザによる前記条件データの呼出操作に応じて、前記条件メモリから該条件データを読み出し、読み出した条件データが示す検索条件を前記抽出部に供給することを特徴とする信号処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の音響信号処理装置であって、
ユーザによる構成データの保存操作に応じて、前記第1の用意部により用意されたチャンネルストリップのチャンネル構成を示す構成データを保存する構成メモリと、
ユーザによる前記構成データの呼出操作に応じて、前記構成メモリから該構成データを読み出し、読み出された構成データの示すチャンネルの各々について、複数の操作部を備えており、かつ、そのチャンネルが割り当てられた縦帯状のチャンネルストリップを用意し、それらのチャンネルストリップを横方向に連結した状態で、ユーザによるパラメータ変更操作を受け付けるチャンネルストリップ部として提供する第2の用意部とを備えることを特徴とする音響信号処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の音響信号処理装置であって、
ユーザの構成変更操作に応じて、前記構成メモリに記憶された構成データが示すチャンネル構成を変更する構成変更部を備えることを特徴とする音響信号処理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の音響信号処理装置であって、
前記音響信号処理装置は、物理的な入力デバイスである、所定数のチャンネルストリップを備えた操作パネルを備えており、
前記第1の用意部は、前記抽出部により抽出されたチャンネルを、前記操作パネルの所定数のチャンネルストリップに連続的に割り当てることにより、前記チャンネルストリップ部を提供し、
前記構成メモリに記憶される前記構成データは、操作パネルの各チャンネルストリップに対して割り当てられたチャンネルを示すデータである
ことを特徴とする音響信号処理装置。
【請求項8】
請求項5に記載の音響信号処理装置であって、
前記構成メモリに記憶される前記構成データは、前記音響信号処理装置の各チャンネルについて、対応するチャンネルストリップを前記チャンネルストリップ部に用意するか否かを示すデータであることを特徴とする音響信号処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の音響信号処理装置であって、
前記音響信号処理装置は、ディスプレイとポインティングデバイスとを備えており、
前記第1の用意部は、前記ディスプレイに、前記抽出されたチャンネルが割り当てられたチャンネルストリップを表示し、前記ポインティングデバイスにより、該表示されたチャンネルストリップに対するユーザの操作を受け付けることにより、前記チャンネルストリップ部を提供することを特徴とする音響信号処理装置。
【請求項1】
複数のチャンネルを有する音響信号処理装置であって、
前記複数のチャンネルの各チャンネルごとに、複数のパラメータを記憶するカレントメモリと、
前記複数のチャンネルに対応する複数の信号処理部であって、それぞれ、前記カレントメモリに記憶された当該チャンネルのパラメータに基づいて、入力する音響信号に対して信号処理を行う複数の信号処理部と、
ユーザによる条件設定操作に応じて、前記複数のパラメータのうちの所望のパラメータに関して、検索条件を設定する条件設定部と、
前記条件設定部から供給される検索条件に基づいて検索を実行し、前記複数のチャンネルの中から、前記カレントメモリに記憶されたパラメータが前記条件設定部の設定した検索条件を満たすチャンネルを抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出されたチャンネルの各々について、複数の操作部を備えており、かつ、そのチャンネルが割り当てられた縦帯状のチャンネルストリップを用意し、それらのチャンネルストリップを横方向に連結した状態で、ユーザによるパラメータ変更操作を受け付けるチャンネルストリップ部として提供する第1の用意部と、
ユーザによる何れかのチャンネルストリップの1の操作部の操作に応じて、前記カレントメモリに記憶されたパラメータのうち、当該チャンネルストリップに割り当てられたチャンネルの、当該操作部に割り当てられたパラメータの値を変更する変更部とを備えた音響信号処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音響信号処理装置であって、
前記音響信号処理装置は、物理的な入力デバイスである、所定数のチャンネルストリップを備えた操作パネルを備えており、
前記第1の用意部は、前記抽出部により抽出されたチャンネルを、前記操作パネルの所定数のチャンネルストリップに連続的に割り当てることにより、前記チャンネルストリップ部を提供することを特徴とする音響信号処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の音響信号処理装置であって、
前記抽出部が抽出したチャンネルの数が、前記所定数より多い場合、前記第1の用意部は、前記抽出部が抽出したチャンネルのうち前記所定数のチャンネルを、まず前記操作パネルの各チャンネルストリップに割り当て、ページ切り替え操作に応じて、前記抽出部が抽出したチャンネルのうち初めに割り当てなかったチャンネルを、前記操作パネルの各チャンネルストリップに割り当てることを特徴とする音響信号処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の音響信号処理装置であって、
前記条件設定部は、前記条件設定部が設定した検索条件を示す条件データを記憶する条件メモリを備えており、ユーザによる前記条件データの呼出操作に応じて、前記条件メモリから該条件データを読み出し、読み出した条件データが示す検索条件を前記抽出部に供給することを特徴とする信号処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の音響信号処理装置であって、
ユーザによる構成データの保存操作に応じて、前記第1の用意部により用意されたチャンネルストリップのチャンネル構成を示す構成データを保存する構成メモリと、
ユーザによる前記構成データの呼出操作に応じて、前記構成メモリから該構成データを読み出し、読み出された構成データの示すチャンネルの各々について、複数の操作部を備えており、かつ、そのチャンネルが割り当てられた縦帯状のチャンネルストリップを用意し、それらのチャンネルストリップを横方向に連結した状態で、ユーザによるパラメータ変更操作を受け付けるチャンネルストリップ部として提供する第2の用意部とを備えることを特徴とする音響信号処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の音響信号処理装置であって、
ユーザの構成変更操作に応じて、前記構成メモリに記憶された構成データが示すチャンネル構成を変更する構成変更部を備えることを特徴とする音響信号処理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の音響信号処理装置であって、
前記音響信号処理装置は、物理的な入力デバイスである、所定数のチャンネルストリップを備えた操作パネルを備えており、
前記第1の用意部は、前記抽出部により抽出されたチャンネルを、前記操作パネルの所定数のチャンネルストリップに連続的に割り当てることにより、前記チャンネルストリップ部を提供し、
前記構成メモリに記憶される前記構成データは、操作パネルの各チャンネルストリップに対して割り当てられたチャンネルを示すデータである
ことを特徴とする音響信号処理装置。
【請求項8】
請求項5に記載の音響信号処理装置であって、
前記構成メモリに記憶される前記構成データは、前記音響信号処理装置の各チャンネルについて、対応するチャンネルストリップを前記チャンネルストリップ部に用意するか否かを示すデータであることを特徴とする音響信号処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の音響信号処理装置であって、
前記音響信号処理装置は、ディスプレイとポインティングデバイスとを備えており、
前記第1の用意部は、前記ディスプレイに、前記抽出されたチャンネルが割り当てられたチャンネルストリップを表示し、前記ポインティングデバイスにより、該表示されたチャンネルストリップに対するユーザの操作を受け付けることにより、前記チャンネルストリップ部を提供することを特徴とする音響信号処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−58967(P2013−58967A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197014(P2011−197014)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
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