説明

預金口座を閉鎖するか又は閉鎖を解く方法及びモジュール

本発明は、SIMカード(10)にリンクされている預金口座を閉鎖するか又は閉鎖を解く方法に関する。預金口座は、幾つかのプロバイダー(2)のサービスに対して支払うために構成されている。預金口座は、モバイルユーザの動的に測定された位置に応じて閉鎖されるか又は閉鎖を解かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IDモジュールに接続されている少なくとも1つの預金口座を閉鎖するか又は閉鎖を解く方法及びモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術によれば、顧客(例えば、モバイルのユーザ)と販売者(例えば、商人)との間の支払処理が、多くの場合に電子支払カードによって実行される。デビットカード及びクレジットカードは、例えば店,ガソリンスタンド等のレジスタで使用される。このカードは、多くの場合記憶手段(例えば、磁気テープ及び/又はチップ)から構成される。特に顧客のIDがこの記憶手段内に記憶されている。売買するため(例えば、店で商品に対して支払いをするため)には、ユーザは、そのユーザのカードを商人のそばで適切なカードリーダ内に差し込む必要がある。次いでこの端末装置は、預金口座のID(例えば、プライマリー口座番号,primary account number)を突きとめて支払額を示し、場合によってはユーザの支払能力を検査し、そのユーザが商人の端末装置の受領キーによる処理を確認することを要求する。その顧客に支払能力があってそのユーザの確認を入力した時に、預金口座の所有者ID,支払額及び場合によっては端末装置のIDも、通信網を通じて端末装置に接続されている財務サーバに対して送信される。これに応じて、この支払サービスプロバイダーサーバのそのユーザの口座がすぐに又は後で借方記入される。
【0003】
プロバイダーは、「仮想端末装置」(例えば、ソフトウェアコンポーネント)を常に使用できる。この仮想端末装置は、支払処理用のマネーカードと互いに連動する。以下では、プロバイダーの支払モジュールについて説明する。この場合、このモジュールは、物理的な端末装置でもよいし又はソフトウェアアプリケーションでもよい。
【0004】
カードに基づく支払システムの場合、バリューカード(又は電子マネー)とクレジットカードとデビッドカードとの間で違いがある。バリューカードの場合、この支払カードは、多くの場合に記憶領域を有する。(一般に前もって)金額が、記憶領域内で転送(前払い)される。金額は、安全の理由のために多くの場合離れたサーバ内に記憶してもよい;この場合、バリューカードは、このサーバ内に対応する口座のIDを1つだけ有し得る。クレジットカードの場合、クレジットカードが、金融機関のユーザの口座にリンクされている。この口座は、取引後だけで借方記入される(後払い)。他方でデビッドカードの場合、金融機関にリンクされている口座が前もって転送される必要があり、かつ取引中に又は取引直後に借方記入される(即払い)。
【0005】
これらの方法の欠点は、ユーザのカードを未知の装置内に差し込むことが必要である点である。ユーザは、通常そのユーザのカードを手で持っていないで例えばユーザの財布内に入れている;したがって非常に迅速な取引は不可能である。
【0006】
これらのカードは、預金口座の所有者のIDを有する。このIDは、ユーザを支払サービスプロバイダーで身元確認することだけを可能にする。したがって、ユーザとプロバイダーとが、同じ支払サービスプロバイダーに加入しているときにだけ、カードが、金融取引に対して正常に使用され得る。他方では、カードは、その他の種類の取引(例えば、非金融取引)では使用されない。したがってユーザは、各種の金融機関や非金融機関に対して常に多数のカード、例えば異なる金融機関やチェーンストアによって管理される幾つかのバリューカード,デビッドカードやクレジットカード又は定期券若しくは安全地帯用のアクセスカードを使用することを余儀なくされる。これらのカードは、多くの場合異なるPINコードによって保護されている。ユーザは、これらのPINコードを記憶する努力が必要である。さらにユーザと商人の双方が、異なる口座を管理する必要がある、すなわち各口座に対して通常の取引条件を詳しく調べ、プリペイド及びバリュー口座を前もってダウンロードし、口座の明細を検査する等する必要がある。
【0007】
これらの問題を回避するため、移動無線システムでユーザを身元確認するためのSIM(subscriber identity module)カードを電子支払カードとして使用することが特に国際特許発明第98/37524号明細書で提唱されている。取引データを送信するため、非接触式接続(例えば、赤外線接続)が、ユーザの移動式装置とプロバイダーの端末装置との間に確立される。したがってユーザは、電子カードをそのユーザの財布から取り出してこの電子カードを未知の装置内に差し込む必要がない。
【0008】
支払方法も、従来の技術から公知である。この場合、取引データが、ユーザの移動式装置と商人の端末装置との間で直接にではなくて移動無線通信網内の支払プラットフォームを通じて送信される。この場合、領収書又は取引証明書が、多くの場合SMS(short-message service) 又はUSSD(unstructured supplementary service data) を通じて送信される。これらの手段には、時間がかかり安全性に問題がある直接的な接続を移動式装置と端末装置との間に確立する必要がないという利点がある。さらにこれらの手段は、互いにすぐ近くにいないユーザとプロバイダーとの間の取引も可能にする。
【0009】
単一の支払カードが幾つかの預金口座にリンクされている支払方法も、従来の技術から公知である。この方法の場合、ユーザが、幾つかの支払カードを携行する必要がない。
【0010】
幾つかの口座にリンクされているこのようなカードが、(多くの場合幾つかの口座にもリンクされている)端末装置で使用される場合、ユーザは、どの預金口座が取引に対して使用されるべきかを決定する必要がある。カードが、例えば前払い式の1つのバリュー口座及び幾つかのクレジットカード口座及び/又はデビッドカード口座にリンクされている場合、ユーザは、どの預金口座が借方記入されるべきかを多くの場合に商人の端末装置のメニューで決定できる。異なるパラメータ、例えば各口座の支払能力,手数料,安全性,快適さ等が考慮できる。
【0011】
マネーカード、特にIDモジュールは、紛失、盗難、複製や悪用されうる。したがって、マネーカードの商業的成功は、提供される安全性に強く依存する。いろいろな方法が、カードの所有者、商人及び/又は支払サービスプロバイダーのリスクを制限するために使用される。クレジット口座及びデビッド口座の場合、支払が、或る期間(多くの場合一月)及び/又は各取引に対して制限される。バリューカードの場合、預金最大限度額も多くの場合制限され得る。詐欺及び詐欺行為を検出するため、複雑な自動詐欺検出方法が、支払サービスプロバイダーによって使用され得る。マネーカードの所有者及び商品の提供者は、嫌疑のある又は盗まれたカードを閉鎖し又は閉鎖を解く可能性を有する。所有者が可能な限り制限を我慢するものの、潜在的な泥棒又は詐欺行為がカードから利益を得ることを困難であると気づくように、その他の機構が、カードの使用可能性を制限するために提供される。或るマネーカードは特定の国だけで容認されることが例えば既に公知である。何故なら、商人又は提供者が、これらのカードを国外では支払手段として認めないからである。しかしながら、しかしながら、カードが閉鎖されなければならない場合、マネーカードの所有者は、一般にその所有者自身で決定することができない。支払サービスプロバイダーは、各ユーザ又はユーザの各グループに対してその地理上の領域で使用してもよいカードを個々に柔軟に変更することがほとんど不可能である。
【特許文献1】国際特許発明第98/37524号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、上述した欠点を回避できる新規の方法及び新規のシステムを提供することにある。
【0013】
本発明の別の課題は、マネーカード及びマネーカードにリンクされている預金口座の使用の地理領域が提供者又は商人によるカードの容認から独立して個々に制限され得る新規のシステム及び方法を提供することにある。
【0014】
本発明の別の課題は、追加のサービス及び有用な機能を可能にする方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの課題は、本発明により、特に独立請求項の特徴部分によって解決される。さらなる有益な実施の形態は、従属請求項及び説明にさらに説明されている。
【0016】
特にこれらの課題は、IDモジュールにリンクされている少なくとも1つの預金口座を閉鎖するか又は閉鎖を解く方法によって解決される。この場合、移動式装置の位置が動的に算出される。この場合、移動式装置がプリセットされた閉鎖(又は閉鎖解除)エリア内に位置する時に、預金口座との取引が閉鎖されるか又は閉鎖が解かれる。
【0017】
これには、預金口座及び預金口座との取引が(商人の固定された端末網の代わりに)動的に算出された位置情報に応じて閉鎖されるか又は閉鎖が解かれるという利点がある。この方法では、たとえプロバイダーが預金口座にリンクされているIDモジュールを容認する準備があっても、この預金口座がプリセットされた地理領域内だけで借方記入され得ることが保証できる。
【0018】
移動式装置の位置を動的に算出することは、この関係では移動式装置の位置を算出することが少なくとも特定の計算を要求しかつ取引相手のうちの1つの取引相手の静的な既知の位置から簡単に導き出せないことを意味する。GPS又はその他の衛星位置決め方法は動的であり、移動無線通信網内の多数の基地局の信号間の三角測量法に基づく現在地測定方法も動的である。飛行時間(TOF)に基づく及び/又は移動式装置まで又はからの無線信号の減衰に基づく位置測定方法は動的である。
【0019】
位置が、移動式装置のホームネットワークの既知のID又は取引相手のうちの1つの取引相手による取引に使用される固定された端末装置の位置だけから導かれる場合は、動的な位置測定とは言わない。
【0020】
位置は、好ましくは移動無線通信網のネットワークセルの大きさよりも遥かに細かい精度で算出される。移動式装置が位置測定手段によって実現され得る場合、好ましくは位置測定手段は、移動式装置が広い範囲(例えば国)内に(例えば、移動無線通信網の全ての供給エリア内に)位置され得るときに使用される。
【0021】
好適な実施の形態では、閉鎖されたか又は閉鎖を解かれた地理領域が、例えばウェブサイトを通じて預金口座の所有者によってセットされ得る。このことは、所有者が彼らの預金口座の地理上の適用範囲を彼らの要求に合わせることを可能にする。
【0022】
好適な実施の形態では、閉鎖されたか又は閉鎖を解かれた地理領域が、支払サービスプロバイダーによってもセットされ得る。このことは、境界をいつでも動的に変更可能にしつつ支払サービスプロバイダーが制限された領域内だけで−場合によっては1つの店,チェーンストア,1つの街,遊園地等内だけで−使用できる預金口座を提供することを可能にする。
【0023】
幾つかの預金口座を1つのIDモジュールにリンクしてもよい。好適な実施の形態では、その他の地理領域の適用が、これらの異なる預金口座に対してセットされ得る。これには、異なる安全基準及び地理的制限が各預金口座に対してセットされ得るという利点がある。
【0024】
好適な実施の形態では、少なくとも特定の預金口座が、移動無線通信網の基幹施設のプラットフォームによって管理される。したがって、幾つかの預金口座と取引きするための取引データが、1つの共通のプラットフォームを通じて送信されこの支払プラットフォーム内で評価される。この取引データは、場合によっては幾つかの支払サービスプロバイダー及び/又は幾つかの金融機関によって提供され得る。これには、起こりうる詐欺がより大きな信頼性で検出され得るという利点がある。何故なら、幾つかの別々の預金口座を有するユーザの挙動を監視することが可能であり、この挙動は移動無線通信網の基幹設備内だけに存在するパラメータに関連しうるからである。さらにこのプラットフォームには、幾つかの預金口座との取引データを有する整理統合された請求書及び口座残高通知書がユーザ用に及び/又は統計目的用に使用され得るという利点がある。
【0025】
好適な実施の形態では、預金額が、好ましくは共通のプラットフォームを通じて一人のユーザの異なる預金口座間で又は異なるユーザ間で送信され得る。特にプロバイダーが同時にモバイルユーザである場合、したがってペアツーペアの預金取引がネットワークオペレータによって管理されている支払プラットフォームを通じて実行され得る。このことは、例えば前払口座が支払限界を超えた時に、所定の基準を満たしているときに、要求に応じて又は自動的に別の預金口座からそのユーザによって又は別のユーザによってダウンロードすることを可能にする。このことは、預金を人から人に転送することを可能にする。したがって、借方限界又はクレジット限界を閉ざされたユーザグループに対して規定することも可能である。
【0026】
事前予防型のダウンロード手段も提唱され得る。所定の基準を満たしている場合、例えば1つの口座の残高が下限に達している場合、バリュー口座及びデビッド口座が、これらのダウンロード手段によって自動的にダウンロードされる。
一人のユーザの異なる預金口座が、異なる支払サービスプロバイダーによって管理され得る。各支払サービスプロバイダーは、彼ら自身の業務条件を彼らのサービスの用途に対して決定できる。本発明のシステム及び方法は、特に業務条件をユーザに伝える手段を有する。これによって、これらの業務条件がユーザによって読まれ、これらの業務条件を容認したことの確認が送信されることが保証される。
【0027】
本発明は、実施の形態及び添付された図面によってより良好に理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、システムの主行為者又は要素を有するブロック図である。この示された例では、このシステムは、各々移動式装置を有する複数のユーザ(モバイルユーザ)を備える。この文脈での「移動式装置」は、携行可能な装置及び固定通信網に接続されている装置を意味する。しかしこれらの装置は、通信網の接続点によってではなくてIDモジュールによって身元確認される。
【0029】
以下の説明及び特許請求の範囲では、符号1は、区別を明確にする以外はユーザ(口座の所有者)又は移動式装置1を示す。移動式装置は、移動無線通信網内のユーザを身元確認するためのIDモジュール10を有する。IDモジュール10は、好ましくは私的で持ち運び可能でかつ移動式装置から分離され得る;このIDモジュール10は、好ましくはチップカードである。移動式装置1は、例えばデジタル式セルラー携帯電話(例えば、GSM,HSCSD,GPRS,EDGE,CDMA)又はUMTS携帯電話又はコンピュータ(例えば、PAD)又は非接触式インターフェース(例えば、GSM,HSCSD,GPRS,EDGE,CDMA,UMTS又はWLAN拡張カード)を有するラップトップでもよい。その他の実施の形態としては、移動式装置1は、アドホック通信網内で接続をセットアップされ得るアドホック装置でもよい。このIDモジュール10は、例えばSIMカードである。
【0030】
その他の装置との音声及びデータ接続をセットアップするため、ユーザの移動式装置1は、移動無線通信網の基幹施設3に接続され得る。この説明及び特許請求の範囲における基幹施設は、通信網のオペレータによって管理され操作される通信網の一部を意味する。この通信網の一部は、基地局,スイッチ,ホームデータ,レジスタ,借方記入センタ,追加のサービス用のサーバ等を有する。本発明の基幹施設3は、以下でさらに詳しく説明する支払プラットフォーム31を有する。追加のモジュール300、32,33,34及び従来の要素は、ここでは説明しない。
【0031】
支払に対してユーザ1に製品,情報又はサービスを提供する複数のプロバイダー2は、この基幹施設にも接続されている。以下で説明するように、ユーザ1は、時としてプロバイダーでもよい。その一方でプロバイダー2は、その他の製品又はユーザからの製品又はサービスに対する注文及び支払いでもよい。その結果、ユーザとプロバイダーとの間の形式的な区別はむしろ理論的である。プロバイダーは、(オンライントレーダ,小売トレード,チケット売買,電気通信バリューサービプロバイダー及び/又は支払機を含む)例えば商人でもよい。
【0032】
プロバイダーは、プロバイダー支払モジュール、例えばPOS(point-of-sale) 端末装置又は支払アプリケーションを有する。以下では、説明及び特許請求の範囲において、符号2は、区別を明確にする場合はプロバイダー又はプロバイダーの端末装置を示す。
【0033】
ユーザ1及びプロバイダー2はそれぞれ、1つ又は幾つかの金融機関5による1つ又は幾つかの預金口座を有する。これらの金融機関5は、複数の支払サービスプロバイダ4を通じてアクセスされ得る。支払サービスプロバイダーは、移動無線通信網のオペレータを含む例えばクレジットカード会社,デビッドカード会社,銀行,郵便サービス及び支払カードを発行するその他の金融機関である。金融機関は、例えば銀行,郵便サービス及び第三者の預金口座を管理するその他の機関である。各支払サービスプロバイダー4は、ユーザ及びプロバイダーによって加入され得る1つ又は幾つかの支払サービスを提供する。各ユーザ及びプロバイダーは、加入された各支払サービスのための金融機関による預金口座を有する。クレジットカードサービス又はデビッドカードサービスの場合、預金口座は、一般に金融機関で記憶される;これに対してバリューカードの場合、預金額が、ユーザのチップカード内の預金口座に記憶される。
【0034】
移動無線通信網の前払預金口座及び郵便料金前納預金口座は、カード10にリンクされている預金口座の特別な場合を言う。これらの預金口座は、主に移動無線通信網のオペレータのサービスに対して支払うために、特に通信網を通じた音声及びデータ接続に対して支払うために、グループ音声,画像等のダウンロードを含む付加サービスを購入するために使用される。
【0035】
支払サービスプロバイダーは、取引きするためのユーザを身元確認又は認証するために及び預金の取引を許可又は停止するためにサーバ4を使用する。さらに支払サービスプロバイダーは、不良債務者及び望ましくないユーザのブラックリストを作成できる。手形交換操作,請求書及び口座残高通知書の送信,前払口座のダウンロード及び類似の操作が、個々の支払サービスプロバイダー4によっても(例えば、接続されている金融サーバ5によって)実行される。
【0036】
従来の支払方法によれば、各ユーザは、預金の取引き前に支払サービスに加入するために物理的なカードを受け取る。次いで各預金口座が、別のカードにリンクされる。一人のユーザが、その異なる支払い目的のために幾つかのデビッドカード,クレジットカード及び/又はバリューカードに加入したい場合、そのユーザは、幾つかの支払カードを携行して各支払取引に対して正しい支払カードを選択する必要がある。このことは、非実用的でありかつ安全上の理由から問題がある。
【0037】
好適な実施の形態では、幾つかの支払サービスプロバイダーの幾つかの支払サービスに対応できる幾つかの預金口座が、1つの共通のIDモジュール10にリンクされている。好適な実施の形態では、移動無線通信網内のユーザ1を身元確認するために構成されたSIMカード10が、幾つかの預金口座にリンクされている多機能支払カードとして機能する。したがって幾つかの支払サービスに対する加入は、1枚のチップカードを所持することによって証明される。
【0038】
反対に、1つの預金口座を幾つかのIDモジュールにリンクしてもよい。このことは、例えば1つの共通の預金口座にアクセスするために家族や会社の各一員に対して各自のIDモジュールを持たせることを可能にする。
【0039】
IDモジュール10は、移動無線オペレータによって必要なデータを記憶するために支払サービスプロバイダーに任意に使用される記憶器の領域を有する。したがって各支払サービスプロバイダーは、加入したユーザのSIMカードの特定の記憶器の領域を使用する。データ(例えば、カード番号,預金額,支払限度額,取引ログファイル,一時的な又は恒久的なサービスに依存するデータ及びプログラム等)が、この記憶領域内に記憶され得る。本発明の別の好適な実施の形態では、これらのデータ(又はこれらのデータの一部)が、移動無線通信網の基幹施設の支払プラットフォーム31内に記憶される。したがって異なる預金口座が、プラットフォーム3の仮想財布100内で統合される。1つのIDカード10が、これらの預金口座にリンクされている。物理カード10と加入した支払サービスの預金口座に対応する仮想財布100との間の論理リンクが、例えばIMSI(international mobile subscriber identity)カード番号,MSISDN(mobile subscriber ISDN number) 及び/又はICCID(integrated circuit chipidentification) を通じて実行できる。
【0040】
少なくとも預金口座は、一定の又は変動する支払限度額を有する。クレジットカードの支払サービスにリンクされている預金口座は、多くの場合に周期的な支払限度額を有し、多くの場合に個別の支払取引に対しても支払限度額を有する。デビッドカード用の預金口座も、周期的な支払限度額を有する;さらに使用可能な残高は、マイナスになってはならなか又はプリセットされた信用下限に達してはならない。多くのバリューカードに対しては、支払限度額は、使用可能な残高に一致する。幾つかの預金口座及び/又は幾つかの支払サービスにリンクされているモジュールに対しては、共通の支払限度額をさらに設けてもよい。同様に、プロバイダー2の全てのサービス及び預金口座が、支払プラットフォーム3の仮想財布200内に統合され得る。プロバイダー2と対応する仮想財布200との間の論理リンクが、プロバイダーを身元確認することによって可能である。
【0041】
支払取引きのためにモバイルユーザのIDモジュールとプロバイダーの支払端末装置とによって使用される預金口座の理想的な対を自動的に決定するため、本発明のシステムは、さらに好ましくは自動決定モジュールを有する。
【0042】
移動無線通信網3の基幹施設は、さらに好ましくはユーザ1の位置を測定するために位置測定モジュール300を有する。この位置は、移動無線通信網のセルでもよい。このセル内では、ユーザは、幾つかのアンテナの信号からの三角測量法に基づいて及び/又は衛星の位置測定手段によって一時的に位置決めされるか又は好ましくはより良好な精度で測定される。以下で説明するように、測定された位置は、特定の領域内の預金口座を閉鎖するか又は閉鎖を解くために利用され得る。
【0043】
ユーザ1によって、プロバイダー2によって及び/又は支払サービスプロバイダー4によってメッセージを暗号化又は復号化するため、暗号サーバ32が基幹施設3内に存在する。この暗号サーバ32は、メッセージの信憑性,完全性及び出所を検査するため、場合によっては確認するために使用され得る。
【0044】
符号33は、以下でさらに説明する本発明の詐欺検出モジュールを示す。疑わしい取引き又はカード10を検出するため、このモジュールは、移動無線通信網内で既知であるパラメータ(例えば、ユーザの位置及びプロバイダーの位置)を取引に特定なパラメータ(例えば、取引相手又は取引額の確認)に結合する。示さなかった別の実施の形態では、このモジュールは、(移動無線通信網のオペレータの代わりに)支払サービスプロバイダーによって操作される。
【0045】
要素34は、データベースである。異なる支払サービスプロバイダーの業務条件が、このデータベース内に記憶されている。預金口座が決済される前に、これらの条件がユーザによって容認されることを保証する手段が設けられている。
【0046】
事前予防型転送モジュール311が、異なる預金口座、特にバリュー口座及びデビッド口座を自動的にダウンロードするために使用される。この場合、このダウンロードは、異なる事件ごとに初期化され得る。
【0047】
図2は、システムの異なる行為者間の支払取引きに対して使用され得る可能なデータチャネルを示す。
【0048】
IDモジュール10は、一般にISOチップカードとして移動式装置1に内蔵されAPDU命令を通じてこの移動式装置と交信する。この移動式装置は、例えばGSM移動式装置であり、したがってSMS(short message system),USSD(unstructured supplementary service data) 又は方向付けられたデータパケットを通じてメッセージをプラットフォーム3と交換できる。別の実施の形態としては、データをインターネットを通じて(例えば、WEB又はWAPブラウザによって又はEメールによって)移動式装置1とプラットフォーム3との間で送信してもよい。別の実施の形態では、プラットフォーム3が、IVR(interactive voice response)インターフェースを有する。音声命令が、このIVRインターフェースによって音声チャネルを通じて送信され得る。別の実施の形態では、データが、(例えば、セルセンター内の)人の操作を通じて通信され得る。別の実施の形態では、データが、非接触式のインターフェース(例えば、WLAN又はブルートゥースインターフェース)を通じてプラットフォーム3に送信される。
【0049】
同様に、プロバイダー2は、データをSMS,USSD,eメール,WEB,WAP,IVR及び/又は人の操作を通じてプラットフォーム3と交換できる。(例えば、方向付けられたデータパケット又はその他のデータチャネルを通じた)その他のデータ接続も、本発明の範囲内で提供され得る。
【0050】
支払手続きに応じて、例えばブルートゥース,WLAND,WEB(例えば、取引の参照),IVR,人の操作若しくは赤外線インターフェースを通じて又はSIMカード若しくは全ての移動体をプロバイダーの端末装置に電気的に接続することによって、直接の接続をユーザ1とプロバイダー2との間に確立してもよい。この方法では、支払データの少なくとも一部が速くかつコストなしに直接送信され得る。
【0051】
支払サービスプロバイダー4は、可動式である必要はなく、したがって好ましくは固定式のデータリンクを通じて(例えば、WEB,eメール,方向付けされたデータパケット又は別のデータリンクを通じて)プラットフォーム3,ユーザ1,(必要ならば)プロバイダー2,場合によっては金融サーバ5に接続される。支払プラットフォーム31と支払サービスプロバイダー4との間の接続は、好ましくは(例えば、仮想個人通信網を通じて)保護されている。支払プラットフォーム31と支払サービスプロバイダーとの間の支払データが、幾つかの支払取引に関連するデータ中に送信され得る。ユーザ1とプロバイダー2との接続は、ファクシミリ又は郵送によっても提供され得る。
【0052】
既に説明したように、ユーザ1及びプロバイダー2は、幾つかの支払サービスプロバイダーの幾つかの支払サービスに加入できる。したがって、プロバイダーのIDモジュール10及び端末装置は、幾つかの預金口座100又は200にリンクされる。ユーザ1がプロバイダー2との支払取引きを実行したい場合、まずどの支払サービスと取引きを実行するかを決定する必要がある。例えば、取引きをクレジットカード支払サービスと又はデビッドカード支払サービスと又はバリューカード支払サービスと実行するかどうか、及び、この種類のサービスのどのプロバイダーと取引きするかを決定する必要がある。
【0053】
この決定は、好ましくは決定モジュール310によって自動的に実行される。この示した好適な実施の形態では、このモジュールは、支払プラットフォーム31内に存在し、したがって移動無線通信網のオペレータによって管理される。これには、このオペレータが違う支払サービスプロバイダーに対して中立にでき、かつプロバイダーが優遇されないという利点がある。さらにモジュール310は、通信網の基幹施設内で決定され既知であるパラメータを使用できる。
【0054】
決定モジュールは、好ましくはソフトウェア及び/又はハードウェアモジュール、例えば移動無線通信網の基幹施設内のサーバによって実行されるソフトウェアアプリケーションから構成される。このサーバは、異なるデータチャネルを通じて移動式装置1,プロバイダー2の端末装置及び支払サービスプロバイダー4と交信できる。
【0055】
特定の支払取引きに対する特定の預金口座を使用する決定は、例えば以下のパラメータ:取引額,ボーナスポイント,所定のモバイル加入者の好み,安全要素,匿名,ユーザの現在地,モバイル加入者が登録している移動無線通信網のID,異なる預金口座との交換レート,異なる預金口座を使用するための料金,利率,使用可能な残高,周期的な信用限度又はデビッド限度,時間,日及び/又は平日,先の取引のログファイル,使用された移動式装置又は移動式装置の種類,プロバイダー及び/又はモバイル加入者のホワイト又はブラックリスト等に依存しうる。
【0056】
その他のパラメータ及び優先権が、プロバイダー2及び/又は支払サービスプロバイダーによって提供され得る。データ保護の理由から、支払取引データ又は支払認証データが、移動無線通信網を通じて好ましくは透明に送信される;この場合、支払プラットフォーム3のオペレータは、違うユーザ又はプロバイダーの支払データにアクセスすることは不可能である。別の実施の形態では、少なくとも特定の支払サービスプロバイダーに対して規定されている少なくとも特定の支払取引データが、特にユーザ又はプロバイダーの同意によって支払プラットフォームにアクセスする。これには、違うユーザ,プロバイダー及び支払サービスプロバイダーの支払データを有する支払プラットフォームが以下の追加のバリューサービスを提供できるという利点がある:
◆整理統合された請求書をユーザに送信し、貸方記入書をプロバイダーに送信する。幾つかの支払サービスプロバイダーによって実行された取引が、これらの貸方記入書に記入されている。
◆幾つかの預金口座による期間当たりの最大支払限度額を決定する整理統合された信用限度及び/又はデビッド限度を規定する。全ての支払額がIDモジュールの預金口座によって制限されているので、このことは、ユーザ,プロバイダー及び支払サービスプロバイダーに対してより高い信頼性を提供する。
◆幾つかの預金口座とのユーザの挙動を監視することによって詐欺を検出する。この特徴は、以下でさらに詳しく説明する。
◆1つの共通のIDモジュールにリンクされている異なる預金口座間で預金を取引きする。このことは、特定の基準が満たされている場合に、例えばバリュー口座又はデビッド口座を別の預金口座から例えば自動的にダウンロードすることを可能にする。
◆異なる預金口座の使用に関して統計を求めて報告する。このことは、特に支払サービスプロバイダー,宣伝活動及び供給できる商品をユーザの要求により良好に合わせることを可能にする。
◆オペレータ又はユーザによって(盗まれたか又は紛失したIDモジュールにリンクされている)全ての預金口座を同時に閉鎖するか又は閉鎖を解く。
◆幾つかの支払サービスプロバイダーの幾つかの預金口座によるボーナスポイント収集プログラム。
◆取引データが外部の支払サービスプロバイダーに送信されることなしに、一人又は幾つかのユーザの預金口座間で直接取引きする。このことは、例えばユーザの前払口座を別のユーザの別の預金口座を有する移動無線通信網を使用するためにダウンロードすることを可能にする。
◆特定の支払サービスに対して入力されたユーザのパラメータ(氏名,アドレス,支払能力等)を後で加えられた別の支払サービスプロバイダーの支払サービスに対して使用する。
【0057】
好適な実施の形態では、支払い取引データ又は支払認証データが支払プラットフォームにアクセスする前に、これらのデータは匿名にされる。そのため、特定の支払取引データに結合しているユーザIDが、匿名化装置内で通信網のオペレータにとって良く分からない別名と交換される。この方法では、データ保護法を破ることなしに匿名支払データが収集され使用され統計学的に評価される。
【0058】
詐欺を検出するためには、移動無線通信網3のパラメータだけではなくて、支払サービスプロバイダー4のパラメータも使用される。示された例では、詐欺は、移動無線ネットワーク3の基幹施設内の詐欺検出モジュール33(例えば、適切なソフトウェアアプリケーションを有するサーバ)によって検出される。このモジュール33は、移動無線通信網のパラメータ(つまり、通信網内で決定されるパラメータ)を支払プラットフォーム31及び/又は通信網の基幹施設のその他のハードウェア及びソフトウェア要素から直接受信する。支払サービスプロバイダーのパラメータは、好ましくは対応するデータリンクを通じて支払サービスプロバイダーのサーバ4から取り出される。この代わりに、少なくとも特定の支払サービスプロバイダーのパラメータが、支払プラットフォーム31を通じて送信された支払取引データ又は支払認証データから決定され得る;この場合、データ保護の理由から、少なくとも特定の取引データが匿名にされる。
【0059】
この実施の形態では支払プラットフォーム31及び詐欺検出モジュール33が中央集中化されているので、異なる支払プロバイダー4からのパラメータが、より高い信頼性で疑わしい挙動を検出するために結合され得る。例えば、ユーザの挙動が疑わしいかどうかを決定するため、クレジットカードサービスプロバイダーとデビッドカードプロバイダーとによる支払取引データが一緒に評価され得る。1つの支払サービスプロバイダーによる詐欺又は詐欺行為が発見された場合、該当するカードにリンクされている全ての預金口座が同時に閉鎖される。
【0060】
動的に測定されたユーザの位置応じて預金口座を閉鎖するか又は閉鎖を解く本発明の方法を詳しく説明する。本発明によれば、取引き相手のうちの1つの取引き相手(例えば、支払モバイル預金口座の所有者2)の位置が、各支払取引きの前に又は中に測定されて閉鎖されたか又は閉鎖を解かれた地理領域のプリセットされたリストと比較される。預金口座の所有者の位置が、好ましくは移動無線通信網3の基幹施設内の位置測定モジュール300によって測定される、しかし衛星位置測定モジュール(例えば、GPS受信器)に基づく預金口座の所有者の移動式装置によって測定してもよい。しかしながら移動無線通信網を通じた位置測定には、マネーカードがGPS受信器を装備しない従来の移動式装置によっても使用され得、位置情報が偽造され得ないという利点がある。
【0061】
閉鎖されたか又は閉鎖を解かれた地理領域のリストは、好ましくは支払フラットフォーム31内の(示さなかった)記憶領域内に記憶される;しかしながらこのリストは、支払サービスプロバイダー4及び/又はIDモジュール10内にあってもよい。1つの特定の預金口座を1つの特定の領域内で使用してもよいかどうかを規定するため、幾つかの領域リストを所定の規則にしたがって結合される異なる記憶領域内で規定してもよい。
【0062】
閉鎖されたか又は閉鎖を解かれた領域は、好ましくは預金口座の所有者1によってセットされ得る。別の(追加の)実施の形態では、これらの領域は、支払サービスプロバイダー4及び/又は支払プラットフォーム31のオペレータ及び/又はプロバイダー2によって規定され得る。加入しているモバイルユーザ−例えば預金口座の所有者の親−が、預金口座に対する特定の地理領域を閉鎖できる。好適な実施の形態では、リストが、例えばウェブサイト,WAPページを通じてSMS,USSD,eメールによって及び/又はIVR(interactive voice response)システムを通じて又はコールセンターを通じて離れている端末装置から編集される。
【0063】
閉鎖すべきか又は閉鎖を解くべき領域は、好ましくはグラフィカルインターフェース上で再生されるカードを通じて入力される。この例では、このカードは、マトリックスを有する。ユーザは、このマトリックス内で閉鎖すべきか又は閉鎖を解くべきセルを選択できる。これらのセルは、長方形でもよいし又は好ましくは地理領域例えば自治体,国又は国境に一致してもよい。閉鎖されたか又は閉鎖を解かれた領域は、好ましくは例えば示された地図上に色付きで又は供給された部分及び供給されなかった部分が表示されるテーブルとして視覚的に再生される。
【0064】
別の実施の形態では、ユーザが、名前、例えば地名,アドレス,郵便番号,国名,移動無線通信網のID,移動無線セルのIDの英数字のリストを入力する。希望の領域が、このリストによって規定されている。
【0065】
上述したように、1つのIDモジュールが、異なる預金口座にリンクされている。この場合、異なる地理的な閉鎖又は閉鎖の解除が、異なる預金口座にリンクされ得る。このことは、例えば異なる通貨で取引きされている幾つかのバリュー口座を1つのIDモジュール10にリンクさせること、及び各バリュー口座を対応する通貨が扱われる領域外で閉鎖することを可能にする。このことは、1つのIDモジュールを一部で使用可能な幾つかの預金口座にリンクさせることも可能にする。
【0066】
反対に、1つの預金口座を例えば家族や会社内の幾つかのIDモジュールにリンクしてもよい。この場合、共通の閉鎖又はIDモジュールに依存しない閉鎖がセットされ得る。
【0067】
好適な実施の形態では、異なる支払限度が、異なる地理領域内でセットされ得る。このことは、口座の所有者に1つの領域内の1つの特定の預金口座を制限すること又はこの預金口座を完全に閉鎖することを可能にする。
【0068】
閉鎖された領域内で1つの特定の預金口座を使用したい口座の所有者は、それにもかかわらずその預金口座を使用することを許可されるために好ましくは支払プラットフォーム31によってパスワード又は別の安全な秘密を入力することを要求される。この要求は、例えばSMS又はUSSDを通じて送信される。このことは、ユーザに安心を放棄することによって1つの預金口座の閉鎖を解除することを可能にする。その他の安全手段が、口座の所有者1によって又は異なる地理領域の支払サービスプロバイダー4によってセットされ得る。
【0069】
1つの預金口座を閉鎖すべきかどうかを決定するため、口座の所有者の位置に関する情報が、その他の情報に結合され得る。好適な実施の形態では、したがって時間が、追加の閉鎖基準として使用され得る。このことは、例えば1つの特定の預金口座が会社内だけで又は会社の近くでユーザの勤務時間の間に使用してよい一方で、同じ口座が家の近くだけで週末に閉鎖されていることをユーザに決定させることを可能にする。ビジネスカード及び会社カードが、ビジネス及び会社外で及び営業時間外に閉鎖され得る。特定のプロバイダーとの支払取引きに対してだけ特定の領域内で預金口座を閉鎖するか又は閉鎖を解くことも可能である。
【0070】
本発明の方法は、課される位置に依存しない支払取引料金も可能にする。したがって支払サービスプロバイダーは、動的に測定されたユーザの位置にリンクされている危険を考慮して料金を課してもよい。例えば、より高い料金を国外の取引き又は疑わしいと思われるビジネスに対して要求してもよい。
【0071】
口座の所有者が、閉鎖された領域に入る場合、その所有者の閉鎖された預金口座が、追加の安全手段としてより安全な預金口座のことを考えて事前予防型転送モジュール311によって自動的に借方記入され得る。
【0072】
特定の預金口座を閉鎖するために使用される方法は、預金口座の種類に依存する。上述したように、預金口座を閉鎖するか又は閉鎖を解く決定は、好ましくは支払プラットフォーム31内のソフトウェアモジュールによって実行されるものの、IDモジュール10又は支払サービスプロバイダー4によって実行してもよい。次いでこの決定は、各取引き前に支払サービスプロバイダー3及び/又は預金口座の所有者1の示さなかった閉鎖モジュールにメッセージで送信される。閉鎖モジュールは、このメッセージを受信し、取引きが、その内容に応じて容認される。希望の取引きが閉鎖に起因して閉鎖された場合、モバイルユーザは、好ましくはSMS,USSD又はeメールを通じて通知される。
【0073】
本発明の方法は、預金口座を例えば遊園地,展示場,コンサートホール,レストランのチェーン店,運動施設,会社内,興味のある旅行地内だけで使用され得るように開設することを可能にする。したがって全ての利害関係者に対する安全性が著しく向上する。しかしながら、閉鎖されたか又は閉鎖を解かれた領域のこのような細かい決定は、移動無線加入者の動的な測定を必要とする、すなわち登録された移動無線通信網だけに基づかない現在地の確認を必要とする。
【0074】
本発明の方法及びシステムは、特にユーザ対ユーザ(P−P)の預金の取引きを実行するために使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の好適な実施の形態における情報の流れを示すブロック図である。
【図2】システムの異なる行為者間の可能なデータチャネルの例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0076】
1 移動式装置
2 プロバイダー
3 基幹施設
4 支払サービスプロバイダー
5 金融サーバ
10 IDモジュール
31 支払プラットフォーム
32 暗号サーバ
33 詐欺検出モジュール
34 データベース
100 預金口座
200 預金口座
300 現在地測定モジュール
310 決定モジュール
311 事前予防型転送モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IDモジュール(10)にリンクされている少なくとも1つの預金口座との取引きを閉鎖するか又は閉鎖を解く方法にあって、
このIDモジュール(10)は、移動無線通信網(3)内の移動無線装置(1)を身元確認するために構成されていて、
この預金口座は、少なくとも1つのプロバイダー(3)のサービスに対して支払うために構成されていて、
この場合、この移動式装置(1)の位置が動的に測定される方法において、
この移動式装置がプリセットされた閉鎖されたか又は閉鎖を解かれた領域内にある時に、この預金口座との取引きが閉鎖され得るか又は閉鎖を解かれ得ることを特徴とする方法。
【請求項2】
動的に測定された位置は、記憶領域内に記憶されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
閉鎖されたか又は閉鎖を解かれた領域は、電子記憶器内に記憶されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
位置は、移動無線通信網(3)によって測定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
位置は、移動式装置(1)によって測定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数の預金口座が、IDモジュール(10)にリンクされていて、この場合、異なる地理の閉鎖又は閉鎖の解除が、これらの預金口座にリンクされていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
多数の閉鎖された地理領域が、電子記憶器内に記憶されていることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項8】
多数の閉鎖を解かれた記憶領域が、電子記憶器内に記憶されていることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項9】
異なる支払限度が、異なる地理領域内にセットされ得ることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
預金口座は、位置及び時間に応じて閉鎖されるか又は閉鎖を解かれることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
預金口座が閉鎖されているか又は閉鎖を解かれている領域は、モバイルユーザ(1)によってセットされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
預金口座が閉鎖されているか又は閉鎖を解かれている領域は、支払サービスプロバイダー(4)によってセットされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
預金口座が閉鎖されているか又は閉鎖を解かれている領域は、プロバイダー (2)によってセットされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
預金口座が閉鎖されているか又は閉鎖を解かれている領域は、支払プラットフォーム(31)のオペレータによってセットされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
預金口座が閉鎖されているか又は閉鎖を解かれている領域は、ウェブサイトを通じて編集されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
預金口座の閉鎖は、パスワードを入力することによって実行され得ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
モバイルユーザが使用したい預金口座が、そのモバイルユーザの位置に起因して閉鎖されている時に、そのモバイルユーザは、パスワードを入力することを要求されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
位置に依存する支払取引き料金が課されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
預金口座は、IDモジュールと共に使用される移動式装置に応じて閉鎖されるか又は閉鎖を解かれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
移動式装置の位置を測定するために位置測定モジュールと連動して支払取引きを閉鎖するか又は閉鎖を解くための閉鎖モジュールにおいて、移動式装置がプリセットされた閉鎖されたか又は閉鎖を解かれた領域内にある時に、この閉鎖モジュールは、移動式装置の動的に測定された位置に応じて支払取引きを閉鎖するか又は閉鎖を解くことを特徴とする閉鎖モジュール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IDモジュール(10)にリンクされている少なくとも1つの預金口座を閉鎖するか又は閉鎖を解く方法にあって、
このIDモジュール(10)は、移動無線通信網内のモバイルユーザの移動式装置(1)を身元確認するために構成されていて、
この預金口座は、少なくとも1つのプロバイダー(2)に対して支払うために構成されている方法において、
預金口座は、移動式装置の動的に測定された位置に応じて閉鎖され得るか又は閉鎖を解かれ得、この場合、モバイルユーザが使用したい預金口座が、そのモバイルユーザの位置に起因して閉鎖されている時に、そのモバイルユーザは、パスワードを入力することだけを要求される一方で、閉鎖を解かれた領域は、パスワードを入力することを要求しないことを特徴とする方法。
【請求項2】
位置は、移動無線通信網によって測定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
位置は、移動式装置(1)によって測定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複数の預金口座が、IDモジュール(10)にリンクされていて、この場合、異なる地理の閉鎖又は閉鎖の解除が、これらの預金口座にリンクされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
多数の閉鎖された地理領域が、電子記憶器内に記憶されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
多数の閉鎖を解かれた地理領域が、電子記憶器内に記憶されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
異なる支払限度額が、異なる地理領域内にセットされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
預金口座は、位置と時間に応じて閉鎖されるか又は閉鎖を解かれることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
預金口座が閉鎖されているか又は閉鎖を解かれている領域は、モバイルユーザ(1)によってセットされることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
預金口座が閉鎖されているか又は閉鎖を解かれている領域は、支払サービスプロバイダー(4)によってセットされることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
預金口座が閉鎖されているか又は閉鎖を解かれている領域は、プロバイダー (2)によってセットされることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
預金口座が閉鎖されているか又は閉鎖を解かれている領域は、支払プラットフォーム(31)のオペレータによってセットされることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
預金口座が閉鎖されているか又は閉鎖を解かれている領域は、ウェブサイトを通じて編集されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
位置に依存する支払取引き料金が課されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
預金口座は、IDモジュールと共に使用される移動式装置に応じて閉鎖されるか又は閉鎖を解かれることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
モバイルユーザの移動式装置(1)の位置を測定するために位置測定モジュールと連動して支払取引きを閉鎖するか又は閉鎖を解くための閉鎖モジュールにおいて、この閉鎖モジュールは、移動式モジュールの動的に測定された位置に応じて支払取引きを閉鎖するか又は閉鎖を解き、この場合、預金口座が、モバイルユーザの位置に起因して閉鎖されている時に、この預金口座は、そのモバイルユーザによってパスワードを入力することによって閉鎖を解かれ得る一方で、閉鎖を解かれた領域は、パスワードを要求しないことを特徴とする閉鎖モジュール。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−518503(P2006−518503A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502044(P2006−502044)
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050181
【国際公開番号】WO2004/075131
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(301067357)スイスコム・モバイル・アクチエンゲゼルシヤフト (11)
【Fターム(参考)】